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Vol.10 Autumn 2018 我々はデジタルの渦の真っ只中にいる。 イノベーションを起こすのは今!

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Page 1: 我々はデジタルの渦の真っ只中にいる。 イノベー … Exchange.pdfJSUG Conferenceで発表している。第10期を迎えた2018年度 からは、次世代 のリー

 

 

 

企業一覧●ダイヤモンドサポーターSAPジャパン株式会社●プラチナサポーター(全25社)株式会社アイ・ピー・エス/アクセンチュア株式会社/アビームコンサルティング株式会社/アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社/EMCジャパン株式会社/EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社/インフォシスリミテッド/SCSK株式会社/株式会社NTTデータ/グーグル・クラウド・ジャパン合同会社/株式会社シグマクシス/住友セメントシステム開発株式会社/株式会社ソフテス/日本アイ・ビー・エム株式会社/日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社/日本電気株式会社/日本ヒューレット・パッカード株式会社/日本マイクロソフト株式会社/株式会社BeeX/PwCコンサルティング合同会社/株式会社日立製作所 /be one solutionsジャパン株式会社/富士通株式会社/三井情報株式会社/株式会社レイヤーズ・コンサルティング

●ゴールドサポーター(全11社)伊藤忠テクノソリューションズ株式会社/ウィプロ・リミテッド/エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社/オープンテキスト株式会社/クレスコ・イー・ソリューション株式会社/コベルコシステム株式会社/株式会社JIEC/株式会社電通国際情報サービス/東洋ビジネスエンジニアリング株式会社/SUSE(ノベル株式会社)/三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社

●NETサポーター(全3社)株式会社インターネットイニシアティブ/株式会社野村総合研究所/ハンドジャパン株式会社

●MVP賞照木 麻子(株式会社NYK Business Systems)●ベストサポーター賞富士通株式会社●事例ダウンロード賞テクニカル部会●プラチナサポーター継続賞株式会社アイ・ピー・エスアクセンチュア株式会社アビームコンサルティング株式会社SCSK株式会社株式会社日立製作所三井情報株式会社●特別功労賞(該当者なし)

JSUG Award 2018

Vol.10 Autumn 2018

我々はデジタルの渦の真っ只中にいる。イノベーションを起こすのは今!

各部会のアクティビティや会員事例など、JSUGの活動をまとめたJSUG INFOのバックナンバーは、JSUGNETでご覧いただけます。

JSUG Awardは、JSUG活動に多大な貢献のあった方々への感謝の意を表し、5つの区分にて表彰するものです。2018年度の選考結果は以下の通りです。

JSUG INFO. バックナンバーのご案内

ご入会はこちらから http://www.jsug.org/

●特別賞 三井 一夫

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Vol.1026

LEX第1期はCIOのラウンドテーブル第3期目から若手リーダーにシフト

鈴鹿氏:LEXが10年間続いてきたのも、皆さんのご苦労があったからこそだと思います。LEXという活動を始めた経緯につい

て、当時のJSUG会長だった安永さんからお聞かせいただけますか。安永氏:2008年に私がJSUGの会長に就任してすぐのころ、SAPの共同CEOのジム・ハガマン・スナーベ氏と昼食を一緒にする機会がありました。その時に「あなたはJSUGの会長になって何を成し遂げたら成

功したと言えるのか」と、質問されました。その時は不意の事態に半ば口からでまかせに近い状態で「ITの価値を日本の経営者に理解してもらえたら成功といえるのではないか」と答えたことを覚えています。当時はエンタープライズSOAが議論されていたころで、経営層に投資の価値を訴えるこ

「企業価値向上とIT活用」をテーマに有志で議論する勉強会「JSUG Leaders Exchange」

(以下、LEX)が始まって今年で10期目。今や次世代を担う若手の変革リーダーを育成する

勉強会として定着し、LEX卒業生たちの活躍も目立つようになってきた。近年は、複数のチー

ムに分かれて特定のテーマに沿ったイノベーションに取り組み、成果を毎年冬に開催される

JSUG Conferenceで発表している。第10期を迎えた2018年度からは、次世代のリー

ダー向けの「Next Leaders Exchange」と、経営層向けの「Top Leaders Exchange」に

分け、これまで以上に活発な議論を進めている。そこで今回は、LEXを立ち上げた初期の

キーマンにお集まりいただき、創設初期の理念と活動を振り返っていただいた。

■ LEX10周年座談会

「企業価値向上とIT活用」から「イノベーションを実現するIT」へ

変革リーダーを創出する「JSUG Leaders Exchange」の10年

株式会社 中田康雄事務所 代表取締役 

中田 康雄氏

横浜川崎国際港湾株式会社 上級理事 

安永 豊氏

前JSUG事務局長

三井 一夫氏

JSUG 会長

鈴鹿 靖史氏(ファシリテーター)

●出席者(写真左から)

SPECIAL FEATURE

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Vol.10 27

とが頭の中にあったからだと思います。その後、7月にSAP Enterprise Supportの実質的な値上げで多くのユーザー企業から批判を浴びました。そこで、11月のJSUGConferenceで10数社のCIOクラスの方に集まっていただき、エンタープライズSOAの観点から経営層に訴えてみようということになりました。そのラウンドテーブルがLEXのパイロット版にあたり、これを機にITを経営的な視点で議論してみようということで、翌2009年に正式にLEXが立ち上がりました。鈴鹿氏:三井さんは第1期のメンバーとして参加されたのですね。三井氏:私自身は当時、三井金属のグループ会社(ユアソフト)に在籍中で、SAPのグローバル展開を手掛けていました。そこで気が付いたのは、グローバル展開を実現することでIT部門が変わるということです。そんな経験もあり、LEXはIT部門のあり方を変えていく原動力になるだろうという期待を抱いて参加しました。鈴鹿氏:中田さんはどのような経緯でLEXに関わられたのでしょうか。中田氏:第1期の活動で講師を依頼されたのがきっかけです。当時、カルビーのCEOをリタイヤしたばかりでしたが、JSUG事務局から「ここは何とか」と拝み倒されて引き受けることになりました。3期目くらいになると、LEX参加者がCIOクラスからIT部門の若手にシフトしはじめ、そこからはアドバイザーとして本格的なお手伝いが始まりました。鈴鹿氏:若手にシフトした理由はご存じですか。中田氏:完成された人より、未来がある若手を育てようとなったのではないでしょうか。CIOを目指す人を作った方が日本のためになるのではないかと。安永氏:実は、そこまで高邁な話ではありません(笑)。実際はLEXの勉強会に出席するCIOが徐々に減り、課長クラスの部下の方が代理で出席するようになったからです。ただ、若手にシフトして良かったのは1期生、2期生のCIOクラスの方に講師をお願

いして、皆さんの経験を語っていただけたことです。鈴鹿氏:私がLEXの講師として呼ばれたのは第5期でした。中田さんと同じように第6期から引きずり込まれて今に至っています(笑)。安永氏:講師の方は親身になってすごくいい話をしてくれました。その噂が次第に拡散し、「LEXは役に立つ集まりだ」ということで定着していったのではないでしょうか。鈴鹿氏:10年間も続けていると相当多数の方がメンバーとして経験しているわけで、皆さんで集まる会も企画してみたいですね。大先輩の経験を聞くことはすごく大事だと思いますので、その時はまたよろしくお願いいたします。

経営が分かるIT人材を育てCEO候補をLEXで輩出したい

鈴鹿氏:JSUG全体の課題でもありますが、LEXも参加者はIT部門からがほとんどです。しかし、今やITは経営そのものですから、IT部門だけでなくビジネス部門はもちろんのこと、役員クラスの方にも入ってもらって一緒に議論したいと思っていますが、なかなか実現できません。これまでLEXを見てきた立場として中田さんはどのように考えていますか。中田氏:やはりSAPユーザーの経営層に本当の有効な使い方をきちんとレクチャーするべきだと思います。まだ十分にアプローチできているとは言えないというのが私の

実感です。今年から始まったCIO向けの「Top Leaders Exchange」はどういう状況ですか。鈴鹿氏:参加者は経営を自分のものとして捉えているので、皆さんの意識は高いです。これからはそういう人たちの集まりをもっと広げていきたいと思います。三井氏:むしろ、IT部門の人がCEOになるくらいの環境を作っていかないと日本は変わりません。そのためにもITがどのように経営に貢献できるかを当事者として意識できるように、LEX参加者は経営的な発想の仕方から具体的な実現方法までを考えていくべきです。IT部門はシステム屋じゃダメなんです。ITのトップリーダーが集まるTopLeaders Exchangeでも、彼らがCEOになって経営を引っ張っていけるパワーを植え付けていって欲しいと思います。鈴鹿氏:おっしゃるとおりですが、日本企業の難しさはCIOをしている人たちは入社以来システムに携わってきた人が多いことです。その意味では今の若手に頑張ってもらうしかないと思うのですが、これからはシステムとビジネスの両方に精通している人がCIOになるのが大切です。安永氏:そのとおりです。社内でマネージメント層と業務部門が話をしないとダメだなと思います。そのためにはIT部門からマネージメント層にアプローチするしかありません。今から7年ほど前、LEXの集まりの中で後に東北エプソンで社長を務めたセイコーエプソンの酒井さんが、「3つのクエスチョン」を挙げてくれました。1つ目が、

「企業価値向上とIT活用」から「イノベーションを実現するIT」へ

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業務革新を起こすのは誰か。その答えは「お前だ」ということです。2つ目が、経営者の視点で動いているか。そして、3つ目が21世紀をどうやって乗り切るかを考えているか。経営視点と未来視点を持ちなさいということです。その話はIT部門に対して非常に励みになりました。こうした考え方をみんなが持つ世界になっていくと、少しずつ変わっていきます。怖いのは変にAIやビッグデータなどのバズワードにマネージメント層が踊らされ「うちの会社はAIをやっているか」「はい、やっています」というやり取りで満足して先に進まなくなることです。やはり表層的な話でなく、本質に踏み込まないと難しいですね。鈴鹿氏:LEXとしては社内で議論を起こす人を育てていきたいと思っています。IT部門が経営に問いかけていくしかないという意味で、やはり昔のIT部門と今のIT部門で役割が違うことを認識しなければなりません。スクラッチの時代はユーザー部門のリクエストに応えて作り、直していくだけで十分でしたが、今のIT部門は先頭を切って最新のテクノロジーで経営を変えていくことをやらないといけません。役目が変わってきていると思います。JSUGも昨年のテーマに「今こそ問われるIT部門の存在価値」というタイトルを付けたくらい危機感を持っているわけですが、なかなか浸透していかないジレンマを感じています。中田氏:ITの戦略的な活用を働きかけることは、入社以来IT部門にいる人でも可能ではないかと思います。そういう意味での問題提起はずっと続けていく必要があります。三井氏:CIOになる人は戦略のベースを自分で持ち、1つの方針を立てて部下にうまく

動機付けをするのが理想的ですが、現実はそうではありません。むしろテクニカルなベースを理解している現場のIT部門の力が大きい。それを理解した上でマネジメントクラスから実務クラスがビジネスにどう影響するかを考えて場作りをやらないといけない。そういうところにこそLEXがマッチすると思います。上層部に働きかけてどう反応するかが勝負です。各会社がこうしたアクションを起こさないと、経営サイドはともすれば外部のコンサルタントにすべてしたがってしまいます。そんなことをしていたら、コンサルタントに会社を乗っ取られるだけで、中にいる人たちは全員が不抜けた状態になります。経営層は自社の社員に対して時間をかけてでもそういった発想に持っていくように努力をするべきですし、JSUGはその後押しをして欲しいと思います。中田氏:CIOが置かれている状況も深刻で、現在は今まで作ってきた膨大なIT資産のメンテナンスにエネルギーを奪われ、新しいことをやりたいけどもその余力がありません。それに対する解決策を持っていないと説得力はありませんね。鈴鹿氏:確かにSAPもシステムをクラウドに持っていけば維持管理の労力は減る、残った余力をイノベーションや攻めのITに持っていけばいい、と言っています。しかし、入社以来システムの維持管理していたIT部門の人がいざイノベーションを考えろ

と言われても無理な話で、絵に描いたようにはうまくいかない。どうやって新しいことを考えさせるか、ITをこう使えば経営に生かせるか、を考えられる人を育てることが企業にとって大きな課題ですね。中田氏:そのためには業務を徹底的に標準化しなければなりません。そこをおろそかにしてきたツケが今、回ってきています。一周遅れになるかもしれませんが、ここはもう一度見つめ直していく必要があります。鈴鹿氏:日本企業が目指すべき方向は見えるものの、実際にやっていくのは難しいということですね。そこでそういうことをできる人材を育てないといけないということで、私はLEXを草の根運動としてやっているつもりです。

卒業生も含め会社を超えたLEXのネットワークが拡大中

鈴鹿氏:当初のCIOのラウンドテーブルから若手の育成に変わってきたLEXの活動の

■ LEX10周年座談会SPECIAL FEATURE

2008年6月10日 SAP Jim Snabe氏(左端)と安永氏(右端)の運命的なランチの模様(SAPドイツ本社内のレストランにて)

三井氏 中田氏

Vol.1028

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中で、アドバイザーとしてずっと見てきた中田さんが感じられたことはありますか。中田氏:若手に対する問題設定がユニークでした。ITで経営を変える、ITで企業価値を上げる、イノベーションをITで起こすといったテーマを与えられ、それをしっかり受け止めて対応する皆さんの力は素晴らしいと思います。もう1つは集まった人たちが自主的にチームを作り、それがダイバーシティ、多様性につながっていることですね。勤務状況も勤務地も異なる参加者が、時間も乗り越えてコラボレーションができる。彼ら彼女らがLEXを経験したことは、これからの仕事に生かされていくはずです。三井氏:LEXの発展で、受講した参加者が翌年に今度は運営委員としてサポートに回る仕組みも素晴らしいつながりを生み出しています。中には3年間続けた人もいて、自立運営の構造ができているのがいいと思います。SAPジャパンから入社2年目の若手社員が入り、最初は議事録の作成だけだったのが、途中から積極的に関与することになる。これは参加している人の意識もまた刺激を受けているということで、運営がうまく回っている証拠です。中田氏:最近は「ITでイノベーションを起こそう」というテーマでチームが一丸となって議論し、最終的にアウトプットまで作っています。そのチームワークは卒業しても続いていくのがいいですね。それぞれ自分の置かれた立場での悩みを自分で抱えず、ネットワークの中で解消しています。鈴鹿氏:会合の後は毎回、部屋でビールと乾き物で1時間くらい懇親会のようなものをやっています。12月のカンファレンスの発表会の後に同窓会のようなものを開催し

たり、卒業生を集めてたこ焼きパーティーを開いたりと、ネットワークは拡がっているようです。安永氏:それは大事ですね。私もJSUGの良さは「つながり」にあると思います。自分だけで考えて悩んでも息が詰まるだけですから、上下の関係なく、同じ年代の方と直接話せるメリットは大きい。鈴鹿氏:実は今年から、「ウーマンズTalk☕」という女性会員だけのコミュニティーを作りました(本誌38~41ページ参照)。そこでは女性ならではの課題、普段会社で言えないような子育ての問題などが挙がっていて、そこだと平気で話ができるようです。JSUGのいろいろな人からそういう場を作ってくれてありがとうと感謝されました。それは1つの例ですが、LEXも若手がお互いに情報交換して元気になり、会社に帰ってからまた頑張ろうと思える。そういう場を作ることもJSUGのミッションで有効に働いていると思います。安永氏:ネットワーク作りはLEXを立ち上げた当初の目的でもあるので、それが実現してうれしいですね。

ユーザー、パートナー、SAPの3者で日本のIT部門を変えていく

鈴鹿氏:そろそろ今後を考えてみたいと思います。皆さんの立場としてこれからのLEXに期待することやアドバイスがあればお聞かせください。安永氏:将来を背負って立つ方たちがお互いに悩みを共有しながらそれでも日本のITを変えていくようなネットワークができるといいですね。会社によって状況は異なりますし、抱えている問題も違うと思いますが、先ほどの「3つのクエスチョン」を頭に置きながら、これからの日本のITを変える原動力となる人材が輩出できたらうれしく思います。日本郵船出身の私からすると、LEXはいつでも帰って来られる港のようなイメージです。あとは、SAPジャパンのサポートが入り、一緒に考えていくことも頼も

しく思います。ユーザー、パートナー、SAPジャパンの3者で緊張感を持ちながら方向性を考えていく姿に期待しています。中田氏:LEXは学びの場として、自主的・主体的に学ぶことが強調されていますが、プラスアルファでやはり効率的な学びはベストプラクティスに接することです。そこから刺激を受けて学びに到達することが大前提。そのためにはかなりの準備が必要です。ユーザー同士で仲良くすることも悪くありませんが、徹底的に有効にかつ先端的に使っているユーザーのベストプラクティスを研究し、CIOはどんな人なのか、どういうプロセスでそれが実現できたのかを掘り下げて学ぶ機会を作って欲しいと思います。三井氏:LEXが素晴らしいと思ったのは、最近の2年はITとは関係のない話題、特に去年は国連の持続可能な開発目標(SDGs)をテーマに取り組んでいることです。しかも彼らは、私たちが右往左往してしまいそうなことを器用にこなしている。元々正解があるわけではないところから、解を見出していく力には感激しました。これからLEXの価値を高めていくためには社員を送り出す上司も必要で、コミュニケーションや人間の度量を磨くために、参加者の上司の方にも期待しています。メンバーが変わっても同じような組織にならないとイノベーションは起きません。やはりLEXの魅力はそこにあると思うのでぜひそれを大事にして欲しいと思います。鈴鹿氏:本日はありがとうございました。LEXの活動はこれからも続いていきます。引き続きよろしくお願いします。

「企業価値向上とIT活用」から「イノベーションを実現するIT」へ

鈴鹿氏安永氏

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Autumn 2017(

Vol.9)平成29年

12月8日発行 発行元:ジャパンSAPユ

ーザーグループ 東京都新宿区新宿5-8-11 平

原ビル2F E-m

ail:[email protected] TEL:03-3355-2392

■JSUGの概要名称:ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)設立:1996年2017年11月現在、法人会員(ユーザー)501社、賛助会員(パートナー)65社の計566社の会員企業と、JSUG-NET登録者7,833名、また計31の部会・WG・分科会などの活動体で構成

■JSUG会員資格●法人会員:SAPのシステムを使用しているまたは使用が見込まれる法人、事業所または部門●賛助会員:本会の理念に賛同するパートナー企業※但し、本会の目的に沿わない場合は、常任理事会の判断により、入会を認めない場合があります●スチューデント会員:本会の目的に賛同した学生で、在学期間に限る

■年会費●法人会員:60,000円/年 ※入会初年度の年会費(入会翌月~当年度末迄)は無料

●賛助会員:110,000円/年●スチューデント会員:1,000円/年

■お問い合わせジャパンSAPユーザーグループ東京都新宿区新宿5-8-11 平原ビル2FE-mail:[email protected] TEL:03-3355-2392運営時間:平日 10:00-18:00

JSUG Awardは、JSUG活動に多大な貢献のあった方々への感謝の意を表し、5つの区分にて表彰するものです。2017年度の選考結果は以下の通りです。

●MVP賞安達 正浩(株式会社豊通シスコム)●ベストサポーター賞日本マイクロソフト株式会社●事例ダウンロード賞倉本 淳司(ベニックソリューション株式会社)●プラチナサポーター継続賞株式会社アイ・ピー・エスアクセンチュア株式会社アビームコンサルティング株式会社SCSK株式会社三井情報株式会社●特別功労賞窪木 真人(SAPジャパン株式会社)

JSUG入会のご案内 2017年度JSUGサポータープログラム

JSUG Award 2017

■協賛企業一覧●ダイヤモンドサポーターSAPジャパン株式会社

●プラチナサポーター(全15社)株式会社アイ・ピー・エス/アクセンチュア株式会社/アビームコンサルティング株式会社/アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社/SCSK株式会社/株式会社NTTデータ/住友セメントシステム開発株式会社/日本アイ・ビー・エム株式会社/日本電気株式会社/日本マイクロソフト株式会社/SUSE(ノベル株式会社)/PwCコンサルティング合同会社/株式会社日立製作所/富士通株式会社/三井情報株式会社

●ゴールドサポーター(全8社)EMCジャパン株式会社/伊藤忠テクノソリューションズ株式会社/コベルコシステム株式会社/株式会社スタディスト/東洋ビジネスエンジニアリング株式会社/日本ヒューレット・パッカード株式会社/株式会社野村総合研究所/株式会社BeeX

●NETサポーター(全3社)株式会社インターネットイニシアティブ/日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社/Panaya Japan 株式会社

各部会のアクティビティや会員事例など、JSUGの活動をまとめたJSUG INFOのバックナンバーは、JSUGNETでご覧いただけます。

JSUG INFO. バックナンバーのご案内

ご入会はこちらから http://www.jsug.org/

●特別賞 (故)今川 克巳(横河電機株式会社)

SPECIAL FEATURE■Top Leaders Exchange

製造業の再成長を導くITリーダーたちの提言■プラチナサポーターメッセージ

JSUG活動を支援するプラチナサポーターのメッセージ

SPECIAL ISSUE■ 国際派遣プログラム

国際派遣体験記■グローバルメッセージ

ユーザーグループを支援する世界の仲間からのメッセージ

■ESAC活動

SAPを最大限活用するためのSAP Enterprise Support Advisory Council ■ウーマンズ Talk

女性取締役が教えるワークライフバランスのヒント■ LEX活動紹介

業界を超えた絆を紡ぐ次世代リーダーのネットワーキング■部会活動

まずは現場に行ってみよう!JSUGの部会活動紹介

■西日本フォーラム

20年目を迎えた西日本フォーラムの歴史■コラム

JCC/JSUGNET/FacebookSAP STRATEGY■ SAP Leonardoによるデジタル変革

イノベーションの標準化、パッケージ化でデジタル変革を支援CASE STUDY 株式会社たけびしホーチキ株式会社CKD株式会社

デジタル化の波を好機と捉え、

自らが変革への舵を切ろう!

〜今こそ問われるIT部門の存在価値〜

Vol.9 Autumn 2017

ご生前のご功績に敬意を表し、特別賞を授与いたします。

jsuginfo9号_表紙折_背幅3mm_print 2017/11/27 10:46 ページ 1

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24 Vol.9

どんな理由やきっかけからでも業種を問わずに参加できるのが魅力

黒田氏:LEX(Next Leaders Exchange、旧称Leaders Exchange)は2017年度で第9期目を迎えた、IT活用による企業価値向上を目指すメンバーによる少人数制の勉強会です。今年は4つのチームにメンバーが分かれ、先ごろ国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)をテーマとしたITによるイノベーションを考えています。私は第7期からLEXに参加し、今は9期メンバーを支援するサポーターとしてLEXに関わっています。今日は皆さんが普段感じているLEXの魅力を、より多くの人にご紹介していきましょう!まず、皆さんがLEXに参加されたきっかけを教えてください。井上氏:上司が以前LEXに参加していて、君もどうかと勧められました。JSUGの部会は活動領域ごとに専門的な話題を掘り下げているイメージでしたが、LEXは自分たちとは異なる業種の人と情報交換ができると期待して参加を決めました。遠藤氏:私もやはり、以前の参加者である上司や部署の先輩に勧められたのがきっかけです。IT部門は部署移動なども少なく、他の業種の方の話が聞ける機会が少ないので、さまざまな業界の方が参加している点は魅力的でしたよね。小和田氏:私は1年半ほど前までブランドブ

ティック勤務だったので、ITについては素人で、SAPやJSUGの活動もほとんど分かっていませんでした。そんな自分がLEXに参加していいのかと悩みましたが、社内で毎年LEXに参加している人たちから「いろいろな業種の方がいるから大丈夫だよ」と勧められたことで参加しました。LEXではさまざまな情報に触れることができ、他の参加者の方からの助けもあって、今は話の内容にも興味を持って発言していけるようになりました!

イノベーションの実現に向けて本気の仲間と惜しみなく協力し合う

黒田氏:LEX活動の成果は、毎年冬に開催されるJSUG Conferenceで発表されます。参加メンバーは発表に向けて、半年間の活動を通じて1つのアイデアをプレゼンテーションにまとめます。私も実際に参加して、また9期の方々を見ていて思いますが……やはり大変ですよね!井上氏:大変です!(笑)LEXは全6回開催されますが、この中ですべての準備を行うのは難しいと思います。私のチームでは月に1回ほど、LEX外部でミーティングを開いています。毎月の懇親会もあって、LEXメンバーとの横のつながりはかなり強固になりました。遠藤氏:普段はメールやLINEでのやりとりが多いのですが、最初はかしこまって話をしていたメンバーとも、今ではお友達くらいに砕けた話ができるようになっています。

黒田氏:生みの苦しみと言うのか、アイデアをしっかりと形にまとめるのには苦労もあると思います。ですがその分、LEXで知り合った仲間とは業種を超えた長い付き合いができる友達になれるのがいいところですね。皆さんは、LEXに参加してみてどのような経験が得られたでしょうか。小和田氏:私はそれまで個人的には考えなかったテーマについて、LEXの参加がきっかけで調べたり考えたりするようになり、視野が広がった気がしています。LEXは、扱うソリューションがSAPに限定されていないところが良いところであり、凄いところだと思います。遠藤氏:外部の講師の方がいらっしゃるので、いろいろなお話が聞けます!ある商社様からは失敗談も伺えるなど、皆さんの本音に近いお話は非常に参考になっています。井上氏:人前で発表する機会が増えるので、プレゼンテーションのよい勉強になると共に、肝が据わるようになってきたなと思っています。

参加者たちが語るLEXの魅力!業界を超えた絆を紡ぐ次世代リーダーのネットワーキング

■ LEX活動紹介

インタビューにご参加いただいた皆さん(左から右に)●三井化学株式会社 

システム部 主席部員 黒田 雅人 氏

●トラスコ中山株式会社 情報システム部 IT企画課 遠藤 真奈美 氏

●リシュモン ジャパン株式会社 インフォメーションテクノロジー本部 JAPAN SAP CCSAPビジネスコンサルタント CRM/CRC小和田 菜穂子 氏

●双日株式会社 情報企画部 情報企画第二課 井上 宗人 氏

LEXで講演するJFEスチール株式会社 理事 新田哲氏

黒田氏:ありがとうございます。私もLEXの経験を通じて、イノベーションとは自社の中だけでなく、社外とのコラボレーションによって創造されるものだと気付くことができました。近い将来、オープンイノベーションが活発化する時代に向けて、LEXのように多くの人とゼロから価値を創造するという経験は、絶対損にならないと確信しました。今後も多くの方がLEXに興味を持っていただければと思います。

SPECIAL ISSUE

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ERPが変わる、今こそ変革のチャンス!イノベーションを生み出すプラットフォームの実現を目指そう

Vol.8 Autumn 2016

JSUG20周年記念特別号

20GUSJtuA8.loVVo

特念記年周206102nmu

号別特

20th AnniversarySPECIAL FEATURE■ SAPジャパン社長・JSUG会長対談日本のアイデンティティを競争力に変える新たな信頼関係■ 20周年記念祝辞SAP SE Executiveメンバーからの祝辞■ 歴代会長が紐解くルーツ ユーザーが築き上げたSAPとの協調関係■ プラチナサポーター座談会サポーター企業による知見が「オールジャパン」の未来を紡ぐ■ 世界のユーザー会からのメッセージ世界各国のユーザー会からのお祝いメッセージ■ Leaders ExchangeLEXとSAPジャパンが「人と人とをつなぐ」イノベーションに挑戦■ JSUG年表20周年を迎えたJSUGの歩み■ 常任理事が語るIT部門の役割企業のリーダーが語る未来に向けた課題提起■ JSUGのネットワーキング全部会の活動紹介

SAP STRATEGY FOR CUSTOMERS■ SAP S/4HANAへの移行ユーザー目線のサポートを志すSAPの新たな取り組み

CASE STUDY総合メディカル株式会社アズビル株式会社株式会社ユアソフト

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19Vol.8

LEX有志の自由な発想で生まれた“O-MO-TE-NA-SHI”アプリ

業界を横断して、IT以外の部門からも立場や年齢を問わず多くのメンバーが集うLEXでは、各界の第一線で活躍するリーダーによる講座やグループディスカッションなどを通じて、イノベーションの実現に向けた活動が行われている。第7期の有志によって開発された「SAPHANA Cloud Platformで実現した“O-MO-TE-NA-SHI”プラットフォーム」も、こうした活動の中から生まれた成果だ。7月のSAP Forum Tokyoで発表を行なった川崎重工業株式会社 企画本部 情報企画部・基幹職の三島裕太郎氏は、「“IT活用による社会貢献”というコンセプトをサービスとして実現するために、人と人とをつなげておもてなしできるソリューションの提供を目指しました」と語る。加えて今回は、開発プラットフォームSAP HANA Cloud Platform を使ってSAPとの協働体制で開発に取り組んだ点も、LEXにとってこれまでにない新たなチャレンジとなったという。サービスツールとなる“O-MO-TE-NA-SHI”アプリは、「言語や文化の違いを超えて、人と人とをつなげる」をコンセプトに、スマートフォン上で外国人旅行者と日本人サポーターのコミュニケーションを仲介するものだ。このコンセプトは2015年度の第7期LEXの活

動の中で、「IT活用でイノベーションを起こす」というテーマから生まれたものだと三島氏は語る。そのアイデアに対して、SAPジャパンとともに社会貢献プロジェクトとして実際に形にできないかという話が生まれ、LEXとSAPジャパンが協力する形で開発がスタートしたという。

最新テクノロジーを使った真のイノベーションへのチャレンジ

「今年はJSUGが20周年を迎えることもあり、新しい技術に触れるだけでなく、実際に使用するという一歩踏み出したステージに挑戦したいという考えがありました。SAPから提供されるSAP HANA Cloud Platformを利用して、LEXから集まった有志のメンバーがすべてを自分たちで作り上げることが決まってからは、運営方法やトラブルが発生した際の対応などを専門家に相談しながら開発を進めてきました」(三島氏)会場では体験版システムのデモンストレーションが行われ、外国人旅行者がスマートフォンに質問を入力して送信し、受信した日本人サポーターが回答する様子などが実際に紹介された。さらにこのアプリには、真にイノベーティブなものを作りたいとの思いから、ある仕掛けが施されている。「関係性技術※」と呼ばれる、実世界の人やモノの関係性の強さをもとに仮想ネットワークを生成するテクノロジーとの連携によって、ユーザー

の関係性のマッチングが行われ、趣味や嗜好が近い人同士が自動的につなげられるのだ。ここには、面識がない人同士でもきめ細かなアドバイスを可能にする“O-MO-TE-NA-SHI”システムとして十分な効果を発揮させたいという、LEXメンバーのこだわりが感じられる。実際にSAP HANA Cloud Platform上で開発に着手してからは、約1.5カ月という短期間でデモ発表ができるレベルまでアプリを作り上げることができたと三島氏は明かす。また、関東・関西の二拠点体制でも問題なく開発が行われ、必要なツールがプラットフォーム上ですべて提供されていたことなどにより、スムーズな進行が可能であったことが成功理由だという。

「新しい技術に対しての試行錯誤はありましたが、それを乗り越えて成果につなげられたのは、我々にとっても大きな自信になりました。また、アプリを介して人を助けるという経験を通じ、日本人の心に積極的に人を助けるマインドを根づかせるイノベーションを起こしたい。これからもLEXの精神を受け継ぎながら研鑽を深めていきたいと願っています」と三島氏は力強い展望を語り、セッションを締めくくった。自ら手を挙げた有志のメンバーと開発に協力したSAPが、JSUGの下で1つの成功を収めたこの経験は、今後より一層の活動の充実を目指すLEXにとっても有益な事例となっていくだろう。

SAP HANA Cloud Platformで実現する「O-MO-TE-NA-SHI」プラットフォーム

JSUGの戦略プログラムとして2008年にスタートし、今年で8期目を迎えたLeaders Exchange(以下、LEX)。企業価値向上とIT活用をテーマに活動を続け、毎年様々な成果を生み出してきたLEXからは、今年もJSUG設立20周年にふさわしいイノベーションの芽が生まれている。7月に開催されたSAP Forum Tokyoでは、第7期LEX有志がSAPと協働で開発した訪日外国人旅行者向けアプリを含む“O-MO-TE-NA-SHI”プラットフォームを披露、LEX活動のますますの充実ぶりが感じられる場となった。

LEXとSAPジャパンの協働開発で「人と人とをつなぐ」イノベーションに挑戦

■ Leaders Exchange

SAP Forum出展時のLEX関係者

※国立大学法人京都大学と株式会社神戸デジタル・ラボが産学連携で開発しているデータ活用技術

20th Anniversary SPECIAL FEATURE Ⅵ

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■JSUGトップインタビュー

ITによるイノベーションで企業価値の向上に貢献する

■SAPPHIRE NOW フィードバック

SAPPHIRE NOWで明らかになったSAP S/4HANAがもたらすインパクト■西日本フォーラム

50回の節目を迎えたJSUG西日本フォーラム■ESAC中間報告会

SAPのサポート部門との協業を通じて実践的なノウハウを習得■JSUG FOCUSの歩み

部会活動の成果をユーザー企業の資産に転換

■Leaders Exchange

「企業価値向上とIT活用」をテーマに次世代リーダーがイノベーションについて議論■Ariba部会

調達業務改革で企業価値向上に貢献するAriba部会が発足■人事部会

マイナンバー制度への対応に加えグローバル人事についても活発に議論■医薬品部会

製薬業界におけるマイナンバー対応の標準化

SPECIAL FEATURE

SPECIAL ISSUE

GROUP ACTIVITY

踏み出そう その一歩を!〜変化を見極め、グローバル競争に打ち勝つためのITを目指して〜

■SAPジャパントップインタビュー

デジタルエコノミー時代の変革のパートナーとして

株式会社GSユアサ瀧定大阪株式会社

CASE STUDY

SAP STRATEGY

Vol.7 Autumn 2015

Page 11: 我々はデジタルの渦の真っ只中にいる。 イノベー … Exchange.pdfJSUG Conferenceで発表している。第10期を迎えた2018年度 からは、次世代 のリー

20 Vol.7

関西も含め23企業が参加した7期目のLeaders Exchange

JSUGの戦略プログラムであるLeadersExchange(以下、LEX)は、「企業価値向上とIT活用」をテーマに、次世代リーダーの育成に寄与することを目指して、少人数の勉強会という形式で毎年開催されている。2009年のスタートから今年度で7期目を迎えるが、世界のユーザー会のネットワーク で あ る SUGEN(SAP User GroupExecutive Network)においても人材育成が重要な課題の1つに掲げられる中で、このような次世代リーダー育成のための戦略プログラムを持つユーザー会は世界でも珍しく、ユニークな活動だと言える。毎年4月頃に募集するメンバーには、様々な業界の企業のIT部門のみならず、ビジネス部門からも毎年多くの応募があり、SAPの枠を超えて、IT全般について自由に議論できるということが特徴となっている。また、5月から10月にかけて毎月1回、平日の夜に開催していることもあり、活動後には懇親会が行われ、ここでのネットワークもメンバーにとっては貴重な財産になっているようだ。さらに、ファシリテーターとしてLEXがスタートした当初から毎回参加している元カルビー株式会社社長の中田康雄氏の貴重なアドバイスは、メンバーにとって頼もしい限りだ。

データサイエンティストなど充実したゲストスピーカー

今年度のLEXには、関西地区も含めて23の企業からの参加者が集った。LEXの活動は2本の柱から成り立っているが、その1つが毎年4回、外部からゲストスピーカーを迎えて、その講演内容からメンバーが得た気づきを発表するというものだ。今年度は、従業員30人ほどの小さな町工場を超優良企業に育てた経営者や、著名なIT誌が選定するデータサイエンティスト・オブ・ザ・イヤーにも輝いたデータサイエンティストをお招きしたが、その実体験はメンバーに大きな気づきを与えたようだ。また、過去のLEXメンバーがその後どのように活躍しているのかを語ってもらう「LEX卒業生からのリポート」では、豊田通商株式会社 IT戦略部の清野耕司部長より、その後の取り組みについての講話があった。さらに、SAPジャパン サポート事業本部のプットリヒ・トーマス氏、Business Transformation Servic-esの伊藤雅司氏からは、SAPによって実現されたIoTの事例紹介が行われた。

イノベーションをテーマに未来に向けた提言を議論

もう1つの柱は、4つのグループに分かれてのフリーディスカッション。今年度は「イノ

ベーション」をテーマとし、どのようなイノベーションを実現したいか、その実現のためにはどのようなことをすればよいかということについて、その提言をJSUG Confer-enceで発表することを前提として、各グループで議論を行った。テーマが広いこともあり、また初対面のメンバーであることから、最初は戸惑いもあったようだが、回を重ねるにしたがって議論が深まり、昨年度のLEXメンバーが各グループにサポーターとして入り、様々なアドバイスをしたことにも助けられ、最終的に4グループの未来に向けた提言は、「ITを感じさせない未来の住宅」「リアルタイム観光アプリによる日本流おもてなし」「通勤ラッシュのない世界」「地方創生に繋がる新しいライフスタイルの提案」という内容でまとめられた。若手のメンバーにとっては、大きな舞台で発表するということも、貴重な体験になるはずだ。また今年度は、LEX課外授業として、横須賀リサーチパーク内のNTTドコモR&Dセンター「WHARF」の見学会も行った。最新の通信技術に触れ、イノベーションがまさに間近に迫っていることを参加者全員が感じた非常に有意義な見学会となった。LEXは約半年間の活動であり、これだけでリーダーが育成されるわけではないが、こうした場を通じて新しい空気に触れ、貴重な体験をすることによって、メンバーが何かを感じ、何かをつかみとって、今後の企業人生に活かすことができれば、それは大きな成果と言える。第8期の開催に向けて2016年4月から行われるメンバー募集にも、さらに多くの企業からの参加が期待されるところだ。

「企業価値向上とIT活用」をテーマに23企業の次世代リーダーがイノベーションについて議論ゲストスピーカーの講演も大きな気づきに

■ 第7期 Leaders Exchange GROUP ACTIVITY

「企業価値向上とIT活用」をテーマに各企業のリーダーが意見交換を行うLeadersExchangeが、2009年のスタートから早くも7期目を迎えた。関西地区も含め23企業からの参加者によって議論が深められた今年度は、ゲストスピーカーとしてビッグデータ活用の最前線で活躍するデータサイエンティストを招くなど、例年にも増して充実した活動となった。

Page 12: 我々はデジタルの渦の真っ只中にいる。 イノベー … Exchange.pdfJSUG Conferenceで発表している。第10期を迎えた2018年度 からは、次世代 のリー

SAPが変わる。時代も変わる。我々はどう変わるのか?

■新生SAPジャパントップインタビュー

SAPジャパンが目指す「継続」と「新たな挑戦」

■SAPPHIRE NOW フィードバック

SAPの「シンプル化」のメッセージがユーザーにもたらす価値とは?■JSUGテクニカル部会 活動報告

エキスパートに聞く!ユーザー主体のSAPロードマップ策定の勘所とは?■キーマンズ対談

SAPユーザーの真の自立に向けたSAP Enterprise Supportの価値を考える■JSUG中部フォーラム開催レポート

自動車業界の共通課題に応えるユーザー事例を公開■SUGEN/西日本フォーラム/LEX活動報告

世界のユーザー会と密に連携しSAPへのインフルエンスを発揮

■新生SAPジャパンのビジョン

変革を志す、すべてのお客様のパートナーであり続けるために

オイレス工業株式会社トラスコ中山株式会社横河電機株式会社

SPECIAL FEATURE

SPECIAL ISSUE

CASE STUDY

SAP STRATEGY

Vol.6 Autumn 2014

Page 13: 我々はデジタルの渦の真っ只中にいる。 イノベー … Exchange.pdfJSUG Conferenceで発表している。第10期を迎えた2018年度 からは、次世代 のリー

19Vol.6

世界のユーザー会と連携し、SAPへのインフルエンスを発揮

■ 西日本フォーラム

今年度のJSUG西日本フォーラムが7月23日に大阪で開催された。西日本フォーラムでは、日頃からSAP ユーザーのビジネスとシステム活用の活性化に向けて、分野ごとのワーキンググループなどによる研究活動を精力的に進めている。今年度のフォーラムはSAP ForumOsakaとの併催ということも手伝って、SAPのソリューションとIT 活用に関心を寄せる参加者で、終日満員の盛況ぶりだった。今回のプログラムでは、近畿日本鉄道株式会社の取り組みを紹介する「内部統制強化、業務の効率化と高度化、IFRS適用準備の3つを同時に狙った近鉄事例とは?」、そして西日本フォーラムの参加企業3社によるパネルディスカッション「内部統制が、どのように企業経

営にプラスになったか?」の2つのセッションが公開された。後半のパネルディスカッションでは、近畿日本鉄道に加え、株式会社神戸製鋼所、株式会社マンダムがパネラーとして参加し、内部統制が企業経営に及ぼすメリットについて、各社の成果に基づいた議論が進められた。パネラーからは「これまでは多彩な事業展開の中で事業部ごとの独立性が強く、個 の々運用に任されていたのを、内部統制によって標準化を進めたことが経営面に大きなメリットをもたらしている」、「海外での事業割合が年々拡大する中で、今後グローバル化を推進する上で内部統制を担保するための具体的な拠り所の1つが、グループ全体で標準化されたIT環境

だ」といった意見のほか、「内部統制というのは、突き詰めれば企業の健全な発展に資する有益なコミュニケーションと同義ではないか」といった質の高い議論が展開された。JSUG西日本フォーラムとIFRS・内部統制部会のコラボレーションによって実現した今回のセッションには多くの参加者が詰めかけ、内部統制におけるIT 活用への関心の高さを誰もが実感する場となった。西日本エリアにおけるJSUG活動の集大成である西日本フォーラムでは、今年から「企業経営を考える会」という新たな分科会を発足している。今後もこうした場を通じて、より経営に貢献できるITについての議論を活発化させていく考えだ。

西日本エリアにおけるJSUG活動の集大成の場

■ 第6期 JSUG Leaders Exchange

「企業価値向上とIT活用」をテーマに、少人数の勉強会という形で毎年開催してきたJSUGLeaders Exchange(JSUG LEX)は、今年度で早くも第6期を迎えました。5月から10月まで計6回、平日の夜開催ということもあり、さまざまな業界の企業、IT部門のみならず、ビジネス部門からも多くの参加があり、業界やSAPの枠を超え、IT全般について自由に議論できるということが大きな特徴となっています。かつてカルビー株式会社の社長を務めた中田康雄氏をファシリテーターとして迎え、ITを活用して企業変革をしていこうとする若手リーダー20名が集う今期は、①企業の経営層を講師として招き、経営から見たITについて討議を行う活動、②メンバーの企業が抱える課題をテーマに選び、IT部門としての解決策を自由に討議し、提言をまとめる活動の2つを柱としています。

①活動では、第1回で私が「JALグループ経営とITの可能性」と題して、企業経営にはデータのタイムリーな見える化が必須であり、どのようにITが貢献していくべきかについてお話をさせていただきました。第2回では、株式会社ヨドバシカメラの副社長である藤沢和則氏から、

「お客様の声」を原動力として、どのように夢を実現していくかという経営の考え方について、第4回では株式会社フジ・メディア・ホールディングス 常務取締役の和賀井隆氏より、系列局の営放システムの統一という事例を通して、リーダーのあるべき姿についてお話いただきました。また、第5回ではLEXの卒業生として、株式会社資生堂の情報企画部長の亀山満氏より、「経営/事業部門からの信頼を高めて、よりITの貢献を高めるために」という取り組みについてご紹介いただきました。こうした講演を通して、メンバーからは、IT部門だけで何かをや

るのではなく、業務部門と徹底的に話し合って、お互いの理解のもとで一緒に歩むことが重要であるという意見が多く出されました。②活動では、各メンバーの企業が抱える課題の中から、「グローバル事業の急拡大を支えるIT基盤の確立」「リアルタイム経営迅速、柔軟な横串での状況共有」「経営レベルのIT課題として、ITシステムの全体最適化」「グループ内におけるITシェア基盤の確立」という4つのテーマを選び、テーマ毎に4つの小グループに分かれ、提言という形での発表を行います。当初はメンバーに戸惑いも見られましたが、討議の回数を重ねるに従い、提言がだんだん姿を現してきたことは、各メンバーの真剣さと熱意の賜物だと思います。12月5日のJSUG Con-ferenceでは、JSUG LEXで得た知見を今後どのように活かしていくかを発表する場も設けられており、私も楽しみにしています。

各メンバーの真剣な議論と熱意が新たな知見を生み出す

鈴鹿 靖史氏

JSUG常任理事JSUG Leaders Exchange代表

日本航空株式会社 常勤監査役