タンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 -...

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タンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 ―発現・精製が簡便なタンパク質タグ つき目的タンパク質を用いることで、迅速 な創薬ターゲットの選定を可能に― 鳥取大学 大学院医学系研究科 機能再生医科学専攻 飯塚 舜介

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Page 1: タンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 - JSTタンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 ―発現・精製が簡便なタンパク質タグ

タンパク質の立体構造決定とインタラクトーム解析

―発現・精製が簡便なタンパク質タグつき目的タンパク質を用いることで、迅速

な創薬ターゲットの選定を可能に―

鳥取大学 大学院医学系研究科

機能再生医科学専攻

飯塚 舜介

Page 2: タンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 - JSTタンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 ―発現・精製が簡便なタンパク質タグ

タンパク質の構造 と 機能

構造から生体のしくみの理解構造から生体のしくみの理解

生命の営みは蛋白質の働き生命の営みは蛋白質の働き

((百聞は百聞は 構造を構造を 一見に如かず一見に如かず))

DNA タンパク質

なぜタンパク質立体構造なのか?

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遺伝情報はDNA 生命の営みは蛋白質

1次構造(順序) 3次、4次構造(立体構造)

ゲノム科学からタンパク質科学へ

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タンパク質の立体構造解析

タンパク質発現 精製

結晶 X線結晶解析

水溶液 多次元NMR解析

水素原子Hの座標は決ま

らない。

核オーバーハウザー効果(NOE)の水素原子間距離

情報から、水素の座標を決める。

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なぜ相互作用なのか?

生体制御はタンパク質の相互作用で営まれている

タンパク質-タンパク質

タンパク質-DNA (アプタマー)

タンパク質-RNA (ncRNA)

タンパク質-活性物質

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インターラクトーム解析 (interaction + ome)

タンパク質-タンパク質相互作用を特定

ゲノム科学の方法. ハイスループット2)ゲノム相互作用解析(Y2H)

機能未知分子 ⇨ 機能推定

機能既知分子 ⇨ 新局面の展開

遺伝子ネットワーク(遺伝的相互作用)

分子生物学(分子で生命現象を説明する.分子の相互作用)

機能ゲノミクス(相互作用を標的)

1)アフィニティ精製法 タンパク質科学の方法. ロースループット

キネティックス, 相互作用部位, 特異性

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2.単独では構造をもたないタンパク質機能ドメイン (IUP)

特異的タンパク質の相互作用

1.安定な構造を持つタンパク質ドメイン

タンパク質-タンパク質複合体を形成してはじめて構造をもつ

生体情報伝達に重要

ドラッグデザインドラッグデザイン

治療薬、診断薬

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新しい医療への期待

構造ゲノム

遺伝子医療

再生医療

オーダーメード医療

ゲノム創薬

医療のゲノム革命抗体医薬 RNA医薬

ゲノム情報

Page 9: タンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 - JSTタンパク質の立体構造決定と インタラクトーム解析 ―発現・精製が簡便なタンパク質タグ

ゲノム情報 蛋白質の構造

生命

生命現象の解明

病気の原因の解明

病気の原因蛋白質の構造に基く

医薬開発

ポストゲノムの課題: ゲノム創薬

蛋白質

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細胞分化

分化の制御

転写因子の活性制御

幹細胞 前駆細胞 成熟細胞

再生医療

多数の遺伝子に発現変化

目的細胞を生産

ES 神経幹細胞 神経細胞

筋肉幹細胞 筋肉(心筋)

血管内皮幹細胞 血管内皮細胞

造血幹細胞 赤血球

白血球

血小板

骨、腎臓、肺、肝臓

膵臓等

分化を制御する転写因子分化を制御する転写因子

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BL21(DE3)pLysS

Affinity chromatography

Gel chromatography

タンパク質ドメインの大量生産と精製

13C,15N 標識

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N-HSQC of Hex-C

The measurement conditions were ni=512, nt=32 in H2O at 25℃and 500MHz.

15N

(ppm

)

1H (ppm)

<タグを切り離すと会合する>

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表面電荷 疎水性コア

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相互作用の機能解析

シグナルの帰属決定

複合体の立体構造決定

定量的解析・

キネティクス

選択的阻害

相互作用の部位決定

相互作用の構造

解離定数の決定

交換速度の推定

特効薬の開発

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anti-GST-antibody

PTUM1

BIACORE chip

BIACORE chip

anti-GST-antibody

PTU

HD

GST-

GST-

表面プラズマ共鳴実験

(SPR), Biacore

PTUM1

BIACORE chip

BIACORE chipPTU

HD

抗GST抗体を用いる方法 従来の直接法

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SPR 測定

GST-PTU (リガンド)+ M1(アナライト)

domain ka C kd Chi^2 Kd

M1752+/-34

5.42E-05

0.00307+/-0.117 0.0719

4.08E-06

M2109+/-11

5.42E-05

0.0242+/-0.0945 0.0578

2.22E-04

M1(アナライト)

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<吸着性が強くタグを切り離すと精製が困難>

<タグを切り離すと沈殿する疎水性タンパク質ドメイン>

<本来構造をもたないドメイン(IUP)>

<タグを切り離すと会合するタンパク質>

遊離のドメインと同様の構造をとる場合が多い

容易に長時間安定したNMR測定が出来る

シグナル帰属ができる

構造決定が可能である

相互作用測定がし易い

タンパク質のNMRを巨大タグ付きで解析する今回の提案

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今回の提案:

扱いが難しくて放置されているタンパク質はありませんか?

構造決定と相互作用解析の問題点を

一挙に解決

迅速な創薬ターゲットの選定

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発明の名称 :ポリペプチドのNMRスペクトル測定・解析法、その方法に用いる試料、装置およびプログラム

出願番号 :特願2007-55145出願人 :鳥取大学発明者 :飯塚舜介

本技術に関する知的財産権

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お問い合わせ先

鳥取大学産学・地域連携推進機構

知的財産管理運用部門長・教授

佐々木茂雄

TEL 0857-31-6000FAX 0857-31-5474E-mail [email protected]