コンクリート品質確保に関する取り組み -...
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コンクリート品質確保に関する取り組み
1.『技術事務所実施の「コンクリート受入検査」を紹介します!』
直轄工事の構造物に要求されるコンクリートの品質確保を、発注者(出監連と連携)
が自ら、現場搬入時の「受入検査」を行うものです。
なぜ、受入検査なのか?
・生コンの材料の品質は、日々変化(水分管理等)
・現場では、生コンの品質管理を、製造プラントに依存
(品質の確保は、製造プラントの技術力が左右)
・日々の「受入検査」の試験は、製造者自身が実施
なぜ、技術事務所が行うのか?
・発注者自らが品質チェック(試験技術力及び保有機器を保有)
・東北管内(直轄工事)の生コン品質の実態把握
・不合格要因の分析と改善策の助言(品質改善)
・生コン品質・試験技術の意見交流(技術力向上)
現場コンクリートの品質向上へ支援
◆不合格要因(規格値を外れる主な要因)
・骨材の切り替わり(貯蔵ビンとサイロ)と表面水補正のタイミングのズレ
・試料採取時における粗・細骨材及びモルタルの割合の不均一による結果のズレ
・運搬時のロスが見込みどおりでない(運搬時間、待機時間が想定を外れている)
・混和剤(高性能 AE減水剤、増粘剤等)の効果が発現するタイミングのズレ
(富配合コンクリート、早強セメント、増粘系の混和材の場合は空気が入りにくい。)
・ドラム内の洗浄水が残っている可能性
・空気量が小さいとスランプも小さくなり、スランプ調整を単位水量で行った場合
・ワーカビリティーを優先させ、加水した可能性 等が考えられる。
◆効 果
受注者は、JIS認定工場から生コンを購入しており、そこには監督職員がプラント工場
を指定するなど発注者側の意図が入る余地はありません。こうした中で、過年度に不合
格となったプラント工場で出荷した生コンを再調査した結果、全てで合格しています。
このことから、受入検査によるコンクリート品質確保の効果は確実に見受けられます。
・塩化物量測定
・単位水量測定・スランプ試験・空気量測定 (必須)
コンクリートの圧縮強度試験 (必須)
(必須)(その他、工種で指定)
(必須)
施工管理
(工事写真を含む)
非破壊検査
施工管理
・テストハンマーによる強度推定
ひび割れ調査
生コンの受入検査出来形管理
品質管理
・配筋状態及びかぶり
◆実施内容
参考:【受入検査】の実施効果
○現場担当員の対応状況から
・対象現場における適度な緊張(発注者による検査)
・品質把握の再考の場(プラント、施工業者、監督職員)
⇒ 品質の安定に苦慮するプラントが複数年かけて改善した事例有り
○監督職員の立場では・・・
・監督職員の受入検査への立会機会が『増』 ・現場との品質向上に向けた横連携的な存在に ○打設工事現場(全般) ・東北管内の生コン品質の実態、課題の把握(不合格の要因分析) ・多面的な視点での現場状況把握(好事例の収集) 【H26実施 受入検査好事例紹介】 受入検査を実施した新井田川橋下部工工事「施工業者:㈱瀬崎組」において丁寧な施
工状況がみられた事から、施工体制や品質確保の考え方をヒアリングした結果、コンク
リート構造物の【施工のポイント】となる部分が見えたため、好事例として紹介します。
登場人物:上段左から 監督職員:仙台河川国道事務所 伏見建設監督官
請 負 者 ㈱瀬崎組:石垣現場代理人(当時)、山田常務取締役、菊池工事主任
~初期の失敗事例から、後施工へ反映、標準化へ~ 初期の打設日に、他工種の立会・検査があり、打
設コントロールする社員の臨場が出来なかった。 ⇒(打設時の各作業の詳細指示が出来ず、
出来栄えが不十分な結果となった。) 品質向上への議論のきっかけとなり、現場での意
思確認(作業内容方針、役割分担 等)ができ、そ
れが現場打設作業の【標準化】となった。
品質確保への取り組み
①品質向上に向けた配慮事項 ・十分な締固めの指示ができるコンクリート打設経験
者の配置と作業員との意思疎通が重要(打設作業員
との年齢が逆転し、十分に指示出来ない状態を考慮) ・コンクリートの品質は、標準示方書の【作業標準】
が基本であり、この中に現場の工夫をどう入れるか
を考慮した。
⇒手間が掛かるが、出来映えの不具合補修の費用を考えれば十分な費用対効果がある。 ・品質向上には『表面の見映えをよくする』ことが直結するという視点で取り組んだ。
打設技術に関する指導について
・打設作業での指示は、現場で各作業の都度、作業員に直接指示することを基本とした ・長時間となる締固め作業には、指導管理する者を必ず配置し、その都度指示を徹底し、
打設量や終了時間、昼休み、休憩時間等をあらかじめ説明した。
打設作業について
・単位水量測定を全車で行い、時間把握をしていたことから打設完了時間の管理も全車
で行った。プラントと密に連絡を図り、社内規格値内で品質確保が出来た。 ◆ポンプ車の筒先管理について
・打設作業におけるポンプ車の筒先管理は、ポンプ車オペレータに事前に打込高や手順
を説明し、その作業ぶりをチェック、確認の徹底を図った。 ・打設作業のメインは【締固め】となるので、これに合わせた筒先管理を基本とした。 ◆「打ち継ぎ」,「打ち重ね」の処理方法について ・締固め作業 ⇒ ①先行バイブ、②投入バイブ、③仕上げバイブ の 3 段階 先行バイブ・・・「打ち重ね線発生防止」打込み直後に、先行コンクリートの表面の再振
動を行い、後発コンクリートとの一体性確保に努めた。 仕上げバイブ・・高周波棒バイブ・振動長 1.2~1.5mを使用し、先行コンクリートと
の一体化を図った。 ◆打設面の水平性を確保 ・打設リフトの天端の角材(桟木)設置とスポンジ状のシール材(市販テープ)の型枠
貼り付けで、打ち継ぎ目線および砂すじ対策を図った。 ・型枠の角度接合面の砂すじ対策では、型枠の内側から、コーキング材を使用した。 ⇒ 打ち継ぎ目、目違い、砂すじ等をなくすために事前に型枠職人と検討を行った。
養生方法について
・品質向上および品質確保、表面汚れ(ノロ、鉄筋の錆水等)の対策として養生シート
を全面採用した。
拡大図
⇒ 養生シート採用のポイントは、品質向上の他に、表面の汚れ除去の費用(人件費)
との比較であると認識している。 結果、養生シート採用はコンクリートの品質に大きく貢献していると判断された。
『~ 打設施工のポイントは‘‘ここ’’にあった! ~』
「コンクリート表面の見映え(打ち継ぎ目、打ち重ねライン)を意識した取り組み」 「初期打設の失敗から学んだ現場の取り組み」
チェックポイント 内 容 ポンプオペレータ ポンプ筒先処理技術の把握 打設作業指示者 打設中の細部にわたる指導、指示 作業内容の周知 作業内容(時間割等)の事前説明 締固め方法 作業毎にバイブレータの使い分け 型枠工との協議 コンクリート表面への配慮(一工夫) 養生方法 補修・清掃作業の経済比較
謝辞:ヒアリングの実施に対し、ご理解・ご協力を頂きました仙台河川国道事務所・伏見
建設監督官、㈱瀬崎組より、実施工に基づいたコンクリート品質管理等に関する「施
工のポイント」をご紹介頂きました。 ここに深甚なる謝意を表します。 3.終わりに
今後も、コンクリート品質確保に関する好事例については積極的にご紹介します。
東北技術事務所では、コンクリート構造物の品質確保について、継続した取り組みを
実施していきます。
引き続き、今回紹介いたしましたコンクリート受入検査へのご協力をお願いします。
問い合わせ先:品質調査課 品質検査係長(M782-352)