トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と...

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トヨタ自動車株式会社 FC技術・開発部 小島 康一 渡部 麻美子 トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と展望

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Page 1: トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と …...トヨタ自動車株式会社 FC技術・開発部 小島 康一 渡部 麻美子 トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と展望

トヨタ自動車株式会社 FC技術・開発部

小島 康一 渡部 麻美子

トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と展望

Page 2: トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と …...トヨタ自動車株式会社 FC技術・開発部 小島 康一 渡部 麻美子 トヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と展望

サステイナブルなモビリティ社会

誰もが自由に

より快適・安心に

クリーンに持続的に

モビリティを利用できる社会

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エコカーは、普及してこそ環境への貢献

省エネルギー

燃料多様化への対応

トヨタの基本スタンス

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FCVのうれしさ

エネルギーの多様化

ゼロエミッション

走りの楽しさ

使い勝手の良さ

大容量電源供給(災害時等)

優れた加速性能

静粛性

水素充填時間(3分程度)

航続距離

氷点下動力性能(-30℃)

MIRAIがもたらすFCVのうれしさ ・・・MIRAIでのブラッシュアップポイント

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主要コンポーネント FC昇圧コンバーター FCスタック

駆動用バッテリー

高圧水素タンク パワーコントロールユニット モーター

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トヨタFCスタック トヨタFCスタック(発電部)

FC昇圧コンバーター

補機部

種類:固体高分子形 最高出力:114 kW (155 PS) 体積出力密度:3.1 kW/L 加湿方式:内部循環方式(加湿器レス)

水素循環ポンプ等

最大出力電圧:650 V 相数:4 相

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新型FCスタックの高出力密度化(高性能化・小型化)

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新型FCスタックの高出力密度化(高性能化・小型化)

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新型セルの高性能化 (1) セル流路構造の革新(空気極)

新型セル(MIRAI)

排水性と空気の拡散性を同時に向上させ、セル面内の均一な発電を実現

空気

水素

生成した水は親水化した3Dファインメッシュ流路によって 速やかに吸い出され、水づまりによる空気の流れ阻害を防止

2008年型セル

空気 水素

流路のリブ幅が大きい

発電により生成した水で流路が閉塞しやすく、 空気の流れを阻害

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新型セルの高性能化(2)電極の革新

電解質膜の薄膜化、ガス拡散層の拡散性向上、 触媒の高活性化により電極反応を大幅に向上

ガス拡散層:基材の低密度化・薄層化 ⇒ガス拡散性を2倍に向上

触媒層:反応性の高いPt/Co合金触媒 ⇒活性を1.8倍に向上

電解質膜:1/3に薄膜化 ⇒プロトン伝導性を3倍に向上

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11 FCスタック

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内部循環方式(加湿器レス)

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高圧水素タンク

炭素繊維強化プラスチック層構成の革新により軽量化 世界トップレベルのタンク貯蔵性能5.7wt%を実現

公称使用圧力 70 MPa(約700気圧)

タンク貯蔵性能 5.7 wt%(世界トップレベル)

タンク内容積 122.4 L(前方60.0 L、後方62.4 L)

水素貯蔵量 約5.0 kg

主要諸元

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水素充填

新充填規格(日・米・欧共通)に対応し、3分程度の充填時間を実現

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FC昇圧コンバーター

最大出力電圧 650 V

体積 13 L

相数 4 相

冷却方法 水冷

主要諸元

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氷点下動力性能(1)氷点下性能の向上

■氷点下始動直後の発電性能の向上 ・セル流路・電極の高性能化 ・セル内の水分量制御技術の確立 ■暖気性能の向上 ・FCスタックの高出力密度による熱容量低減 ・燃料電池急速暖機制御技術の確立

-30℃からの始動を可能にし、実使用上満足できる始動直後の出力を確保

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氷点下動力性能(2)極寒地評価の例

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大容量外部電源供給システム

MIRAIから供給可能な電力量は約60kWhで、最大9kWの電力供給が可能

供給電力量

約60kWh

最大供給電力

9kWh

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大容量外部電源供給システム

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NEDOの成果の活用

MIRAIの開発過程でNEDO事業の成果を活用させていただきました

①触媒・電解質膜の劣化メカニズム・新規解析手法 ②高圧水素環境下での材料特性 ③水素安全評価技術 ④国際標準化 加えて、企業・研究者の裾野を広げていただき、個社の研究開発が 活発になり、種々の提案を企業・研究者からいただける頻度が増加

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サステイナブルなモビリティ社会を支えるエネルギー利用

電気と水素を活用し、多様なエネルギーから成り立っている社会

EV・PHV 蓄電設備

火力発電

発電ユニット

自動車燃料

水素タンク

バイオマス

下水処理

太陽光

風力 再生可能 エネルギー

化石燃料 電気グリッド

水素グリッド

水素-電力 変換

大量・長期保存

水電解

産業利用

都市・家庭

電気

エネルギーの流れ

水素

化石燃料 FCV・FCバス

都市・家庭

都市・家庭

HV

製油所・ 化学プラント

化学プラント

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ハンブルグ市の再生可能エネルギーを活用した水素利用①

風力発電の余剰電力で水素を製造 日当たり250kgを製造 FCバスを10台運行

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風力

水電気分解

水素ステーション

ハンブルグ市の再生可能エネルギーを活用した水素利用②

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水素ステーション

ハンブルグ市の再生可能エネルギーを活用した水素利用③

水電気分解装置 (1台約7千万円)

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2020年以降のゼロエミッション車に変える

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運行開始日 2015年1月9日(金) 運行事業者 名鉄バス(株)豊田営業所 運行路線 とよたおいでんバス「豊田東環状線」(豊田市~三河豊田駅前) 3往復/日(月曜日を除く) 使用台数 1台

燃料電池バス

NEDOの委託で技術研究組合「次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構」が実施

FC昇圧コンバーターにSiCダイオードを搭載

高品質なSiCウェーハ技術を活用 (下記プロジェクトの成果)

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ご静聴ありがとうございました