エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の 新規基盤技...

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分子科学研究所/名古屋大学 岡崎 進 2020.2.17 9回材料系ワークショップ ポスト「京」重点課題5 エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の 新規基盤技術の開発

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  • 分子科学研究所/名古屋大学

    岡崎 進

    2020.2.17 第9回材料系ワークショップ

    ポスト「京」重点課題5

    エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発

  • サブ課題A 新エネルギー源の創出・確保太陽電池、人工光合成大規模系励起状態の精密な記述

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    学術的意義:世界をリードする新規学術分野の形成 エネルギーを支配する励起電子の精密な記述 均一系の単一現象から界面・不均一系の電子、分子の複合現象へ

    対象: 原子・分子・電子のミクロな振る舞いが技術の中心的な役割を担っており、課題の解決には計算科学の支援が不可欠となっているエネルギー技術

    サブ課題B エネルギーの変換・貯蔵二次電池、燃料電池電極界面のミクロ機構の解明

    サブ課題C エネルギー・資源の有効利用メタンハイドレート、CO2、白金代替触媒化学問題への展開

    電気化学エネルギー

    太陽光エネルギー

    化学エネルギー

    活性な電子とそれを取り出す原子・分子複合系の仕組み

    課題の背景、社会的・学術的意義と概要

    低いエネルギー自給率と低い再生可能エネルギー率

  • 主な課題太陽電池

    太陽電池のエネルギー変換効率要因の特定短絡電流密度、開放電圧、曲線因子の計算、界面・モルフォロジー制御

    理論限界を超える、太陽電池の新機構提案アップコンバージョン、ホットキャリア等

    人工光合成金属錯体や半導体光触媒での水素発生機構解明と設計 CO2固定法の指針開発(サブ課題C)

    開発アプリケーション太陽電池シミュレータ

    主としてNTChemをベース1万原子系の大規模TDDFT、QM/MM分子動力学、非断熱遷移動力学

    人工光合成シミュレータ主としてGELLANをベース1020 の電子配置からなる励起状態計算 構造最適化、物性計算

    サブ課題A 新エネルギー源の創出・確保ー 太陽光エネルギー

    人工光合成の概念

    3高効率太陽電池のための界面制御

    変換効率(η) = 短絡電流密度(JSC) x 開放電圧(VOC) x 曲線因子(ff) / 入射光強度

    変換効率への寄与を構成要素ごとに定量的に理解した上で、全体の変換効率を評価

    多核遷移金属錯体半導体光触媒

  • 主な課題 二次電池、燃料電池 (共通) 電極・電極被膜・電解質膜・電解液界面挙動の解明

    • 界面における電極反応、電極被膜生成• 界面における物質輸送

    各電池部材の最適材料設計・探索• 高電圧・高エネルギー密度につながる正極・負極• 高イオン伝導度、高耐久性をもつ電解液・固体電解質・電解質膜• 白金代替触媒、短絡を防ぐセパレータ材• 最適界面構造

    開発アプリケーション全電池シミュレータ 電極反応、電極被膜

    主としてstat‐CPMDをベース5,000原子系の電位一定の第一原理分子動力学計算

    電極界面における物質輸送、電解質膜主としてMODYLASをベース1̴10億原子系の古典分子動力学計算

    電流電圧曲線電極界面の反応抵抗、輸送抵抗、電気二重層

    Liイオン電池固体高分子形燃料電池

    ↓次世代電池、次々世代電池

    電池共通基盤技術

    電極界面のミクロ機構

    サブ課題B エネルギーの変換・貯蔵ー 電気化学エネルギー

    二次電池

    燃料電池 4

  • MOFへのCO2の吸収

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    高性能触媒

    触媒反応経路の全面探索

    サブ課題C エネルギー資源の有効利用ー 化学エネルギー

    ■主な課題■ メタンハイドレート

    ハイドレートの分解の律速過程の解明メタン/CO2の高効率置換(CO2の廃棄)

    ■ 触媒触媒反応経路の全面探索技術の確立CO2還元を実現する高機能触媒提案

    ■ 二酸化炭素低コストCO2回収、アミン溶液、MOF

    ■開発アプリケーション■ 多相共存MD シミュレータ

    主としてMODYLASをベース固相、液相、気相と界面を含む数千万原子規模の分子系

    ■ 触媒反応経路探索シミュレータNTChem+SMASH+GRRM1,000原子の電子状態計算、系統的全面経路探索

    ■ 凝縮相内化学反応シミュレータDC-DFTB-K100万原子系、サブナノ秒の全電子分子動力学計算

    メタンハイドレートの融解

    メタンハイドレートの燃焼

  • アプリケーション名 機能・目標 開発成果(実現機能)

    NTChem電子状態計算

    →1万原子系励起状態計算

    • 1万原子から成る大規模分子の密度汎関数法計算• 「京」全ノードを活用できる超並列電子相関法計算• 11,682原子, 93,456基底の第一原理計算で20.5%の

    並列効率を達成。

    GELLAN量子化学計算

    →1020以上の電子配置高精度励起状態計算

    • ナノスケール分子の基底状態やキャリア特性の精密計算• 1020乗以上の配置から成るスピン状態・励起状態の

    高精度計算• 埋め込みモデルを用いた周期系の高精度な計算

    MODYLAS分子動力学計算

    →1~10億原子系超大規模分子動力学計算

    • 実機チューニング後100倍高速化達成の見通し• 1億原子系で3 ms/step (全CPUの1/10利用時)• 燃料電池四相界面、プロトン移動グロータス機構• 不均一系物質輸送解析• 高分子、界面活性剤、生体系

    stat-CPMD第一原理分子動力学

    →5千原子系電極反応

    • 達成目標スケールでのDFTMDサンプリングを達成済み• 熱力学積分計算、マルチカノニカル計算・ハイスループットDFT計算• FFT部分の高速化により17%速度向上達成• 大規模系精度保持プロトコル構築・並列化I/O導入• 電解液系の初期構造生成及び密度予測のプロトコル構築

    補助的アプリケーション: STATE、RedMoon、GRRM、DC-DFTB-K、SMASH

    ターゲットアプリ

    基盤アプリ

    基盤アプリ

    基盤アプリ

    ターゲットアプリ、基盤アプリ開発

    産応協、RIST、FOCUSと連携して産業界へ展開 6

    当初目標40倍高速化達成見込み太陽電池シミュレータ触媒反応経路探索シミュレータ

    人工光合成シミュレータ

    全電池シミュレータ多相共存MDシミュレータ

    全電池シミュレータ

  • stroma

    lumen

    CP43

    PsbV

    PsbU PsbO

    D1D2 CP47 cyt b‐559

    アプリケーションソフトの解析精度と規模

    解析精度

    解析規模

    GELLAN

    NTChem

    MODYLAS

    DC-DFTB-K

    stat-CPMD

    5,000原子 100万原子 1~10億原子

    古典力学

    半経験的

    第一原理

    四相界面

    ≈109 → 1020 (垓)の電子配置

    二次電池電極

    24.66 nm

    水50万分子モデル

    光分解能X線結晶回折により観測された光システムIIの構造と酸素発生中心マンガンクラスタ

    グラファイト負極・SEI膜モデル・電解液

    CO2分離・回収

    人工光合成

    太陽電池

    高効率太陽電池のための界面制御

    高分子電解質膜20万原子モデル

    量子化学

    1,000 → 10,000原子

    数千 → 5,000原子(2,000~3,000)

    数百万 → 1~10億原子

    世界最大規模

    世界最高レベル

    励起状態

    界面・不均一系

    目的にかなう多様なアプリ

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  • 酸素発生系触媒での遷移金属酸化物のスピン状態と反応機構を取り扱うための強相関強相関ソルバー(PHF、post-PHF、MSQMC、FCCR)、精密なキャリア特性を求めるためのGF2-F12法、半導体光触媒を取り扱うための周期系インターフェースを含む人工光合成シミュレータの開発を行った。人工光合成に特化した電子状態理論の顕著な発展を達成し、光エネルギー変換の理論的なアプローチを可能にした。

    ・遷移金属酸化物の取り扱いを可能にする強相関ソルバーの開発・F12グリーン関数法、周期系計算インターフェースの開発・光触媒の反応機構やキャリア特性の正確な予測を可能に

    成果内容と科学的・社会的意義

    光エネルギー変換のための人工光合成シミュレーターの開発神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科、システム情報学研究科

    上島基之、土持崇嗣、許恩華、西口和孝、天能精一郎

    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    ポストPHF法で得られた[Fe2S2(SCH3)4]

    2-錯体のスピンギャップ

    Φ 7.25 eV

    (010) (110)

    2.3 eV 2.3 eV

    Φ 6.04 eV

    Evac

    e‐

    h+VBM

    CBM

    VBM

    CBM

    酸素発生光触媒BiVO4のスラブ計算から得られたキャリアの面方位依存性

    主要論文T. Tsuchimochi and S. Ten‐no, J. Chem. Theor. Comp., 12 1741‐1759 (2016).Y.‐y. Ohnishi and S. Ten‐no, J. Comput. Chem., 37 2447‐2453 (2016).A. Grüneis, S. Hirata, Y.‐y. Ohnishi, and S. Ten‐no, J. Chem. Phys., 146 080901 (2017).E. Xu, M. Uejima, and S. L. Ten‐no, Phys. Rev. Lett., 121 113001 (2018).T. Tsuchimoch and S. L. Ten‐no, J. Chem. Theor. Comp., 15 6688 (2019).

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  • 1万原子から成る大規模分子の基底・励起状態計算のため,密度汎関数法のメモリ分割版プログラムを開発.高並列疎行列ライブラリ「NTPoly」と高次元トーラスネットワークアーキテクチャに基づいたアルゴリズムによるMPI/OpenMP並列により,従来,計算不可能であった分子サイズの全系計算を実現.

    1万原子規模分子の基底・励起状態に対する密度汎関数法の計算プログラムを開発.有機系太陽電池の詳細なメカニズム解明と新材料設計に活用が期待される.

    成果内容と科学的・社会的意義

    メモリ分割版DFTプログラムと太陽電池シミュレータの高度化

    理研 中嶋 隆人,澤田 啓介,神谷 宗明

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    計算した分子: 水クラスター最大サイズ: 11,682原子

    従来O(2.42)

    新O(1.48)

    Dawson, 澤田, 神谷, 中嶋, “スーパーコンピュータ「富岳」に向けた分子科学計算ソフトウェア 「NTChem」の開発“, シミュレーション学会誌, vol.38, no.2 (2019年6月).

  • 「京」を利用し,11,025個という膨大な数の組合せの化合物を選び,これらに対して第一原理計算を実施し,元素戦略的なマテリアルズ・スクリーニングに基づき,ペロブスカイト太陽電池としてふさわしい適切な材料を効率よく探索.51個の非鉛化候補化合物を発見.

    「京」を利用したハイスループット・シミュレーションを実施し,マテリアルズ・スクリーニングに基づいた探索により,非毒性元素を用いたペロブスカイト太陽電池の新たな材料候補を発見.

    成果内容と科学的・社会的意義

    ハイスループット・シミュレーションによる非鉛化ペロブスカイト太陽電池の新材料の発見

    理研 中嶋 隆人,澤田 啓介

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    【プレスリリース】平成29年10月5日理化学研究所 「京」でペロブスカイト太陽電池の新材料候補を発見

  • ペロブスカイト型太陽電池の高効率な創電メカニズムに関して、鉛-ハライド格子の構造揺らぎに伴う、VBM, CBM波動関数の空間的局在が、光生成キャリア再結合抑制の要因であることを明らかにした。

    成果内容と科学的・社会的意義

    有機無機ペロブスカイト材料における格子ゆらぎによる光生成キャリアの再結合抑制

    (京都大学、東京大学) 山下晃一、浦谷浩紀

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    H. Uratani, K. Yamashita, J. Phys. Chem. C, 121, 26648-26654 (2017)

    第一原理分子動力学計算による

    電子構造の時間変化

    (スナップショット):

    VBM, CBMの波動関数は時々

    刻々、空間的に隔たって局在し、

    光生成した電子、正孔は空間的に

    隔たった拡散経路が可能となる。

    回転相関関数:回転緩和はAサイト

    カチオンの種類に依存するが、波動関数

    の局在化への影響は少ない。

  • 成果内容と科学的・社会的意義

    大規模古典分子動力学シミュレーションソフト

    MODYLASの高速化名大院工 岡崎 進

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    新規通信アルゴリズム(MTD法)の開発 単精度/倍精度混合演算化 主要MPI通信のRDMA通信による置換 FMM法の演算数の削減・精度向上

    燃料電池電極四相界面 プロトン移動グロータス

    機構解析 不均一系物質輸送解析 高分子、界面活性剤、

    生体系、・・・・

    公開版と比較してすでに2.4倍の高速化

    40×2.4 ≈ 100

    「京」を用いた実測値

    実機チューニング後100倍高速化達成の見通し・1〜10億原子全原子MDシミュレーション・1億原子系で3 ms/step (全CPUの1/10利用時)

    FMM法の⾼度並列化

  • ・stat-CPMDによる高濃度電解液内の電解液構造・分解機構の解明・アニオン還元分解、アニオン参加のイオン伝導の理論提案:電解液の安全性、性能向上のための指針提案・新型電解液ーハイドレートメルト(水系電解液)、消火性電解液ー開発への貢献

    成果内容と科学的・社会的意義

    高濃度電解液開発への貢献物質・材料研究機構 館山佳尚、袖山慶太郎;東京大学 山田淳夫、山田裕貴

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    2016/06/29 燃えにくい電解液を用いた高性能4.6Vリチウムイオン電池Nature Communications 7, 12032 (2016)

    2016/08/27 新たなリチウムイオン伝導性液体の発見 -水を用いた安全・安価・高性能な超3V動作リチウムイオン電池へ-

    Nature Energy 1, 16129 (2016) 2017/11/28 “火を消す”高性能電解液を開発 - 絶対に発火しない長寿命電池の実現へ

    Nature Energy 3, 22–29 (2018)

    代表的論文プレスリリース

    理研と共同で「Best Use of HPC in Manufacturing」を受賞した。(理研AICS平尾機構長と)

  • ・複雑な固固界面の高効率構造探索を可能にする「ヘテロ界面CALYPSO法」開発・全固体電池電極ー固体電解質界面におけるイオン伝導機構の新理論提案・全固体電池界面最適化を加速

    成果内容と科学的・社会的意義

    全固体電池界面機構解明への貢献物質・材料研究機構 館山佳尚

    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    Chem. Mater. 32, 85-96 (2020).Curr. Opin. Electrochem. 17, 149-157 (2019).

    代表的論文プレスリリース

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  • 燃料電池の高活性・高耐久性・低コストの実現には高度な物質科学が必要である。電極計算のための手法を開発し、白金表面の量子状態、白金代替酸化物表面の酸素還元活性を明らかにした。

    成果内容と科学的・社会的意義

    次世代型燃料電池開発のための電極の機能性予測

    東京大学物性研究所 杉野修

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    J. Phys. Chem. C, 123 19486 (2019)

    右図:TiO2上の酸素還元特性。高活性の実現のためにはOH, O2Hの吸着エネルギーを星印に合わせる必要がある。それを可能にするドーパントを計算予測した(実験で確認中)

    左図:白金上の水素原子の密度分布。水素原子の量子効果のため表面上に広がって分布していることが判明。反応機構の解析をするための重要な手がかりとなる。

  • メタンハイドレートの泡生成に至る融解速度メタンハイドレートの融解機構を解明するために、水などとの共存状態における分子動力計算機シミュレーションを行った。融解の開始後、過飽和の限界に至って、気泡が生成する過程について、視覚化も併せて解析を行った。シミュレーションで得られたハイドレート、メタンガス、水の共存状態を図1に示す。メタンハイドレートの採掘を試みている実験研究者にとって 、 こ れ ら は 融 解 の 初 期 段 階 を 加 速 す る た め に 重 要 な 過 程 で あ る 。T. Yagasaki, M. Matsumoto, Y. Andoh, S. Okazaki, and H. Tanaka, J. Phys. Chem. B, 118, 1900 (2014)(上記の成果は同年 4⽉16⽇の朝⽇新聞(全国版)に紹介)熱力学的、速度論的な阻害剤のハイドレート融解に対する効果包接水和物の表面への分子吸着は、結晶成長ならびに成長阻害機構と密接に関係している。結晶成長シミュレーションと吸着自由エネルギーの計算を行うことで、i) 大きなゲストの包接水和物の成長が小さなゲストのそれよりもはるかに遅いこと、ii) 大きなゲストの包接水和物の成長が遅い原因と速度論的阻害剤の機構(図2)が本質的に同じであることを明らかにした。T. Yagasaki, M. Matsumoto, H. Tanaka J. Amer. Chem. Soc., 137, 12079 (2015)

    (1)メタンハイドレートの泡生成に至る融解速度・機構の分子レベルでの解明(2)ハイドレート解離の熱力学的阻害機構を自由エネルギーに基づいて解明(3)ハイドレート解離の速度論的阻害がエントロピー的引力に起因することの発見

    成果内容と科学的・社会的意義

    大規模長時間シミュレーション基づいたハイドレート生成融解機構解明

    岡山大学 異分野基礎科学研究所、 矢ケ崎琢磨、松本正和、田中秀樹

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    図1 メタンハイドレート融解

    図2 速度論的阻害剤の効果

  • 金-窒化炭素の接合による触媒機能発現、炭素材料への窒素微量導入による電極触媒化の機構解明を実現した。本成果は燃料電池普及の鍵となる非白金族電極触媒開発へと通じる意義がある。

    成果内容と科学的・社会的意義

    非白金族新規電極触媒の開発に向けた新しい作用原理について~窒化炭素との接合による金触媒の活性化~

    ~微量な窒素導入による炭素材料の酸素還元電極触媒化~(北海道大学) 武次徹也、Andrey Lyalin (NIMS) 坂牛健、魚崎浩平

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    ACS Catal. 8, 8162(2018)

    本研究は、「ナノテクノロジーを活用した環境技術開発プログラム」と連携して実施しております。

    図(左)⽔の⽣成率。⾦(⻘線)では⽔がほとんど合成できないが、ヘテロ接合型(⾚線)では合成可能となる。図(右)⾦表⾯(⿊)とヘテロ接合型触媒(⾚)の反応経路。

    ACS Nano. 11, 1770(2017)

  • 超並列量子分子動力学シミュレーションにより、アミン溶液へのCO2吸収反応の微視的機構を見出した。また、再生塔で起こる逆反応は図の逆過程とは異なる機構で進行することを突き止めた。A社との共同研究では、開発したアミン溶液を試験プラントにおいて性能試験を実施している。

    • 吸収塔・再生塔でのアミン溶液の反応機構をシミュレーションで解明

    • 吸収塔と再生塔の両方に最適なアミン溶液の設計可能性を示唆

    成果内容と科学的・社会的意義

    CO2分離・回収におけるアミン溶液の反応機構解明

    早大 中井浩巳

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    重点課題5(H26~R1)の主な成果

    図 吸収塔でのCO2吸収反応シミュレーションから得られた反応機構

    Chem. Phys. Lett. 647, 127 (2016)Bull. Chem. Soc. Jpn. 90, 1230 (2017)