ドイツ語の現在完了形と過去形の差異について url ... › rs › bitstream ›...
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Hitotsubashi University Repository
Title ドイツ語の現在完了形と過去形の差異について
Author(s) 諏訪, 功
Citation 一橋論叢, 62(2): 137-155
Issue Date 1969-08-01
Type Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL http://doi.org/10.15057/2481
Right
( 3 9 ) ドイ ツ語 の 現 在完 了形 と過 去形 の 差異 に つ い て
ド
イ
ツ
語の
現在完了
形と
過去形の
差異に
つ
い
て
現
代
標準ド
イ
ツ
語に
お
ける
現
在完了
形と
過
去
形の
、
過
去時称と
し
て
の
用法が
、
往々
に
して
区
別し
が
た
い
の
は、
よ
く
知られ
た
事実で
あっ
て、
こ
の
点ド
イ
ツ
語は
、
こ
の
二
つ
の
時称が
、
用
法上か
なり
よ
く
区
別さ
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て
い
る
英語
など
と
異
な
る。
た
と
え
ば
AユF
弓
とロー
ー
e→
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戯曲「
代
償+
(
:
→
訂
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長
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宗告
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そ
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ド
イ
ツ
語
訳
(-
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守e
訂:
)
賀研
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芹巴
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日
づ0
2
HP
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E-
声0
弓O
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ゴP
琶Fe
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くe
ユ
品、
河e
ど
宮村
g-
HP
日一
岩蒜
-
芸∞)
と、
二
つ
の
時称に
関して
比
較し
て
み
ょ
う。
は
じ
め
に
原文
、
次
に
訳
文の
順で
掲げる
。
諏
訪
功
:
GO
み
-日1
日Ot
訂→
弓
琵
琶
ユ町F
二
H
O
6
日e
孟→
訂-
岩・
諾弓F
巴
H
琵e.
H
材ne
弓
yO
仁、
P
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記1
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O
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弓i
2
詔O
E
F
邑t
2
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呂
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ロ
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仁
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ー
W
監
どF
∽
2
FO・
DP
日巴∽
こ日
内ユe
甲
弓一
邑t
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6.
F
-弓2
nロ
2・
諒
首N
t
n
訂
ぎ
t
阜弓
i
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、
s
2 .
e
-
仁
2
H
旨
ぎひ
2払
打0
2日e
n
詮
訂さ
串ロ
ー
2 .
〇
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慧
旨軍
。
(
英語版
一
九ペ
ー
ジ、
ド
イ
ツ
語版二
四ペ
ー
ジ)
∴h
→
訂
腎仏t
t-
me
H
弓巴
訂中
ロ℃
t
ビ
b
琵pt
巳記一
句
琵
已琵t
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苫宅ひ
○-
P
Aロト
弓Fe
ロ
叫
d占
O
pe
ロ2
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t
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F
■笥弓
守各
戸
邑○
言P
F
-
-
-記ロ2
2
訂→
t
どこ
乃
一 席論叢 第六 十 二 者 第二 号 ( 4 0 )
弓
訂n
苫仁
雪ト
七
千昌t
訂
賢覧
{
訂ロe
~
-FO
司
弓e
㌻
遼訂
已Hf
呂苫Eロg
訂冒e
ロ2
d
yO
仁
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笥
孟
邑-
P
00
p
∵、
--
LO
F
弓
当日2
呂N
2
ぎ巴s
-
O
F
d-
2
琵
ゴe
葛e
昌日。
邑e
日
日巴
Fe→
望-
f
打P
芦
We
巨空-
nO
阜
w岩
.
d
仁
眉日e
詔t
e
n
日巴
巴2
P
2 .
f
01
日P
宏
計→
哲官○
どe-
ロP
け
日算
-W
i
2
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N
≠
2e
邑e
ロ
日巴
賀冒g∽
-
-のOt
t
ゝ邑3
ま→
笥訂Q
革:
We
呂-
ぷe
邑et
弓
監
琶Ee
f
的
e
ぎ
岩訂
昏
已e
冒-
i
邑-
訂亀
d仁
q
芸箪
へ
へ
(
英語
版二
一
ペ
ー
ジ、
ド
イ
ツ
語
版二
六
ペ
ー
ジ)
。
こ
の
比
較か
ら
わ
か
る
よ
う
に、
英
語で
は
終
始、
過
去形が
用い
られ
て
い
る
の
に
反し
、
一ド
イ
ツ
語で
は
そ
こ
に
現
在完
了
形が
来て
い
る
場合が
あ
っ
て、
二
つ
の
こ
と
ばの
間
に
は
敵齢が
あ
る。
も
ち
ろ
ん、
二
つ
の
異なる
こ
と
ば
の
問に
髄
齢が
あ
る
の
は
む
し
ろ
当
然で
あっ
て、
あ
や
し
む
に
は
あ
た
ら
ない
。
とこ
ろ
が
同
じド
イツ
語の
同じ
文
脈に
お
い
て、
こ
の
二
つ
の
時称が
併用さ
れ
て
い
て、
そ
の
際、
一
見
し
た
と
こ
ろ、
明
確な
意味
上の
差異が
感じ
ら
れ
ない
よ
うに
思わ
れ
る
例が
、
枚挙に
い
と
ま
ない
の
で
あ
る。
た
と
えば
冒t
O-
t
哲dO
Ft
、の
戯曲
、
}
もー
①
Aロ∽
ロ
㌻2e
仁
已
巴e
声e
ge-
:
は
次打
よ
うな
語
句で
終る
ーこ
S。
e
日
算盲
-
e
のe
琶巳
邑e
e
どeH
声e
訂
芸F→
訂賢一
首九
ぎ
β
邑
誉ぎg
屯
蛋訂
ミH
F
:鼓岩監
ぎーi
O
g
お一
⊥
臣払
}
2日e
昆○
ユ
く。
旨○
日日e
n
計十
・
。
(
中
宮e
O
ぎのe払
P
RT
日e-
t
e
W2
旨e
N-
∽・
00N
N、
嬰ト
F
詩P
2p
くe
きP
g】
句
旨日付
2ユ
P
声-
諾○
。
また
同じ
く
守eO
ど
の
詩こ
De
巨岩Fe
切
望ロ.
詫言
蒜、
、
の
最初の
二
節を
び
い
て
み
よ
う
ー
Ei
ロe∽
岩F¢
ロe
ロ
→
品e∽
訂臣Ee
ロ
ロn仏
日β仏
e
→
e
Oす0
→
ロ
D訂
E2i
ロe
望p
dt
D野口
巴g
f
守仏
岩・
N
仁
e
3
訂岩
.
Wi
l
巴ロみ
2芹
→
岩村∽
仁n-
皆目b2
3i
β
冒-
2
n
e-
ロ的
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b→
00
Fe
ロ
弓打
笥Q
訂註爪
さ
e∽
-
ロ
みりe-
表1
00
F
望-
.
のOtt
宮司p
F→
仁日払
一
日ロ2
∽
琶Fか
ロe
ロ
→
品2仏
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P
Ee
日
日nS
仁日仏
e
→
e
O
訂コP
宅01
弓e
的2
日
仁ロみ
句1
年戸
村
諾どF
旨→
巴e
N
仁
e
冒
訂り
ロ.
Wi
l
払
訂--
ロ
20
⊇1
e
的モ
ロ
ロ
邑芳賀打
邑O
F2
Fge
す00
どロ
W打
ぎ訂さ
巴-
e払
等乱他
誌
-
日
N
弓e
芹e
ロ
ー
p
官
許
琵已
W00
Fe
n.
のOtt
be
弓P
F→
日日野
(
のe
払
p
日日e-
t
e
We
詩e
h-
叩
-
諾¢)
第一
節と
第二
節と
の
構造は
ほ
と
ん
ど
同じ
だ■が
、
た
だ
四
( 4 1 ) ドイ ツ 語の 現 在完了 形と過 去 形 の 差 異に つ い て
行目の
時称
だ
けが
異な
っ
て
い
るひ
技巧上
か
ら
言え
ば、
同
じ
形
式の
繰り
返
しと
、
内
容の
微妙な
喰い
遠い
と
を
重
ね
合
わ
せ
た
方が
よ
い
と
思
われ
る。
、こ
の
こ
と
を
考え
て
か、
あ
る
い
は
ま
た、
い
われ
る
哲3やFe
已訂P
に
する
た
めの
作曲上
の
便宜
を
考えて
か、
作曲
家
H
呂n∽
空巴e
廿
は、
こ
の
詩を
少し
変え
、
と
り
わ
け、
第一
節四
行目
を
二
節に
合わ
せ
て
現
在完了
形に
改め
て
い
る
(
官eO
E
役者
、
]
野口
賢
哲-仏
O
F
の
吹
き
込ん
だ
レ
コ
ー
ド
に
よ
る)
。
別に
聖
賢→
又
は
申-
筈F
に
責任
を
転
嫁すか
つ
も
り
は・
ない
が、
と
に
か
く二
人は
、
こ
の
二
つ
の
時称の
問に
存する
か
為
知れ
ない
差異を
無視し
、
二
つ
を
同じ
もの
と
し
て
取
り
扱っ
て
い
る
の
で
あ
る。
こ
うし
て
み
る
と、
現
代ド
イ
ツ
語に
お
い
て、
現
在
完了
形
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過
去
形ほ
、
完全
なシ
ノ
ニ
ム
なの
だ
ろ
うか
。
こ
の
こ
と
を
あ
る
濯
度明
らか
に
する
の
が、
こ
の
小
論の
目的で
あ
る。
l
二
つ
の
時称の
歴史的な
発展
ド
イ
ツ
語の
元
来の
時称が
、
現
在形と
過
去形の
二
つ
で
あ
っ
て、
他は
すべ
て
時
間的
に
お
く
れ
て
成
立
した
もの
で
あ
る
こ
と
は、
現
代ド
イ
ツ
語の
時称のゝ
つ
ち、
現
在形と
過去形以
外は
、
す、
ぺ
て
い
おゆ
る汁
彗一口形
で
あ
る
と
い
う、
現
在の
状
態
か
ら
もわ
か
る
が、
こ
の
こ
と
は、
ド
イ
ツ
語史
を
見て
み
る
と、
よ
り
い
っ
そ
うはっ
き
り
する
。
当
面の
主
題で
あ
る
退
去時称
に
つ
い
て
言え
ば、
元
来の
時称で
あ
る
過
去形の
使用領域が
、
二
次
的に
成
立
した
現
在完了
形(
及び
過
去完了
形)
に
よっ
て、
次
第に
侵蝕さ
れ
て
行く
過
程が
、
歴
史的に
跡付
け
ら
れ
る
の
で
あ
る。
ゲ
ル
マ
ン
語の
古形
をもっ
と
も
よ
く止
め
て
い
るゴ
ー
ト
語
に
お
い
て
も、
時称と
して
は、
現在
形と
過
去
形しか
ない
。
唯一
の
過
去時称で
あ
る
過
去形は
、
句e
昌平ロ
ー
呂○
訟か
に
ま
れ
ば、
主と
して
、
ギ
リ
シ
ャ
語の
未完了
過
去形
、
ア
オ
リ
ス
ト
形、
及び
過
去完了
形に
よ
る
表現
を
再
現
する
の
に
用い
ら
れ
て
い
る。
ギ
リ
シ
ャ
語の
現
在
完了
形に
よ
る
表現は
、
完了
した
事象か
ら
帰結す
る
現
在の
状
態の
表現が
茸で
あ
る
場合
に
は
現
在形
、
他の
場
合に
は
大低
、
過
去形に
よ
っ
て
再
現さ
れ
る
(
句・
声-
告
告白e
-
d
e
-
p
-
P】
長
房gOt
首
琵〉
A≠
已e
J
吋P
ユ∽
-
苫N
、
∽・
-
$)
。
注目
すべ
きは
、
い
わ
ゆ
る
非完結相
と
完結相
とい
う、
二
つ
の
動作相
(
A打ti
O
n∽
賀t
)
の
区
別で
あっ
て、
ゴ
ー
ト
語に
お
い
て
も、
こ
の
区
別が
、
時称
形に
よ
る
区
別に
優先
し、
そ
れ
を
あ
る
程度
、
代
行し
て
い
た。
動作
畑
一 橋論叢 第 六 十 二 巻 第 二 号 ( 4 2 )
相と
い
う
難問に
こ
こ
で
く
わ
し
く
立
ち
入る
余裕は
ない
。
従
っ
て
こ
こ
で
は、
非完結相
と
完結相の
二
つ
を、
概別
する
に
止
め
る
が、
こ
れ
は
要する
に、
あ
る
動作の
発端と
終末を
度
外
視し
、
もっ
ぱ
らそ
の
中
問、
過
鍵を
表現
する
場合(
非完
結相)
と、
何らか
の
意味で
発端
、
も
し
くは
終
末、
あ
る
い
は
そ
の
両
方
を
含む
動作を
表現
する
場合(
完結相)
との
区
別の
こ
とで
、
そ
れ
ほ
現
代ド
イ
ツ
語に
も、
あ
る
程度生
きて
い
る。
た
と
え
ば
ふ
つ
う、
払
O
E已e
ロ
「
眠っ
て
い
る+
は
非
完
結相
動詞
、
e
訂琶已已e
ロ
「
眠り
込
む+
は
完結相
動詞と
見
倣
さ
れ
る。
こ
の
例か
ら
も
わ
か
る
よ
うに
、
通
常、
単純動詞は
非完結相的で
あ
り、
複合
動詞は
完結相的で
あ
る
が、
も
ち
ろ
ん、
そ
うで
ない
こ
と
も
あ
る。
さ
ら
に
区
別
すれ
ば、
動作
相
と
は、
辞
書に
記載さ
れ
て
い
る、
い
わ
ば
客観的
な
語義上
の
区
別で
あっ
て、
そ
の
点、
動作の
展開に
対
す
る
主
観的
な
立
場決定に
か
か
わる
ア
ス
ペ
ク
ト
(
た
と
え
ば
フ
ラ
ン
ス
語の
i
日p
弓f
邑と
層化
乳
玖
日甘e
の
対
立の
ご
と
き)
と
は
異な
る。
こ
の
相の
区
別に
関し
、
ゲル
マ
ン
語に
お
い
て
とり
わ
け
重
要なの
が、
ゴ
ー
ト
語で
は
gp
-、
古
高ド
イ
ツ
語で
は
笥1
又は
的-
1、
中高ド
イ
ツ
語で
は
笥1とい
う
形で
あ
ら
わ
れ
る
前つ
づ
り
で
あ
っ
て、
こ
れ
は
非完結相を
持つ
動詞
を、
完
∽
結相
を
持つ
動詞に
変える
働き
を
有し
て
い
た
(
た
と
え
ば、
ゴ
ー
ト
語の
賢呂-1こ
賢琵ロ
ヘ
ヘ
「
すわ
っ
て
い
る+
に
対
し、
笥賢呂は
、
一
首O
F
邑N
昌。
「
すわ
る+
の
意
味を
持つ)
。
我
々
の
テ
ー
マ
に
関連する
こ
と
は、
ギ
リ
シ
ャ
語の
現
在完了
形、
過
去完了
形、
及び
ア
オ
リ
ス
ト
形を
再現
する
場合
、
ゴ
ー
ト
語で
は
し
ば
し
ば、
こ
の
前つ
づ
り
笥-を
活用した
こ
と
で
あ
る。
た
と
え
ば
乱司巾
ミ七
3
とい
う
評昆e
村t
は、
笥t
岩戸P
(
=
訂F
Eロ
昏e→N
e一
品t
)
と
い
う
ふ
う
に、
gP
+t
2仁P
(
=
(
1)
t
岩5p
ロ
の
現
在形)
の
形で
再現さ
れ
る。
ま
た
叫
「
一
袋も持
と
い
うア
オ
リ
ス
ト
形は
、
巨e--
d
p
(
=こ
∽○
す訂げ
。
)
で
は
な
く、
gP
日e--
臣(
=こ
S
O
Fユb
♂
p
已
J
と
い
う形で
訳さ
れ
る
(
呂?
の
臥
に
よ
る)
。
こ
の
前つ
づ
り
に
よ
る
相の
転換は
、
そ
の
後、
古高ド
イ
ツ
語を
経て
中高ド
イ
ツ
語に
至
る
ま
で
に
衰え
な
が
ら
も
生きつ
づ
け
る
(
た
と
え
ば
p
g▲
旦r
日日P
ロ
=こ
巴
旨牢ロ・
払
t
岩ロge
ロ
:
‥
g-
まロnP
ロ
=こ
血
F
3F
Ans
t
1
モ
ロ的
已-
g
O
R2
r
旨e
ロ
。
い
日
E.
芸1
-
的e
ロ
=こ
琶F
弓2
首e
n
:
‥
的2
芸1
-
ge
n
=
こ
諾邑仁
日計e
㌔
宏声)
。
現
代ド
イ
ツ
語で
は、
こ
の
前つ
づ
り
は
す
で
に
自由な
合
成
能力を
失なっ
て
い
る
が、
こ
れ
ほ
相
の
区
別の
重
視が
次
第に
減退
して
行っ
た
こ
と、
ぶ
よ
び、
複合
( 4 3 ) ドイ ツ 語 の 現 在完 了形 と過 去形 の 差 異 に つ い て
時称の
発
達と
も、
か
か
わ
り
を
持つ
こ
とで
あ
ろ
う。
要する
に、
ゴ
ー
ト
語、
古高ド
イ
ツ
語、
そ
し
て
ま
た
あ
る
程度ま
で
は
中
高ド
イ
ツ
語に
お
い
て
も、
完了
形と
い
う
文
法
形
式の
代
り
に、
前つ
づ
り
に
よ
る
相の
区
別
が、
完了
を
表
現
する
横能
を
果た
して
い
た
の
で
あ
る。
元
来の
過
去形に
対
し、
FP
訂n
又は
の
軋ロ
の
現
在形と
動
詞の
過
去分
詞と
の
結合に
よ
る
現
在
完
了
形は
、
周
知の
如く
、
当
初は
現
在形の
一
種で
あっ
た。
た
と
え
ば
I
O
F
Fp
訂d
監
田⊆
U
ビ
的e
2
邑わ
P
は、
元
来は
、
H
O
F
FP
訂
昏P玖
村∈
早已班
2小
n
ge
℡←
n(
訂βe∽
.
「
私は
そ
の
本を
見
出さ
れ
た
も
の
と
し
て
持つ+
で
あ
り、
出汀
i
賢
g
ef
巴-
e
P
は
]
腎-
訂
惣
已切
e-
n
のef
巴-
e
ロe
り
d
P
「
彼は
戦死
した
も
の
と
し
て
そ
こ
に
横た
わ
っ
て
い
る+
で
あ
っ
て、
ge
ど日払
bロ
及び
的e
許-
-
e
ロ
ほ、
い
ずれ
も一
種の
形
容詞と
■し
て、
先行
する
目
的
語乃
至
主
語に
か
か
っ
て
い
た。
事実
、
古い
段階の
ド
イ
ツ
語に
お
い
て
は、
ま
だ
こ
れ
らの
語は
、
目的
語、
乃
至
主
語と
の
間に
形式上の
(
2)
一
致
を
守っ
て
い
る。
すな
わ
ち
そ
れ
は
あ
く
まで
も
現
在形の
一
種で
あっ
た。
しか
しそ
の
後、
次
第に
こ
の
一
致が
守られ
な
く
な
り、
そ
れ
と
共に
、
過
去の
行為が
及ぼ
す
現
在の
結果
の
表現
とい
うこ
と
か
ら、
そ
の
過
去の
行
為自体の
表現へ
と、
意味が
移り
変っ
て
行っ
た。
つ
ま
り、
現
在と
の
関連が
考え
られ
ない
よ
う
な
過
去の
行為の
表
現
に
も、
現
在
完了
形が
用い
られ
る
とい
う
意味で
、
現
在完了
形が
過
去形の
分
野を
侵す
とい
う
こ
と
が
始
ま
る
(
H一
吋p
已}
Ue
ま筈Fe
GH
p
m一
m邑
i
村、
†
出Pロ
d-
ソ
ロe
日e
y
eり
Y
H已訂
-
巴ヅ
∽.
こ
○。
こ
の
変遷は
、
フ
ラ
ン
ス
語の
勺P∽
臥
00
日pO
臥
が
勺P
訟か
巴
日旦e
の
分
野を
侵して
行く
過
超と
平行して
い
る。
イエ
ス
ペ
ル
セ
ン
に
よ
れ
ば、
「
完了
形の
過
去
形へ
の
推
移は
、
広
く一
般
的な
傾向に
基づ
く
も
の
の
よ
う
に
思
わ
れ+
英語
の
d
岩d
d、
∽
p
ロg-
Fe-
払
など
も
「
元
来は
完了
形だっ
た
も
の
が、
現
在と
い
う要素を
失なっ
て
純然た
る
退
去時制に
なっ
て
し
まっ
た+
もの
で、
同
様の
現
象は
、
イ
ン
ド・
ヨ
ー
ロ
ッ
パ
語の
み
な
ら
ず、
マ
ジ
ャ
ー
ル
諸に
お
い
て
も
見
ら
れ
る
由で
あ
る
(
イエ
ス
ペ
ル
セ
ン
、
文
法の
原理
、
半田
一
郎訳
、
岩波書
店、
一
九
六
七、
三
八
六ペ
ー
ジ)
。
確か
に、
過
去の
行為か
ら
帰結する
現
在の
状
態の
表現と
い
うこ
と
と、
そ
の
過
去の
行為そ
の
も
の
の
表現
とい
うこ
と
とは
、
混
同さ
れ
や
すい
。
E→
F
邑
ei
ロ
琶Fひ
ロe払
呂加
古〇
Fe
ロ
的e
Fe-
1
pt
e
t.
とい
う
文か
ら、
結婚に
よっ
て
得た
美
しい
妻
を
現
在持
っ
て
い
る
とい
う
表象と
共に
、
結婚に
よ
っ
て
得た
也
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第二 号 ( 4 4 )
とい
う
過
去の
行為自
体の
表象を
も
同
時に
受け
取る
の■は
自
然で
あ
る。
そ
して
後者の
表象の
進出に
つ
い
て、
フ
ラ
ン
ス
の
文
法家は
、
現
在形が
過
去の
事柄の
表現に
用い
られ
る
よ
ぅに
、
文に
生
気を
与
え
る
意図か
ら、
ま
ず教養の
高く
ない
階叔の
日
常語に
お
い
て、
こ
の
意味の
拡
張が
生
じ
た
と
推測
して
い
る
(
フ
ラ
ン
ス
語単
文
庫8
、
動詞
、
白水
社、
一
九五
六、
八
八ペ
ー
ジ)
。
こ
の
推測が
、
ド
イ
ツ
語の
現
在
完了
形
の
意味の
拡
張過
程に
も
妥
当
する
か
ど
うか
、
はっ
きり
と
ほ
わ
か
ら
ない
。
し
か
し、
こ
の
現
象の
発端が
ド
イ
ツ
語に
お
い
て
も
口
語に
お
い
て
見
ら
れ
る
こ
と
か
ら、
そ
う
考え
て
も
よ
い
と
思わ
れ
る。
要する
に、
現
在
完了
形は
、
そ
れ
が
形式と
し
て
確立
する
やい
なや
、
過
去形と
競合関係に
入り
、
そ
の
領域を
次
第に
侵して
行くの
で
あ
る。
F00
打
弓00
d
は、
お
そ
くと
も
十二
世
紀ご
ろ、
口
語に
お
け
る
過
去形は
、
現
在
完了
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よっ
て
とっ
て
代ら
れ
た
と
推定
して
い
る
(
W.
甲F00
対
句00
d〉
H-
賢○
ユ○
巴Ge
り
日p
ロ
晋nt
p
メ
○
已O
a
-
芸∞
、
S.
-
N
N
)
, 。
事実
、
こ
の
辺の
消
息は
、
日
EJ
の
叙事詩に
よっ
て
知る
こ
と
が
出来る
。
こ
こ
で
は
現
在完了
形が
会話の
テ
ン
ス
と
し
て、
過
去形が
叙述の
テ
ン
ス
と
し
て
あ
ら
わ
れ
て
い
■る
。
た
と
え
ば、
毘P
ユ2P
ββ
召n
A亡¢
の
由一.
⊥
De→
告日e
出e
5.
ユの
F
の
一
節を
び
い
て
み
ょ
う
一覧払
p
冒O
F
i
O
F
日日O
N
e
ロg
e-
t
e
ミロ
どe
∽
Fe
∃e
ロ
N
品e
Fe
F\
ヨー
H
計
恥
邑
巴e
-
Ft
e
ヨ計詮記
さ\
計r
N
gさ
i
c
F
冨-
bO
弓○-
軍治
訂声
「
彼女は
言っ
た、
あ
た
し
は
殿様の
気怯れ
の
た
め、
び
ど
い
目に
会
う
ん
だ
わ。
人々
の
評判の
間違
っ
て
い
た
こ
と
を、
あ
た
しは
は
っ
き
り.
と
知り
ま
し
七。
+
三二
〇
~一
三
二
三
行。
(
相
良守峯
、
中
高ド
イ
ツ
語
文
法、
南江
堂、
一
九
五
三、
一
一
二
ペ
ー
ジ)
。
しか
し、
前述の
前つ
づ
り
的e
-に
よ
る
完結相
化が
ま
だ
あ
る
程度生
きて
い
た
し、
ま
た
い
くつ
か
の
動詞の
過
去分
詞
が
欠
けて
い
た
こ
上
か
ら
も
わ
か
る
よ
うに
、
現
在完了
形の
使
用
範囲は
、
現
代ド
イ
ツ
語
ほ
ど
広くは
なか
っ
た。
そ
して
、
呂どFe-
払
も
言っ
■て
い
る
よ
うに
、
現
在完了
形が
、
叙事詩に
お
ける
地
の
文頂
ど
に
用い
られ
る
過
去形に
代る
こ
と
は、
ま
だ
な
かっ
た
ら
し
い
(
くどt
O→
胃-
O
Fe】
∽-
呂芹t
e-
FOロ
ビde
苧
訂O
Fe
払
E-
e
日e
已巴
+
♂
∈〕
F-
Cp
ユ
WFt
e
→、
He一
山
b-
げ0
→粥
-
やN
-、
∽.
心
O
N
)
。
現
在完了
形が
叙
述の
テ
ン
ス.
と
して
も
用い
られ
る
よ
うに
なる
の
は、
一
四
世
紀に
なっ
て
か
ちの
こ
と
で、
しか
も
こ
れ
J
( 4 5 ) ドイ ツ 語 の 現 在完 了形 と過 去形 の 差異 に つ い て
は、
はっ
きり
と
口
語、
J
の
る
い
は
方
言の
特徴を
持つ
文に
多
い
(
ど。
打
w。
阜
前掲書
、
一
二
二
ペ
ー
ジ)
。
た
と
え
ば
F
苧
t
Feり
ほ、
そ
の
聖書訳に
お
い
て、
地の
文に
、
歴史的に
正
し
い
過
去形
を
用い
て
い
る
が、
宮訂打ロ
ほ一
三
四
三
年、
○
賢
邑t
邑計ま胃F
で
あ
ら
わ
し
た
日
昌日
管-
訂n
ぎ臣
に
お
い
て、
しば
しば
現
尭完了
形を
用い
て
い
る
-(
卜
己t
Fe
ユ
5n
訂∽
莞1
旨ヨ喜
貧血
賢O
F
已e-
く○-
訂N
仁
旨2
〉
巴琶、
へ
Fむ
e
り
i
ロ
dP∽
.哲E持
t
岩t
声ロト
s
邑.
-
(
申e
訂一
日)
中ロA
5 ・
】
e
功○
訂り
e
乳
邑
昌○
-
日2
笥旨∋
鳶邑
、
巴∽
中
計心
訂1
已四
訂ど
i
ロ
e
F
旨E
哲-
ぎ
声】
邑払
P
申
しか
し、
ど○
打
弓0
0
d
に
よ
る
と、
「
已Fe
l
も
決して
常に
こ
の
区
別を
守っ
て
い
た
わ
けで
は
な
く、
・く
だ
け
た
調
子の
文に
は、
現在
完了
形
を
多用して
い
る
-E払
ど→
ぎ叶
2P
ロ
亡口四
巴器
q
項→
乱一
昔、
d
邑
ま→
巴e
He
琵ge
n
容】
-
e
P
早口
訂t
e
ロ、
d
邑
巴e
日日
琵
3
句
守Ett
e
→
琵i
e
β
ge
的e
ロ
GOt
t
"
臣P
乱さ私
宅有
望-
日日
笥e
:-
e
訂口
句
昌仁
q
乱臣
ぶ甘さ
仁
邑
訂訂芦
乳e
昌→
賀r
t
t-
e
ユ口
篭喜
莞ぎ
こ
の
現
在完了
形の
進出は
、
とり
わ
け
両独で
は、
い
わ
ゆ
る
過
去形
消滅(
邑
臣gt
琶Fe→
守賢e]
き日
日胃F
弓
已-
d)
に
よっ
て、
助
長さ
れ
る。
こ
れ
は
過
去形が
完全
に
消滅し
、
現
在完了
形
が
唯一
の
過
去噂称と
なる
現
象で
、
こ
の
原因
は、
こ
の
地
方
の
方
言に
見られ
る
語
尾
省略の
傾向
(
たと
え
ば、
e
→
∽
品t
e
が
e
:品
t
、
と
なっ
て、
現
在
形
の
e
2品
什
と
区
別
で
き
る)
と
も
か
か
わ
り
を
持つ
と
さ
れ
て
い
る。
we
Fユb
F
に
よ
れ
ば一
五
世
紀後半か
ら、
甫独で
は
現
在
完了
形の
進出が
目
立
ち
始
め、
一
六
世
紀前半に
なる
と
過
去形
、
過
去完了
形は
、
も
は
や
全く
見
られ
なく
なる
と
の
こ
と
で
あ
る
(
ロ
W①-
苧
ユ
阜→e
2勺
岳、
訂∽
笥00
訂ロe
仁】
邑e→
N
抑
Et
e
We-
t、
内O
E・
訂ヨm2
J
望まt
的P
畏-
芸♪
∽.
N
冒)
。
し
か
し、
こ
の
現
象を
時期的に
明
確に
区
切
る
こ
と
は
む
ず
か
しい
。
む
し
ろ、
こ
れ
は、
ド
イ
ツ
語の
歴史を
通
じて
持続
的に
見
ら
れ
る
語尾
弱化とい
う大き
な
傾向の
一
部と
し
て
考
察さ
れ
る
べ
きで
あ
ろ
う。
そ
し
て
ま
た、
こ
の
よ
う
な
形
式上
の
理
由と
並ん
で、
さ
き
ほ
ど
述べ
た、
現
在完了
形の
過
去形
へ
の
移行とい
う、
ひ
ろ
く一
般的
な
傾向の
一
部と
し
て
見る
観点
をも
忘れ
て
は
な
ら
ない
。
要する
に、
過
去形は
文
語的
、
現
在完了
形は
口
語的とい
ぅ区
別ほ
あ
る
が、
両
者と
も
退
去時称に
属する
、
但し
、
現
在
完了形の
進出は
、
時と
する
と
過
去形の
領域
を
侵しか
ね
ない
勢い
を
持っ
て
い
て、
こ
の
こ
と
は
南
部に
お
い
て
い
ち
じ
っ
J
る
しい
とい
う
状感は
、
どt
Fe
→
時代に
すで
に
確立
し
て
い
出
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第 二 号 ( 4 6 )
た
の
で
あっ
て、
こ
れ
は、
本質的に
は
今
日
も
変
ら
な
い。
P
已
訂→
訳の
聖
書の
句
は、
現
代語
訳で
も
同
様に
、
過
去
形
を
用い
て
訳
さ
れ
て
い
る
1UP
岩∋ヨ各
叩
3
巴O
F
的
3白
面
く○-
打払
m琵琶P
仁
2ト
ビロ
〉
弓e払
F
巴♂
e
→
i
n
e
F
せ0
0t
払
ti
e
g
仁nA
巴O
F
dO
ユ
n-
e
d
e
詔et
Nt
e
∴・
(
Ze
亡
b∽
→e
賢p
日e
已、
He
?
血
b
ワせ中ロ
Fe→ei
,
句→e-
♂串→
的
-
貰ぃ
)
い
00
→t
争乱
ぎ思
3S
どF
切
0
5 .
e-
e
呂e
ロ∽
○
訂β
日
日
旨ロ
ー
d
P
玩
e
H
i
ロ
e
F田00t
m
t
訂的
≠ロー
乳O
F
詔t
注e∴
=
(
D
監
宅e
声e
→e∽t
P
日e
nt
-
声
訂→t
⊇呵e
n
ddロ
ー
腎g
翌日付
、
内H
e
ロ甲
くe
ユp
的-
St
已t
g
P→t
-
ま山
)
。
しか
し、
口
語調で
は、
す
く
な
く
も
冒
頭の
文
ほ、
OP
計
白
訂さ
m
6.
F
的
3
賢
く○】
訂日p
琵e
β
臼
mi
F口
篭旨∋ヨ
冬叩
(
O
d.
e
電蓄ヨ∋
整)
…‥・
と
現
在完了
形で
書くで
あ
ろ
う
し、
こ
れ
が
口
語調で
あ
る
とい
う意識も
、
次
第に
薄らい
で
き
て
い
る
と
言っ
て
もよ
ヽ
0
-
レ
とは
い
え、
事態は
流動
的で
あ
る。
現在
完了
形の
伸長は
確か
だ
と
し
て
も、
そ
の
反
面、
そ
れ
と
正
反
対の
傾向
、
す
な
わ
ち、
過去形が
現
在完了
形の
領域を
侵す
傾向
も
見られ
、
ま
た、
こ
の
二
つ
の
時称に
、
明
確な
文体上の
区
別を
与
え
よ
うと
する
動き
も
あ
る。
そ
れ
らの
こ
と
を
あ
る
超度明
らか
に
する
の
が、
次の
テ
ー
マ
に
なる
。
現
在完了
形の
原義が
、
過
去の
行為か
ら
帰結する
現
在の
状
態の
表
現と
い
うこ
とで
あっ
て、
そ
こ
か
ら、
そ
の
過
去の
行
為自
体の
表現へ
と
移っ
て
行っ
た
こ
と
は
前
述の
通
り
で
あ
る。
と
こ
ろで
、
現
在
完了
形と
過
去形が
、
過
去の
事柄の
表
現と
い
う
点で
は
今
や
シ
ノ
ニ
ム
で
あっ
て
も、
前者が
時称と
して
成
立
し、
存在する
に
は、
何ら
か
の
意味で
後者と
の
差
異が
感
じ
られ
て
い
な
けれ
ば
な
ら
ない
。
過
去形に
つ
い
て
も
同
じこ
と
が
言
える
。
一
般に
、
完全
なシ
ノ
ニ
ム
とい
う
もの
は
あ
り
得ない
も
の
で
あっ
て、
た
と
え、
二
つ
の
語な
り、
言
い
方
な
り
が、
用
法
上、
及び
意義上
、
完全に
一
致
し、
相
互
に
交換可
能で
あっ
て
も、
そ
れ
らが
二
つ
の
語で
あ
り、
言い
方で
あ
る
と
い
う
まさ
に
そ
の
こ
と
に
よ
っ
て、
そ
れ
ら
ほ
完全
に
は一
致
して
い
ない
。
現
在
完了
形を
、
過
去形か
ら
区
別
して
い
る
も
の、
そ
れ
は、
そ
の
起原に
お
い
て
は、
現
在
性と
い
うもの
で
あっ
た。
そ
れ
は、
あ
る
程度の
変容をこ
う
む
り
つ
つ
も、
す
く
な
く
と
も
建前と
して
は、
今
日
で
も
そ
う
で
あ
る。
た
と
え
ば]
言n的
(
G→P
日m已芹n
bり
賢.
S
実害
どー
くHB
望♂-
叶
○
的r
P
勺
E胃
訂∽
j 4 4
( 47 ) ドイ ツ 語 の 現 在完了 形 と 過 去形の 差 異に つ い で
㌻賢打
已、
Fe
すN
打
-
讃〇
や
賢訂ロ
(
ロ′
e
ま琶
訂¢
旨m日㌣
t
芹-
句訂O
Fel
く2
ユP
叫、
句り
巴)
村f
已・
什
P‥
芦-
芸∞
)
は、
現
在
の
立
場に
立っ
て
過
去の
事
柄を
確
認
す
る
(
訂∽
t
賢e
亡e
ロ)
と
い
う
態
度を
、
現
在完了
形の
さ
ま
ざ
ま
な
用
法を
支
える
基
盤
と
見
倣し
、
弓e-
日り
どF
は、
前
掲書の
なか
で、
話者の
現
在
と
緊密に
結ば
れ
た、
言
及
(
訂眉詔○
どロ)
とい
う、
よ
り
大
き
な
関連の
な
か
で、
現
在完了
形をと
らえ
る。
そ
して
D
戸
倉ロ
の
曾P
22賢芹(
呂
呂ロ
どrロ
ー
芸か)
で
は、
現在形
と
現
在完了
形と
を
体
験(
E
ユe
訂已、
過
去形と
過
去完了
形
と
を
回
想(
出汀
訂βe
2】
品)
〉
未来形と
未来完了
形と
を
期待(
Eワ
弓
賀t
日
長)
とい
うこ
と
ば
で、
そ
れ
ぞ
れ
特
徴づ
けて
い
る
が、
い
ずれ
も
現
在完了
形を
、
過
去の
事柄と
話者の
現
在と
の
密
接なか
か
わ
り
あ
い
に
お
い
て
と
ら
えて
い
て、
そ
の
点に
過
去
形との
ちが
い
を
見て
い
る
こ
と
で
は
か
わ
り
ない
。
そ
れ
で
は、
こ
の
現
在性は
、
現
在完了
形の
実
際の
用
例の
なか
に、
ど
の
よ
うに
具体化
さ
れ
て
い
る
の
だ
ろ
うか
。
そ
れ
を
考える
の
が
第一
の
課題で
あ
る。
現
在完了
形を
過
去形か
ら
区
別
して
い
る
第二
の
要素と
し
て、
形式上の
差異が
あ
る。
こ
れ
は
至
極当た
り
前の
こ
と
で、
た
と
え
ば、
H
旨Fp
訂ge
∽
e
Fe
P
が、
I
O
F
琵F
と
形
式上
ち
が
うな
ど
とい
うこ
とは
言
うま
で
も
ない
ひ
し
か
し、
こ
の
差
異が
、
こ
の
二
つ
の
時称の
相互
関係に
あ
る
種の
影
響を
及ぼ
し
て
い
る
こ
と
は
香
定で
き
ない
。
そ
れ
を
考える
の
が
第二
の
課題で
あ
る。
2
の
1
日
已e
ロ
の
前
掲香に
よ
る
と、
現
在完了
形の
本
来的
な
意
味は
、
あ
る
事柄が
、
話者の
立
場か
ら
見て
過
ぎ
去っ
て
は
い
る
が、
そ
の
立
場と
関連を
保っ
て
い
る
こ
と
と
さ
れ、
例と
し
て、
朝、
窓越し
に
外
を
見て
、
夜の
うちに
積っ
た
雪を
発見
して
発
する
こ
と
ばは
、
こ
S
訂F
、
e払
ぎt
的e
琶Fn
巴t
二■
で
あ
っ
て
こ
S
訂F
、
e∽
仏口
Fロei
t
e
一
:
で
は
ない
と
し
て
あ
る。
た
し
か
に
こ
の
場
合は
こ
E仏
-
蒜.
的t
Sc
什
巨ee.
:
とい
う
現
在の
状
態
か
ら、
こ
E∽
琶F芦e-
t
e
㌧へ
とい
う
過
去の
出来事へ
と
言
及
す
る
場
合
で、
ほ
か
に
も、
た
と
え
ば
H
O
F
訂訂
m首
g
まe
呂i
t
駕訂訂→
ge
弓○
日日e
ロ.
(
=i
の
F
FP
訂j
eNt
的
まe
呂芹
琶.
訂旨こ
い
E
:仏
{
ge
吋。
日2e
P(
=e
:仏
こet
注
d
P)
こ旨
訂訂e切
詰蒜e
∽
岩2
(
=i
O
F
弓ei
由
e
払
2 .
〇
ど
日e
訂し
とい
ぅふ
うに
、
何等か
の
意味で
現
在形に
書き
改
め
られ
る、
す
な
わ
ち
過
去の
出来事に
よっ
て
生
じた
現
在の
結果を
も
共に
考え
さ
せ
る
よ
うな
現
在完了
形の
用
法が
あ
る。
こ
れ
が、
本
捕
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第 二 号 ( 4 8 )
来の
用
法に
近い
もの
で
あ
る
こ
と
は、
こ
の
時称の
歴史的
概
観の
とこ
ろ
で
述べ
た
こ
と
に
よっ
て
も
わ
か
る。
し
か
し、
結′
果が
現
在に
残っ
て
い
る
とい
うこ
と
は、
現
代ド
イ
ツ
語
で
は
偶然に
過ぎ
ない
よ
うに
思
わ
れ
る。
つ
まり
、
必
ずし
も
そ
う
で
な
け
れ
ば
な
ら
ない
、
と
い
うこ
とは
ない
の
で
あ
る。
D岩
.
佃
ぎ
蒜
賢-
日
-
い.
1
旨旨戸n
計ユ
寛
ぎ已
弓。
ae
n・
は、
現
在残
っ
て
い
る
城塞
を
眼
前に
見て
、
そ
こ
か
ら
過
去に
言い
及ぶ
とい
うふ
うに
も
考え
ら
れ
る
が、
し
か
し、
た
と
え
ば
内○-
仁
mビ
宏Fpt
A
日e
ユ粁p
e
nt
n
わ口
付t
一
とい
う文の
な
か
の
現
在完了
形を
、
発見の
結果と
して
の
ア
メ
リ
カ
が、
現在も
な
お
残っ
て
い
る
とい
うこ
と
と
結び
つ
けて
解
する
の
は、
考え
過
ぎで
あ
ろ
う。
コ
ロ
ン
ブス
の
ア
メ
リ
カ
発見は
、
一
回
限り
の
歴
史上の
出来事と
して
、
ま
さ
に
過
去で
あ
り「
話者の
現
在と
は
間接的に
か
か
わ
る
に
すぎ
ない
か
ら
で
あ
る。
す
なわ
ち、
ド
イ
ツ
語の
現在
完了
形を
貫い
て
い
る
現在
性は
、
か
な
り
主
観的に
解せ
ら
れ
るぺ
き
もの
で
あっ
て、
過
去の
事柄の
時間的な
遠近
、
また
そ
の
事柄か
ら
帰結さ
れ
る
現
在の
状
態
と
も
か
か
わ
り
な
く、
むし
ろ
話者が
そ
の
事柄に
対
して
と
る
態度に
よっ
て
決ま
っ
て
くる
よ
うに
思わ
れ
る。
過
去
形は
、
→F0
2
琵
琶牢ロ
ロ
が
魔の
山の
冒頭で
、
物語
作
家
を
指
し
て
→
p
占ne
已e→
官∽
旨
鼓蒜→
計∽
H
2
甘ユe
打
訂
ガイ⊥
(
囁くよ
うに
過
去を
呼び
だ
して
み
せ
る
語り
手)
と
言っ
て
い
る
よ
うに
、
そ
し
て
また
「
昔々
あ
る
と
こ
ろ
に
ー+
(
訂
弓P
→
e
F日巴T--)
と
い
う出だ
しで
始
まる
お
と
ぎ
ば
な
しに
お
い
て
見
られ
る
よ
うに
、
典型
的
な
物
語の
時称で
あ
牡、
過
去の
出来事へ
の
完全
な
没入
を
特徴と
する
。
も
ち
ろん
、
没
入
とい
う
枠内で
、
話者の
主
観性の
浸透が
見
られ
る
こ
と
は、
い
わ
ゆ
る
体
験話法な
どの
証
する
と
こ
ろ
で
あ
る
が、
そ
れ
は、
話者と
物語の
登
場人
物と
の
同一
化に
基づ
く
もの
で
あ
り、
(
3)
や
は
り
没入
とい
う
態
度か
ら
生
ずる
もの
で
あ
ろ
う。
そ
れ
に
反し
、
現
在完了形
は、
過
去の
事
柄に
言及し
な
が
ら
も、
常
に
身をび
る
が
え
し
て
現在に
移る
潜勢力
を
失な
わ
ない
。
す
な
わ
ち、
過
去形を
没入
的
過
去を
あ
ら
わ
す
時称と
名づ
け
る
と
す
れ
ば、
現
在完了
形は
、
批評的過
去を
あ
ら
わ
す
時称と
で
も
名づ
け
るぺ
き
もの
で
あ
っ
て、
前述し
た
現
在完了
形の
現
在性は
、
こ
の
「
批評
的+
と
い
う
形
容に
ま
ずあ
ら
わ
れ
て
く
る
の
で
あ
る。
こ
の
点に
関して
は、
い
わ
ゆ
る
結末の
完了
形
(
SO
已
畠せe
昆e
村t
)
が
参考に
なる
。
よ
く
引か
れ
る
例だ
が、
We→
旨e→
の
結
末は
次
の
よ
う
に
なっ
て
い
る
一之PO
ど∽
的2
慧n
2-
f
2
-
訂玩
の
:ぎ
呂
巴2
警如
きe
訂内
岩訂ロ
ー
巴e
2ぺ
( 4 9 ) ドイ ツ 語 の 現 在完了 形 と過 去形 の 差異 に つ い て
∽-
已F
e
→
司郎
Et
Fpt
t
e.
ロe→
A-
t
e
f
O-
gt
e
n
わ→
Pe
訂Fe
仁β包
むー
e
Sひ
Fロe
-
A-
g→t
d
d→
mOq
Ft
、
仏
日r
O
E.
呂p
ロ
f
守O
F
訂t
e
宍r
→
「Ott
e
ロ¢
「e
宮戸
Hp
ロみ
弓e→
打e→
t
2的e
ロ
旨P
内8日
Ge
賢-
-
O
Fe
→
ぎ叶
旨ロ
ひ
旦■邑乳.
「
夜の
十一
時ご
ろ、
法官は
、
ウェ
ル
テ
ル
が
み
ずか
ら
え
ら
ん
だ
場所に
、
遺骸を
葬らせ
た。
法官は
、
遺骸に
つ
い
て
い
っ
た。
息子
た
ち
も、
つ
い
て
い
っ
た
が、
ア
ル
ベ
ル
ト
は
同行し
なか
っ
た。
ロ
ブ
テ
の
生
命が
気
づ
か
わ
れ
た
か
ら
で
あ
る。
棺は
、
職人
た
ち
が
か
つ
い
で
い
っ
た。
牧師は
、
ひ
と
り
も
同
行し
な
かっ
た。
+
(
前田
敬作訳
、
人
文
書院
一
九
六四
年)
。
「
か
つ
ぐ+
とい
う
動作
と
「
同
行す
る+
とい
う
動作が
、
時間的に
同
次
元に
属する
もの
で
あ
る
こ
とは
疑い
を
容れ
な
い。
また
動作相の
差異とい
うこ
と
も
考える
必
要は
ない
と
思
わ
れ
る。
する
とこ
こ
で
は、
同
じ
時間
、
同
じ
動作相に
属
す
る
二
つ
の
動作が
、
異な
る
時称に
よっ
て
表現さ
れ
て
い
る
こ
とに
なる
。
時間的乃至
動作相
的差別の
表現で
ない
と
す
れ
ば、
どの
よ
う
な
差別が
表現
さ
れ
て
い
る
の
だ
ろ
うか
。
こ
れ
は、
没入
的過
去か
ら
批評的過
去へ
の
転換
、
すな
わ
ち
過
去の
事柄に
対
する
話
者の
せe
詔やe
材t-
dd
の
転換の
表現
と
い
うふ
うに
考え
られ
る。
す
な
わ
ち、
≠「
ei
弓訂F
に
よ
れ
ば、
形
式的に
は、
そ
れ
まで
の、
主に
過
去形を
つ
ら
ね
た
い
く
つ
か
の
文に
よ
る
叙述は
、
Fp
?…
・
訂g
-
e}
訂t
とい
う枠構造
に
よっ
て、
い
わ
ば
締め
く
く
られ
る。
そ
れ
と
同時に
話
者は
、
過
去の
立
場で
過
去を
語る
態度
、
す
なわ
ち
過去へ
の
没入
か
ら
脱し
、
現
在の
立
場か
ら
過
去を
語る
態度へ
と
移る
。
聞き
手の
立
場か
ら
言え
ば、
我々
は
こ
こ
で、
過
去の
世
界へ
の
没
入、
過
去の
世
界の
人々
と
共に
生
きる
とい
う錯覚か
ら
目
覚
め、
ふ
た
た
び
語り
手
と
聞
き
手と
い
う現
実へ
と
戻る
。
過
去
は
本
来の
距離
感を
急速に
回
復
しっ
つ、
聞き
手の
眼前
か
ら、
しり
ぞ
い
て
行くの
で
あ
る。
こ
の
勺e
記廿e
粁江くe
の
転換は
、
映
画の
結末に
よ
く
用い
られ
る
構図の
転換
、
カ
メ
ラ
が
急速
に
遠の
き、
画
面が
鳥
撤
的に
、
人
物が
豆
粒ほ
ど
に
なっ
て
し
ま
う技法と
も
似て
い
る。
そ
れ
ま
で
い
わ
ば
登
場人
物と
同
じ
世
界に
没入
して
い
た
観客は
、
こ
の
構図の
転換に
よっ
て、
再び
映
画
館の
座席に
坐っ
て
い
る
自
分とい
う
現
実へ
と
連れ
戻さ
れ
る。
物語の
世
界か
ら
現
実へ
の
復帰
、
距離
感の
回
復
とい
う
意
味で
、
上
例の
過
去形か
ら
現在
完了
形へ
の
転換は
、
こ
の
カ
メ
ラ
ア
イ
の
移動と
似た
機能を
果た
し
て
い
る
の
で
あ
る。
we
訂ユO
F
の
い
わ
ゆる
物語の
世
界(
e
り
臥Et
e
We-
t
)
▲7
と
言
及の
世
界(
訂り
p
30
Fe
ロe
宅e-
t
)
との
対
立
ほ、
時間性
招
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第 二 号 ( 5 0 )
の
極
端な
否定と
い
うこ
と
を
別
に
すれ
ば、
こ
の
官記
電灯・
t-
七
d
の
転換と
結び
つ
けて
考える
と、
や
は
り
正
し
い
指
摘
で
あ
る
と
思
わ
れ
る。
こ
の
逆の
過
程は
、
い
わ
ゆる
導
入
の
現
在
完
了
形(
E
F・
的牢ロ
g
葛e
昆e
吋什
-
晋-
訂¢ロ
屈託①
吋t
)
に
お
い
て
認
め
る
こ
と
が
で
きる
。
た
と
え
ば
→FO
m琵
Ep
ロ日
の
短篇
口
髭
E訂e
苧
ぎP
Fn仁日g
-
出
5村
は、
次の
よ
う
に
始
ま
る
-吋什
弓P∽
e
岩抑
F
-
e
n~
A
訂→
i
O
F
弓e
岩
2 .
〇
E払.
G声t
}
巴琶
どF
弓e
邑e
et
弓
監
eり
鼓巳e
ロ.
\
担r
日
日
阜e払
i
仏t
琶FO
P
N
e
Fロ
l
p
F
記
Feリ
ー
訂訂
6.
F
e
ど
日払
e
ロ
訂Fロ白日g
-
串○
村
∋
署内→、
岩Q
ぎ…こ
の
よ
うに
現
在形と
現
在完了
形を
主
に
使っ
た
導入
部の
後、
H
O
F
2F→
臣P
日巴∽
npO
F
UH
訳a
bn∴
‥
とい
うふ
うに
、
本来の
叙述が
過
去形で
始め
られ
る。
映
画の
例を
ま
た
引
く
と、
こ
れ
は
さ
き
ほ
どの
逆で
、
ま
ず鳥
轍シ
ー
ン
が
映っ
て、
そ
れ
か
らカ
メ
ラ
を
そ
の
な
か
の
一
つ
へ
と
合わ
せ
て
行く
過
程と
似て
い
る。
そ
し
て
こ
の
際、
現
在の
立
場か
ら
過
去を
と
ら
え、
過
去へ
の
没
入の
橋渡しの
役割を
果た
して
い
る
の
が、
現
在完了
形なの
で
あ
る。
こ
の
機能は
別に
物語に
か
ぎ
ら
ず、
た
と
え
ば
次の
新聞
記事に
お
い
て
も
観察で
きる
-
の
3βN
毒
害Fe
ロ
de
ご、
Uロ声
:
ぎ訂芦
F
計り
宅琶Ft
N
さ
日
野口
已p
粥
e
Fe
n
空喜Ft
くe
諾
喜F
づ0
ロ
N
弓e-
戸口
訂訂口
已e
P
胡イ
⊥
勺e
誌○
βe
日
日PO
F
We
賢
由e
ユ
ど
罵言
札
邑叶
.
Ge
ge
日中
g→
n
b→
P訂Ft
e
ユe】
血
b→
NO
ne
n内
諾ロN
e
弓声
ae
ロ
く○
ロ
e-
βe
2
W覧F
t
2+
日-
い
E∽
N
O
哲F辞
琵e
p
声∽
呂琵O
Eβ①
ロ
官賢0-
e
日
日βP
e
Fe
g
2日e
Fe
∈U
ど好日ge
-
p
ge
琶FO払∽
e
n.
We∽
千
野ユ
訂e→
ワU-
訂訂t
ぎF
賢t
e
日
計n
声
已‥
こ
H巳什
-
St
e
Fe
β
Ee
旨e
P
て{
河戸【
N
幹P
旨已
川
訂○
ぎO
Ft
et
e
ロ
∽
首
弓訂N
弓e一
句e
記O
ne
ロ
目許
e→
FO
訂ロe
P
H抑
β払
わロ
p亡
玩
ei
ロe
日
Pp
已g
記.
宮口
FeH
p
亡玩
p
すge
旨F叫t
宅
弓計P
(
句
AN
-
-
ヰ.
Apユー
ー
一
芸ヱ
ま
ず現
在
の
立
易か
ら、
過去の
出来事を
概括的に
と
ら
え、
次に
そ
の
出来事を
過
去形で
詳述する
。
こ
の
導入
部の
現
在
完了
形ほ
、
(
4)
一
つ
の
文
体
上の
定
石に
なっ
て
い
る
とい
っ
て
も
よ
い。
こ
の
よ
うに
現
在完了
形は
、
本来の
退
去時称で
あ
る
過
去
形に
よっ
て
叙述さ
れ
る
過
去と
、
話者と
聞き
手の
現
在と
を
伸介し
、
橋渡し
する
機能を
持っ
て
い
る。
そ
し
て
こ
の
機能
か
ら
考え
て、
そ
れ
が、
過
去の
事柄の
ま
と
ま
り
の
あ
る
叙述
よ
り
は、
む
し
ろ
個々
の
事実の
指摘
、
過
去の
事柄に
対
する
判断
、
結論
、
要約と
い
う
色
彩
を
帯び
や
すい
こ
と
は
うな
ず
けよ
う。
さ
き
ほ
ど
引い
た
弓e
ユFe→
の
結末に
用い
ら
れ
て
い
る
現
在完了
形も
、
物語の
世
界か
らの
訣別と
い
う
機能の
( 5 1 ) ドイ ツ 語 の 現 在完了 形 と 過 去形 の 差異に つ い て
ほ
か
に、
多くの
人々
が
拇
格
し
て
い
る
よ>
}
に、
毛e
ユ
訂l
の
自
殺に
対
す
る
ゲー
テ
の
意識的な
距離設
定と
い
う機
能を
も
果た
し
て
い
る
の
で
あ
ろ
う。
す
な
わ
ち、
内e
ど
のe
+賢
-
ど
訂→
訂t
旨口
訂巴e
芹et
.
とい
う文は
、
も
は
や
物語の
連関か
ら
解き
放た
れ、
本
来の
距離を
お
い
て
顧り
見
ら
れ
た
過
去で
あ
り、
過
去へ
の
没
入
か
らの
転身とい
う意味で
ほ
客観性の
回
復、
話
者の
立
場と
の
結び
つ
きとい
う意味で
は
主
観性の
回
復を
伴なっ
た
過
去なの
で
あ
る。
こ
の
二
重
性を
正
し
く
認
識する
こ
と
が、
現
在
完了
形を
理
解する
鍵に
な
る
と
考え
られ
る。
こ
の
際、
動作相
に
閲し
、
吋e
昆①
村t
とい
う名
称か
らは
完結相が
考え
ら
れ
る
が、
そ
れ
は
狭義の
完
結相と
は
異なる
。
た
と
え
ば
E→
∽
旨-
-
e
〓呂的
P
と
全
く
同
様に
、
EH
FPt
】
p
n
笥的e
旨E巴e
P
と
言え
る。
た
だ
し
後者は
、
動作を
全
体と
し
て、
過
去の
連関か
らつ
か
み
と
る
とい
う感じ
が
強く
、
そ
の
点、
広義の
完結相に
属する
と
言え
る
か
も
知れ
ない
。
とこ
ろで
、
こ
の
話者の
立
場と
の
結び
つ
きを
極端に
強調
する
上、
た
と
え
ば
ー
OSt
ゴ訂1
が
述べ
て
い
る
よ
うな
解釈
が
出て
くる
。
ゴ訂1
は、
盗
み
を
働い
て
法廷で
裁か
れ
る
被
告が
、
裁判
官の
問い
に
対し
、
こ
ー
ぎ
どF
ぎ訂
計ロ
N
弓
賀軋g
・
才
寛粁
琶
訂㌻
き日
㌻計
邑筈F
笥
きヨヨ申
戸~
~
と
答え
た
場
合と
、
こ
甘こO
F
さP計
ヨ
血
bロ
N
司
言N
好日
買付払
O
Fei
ロ
d
d
日
「
邑e
已訂q
F.
へ
へ
と
答え
た
場合と
を
比
較し
て
い
る。
現
在完了
形で
答え
た
場合
、
被告は
自分が
犯し
た
過
去の
罪と
、
今そ
の
た
め
に
裁か
れ
て
い
る
自分と
を
意識の
上
で
切
り
離して
い
ない
の
に
対
し、
過
去形で
答え
た
場合
、
過
去を
現
在か
ら
切
り
離し
、
自分をい
わ
ば
物語の
一
登
場人
物ど
し
て
し
まっ
て
い
る。
こ
の
よ
うに
し
て
過
去の
罪をぼ
や
か
し、
現在の
裁き
をま
ぬ
が
れ
よ
うと
す
る
被告の
心の
動き
を
見
抜くた
め
に
は、
別に
心理
学者の
桐眼
を
必
要と
し
ない
、
とい
うの
が
→り
訂→
の
説で
あ
る(
J.
→.
-
Pロ
巴○
訂り
Fe}
t
e
ロi
ロ
ビe
已-
ge
ロ
ロe
ま苦F
ど
こ
S
官+
PO
Fロ○り
日、
S
胃琶Fp
哲ge
-
仰
甘
旨O
F村
ユ什
芹:
、
∽
訂F
弓P
日日
ー
D声
訟e-
n
b
昆
-
心
示∞
-
∽.
〓
持)
。
しか
し、
過
去形と
現
在
完了
形と
の
問に
は、
こ
の
よ
うな
差異が
常に
明
確に
感じ
ら
れ
て
い
る
の
だ
ろ
うか
。
意地の
悪
い
見方
を
すれ
ば、
実情が
そ
うで
ない
か
らこ
そ、
こ
の
差異
が
力
説さ
れ
る
の
だ
と
も
考え
ら
れ
る。
事実
、
→ユe→
は
そ
の
論文の
終り
の
部分で
、
こ
の
差
異に
対
す
る
感じ
が
次
第に
失
な
わ
れ
て
行くの
を
嘆い
て
い
る
の
で
あっ
て、
実
情は
、
前述
し
た
現
在完了
形の
二
重
性は
次
第.に
失な
わ
れ、
ま
た、
現
在
畑
L
一 橋論叢 第六 十 二 巷 第 二 号 ( 5 2 )
完了
形と
過
去形が
領域を
侵犯
し
あ
う
例が
し
ば
し
ば
見ら
れ
る
の
で
あ
る。
そ
の
こ
と
を
次に
扱っ
て
み
よ
う。
2
の
2
現
在完了
形が
現
代ド
イ
ツ
語に
お
い
て、
ほ
と
ん
ど
もっ
ぱ
ら
退
去時称と
し
て
用い
ら
れ
て
い
る
こ
とに
つ
い
て
は、
次の
よ
う
な
統計数字が
あ
る。
合計六
時間に
及
ぶ
さ
ま
ざ
ま
七会
話の
録
音に
お
い
て、
現
在
完了
形が
五
〇五
回
用い
られ
た。
そ
れ
を
時間の
表現と
い
う
観点か
ら
分
類し
て
み
る
と、
四
七
一
回、
パ
ー
セ
ン
テ
ー
ジ
に
して
九三・
三
%が
、
現在と
直接
か
か
わ
り
の
ない
過
去の
表現に
用い
ら
れ、
三一
回、
六・
一
%が
現
在と
か
か
わ
り
の
あ
る
過
去(
-
et
N
t
ぎ訂n
ま=
-
日払
鶏e
A
已gP
訂ge】
紆t
.
の
如き)
の
表現
、
残り
三
回、
〇・
六
%
が
そ
の
他の
場合に
用い
られ
た
(
Wロビe】
臼
∽O
F
日i
dt
、
H∽
t
dp∽
m
b
已筈Fe
勺e
昆e
打t
e-
n
く2り
的甲ロ
ge
ロFe
旨t
e
日り声∽
~
ど
こ
De
已払O
F
巴¢
勺
3日d∽
宅琶Fe
。-
-
芸∞
-
ヰ.
He
早
Pe
首N-
g〉
S.
-
当~N
O
土。
哲ビ
日-
き
は、
現在
完了
形が
そ
の
名称に
反し
て
主とし
て
退
去時称と
し
て
用い
ら
れ
る
こ
と
を
確認する
に
止
ま
り、
それ
と
過
去形との
競合
関係に
言及
する
こ
と
は
し
て
い
ない
。
し
か
し、
現
在完了形
が
過
去形と
全
く
同じ
く
退
去
時称と
し
て
用い
られ
る
とい
うこ
とは
、
前者が
後者の
領域
を
侵して
し
まっ
て
い
る
こ
との
証左
で
あ
ろ
う。
こ
の
こ
と
は
細.丁・-
口
語一
般に
つ
い
て
言え
る
こ
と
で
あ
る
が、
と
り
わ
け
両
独に
お
い
て
は
現
在完了
形が
唯一
の
退
去時称と
なっ
た
結果
、
元
来の
完了
を
あ
ら
わ
す
形式と
し
て
い
わ
ゆ
る
重
複
合
形(
H
O
F
訂訂
慧-
e
芳ロ
ge
Fp
宮
こO
F
En
ei
nge
∽
8r
-
pf
e
ロ
笥弓e
∽
e
n)
が
出来て
い
る
(H
ロg
ユー
D
阜
内
已・
詣
血
b
ま琶
訂
∽
呵
nt
p
メ
サ
コe
日e
叫
dJ
→串b
ど
笥ロ
ー
況N
、
∽.
-
志)
。
過
去
形と
い
う
対立
を
失
なっ
た
とこ
ろで
は、
そ
れ
に
よっ
て
支え
られ
て
い
る
現
在完了
形の
ニ
ュ
ア
ン
ス
も
失な
わ
れ
て
い
る
の
は
無論の
こ
と
で
ある
。
文
語、
及び
北
独の
口
語
に
お
い
て
は、
過
去形ほ
比
較的よ
く
保た
れ
て
い
る
が、
し
か
し
大
勢と
して
ほ、
過
去時称は
次
第に
現
在完了
一
本に
なりつ
つ
あ
る
と
言っ
て
も
よ
い
だ
ろ
う。
We
ど
弓
邑F
が
過
去形
を
「
物語の
世
界+
切
時称に
数
え
入
れ、
そ
の
時間
性よ
り
も
物語性を
重
視す
る
の
も、
過
去時
称
と
し
て
の
過
去形の
衰
退と
関係が
あ
ろ
う。
し
か
も
す
で
に
押○
等的
ge
→
や
→FO
日P
な
どの
南独
作家
は、
ま
と
ま
り
の
あ
る
過
去の
叙述に
も
現
在完了
形を
用い
て
い
る
し、
同
じこ
と
は
次の
→Fe
O
包
b→
An
b→
ロ○
の
発言に
つ
い
て
も
観察で
きる
ー…や
訂→
i
O
F
ぎ訂
n
訂
日巳払
首的e
日仏
et
弓
監
笥旨革
w
思
( 5 3 ) ドイ ツ 語 の 現 在完了形 と過 去形 の 差異 に つ い て
斥ロ
日
吉e-
ぎ1
P
已
廿1
P
灯t
㌃
岩
訂A
ど6
.
ne
ロ
P
ゲ叩
eN
岩.
-
什
F
賢t
e.
∽ei
t(
訂
目
e∽
-
日
出e
ユ
F
-
まN
N
β
日
e→
∽
訂n
m巴
N
ロ
e小
口e
ロ
N-
1
村
岳
ge
ge
ロ
m-
O
F
笥ぎ∋3
S
訂叶
-
訂ひ
S
訂芝目2t
e
G
2p
官口
弓0
日
St
邑e
已e
日
計日
日e→
J
ユe
計→
e
等
旨Q
ぎ
邑O
F
昌1
哲-
-
d
P
邑賢
昌N
まn
慧ロ
}
已-
み
胃P
紆-i
琶
どA村t-
○
冒日
昌ロ
2-
→
焉ミ
§早
口
監
訂訂
訂F
悪
書乳笥註.
(
:
内e-
ne
Aロg
監
召→
計2
E-
訂口
訂-
邑
弓日
こβ
こ
冒W
り
S
甘e
的e-
。〉
へ
へ
い・
E巴-
¢
慧Y
-
叩
N
O
古.
し
か
し、
現
在完了形の
一
般的
浸
透に
対し
、
い
くつ
か
の
動詞は
よ
く
耐え
て
い
る。
そ
れ
は
た
と
え
ば、
邑ロ
、
FP
宮口
、
及び
話法の
助
動詞な
どの
い
わ
ゆる
過
去現
在動詞で
あっ
て、
こ
れ
ら
は
よ
く
保た
れ
て
い
る
に
止
ま
ら
ず、
時と
する
と
現
在
完了
形の
本来の
領域を
侵し
さ
え
す
る。
た
と
え
ば、
儲
書
(
弓P
F
ユ的、
U
覧
g
3
紆
d
e
已岩Fe
W腎t
e
旨口
早
官ユ0
訂.
日p
ロロ
、
G
已e
邑。
F
-
諾〇
で
は、
正三e什
Nt
と
い
う
説明が
与
ぇ
ら
れ
て
い
て、
あ
き
らか
に
過
去を
現在へ
と
引
き
寄せ
る
働
き
を
持つ
副詞
官許e
→
な
どと
共に
司
駕
を
用い
、
哲
宅
弓
e
払
す
弓O
EP
ロO
F
g
旨空ノ
と
言うこ
と
も
出来る
。
こ
れ
は、
W汀
訂訂さ
ひ
訂
訂1
βロ
弓p
ぎ旨
訂F-
6.
訂∽
G-
ぎ村
q
鼓乳汁
と
全
く
同
じに
、
きわ
め
て
ふ
つ
うの
文
で
あ
る。
また
E
旨2
n
は、
FP
be
ロ
又
は
邑ロ
と
過
去分
詞と
の
鑑
み
合わ
せ
と
い
う
現
在
完了
形の
形の
冗
長
を
避けて
、
た
と
え
ば
H
旨
g言
d
O
ユ
慧
§h
3
日
已
訂訂
的et
呂-
W
琵
6・
F
笥
ぎさ
邑
訂訂
の
代り
に、
H
O
打
電
弓
dO→t
已-
み
訂r
訂的e
訂ロ
、
弓監
i
O
F
ぎ
喜訂.
と
す
る、
と
言っ
て
い
る
が、
事実
、
現在
完了
形
は
時と
し
て
こ
の
例の
よ
うに
、
もっ
ぱ
ら
形
式的な
理
由か
ら、
過
去形に
よっ
て
代
られ
る
こ
と
が
あ
る。
た
と
え
ば、
○オ
∽
e
呂.
W2
叶
打
p
ロO
F
く○
β
巴e仏
0
日
Ges
e
日払
t
P
ロみ
FPロn
b-
t
①、
ま宏2
日
弓叫
1
2 .
〇
ど〉
弓2
亡
仁n払
訂訂2
2
旨聖ge
A訂O
F
2 .
許
e
→
F
巴t
e
n
已i
eJ
(
=ge
b-
訂
訂n
i
芦)
人POn
打
弓00
き
前掲書
、
一
二
五
ペ
ー
ジ)
。
また
、
次の
例も
、
形
式
上の
理
由か
ら
二
つ
の
時称が
並
列
さ
れ
て
い
る
と
み
ら
れ
る
-H
す
内○-
-
e
的e
∴・
訂t
ge
岩
倉
甘什
Nt
i
ロ
e
Fe
日
A
已夢t
N
望-
的e
箆p
n血
bn
-
dp
玩
巴e
哲亡d①
nt
e
n
こ
廿Fp
ロ{
P
乱e
→
e
ど
訂n
勺
3づ0
打pt-
0
2 .
日
宏へ
h
3
さ叫
琵
ぎ訂芦
仁}
乙.
まサ村-
どF
2什
wP∽
N
仁
知
日
計3e
等ヨQ
鼓訂声
(
こ
ロe
→
m
甘i
e
仏
e-
:}
汁
呂已-
宗や.
S.
N
O
古。
また
、
現
在完了
形は
、
正
置法
、
倒置
法に
お
い
て、
過
去
分
詞
を
文
末に
置い
た
い
わ
ゆ
る
枠構造
を
形づ
くる
。
現
代ド
一
⊥
イ
ツ
語で
は
枠構造を
守ろ
うと
す
る
傾向
と、
そ
れ
を
避けよ
〃
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第 二 号 ( 5 4 )
(
5)
う
と
する
傾向との
併存が
見
られ
る
が、
次の
例は
後の
理
由
か
ら、
現
在完了
形を
避け
て
過
去
形を
用い
た
もの
と
考え
ら
れ
る
-‥
2e
仏
e
内P→t
e
3叫
声P計
ヨー
O
F
血
b
日
田∈
U
F
…。
こ
れ
は
よ
く
本に
は
さ
み
こ
ん
で
あ
る
愛読者カ
ー
ド
に
印
刷さ
れ
て
い
る
文で
、
計日
出
喜F
以
下に
著者
名と
書
名を
書き入
れ
る
余
白が
あ
る。
こ
の
余白を
十
分に
残
す
必
要か
ら、
枠構造を
避
けて
過
去形を
用い
た
と
思わ
れ
る。
も
ち
ろん
、
Ui
e
笛
内P
ユe
計
白
訂-
O
F
3ぎQ
∋∋
§d
e
日
田己
b
F‥
、
と
い
うふ
うに
、
過
去
分
詞を
くり
あ
げて
枠構
造を
避け
る
こ
と
も
可能で
あ
る。
以上
は
主
と
し
て
形式上の
顧慮か
ら、
現
在完了
形の
代り
に
過
去形が
選ば
れ
る
場合で
、
前
述した
二
つ
の
時称の
形
式
の
差が
、
両
者の
相互
関
係に
ある
種の
影
響を
及ぼ
し
て
い
る
こ
と
が
わ
か
る。
こ
れ
と
は
すこ
し
事情が
異なる
が、
い
わ
ゆ
る
如
賢
訂t
e
ロ.
勺
鼓t
e
→
訂仁
日
の
問題が
あ
る。
こ
れ
は
当
然現在
完了
形
を
予
想さ
せ
る
個所に
過
去形を
用
い、
一
種の
A
3F
巴s
日
宏
に
ょっ
て
文体上の
効果を
挙げ
よ
う
と
する
試み
で
あっ
て、
そ
れ
に
よっ
て
得ら
れ
る
効果
は、
文の
壮
重
化、
調
子の
高まり
な
ど
で
あ
る
が、
こ
れ
がパ
ロ
ディ
ー
の
役割を
果た
すこ
と
も
も
ち
ろん
あ
る。
→ユe
H
に
ょ
る
と、
ラ
ジ
オ
の
ア
ナ
ウ
ン
ス
の
き
まり
文
句こ
哲わ
已マ訂㌻
e
訂n
…へ
へ
も、
多少
気取
っ
た
不
焔
自然な
感じ
か
ら、
全
く自
由で
は
ない
そ
うで
あ
る
(
ナ
→.
、
前掲書
、
二
三
ペ
ー
ジ)
。
た
し
か
に、
こ
0巨
象
弓訂叶
、
弓e
ロ
ト亡
Pe
訂e
払
「e
♂e
n仏
日
訂
ぎ
2e
F→
f
づO
F
宅e
ae
n
村○
ゴロt
e∽
「へ
へ
の
中
の
賢
覧訂什
は、
当
然予
想さ
れ
る
0ロ
巴亀
笥紅
弓訂さ
に
く
らぺ
て、
そ
の
A
3F
巳∽
日日∽
に
よっ
て、
発言の
調
子
を
高め
(
6)
て
い
る。
守口
賢
河○
訂ユ
C
弓t
訂∽
の
死に
際し
、
あ
る
新聞
が
見
出
しに
掲
げ
た
と
い
う、
こ
出
旨
d
e
ま告げ
b→
F巴e
訂e
り
亀e
・
㌢:
に
つ
い
て
も、
同
じこ
と
が
言え
よ
う。
,要
約すれ
ば、
退
去時林と
し
て
の
現
在完了
形の
進出は
否
定で
き
ない
事実で
あ
る
が、
そ
れ
と
同
時に
過
去形の
進出も
見ら
れ
る。
後者は
、
り
特
定の
動詞の
過
去形の
保存
、
吻
現在
完了
形の
反
復の
防止
、
川
枠構造の
阻
止、
叫
如?
t
Fet
e
口
実賢e
H
き≠
日
に
よ
る
文
体
上の
効果
、
と
い
う
四つ
の
要
素に
要約出来よ
う。
し
か
し、
こ
の
う
ち、
Uは
、
い
わ
ば
歴
史的な
発展に
取り
残さ
れ
た
特
定の
動詞に
か
か
わ
り、
切、
川、
川は
現
在完了
形に
よ
る
過
去の
叙述の
ヴァ
リエ
ー
シ
ョ
ン
で
あっ
て、
こ
れ
らの
こ
と
が、
過
去形が
退
去時称と
して
、
現在
完了
形と
対
立し
て
い
た
往時の
状
態の
リバ
イバ
ル
と
結
び
つ
く
か
ど
うか
は、
きわ
めて
凝わ
しい
。
す鬼
わ
ち
過
去形
( 5 5 ) ドイ ツ 語 の 現 在完了 形 と過 去形 の 差異 に つ い て
は
次
第に
現
在完了
形に
対
する
補助
的
役割し
か
果た
さ
な
く
なっ
て
き
て
い
る。
,そ
れ
と
共に
、
両
者の
問に
存す
る
差異
、
現在
完了
形に
お
ける
現
在
性、
過
去に
お
け
る
過
去へ
の
没入
とい
うニ
ュ
ア
ン
ス
の
差
異も
、
次
第に
失な
わ
れ
つ
つ
あ
る
と
言っ
て
も
よ
い
だ
ろ
う。
結
語
現
在完了
形が
、
現
在と
の
関連を
失
なっ
て、
単なる
過
去
時称に
なる
傾向は
、
び
ろ
く一
般的な
も
の
で
あ
る
こ
と
は
前
述し
た。
も
ち
ろん
、
過
去現
在動
詞の
よ
うに
、
元
来は
過
去
形で
あっ
た
も
の
が、
そ
の
過
去性を
失なっ
て
現
在形の
一
種
に
なっ
た
り、
また
英語の
現
在完了
形の
よ
うに
、
現
在と
の
関
連を
表面に
出しつ
つ
発展
して
きた
逆の
例も
あ
る。
し
か
し
ド
イ一ッ
語の
現
在完了
形は
、
一
般的傾
向に
従っ
て、
退
去時
称の
一
種と
なっ
た。
こ
れ
に
よ
っ
て
生じ
た
穴を
埋
め
る
た
め
に、
現
代ド
イ
ツ
語に
お
い
て
は、
現
在時に
お
ける
完了
を、
過
去形(
!)
、
あ
る
い
は
現
在形で
表現し
ょ
う
と
す
る
動き
が
あ
る。
た
と
え
ば、
sOe
訂口
等→缶
訂g向
日β∽
巴e
ZpO
Fり
訂Ft
}
d
邑…に
お
ける
過
去形は
、
FPt
…e
∃e-
c
ど
と
い
う
現
在完了
形の
代り
をし
て
い
る
と
み
ら
れ
る。
そ
れ
と
全
く
同心よ
うに
S
Oe
宮口
等言計
監
日日∽
巴e
Z
覧F→ト
O
E∴
=
と
現
在形で
表現
す
る
こ
と
も
で
き
る。
こ
と
ばの
発展の
予
測は
む
ずか
し
い。
しか
し
現
在完了
形
が
過
去を
表現
する
主
た
る
時称と
な
り、
過
去
形は
そ
の
補助
的役割を
果た
すと
い
う傾向
が
強ま
る
の
は
確か
だ
ろ
う。
事
に
よ
る
と
完了
を
表現
する
手
段と
し
て、
現
在形と
過
去形の
用法の
拡
大が
見られ
、
そ
の
結果
、
現
在完了
形と
過
去形の
用
法
が
逆転する
こ
と
が
あ
る
か
も
知れ
ない
。
さ
らに
空
想を
達し
く
す
れ
ば、
現
在完了
形は
退
去時
称と
し
て
確立
し
た
後、
そ
の
役目を
終え
て
文
語
的と
な
り、
未知の
、
完了
を
あ
ら
わ
す
新し
い
形
式が
、
再び
新た
な
退
去時
称と
し
て
発
展を
始め
る
か
も
知れ
ない
。
-了
1
(
1)
弘
前大
学
講師
下
宮
忠
雄
氏の
教
示に
よ
る。
同
氏に
よ
れ
ば
gp
+
現
在
形は
、
ギ
リ
シ
ャ
語の
未来
形を
訳
すの
に
も
し
ば
し
ば
用い
られ
る
由で
あ
る。
(
2)
た
と
え
ば
Ot
富む
に
は
巴e
e-
g
仁n
m-
→
g
FO
ヨP
n
坪ロ
ーー
○け
声ロ
d
コー
ビF
日ぎ巴-
.
(
=巴e
FP
一
誌n
喜一
→
ヨe-
ne
n
-
-
e
訂ロ
He
コロ
粥e
nO
ヨヨe
P)
とい
う一
致が
あ
る。
し
か
し
同じ
Ot
・
f
ユP
中に
も一
致の
行
な
わ
れて
い
ない
例も
あ
り、
ま
た一
一
世
っ
∂
紀の
初
め、
た
と
え
ば
ZOt
打2
1
ほ
出
巨
Fp
雇已
巴0
巴→
已e-
○
〃
一 橋論叢 第 六 十 二 巻 第二 号 ( 56 )
ge
計ロ。
gt
・
(
=ソ
Fn
訂訂n
巴e
d
r
さ
訂-
ge
計n
F)
とい
ぅ、
現
代ド
イ
ツ
語と
同
じ
構造
を
用
い
て
い
る。
(
P
岩村
弓旨払
、
後出
書、
一
一
五
ペ
ー
ジ)
。
フ
ラ
ン
ス
語
も
同
じ
で、
古
く
は
→p-
訂ユ
昔]
戸
口2
-
et
t
声
と
並
ん
で、
盲-
仁
ロe
-
et
t
→
e
か
胃-
t
2・
の
形
が
用い
ら
れ
「
私は
書か
れ
た
手
紙を
現
に
今
持っ
て
い
る+
の
意を
表わ
し
た
(
フ
ラ
ン
ス
語
単文
庫、
動詞1
、
八
八ペ
ー
ジ)
。
また
現
代ド
イ
ツ
語で
も、
た
と
え
ば、
Ue
→
W-
き
訂什
計β
空-
訂ge
n
賀巾
de
ロ
∽
どP∽
的e
の
訂ヨ
ヨ什
亡
邑d¢
日
野0
官i
β
計り
H
賀P
ge∽
t
已許
な
ど
の
F
邑
ほ、
時の
助
動詞
で
は
な
く、
計ロ
E-
-
bO
的e
n
と
計日
田○
又
を
持つ
本
来の
他
動
詞
「
もつ
+
で
あ
り、
過
去
分
詞
は
状
況
語と
し
て
用い
ら
れ
て
い
る
と
見
るぺ
きで
ある
(
ド
イ
ツ
語
単
文庫6
、
受動と
時
称、
一
八一
ペ
ー
ジ)
。
(
3)
た
と
え
ば、
∽
邑慧1
は、
あ
る
種の
過
去
形
は、
現
在
形
と
交
換する
こ
と
が
出
来る
ほ
ど、
身近
か
で、
へ
だ
た
りの
ない
も
の
で
あ
り
得る
こ
と
を
指
摘
し
て
い
る
(
G
岩n
きe
聖+
-
-
訂
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