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1 センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ 茨城大学 工学部 メディア通信学科 教授 武田茂樹

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Page 1: センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ - JST1 センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ 茨城大学 工学部 メディア通信学科 教授

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センサ無線のための小型多周波共用アンテナ

茨城大学 工学部

メディア通信学科

教授 武田茂樹

Page 2: センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ - JST1 センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ 茨城大学 工学部 メディア通信学科 教授

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• センサー無線端末用小型アンテナの開発

• ( 400MHz帯,900MHz帯,1.2GHz帯,2.45GHz帯,5GHz帯)

2アンテナ型を検討

・400MHz/900MHz・1,2GHz/2.4GHz/5GHz

技術分野

Page 3: センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ - JST1 センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ 茨城大学 工学部 メディア通信学科 教授

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新技術の特徴・従来技術との比較

• 従来技術に対して

-整合回路を不要

-2周波数動作が可能

な構造を提案する。

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• 発明の名称 : 「アンテナ装置」(ヘリカル)

• 出願番号 : 特願2014-039676

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従来技術とその問題点表面実装型誘電体チップアンテナ(*注1)

・高誘電体にワイヤを螺旋状に巻きつけている

・インピーダンス整合のため集中定数素子(L1~L3)を挿入

・アンテナ素子そのものの寸法は小さいが,設置スペースは小さくない.放射効率が低い(約10%)・1周波数動作

(a) 構造

(*注1)http://www.mmc.co.jp/adv/dev/japan/conents/antenna/mhz/am11dg_1.html

(b) 特性

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ノーマルモードヘリカルアンテナ(*注2)・自己共振構造のノーマルモードヘリカルを主要素とし、

低インピーダンスをタップ給電することにより50Ω整合を実現

・タップ部を含めるとサイズは小さくない

・1周波数動作

(*注2)山田吉英,道下尚文 “小形ノーマルモードヘリカルアンテナの設計法と性能” 信学論B vol.J96-B,No9,PP894-906,2013年9月

(a)構造 (b)VSWR特性

従来技術とその問題点

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・ 小形アンテナとして、自己共振作用を利用したヘリカルアンテナが知られている

・ ヘリカルアンテナは自己共振が可能だが、

寸法が小さくなると

入力抵抗が低くなる

・ タップ給電があるが構造が

複雑で大きくなる

1.研究背景

電磁結合給電を用いた2周波共用ヘリカルアンテナを提案

・電磁結合により励振することを特徴としている

・2つの周波数帯で動作することを確認

Page 8: センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ - JST1 センサ無線のための 小型多周波共用アンテナ 茨城大学 工学部 メディア通信学科 教授

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2. 電磁結合給電を用いた2周波共用ヘリカルアンテナ

ヘリカル単体では入力抵抗が小さい

給電点を持たない2つのヘリカルアンテナをループを介して電磁結合により励振することで,インピーダンス特性を改善

ヘリカルとループの距離・ループの半径の調整だけで整合可

18mm

r1 d1 d2

8mm

r3

r2

給電点

各ヘリカルアンテナは400MHz・900MHzにおいて自己共振する寸法

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アンテナ構造の最適化

r2,d1,d2をパラメータとして

400MHz,900MHz帯で共振するように最適化

18mm

r1 d2

8mm

r3

r2

d1

d1 8.9mmd2 8.15mm

r1 9mmr2 5mmr3 4mm

導線半径 : 0.5mm

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周波数特性(400MHz帯)

リターンロス特性

‐6dB幅1MHz程度

-10

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

0.4 0.41 0.42 0.43 0.44 0.45 0.46 0.47 0.48 0.49 0.5

実部

虚部

周波数(GHz)

入力インピーダンス特性

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

0.4 0.41 0.42 0.43 0.44 0.45 0.46 0.47 0.48 0.49 0.5

周波数(GHz)

リターンロス(

dB)

入力

インピーダンス(Ω)

入力抵抗は80Ωまで増大されている

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周波数特性(900MHz帯)

‐6dB幅1MHz程度

-100

0

100

200

300

400

500

0.9 0.91 0.92 0.93 0.94 0.95 0.96 0.97 0.98 0.99 1

実部

虚部

周波数(GHz)

入力インピーダンス特性

リターンロス(

dB)

-25

-20

-15

-10

-5

0

0.9 0.91 0.92 0.93 0.94 0.95 0.96 0.97 0.98 0.99 1入

力インピーダンス(Ω)

周波数(GHz)

リターンロス特性

入力抵抗は200Ωまで増大されている

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金属板近傍での解析

r1 r2

r3

18mm 8mm

60mm50mm

d1 d2

給電点

(a) 全体のモデル

18mm8.9mm 8.1mm 8mm

9mm

4mm

5mm

12mm

(b) 各寸法

金属板近傍での特性変化を解析

・リターンロス・指向性

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リターンロス特性

400MHz帯

共振周波数はずれるが特性としては比較的変化は少ない

周波数(GHz)

リターンロス(

dB)

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

0.4 0.41 0.42 0.43 0.44 0.45 0.46

金属板なし

金属板あり

周波数(GHz)リターンロス(

dB)

900MHz帯

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指向性

金属板の影響による変化は比較的少ない

100-10-20270

300

330

0

30

60

90

120

150

180

210

240

(dBi)

金属板なし

金属板あり

400MHz帯 900MHz帯

100-10-20270

300

330

0

30

60

90

120

150

180

210

240

(dBi)

金属板なし

金属板あり

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• 発明の名称 :「アンテナ装置」(逆F)

• 出願番号 :特願2014-038315

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研究背景

・例として板状逆Fアンテナの板にスリットを切り込むことにより多周波共用にしたものなどが発表されている。

・小型かつ、アンテナ面積がさらに小さくなる基板の2辺に沿って2本の逆Fアンテナを直交配置した2周波共用アンテナを提案する。

図 板状逆Fアンテナ 図 直交組み合わせ逆Fアンテナ図 逆F構造2周波共用アンテナの帯域特性改善アンテナ(寄生素子付加)D.Manteuffel et al. 2011 ICAP pp252-256

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解析モデル

・2.4GHzと5.5GHz、それぞれ

の周波数で動作する逆Fアンテナを2本組み合わせて給電部分を共用した構造。

・VSWR≤3(R.L=6以下)とし、比帯域5%以上とする。

・解析ソフト

EEM-MOM バージョン1.5

?1?2

ab

hh

S2

S1

?1?2ℓ1ℓ2

ab

hh

db

da

給電線

2.4GHzで動作する逆Fアンテナ

5.5GHzで動作する逆Fアンテナ

短絡線短絡線

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2.4GHzで動作する逆Fアンテナ構造

・グランド板は無限グランド板とする。また本研究において、ℓはアンテナ先端から給電線までの

長さ、dは短絡線と給電線の間の長さ、hはアンテナの高さとする。

ℓ 24mm

d 1mm

h 8mm

導線半径 0.2mm

寸法

ℓ d

h

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2.4GHzで動作する逆Fアンテナ単体の特性

-20

-15

-10

-5

0

1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0

リターンロス[dB]

周波数[GHz]

-300

-200

-100

0

100

200

300

1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0

抵抗[Ω

]周波数[GHz]

Rin[ohm] Xin[ohm]

リターンロス 入力インピーダンス

・アンテナは50Ωでインピーダンス整合をとる。

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5.5GHzで動作する逆Fアンテナ構造

・グランド板は無限グランド板とする。

ℓ 6mm

d 1mm

h 8mm

導線半径 0.2mm

寸法ℓ

d

h

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5.5GHzで動作する逆Fアンテナ単体の特性

-20

-15

-10

-5

0

4.5 5.0 5.5 6.0 6.5

リターンロス[db]

周波数[GHz]

-300

-200

-100

0

100

200

300

4.5 5.0 5.5 6.0 6.5

リターンロス[dB]

周波数[GHz]

Rin[ohm] Xin[ohm]

リターンロス 入力インピーダンス

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直交組み合わせ逆Fアンテナ構造

・グランド板は無限グランド板とする。

ℓ1 24mm

ℓ2 6mm

da,db 1mm

h 8mm

導線半径 0.2mm

寸法

?1?2

ab

hh

S2

S1

?1?2ℓ1ℓ2

ab

hh

db

da

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リターンロス,入力インピーダンス

・2.4GHzと5.5GHzそれぞれの単体の逆Fアンテナを直交になるように重ねただけでは、2周波で動作はしているがリターンロスが不十分であることがわかる。

-20

-18

-16

-14

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

1.6 2.5 3.4 4.3 5.2 6.1 7.0

リターンロス[dB]

周波数[GHz]

R.L.[dB]

リターンロス 入力インピーダンス

-300

-200

-100

0

100

200

300

1.6 2.5 3.4 4.3 5.2 6.1 7.0

抵抗[ohm]

周波数[GHz]

Rin[ohm] Xin[ohm]

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給電線を板状にした場合

ℓ1=24mm ℓ2=9mm da=db=1mm fh=7mm

ℓ2ℓ1

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板状給電線の幅の影響[リターンロス]

板状給電線の幅(fa、fb)を広くすると、リターンロスは小さくなりかつ、帯域幅は広くなる。

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

1.6 2.5 3.4 4.3 5.2 6.1 7

リターンロス[dB]

周波数[GHz]

0mm 4mm 6mm

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実用化に向けた課題

• 更なる広帯域、多周波数動作(400MHz帯,900MHz帯,1.2GHz帯,2.45GHz帯,5GHz帯)、小型化は求められる。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :「アンテナ装置」(逆F)

「アンテナ装置」(ヘリカル)

• 出願番号 :特願2014-038315特願2014-039676

• 出願人 :茨城大学

• 発明者 :武田茂樹、梅比良正弘、

鹿子嶋憲一

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お問い合わせ先

茨城大学 社会連携センター

知的財産部門

E-mail:[email protected]

TEL:0294-38-7281

FAX:0294-38-5240