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あと施工アンカーの健全度診断技術に関する研究
建築材料研究室 1410920045 中田雄介
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はじめに
•近年、経過年数による社会インフラの劣化や損傷の補修や維持管理が課題となっており、高度化、簡易化の必要性がある。
•本研究は、あと施工アンカーの健全度診断技術の一つである、打音検査の高度化、簡易化を図った健全度診断技術を構築することを目的としている。
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携帯基地局アンテナ支持柱におけるあと施工アンカーの健全度検査法
M16 ケミカルアンカー
高感度耐衝撃性加速度センサー(NP-3130)
周波数範囲:5 Hz~4 kHz
最大使用加速度:220 m/s2(22000 gal)
耐衝撃性:100,000 m/s2
インパルスハンマ(GK-3100)
測定範囲:2200N
衝撃加振力
穿孔長 d(図面で確認)
(不明の場合,別途調査)
計測機
電源(100V)
M16ボルト
M16高ナット
M5イモネジ ダブルナット
アンカーボルトの全長 L
図1 あと施工アンカー打診検査方法
計測日 2017年7月17日
• インパルスハンマーの衝撃による荷重波長と、その波長が、先端部から末端部を折り返し、また先端部へと戻ってくる加速度波長を計測する。
• 使用されている8カ所すべてを計測し、1カ所につき10回の衝撃を与え、それぞれのデータをとる。
• フーリエ変換により、平均値を抽出する。
写真1 検査の様子
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測定箇所
写真2 C棟外観 写真3 携帯基地局アンテナ
図2 アンテナ寸法、測定箇所、配置
5 67 8
1 23 4
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測定箇所詳細
写真4 壁面設置部 写真5 あと施工アンカーボルト
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計測結果・考察
図4 ボルト1計測結果 図5 ボルト5計測結果
振動数に着目すると、ボルト1とボルト5では最大で0.82kHzの差がみられた。これは、上部の固定箇所より下部の固定箇所の方がアンテナの自重が掛かるためであると考えられる。
2.14 kHz
5.20 kHz
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
0 2 4 6 8 10
フーリエスペクトル(m
/s2 ・msec)
振動数(kHz)
2.12 kHz
4.38 kHz
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
0 2 4 6 8 10
フーリエスペクトル(m
/s2 ・msec)
振動数(kHz)
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
0 2 4 6 8 10
フーリエスペクトル(m
/s2 ・msec)
振動数(kHz)
1
2
3
4
5
6
7
8
図3 ボルト計測結果まとめ
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接着系あと施工アンカーの非破壊試験
• 健全な試験体と損傷を模擬した試験体を使用する。• 設計基準強度、不純物量による比較をする。• 不純物量により、損傷の度合いを変化させるものとする。
図6 試験体概要
写真6 設計基準強度18Nシリーズ 写真7 設計基準強度24Nシリーズ 写真8 設計基準強度30Nシリーズ
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使用部材
写真9 M16ボルト 写真10 カプセル型接着剤ケミカルセッター 写真11 シリコーンシーラント
• 実際の施工でよく使用される部材を使用するので、ボルトの種類をM16とする。また穿孔長さを130mmとする。
• 接着剤にはカプセル型接着剤ケミカルセッター(40g)を使用する。
• 不純物としてシリコーンシーラントを注入使用する。これにより施工不良を模擬する。また損傷の度合いによっても比較を行うので、不純物量が0g,2g,4g,6gの4種類の試験体で実験を行う。
• 試験体数は45体である。主に設計基準強度で種類を分別しており、3種類、各15体ずつある。また15体それぞれ不純物量が違い、不純物量の内訳が0gが6体、2g,4g,6gが3体ずつとなっている。
• 表記方法は○-○-○Rとし、前から順に設計基準強度、不純物量、試験体数とする。 (例)18-2-3R,24-0-6など
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計測結果
図7 18-0-Rまとめ 図8 18-0-Rまとめ
全体に着目すると、不純物量が増加するにつれてフーリエスペクトルや振動数の数値が減少していく様子がグラフから読み取ることができる。これは推測通りの結果となった。特に不純物量が0gの試験体に対して6gの試験体はフーリエスペクトルが500 m/s2・msec程の差異も見受けられる。これらはやはり不純物による施工不良が原因として考えられる。
また振動数に着目すると、数体に多少のバラつきも見られた。これは衝撃が逸れたり強く振動を与えすぎたりといった加振方法が一定でないことにより、数値が乱れたと考えられる。またコンクリート内のわずかな空洞や塵などの影響も原因と考えられる。さらに振動数、フーリエスペクトル共にあまり差異はないものもあった。これも前述のような理由が考えられる。
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まとめ
• 今回の衝撃加振実験は、今までの技術者の経験による検査に頼っていた維持・保全の部分において、検査結果をデータ化し、定量的かつ視覚的に判断できる様な手段に成りうるのではないかと考える。
• 今回の試験により、不純物の量による施工不良によって振動数にどれだけ違いがあるかを表し、健全度の判断方法の検討ができた。
• 数値の相違だが、衝撃が逸れたり強く振動を与えすぎたりといった加振方法が一定でないことにより、数値が乱れたと考えられる。またコンクリート内のわずかな空洞や塵などの影響も原因と考えられる。これらの要因は今後、どのように解決していくか、また現場で容易に行えるような維持・保全の手法の検討が必要であると考える。