カロテノイド研究 - karotenoido.infocarotenoids and the relevant researches 1...

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Carotenoids and the Relevant Researches 1 カロテノイド研究 学術雑誌及びシンポジウムで近年発表された報告から- 全 般 General 2013 Wawrzyniak A, Hamułka J, Friberg E, Wolk A. Dietary, anthropometric, and lifestyle correlates of serum carotenoids in postmenopausal women. Eur J Nutr. 2013 Jan 17. 血清中のカロテノイド濃度は、主として野菜・果物の消費のバイオマーカーとされている。しかしながら、ヒト体 内のカロテノイドレベルは加齢に伴って低下する可能性があり、また、体脂肪、アルコール摂取及び喫煙の影響も 受ける。 無作為に選抜した 56 歳から 75 歳まで 159 人の女性の食物摂取及び特徴に関するデータを自記式質問票から入手し た。血清カロテノイド濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。体脂肪量を二重エネルギーX 線吸収法 により推定した。 カロテノイドの 1 日推定総摂取量は 9.75 mg で、α-カロテンが 10.6%β-カロテンが 35.6%、ルテイン・ゼアキサン チンが 27.1%β-クリプトキサンチンが 4.7%、リコペンが 22.0%であった。 血清カロテノイド濃度とそれらの推定摂取量[r = 0.11(リコペン)から 0.38β-カロテン)まで]及び野菜・果物 の摂取量[r = 0.15(リコペン)から 0.30β-カロテン)まで]との間に統計上有意な正の相関が認められた。 血清カロテノイド濃度と教育レベル[r = 0.17α-カロテン)から 0.29(リコペン)まで]及びアルコールの摂取量 r = 0.02α-カロテン)から 0.25(リコペン)まで]との間に正の相関が認められた。また、逆相関関係が年齢[r = -0.18α-カロテン)から-0.42(リコペン)まで]及び脂肪量[r = -0.15(リコペン)から-0.29α-β-カロテン)] との間で認められた。 健常閉経後女性からなる本集団において、血清カロテノイド濃度は年齢及び脂肪量の増加に伴って低下することが 明らかになった。同濃度は、野菜・果物の摂取量が多く、アルコール摂取量が中等度で、また、教育レベルが高い 女性で上昇することが明らかになった。 Key ingredients: α-carotene, β-carotene, lycopene, lutein, zeaxanthin, β-cryptoxanthin 2012 von Lintig J. Provitamin A metabolism and functions in mammalian biology. Am J Clin Nutr. 2012 Nov;96(5):1234S-44S. doi: 10.3945/ajcn.112.034629. ビタミン A 欠乏症は、開発途上国における主要な公衆衛生上の問題の一つとされている。また、先進国のある部分 の人口集団においてもビタミン A の摂取量が至適レベル以下であることを何件かの研究が示唆している。 β-カロテ ンのようなプロビタミン A カロテノイドは、ヒトの食事におけるレチノイド(ビタミン A とその誘導体)の主要 な供給源である。しかしながら、どの程度の β-カロテン摂取が必要かつ安全であるかについては、依然として議論 の余地が残されている。この不確かさの重大な要因の一つに、β-カロテンの生化学的及び分子的機序についての知 見不足があげられる。 最近、プロビタミン A 代謝の中心的存在が分子的に同定され、生化学的に特徴付けされた。ノックアウトマウスモ デルでの研究から、β-カロテンの腸管吸収とレチノイドへの変換は、この過程を実際の体内のビタミン A 要求量に 見合うものとする負のフィードバック制御下にあることが明らかにされた。これらの研究から、β-カロテンの変換 は末梢組織で発生し、レチノイドに依存する生理学的過程に影響を及ぼしていることも明らかにされた。 さらに、以上の分析から、これらの化合物の病理学的な蓄積が疾病と関連するミトコンドリアと細胞のシグナル伝 達経路に酸化ストレスを引き起すことが明らかになり、カロテノイドの逆の健康効果についての可能な説明が与え られた。同定された遺伝子における遺伝子多型はヒトに存在し、カロテノイドの恒常性に変化をもたらしている。 本報では、β-カロテンの代謝の進歩した知見をレビューし、この重要な微量栄養素が健康と病気に果たす役割を理 解するための分子フレームワークを提供したい。 Key ingredient: β-carotene Azqueta A, Collins AR. Carotenoids and DNA damage. Mutat Res. 2012 May 1;733(1-2):4-13. カロテノイドは抗酸化性フィトケミカル類の中で最も有名で、野菜・果物に見出される健康増進特性に寄与してい ることが広く知られている。カロテノイドがもたらす作用に関する調査が、これまでに培養細胞、実験動物、ヒト といった異なるレベルで実施されてきた。 過去 5 年間に発表された報告を調べた結果、我々はビタミン A やプロビタミン A カロテノイド(カロテン類、β- クリプトキサンチン)がもたらす作用と非プロビタミン A カロテノイド(リコペン、ルテイン、アスタキサンチン、 ゼアキサンチン)がもたらす作用との間に明白な差異が存在することを見出した。 後者については、ほどんど変わることなく内因性あるいは外因性物質により誘導された DNA 損傷からの防御が報 告されている一方、プロビタミン A カロテノイドについては、その作用において多種多様性を見せ、時に防御的に

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  • Carotenoids and the Relevant Researches 1

    カロテノイド研究 - 学術雑誌及びシンポジウムで近年発表された報告から-

    全 般 General 2013

    Wawrzyniak A, Hamułka J, Friberg E, Wolk A. Dietary, anthropometric, and lifestyle correlates of serum carotenoids in postmenopausal women. Eur J Nutr. 2013 Jan 17.

    血清中のカロテノイド濃度は、主として野菜・果物の消費のバイオマーカーとされている。しかしながら、ヒト体

    内のカロテノイドレベルは加齢に伴って低下する可能性があり、また、体脂肪、アルコール摂取及び喫煙の影響も

    受ける。

    無作為に選抜した 56 歳から 75 歳まで 159 人の女性の食物摂取及び特徴に関するデータを自記式質問票から入手し

    た。血清カロテノイド濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。体脂肪量を二重エネルギーX 線吸収法

    により推定した。

    カロテノイドの 1 日推定総摂取量は 9.75 mg で、α-カロテンが 10.6%、β-カロテンが 35.6%、ルテイン・ゼアキサン

    チンが 27.1%、β-クリプトキサンチンが 4.7%、リコペンが 22.0%であった。

    血清カロテノイド濃度とそれらの推定摂取量[r = 0.11(リコペン)から 0.38(β-カロテン)まで]及び野菜・果物

    の摂取量[r = 0.15(リコペン)から 0.30(β-カロテン)まで]との間に統計上有意な正の相関が認められた。

    血清カロテノイド濃度と教育レベル[r = 0.17(α-カロテン)から 0.29(リコペン)まで]及びアルコールの摂取量

    [r = 0.02(α-カロテン)から 0.25(リコペン)まで]との間に正の相関が認められた。また、逆相関関係が年齢[r

    = -0.18(α-カロテン)から-0.42(リコペン)まで]及び脂肪量[r = -0.15(リコペン)から-0.29(α-、β-カロテン)]

    との間で認められた。

    健常閉経後女性からなる本集団において、血清カロテノイド濃度は年齢及び脂肪量の増加に伴って低下することが

    明らかになった。同濃度は、野菜・果物の摂取量が多く、アルコール摂取量が中等度で、また、教育レベルが高い

    女性で上昇することが明らかになった。

    Key ingredients: α-carotene, β-carotene, lycopene, lutein, zeaxanthin, β-cryptoxanthin

    2012

    von Lintig J. Provitamin A metabolism and functions in mammalian biology. Am J Clin Nutr. 2012 Nov;96(5):1234S-44S. doi: 10.3945/ajcn.112.034629.

    ビタミン A 欠乏症は、開発途上国における主要な公衆衛生上の問題の一つとされている。また、先進国のある部分

    の人口集団においてもビタミン A の摂取量が至適レベル以下であることを何件かの研究が示唆している。β-カロテ

    ンのようなプロビタミン A カロテノイドは、ヒトの食事におけるレチノイド(ビタミン A とその誘導体)の主要

    な供給源である。しかしながら、どの程度の β-カロテン摂取が必要かつ安全であるかについては、依然として議論

    の余地が残されている。この不確かさの重大な要因の一つに、β-カロテンの生化学的及び分子的機序についての知

    見不足があげられる。

    最近、プロビタミン A 代謝の中心的存在が分子的に同定され、生化学的に特徴付けされた。ノックアウトマウスモ

    デルでの研究から、β-カロテンの腸管吸収とレチノイドへの変換は、この過程を実際の体内のビタミン A 要求量に

    見合うものとする負のフィードバック制御下にあることが明らかにされた。これらの研究から、β-カロテンの変換

    は末梢組織で発生し、レチノイドに依存する生理学的過程に影響を及ぼしていることも明らかにされた。

    さらに、以上の分析から、これらの化合物の病理学的な蓄積が疾病と関連するミトコンドリアと細胞のシグナル伝

    達経路に酸化ストレスを引き起すことが明らかになり、カロテノイドの逆の健康効果についての可能な説明が与え

    られた。同定された遺伝子における遺伝子多型はヒトに存在し、カロテノイドの恒常性に変化をもたらしている。

    本報では、β-カロテンの代謝の進歩した知見をレビューし、この重要な微量栄養素が健康と病気に果たす役割を理

    解するための分子フレームワークを提供したい。

    Key ingredient: β-carotene

    Azqueta A, Collins AR. Carotenoids and DNA damage. Mutat Res. 2012 May 1;733(1-2):4-13.

    カロテノイドは抗酸化性フィトケミカル類の中で最も有名で、野菜・果物に見出される健康増進特性に寄与してい

    ることが広く知られている。カロテノイドがもたらす作用に関する調査が、これまでに培養細胞、実験動物、ヒト

    といった異なるレベルで実施されてきた。

    過去 5 年間に発表された報告を調べた結果、我々はビタミン A やプロビタミン A カロテノイド(カロテン類、β-

    クリプトキサンチン)がもたらす作用と非プロビタミン A カロテノイド(リコペン、ルテイン、アスタキサンチン、

    ゼアキサンチン)がもたらす作用との間に明白な差異が存在することを見出した。

    後者については、ほどんど変わることなく内因性あるいは外因性物質により誘導された DNA 損傷からの防御が報

    告されている一方、プロビタミン A カロテノイドについては、その作用において多種多様性を見せ、時に防御的に

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Wawrzyniak%20A%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=23325350http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Hamu%C5%82ka%20J%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=23325350http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Friberg%20E%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=23325350http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Wolk%20A%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=23325350http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23325350http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=%22Azqueta%20A%22%5BAuthor%5Dhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=%22Collins%20AR%22%5BAuthor%5Dhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22465157

  • Carotenoids and the Relevant Researches 2

    働いたり、時に DNA 損傷を増大させたりする。

    損傷を悪化させる傾向は主として高濃度条件下で観察され、これらのカロテノイドのプロオキシダント作用が原因

    している可能性がある。

    Key ingredients: carotenes, β-cryptoxanthin, lycopene, lutein, astaxanthin, zeaxanthin

    2011

    Engelmann NJ, Clinton SK, Erdman JW Jr. Nutritional aspects of phytoene and phytofluene, carotenoid precursors to lycopene. Adv Nutr (Bethesda). 2011 Jan;2(1):51-61.

    トマトの消費量、血清・組織中のリコペン(LYC)レベルと何種類かの癌や心血管疾患を含む慢性疾患のリスクと

    の間に逆の関係が存在することが疫学調査で示唆されている。

    トマトに存在する赤色のカロテノイドである LYC は健康利益を媒介する生物活性の高いカロテノイドであるとよ

    く考えられているが、トマトには他に前駆体としての無色カロテノイド、フィトエン(PE)とフィトフルエン(PF)

    も相当量存在している。

    PE と PF はトマト製品やトマト抽出物からヒトの体内に容易に吸収される。カロテノイド吸収に関する動物モデル

    で、PE と PF の何種類かの組織への選択的蓄積が示唆されている。

    食品中の濃度と比較して血清・組織中で検出された PE と PF のかなり高い濃度から、これらの化合物の吸収ある

    いは代謝が LYC のそれとは異なっている可能性のあることが示唆されている。

    in vitro、in vivo 両方の実験研究から PE と PF は生物活性を示すことが示唆されているが、それらのヒトに及ぼす影

    響については殆ど知られていない。

    トマトの細胞培養から同位体標識した PE、PF、LYC トレーサを作製する方法により、トマトにおいて顕著な存在

    が認められるこれら 3 種類のカロテノイドの異なる生物活性と代謝、また、それらがいかにして健康に影響を及ぼ

    し得るかについてさらなる理解を深めるユニークなツールがもたらされた。

    Key ingredients:phytoene, phytofluene, lycopene

    2009

    Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y, Matsumoto H, Ando F, Shimokata H, Yano M. Synergistic interaction of cigarette smoking and alcohol drinking with serum carotenoid concentrations: findings from a middle-aged Japanese population. Br J Nutr. 2009 Oct;102(8):1211-9.

    喫煙者あるいは飲酒者では血清中のカロテノイド濃度が低いことがこれまでの研究から明らかにされているが、喫

    煙及び飲酒と血清カロテノイドの相互作用については殆ど知られていない。

    本研究で喫煙と飲酒が血清カロテノイド濃度を相乗的に低下させるとする仮説の検証を行った。静岡県三ヶ日町で

    健康診断を受けた合計 1,073 人(男性 357 人、女性 716 人)の被験者が試験に参加した。

    アルコール摂取量(非飲酒者、1 日 1 g 未満の軽度飲酒者、1 g 以上 25 g 未満の中等度~重度飲酒者、25 g 以上)

    と喫煙状況(非喫煙者、現在喫煙者)に従って参加者を 6 群に割り付けた。6 種類のカロテノイド(リコペン、α-

    カロテン、β-カロテン、ルテイン、β-クリプトキサンチン、ゼアキサンチン)の食事からの摂取量と血清濃度につ

    いて、各群内で横断的に評価を行った。

    全てのカロテノイドの食事からの摂取量は、年齢と性別について調整した後、6 群間で差異は認められなかった。

    非飲酒者における血清カロテノイド濃度について多変量で調整した平均値は、非喫煙者と現在喫煙者の間で差異は

    認められなかった。

    対照的に、血清中の α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンの調整後の平均値は高アルコール摂取量の参

    加者で有意に低く、さらに飲酒者におけるこれら血清カロテノイドの低値は非喫煙者より現在喫煙者で顕著に現れ

    た。

    中等度~重度飲酒者の血清リコペンは非飲酒者のそれより有意に低かったが、喫煙状況による影響は受けなかっ

    た。

    喫煙、飲酒のいずれも、ルテインとゼアキサンチンの血清濃度とは関連が認められなかった。

    これらの結果から、喫煙と飲酒は相乗的に α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンの血清濃度を低下させ

    る可能性のあることが示唆される。

    Key ingredients: carotenoids, α-carotene, β-carotene, lycopene, β-cryptoxanthin

    Miyashita K. Function of marine carotenoids. Forum Nutr. 2009;61:136-46.

    海洋性カロテノイドをそれらの存在と化学的、生体機能的利益を基準に重要な生物活性化合物として評価しようと

    する取り組みがなされているが、これらのカロテノイドがヒトの健康に及ぼす影響に関する情報は相対的に少ない

    のが現状である。

    海洋性カロテノイドの潜在的な有益効果について、とりわけ海の主要なカロテノイドとされるアスタキサンチンと

    フコキサンチンを対象に検討を行った。

    両方のカロテノイドとも、一重項酸化の消去とフリーラジカルの捕捉に起因する強力な抗酸化活性を有することが

    明らかにされている。

    食事性抗酸化剤としてのカロテノイドの潜在的役割は、癌や炎症性疾患に対する予防効果の主たる機構の一つであ

    ることが示唆されている。しかしながら、その生物活性を抗酸化活性のみから説明することは困難であろう。

    フコキサンチンが有する特異的かつ新たな生体機能として抗肥満、抗糖尿病作用が見出された。フコキサンチンは

    白色脂肪組織(WAT)において脂肪酸酸化と熱産生を引き起す WAT ミトコンドリア内の脱共役タンパク質 1 発現

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=%22Engelmann%20NJ%22%5BAuthor%5Dhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=%22Clinton%20SK%22%5BAuthor%5Dhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=%22Erdman%20JW%20Jr%22%5BAuthor%5Dhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22211189http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Sugiura%20M%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Nakamura%20M%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Ogawa%20K%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Ikoma%20Y%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Matsumoto%20H%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Ando%20F%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Shimokata%20H%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Yano%20M%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlusjavascript:AL_get(this,%20'jour',%20'Br%20J%20Nutr.');http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Miyashita%20K%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlusjavascript:AL_get(this,%20'jour',%20'Forum%20Nutr.');

  • Carotenoids and the Relevant Researches 3

    を誘発することが、ニュートリゲノミクス研究で明らかにされた。

    フコキサンチンは、実験動物の WAT における腫瘍壊死因子-α のダウンレギュレーションによって、少なくとも部

    分的にインスリン耐性を改善し、血糖値を低下させることが明らかにされている。

    従って、フコキサンチンが特定の生体分子に及ぼす固有な調節機能には特徴的な化学構造が関与しているようであ

    る。その化学構造はそこに含まれるポリエンの長さ、末端基の性質、種々の置換基によって相違が認められる。

    抗肥満作用発現に関与しているカロテノイドのキー構造は、アレン結合と二つの水酸基を含むポリエン発色団が存

    在するカロテノイドの末端にあることが示唆されている。

    Key ingredients:astaxanthin, fucoxanthin

    2008

    Farwell WR, Michael Gaziano J, Norkus EP, Sesso HD. The relationship between total plasma carotenoids and risk factors for chronic disease among middle-aged and older men. Br J Nutr. 2008 Mar 12:1-7.

    個々の血漿カロテノイドと種々の慢性疾患との関連性が明らかにされているが、血漿中の総カロテノイドと慢性疾

    患の危険因子との関係については殆ど知られていない。

    Physicians' Health Study において、CVD と癌を認めない 492 人の男性を対象に、血漿総カロテノイド(α-カロテン、

    β-カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、ルテイン、β-クリプトキサンチンの合計)と慢性疾患リスクを予測する

    広範な種類の因子との間の関係について調査を行った。

    血漿総カロテノイドについてのパラメーター推定値(95% CI)と OR(95% CI)を計算するために、多変量線形回

    帰とロジスティック回帰による分析を行った。線形回帰モデルでは、BMI、高血圧、アルコール摂取、脂質に関す

    る各指標の血漿濃度、α-トコフェロールによって血漿総カロテノイドが有意に予測された。

    慢性疾患の複数の危険因子について調整したとき、中央値と同じかそれ以上の血漿総カロテノイド濃度(≧1.301

    μmol/l)の場合の OR は、ロジスティック回帰分析により以下の因子と統計上有意であることが明らかになった。

    すなわち、現在喫煙(OR: 0.21; 95% CI: 0.06~0.77)、1 週間のアルコール摂取量(OR: 2.30; 95% CI: 1.06~4.99)、1

    日のアルコール摂取量(OR: 2.46; 95% CI: 1.29~4.67)、総コレステロール 100 mg/l 毎の増加(OR: 0.73; 95% CI: 0.58

    ~0.91)、LDL コレステロール(OR: 1.48; 95% CI: 1.17~1.89)、HDL コレステロール(OR: 1.58; 95% CI: 1.26~1.99)、

    細胞間接着分子-1 100 mg/ml 毎の増加(OR: 0.70; 95% CI: 0.53~0.93)、α-トコフェロール 10 μmol/l 毎の増加(OR:

    1.33; 95% CI: 1.12~1.57)。

    ライフスタイルと臨床にかかわる殆どの危険因子が血漿総カロテノイド濃度と関連していないようであるが、血漿

    脂質や α-トコフェロールのようなバイオマーカーの濃度とは強く関連している可能性がある。

    Key ingredients: total carotenoids, α-carotene, β-carotene, lycopene, lutein, zeaxanthin, β-cryptoxanthin, α-tocopherol

    2007

    Kant AK, Graubard BI. Ethnicity is an independent correlate of biomarkers of micronutrient intake and status in American adults. J Nutr. 2007 Nov;137(11):2456-63.

    食事は健康状態において認知されている民族的、社会経済的差異に介在する因子の一つとなる可能性がある。栄養

    的曝露に関するバイオマーカーは、食事調査でバイアスがかかった自己報告への依存を回避し、民族・社会経済的

    水準と関連した食事摂取状況の差異を客観的に評価することを可能にする。

    NHANES III(n=13,113)と NHANES 1999-2002(n=7,246)から得られたデータを用いて、米国成人において推定

    される公衆衛生上重要な栄養素(ビタミン C, D, E、葉酸、カロテノイド、セレニウム、フェリチン)の血清中濃

    度と人種、学歴、所得との差異について評価を行った。共変量を調整するために多重回帰法を、また、これらの関

    連性を検査するために complex survey design を用いた。

    学歴と所得について調整した後、血清中の β-クリプトキサンチンとルテイン+ゼアキサンチン濃度は、非ヒスパニ

    ック系白人より非白人で高かった(p

  • Carotenoids and the Relevant Researches 4

    動、血清コチニン濃度、血清コレステロール値、ビタミン・ミネラルのサプリメントの利用について、性別・年齢

    ごとに調整した後の血清カロテノイド濃度と婚姻状況の関連をモデル化するために多変量直線回帰を用いた。

    男性参加者では、結婚歴のない男性が既婚男性と比べて低濃度の総カロテノイド(平均 : 66.16 μg/dL; p=0.05)、ル

    テイン・ゼアキサンチン(平均: 15.57 μg/dL [0.27 μmol/L]; p=0.01)、リコペン(平均: 24.28 μg/dL [0.45 μmol/L]; p=0.00)

    と関連を示した。

    離婚歴のある男性は、既婚男性と比べて低濃度のリコペン(平均: 24.23 μg/dL [0.45 μmol/L]; p=0.00)と関連を示し

    た。妻を亡くした男性は、既婚者と比べて低濃度の α-カロテン(平均: 2.47 μg/dL [0.05 μmol/L]; p=0.02)、β-カロテ

    ン(平均: 11.52 μg/dL [0.21 μmol/L]; p=0.04)、リコペン(平均: 25.15 μg/dL [0.47 μmol/L]; p=0.04)と関連を示した。

    女性参加者では、夫を亡くした女性が既婚女性と比べて低濃度の総カロテノイド(平均 : 62.72 μg/dL; p=0.01)、α-

    カロテン(平均: 1.85 μg/dL [0.03 μmol/L]; p=0.01)、β-カロテン(平均: 11.57 μg/dL [0.22 μmol/L]; p=0.03)、ルテイン・

    ゼアキサンチン(平均: 17.50 μg/dL [0.31 μmol/L]; p=0.05)と関連を示した。

    血清カロテノイド濃度は婚姻状態で変化し、妻を亡くした男性と夫をなくした女性でカロテノイド濃度の低下リス

    クが最大になると結論付けられた。

    Key ingredients: total carotenoids, α-carotene, β-carotene, lycopene, lutein/zeaxanthin, β-cryptoxanthin

    Agudo A, Cabrera L, Amiano P, Ardanaz E, Barricarte A, Berenguer T, Chirlaque MD, Dorronsoro M, Jakszyn P, Larranaga N, Martinez C, Navarro C, Quiros JR, Sanchez MJ, Tormo MJ, Gonzalez CA. Fruit and vegetable intakes, dietary antioxidant nutrients, and total mortality in Spanish adults: findings from the Spanish cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC-Spain). Am J Clin Nutr. 2007 Jun;85(6):1634-42.

    野菜・果物を豊富に含む食事を摂取しているヒトは、それらの食品が乏しい食事を摂取しているヒトと比べて何種

    類かの慢性疾患の発生とそれによる死亡率のリスクが低いことが疫学データから示唆されている。このような結果

    は、植物性食品に含まれる抗酸化性の微量栄養素に起因していとよく言われている。

    野菜・果物と他の植物性食品の消費量及び食事由来のビタミン C、ビタミン E、カロテノイドの摂取量と死亡率の

    関係を評価するために本研究を設計した。

    European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition におけるスペイン人コホートを対象に前向き研究を実施

    した。6 年半の追跡期間中、30 歳から 69 歳まで 41,358 人の被験者のうち 562 人が死亡した。食事因子と全死亡率

    との関係を評価するために、比例ハザードモデルによる回帰分析を用いた。

    年齢、性別、何種類かの可能な交絡因子について調整を行った後、消費量が最も低い四分位に対する最高分位のハ

    ザード比は、生鮮果物で 0.79(95% CI: 0.62~1.0; p=0.029)、根菜類で 0.72(0.56~0.91; p=0.006)、果菜類(例、植

    物の「果実」部を含んでいる野菜、種子類)では 0.77(0.60~0.98; p=0.015)であった。

    抗酸化栄養素で対応する数値は、ビタミン C が 0.74(0.58~0.94; p=0.009)、プロビタミン A として働くカロテノ

    イドが 0.68(0.53~0.87; p=0.006)、リコペンが 0.65(0.51~0.84; p=0.001)であった。ビタミン C とプロビタミン

    A の効果については。植物性食品における総抗酸化能について調整した後に消失した。

    生鮮果物、根菜類、果菜類の高摂取は死亡率低下との関連が認められ、おそらく、それらの食品に高濃度のビタミ

    ン C、プロビタミン A カロテノイド、リコペンが含まれている結果と考えられる。

    抗酸化能はアスコルビン酸とプロビタミン A の影響を部分的に説明している可能性があるが、リコペンとの関連性

    については説明していないようである。

    Key ingredients: provitamin A carotenoids, lycopene, ascorbic acid

    Rao AV, Rao LG. Carotenoids and human health. Pharmacol Res. 2007 Mar;55(3):207-16.

    酸化ストレスは慢性疾患リスクの重要な寄与因子の一つである。食事指針では、癌、心血管疾患、骨粗しょう症、

    糖尿病のようなヒトで発生する疾病と戦うために野菜・果物の消費増加が推奨されている。

    野菜・果物は、酸化ストレスによる損傷作用を緩和する抗酸化性フィトケミカル類の良好な供給源とされている。

    種々の食品彩色に関与しているフィトケミカルのグループであるカロテノイドは、ヒトでの疾病予防と健康維持に

    果たす重要な役割が認められている。

    強力な抗酸化剤であること以外に、何種類かのカロテノイドでは食事性ビタミン A に寄与していることも明らかに

    されている。複数の慢性疾患の予防に果たすフィトケミカルの有益な役割を裏付ける科学的根拠が存在する。

    カロテノイドの化学的性質が広範に研究されてきているが、それらの生体内利用率、代謝、生物学的機能について

    は調査が始まったばかりである。

    最近のカロテノイドに対する関心は、ヒトの健康に果たすリコペンの役割に集中している。他の何種類かのカロテ

    ノイドとは異なり、リコペンにはプロビタミン A としての特性は存在しない。不飽和化された性質から、リコペン

    は強力な抗酸化剤かつ一重項酸素消去剤であると考えられている。

    本稿ではカロテノイド、その中でもとりわけリコペンがヒトの健康に果たす役割について検討を行いたい。

    Key ingredients: carotenoids, lycopene

    2006

    Rao AV, Ray MR, Rao LG. Lycopene. Adv Food Nutr Res. 2006;51:99-164.

    酸化ストレスは現在では、癌、心血管疾患、骨粗しょう症、糖尿病を含む何種類かの慢性疾患の原因における重要

    な発生因子とされている。

    抗酸化剤は、酸化ストレスが細胞に及ぼす損傷作用を緩和する上で重要な役割を果たしている。近年、カロテノイ

    ド系の抗酸化剤であるリコペンに相当高い科学的関心が寄せられている。

    疫学、組織培養、動物モデルでの研究から、慢性疾患予防におけるリコペンの役割を裏付ける確かな証拠が得られ

  • Carotenoids and the Relevant Researches 5

    ている。

    疫学的観察を確証し、疾病予防におけるリコペンの作用機構を理解するために、ヒトでの介入試験が現在行われて

    いるところである。

    ヒトの健康におけるリコペンの役割について一層の理解を得るために、本章ではその化学的性質、生物学的利用能、

    代謝、前立腺癌や他の標的臓器における癌の予防に果たす役割、及び心血管疾患、骨粗しょう症、高血圧、男性不

    妊における役割について概説する。

    本分野における将来の研究の指針として、癌と最も関連のあるい分子マーカーについても考察する。地球規模でみ

    たリコペンの摂取レベル、提案されている摂取レベル、将来の研究動向のレビューを行い、本章の結論とした。

    Key ingredient:lycopene

    2004

    Ribaya-Mercado JD, Blumberg JB. Lutein and zeaxanthin and their potential roles in disease prevention. J Am Coll Nutr. 2004 Dec;23(6 Suppl):567S-587S.

    ルテインとゼアキサンチンは、濃緑色の葉菜や卵黄中に特に豊富に見出されるキサントフィル類に属するカロテノ

    イドである。これらのカロテノイドは組織中に広範囲にわたって分布しており、眼の組織では水晶体と網膜黄斑部

    に存在する主要なカロテノイドである。

    キサントフィルの摂取量あるいはその状態と白内障及び加齢黄斑変性との間に逆の関連が存在することを示す疫

    学研究は、これらの化合物が眼の組織において保護的役割を果たしている可能性があることを示唆している。幾つ

    かの観察研究はまた、これらのキサントフィルにある種の癌、とりわけ乳癌と肺癌のリスク減少に役立つ可能性の

    あることを明らかにしている。新たに行われた研究は、ルテインとゼアキサンチンが心臓病や卒中の予防に寄与し

    ている可能性があることも示唆している。

    ルテインとゼアキサンチンがこのような病気の予防に果たす役割を裏付ける証拠について、特に生物学的利用能、

    代謝、介在するバイオマーカーと臨床転帰との間の用量反応関係について行われるヒトでの試験を発展させ続ける

    と同時に、キサントフィルを豊富に含む食品の摂取の奨励が現行の食事指針と一致していることに注目するだけの

    価値はあるであろう。

    Key ingredients: lutein, zeaxanthin

    2003

    Sundram K, Sambanthamurthi R, Tan YA. Palm fruit chemistry and nutrition. Asia Pacific J Clin Nutr. 2003;12(3):355-62.

    パーム(アブラヤシ Elaeis guineensis)の果肉には、パーム油及びパルミチン酸とオレイン酸が豊富な半固体の脂

    肪、並びにビタミン E(トコフェロール類とトコトリエノール類)、カロテノイド及びフィトステロールのような

    脂溶性の微量成分が存在している。最近の技術革新により、パームの搾油後の廃物から水溶性の抗酸化物質を回収、

    濃縮することが可能になった。これらの抗酸化物質は、フェノール酸とフラボノイドの濃度が高いことを特徴とし

    ている。これらの天然成分は食品ならびにニュートラシューティカル業界に新たな挑戦の機会をもたらしている。

    パーム油に豊富に含まれている飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、マーガリン、ショートニング、フライ油のよう

    な固体の脂肪に含まれるトランス酸の含量をゼロにしようとする最近の食事に関する勧告を考慮すれば、実際にプ

    ラスに変わってきている。パーム油を他の油脂と組み合せて利用することは、最近の食事に関する勧告を満たすこ

    とのできる新世代の油脂製品の開発を容易にしてくれるであろう。

    広範な天然パーム油のフラクションは物理化学的特徴を異にし、その中で最も顕著なものがカロテノイド高含有の

    レッドパーム油である。パーム由来のビタミン E(トコフェロール 30%、トコトリエノール 70%)は、その栄養と

    健康上の特性が広範囲にわたって研究されている。その特性には、抗酸化活性、コレステロール低下作用、抗癌作

    用、アテローム性動脈硬化に対する保護作用などが含まれる。これらは主としてトコトリエノールの含量に起因し

    ている。

    パームフルーツの中果皮は深紅の油をもたらし、そこには 700~800 ppm のカロテノイドが含まれている。β-カロ

    テンが豊富に含まれるパーム油は、ビタミン A 欠乏症のリスクにある母集団において、その予防に果たす可能な役

    割を評価するための食事介入試験で用いられてきた。

    多数の疫学的研究により、ビタミン A とカロテノイドの食事からの摂取あるいは血中濃度と癌リスクとの間の逆相

    関及びそれらの化合物の抗発癌作用が立証されている。これらのデータは、癌のさらに広範囲に及ぶ部位がカロテ

    ノイドによって影響を受ける可能性があることを示している。

    パームカロテノイドに関してこれまで得られた研究結果から全体的に見て、天然のパーム油に存在するカロテノイ

    ドのブーケには癌に対して有望な化学予防活性をもたらす可能性があるという結論に至るであろう。

    Key ingredients: palm oil, carotenoids, vitamin E

    1999

    Tucker KL, Chen H, Vogel S, Wilson PW, Schaefer EJ, Lammi-Keefe CJ. Carotenoid intakes, assessed by dietary questionnaire, are associated with plasma carotenoid concentrations in an elderly population. J Nutr. 1999 Feb;129(2):438-45.

    野菜・果物及びカロテノイドの豊富な摂取は、さまざまな慢性疾患のリスク低下と関連性が認められている。それ

    故に、これらの摂取量を評価する食事調査の有効性を試験することは重要である。

    Willett らが行った 126 品目の食物摂取頻度調査に対する回答結果から計算した 5 種類のカロテノイドの摂取量を、

  • Carotenoids and the Relevant Researches 6

    対応する生化学的指標によって比較した。被験者は、Framingham Heart Study に参加した 67 歳から 93 歳までの女

    性 346 人と男性 201 を対象とした。

    未調整の相関関係は、女性間のほうが男性間よりも強く認められた。すなわち、α-カロテンではそれぞれ 0.33 と

    0.18、β-カロテンでは 0.36 と 0.25、β-クリプトキサンチンでは 0.44 と 0.32、リコペンでは 0.35 と 0.21、ルテイン

    +ゼアキサンチンでは 0.27 と 0.10 であった。

    年齢、エネルギー摂取量、BMI(kg/m2)、血漿コレステロール濃度、喫煙有無について調整を行うと、女性と男性

    の間の差は減少した。すなわち、α-カロテンで 0.30 と 0.28、β-カロテンで 0.34 と 0.31、β-クリプトキサンチンで

    0.45 と 0.36、リコペンで 0.36 と 0.31、ルテイン+ゼアキサンチンで 0.24 と 0.14 であった。

    個々のカロテノイド摂取量について調整後の平均血漿濃度を五分位数でプロットした結果、α-カロテン、β-カロテ

    ン、β-クリプトキサンチンについては、食物摂取に対する女性の反応性は男性と比べて明らかに強いことが明らか

    になったが、リコペン、ルテイン+ゼアキサンチンでは血液-食事の関係は類似していた。

    報告された野菜・果物の 1 日摂取量は、女性間では血漿中の β-クリプトキサンチンと β-カロテン、男性間では α-

    カロテンと β-カロテンの濃度と最も強い相関関係が認められた。

    最も低い相関関係を示し、なおかつ男性参加者では有意差が認められなかったルテイン+ゼアキサンチンを除いて

    は、この食物摂取頻度調査は、高齢者におけるカロテノイドの摂取状況について妥当な順位を示し、β-クリプトキ

    サンチンとの最も強い相関関係を明らかにした。男性間のこれらの関連性を明確にするためには、交絡因子の適切

    な調整が必要とされる。

    Key ingredients: α-carotene, β-carotene, lycopene, β-cryptoxanthin

    1998

    Gellenbeck KW. Carotenoids: more than just beta-carotene. Asia Pacific J Clin Nutr. 1998;7(3/4):277-81.

    ヒトの食事に含まれる野菜・果物には、植物中で確認されている 600 種類以上のカロテノイド色素が存在する。β-

    カロテンに関する研究を旗頭に、研究者はヒトの体内におけるこれら化合物の代謝についてより多くのことを学ん

    できている。研究は現在 β-カロテンを超えて、ヒトの食事に見出される全ての色素について起っている事柄を理解

    する取り組みにまで広がりをみせている。

    この論評では、補給による効果はもとより、ヒト血清中に見出されるカロテノイドに関する研究結果についても調

    査した。

    β-カロテンと肺癌の罹患率に関して近年行われた大規模介入試験の結果がもたらした混乱は、β-カロテンの用量と

    供給源(合成か天然か)の問題を特に際立たせた。

    これらの研究結果は、食事に含まれる広範囲のカロテノイドの重要性を強調し、また現在市販されている栄養補助

    食品にも関連していると考えられる。

    Key ingredients: carotenoids, β-carotene

    1997

    Khachik F, Nir Z, Ausich RL, Steck A, Pfander H. Distribution of carotenoids in fruits and vegetables as a criterion for the selection of appropriate chemopreventive agents. In: Yoshikawa T, Ohigashi H, eds. Food Factors for Cancer Prevention. Tokyo: Springer-Verlag; 1997:204-8.

    一般の野菜・果物には約 40~50 種類のカロテノイドが含まれている。カロテノイドを含有する野菜・果物は、緑

    色、黄~赤色、黄~橙色の三つのグループに分類することができる。緑色の野菜・果物に存在するカロテノイドは、

    エポキシ化カロテノイド(carotenoid epoxides)、ルテイン、α-カロテン、β-カロテンが占めている。黄~赤色のグ

    ループは主に、リコペン、ニューロスポレン、γ-カロテン、ζ-カロテン、α-カロテン、β-カロテン、フィトフルエン、

    フィトエンなどの炭化水素カロテノイドを含んでいる。黄~橙色の野菜・果物は、他の二つのカテゴリーに存在す

    るカロテノイドに加え、カロテノール脂肪酸エステルをはじめとする複合カロテノイドの混合物を含んでいる。

    さまざまな食品調製が一般の野菜・果物に含まれるカロテノイドの定性的、定量的な分布に及ぼす影響を述べ、ヒ

    ト血清中におけるこれら化合物の吸収と相対存在量に基づいて、化学予防剤としてのカロテノイド混合物の選択ア

    プローチを検討した。

    カロテノイド豊富な野菜・果物の高摂取を癌の発生リスク減少と関連づけた疫学調査を解釈する場合、この保護作

    用が β-カロテンのみに起因していると考えるべきではない。全ての食事性カロテノイド、とりわけ血清カロテノイ

    ドの複合的な保護作用をより良く理解するために、ヒトでの試験を行う必要がある。このような試験には、ヒト血

    清中の分布に最も酷似したカロテノイドの組合せを必ずや提供してくれる野菜と果物の混合物を含むべきであろ

    う。

    Key ingredients: food carotenoids, lycopene, lutein

    抗酸化活性 Antioxidant activity 2012

    Hakim IA, Harris RB, Garland LL, Cordova C, Mikhael DM, Chow HH. Gender difference in systemic oxidative stress and antioxidant capacity in current and former heavy smokers. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2012 Dec;21(12):2193-200. doi: 10.1158/1055-9965.EPI-12-0820.

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23033455

  • Carotenoids and the Relevant Researches 7

    男性より女性のほうが喫煙によって引き起こされる酸化障害に対して感受性が高くなる可能性のあることが何件

    かの研究によって示唆されているが、酸化障害に対する感受性の性差に果たす喫煙状況と抗酸化能の役割について

    は充分な検討がなされていない。

    酸化障害と抗酸化能における性差を評価するために、化学予防試験に参加した現在及び過去ヘビースモーカー146

    人から得られたベースラインデータをもとに横断解析を実施した。

    酸化的 DNA・脂質損傷について、それぞれ、尿中の 8-ヒドロキシ-2′-デオキシグアノシン(8OHdG)と 8-イソプロ

    スタグランジン F2α(8-iso-PGF2α)により評価した。抗酸化能を評価するために、赤血球の抗酸化酵素と血清の脂

    溶性抗酸化剤を測定した。

    女性喫煙者では 8OHdGと 8-iso-PGF2αのレベルが男性喫煙者よりはるかに高かったが、その性差は現在喫煙者(CS)

    においてのみ有意であった。赤血球の抗酸化酵素において性差は認められなかったが、女性 CS で抗酸化酵素が顕

    著に低くなるか、あるいは低くなる傾向にあった。

    女性喫煙者では、男性喫煙者より血清 β-カロテンのレベルが高かった。酸化障害のバイオマーカーは、抗酸化酵素

    と有意な相関を示さなかった。

    尿中 8OHdG は、脂溶性抗酸化剤と有意な相関を示さなかった。尿中 8-iso-PGF2α と何種類かの血清カロテノイド

    との間に逆相関関係が認められた。

    女性 CS では、血清中の脂溶性抗酸化剤レベルが高かったのにもかかわらず、酸化障害の程度が大きいことが明ら

    かになった。女性 CS における赤血球の抗酸化酵素レベルの低値が酸化障害の程度増大に寄与している可能性があ

    る。

    インパクト:本研究は、酸化障害を低減する介入で適切な高リスク集団を、また、喫煙者を対象とした臨床試験で

    適切なバイオマーカーを特定するのに役立つ可能性がある。

    Key ingredient: β-carotene

    Takashima M, Shichiri M, Hagihara Y, Yoshida Y, Niki E. Capacity of fucoxanthin for scavenging peroxyl radicals and inhibition of lipid peroxidation in model systems. Free Radic Res. 2012 Nov;46(11):1406-12. doi: 10.3109/10715762.2012.721542.

    カロテノイドは、フリーラジカルを捕捉し、一重項酸素を消去することにより生理的抗酸化物質としての役割を果

    たしている。フコキサンチンは、食用褐藻中に豊富な存在が認められるカロテノイドの一つである。カロテノイド

    のフリーラジカル捕捉能の評価は広範囲に渡る研究のテーマとなっているが、一貫性のある結果は得られていな

    い。

    本研究では、フコキサンチンについて、脂質過酸化の連鎖伝達種であるペルオキシラジカルの捕捉能を α-トコフェ

    ロールがペルオキシラジカル誘発フコキサンチン崩壊に及ぼす影響の定量的測定から評価を行った。

    ヘプタン溶液では α-トコフェロールが 7.1 倍以上フコキサンチンより反応性が高かったが、興味深いことに、メタ

    ノール溶液中ではフコキサンチンが α-トコフェロールより 1.6 倍高い反応性を示すことが明らかになった。

    SDS ミセルにおけるフコキサンチンと α-トコフェロールの相対的な反応性は、ペルオキシラジカル生成部位に依存

    的であった。

    フコキサンチンによる脂質過酸化抑制効果は、α-トコフェロールよりはるかに低いことが明らかになった。

    Key ingredients: α-tocopherol, fucoxanthin

    Santos SD, Cahú TB, Firmino GO, de Castro CC, Carvalho LB Jr, Bezerra RS, Filho JL. Shrimp waste extract and astaxanthin: rat alveolar macrophage, oxidative stress and inflammation. J Food Sci. 2012 Jul;77(7):H141-6. doi: 10.1111/j.1750-3841.2012.02762.x.

    アスタキサンチンは、抗酸化特性と抗炎症特性を有するカロテノイドであることが知られている。本研究では、エ

    ビ由来アスタキサンチンがラット肺胞マクロファージにおけるスパーオキシド(O2⁻)、一酸化窒素(NO)、腫瘍壊

    死因子 α(TNF-α)の産生を調節するかについて検討を行った。

    ホルボルミリステートアセテートとリポ多糖によって酸化作用を誘発した。エタノール 1%、ジメチルスルホキシ

    ド 0.5%の存在下でそれぞれ 43.5 μg/mL の用量を投与したスパーオキシドジスムターゼ、ブチルヒドロキシトルエ

    ン、市販のアスタキサンチン、N-nitric-L-arginine methyl ester、あるいは L-カナバニンで処理の比較を行った。

    MTT アッセイにより全ての処理で細胞生存性が維持され、また、エビ抽出物では肺胞マクロファージが 168%まで

    増加することが明らかになった。

    エビ抽出物と市販のアスタキサンチンは O2⁻と NO 両方のフリーラジカルの発生に対して抑制効果を及ぼした一

    方、エビ由来精製アスタキサンチンは NO 特異的であった。TNF-α の分泌は NO 産生と相関を示したが、この相関

    関係において、エビ抽出物は TNF-α を完全に阻害することが明らかになった。

    これらの所見に照らして、本研究で実証された抗酸化作用から、エビ抽出物は抗酸化活性と抗炎症活性を伴った生

    理活性物質の有望な供給源と見なされる可能性が示唆される。

    実際の応用:エビ廃物の加水分解プロセスは、エビ処理に経済価値を付加する生理活性物をもたらし、それは、主

    としてニュートラシューティカルと動物飼料の産業における利用可能性によるものである。

    Key ingredient: astaxanthin

    Wang Y, Yang M, Lee SG, Davis CG, Kenny A, Koo SI, Chun OK. Plasma total antioxidant capacity is associated with dietary intake and plasma level of antioxidants in postmenopausal women. J Nutr Biochem. 2012 Dec;23(12):1725-31. doi: 10.1016/j.jnutbio.2011.12.004.

    血漿中の総抗酸化能(TAC)上昇は、野菜・果物の高消費と関連のあることが明らかにされている。しかしながら、

    血漿中の TAC が食事に由来する抗酸化剤の摂取量と血漿中の個々の抗酸化剤レベルを反映しているかに関する入

    手可能な情報には限りがある。

    本研究の目的は、3 種類の異なる測定法を用いて、血漿中の TAC が食事性抗酸化剤の摂取量と血漿中の抗酸化状態

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Santos%20SD%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Cah%C3%BA%20TB%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Firmino%20GO%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=de%20Castro%20CC%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Carvalho%20LB%20Jr%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Bezerra%20RS%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Filho%20JL%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22757706http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Wang%20Y%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Yang%20M%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Lee%20SG%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Davis%20CG%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Kenny%20A%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Koo%20SI%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Chun%20OK%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22617460http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22617460

  • Carotenoids and the Relevant Researches 8

    を効果的に予測できるかを評価することにある。

    過体重の健常閉経後女性 40 人を募り、食事と血漿中の抗酸化状態を評価するために、7 日間の食事記録と 12 時間

    絶食血液サンプルを収集した。血漿 TAC は、ビタミン C 当量抗酸化能(VCEAC)、血漿での第二鉄還元能(FRAP)、

    酸素ラジカル吸収能(ORAC)アッセイにより測定した。

    VCEAC で測定した TAC 値は FRAP と高い相関を示し(r=0.79、p

  • Carotenoids and the Relevant Researches 9

    Kim JS, Ahn J, Lee SJ, Moon B, Ha TY, Kim S. Phytochemicals and antioxidant activity of fruits and leaves of paprika (Capsicum Annuum L., var. special) cultivated in Korea. J Food Sci. 2011 Mar;76(2):C193-8. doi: 10.1111/j.1750-3841.2010.01891.x.

    韓国で栽培されているグリーン、レッドパプリカ(GP、RP)とパプリカの葉(PL)のフィトケミカル組成(カロ

    テノイド類、トコフェロール類、遊離糖類、L-アスコルビン酸、カプサイシノイド、フラボノイド)の分析を行っ

    た。

    80%エタノールにより GP、RP、PL からエタノール抽出物を得て、各フィトケミカルの抗酸化活性について ABTS

    及び DPPH ラジカル捕捉作用測定から評価した。

    RP でカプサンチンと L-アスコルビン酸の含量が最も高いことが明らかになった(それぞれ、58.33±3.91、

    1,987.25±19.64 mg/100 g 乾燥重量)。また、PL の主要な化合物は、ルテイン、クロロフィル、γ-トコフェロールで

    あった(それぞれ、96.91±14.58、2,136.71±21.11、723.49±54.10 mg/100 g 乾燥重量)。

    RP で最も強い抗酸化活性が認められた(2,2'-azino-di-[3-ethylbenzthiazoline sulphonate]アッセイ: IC50=55.23±6.77

    μg/mL;2,2-diphenyl-2-picrylhydrazyl アッセイ: IC50=150.40±8.07 μg/mL)。また、PL の抗酸化活性は β-カロテンよ

    り高かったが、RP よりは低かった。

    得られた結果は、RP に含まれるカプサンチンと L-アスコルビン酸の量が抗酸化活性と高く相関していることを示

    している。また、ルテイン、クロロフィル、γ-トコフェロールのような種々のフィトケミカルが含まれている PL

    には、ヒトの健康改善のためのニュートラシューティカルあるいはファーマシューティカル製品への応用可能性が

    ある。

    Key ingrediensts: L-ascorbic acid, γ-tocopherol, lutein, capsanthin, chlorophyll

    2010

    Alshatwi AA, Al Obaaid MA, Al Sedairy SA, Al-Assaf AH, Zhang JJ, Lei KY. Tomato powder is more protective than lycopene supplement against lipid peroxidation in rats. Nutr Res. 2010 Jan;30(1):66-73.

    H2O2 含有あるいは非含有飼料を給餌したラットにおけるトマトパウダー(TP)による処理はリコペン・ビードレ

    ット(LB)より強い保護作用を及ぼすとする仮説について、血清・肝脂質、脂質過酸化物(malondialdehyde [MDA])、

    血清リポタンパク質に及ぼす有益な影響を比較しながら検証を行った。

    H2O2 非含有飼料を給餌した群では、TP、LB ともに、それらの個々の対照群と比較して MDA(主要な脂質過酸化

    生成物の一つ)を血清中では中等度に、肝臓中では顕著に低下させた。

    過酸化水素消費は全ての群で同様に血清・肝中 MDA 濃度を上昇させたが、TP 群では血清 MDA 濃度の上昇は引き

    起されず、LB より TP による処理のほうが脂質過酸化に対する保護作用の強いことが明らかになった。

    TP、LB 飼料とも同量のリコペンを供給したが、H2O2 含有・非含有飼料の処理における血清・肝中リコペン濃度

    は TP 群で顕著に上昇し、対照群を上回った LB 群より更に高値を示した。

    このことは TP より LB におけるリコペンの生物学的利用能のほうが高いことを示している。興味深いことに、H2O2

    含有・非含有飼料での TP と LB の処理は、対照群におけるそれぞれの数値と比較して、血清中の総コレステロー

    ルとトリグリセリド濃度を 1/5 まで、血清 LDL コレステロール濃度を 1/3 以上低下させることが明らかになった。

    同様に肝臓中の総コレステロール濃度が TP あるいは LB 処理によって顕著に低下したが(>1/3)、肝臓中のトリグ

    リセリド濃度は、TP 処理においてのみそれぞれの対照群の濃度と比較して 1/4 まで低下した。

    従って TP は、H2O2 によって誘発される血清 MDA 上昇を防止するその付加的能力から、より強い保護作用を及ぼ

    していると考えられる。また、TP は肝トリグリセリドを LB による処理以上に低下させるようである。

    Key ingredient: lycopene

    2009

    Sangeetha RK, Bhaskar N, Baskaran V. Comparative effects of beta-carotene and fucoxanthin on retinol deficiency induced oxidative stress in rats. Mol Cell Biochem. 2009 Nov;331(1-2):59-67.

    ラットを用いてレチノール欠乏(RD)によって引き起される脂質過酸化(Lpx)を軽減するフコキサンチン(FUCO)

    の抗酸化能力を β-カロテンのそれと比較検討することを目的として本研究を行った。

    RD ラット(n=45)に β-カロテン(0.81 μmol)あるいは FUCO(0.83 μmol)のいずれかを摂取させた。血漿と肝臓

    中の脂質過酸化レベル、抗酸化酵素のカタラーゼ(CAT)とグルタチオントランスフェラーゼ(GST)の活性につ

    いて 8 時間の測定を行った。

    RD は血漿、肝臓中の Lpx をそれぞれ 34.3%、19.4%上昇させた一方(p

  • Carotenoids and the Relevant Researches 10

    Key ingredient: fucoxanthin

    Videan EN, Heward CB, Chowdhury K, Plummer J, Su Y, Cutler RG. Comparison of biomarkers of oxidative stress and cardiovascular disease in humans and chimpanzees (Pan troglodytes). Comp Med. 2009 Jun;59(3):287-96.

    老化に関する酸化ストレス仮説では、加齢プロセスは活性酸素種による蓄積損傷の結果によるものであるとされて

    いる。ヒトとチンパンジーはかなり類似しているが、ヒトはチンパンジーより二倍長く生きることから、チンパン

    ジーよりも老化のスピードが遅いと考えられる。

    本研究の目的は、オスチンパンジーとヒトにおける心血管疾患、酸化ストレス、老化のバイオマーカーを比較検討

    することにある。

    オスチンパンジーは、ヒトと比べてフィブリノゲン、IGF1、インスリン、リポタンパク質 A、超高密度リポタンパ

    ク質のレベルが著しく高いことから、心血管疾患の高リスクにあることが明らかになった。

    チンパンジーではまた、脂質過酸化の指標である 5-hydroxymethyl-2-deoxyuridine と 8-iso-prostaglandin F.2α、酸化促

    進剤であるセルロプラスミンと銅の測定値が高かったことから、酸化ストレスの上昇が明らかになった。

    さらにチンパンジーでは、心血管保護因子であるアルブミンとビリルビンのレベル低下に加え、α-カロテン、β-カ

    ロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン、トコフェロールのような抗酸化剤のレベル低下も認められた。

    老化に関する酸化ストレス仮説で予測されたように、オスチンパンジーは同年齢のヒトと比較して、酸化ストレス

    レベルが高く、また心血管疾患のなかでもとりわけ心筋症のリスクがはるかに高いことが明らかになった。

    これらの結果から、ヒトの寿命の長さは少なくとも部分的に、抗酸化能の高さ及び低い酸化ストレスと関連のある

    心血管疾患リスク低下によるものであるという仮説が立てられそうである。

    Key ingredients: α-carotene, β-carotene, lycopene, β-cryptoxanthin, tocopherols

    2008

    Nakajima Y, Inokuchi Y, Shimazawa M, Otsubo K, Ishibashi T, Hara H. Astaxanthin, a dietary carotenoid, protects retinal cells against oxidative stress in-vitro and in mice in-vivo. J Pharm Pharmacol. 2008 Oct;60(10):1365-74.

    アスタキサンチンが網膜神経節細胞において神経保護作用をもたらすか in vitro と in vivo で検討を行った。

    in vitro では過酸化水素(H2O2)の 24 時間曝露あるいは血清不足により網膜損傷を誘発し、WST アッセイ法によ

    り細胞生存能を測定した。

    培養した網膜神経節細胞(RGC-5: E1A ウイルスを用いて形質転換したラット由来網膜神経節細胞株)において、

    アスタキサンチンは H2O2 あるいは血清不足によって誘発された神経毒性を抑制し、種々の活性酸素種(ROS)に

    よって誘発される細胞内酸化を減少させた。

    またアスタキサンチンは、RGC-5 細胞内の血清不足によって誘発されるラジカル発生も減少させた。

    マウスを用いた in vivo 試験でアスタキサンチン(100 mg/kg、経口、4 回)は、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)

    の硝子体内注射によって誘発した網膜損傷(網膜神経節細胞数と内網状層の厚さの減少)を減少させることが明ら

    かになった。

    さらにアスタキサンチンは、脂質過酸化の指標の一つである 4-hydroxy-2-nonenal(4-HNE)修飾タンパク質、酸化

    的 DNA 損傷の指標である 8-hydroxy-deoxyguanosine(8-OHdG)の発現を減少させた。

    これらの所見から、アスタキサンチンは in vitro と in vivo で網膜損傷に対して神経保護効果をもたらし、その保護

    効果は一部アスタキサンチンの抗酸化作用によって媒介されることが示された。

    Key ingredient:astaxanhin

    Shaish A, Harari A, Kamari Y, Soudant E, Harats D, Ben-Amotz A. A carotenoid algal preparation containing phytoene and phytofluene inhibited LDL oxidation in vitro. Plant Foods Hum Nutr. 2008 Jun;63(2):83-6.

    カロテノイドのフィトエンとフィトフルエンの生体系における抗酸化作用についてはまだ検討がなされていない。

    それ故、我々は藻類 Dunaliella bardawil から単離したこれらカロテノイドの作用を生体系で調査し、それらの抗酸

    化作用を測定するために in vitro で低密度リポタンパク質(LDL)酸化による方法を用いた。

    フィトエンとフィトフルエンを含有する藻類由来カロテノイド製剤は、β-カロテン、α-トコフェロールと同様、LDL

    酸化を抑制することが明らかになった。

    これらの所見とヒトの組織におけるフィトエンとフィトフルエンの存在から、これらのカロテノイドが酸化ストレ

    スに対する防御システムの一部になり得ることが示唆される。

    Key ingredients: phytoene, phytofluene

    2007

    Rocchi E, Bursi F, Ventura P, Ronzoni A, Gozzi C, Casalgrandi G, Marri L, Rossi R, Modena MG. Anti- and pro-oxidant factors and endothelial dysfunction in chronic cigarette smokers with coronary heart disease. Eur J Intern Med. 2007 Jul;18(4):314-20.

    タバコ喫煙者における内皮機能障害は酸化的損傷の増大が原因とされている。正常血圧の喫煙者の内皮機能を非喫

    煙者の内皮機能と比較し、酸化的損傷と抗酸化能に関する幾つかの代表的なパラメーターとの関係を調査すること

    が本研究の目的である。

    急性心筋梗塞から不安定狭心症までの範囲の冠状動脈硬化性心疾患に罹患している 32 人の常習喫煙者(喫煙本数:

    15~30 本/日)と確定的な危険因子を認めない 28 人の対応する非喫煙者を調査対象とした。全ての参加者は、一酸

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Videan%20EN%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Heward%20CB%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Chowdhury%20K%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Plummer%20J%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Su%20Y%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Cutler%20RG%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlusjavascript:AL_get(this,%20'jour',%20'Comp%20Med.');http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Nakajima%20Y%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Inokuchi%20Y%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Shimazawa%20M%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Otsubo%20K%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Ishibashi%20T%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Hara%20H%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlusjavascript:AL_get(this,%20'jour',%20'J%20Pharm%20Pharmacol.');

  • Carotenoids and the Relevant Researches 11

    化窒素(NO)依存性内皮機能の評価を受けた。評価は、標準化された超音波検査法を用いて、虚血に反応した上

    腕動脈の血管拡張を測定して行った。血漿・尿中の NO レベルも全参加者を対象に行った。尿中 15-isoprostane F(2t)、

    血漿・血清脂質レベル、ホモシステイン(Hcy)、アスコルビン酸、レチノール、トコフェロール、α-カロテン、β-

    カロテンを HPLC によって測定した。

    喫煙者では、NO 媒介血管拡張反応が有意に低く(6.18%に対して 3.50%; p

  • Carotenoids and the Relevant Researches 12

    した多重膜リポソームにおける α-カロテンと β-カロテンの抗酸化作用を調査した。

    脂質過酸化反応は、HPLC でホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PCOOH)を分離後、532 nm でチオバル

    ビツール酸反応物(TBARS)、あるいは 234 nm でヒドロペルオキシド生成により測定した。α-カロテンと β-カロテ

    ンのヒドロキシル誘導体であるルテインとゼアキサンチン及び連鎖切断型酸化防止剤である α-トコフェロールも

    試験に含めた。

    EYPC に対して 1 mol%の濃度で試験したカロテノイドは全て、対照標本と比較して PCOOH の生成を有意に抑制し

    た。この系において PCOOH の生成を遅延させる作用は、β-カロテンよりも α-カロテンのほうが優れていた。同様

    に、ゼアキサンチンよりもルテインに優れた抗酸化作用が認められた。しかしながら、ルテインとゼアキサンチン

    のほうが、それぞれ α-カロテンと β-カロテンよりも強い抗酸化作用を示した。

    カロテノイドを AMVN で 1 時間インキュベートしたあと、α-、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチンは、PCOOH

    の生成をそれぞれ 77%、68%、85%、82%抑制したのに対し、α-トコフェロールは 90%の減少を誘発した。

    α-カロテンは TBRAS の生成を 78%有意に抑制したのに対し、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、α-トコフ

    ェロールは、それぞれ 60%、91%、80%の減少を誘発した。

    カロテノイドの濃度を EYPC に対して 1 mol%より高くしても、膜をフリーラジカルから保護する作用に有意な増

    加は認められなかった。

    得られた所見から、α-カロテンはホスファチジルコリンの小胞において β-カロテンよりも優れた抗酸化作用を有す

    ることが示唆される。従って、α-カロテンは in vivo でフリーラジカルが介する過酸化による膜リン脂質の損傷の抑

    制に役立つ可能性がある。

    Key ingredients: α-carotene, β-carotene, lutein, zeaxanthin, α-tocopherol

    1998

    Stahl W, Junghans A, de Boer B, Driomina ES, Briviba K, Sies H. Carotenoid mixtures protect multilamellar liposomes against oxidative damage: synergistic effects of lycopene and lutein. FEBS Lett. 1998 May 8;427(2):305-8.

    多重膜リポソームにおけるカロテノイドの抗酸化活性について、チオバルビツール酸反応物の形成抑制により評価

    した。抑制の程度は、リコペン> α-トコフェロール> α-カロテン> β-クリプトキサンチン> ゼアキサンチン= β-カロ

    テン> ルテインの順であることが明らかになった。

    カロテノイドの混合物は単一の化合物よりも有効性が高く、この相乗効果はリコペンあるいはルテインが存在する

    場合に最も顕著であった。

    カロテノイド混合物の優れた保護作用は、膜における異なるカロテノイドの特定の配置に関連している可能性が考

    えられる。

    Key ingredients: α-carotene, β-carotene, lycopene, lutein, zeaxanthin, β-cryptoxanthin, α-tocopherol

    O’Connor I, O’Brien N. Modulation of UVA light-induced oxidative stress by beta-carotene, lutein and astaxanthin in cultured fibroblasts. J Dermatol Sci. 1998 Mar;16(3):226-30.

    UVA が誘発する酸化ストレスに対する β-カロテン、ルテイン、アスタキサンチンの防御能力について、ラット腎

    線維芽細胞(NRK)を用いて評価した。抗酸化酵素であるカタラーゼ(CAT)とスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)

    の活性と、チオバルビツール酸反応物(TBARS)の変化を酸化ストレスの指数として測定した。

    5.6 mW/cm2 の線量の UVA に 4 時間曝露した結果、CAT と SOD の活性は有意に減少し、また TBARS は有意に増加

    した。乳酸脱水素酵素(LDH)の放出が示す細胞毒性は認められなかった。

    β-カロテン(1 μM)、ルテイン(1 μM)、アスタキサンチン(10 nM)は in vitro での UVA 誘発性酸化ストレスに対

    して防御作用を及ぼし、なかでもアスタキサンチンには優れた防御特性のあることが明らかになった。

    Key ingredients: β-carotene, lutein, astaxanthin

    1997

    Umegaki K, Uramoto H, Suzuki J, Esashi T. Feeding mice palm carotene prevents DNA damage in bone marrow and reduction of peripheral leukocyte counts, and enhances survival following X-ray irradiation. Carcinogenesis. 1997 Oct;18(10):1943-7.

    パームカロテンの摂取が骨髄の DNA 損傷、末梢白血球数の回復、X 線全身照射後のマウス生存率に及ぼす影響を

    調査した。

    パームカロテンは、α-カロテンと β-カロテンが 1:3 の比で構成されていた。マウスに基礎食あるいはカロテン食(飼

    料 100 g 当りカロテン 50 mg 含有)を 2 週間摂取させ、つづいて X 線照射を行った。カロテン食は、組織中のカロ

    テン含量を顕著に上昇させた食事のプロトコルに従って調製した(J Nutr. 1995;125:3081)。骨髄の DNA 損傷は末梢

    血を用いた小核試験によって評価した。

    マウスに X 線を照射したとき(1.5 Gy)、骨髄の DNA の著しい損傷と末梢白血球数の減少が認められた。これらの

    変化は、カロテン食を摂取させたマウスで有意に弱まった。さらに、X 線照射後(6.5 Gy)の生存率は、カロテン

    食を摂取させたマウスのほうが基礎食を摂取させたマウスより高かった。カロテン食を摂取させたマウスでは、α-

    カロテンと β-カロテンが骨髄と肝臓中に検出され、肝臓中のビタミン A 濃度は基礎食を摂取させたマウスと比較

    して約 4 倍高かった。

    これらの所見は、マウスに摂取させたパームカロテンが、X 線照射によって引き起される損傷をその抗酸化活性と

    ビタミン A 活性あるいはそのいずれかによって防いでいることを示唆している。

  • Carotenoids and the Relevant Researches 13

    Key ingredients: palm carotenes (α-carotene, β-carotene)

    1996

    Miller NJ, Sampson J, Candeias LP, Bramley PM, Rice-Evans CA. Antioxidant activities of carotenes and xanthophylls. FEBS Lett. 1996 Apr 22;384(3):240-2.

    一連のカロテンとキサントフィルが ABTS(.+)ラジカル・カチオンを捕捉する能力の程度によって、それらの相対

    的な抗酸化活性を評価するのが本研究の目的である。

    ABTS(.+)ラジカル・カチオンを捕捉するカロテノイドの相対的な活性は、共役二重結合の数のみならず、末端の環

    におけるカルボキシル基やヒドロキシル基のような極性が増大する官能基の存在によっても影響を受けることが

    明らかになった。

    Key ingredients: carotenes, xanthophylls

    1992

    Serbinova E, Choo M, Packer L. Distribution and antioxidant activity of a plam oil carotene fraction in rats. Biochem Int. 1992 Dec;28(5):881-6.

    ラットにおけるパーム油カロテノイドの組織分布を測定し、カロテノイドの蓄積を酸化ストレスからの防護と関連

    付けることが研究目的であった。

    投与 2 週間後に肝臓中の β-カロテンは組織重量 1 g 当り 7.3 から 30 ng に増加し、α-カロテンとリコペンは投与 10

    週間後にそれぞれ 74 と 49 ng/g となった。心臓と後肢骨格筋における β-カロテン含量は、10 週間後にそれぞれ 17

    と 6 ng/g に増加した。給餌期間中、脳、脂肪組織、皮膚にカロテノイドは検出されなかった。

    ペルオキシルラジカルのアゾ化合物をイニシエーターとして肝ホモジネートに脂質過酸化を in vitroで誘発した後、

    組織中のカロテノイド濃度と脂質過酸化物の蓄積との間の逆相関が、α-カロテン>リコペン> β-カロテンの順に強く

    認められた。

    Key ingredients: palm oil carotenoids, α-carotene, β-carotene, lycopene

    1989

    Di Mascio P, Kaiser S, Sies H. Lycopene as the most efficient biological carotenoid singlet oxygen quencher. Arch Biochem Biophys. 1989 Nov 1;274(2):532-8.

    生物学的に存在が認められるカロテノイドの一つであるリコペンは、一重項酸素について最大の物理的なクエンチ

    ング速度定数を示し(kq =31 x 109 M-1s-1)、その血漿濃度は β-カロテンより僅かに高い(kq = 14 x 109 M-1s-1)。

    栄養価値のあるカロテノイドの中でも β-カロテンと、α-トコフェロール(kq = 0.3 x 109 M-1s-1)のような他の抗酸

    化剤は酸化促進状態からの防衛に関与していることから、そのような化合物がある種の癌に対して防護作用を及ぼ

    すことが疫学的証拠から明らかにされることに多大な関心が寄せられている。

    さらに、アルブミン結合ビリルビンも一重項酸素クエンチャー(kq = 3.2 x 109 M-1s-1)であることが知られている。

    興味深いことに、そのような kq 値の低い化合物は血漿中に高濃度存在していることが明らかにされている。

    以上のような違いを考慮すると、リコペン(血漿中に 0.7 μM)、β-カロテン(同 0.5 μM)、アルブミン結合ビリルビ

    ン(同 15 μM)、α-トコフェロール(同 22 μM)の一重項酸素クエンチング能はほぼ同等であると考えられる。

    Key ingredients: β-carotene, lycopene, α-tocopherol

    抗炎症特性 Anti-inflammatory properties 2012

    Hadad N, Levy R. The synergistic anti-inflammatory effects of lycopene, lutein, β-carotene, and carnosic acid combinations via redox-based inhibition of NF-κB signaling. Free Radic Biol Med. 2012 Oct 1;53(7):1381-91.

    炎症メディエータとサイトカインは、ヒトにおける膨大な数の疾病の病因に重要な役割を果たしていることから、

    それらの炎症誘発性作用機構の鈍化に多大な関心が集まっている

    本研究の目的は、リポ多糖類(LPS)に曝露したマクロファージからの炎症メディエータ放出を阻害し、また、in vivo

    (腹膜炎マウスモデル)で植物栄養素の組合せによる抗炎症作用を測定するために、達成可能な血中濃度でカロテ

    ノイドとフェノール樹脂の組合せの有効性を評価することにある。

    24 時間の LPS 添加の 1 時間前に、リコペン(1 μM)、Lyc-O-Mato(1 μM)、カルノシン酸(2 μM)、ルテイン(1 μM)

    あるいは β-カロテン(2 μM)によるマウス腹膜マクロファージの予備インキュベーションは、iNOS、COX-2、NADPH

    オキシダーゼタンパク質のダウンレギュレーションに由来する NO、プロスタグランジン E2、スーパーオキシドの

    産生の相乗的阻害、mRNA 発現、TNFα 分泌による相乗的阻害を引き起した。

    植物栄養素の組合せによる抗炎症作用は、これらが LPS 誘発性スパーオキシド産生の直接的かつ有効な相乗作用を

    引き起こし、ERK と NF-κB 活性化の顕著な低下を招くことから、おそらくそれらの抗酸化特性を利用しているも

    のと推測する。

    何種類かの植物栄養素の組合せによる抗炎症作用はまた、腹膜炎のマウスモデルでも実証された。それらを飲料水

    で補給することにより、腹腔への好中球動員の減弱、腹膜好中球とマクロファージによる炎症メディエータ産生の

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Di%20Mascio%20P%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Kaiser%20S%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlushttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Search&Term=%22Sies%20H%22%5BAuthor%5D&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlusjavascript:AL_get(this,%20'jour',%20'Arch%20Biochem%20Biophys.');http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Hadad%20N%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22889596http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Levy%20R%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22889596http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22889596

  • Carotenoids and the Relevant Researches 14

    阻害が引き起こされた。

    Key ingredients: β-carotene, lycopene, Lyc-O-Mato, lutein, carnosic acid

    Bian Q, Gao S, Zhou J, Qin J, Taylor A, Johnson EJ, Tang G, Sparrow JR, Gierhart D, Shang F. Lutein and zeaxanthin supplementation reduces photooxidative damage and modulates the expression of inflammation-related genes in retinal pigment epithelial cells. Free Radic Biol Med. 2012 Sep 15;53(6):1298-307. doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2012.06.024.

    酸化的損傷と炎症が加齢黄斑変性(AMD)の疾病原因に関係していることが明らかにされている。また、食事性

    ルテインとゼアキサンチンの不充分な摂取、あるいは血清ゼアキサンチンレベルの低値が AMD のリスク上昇と関

    連のあることが疫学調査で示唆されている。

    本研究の目的は、網膜色素上皮(RPE)への光酸化的損傷に対するルテインとゼアキサンチンの保護効果と酸化に

    よって誘発される炎症関連遺伝子発現における変化を検証することにある。

    リポフスチンが介する光酸化を in vivo で模倣するために、ルテインとゼアキサンチンの補給効果を調査するモデル

    システムとして A2E が蓄積した ARPE-19 細胞、リポフスチンの発蛍光団、光増感剤を用いた。

    培養基におけるルテインとゼアキサンチンの補給は RPE 細胞中にルテインあるいはゼアキサンチンの蓄積を引き

    起すことがデータから明らかになった。

    細胞中のルテインとゼアキサンチンの濃度は培養基で検出された濃度の 2~14 倍となり、ARPE-19 細胞がルテイン

    あるいはゼアキサンチンを能動的に取り込んでいることを示した。

    未処理細胞と比較して、青色光に曝露した A2E 含有 RPE では、プロテアソーム活性の 40~60%の低下、CFH・MCP-1

    発現の 50~80%の低下、また、IL-8 発現の 20 倍の上昇が引き起こされた。

    光酸化によって誘発された MCP-1、IL-8、CFH の発現における変化はプロテアソームの化学的阻害によって生じる

    変化と同様であったことから、プロテアソームの不活性化は光酸化によって誘発されるこれら炎症関連遺伝子発現

    の改変に関与していることが示唆された。

    青色光への曝露に先立つ A2E 含有 RPE のルテインあるいはゼアキサンチンによるインキュベーションで、プロテ

    アソームの光酸化誘発性不活性化と MCP-1、IL-8、CFH 発現における光酸化誘発性変化が著しく減弱することが明

    らかになった。

    全体としてこれらのデータは、ルテインあるいはゼアキサンチンが培養した RPE において光酸化に応じた炎症反

    応を調節していることを示している。

    酸化による不活性化からのプロテアソームの保護は、ルテインとゼアキサンチンが炎症反応を調節する機構の一つ

    のようである。

    同様の機構はまた、AMD リスク低減におけるルテインとゼアキサンチンの有益な作用を説明している可能性があ

    る。

    Key ingredients: lutein, zeaxanthin

    2011

    Shanmugasundaram R, Selvaraj RK. Lutein supplementation alters inflammatory cytokine production and antioxidant status in F-line turkeys. Poult Sci. 2011 May;90(5):971-6.

    食事性ルテインの補給がリポ多糖(LPS)接種後の急性期反応でのシチメンチョウの生産パラメータ、サイトカイ

    ン産生、酸化状態に及ぼす影響について検討を行った。

    1 日齢雛に 3 種類のレベルのルテイン(0、25、50 mg/kg 飼料)を添加した基礎飼料を給与した。食事性ルテイン

    の補給 50 日目、シチメンチョウを LPS 接種群と非接種群に分けた。

    食事性ルテインの補給量増加により、LPS 接種と非接種の両群において、肝臓・血漿中のルテイン濃度が上昇した。

    ルテイン 50 mg 補給群では、LPS 接種後 48 時間に同処理によるルテイン濃度低下が肝臓と血漿の両方で認められ

    た。ルテイン 0 mg 補給群では、LPS 接種後 24 時間と 48 時間に同処理による増体量と飼料の消費量の減少が認め

    られた。

    LPS 接種群でルテイン 50 mg を補給した群の採食量と増体量は、LPS 接種後 24 時間と 48 時間の両方で LPS 非接種

    群におけるそれらの数値と同程度であった。

    LPS による処理は、ルテイン 0 mg 補給群における IL-1β mRNA 濃度を上昇させた(p=0.01)。LPS 接種群における

    食事性ルテイン 50 mg の補給は、ルテイン 0 mg 補給群と比較して、IL-1β mRNA 濃度の低下と IL-10 mRNA 濃度の

    上昇をもたらした。

    LPS 接種を行った群において、食事性ルテイン 0 mg の補給で肝臓中のチオバルビツル酸反応物濃度の上昇が認め

    られたが、ルテイン 50 mg の補給では肝中チオバルビツル酸反応物濃度は低下を示した。

    食事性ルテインのシチメンチョウへの補給は、IL-1β 産生の減少と IL-10 産生の増加により、LPS 接種後の酸化損

    傷と免疫応答の減少をもたらすことが明らかになった。

    Key ingredient: lutein

    2010

    Meriwether LS, Humphrey BD, Peterson DG, Klasing KC, Koutsos EA. Lutein exposure, in ovo or in the diet, reduces parameters of inflammation in the liver and spleen laying-type chicks (Gallus gallus domesticus). J Anim Physiol Anim Nutr (Berl). 2010 Oct;94(5):e115-22. doi: 10.1111/j.1439-0396.2010.00990.x.

    鶏胚及び飼料のカロテノイドへの曝露が急速発育鶏と遅発育鶏における炎症性免疫応答に及ぼす影響を調査する

    のが本研究の目的である。

    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Bian%20Q%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Gao%20S%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Zhou%20J%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Qin%20J%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Taylor%20A%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Johnson%20EJ%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Tang%20G%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Sparrow%20JR%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Gierhart%20D%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Shang%20F%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22732187http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Shanmugasundaram%20R%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=21489941http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Selvaraj%20RK%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=21489941http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Lutein%20supplementation%20alters%20inflammatory%20cytokine%20production%20and%20antioxidant%20status%20in%20http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Meriwether%20LS%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=20546071http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Humphrey%20BD%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=20546071http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Peterson%20DG%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=20546071http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Klasing%20KC%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=20546071http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Koutsos%20EA%5BAuthor%5D&cauthor=true&cauthor_uid=20546071http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20546071

  • Carotenoids and the Relevant Researches 15

    ニワトリの全身性、局所性炎症反応について、2 種類の実験で検討を行った。すなわち、in ovo での 2 種類のルテ

    インレベル[C+(カロテノイド充足)あるいは C-(カロテノイド欠乏)]と飼料での 2 種類のルテインレベル[ル

    テイン 0 mg/kg飼料あるいはルテイン 40 mg/kg飼料]で、それらに対して 2種類の炎症負荷を行った[リポ多糖(LPS)

    ワクチン接種の有無]。

    LPS ワクチン接種後 24 時間、脾臓の重量は飼料あるいは in ovo でのルテインによる影響を受けなかったが、肝臓

    重量は C+ 卵で上昇した(p

  • Carotenoids and the Relevant Researches 16

    Key ingredient: lutein

    2007

    Rafi MM, Shafaie Y. Dietary lutein modulates inducible nitric oxide synthase (iNOS) gene and protein expression in mouse macrophage cells (RAW 264.7). Mol Nutr Food Res. 2007