膨張宇宙、ビッグバン、背景放射、宇宙論パラメータhayasida/class/class2003/...一般相対論の膨張宇宙の解...
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宇宙物理学概論宇宙物理学概論2004/01/292004/01/29
大阪大学大学院理学研究科大阪大学大学院理学研究科
林田林田 清清
ハッブルの法則ハッブルの法則
銀河の距離銀河の距離(d)(d)と後退と後退速度速度(v)(v)の間の比例関の間の比例関係係(1929(1929年年E.HubbleE.Hubble))v=Hv=H00dd
HH00ハッブル定数ハッブル定数
HH00~50~50--100km/s/Mpc100km/s/MpcHSTHSTによるセファイド変によるセファイド変光星の観測光星の観測HH00=75+=75+--10km/s/Mpc10km/s/Mpc
© 2001. The American Astronomical Society Freedman et al., 2001, ApJ553, p.47.http://aas.nao.ac.jp/ApJ/journal/issues/ApJ/v553n1/52417/52417.figures.htmlより
ハッブル定数ハッブル定数
セファイド変光星以セファイド変光星以外の標準光源を利外の標準光源を利用して、より遠方の用して、より遠方の銀河までの距離を求銀河までの距離を求められている。められている。
この論文ではこの論文ではHH00=72=72±±7km/s/Mpc7km/s/Mpcよく直線にのっていよく直線にのっているる==赤方偏移(後退赤方偏移(後退速度)は距離の指標速度)は距離の指標に使える。に使える。
© 2001. The American Astronomical Society Freedman et al., 2001, ApJ553, p.47.http://aas.nao.ac.jp/ApJ/journal/issues/ApJ/v553n1/52417/52417.figures.htmlより
膨張宇宙のモデル膨張宇宙のモデル
ハッブルの法則ハッブルの法則
我々の銀河系が宇宙の中心か?我々の銀河系が宇宙の中心か?
宇宙全体が一様に膨張していればよい。宇宙全体が一様に膨張していればよい。
http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch17/1702.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies
宇宙膨張による赤方変移宇宙膨張による赤方変移
http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch17/1708.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies
注意)銀河の大きさ、恒星の大きさ、人間の身長、素注意)銀河の大きさ、恒星の大きさ、人間の身長、素粒子のサイズなどが変わるわけではない。粒子のサイズなどが変わるわけではない。
一般相対論の膨張宇宙の解一般相対論の膨張宇宙の解
アインシュタインの一般相対性理論:重力を空間のアインシュタインの一般相対性理論:重力を空間の曲率として記述する理論曲率として記述する理論
アインシュタインによる静的宇宙の解アインシュタインによる静的宇宙の解(1917)(1917)宇宙定数(斥力項)の導入宇宙定数(斥力項)の導入
アインシュタイン自身によると生涯最大の失敗アインシュタイン自身によると生涯最大の失敗
*)しかし最近、宇宙項の復活を迫る観測結果(ダークエ*)しかし最近、宇宙項の復活を迫る観測結果(ダークエネルギー)が提出されている。ネルギー)が提出されている。
フリードマンによる膨張宇宙の解の発見フリードマンによる膨張宇宙の解の発見(1922)(1922)
フリードマンによる膨張宇宙の解フリードマンによる膨張宇宙の解(模式的な理解)(模式的な理解)
2
3
2 2
0
22 2 2 20
0
2
1/ 2
4 / 31 42 3( ) ( ( ) )
8 83 3
/8
3
ρ
πρπ ρ
π πρ ρ
π ρ
=
− =
=
⎛ ⎞− = − = −⎜ ⎟
⎝ ⎠=
−
vM
M r
v G r const
a t r a t r
aa G a a G kca
H a aGH
図のようなある点のまわりの球殻の膨張を考える。
単位質量あたりの運動エネルギー
球殻内の質量 は球殻内の平均密度(宇宙の密度) を
使って
エネルギー保存則は
宇宙のスケール因子 を使うと
あるいはハッブル定数 を使って2
2= −kca
宇宙のスケール因子とは基準時刻t0(通常は現在にとる)である2つの銀河間の距離をr0としたときに、任意の時間tにおける距離r=a(t)r0とかいたときのa(t)
一様等方な宇宙を記述するアインシュタイン式一様等方な宇宙を記述するアインシュタイン式== フリードマン方程式フリードマン方程式
宇宙原理:宇宙は一様等方である宇宙原理:宇宙は一様等方である を仮定するを仮定する
2 2 2
2
2
2
83 3
4 33 3
a G Kc ca a
a G p ca c
π ρ
π ρ
Λ⎛ ⎞ = − +⎜ ⎟⎝ ⎠
Λ⎛ ⎞= − + +⎜ ⎟⎝ ⎠
( ) ::
00 :0
:
a tKKKK
<
=
>
Λ
宇宙のスケールパラメータ
空間の曲率を表すパラメータ
:開いている宇宙
平坦な宇宙
:閉じている宇宙
宇宙定数(宇宙項)2
2 3
0
K aa a
aa
Λ⎛ ⎞ ⎛ ⎞• − +⎜ ⎟ ⎜ ⎟⎝ ⎠ ⎝ ⎠
⎛ ⎞•Λ <= <⎜ ⎟⎝ ⎠
•Λ
が正であれば の右辺は正
一旦はじまった膨張は減速するかもしれないがとまりはしない。
が 0であれば膨張は減速する
は重力(引力)の対抗する斥力を表現する
宇宙のスケール因子の時間発展と宇宙の年齢宇宙のスケール因子の時間発展と宇宙の年齢
膨張宇宙とビッグバンの物理膨張宇宙とビッグバンの物理((杉山直著、岩波書店)より引用杉山直著、岩波書店)より引用
宇宙論パラメータ宇宙論パラメータ
( )
2 2 22
2
20 0
22 29 30
0
2
K 20
2
20
83 3
1 /
3 1.88 /100 10 /8
/
:3
c K m K
c
m c
a G Kc cHa a
H H
H H g cmG
KcH
cH
π ρ
ρ ρ
ρπρ ρ
Λ Λ
−
Λ
Λ⎛ ⎞= = − +⎜ ⎟⎝ ⎠
= +Ω +Ω = Ω +Ω +Ω
= = ×
Ω =
Ω = −
ΛΩ =
”現在”の時刻での値を考え
両辺を で割ると( はハッブル定数=”現在”の膨張率)
臨界密度
:物質の密度パラメータ
:曲率の密度パラメータ
宇宙項の密度パラメータ
0.27+-0.04
-0.02+-0.02
0.73+-0.04
宇宙は平坦
物質の密度は臨界密度より低い
宇宙項は必要
WMAPによる結果
須藤靖http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~suto/myresearch/WMAP_kek03.pdfより
ビッグバン宇宙論ビッグバン宇宙論
膨張宇宙において時間をさかのぼると、宇宙膨張宇宙において時間をさかのぼると、宇宙の物質の全てが一点に集中し、密度無限大の物質の全てが一点に集中し、密度無限大の時刻が存在したことになる=ビッグバンの時刻が存在したことになる=ビッグバン
ビッグバンは今からおよそビッグバンは今からおよそ1/H1/H00前(前(100100--150150億年前)に起こった億年前)に起こった
現在、現在、ビッグバン宇宙論の基本的枠組みビッグバン宇宙論の基本的枠組みはは多くの研究者に多くの研究者に支持されている支持されている
宇宙背景放射宇宙背景放射
19651965年ペンジアスとウィル年ペンジアスとウィルソンソン マイクロ波背景放射マイクロ波背景放射の発見の発見
絶対温度3絶対温度3KKの黒体放射にの黒体放射に相当する電波強度で全天相当する電波強度で全天から一様な放射から一様な放射
3000K3000Kの時代に放射されの時代に放射された光が宇宙膨張によって波た光が宇宙膨張によって波長が長が10001000倍に引き伸ばさ倍に引き伸ばされたものれたもの
ビッグバン宇宙の証拠のひビッグバン宇宙の証拠のひとつ
宇宙背景放射のスペクトルhttp://map.gsfc.nasa.gov/m_uni/uni_101bbtest3.html より
とつ
ビッグバン宇宙での元素合成ビッグバン宇宙での元素合成
宇宙初期、高温高密度の状態で陽子、中性子が宇宙初期、高温高密度の状態で陽子、中性子が重水素(重水素(D)D)、、HeHe、、Li,BeLi,Beなどの軽元素が合成される。などの軽元素が合成される。(1948(1948年、ガモフ等)年、ガモフ等)質量数8のベリリウムが不安定核であるためそれより重質量数8のベリリウムが不安定核であるためそれより重い元素は合成されない(恒星内部、および超新星爆発い元素は合成されない(恒星内部、および超新星爆発時に合成される)時に合成される)
ビッグバン後ビッグバン後33分間で、水素分間で、水素7575%、%、He25He25%、微量%、微量ののD,Li,BeD,Li,Beが合成されると予想。重水素、が合成されると予想。重水素、Li,BeLi,Beななどの存在量はビッグバン宇宙モデルの予想値にどの存在量はビッグバン宇宙モデルの予想値に近い。近い。
背景放射、ハッブルの法則につぐビッグバン宇宙背景放射、ハッブルの法則につぐビッグバン宇宙論の観測的根拠。論の観測的根拠。
宇宙の進化と構造形成宇宙の進化と構造形成
t~10t~10--66秒後秒後 クォークから陽子、中性子などの核子クォークから陽子、中性子などの核子ができるができる
t~3t~3分後分後 T~10T~1099K K 核反応により核反応によりD, He,D, He, Li,Li, BeBe等等の軽元素がつくられる。の軽元素がつくられる。
t~10t~1055年後年後 T~3000KT~3000K (z~1000)(z~1000)T>3000KT>3000Kでは原子核と電子がばらばらにあるプラズマ状では原子核と電子がばらばらにあるプラズマ状態。態。 光子は電子との衝突を頻繁に繰り返し直進できな光子は電子との衝突を頻繁に繰り返し直進できない(霧の中のよう)い(霧の中のよう)
T<3000KT<3000Kでは陽子と電子が結合し水素原子つくる。では陽子と電子が結合し水素原子つくる。 以以後、光子は直進できる。後、光子は直進できる。 宇宙の晴れ上がり宇宙の晴れ上がり
t~ 10t~ 1099年後年後 (z~6?) (z~6?) 銀河の形成銀河の形成
須藤靖http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~suto/myresearch/WMAP_kek03.pdfより
マイクロ波背景放射の揺らぎの観測マイクロ波背景放射の揺らぎの観測WMAPと宇宙論パラメータWMAPと宇宙論パラメータ
H0=71km/s/Mpc (5%H0=71km/s/Mpc (5%の誤差の誤差))宇宙の年齢宇宙の年齢 137137億年億年(1%(1%の誤差)の誤差)宇宙は宇宙はFlat (openFlat (openととclosecloseの境目)の境目)宇宙の密度:宇宙の密度:4%4%バリオン(原子)、バリオン(原子)、23%23%ダークマター、ダークマター、73%73%ダークエネルギーダークエネルギー
NASA WMAP ホームページhttp://map.gsfc.nasa.gov/m_mm.html より
様々な波長の電磁波と観測手段様々な波長の電磁波と観測手段
http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch05/0518.htmlより
可視光、X線、電波の観測機器可視光、X線、電波の観測機器すばる望遠鏡 国立天文台提供http://subarutelescope.org/photo/dome_tele2.jpgより
ハッブル宇宙望遠鏡STScI/NASA提供
http://hubblesite.org/gallery/showcase/telescope/t4.shtmlより
野辺山45m電波望遠鏡国立天文台提供http://www.nro.nao.ac.jp/~nro45mrt/NEW45M/IMG/index.htmlより
Astro-E2衛星宇宙科学研究所提供
電磁波以外の観測手段電磁波以外の観測手段
重力波重力波 ニュートリノニュートリノ
300mレーザー干渉計型重力波アンテナTAMA300国立天文台提供
スーパーカミオカンデ東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設http://www-sk.icrr.u-
tokyo.ac.jp/sk/photo/sk_build44.jpghttp://tamago.mtk.nao.ac.jp/tama/intro.html よりより
21世紀宇宙物理の課題21世紀宇宙物理の課題
重力波をとらえる重力波をとらえる
LISALISA、、TAMATAMA
暗黒物質、暗黒エネルギーとは何か暗黒物質、暗黒エネルギーとは何か
地球外惑星に生命は存在するか地球外惑星に生命は存在するか
SETISETI
ブラックホールを直接撮影するブラックホールを直接撮影する
XX線干渉計線干渉計MAXIMMAXIM計画計画