心臓核医学検査の評価について -...
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心臓核医学検査の評価について
• 心臓核医学検査(核医学全般)において、核医学特有の特徴を認識するのは非常に重要
• 核医学の現状と、指標を知ることは画像のよしあしを判断する基本核医学の現状と、指標を知ることは画像のよしあしを判断する基本となります。
• 本日はこれらの内容についてご紹介いたします。
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本日の内容本日の内容
◆核医学画像の現状◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆核医学画像の現状◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆特性に影響する収集条件◆収集条件を決める上でのチェックポイント◆収集条件を決める上でのチェックポイント
(核医学技術 28:13, 2008)
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核医学画像の種類
収集方法 主な特徴
Static• 静態画像を得る• 多くの情報を得るために目的臓器を多方向から収集
Dynamic• 一定時間ごとに一連の画像を得る• 放射性薬剤の体内動態から目的臓器の機能を評価• 視覚評価の他、カーブ処理などの動態解析を行う視覚評価の他、カ ブ処理などの動態解析を行う
Wholebody• 検出器または寝台が一定のスピードで移動しながら全身の画像を得る
移動とStatic収集を交互に繰り返すシステムもあるWholebody
• 移動とStatic収集を交互に繰り返すシステムもある
G t• 心電図と同期させながら心周期の各位相の画像を得る
Gate心電図と同期させながら心周期の各位相の画像を得る
• 心駆出率、壁運動、左右短絡率等の心機能指標を求めるのが目的
的臓 度ま 度方向 収集し 像 構成 断 像SPECT
• 目的臓器を360度または180度方向から収集し、画像再構成で断層像を得る
• DynamicやGateと組み合わせて収集する方法も行われている
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核医学画像の現状核医 現状
現状での課題
◆イメージング機器での定量解析
現状での課題
Anger型ガンマカメラは画像を構成するための装置であり、 測定データを定量的に評価する際には多くの問題が発生する。
・count ≒ MBq・count ≒ MBq・数え落し・減弱散乱・散乱
・分解能(コリメータ開口によるボケ)・統計誤差など
◆画像・解析結果の施設間差
核医学装置は収集・処理条件が比較的解放されているため、自由度が高く、各施設の工夫が入れやすいが、、、
診断価値向上 夫 確立 障害診断価値向上の工夫 ⇔ EBM確立の障害
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核医学の特徴核医学の特徴
核医学画像の画質に影響を及ぼす主な要因
処理収集
核医学画像の画質に影響を及ぼす主な要因
検査に用いる製剤の種類
薬剤投与後、撮像開始のタイミング
ガンマカメラの検出器の数
再構成法(FBP、MLEM(OSEM))
散乱補正法の利用(TEW、DEW)
処理フィルタの選択エネルギーウィンドウの設定
コリメータの種類
ピクセルサイズ、拡大率の選択
SPECTにおける回転半径
パラメータの設定(order、cutoff)
減弱補正法の利用(Chang)
輪郭抽出でのthreshold(%)値の選択SPECTにおける回転半径
SPECTにおけるデータ収集角度
SPECTにおける1view当たりの収集時間
散乱補正の実施の有無
線減弱係数の設定
:
表示表示階調
カラーコード
散乱補正の実施の有無
減弱補正の実施の有無
:
表示
カラ コ ド
拡大率
表示レイアウト
カットレベル
:
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本日の内容本日の内容
◆核医学画像の現状◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆特性に影響する収集条件◆収集条件を決める上でのチェックポイント◆収集条件を決める上でのチェックポイント
(核医学技術 28:13, 2008)
参考:ガンマカメラの性能の保守点検基準
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核医学画像の特性と指標(評価)値核医 性 指標( 価)
◆分解能の指標 -FWHM-
FWHMは2つの点線源を近づけて識別できる最短距離にあたる
カウント
◆分解能の指標 FWHM
て識別できる最短距離にあたるFull Width atHalf Maximum
FWHMより近づいた場合
Half Maximum(半値幅)
Full Width atT th M i
FWHM以上離れ50%
Tenth Maximum
(1/10幅)
ている場合
ピクセル
10%
ピクセル
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核医学画像の特性と指標(評価)値
◆部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect)
核医 性 指標( 価)
◆部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect)
0
100
60
www.nuc.berkeley.edu
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核医学画像の特性と指標(評価)値核医 性 指標( 価)
◆部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect)◆部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect)
x 方向 y 方向
x2FWHM
x
yy
昭和大学藤が丘病院
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核医学画像の特性と指標(評価)値核医 性 指標( 価)
◆部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect)◆部分容積効果 : PVE(Partial Volume Effect)
0100
マスク画像 ボケ画像
2FWHM2FWHM
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収集カウントと統計誤差の関係
統計誤差(%)=√N / N×100
50
60心筋SPECT
LAO45度の画像
40
50 目標
30
10
20
0
10
0 50 100 150 200
収集カウント(N) = counts/pixel
0 50 100 150 200
収集カウント(N) = counts/pixel
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核医学画像の特性と指標(評価)値核医 性 指標( 価)
◆統計ノイズ
1ピクセルあたりのカウント中に含まれる統計ノイズの
◆統計ノイズ
中に含まれる統計ノイズの比率
連続収集 100(%)n
比画像
( )n
n=10→ 31.6n=30→ 18.3
n=100→ 10.0n=300→ 5.8
n=50→ 14.1n=70→ 12.0n=90→ 10 5
n=500→ 4.5n=700→ 3.8n=900→ 3 3n=90→ 10.5 n=900→ 3.3
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SPECT再構成画像のS/N
◆SPECT再構成画像のS/N
構成 /
成 /
Μ12 M:全収集カウント
32 D/Aπ
D:視野サイズ
A:ピクセルサイズ
但し、SPECT再構成画像のS/Nは画像再構成法、スムージングフィル
A:ピクセルサイズ
ター、補間処理等の条件で変化する。この式から言えることは、
•全収集カウントが同じであれば 再構成画像のS/Nは同じ全収集カウントが同じであれば、再構成画像のS/Nは同じ。
一方向当たりのカウント(統計ノイズ)に依存しない。
但し 実験的 経験的には100counts/pixelで安定する但し、実験的、経験的には100counts/pixelで安定する。
•ピクセルサイズを半分(マトリクスサイズを2倍)にした場合、同じS/N
を確保するためには8倍のカウントが必要 →ボクセルを確保するためには8倍のカウントが必要。→ボクセル
Physics in Nuclear Medicine 3rd edition
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核医学画像の特性と指標(評価)値
◆コントラストと散乱線
核医 性 指標( 価)
◆コントラストと散乱線
100 200
C = (T-B)/B
or = (T-B)/(0 5*(T+B))
150 250
or = (T B)/(0.5*(T+B))
or = (T-B)/(T+B)
∴ T:対象、B:周辺
(150-100)/100
(250-200)/200=0 25
=0.50
=0.25
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本日の内容本日の内容
◆核医学画像の現状◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆特性に影響する収集条件◆収集条件を決める上でのチェックポイント◆収集条件を決める上でのチェックポイント
(核医学技術 28:13, 2008)
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核医学画像の画質に影響を及ぼす主な要因
処理収集検査に用いる製剤の種類
薬剤投与後、撮像開始のタイミング
ガンマカメラの検出器の数
再構成法(FBP、MLEM(OSEM))
散乱補正法の利用(TEW、DEW)
処理フィルタの選択ガンマカメラの検出器の数
エネルギーウィンドウの設定
コリメータの種類
ピクセルサイズ、拡大率の選択
処理フィルタの選択
パラメータの設定(order、cutoff)
減弱補正法の利用(Chang)
輪郭抽出でのthreshold(%)値の選択SPECTにおける回転半径
SPECTにおけるデータ収集角度
SPECTにおける1view当たりの収集時間
輪郭抽出でのthreshold(%)値の選択
線減弱係数の設定
:
散乱補正の実施の有無
減弱補正の実施の有無
:
表示表示階調
カラーコード
表示
カラ コ ド
拡大率
表示レイアウト
カットレベル
空間分解能 情報量(S/N)
:
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空間分解能
◆空間分解能の決定因子
間分解
◆空間分解能の決定因子①検出器:Intrinsic resolution (Ri) →固有分解能(3-4mm)②コリメータ:Collimator resolution (Rc)② リ タ ( )③ピクセルサイズ:Pixel resolution (Rp) →デジタル化分解能
(被写体内散乱、体動、、、)
システム分解能:System resolution (Rs) RRR
総合分解能:Total resolution (Rt)
cis RRR総合分解能:Total resolution (Rt)
pcipst RRRRRR分解能は距離によって変る!
分解能はピクセルサイズによっても変る!分解能はピクセルサイズによっても変る!
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コリメータ
◆コリメータとの距離
コリメータの半影により、被写体から検出器までの距離が離れるほど目的方向以外からのガンマ線が混入しやすくなり、ボケることになる
◆コリメ タとの距離
的方向以外からのガンマ線が混入しやすくなり、ボケることになる
Scintillator
Collimator
Scintillator
半影 小
半影 大大
半影 小
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コリメータ
◆コリメータ分解能:Collimator resolution (Rc)◆コリメ タ分解能:Collimator resolution (Rc)L = 4.0 (cm)
50
60
(m
m)
◆ LEHS : d=3.4 mm■ LEGP : d=2.5 mm
30
40
resolu
tion
▲ LEHR : d=1.8 mm
10
20
ollim
ato
r r
L2DL dRc
0
0 5 10 15 20 25 30
Distance between object and collimator (cm)
Co
L Distance between object and collimator (cm)
www.nuc.berkeley.edu
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ピクセルサイズ
◆ピクセルサイズの定義式
一般的な定義式:
◆ピクセルサイズの定義式
ピクセルサイズ = 基準視野 / マトリクスサイズ / 拡大率
基準視野(DFOV)基準視野(DFOV)
ここでは、ピクセルサイズの計算で使用する最大径の視野を基準視野としている。通常、基準視
DFOV
径 視野 基準視野 し 。通常、基準視野は検出器の長径にあわせて正方形に設定される。 UFOV
有効視野(UFOV)
通常、検出器の周辺部は精度が保障できないため グす 有効視野 ク後 視野めマスキングする。有効視野はマスク後の視野であり、検出器の形状にあわせて設定される。
CFOV
日核技 標準化WG討論会 参考資料より
従って、基準視野 > 有効視野の長径
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ピクセルサイズ
◆基準視野と有効視野
メーカー ガンマカメラ 基準視野 (mm) 有効視野 (mm)GCA-9300A 409.6 380 x 210
◆基準視野と有効視野
GCA-7200A 550.4 550 x 400E.CAM 614.4 533 x 387ORBITAR 387φ(円形)
東芝
614 4ORBITAR 387φ(円形)DIACAM,MultiSPECT2,ECAM 533 x 387MultiSPECT3 455.68 410 x 310Prism3000/XP 456 0 400 x 240
614.4Siemens
Prism3000/XP 456.0 400 x 240Prism1000,2000/XP 510 x 380IRIX,AXIS 533 x 393M 552 96 508 368
島津598.0
Maxxus 552.96 508 x 368Millenium MG 578.56 510 x 360Millenium VG 512 x 登録値 ※ 540 x 400
GE
ADAC (VERTEX,FORTE) 606.208日立(2500IV) 583.68
※ 登録値 < 1.105 (システムごとに多少違っている)
日立 510 x 380
※ 登録値 < 1.105 (システムごとに多少違っている)
日核技 標準化WG討論会 参考資料より
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角度サンプリング
◆SPECTにおける角度サンプリング(投影方向数:Np)
角度
角度サンプリング(投影方向数:Np)は情報が最も粗くなる回転軌道の円周長を(ピクセルサイズと同様の考え方で)
◆SPECTにおける角度サンプリング(投影方向数:Np)
回転軌道の円周長を(ピクセルサイズと同様の考え方で)総合分解能FWHMの1/2で除した数よりも多くする。回転軌道の半径を r 直径を D とすると回転軌道の半径を r、直径を D、とすると、
D/(FWHM/2)r/(FWHM/2)2Np ππ尚、通常、目的臓器は視野全体には広がっていないので、
D/(FWHM/2)r/(FWHM/2)2 Np ππ尚、通常、目的臓器は視野全体には広がっていないので、全投影方向において目的臓器が含まれるような仮の回転半径(直径)を想定し、計算する。→被写体の半径(直径)径(直径)を想定し、計算する。 被写体の半径(直径)
Brian Hutton:JNM 1915, 1996
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本日の内容本日の内容
◆核医学画像の現状◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆核医学画像の特性と指標(評価)値◆特性に影響する収集条件◆心筋SPECT収集における注意点◆心筋SPECT収集における注意点
(核医学技術 28:13, 2008)
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心筋SPECT収集における注意点
◆FBP法における180度収集でのアーチファクトの増強
FBP収集デ タ
◆FBP法における180度収集でのア チファクトの増強
360度180度FBP収集データ
CoronalTransaxial CoronalTransaxial
昭和大学藤が丘
a sa a
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心筋SPECT収集における注意点
◆180度円軌道負荷201Tl:臨床例(LCx狭窄)
◆180度円軌道
収集データ加算
(アップワードクリー
Polar Map
・10~11時方向(アップワードクリープやトランケーション、体動の評価用)
現象なし
・10~11時方向のスジ状の低カウント
・現象なし
Short Axis(短軸)
・画像歪み収集データをシネ表示することで ・10~11時方向
のスジ状の低カウント
表示することで確認しやすい
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心筋SPECT収集における注意点
Det#1 Det#2◆負荷201Tlでのアーチファクト Det#1 Det#2◆負荷 Tlでのア チファクト(Dual Head、90度収集)
Stress
Short Axis Horizontal Long Axis
方向ごとの心筋カウント
D l d
Stress
5minDet#1 Det#2
Delayed13min
Rest □ Stress 5min
〇 Stress 20min
▲ R t▲ Rest
Oleg Blagosklonov:JNM 2002
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心筋SPECT収集における注意点
360度収集 円軌道円軌道vs非円軌道円軌道vs非円軌道
非円軌道は円軌道に比
360度収集 非円軌道
非 軌道 軌道べコリメータと被験者との距離が近づくため分解能360度収集 非円軌道 距離が近づくため分解能がよくなる
360度vs180度
180度収集(76度狭角) 非円軌道 180度収集ではコントラス
トは向上するが心筋の均トは向上するが心筋の均一性は低下する