e.大腿神経ブロック(femoral nerve block)...e.大腿神経ブロック(femoral nerve...
TRANSCRIPT
192-1.末梢神経ブロック
as compartment block : An imaging study. Anesth Analg 94 : 706-710, 2002
8) Calava JM, Patt RB, Reddy S, et al : Psoas sheath chemical neurolysis for management of intractable leg pain from metastatic liposarcoma. Clin J Pain 12 : 69-75, 1996
E.大腿神経ブロック(femoral nerve block)
1.はじめに 大腿神経は,第 2~第 4腰神経前枝が集まって形成される腰神経叢の枝であり,大腿神経ブロックは,肢の骨腫瘍,骨転移や病的骨折などによる腰下肢痛,特に片側性の腰痛や大腿部前面の痛みに有効である.本法は,体動時の突出痛のように薬物療法のみではコントロール困難な場合に適応があるが,下肢筋力低下をきたすため,その適応にあたっては患者への十分な説明と同意が必要である.硬膜外ブロックやくも膜下ブロックに比べると片側であること,膀胱直腸障害がなく,血圧低下も軽度であることが利点である.近年,超音波機器の技術向上により,超音波ガイド下に単回ブロックやカテーテル留置が施行できるようになり,より安全かつ確実に施行できる.坐骨神経ブロックを併用すると下肢全体の痛みのコントロールが可能となる.
2.鎮痛原理 大腿神経は,第 2~第 4腰神経前枝が集まって形成する腰神経叢の枝である(図 6).大腿神経が鼠径部で腸腰筋や外側大腿皮神経とともに筋裂孔を通過する部位で局所麻酔薬を投与し,その支配領域である大腿前面から膝関節部,下腿内側,足関節内側,足背内側からの神経を遮断し鎮痛効果を発揮する.
図 6 大腿神経
大腿鞘
大腿動脈
大腿神経
大腿静脈大腿筋膜張筋
薄筋外側広筋
縫工筋
大腿直筋
大腿筋膜
長内転筋
腸骨筋
上前腸骨棘
外側大腿皮神経外側大腿皮神経
腸腰筋
大腿神経
血管裂孔
筋裂孔
大腿動脈大腿静脈
恥骨筋
618-1.腹腔神経叢(内臓神経)ブロック
らない.1)痛みの種類・部位
上腹部腹腔臓器のがんによる上腹部痛および背部痛が適応となる.2)身体状態および余命
全身状態の悪い患者では,著しい低血圧を起こす危険性があるので,慎重に適応を決める必要がある.病状の進行した患者では,施行時の体位の保持が困難な場合もある.腫瘍の浸潤・転移による臓器の変位のある場合には,目的の部位の穿刺が困難なこともある.また,retrocrural space にリンパ節浸潤が及んでいる場合には,retrocrural space の穿刺が困難な場合や,穿刺ができても薬液が拡がらず効果が認められないことがある.施行前に CT などで針の刺入部位およびretrocrural space の状態を確認しておく必要がある.
4.症 例1)症例 1:オピオイド投与に先行して腹腔神経叢ブロックを施行した症例
58 歳,女性.膵がんによる上腹部痛で当科を受診した.X 年,膵頭部がんに対し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行され,以後,外来で抗がん剤による治療中であったが,X+1 年,局所再発および肝転移を起こし,腹部の痛みと膨満感が出現したため,緩和ケアを受診し,NSAIDs(メロキシカム)の投与が開
図 2 腹腔および骨盤腔内の神経走行
交感神経線維 節前節後
副交感神経線維求心性神経線維
b
大内臓神経
小内臓神経
不対神経節
最小内臓神経
腹腔神経節および神経叢
上腸間膜動脈神経節および神経叢 下腸間膜動脈神経節
および神経叢
腰部交感神経節および神経幹
上下腹神経叢
下下腹神経
a
側角後根神経節 交感神経節
交感神経幹
内臓神経
上腸間膜動脈神経節
腹腔神経節
迷走神経
節前節後