抗菌性尿道留置カテーテルの開発に関する基礎的研究 (第2報...
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抗菌性尿道留置 カテーテルの開発 に関す る基礎 的研究 (第2報)
―新 しい抗 菌性 カテーテルの抗 菌力 と持続性―
岡山大学泌尿器科(*現 ・川崎医科大学附属川崎病院泌尿器科)
橋 本 英 昭*小 野 憲 昭 門田 晃 一 公文 裕 巳
クリエートメディック技術研究所
斯 波 徹 安達 俊 明 金 子 佳 代
(平成11年12月24日 受付)
(平成12年3月7日 受理)
Key words: urethral catheter, experimental model, antimicrobial activity,
silver citrate, lecithin
要 旨
クエ ン酸銀 レシチ ン,液 状 シ リコ ンを2:2:8で 配 合 した抗 菌性 素材 を内腔 面 お よび外 表面 に コー
テ ィン グ した抗 菌性尿 道 カテ ー テルの 有効 性 とそ の持続 性 を市販 の抗 菌性 尿 道 カテ ーテ ル と比 較 した.
この新 しい抗 菌 カ テー テル は,in vitroで 強 い抗 菌 力 と優 れた持 続性 を認 めた.臨 床 にお け る カテー テル
留 置 関連感染 症 の感染 経路 を再現 しう る管 内性 感染,管 外性 感染 実験 モ デ ル を新 た に考 案 し,本 抗 菌 カ
テー テルの 有効性 に関す る総 合 的な評 価 を行 った.本 抗 菌 カ テー テル では市 販 の抗 菌 カテ ーテ ル と比 較
して,管 内性,管 外性 感 染モ デ ルの いず れ におい て も,抗 菌効 果お よびそ の持続 性 にお い て明 らか に優
れて いた.
以上 よ り,カ テ ーテ ル留置 関連 尿路 感染 症 の予 防 に対 す る本 カテー テル の有用 性 が示 唆 され た.
〔感染 症 誌 74:441~449, 2000〕
序 文
尿道留置カテーテルは排尿障害患者における尿
路の確保のほかには尿路管理の 目的で も使用 さ
れ,今 日の医療現場で最 も繁用 される治療手技の
ひとつである.一 方,米 国では院内で発症する感
染症全体(広 義の院内感染症)の40%が 尿路感染
症(UTI)で あ り,そ の80%が 尿路カテーテル留
置に起因したものであると報告されている1)2).本
邦でも蟻田らによれば,広 義の院内感染症のなか
でUTIの 頻度は呼吸器感染症に次いで高 く,そ の
うちの半数以上は尿路へのカテーテル留置に起因
す る もので あった と報告 されて いる3).こ の カ
テーテル留置に伴 うUTIを 予防す る目的で,様 々
な抗菌カテーテルが開発され本邦でも市販されて
いるが,抗 菌力ならびに抗菌効果の持続性 という
点で必ず しも充分 とはいえない4)~6).
我 々は,第1報 においてクエ ン酸銀 とレシチン
を液状シリコンに配合 し,シ リコンシー トに塗布
した新 しい抗菌性素材が抗菌力お よびその持続性
に優れていることを報告 した.本 報では,こ の新
しい抗菌性素材を内腔面および外表面にコーティ
別刷請求先:(〒700-8505)岡 山市中山下2-1-80
川崎医科大学附属川崎病 院泌尿器科
橋本 英昭
平成12年5月20日
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442 橋本 英昭 他
Fig. 1 Schematic diagram of the experimental model for ascending infection via in-
traluminal route
ングした試作カテーテルの抗菌効果とその持続性
を,新 たに考案 した管外性 ・管内性感染実験モデ
ルを用いて,市 販の抗菌 カテーテルと比較検討 し
たので報告する.
材 料 と方 法
1. 材 料
ク エ ン酸 銀,レ シチ ン,液 状 シ リ コ ン を2/2/8
で 配 合 し,シ リ コ ン カ テ ー テ ル の 内 腔 面 お よ び外
表 面 に コ ー テ ィ ン グ し た16Fr抗 菌 性 シ リ コ ン カ
テ ー テ ル(以 下,ク エ ン酸 銀 カ テ ー テ ル)を 用 い
た.対 照 と して ウ ロ トピ ッ クTMAgプ ロテ イ ン(ユ
ニ チ カ社 製),シ ルバ ー ル ブ リキ ャ スTM(バ ー ド社
製),SL-cathTM(Rusch社 製),SSC-cathTM(Rusch
社 製)の4種 類 の 市 販 カテ ー テ ル(う ち2種 類 は
国 内未 発 売),な ら び に 通 常 の シ リ コ ンカ テ ー テ ル
(ク リエ ー トメ デ ィ ッ ク社 製)を 使 用 した.
2. 溶 出 銀 濃 度 の 測 定
ク エ ン酸 銀 カ テー テ ル(16F,30cm)に 人 工 尿7)
を40ml/hrで 流 し,先 端 か ら流 出 した 人 工 尿 中 の
銀 量 を 原 子 吸 光 分 析 に よ り定 量 した.な お,人 工
尿 の灌 流 は37℃ で14日 間 行 い,原 子 吸 光 分 析 に
は 日立 製 作 所 製,偏 光 ゼ ー マ ン原 子 吸 光 分 光 光 度
計(グ ラ フ ァイ ト炉 原 子 化 法)を 用 い た.
3. 市 販 の抗 菌 カ テ ー テ ル との 抗 菌 力 お よ び 持
続 性 の 比 較
1) 抗 菌 力 の 比 較 (抗菌 力 試 験)
6種 類 の カ テ ー テ ル を 長 さ10mmに 切 断 し10
mlの 人 工 尿 に投 入 し た 後,試 験 菌 を 初 期 濃 度 が
105cfu/mlに な る よ う に接 種 し た.菌 接 種 後,37
℃ で 振 盪 処 理 を し な が ら経 時 的 に 試 験 液 を 採 取
し,そ の 中 の 生 菌 数 を 測 定 した.な お,抗 菌 性 素
材 の 抗 菌 成 分 の 影 響 を 除 くた め,採 取 した 試 験 液
は 直 ち に 中 和 希 釈 液(1%Pepton,1%Tween80
を 含 む5%NaCl溶 液)で10倍 希 釈 し,平 板 希 釈 培
養 法 に よ り生 菌 数 測 定 を行 っ た.上 記 で得 られ た
結 果 は生 菌 数 の 対 数 値 を菌 液 添 加 後 の振 盪 時 間 に
対 して プ ロ ッ ト し,そ の 生 残 曲線 の 傾 き に-1を
乗 じた 値 を 殺 菌 速 度 と して示 した.な お,試 験 菌
と してEscherichia coli IFO 13,500株 お よびStaphy-
lococcus aureus IFO 13,276株 を使 用 した.
2) 抗 菌 力 の持 続 性 の比 較
1)で 強 い 抗 菌 力 を 認 め た2種 類 の カ テ ー テ ル を
長 さ10mmに 切 断 し,10mlの 人 工 尿 に投 入 し た
後,37℃ で 振 盪 した.連 日新 しい 人 工 尿 と交 換 し
な が ら,1,5,7,14日 目 に カ テ ー テ ル 片 を 取 り
出 し た(人 工 尿 処 理).取 り出 し た カ テ ー テ ル 片 に
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抗菌性尿道留置 カテーテルの開発 (第2報) 443
対 して1)と 同様,抗 菌 力 試験 を行 っ た.な お,試
験 菌 はE. coli IFO 13,500株 を使 用 した.
4. 管 内 性 感 染 モ デ ル実 験
管 内性 感染 モ デ ル の模 式 図 をFig.1に 示 す.実
験 装 置 は,膀 胱 に相 当す る上 段 の 容 器("膀 胱")と
採 尿 バ ック に 相 当 す る 下段 の 容 器("採 尿 バ ッ ク")
と を試 験 カ テ ー テ ル で連 結 し,人 工 尿 が"膀 胱"か
ら"採 尿 バ ッ ク"に カ テ ー テ ル 内 腔 をつ た っ て 自
然 に流 れ る よ う に した.試 験 カ テ ー テ ル の 下 端 は
液 面 に わ ず か に 触 れ る よ う に した."採 尿 バ ック"
に人 工 尿 を満 た し,試 験 菌 を107cfu/ml接 種 した.
実 験 装 置 は37℃ の 恒 温 器 中 に 設 置 し,"膀 胱"に
40ml/hrの 流 速 で 人 工 尿 を 流 し,"採 尿 バ ッ ク"に
接 種 した 試 験 菌 の"膀 胱"へ の 上 行 の 度 合 い を評
価 した.な お,表 面 張 力 に よ り"膀 胱"か ら人 工
尿 が 断 続 的 か つ 一 気 に流 れ 落 ち る現 象 を 防 ぐた め
に カテ ー テ ル 上端 に 綿 球 を 詰 め た.ま た"膀 胱"が
極 端 な陰 圧 ま た は 陽 圧 に な ら な い よ う に通 気 孔 を
も うけ た."採 尿 バ ッ ク"に 菌 接 種3日 後 に試 験 カ
テ ー テ ル を実 験 モ デ ル よ り外 し,内 腔 を リ ン酸 緩
衝 液(PBS)で 洗 浄 して 浮 遊 菌 を洗 い 流 した.つ い
で,全 長32cmの カ テ ー テ ル を4cmず つ に切 断
し,各 カ テー テ ル の 内 腔 面 に 付 着 した 細 菌 を綿 棒
で か き と り混 釈 培 養 にて 生 菌 数 を求 め た.
次 い で,各 抗 菌 カ テ ー テ ル の 抗 菌 力 の 持 続 性 を
検 討 す る た め に,各 カテ ー テ ル を人 工 尿 を用 い て
40ml/hrで7日 間灌 流 し た後,同 様 の 管 内 性 感 染
モ デ ル 実 験 を行 っ た.な お,管 内 性 感 染 モ デ ル 実
験 は クエ ン酸 銀 カ テ ー テ ル の 比 較 対 照 と して,日
本 で 市 販 さ れ て い る ウ ロ トピ ッ クTMAgプ ロ テ イ
ン,シ ルバ ー ル ブ リ キ ャスTMな らび に シ リ コ ン カ
テ ー テ ル を 用 い て 行 い,試 験 菌 はE. coli IFO
13,500株 を使 用 した.
5. 管外性感染モデル実験
管外性感染モデルの模式図をFig2に 示す.透
析膜(透 析用セルロースチューブ,サ イズ8/32)を
約17cmの 長 さにカットし,一端を結紮した.そ の
袋状 の透析 膜に約15cmに 切断 した カテーテル
シャフ ト部を挿入 し,透 析膜 を尿道粘膜内腔面に
見立てた.カ テーテル下端お よび上端からそれぞ
れ約1cmの 部分 を軽 く結紮することで試験液の
Fig. 2 Schematic diagram of the experimental model
for ascending infections via extraluminal route
対流による菌の自由な移行が生 じないように形成
した後,滅 菌を行った.こ の系では透析膜 を使用
することにより,栄 養分は常に供給され,低 分子
の代謝産物や抗菌成分などは排出されるが,菌 体
は透析膜内にとどまることになる.さ らに,人 工
尿 に細菌の増殖が目視で識別できるように塩化 ト
リ フェ ニ ル テ トラゾ リ ウム(Triphenyltetra-
zolium Chloride: TTC)を25ppm添 加 した試験
液を,24mmφ ×200mmの 試験管に40mlず つ分注
した.TTCは 菌体内に取 り込まれて還元 されると
赤色を呈するために,医 療材料の細菌付着性の評
価 などに用い られている8).
カテーテル内腔部上端よ り毎 日107cfu/mlの 菌
液を50μl接 種 し,試 験管内の培養液に静かに浸漬
した.つ まり,菌 はカテーテル内腔をつたって最
下端まで達 した後,カ テーテル管外 と透析膜の間
を上行することになる.主 にカテーテルより溶出
した抗菌成分の影響 を除くため,培 養液は毎 日交
換 した.こ の状態で37℃ の恒温器内で静置培養を
行い,菌 のカテーテル表面での上方への増殖 を
TTCと の反応による赤変部の長さで14日 間測定
した.な お,管 外性感染モデル実験はクエ ン酸銀
カテーテル,ウ ロ トピックTMAgプ ロテイン,シ ル
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Fig . 3 Release of silver from silver citrate and
lecithin-coated catheter, as measured by atomic ab-
sorption analysis over a 14 day period
バ ー ル ブ リ キ ャ スTM,シ リ コ ン カ テ ー テ ル を 用 い
て 行 い,試 験 菌 はE. coli IFO 13,500株 お よ びS.
aureus IFO 13,276株 を使 用 した.
成 績
1. 溶 出 銀 濃度 の 測 定
クエ ン酸 銀 カ テ ー テ ル か らの 銀 の 溶 出濃 度 は人
工 尿 灌 流 開 始 直 後 は600~800ppbで あ っ た が,経
時 的 に徐 々 に 低 下 し,3日 後 に は約400ppb,7日 後
に約200ppbと な り,14日 後 に は約50ppbと な っ
た(Fig.3).
2. 市 販 の抗 菌 カ テ ー テ ル と の 抗 菌 力 お よ び 持
続 性 の 比 較
1) 抗 菌 力 の 比 較
E. coliに 対 す る 抗 菌 力 はSL-cathTMが 最 も 強
く,ク エ ン酸 銀 カ テ ー テ ル は こ れ に次 ぐ抗 菌 力 を
示 した.ウ ロ トピ ッ クTMAgプ ロ テ イ ン,シ ルバ ー
ル ブ リキ ャ スTM,SSC-cathTMは こ の 実 験 条 件 で は
ま っ た く抗 菌 力 を示 さ な か っ た(Fig.4).
S.aureusに 対 す る 抗 菌 力 はE. coliと 同 様,SL-
cathTMが 最 も強 く,次 い で ク エ ン酸 銀 カ テ ー テ
ル,シ ルバ ー ル ブ リキ ャスTMの 順 で あ っ た.ウ ロ
トピ ッ クTMAgプ ロ テ イ ン,SSC-cathTMの 抗 菌 力
は,シ リ コ ン カ テ ー テ ル と同 等 で あ っ た(Fig.4).
2) 抗 菌 力 の持 続 性 の 比 較
1)の 抗 菌 力 試 験 でE. coli, S.aureusと も に 強 い
Fig. 4 Comparison of anti-bacterial activity against
E. coli and S. aureus using a 10-mm piece of each ma-
terial
Fig. 5 Comparison of anti-bacterial activity against
E. coli between two catheters after irrigation for 1
to 14 days
抗菌力を認めたSL-cathTM,ク エ ン酸銀 カテーテ
ルに対 して人工尿処理後の抗菌力試験を行った.
クエ ン酸銀 カテーテルでは時間の経過 とともに殺
菌速度は低下するものの7日 目でもある程度の抗
菌力が認められた.こ れに対 して未処理では強力
な抗菌力を示 したSL-cathTMは,1日 の人工尿処理
で抗菌力が消失 した(Fig.5).
3. 管内性感染モデル実験
クエン酸銀 カテーテル,ウ ロ トピックTMAgプ ロ
テイン,シ ルバ ールブ リキャスTM,シ リコンカ
テーテルに対する管内性感染モデルでの実験結果
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抗菌性尿 道留置 カテーテルの開発 (第2報) 445
Fig. 6 Comparison of ascending distances via intralu-
minal route among 4 catheters studies. E. coli IFO
13,500 was used as a test organism.
Fig. 7 Comparison of ascending distances via intralu-
minal route among 4 catheters after 7-day pre-
irrigation with artificial urine. E. coli IFO 13,500 was
used as a test organism.
をFig.6に 示 す.X軸 の0~4cmが"採 尿 バ ッ ク"
側 を示 し,28~32cmが"膀 胱"側 を 示 す.Y軸 は
カテ ー テ ル 片4cmあ た りの 付 着 菌 数 の 対 数 値 を
示 した.シ リ コ ンカ テ ー テ ル で は,3日 後 に は 管 長
32cmま でE. coliが 人 工 尿 の 流 れ に逆 ら っ て 上 行
して付 着 して い るの に対 して,ウ ロ トピ ックTMAg
プ ロ テ イ ンで は8~12cmま で,シ ル バ ー ル ブ リ
キ ャスTMで は12~16cmま で 上 行 して い た.し か
Fig. 8 Relationship between ascending distances via extraluminal route and days of incubation. E. coli IFO 13,500(A)and S. aureus IFO 13,276(B)were
used as test organisms.
A
B
し,ク エ ン酸 銀 カ テ ー テ ル で は0~4cmの 部 位 に
菌 の 付 着 を認 め る の み で あ っ た.
抗 菌 力 の 持 続 性 の 検 討 で は,人 工 尿 の7日 間 の
前 処 理 に よ る 抗 菌 力 の 低 下 に よ り,ウ ロ ト ピ ッ
クTMAgプ ロ テ イ ンで は24~28cmま で,シ ルバ ー
ル ブ リ キ ャ スTMで は 管 長32cmま でE. coliの 上
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行 に よ る付 着 を認 め た の に対 して,ク エ ン酸 銀 カ
テ ー テ ル で は4~8cmの 部 位 ま で の 上 行 に と ど
ま っ た だ け で な く,付 着 菌 数 も極 め て少 数 で あ っ
た(Fig.7).
4. 管 外 性 感 染 モ デ ル 実 験
E. coliお よ びS. aureusに 対 す る ク エ ン 酸 銀 カ
テ ー テ ル,ウ ロ トピ ッ クTMAgプ ロ テ イ ン,シ ル
バ ー ル ブ リ キ ャスTM,シ リ コ ン カ テ ー テ ル の 管 外
性 感 染 モ デ ル実 験 の 結 果 をFig.8A,Bに 示 す.E.
coliに 対 して は,ウ ロ トピ ッ クTMAgプ ロ テ イ ン,
ル ブ リ キ ャスTMで は シ リ コ ン カ テ ー テ ル よ りは
や や 優 れ て い る もの の,3日 後 に は 菌 は カ テ ー テ
ル の 下 端 よ り11cmま で 増 殖 を認 め た.し か し,ク
エ ン酸 銀 カ テ ー テ ル で は,14日 後 に も0 .5cmま で
増 殖 を認 め る の み で あ っ た(Fig.8A).ま た,S.
aureusに 対 して も3日 後 に ウ ロ トピ ッ クTMAgプ
ロ テ イ ン で11cmま で,ル ブ リ キ ャ スTMで12cm
まで 菌 の 上 行 を 認 め た の に 対 して,ク エ ン酸 銀 カ
テ ー テ ル で は14日 後 に も菌 の 上 行 を 全 く認 め な
か っ た(Fig.8B).
考 察
一般に尿道カテーテルが留置 された症例ではグ
ラム陰性桿菌を主体 とした複雑性尿路感染症が必
発する.こ のカテーテル留置尿路感染症は化学療
法に対する反応性が不良であるだけでなく,院 内
感染の原因となることから臨床的に課題の多い感
染症である.
尿道カテーテル留置に伴 う感染症の発症 を予防
す るために,種 々の新 しい抗菌性素材,抗 菌性 カ
テーテルが開発されている.な かでも,銀 イオ ン
の抗菌作用 を応用 した抗菌性 カテーテル として金
属銀4)9)10),プロテイ ン銀5)6),酸化 銀11)12)を配合 し
た抗菌性カテーテルが実際に使用されている.仲
田ら4)はカテーテル長期留置例においてシルバー
ルブ リキ ャスTMと シリコンカテーテルの比較 を
行い,カ テーテル表面の走査電子顕微鏡像ではシ
ルバールブ リキ ャスTMで 細菌の付着が少 なかっ
た ものの,細 菌尿の発生頻度は変わらなかったと
報告 している.一 方,Liedbergら9)は シルバールブ
リキャスTMと テフロンカテーテルをそれぞれ60
症例に6日 間留置 したところ,細 菌尿の発生率が
シル バ ー ル ブ リキ ャスTM留 置 群 で6例(10%)で
あ り,テ フ ロ ンカ テ ー テ ル群 の22例(37%)と 比
較 し て有 意 に低 率 で あ っ た と報 告 して い る.ま た,
同 様 にLiedbergら10)は90症 例 を対 象 と して,シ
ル バ ー ル ブ リ キ ャ スTM,親 水 性 素 材 の み で コ ー
テ ィ ング した カ テ ー テ ル,何 も コ ー テ ィ ン グ して
い ない カ テ ー テ ル の3種 を5日 以 上 留 置 した 際 の
細 菌 尿 の発 生 率 は,そ れ ぞ れ10%,33%,50%で
シ ル バ ー ル ブ リキ ャ スTMで 最 も低 か っ た と報 告
して い る.一 方,小 西 ら5)はウ ロ トピ ックTMAgプ ロ
テ イ ン と シ リ コ ンカ テ ー テ ル を4週 間留 置 して,
そ の 表 面 を 走 査 電 子 顕 微 鏡 で比 較 観 察 し,シ リ コ
ン カ テ ー テ ル で は全 例 に細 菌 の付 着 を認 め た が,
ウ ロ トピ ッ クTMAgプ ロ テ イ ン で は認 め な か っ た
と報 告 して い る.し か し,竹 内 ら6)は同様 に ウ ロ ト
ピ ッ クTMAgプ ロ テ イ ンを 天 然 ゴ ム カ テ ー テ ル と
比 較 し,無 菌 尿 持 続 期 間 が4.0日 で あ り,天 然 ゴ ム
カ テ ー テ ル の場 合 の4.6日 と変 わ ら な か っ た と報
告 して お り,成 績 は 必 ず し も一 定 して い な い.ま
た,酸 化 銀 を配 合 した 抗 菌 性 カ テ ー テ ル の 報 告 で
は,Johnsonら11)は482症 例 に 対 し て 酸 化 銀 コー
テ ィ ン グ カ テ ー テ ル と シ リコ ン カ テ ー テ ル を7日
間 留 置 し比 較 し た と こ ろ全 体 で のUTIの 発 症 率
は変 わ らな か っ たが,唯 一,抗 菌 薬 の 投 与 を受 け
て い ない 女 性 の グ ル ー プ で の み,UTIの 発 症 率 が
シ リ コ ン カ テ ー テ ル 群 の19%に 対 して,酸 化 銀
コ ー テ ィ ング カ テ ー テ ル 群 で0%と 有 意 に低 率 で
あ っ た と報 告 して い る.し か し,Rileyら12)は1,309
症 例 に 対 して 同 様 に酸 化 銀 コ ー テ ィ ン グ カ テ ー テ
ル と シ リ コ ンカ テ ー テ ル の 比 較 を行 っ た とこ ろ,
細 菌 尿 の 発 症 率 が 酸 化 銀 コー テ ィ ン グ カ テ ー テ ル
で11.4%,シ リ コ ンカ テ ー テ ル群 で12.9%と 同 等
で あ っ た と報 告 して い る.以 上 の 臨床 試 験 の 結 果
か ら は,金 属 銀 を 配 合 した抗 菌 カ テ ー テ ル が 最 も
優 れ て い る よ う に 思 わ れ,Saintら13)のmeta-
analysisで も,金 属 銀 を 配 合 した 抗 菌 カ テ ー テ ル
の 有 用 性 が 報 告 され て い る.し か し,こ れ らの 臨
床 試 験 で は 個 々 の報 告 にお い て,性 差,留 置 期 間,
抗 菌 剤 の使 用 の 有 無,尿 路 感 染 症 の 診 断基 準 な ど
が 異 な っ て お り,単 純 に は比 較 で き な い もの と考
身 られ る。
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抗菌性尿道留置 カテーテルの開発 (第2報) 447
我々は新 しい抗菌性 カテーテルに用いる抗菌性
コーティング素材を開発して第一報で報告 した.
この抗菌性素材は,抗 菌剤 として銀化合物の中で
抗菌力 と持続力に優れ,安 全性の高いクエ ン酸銀
と,さ らに界面活性剤の中で細菌付着抑制効果の
高いレシチンを配合 している.今 回は,こ の新 し
い抗菌性素材を内腔面および外表面に使用 したク
エン酸銀カテーテルの抗菌効果と持続性 を,抗 菌
加工を施したプラスチック類の抗菌力の評価に用
いられる侵漬法15)に準拠 した抗菌力試験 を行い,
金属銀 を配合 したシルバールブリキャスTM(バ ー
ド社 製),SL-cathTM(Rusch社 製),SSC-cathTM
(Rusch社 製)お よびプロテイン銀を配合 したウロ
トピックTMAgプ ロテイン(ユ ニチカ社製)と 比較
した.そ の結果,ク エ ン酸銀 カテー テルはSL-
cathTMに 次 ぐ抗菌力を認めた.さ らに,抗 菌力の
持続性 とい う点では,ク エ ン酸銀 カテーテルは
SL-cathTMよ りはるかに優れていた.ク エン酸銀カ
テーテルに限らず銀化合物を配合 した抗菌カテー
テルでは,通 常その抗菌効果はカテーテル表面よ
り溶出する銀 イオンの作用に依存すると考えられ
ている.ク エン酸銀カテーテルより溶出する銀濃
度を,実 際のカテーテル留置 と同様の条件で測定
したところ,溶 出銀濃度 は人工尿灌流開始直後は
600~800ppbで あったが,徐 々に低下 して,7日 後
に約200ppb,14日 後には約50ppbと なった.銀
の殺菌作用 として,500ppbの 濃度 で106/mlの 細
菌が5分 以内に死滅するとされてお り15),14日 後
の50ppbは 必ず しも高 くないかも知れない.し か
し,抗 菌力試験の結果得 られた殺菌速度や抗菌力
の持続性か ら考えると,他 の抗菌カテーテルと比
較した場合,極 めて高いレベルと考えられ,現 時
点では最高 レベルの徐放性 を示す抗菌カテーテル
と考えられる.問 題はこのレベルでの抗菌力が現
実的な感染予防につながるか否かであろう.
実際のカテーテル留置複雑性尿路感染症の感染
経路を考えた場合,感 染経路は管内性感染 と管外
性感染に分けられる1)16).管内性の感染経路は,細
菌がカテーテルと導尿チューブとの接続部や採尿
バ ックからカテーテル内腔を上行して膀胱内に到
達 し,管 外性の感染経路では,カ テーテル挿入部
か らカテーテル表面 と尿道粘膜との間を細菌が上
行する.こ の管内性,管 外性感染に対するクエン
酸銀 カテーテルの抗菌効果を評価するために管内
性,管 外性感染実験モデルを考案 し,日 本で市販
されている抗菌カテーテルであるウロ トピックTM
Agプ ロテイン,シ ルバールブリキャスTMお よび
対照としてシリコンカテーテルと比較 した.今 回
考案 した管内性 ・管外性感染実験モデルは,実 際
に管内性,管 外性感染 をsimulateで きる実験系で
あ り,in vitroで簡便にカテーテル留置感染症にお
ける感染経路 を再現 で きるだけでな く,抗 菌カ
テーテルでの経路別の細菌付着 とその上行阻止効
果が検討可能であ り,抗 菌カテーテルの評価系 と
して有用である.
これまでに報告されている管内性 ・管外性感染
モデル実験 としては,望 月ら17)18)がクロルヘキシジ
ンを徐放する抗菌性尿道カテーテルの開発におい
て,管 内性 ・管外性感染モデルを作成 し,カ テー
テルの抗菌力 を評価 している.望 月らの管内性感
染モデルは,約20度 の傾斜角度をもつ斜面上に固
定 した試験 カテー テルに,37℃ 下 に下方 よ り
1,000ml/dayの 流量で培 地 としてTripticase soy
brothを 流 し,カ テーテル出口部に前培養 した105
cells/mlの 濃度 のE. coliを 毎 日100~200μl接 種
し,カ テーテル入口部の上流に設けられた膀胱モ
デルに何 日目に逆行性感染 を起こすかにより判定
するというものである.こ の結果,コ ントロール
としての抗菌剤 を含 まない通常 カテーテルが9.5
日で膀胱モデルまで逆行性感染を起こしたに対 し
て,ク ロルヘキシジン徐放性カテーテルでは30.7
日で感染が認められたとしている.こ の望月 らの
管内性感染モデルと,今 回我々の考案 したモデル
を比較 してみる と,望 月 らのモデルの方が より
simpleで あるが,こ れは,望 月らのモデルでは試
験カテーテルの下流にポンプを設置 し培養液を流
しているのに対 して,我 々のモデルでは"膀 胱"の
上流にポ ンプを設置 し"膀 胱"に 流れ込んだ培養
液が,"採 尿バ ック"に カテーテル内腔 をつたって
自然に流れるようにしているためである.ま た,
望月らのモデルではコン トロールであるカテーテ
ルにおいて膀胱モデルまで逆行性感染 を起 こすの
平成12年5月20日
-
448 橋本 英昭 他
に9.5日 かかっているのに対 して,我 々のモデル
では,試 験菌接種3日 後 にコントロールであるシ
リコンカテーテル全長に細菌の上行による付着 を
認めている.こ れは,望 月 らのモデルではカテー
テル出口部に1日1回,菌 を接種 しているのに対
して,我 々のモデルでは,"採 尿バ ック"内 に菌 を
接種するためカテーテル端は常に相当数の菌に接
していることになり,こ の菌の接種方法の違いに
よるのであろう.し かし,管 内性感染はカテーテ
ル留置後,比 較的早期に発症 し,Nickelら のラッ
トを用いたカテーテル留置感染モデル実験で も,
採尿バ ックへの試験菌接種後32~48時 間で細菌
尿を認めた と報告 してお り16),我々のモデルの方
がより実際の管内性感染を再現 しているのではな
いかと思われる.今 回の管内性感染モデル実験の
結果,ウ ロ トピックTMAgプ ロテイン,シ ルバール
ブリキャスTMで は細菌の上行 はある程度阻止 さ
れるが,付 着菌量は比較的多 く,人 工尿 を7日 間
灌流 した後には抗菌力は減弱 し,シ リコンカテー
テルと同等になった.し か し,ク エ ン酸銀カテー
テルでは,細 菌の上行距離,付 着菌量 ともにわず
かであ り,人 工尿の7日 間の灌流後にも,充 分な
効果を認め,管 内性感染の発症予防において優れ
ていると考えられた.
次に,管 外性感染モデルであるが,望 月 らのモ
デルはカテーテル外径 とほぼ等 しい内径の塩 ビ
チューブ内に,尿 道粘膜モデルとしての超吸水性
のカルボキシメチルセルロース繊維を外周部に巻
き付けた試験カテーテルを収納 し,そ のわずかの
間隙に培養液 としてTripticase soy brothを 満た
し,前 記管内性感染モデルと同様にカテーテル出
口部に細菌を接種 し,菌 がカテーテル入口部に設
けられた膀胱モデルに何 日目に到達するかにより
判定するものである.こ のモデルを使用 し,通 常
のカテーテルとクロルヘキシジン徐放性 カテーテ
ルを比較 した ところ,菌 の移動速度が通常の カ
テーテルでは2.5cm/日 であったのに対 して,ク ロ
ルヘキシジン徐放性 カテーテルでは0.6mg/日 で
あったと報告 している.わ れわれのモデルは,試
験カテーテルを透析膜で覆い,こ れを培養液で満
た した試験管に浸すことにより菌に栄養分を与え
るとともに,培 養液を毎 日交換することで,カ テー
テルより溶出 した抗菌成分の影響を除去 した.さ
らに,TTC(Triphenyltetrazolium Chloride)を 添
加することで,そ の赤色への変化により,菌 の上
行する程度をより可視的に観察で きるため望月 ら
のモデルを改良 したもの と言 える.一 般 に,管 外
性感染はカテーテル留置後,一 定期間を経過 した
場合の感染経路 として重要である.こ のことは,
正常の尿道定着菌(常 在菌)が 通常グラム陽性球
菌であるのに対 して,留 置期間の長期化 につれて
グラム陰性桿菌が尿道への定着菌の優位菌になる
という報告19)20)からも理解できる.つ まり,管 外性
感染を防止するためには,抗 菌効果の持続力が重
要となって くる.し か し,今 回の管外性モデル実
、験においては,ウ ロ トピックTMAgプ ロテイン,シ
ルバールブリキャスTMは それぞれプロテイ ン銀,
金属銀を内外面にダブルコーティングしているに
もかかわらず,実 験開始3日 後には細菌の上行を
認め,シ リコンカテーテルとほとんど同等であっ
た.こ れに対 してクエン酸銀カテーテルはE. coli
に対 しては実験開始14日 後 にも細菌の上行はわ
ずかであ り,S. aureusで は細菌の上行は全 く認め
ず,カ テーテル留置後,一 定期間を経過した後に
問題 となって くる管外性感染 に対 しても有効であ
ると思われた.
以上 より,本 クエン酸銀カテーテルはカテーテ
ル関連尿路感染症において管内性お よび管外性の
細菌の上行を阻止することにより,そ の発症予防
に有用であると思われる.
文 献
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II. Potency of a New Anti-bacterial Catheter and Its Durability in Experimental Models
Hideaki HASHIMOTO, Noriaki ONO, Koichi MONDEN&Hiromi KUMON
Department of Urology, Okayama University School of Medicine
Tohru SHIBA, Toshiaki ADACHI&Kayo KANEKO
Create Medic, Technical Research Laboratory
The potency and effectiveness of an anti-bacterial catheter coated with a mixture of silver cit-rate, soybean lecithin and liquid silicon at the ratio of 2:2:8 were compared withthose of commer-cially available anti-bacterial and conventional urethral catheters. This new anti-bacterial catheter showed a strong activity and excellent durability in ordinary in vitro experimental studies. In the pre-sent series we have developed new in vitro experimental models for the evaluation of anti-bacterial catheters in inhibiting bacterial ascent via intraluminal or extraluminal route. The characteristic fea-tures of the silver citrate/lecithin catheter, namely strong activity and excellent durability, were con-firmed using these new models that mimic urinary catheter-associated clinical infections.
平成12年5月20日