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1 『森林サービス産業』キックオフ・フォーラム 概要報告・ディスカッション① 『教育・健康・観光分野との連携・協働で拓く“森林サービス産業”』 ~学習指導要領等改訂、CSV・健康経営促進、インバウンド需要拡大を契機に~ ●大本 晋也氏((独)国立青少年教育振興機構 理事(教育事業担当)) 普段は教育関係者の前で話すことが多い。もともと高校教員を 18 年間、その後教育行政に 18 年間携わってきた。常日頃思っているのは、最近の子供や若者は、よく「これでいい?正解?」 と聞いてくる。学校も子供たちも「正解主義」に囚われていることが多い。それに加えて、成功 するのが当たり前という「成功主義」。体験活動も時間とお金をかけているので、成果を求められ る「成果主義」。この3つが子供たちの学びの豊かさを奪っているように思う。 昔はいい学校に入っていい会社に入るのが当たり前の目標だったが、今の子供たちはグローバ ル社会の中で選択肢が多く、何を目標にしたらいいのかわからない。自分をどう育て、社会と関 わっていくか、そういった力を身につけることが一番のポイントだと思う。 落ち葉の上にいる子供の写真だが、小学生の子供たちは、虫がいたり何がいるかわからないの で、寝転がるのを嫌がる。小さいときに豊かな原体験を持っていたら、大人になってもこういう ことが自然にできるようになる。体験学習の豊かさを訴えるには、先生方に実感してもらうこと が大切なため、教員免許状更新講習で伝えている。国立の施設は 28 か所ある。山、海、自然の豊 かな場所にある。妙高では、山の中で五感をフルに使って楽しんでいる。 北海道大雪の大雪森のあそび場プログラムでは、親御さんたちが、森の遊具を自分たちでつく っている。子供たちだけで体験するのではなく、親と子が一緒に体験することで、子供たちは安 心する。森のようちえんが昨今流行っているが、幼稚園の先生も子供たちと一緒に体験を共有す ることで安心して遊ぶことができる。森だけでなく、室内で親御さんたちが段ボールをつかった

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Page 1: 『森林サービス産業』キックオフ・フォーラム1 『森林サービス産業』キックオフ・フォーラム 概要報告・ディスカッション① 『教育・健康・観光分野との連携・協働で拓く“森林サービス産業”』

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『森林サービス産業』キックオフ・フォーラム

概要報告・ディスカッション①

『教育・健康・観光分野との連携・協働で拓く“森林サービス産業”』

~学習指導要領等改訂、CSV・健康経営促進、インバウンド需要拡大を契機に~

●大本 晋也氏((独)国立青少年教育振興機構 理事(教育事業担当))

普段は教育関係者の前で話すことが多い。もともと高校教員を 18 年間、その後教育行政に 18

年間携わってきた。常日頃思っているのは、最近の子供や若者は、よく「これでいい?正解?」

と聞いてくる。学校も子供たちも「正解主義」に囚われていることが多い。それに加えて、成功

するのが当たり前という「成功主義」。体験活動も時間とお金をかけているので、成果を求められ

る「成果主義」。この3つが子供たちの学びの豊かさを奪っているように思う。

昔はいい学校に入っていい会社に入るのが当たり前の目標だったが、今の子供たちはグローバ

ル社会の中で選択肢が多く、何を目標にしたらいいのかわからない。自分をどう育て、社会と関

わっていくか、そういった力を身につけることが一番のポイントだと思う。

落ち葉の上にいる子供の写真だが、小学生の子供たちは、虫がいたり何がいるかわからないの

で、寝転がるのを嫌がる。小さいときに豊かな原体験を持っていたら、大人になってもこういう

ことが自然にできるようになる。体験学習の豊かさを訴えるには、先生方に実感してもらうこと

が大切なため、教員免許状更新講習で伝えている。国立の施設は 28 か所ある。山、海、自然の豊

かな場所にある。妙高では、山の中で五感をフルに使って楽しんでいる。

北海道大雪の大雪森のあそび場プログラムでは、親御さんたちが、森の遊具を自分たちでつく

っている。子供たちだけで体験するのではなく、親と子が一緒に体験することで、子供たちは安

心する。森のようちえんが昨今流行っているが、幼稚園の先生も子供たちと一緒に体験を共有す

ることで安心して遊ぶことができる。森だけでなく、室内で親御さんたちが段ボールをつかった

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遊具をつくると子供たちは喜んで遊ぶ。要は親や先生との関わりをもとめているのだと思う。

●木下 仁氏(林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長)

森林は今までのレクリエーションの場だけではなく、新しい場としても注目されている。教育

分野では、平成 30 年度から「キッズウィーク」が始まっている。これは、夏休みの一部を分散さ

せて、多様な活動機会を増やす目的のもので、子供の学習活動の場として森林が注目されている。

また、子供の生きる力を育む、交流の機会を創出するものとして、「子ども農山漁村交流プロジ

ェクト」がある。農林水産省だけでなく、文部科学省や総務省、内閣府とともに進めている取組

である。2024 年には小学生 65 万人、中学生 75 万人、高校生 30 万人が農山村漁村で体験すると

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いう具体的な数値目標が決められており、各省庁がそれに向けて様々な取組が行われている状況

である。

新たな学習指導要領では、主体的に課題を見つけ解決する過程を重視するということで、アク

ティブラーニングの考え方が位置づけられている。また、総合的な学習の時間の中で、学校外で

の学習についても位置付けられている。学校や家庭ではできない体験ということで、多摩市では、

長野県に多摩市少年自然の家を設け、遊々の森での体験を行っている。

体験学習の場でも森林は重要とされており、様々な場面で自分たちで考え行動するアクティブ

ラーニングが推奨されている。国民参加の森づくりも、こういった流れの中で実施されている。

様々な地域でいろいろな事業が行われているが、今後森林環境税の使途として、都市と山村の交

流の中でこういった取り組みが活発化されていくことも多くなるだろう。

幼児期については、森のようちえんでも注目されている。鳥取県では森のようちえんについて、

県独自の認証制度を行っている。平成 30 年には、森と自然の育ちと学び自治体ネットワークが設

立され、自治体間でも連携が進んでいる。

●安藤 伸樹氏(全国健康保険協会理事長)

7 千万人が協会けんぽと健康保険組合連合会の健康保険に加入している。年々高くなる高齢者

の医療費を、少ない現役世代が支えている。2060 年には、人口の 47%の現役世代が、40%を占

める 75 歳以上の人たちを支える。75 歳以上の後期高齢者の医療費はさらに増加しており、健康

保険料をさらに払っていかなければならない状況にある。

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協会けんぽの支出のうち、55%は医療費だが、高齢者医療費の負担は 36%にもなっている。

現金給付を 5 千億円払っているが、これは、長期間会社を休む際、給料の 80%を健康保険から

出しているお金である。その 28%の方が、精神的なことで休まれている人たち。これを何とかす

るために、森林空間の活用に注目している。癒しの効果を求め、森の中で時間を過ごすことでス

トレス解消になることが期待されている。

●森岡 昭宏氏(健康保険組合連合会 総務理事)

3 千万人の保険料を預かっている。大手企業のほかに、長野県の中小企業の業界単位で作って

いるところもある。最近はメンタル面での給付が多い。例えば、感染症から生活習慣病に移って

いる中、どうやって予防していくか。そうした中で、ICT と森林サービス産業についての取り組み

を注目している。

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●木下 仁氏(林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長)

メンタルヘルスが重要な対策だというお話があった。働き方改革実行計画の中で、「森林空間に

おける保養活動」も位置付けられている。森林での活動を行うことにより具体的にどういった効

果があるか明示していくことが重要。一例を紹介すると、長野県にある社有林を使って社員研修

を実施している企業では、離職率が低下している。

山形県上山市のクアオルトを取り入れた取組みでは、市と協定を結び社員が健康指導も行うプ

ログラムを実施する企業も出てきている。

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また、テレワークによって働き方改革を行い、森林を総合的に使っている事例もある。

●高井 晴彦氏((一社)日本旅行業協会 国内・訪日旅行推進部長)

約 2,000 の事業者による業界団体。2017 年の旅行消費額は 26.7 兆円で前年比 103%。インバ

ウンドも増えており、日本において観光の産業 4 番目の輸出産業になっている。2018 年度には、

3,000 万人を達成。地方創生の施策の中でも、インバウンド対策が盛り込まれた結果でもある。今

後ますます増えていくことが予想される。

では、なぜインバウンドが重要なのか。定住人口が 1 人減少する分の消費額は、外国人旅行者

8 人分で補うことができる。リピーターの旅行者も増えている。地域に関心があり、地域経済への

貢献度もある。平日、オフ期に地域に経済をもたらすマーケットでもある。

国内旅行者も含め、今のトレンドとして「モノからコト消費へ」。アメリカやフランスなどの外

国人旅行客がコト消費にかける割合は 10%台となっている一方、日本はわずか 3%。コンテンツ

などを充実させていけば、今後伸びていくと思われる。アンケートによると、自然環境に関心の

ある人たちは多い。特に若い女性が森林に関わるアクティビティに関心を持っている。しかし、

それに対応する環境や情報、商品が圧倒的に足りていない。

環境省と国立公園、文化庁と日本遺産、オリパラなどでも、それぞれ旅行業界と連携している。

復興支援としては、みちのくロングトレイルにて、歩きながら清掃など行っている。地域の皆さ

んとも話し合い、商品開発などにつなげている。そのほか、埼玉の長瀞では里山保全活動も行っ

ている。森林利用のテーマツーリズムも各種展開されている。

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●木下 仁氏(林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長)

都市部だけでなく、農山村にいかにお客さんを呼び込むかということで、農泊など、地域の魅

力あるコンテンツとプロモーションが必要になっている。また、農業だけでなく、森林を観光資

源として活用した体験プログラムなど、地域の特色で磨き上げることも必要となっている。

平成 29 年度に国有林において、日本美しの森として、93 か所選定した。また、新たな森林空

間を利用したアクティビティも多様化している。都市にあるものを森林にもっていくことで、新

たなコンテンツになっている。ニーズも掘り起こしながら、いろいろな人たちを巻き込んでいく

ことも大切である。

論点①「各分野の視点からの森林・農山村の価値」

大本:森林空間は子供たちにとっては非日常。五感で感じるものをどう広げるか。大人の論理で

はなく、子供たちが感じること、感性を磨くことが大切。

安藤:森林にいるときの効果は素晴らしい。様々なプログラム、メニューの幅が広いほど参加し

やすくなる。健康になるための環境づくりができるといい。

鍋山:自然と接することで、多様な微生物を吸い込むことで腸内細胞が活性化する。その結果、

免疫が上がって元気になる。

森岡:子供の存在は大きい。被用者保険においては、家族に対してどうアプローチしていけるか

が重要。

高井:日本の森林の特徴としては、それを培ってきた生活や文化がある。海外の国立公園などで

はなかなかない。複合的に価値づけすることが重要。里山から高山、北海道から沖縄まで

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多種多様。隠れたポテンシャルがあると思う。

木下:多面的な機能、価値を持っているが、実際にどう引き出すかが問題。森林資源が充実した

状況であるが、まだまだ引き出せていない点もある。森林環境教育など今までやられてい

るが、なかなかメジャーになってきていない。健康やメンタルヘルスについては、森林と

結びついていなかったため、どうつなげていくかが大切。観光分野でも木の文化、山村の

文化など森林は多様な価値を持っており、観光のコンテンツとしても極めて有効なもので

ある。

論点②「新たな取り組みの可能性とそのポイント」

大本:酪農体験をした子供が、「子牛が牛乳を飲んでいる!」と言ったように、牛乳は工場で作ら

れていると思っている。産業と教育を切り離して考えるのではなく、産業の背景やどうい

う成り立ちがあるのか、そのプロセスを子供たち自身が考えることが必要。これは、産業

振興の面でも必要。先生だけでは限界があるため、産業を担っている人が直接熱い思いを

語ってもらうと、教科書や学校だけでは学べないことが学べてよいと思う。

鍋山:子供が自分で気づいて自分で考えるようにしていく教育が大切だ。

安藤:現在の医療保険を改善するために何が必要か。医療保険者の方から加入者に働きかけるこ

とが必要。その取組として「森林ウォーク」、そして標準的な検診プログラムの中に「スマ

ート・ライフ・ステイプログラム」を厚生省が平成 30 年度にガイドラインとして入れた。

そのプログラムを行うことで、検診を受けてもらいやすくしたり、加入者のモチベーショ

ンをあげてもらう。協会けんぽでは、パイロットプログラムとして愛知県や静岡県などで

行っている。今後さらに参加者の意見も聞きながら、より多くの方に参加してもらいたい。

森岡:健保組合は、保養所を多く持っていたが手放しているところが多い。観光の面で保養所を

使うニーズも減っていて、健康づくりをコラボさせた展開もいいと思う。健保組合の担当

者は、各企業の人事厚生担当者と非常に近いため、森林サービスをどう啓発するか、刷り

込んでいくか、という展開も模索していきたい。

鍋山:日本の産業を支えている中小企業が元気になることが大切だ。

高井:観光としての方向性として2つ。まず、インバウンドの人たちは、自然共生の文化や生活

の知恵や営みにとても関心があるので、それをいかに掘り起こして PR していくかが重要。

今、観光人気スポットベスト 10 を見ると、10 番目に高野山の宿坊に泊まって座禅体験を

する、というのが入っている。日本でしか体験できない高い精神性に、特に欧米系のイン

バウンドの方々は関心を持っている。国内旅行では、若い女性のことを取り上げたが、快

適な空間でないといけない。グランピングなどでも快適な空間とオシャレさ。その空間に

自分が身を置くことで輝けるようなものでないと、関心を持ってもらうことは難しい。地

域の中でそのようなキーワードをもとに考えてもらえるとよいと思う。

鍋山:インバウンド客は、お寺や神社の宿泊施設である宿坊を体験したり、精進料理を味わうた

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めに、高い値段を出してもよいという人も多い。とくに、「快適さ」は重要なキーワードで

ある。

木下:森林の価値を高めるためには、まず気づきがないと効果が得られない。ニーズを踏まえた

プログラム、それを気づかせるためのプログラム、ステージに応じたプログラム開発が必

要。どういった組み合わせによって、具体的な効果が表れるかも考えていく必要がある。

鍋山:情報発信は大切。インスタ映えは、#(ハッシュタグ)の後にどんなキーワードを入れる

かによる。英語で入れるとインバウンドの方にも届く。最先端の技術をうまく活用しなけ

ればいけないということだと思う。

論点③「分野を超えて取り組むことで相乗効果を発揮できそうな取組」

大本:4 月に新任職員の研修が宿泊施設であるが、若い人たちの中には、快適である=個々であ

る、という人たちもいる。ユーザー別にいろいろなコンテンツをくみ上げていくことが大

切だと思う。

安藤:これからは医療費をいかに削減するのか。教育関係とのコラボレーションであれば、宿泊

施設にお子さんが行かれた時に、我々が健康に関する授業をさせてもらう、というのも面

白いと思う。健康であるための食、運動など、子どもから大人になってからも学んでいく

ことを一緒にやっていければと思う。

森岡:中国地方のある企業さんでは、栄養指導の宿泊型の研修を行った。今は少なくなった社内

旅行が 20 年ぶりということで、コミュニケーションツールとしてもよかったようだ。健康

づくりには、観光の要素も入れるなど、組合員の中にも様々な業種の会社があるため、コ

ラボレーションして楽しみながら健康になっていただくのがいいのかと思う。

高井:森林での体験として、スポーツ、音楽、アートなど多様になってくると思う。地域全体を

マネージメントし、マーケティングする体制づくりが大切。地域の林業関係者、行政、民

間事業者、住民がそれぞれ地域のことを理解し、愛着をもってアピールすることが課題で

あり、ポイントだと思う。

木下:協会けんぽさんから、健康指導などを行う基地を各都道府県につくりたい、というお話が

以前あった。森林はたくさんあるが、地域がどう受け入れていけるか、体制づくりが必要。

分野を超えた様々な関係者が一緒になって、継続的に受け入れていける仕組みがないとま

わっていかない。誰が体制整備をするのか、専門分野の人材をどう育て、形にしていくか。

細かなプログラム開発、プロモーション、関心のある人だけでなく、教育や健康の場とし

て、システマティックに来てもらうようなものも考えられる。

鍋山:報告書の中で5つの施策を提言している。まず1つは農林水産省、林野庁を中心に、全国

レベルとして、東京の主要官庁を中心に推進体制を整えていく、2 番目に産官学も含めて

森林空間に関わっていくためのプラットフォームとマッチングシステムを構築、3 番目に

地域での体制づくり、4 番目にプロも含めたコーディネーターなどの人材づくり、5 番目が

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プロモーション。Forest Style を含め、いかにプロモーションしていくのか。

大本:体験をすることが目的になりがち、体験の振り返りが大切。

安藤:医療保険者が行う保険事業の目的は、加入者の健康を守ること。どの保険者がやってもい

いこと。保険者が協力していきたい。

森岡:Forest Style という名前を浸透してもらいたい。家庭の中の主導権はやはり女性。女性に向

けた視点を大事にしてもらいたい。

高井:地域にも旅行会社にも、森林サービスの事業の創生やマーケティングプロモーションにつ

いても協力できることがあると思うので、お声をかけてもらいたい。Forest Style というい

いネーミングができたので、日本のブランドになるまで昇華し、日本に来る目的が Forest

Style に参加する、というまでにいったらいいと思う。

鍋山:20 年前から中小企業の社長さんと話していると、キーワードをカ行で覚えるといいと言わ

れていた。カ→観光、キ→教育、ク→暮らし安全、ケ→健康、コ→コンテンツ IT。新しい

成長分野を見出していくときに、カ行のどこかに引っかかる。今回のディスカッション①

では、カ行の 5 つのうち 3 つがそろっている。危機的状況にある健康保険の中で、メンタ

ル面でどう森林との関わりで日本の人たちを元気にしていくか。家族のあり方では、森林

の中で親が子どもと対話をすることで、子どもに気づきを与えるのは良い方法だ。異なる

専門分野の人たちが手を携えて新たな取り組みをするプロセスが大切だ。森林サービス産

業は、森林という目に見える有形価値と、サービスという目に見えない無形価値の組み合

わせ。この組み合わせによって、日本の新しい姿を見出していければよいと思っている。