マレーシアの新たな 間接税環境に備える...tae 5...

8
Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 1 Volume 6 - Issue 2 – 2018516マレーシアの新たな 間接税環境に備える

Upload: others

Post on 21-May-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 1

Volume 6 - Issue 2 – 2018年5月16日

マレーシアの新たな間接税環境に備える

Page 2: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 2

「物品サービス税(GST)から売上サービス税(SST)への移行は、比較的短期間に 行われる可能性が高く、慎重な対応と管理が求められます。

企業は、円滑な移行を確実にし、予期せぬ落とし穴を避け、新たな好機をつかむために充分な取り組み、リソースを配備する 必要があります。

マレーシアへの適切な投資を促し、新しい経済への転換を促す税制優遇措置の改善も行われると私たちは見込んでいます」

“Yeo Eng PingEY ASEAN 税務マネージングパートナー

Page 3: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 3

新しい税務環境

マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービス税(GST)を0%課税にするとを発表しました。すでに非課税とされている供給には適用されません。また、すべてのGST登録事業者は引き続き、現行の他のすべてのGST要件の対象となることが明らかにされています。

この暫定措置は、GST制度から売上サービス税(SST)への完全移行をより緩やかにし、ビジネスの混乱を最小限に抑えることができるため、適切なものと言えます。また、新しいSSTを策定する中で、政府がより多くの意見を集めるための時間に余裕をもたらします。新しいSSTの導入は、事業活動に細やかな配慮を施し、税制変更に伴うリソースとコストを念頭に置いて行われることが望まれます。

本書は、SSTへの移行において、一般的に重要と考えられる留意事項に焦点を当てて解説しています。今回の変更がビジネスにどのような影響を与えるかを検討する際に、本書が一助となれば幸いです。政策立案者にフィード バックを早い段階で伝えることにもお役立ていただけると考えています。最終的には、政府と企業が協働で取り組み、円滑な移行につながることが期待されています。

では、他の税金には変更があるのでしょうか?

私たちは今後いくつかの政策転換を予想してい ます。

• 政府が競争優位性のある税率を維持しながら、 社会及び開発計画をどのように実施し、資金を提供するかを検討する中での租税政策と枠組みの包括的な見直し: 潜在的に、新しい税金が検討され る可能性もあります

• マレーシアをより魅力的な投資先とするための長期的な計画の一環として、マレーシアへの適切な投資を促進するための税制優遇措置の精緻化

• 中小企業など特定のセクターへの支援に注力

• 協力的なコンプライアンスを奨励し、税務執行が適切な手段で行われるようなアプローチを確実にするための執行と税務調査の評価

• 2018年6月1日よりGSTの税率を0%に変更

• すでに非課税扱いとなっている供給には適用されない

• GST登録事業者は引き続き、他のすべてのGST要件対象

• 以下の官報通達の撤回

• 0%税率対象供給

• GST免除措置

• フリーゾーン(自由貿易地)における供給

• 指定地域における供給

• GST対象の政府機関による供給

主要な税制変更

Page 4: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 4

主な留意事項

0%税率のGST

• 以下を含むGSTルール及びコンプライアンス義務は継続して適用されます

• GST申告書の提出

• タックスインボイスの発行

• 該当する場合は仕入税額控除の申請

• 貸倒金調整

• 企業は価格設定、システムなどについて0%税率通達の影響を理解する必要があります

• 課税事業者登録抹消時にGST税務調査が行われる可能性がありますので、GSTの廃止後も取引記録は引き続き維持する必要があります。税務調査は供給時点から7年間は実施される可能性があります

SSTへの移行

• SSTへの移行期にまたがる以下のような問題を理解し、対処する必要があります

• 「長期」サービス契約

• 手持ち在庫

• 繰延収益及び前払費用

• 仕入先からのタックスインボイス受領の遅延

• GST最終申告における混合供給についての年間調整及び資本財の調整の対処

• SSTの対象となる具体的な物品やサービス、並びに価格設定(価格統制及び不当価格防止法を考慮)やシステムの再構築などのビジネスへの影響を理解する必要があります

SSTは、2015年4月1日にGSTに移行するまで、40年にわたりマレーシアで実施されてきました。

GSTと以前のSST制度との比較を以下に要約します:GST対SST

GST(物品サービス税) SST(売上サービス税)

多段階課税 一段階課税

(特に除外されていない限り)輸入を含むすべて物品 及びサービスに課税

国内で製造及び輸入されたすべての物品及び特定の 所定のサービスに課税

• 標準税率 - 6%• 特定の供給は、0%課税、非課税、又は免除措置の対象

• 売上税 - 5%~25%• サービス税 - 6%

50万リンギットの基準値に達すると登録義務(任意登録も可能)

売上税: 年間売上高が10万リンギットを超える場合は ライセンスの取得が必要サービス税: 0から300万リンギットまでの範囲の登録 基準値

仮払税額は仮受税額に対して相殺可能 仕入税額控除の仕組みはなし

申告月次、隔月、又は四半期に提出(代替申告期間を申請することも可能) 隔月の申告書提出

Page 5: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

5

サービス税のまとめ1975年サービス税法• 課税対象者 - 課税対象者として規定された者• 課税対象サービス - 課税対象規定されるサービス

課税対象者 課税サービス

25室超のホテル

25室超のホテル内のレストラン

25部屋以下のホテルのレストラン (年間売上高合計3百万リンギット超)

ホテル外のレストラン (年間売上高合計300万リンギット超)

宿泊施設、飲食、宴会・会議スペース、 その他の関連物品・サービス、駐車場等

プライベートクラブ (年間売上高合計30万リンギット超)

レクリエーションサービス、飲食及び その他の関連サービス

ゴルフ場とゴルフ練習場 ゴルフ場

私立病院 宿泊施設と飲食

その他のサービスプロバイダー

• 保険会社、通信サービス、輸出入業者、金融機関、専門サービス

• 年間売上高15万リンギット未満(駐車場、宅配便、 自動車修理工場、民間機関及び雇用 サービス)

• 年間売上高30万リンギット未満(民間の獣医師、 レンタカーサービス、広告サービス)

• 保険、通信、通関、クレジットカード、及び専門/コンサルタント/管理サービス

• 駐車場、宅配便、修理/保守サービス、 セキュリティサービス、雇用サービス

• コンサルティング、レンタカー、広告

Page 6: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 6

企業にとっては、このような税務環境の変化において、コンプライアンスを確実にするためのシステム、プロセス及び手続きを慎重に検討する必要があります。ビジネス上及び業務上の決定には、税制変更に起因する影響の適切な評価を組み込むことが肝要です。

私たちは当局が、追加のガイドラインと解説を発行するだろうと予想しています。企業は最新情報を入手する必要があります。

“Amarjeet SinghEY マレーシア 税務リーダー、パートナー

Page 7: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

Take 5: マレーシアの新たな間接税環境に備える 7

次のステップ

影響を分析• ビジネス全般にわたり、税制改正の潜在的な影響を特定• GSTと同様に、システム、人員やプロセス全般にわたる影響• ビジネスに及ぼす潜在的影響について政策立案者にフィードバック

1

2

3

5

4

税制改正を評価• ガイドラインと法令が公表されたら、取引レベルで税制改正を分析• トランザクションマッピング、契約書レビュー、顧客・ベンダーコミュニケー ション、及び価格設定の影響のレビューなどが必要

• 政策立案者を含むステークホルダーとの連携

詳細な移行計画を準備• GSTの段階的廃止と新しいSSTの導入のための詳細な移行計画の準備• サプライチェーンのレビュー、システムの変更、価格の更新、研修及び コミュニケーション

税制改正の実施• 策定した移行計画に従って導入を実施• 税制改正のテストと試行• GST登録抹消とSST登録• GST税務調査の完了及び/又は未払い還付金の受領

導入後レビュー• 導入の有効性をレビューし、該当する場合は問題と解決策を特定

Page 8: マレーシアの新たな 間接税環境に備える...Tae 5 マレーシアの新たな間接税環境に備える 3 新しい税務環境 マレーシア首相は、2018年6月1日から物品サービ

EY Contact

大平 洋一インダイレクト タックス パートナーTel: +81 3 3506 [email protected]

古市 泰之インダイレクト タックス マネージャーTel: +81 6 6315 [email protected]

EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory

EYについて

EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。

EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.com をご覧ください。

関税・国際貿易サービス EYの間接税チームによる関税・国際貿易サービスについて

EYの間接税チームは、関税・国際貿易について、グローバルな視点でサービスを提供し、同分野の専門家集団が、企業によるコスト管理の戦略構築、サプライチェーンの迅速化、及び国際貿易のリスク低減を支援いたします。また、通商コンプライアンスの増進、輸出入オペレーションの改善、関税・物品税の低減、及びサプライチェーン•セキュリティーの強化においてもサポートが可能です。EYでは、企業がそのポテンシャルを最大限に発揮できるよう、今日のグローバルな環境下で企業が直面する課題への取り組みを支援いたします。

www.eytax.jp

© 2018 Ernst & Young Tax Co. All Rights Reserved.

Japan Tax SCORE 20180608 ED None

本書は、一般的な参考情報の提供のみを目的に作成されており、会計、税務及びその他の専門的なアドバイスを行うものではありませんEY税理士法人及び他のEYメンバーファームは、皆様が本書を利用したことにより被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家にご相談ください。

EY税理士法人