インフラシステム輸出及び低品位炭技術開発 · 2013-10-02 ·...

New Energy and Industrial Technology Development Organization

インフラシステム輸出及び低品位炭技術開発

２０１３年８月７日（水）

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構環境部クリーンコールグループ

在間信之


内容

１. NEDOの高効率なCCT技術の海外普及

「国際エネルギー消費効率化等技術・システム

実証事業／基礎事業／石炭高効率利用システム案件等形成調査事業」

２. 低品位炭の技術開発

３. まとめ

1


１．NEDOの高効率なCCT技術の海外普及インフラシステム輸出戦略の概要

戦略の柱 ①官民連携の推進

②インフラ海外展開の担い手となる企業・地方自治体や人材の発掘・育成支援 ③先進的な技術・知見等を生かした国際標準の獲得 ④新たなフロンティアとなるインフラ分野への進出支援 ⑤安定的かつ安価な資源の確保の推進

目標インフラ輸出の受注額を、2020年までに現在の１０兆円から３倍の３０兆円に拡大する

効果エネルギー分野は、2020年に約９兆円の最大分野になると予想。石炭やガスによる電力分野の関連投資額は、年平均２．２％の成長を見込む。

現状（2010年）将来推計（2020年）

電力約２．２兆円

原子力約０．３兆円

石油・ガスプラント約０．５兆円

スマートコミュニティ約０．８兆円

鉄道約０．１兆円

次世代自動車約１０兆円

先進安全自動車－

道路約０．２兆円（11年）

港湾　整備：約５００億円（09-11年平均）　運営：約５００億円

航空　空港：約５００億円（07-11年平均）　管制：約１億円（13年）

情報通信情報通信約４兆円６兆円程度

工業団地約１００億円

建設業約１兆円（09-11年平均）

水約０．２兆円

リサイクル約０．１兆円

医療約０．５兆円

農業約１５０億円

宇宙約２００億円

海洋インフラ・船舶約０．１兆円（11年）

郵便約１５０億円

９兆円程度

７兆円程度

２兆円程度

１兆円程度

５兆円程度

分野

新分野

生活環境

基盤整備

交通

エネルギー

（出展）首相官邸ＨＰ、第４回経協インフラ戦略会議(2013.5.17)提出資料より

2


Source: International Comparison of Fossil Power Efficiency and CO2 Intensity 2011, by Ecofys

我が国の高効率発電技術、CCS技術、運転管理技術等の石炭高効率システムの海外普及を促進するためのFS事業を実施。本調査事業の各テーマが全て事業化した場合に得られるCO2削減量の合計は、約５～７百万トンCO2/年を見込んでいる。

・我が国の石炭火力発電技術は、世界最高水準を達成。これは、国内での継続的な技術開発とその実用化、さらには適切な運用管理に努めてきた成果。・世界には、効率の悪い石炭火力発電が多数存在し、これらの効率向上が緊急の課題。

海外普及促進

１．NEDOの高効率なCCT技術の海外普及

3


石炭高効率利用システム案件等形成調査事業

プロジェクト案件形成

ＣＣＴプロジェクトやＩＰＰプロジェクトについて、ＦＳおよび短期の試験、調査を実施し、プロジェクトの案件を形成する。

案件発掘調査

地点選定等の(プレ)ＦＳ＋調査、試験

案件形成調査

具体的な地点のＦＳ（概念設計＋調査、試験）

民間ベースで次ステップ移行

【目的】

日本が有する、高効率発電技術（USC、IGCC等）や石炭ガス化技術、CCS技術、

運転管理技術などの石炭の高効率利用に関する設備・技術を対象として、海外市場に

普及・促進させることで、相手国のエネルギー効率の向上、エネルギー源の多角化を

支援し、エネルギー需給の安定、地球環境問題の解決に資することを目的とする。

基礎調査プロジェクト形成に必要な基礎情報の調査を実施する。

案件形成合理化調査

過去のＦＳ結果の合理化検討や補完調査

（24年度のみ）

4


▲▲ ▲

▲▲ ▲▲ ▲▲

インドネシア：ＩGCC発電（発掘）褐炭からの代替強粘結炭製造（発掘）ＳＴＤ乾燥ｼｽﾃﾑによる発電所効率改善(合理化）低品位炭利用高効率発電所(CFB) （発掘）市街地/環境調和型高効率石炭火力（形成）低品位炭利用高効率発電所(CFB)（形成）

オーストラリア：褐炭を利用した水素供給インフラ(形成) 褐炭を利用した水素供給インフラ(合理化) 高効率石炭火力＋CCS(発掘）

▲ ▲

▲

▲

全体では19ヶ国／29件平成23年度：4ヶ国6件平成24年度：12ヶ国10件（基礎調査4ヶ国を含む）平成25年度：4ヶ国5件の調査事業を実施している。


石炭高効率システム案件等形成調査事業

これまでの実績（アジア圏）

5

▲ 2011 ▲ 2012 ▲ 2013 ▲ 2012 基礎調査

インド：改質褐炭(UBC)＋USC

台湾：既設発電所へのCCS付設・更新（発掘）

ベトナム:：輸入炭と国内無煙炭の混焼による高効率発電（発掘）輸入炭と国内無煙炭の混焼による高効率発電（形成）

キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン石炭高効率利用基礎調査

カザフスタン石炭高効率利用基礎調査

▲

▲

▲

▲

▲▲ ▲▲

スリランカ：高効率亜臨界発電

モンゴル：石炭起源クリーン燃料製造（発掘）

中国：石炭ボイラ運転管理技術高度化（発掘）廊坊IGCCプロジェクト（形成）低品位炭ボイラ運転管理技術高度化（発掘）ＣＣＳ－ＥＯＲ適用可能性／モニタリング技術（形成）


▲▲

ポーランド：高効率石炭火力発電所新設（発掘）高効率石炭火力発電所新設（形成）

ブルガリア：超臨界石炭火力発電所及びCCS（形成）超臨界石炭火力発電所及びCCS（合理化）

▲ ▲

▲


石炭高効率システム案件等形成調査事業

これまでの実績（欧州／米国）

6

全体では19ヶ国／29件平成23年度：2ヶ国2件平成24年度：6ヶ国4件（基礎調査3ヵ国を含む）平成25年度：2ヶ国2件の調査事業を実施している。

南東欧（ハンガリー、ルーマニア、セルビア）石炭高効率利用システム基礎

▲▲

ハンガリー：石炭ガス化プロジェクト（発掘）

アメリカ：HECA（IGCC）プロジェクト（合理化）

ボスニア・ヘルツェゴビナ：超臨界石炭火力発電所（形成）

▲

▲ 2011 ▲ 2012 ▲ 2013 ▲ 2012 基礎調査


石炭ＦＳのねらい

7

・日本の国際競争力の強化と確保

①プロジェクトの実現に向けて民間だけでは、プロジェクト組成が困難な地域への売り込みに対して支援を実施。

②他国では追従出来ない日本の技術（燃焼技術／炉／ガス化等）や実績ある高信頼性の機器や運用ノウハウの技術確証の支援を実施。



石炭ＦＳのねらい（続き）これまでの具体例 ① CFBを用いたインドネシアにおける極低品位炭利用の石炭

火力発電所プロジェクトの案件発掘（住友重機械） ② 国内混焼技術を用いたベトナムにおける国内無煙炭と輸入炭の混焼技術プロジュクトの案件発掘（IHI、丸紅、JCOAL） ③ 石炭とペトコークの共ガス化による経済性向上米国HECA（IGCC）プロジェクト合理化調査（三菱重工）これら日本の競争力ある技術を発展させることが重要であり

このような案件への支援がNEDOの役割と考える。

8



9

石炭の可採埋蔵量分布（国別・品位別）２．低品位炭技術開発

低品位炭は賦損量が多いが使われていない石炭


低品位炭の開発状況

１９９５年代～２００５年代は技術主導の技術開発２０１０年～２０１５年代地域ニーズに即したプロジェクト開発が行われている


平成２４年度低品位炭利用促進調査

【目的】低品位炭の利用技術は従来より開発されてきたが、未だ実用

化の条件が揃っていない。技術開発の課題か、ビジネスモデルに課題があったかを明ら

かにし、今後の開発に生かしていく目的で調査を実施【結果】高付加価値製品で、商業化が近い技術を市場規模、産炭国

ニーズを踏まえて開発対象を選定し、コスト低減も技術開発の対象とするべき（マーケットリーチの考え方も活用）

研究開発プロジェクトを組成する段階から、ビジネスモデルの検討を深めていくスキームの整備が必要

コスト目標を定量的、客観に定め、マネジメントしていく仕組みが必要

11


12

低品位炭は何を開発すべきか

• マーケットリーチ（最大年間消費量）算出の考え方推計の考え方利用統計マテリアルバランス*

前処理

選炭高灰分炭など選炭を要する石炭の推定消費量

IEA Coal Information 独自推計

一般炭需要に対し 2倍の原料需要を想定（6000kcal/kgに対し、 2倍の3000kcal/kg）

乾燥当該国における2011年時点での一般炭消費量*

を技術ニーズに応じ案分 (2030年に需要が減少する国については

2030年時点での一般炭需要とする) 改質 / CWM

燃焼

微粉炭燃焼 2011～2030までに当該国で

増加する一般炭需要を技術ニーズに応じ案分

独自推計一般炭需要に対し 2倍の原料需要を想定流動層燃焼

IGCC

ガス化（ケミカル用途） 2010年時点の化学産業用天然ガス消費量 (技術ニーズで案分)

IEA Natural Gas Information Energy Balances of Non-OECD

熱量換算で等価の原料需要を想定

液化

間接液化 2010年時点のガソリン・ディーゼル消費量（「◎：○：△＝1：0.5：0.25」の比率で案分） IEA Oil Information ガソリン・ディーゼルの

熱量等価の褐炭消費量直接液化

コークス製造当該国における2035年時点での原料炭需要独自推計原料炭と熱量等価の

褐炭消費量

* : 褐炭3000kcal/kg, 一般炭 6000 kcal/kg, 原料炭 7800kcal/kgとし、熱量等価となる原料（褐炭）需要が生じると設定


13

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

選炭乾燥改質微粉炭燃焼流動層燃焼 IGCC ガス化間接液化直接液化コークス製造

Mar

ket

Siz

e [M

T]

豪州中国ｲﾝﾄﾞﾈｼｱﾍﾞﾄﾅﾑﾓﾝｺﾞﾙｲﾝﾄﾞﾛｼｱﾄﾞｲﾂﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ米国ｺﾛﾝﾋﾞｱ南ｱﾌﾘｶモザンビーク

低品位炭技術別マーケットリーチ技術別マーケット・リーチ（最大年間消費量） 2030年時点で、各技術が普及した際に想定される褐炭のマーケット・リーチは以下のとおり。中国・インドの需要に引っ張られ、微粉炭燃焼、流動層燃焼の市場規模が大きい。微粉炭燃焼、ガス化、コークス製造などが、数多くの国に市場があり、広がりのある技術。

623MT

368MT 447MT

421MT

1,901MT

1,593MT

169MT 210MT

2,052MT

インドネシア

インド

ポーランド

ロシア

中国

中国

インド

中国中国

インド

612MT 南アフリカ

米国

インド

ロシアインド


14

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

選炭乾燥改質微粉炭燃焼流動層燃焼 IGCC ガス化間接液化直接液化コークス製造

Mar

ket S

ize

[MT]

豪州ｲﾝﾄﾞﾈｼｱﾍﾞﾄﾅﾑﾓﾝｺﾞﾙﾛｼｱﾄﾞｲﾂﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ米国ｺﾛﾝﾋﾞｱ南ｱﾌﾘｶモザンビーク

低品位炭技術別マーケットリーチ技術別マーケット・リーチ（除く中国、インド）需要規模の大きな中国・インド以外のマーケットを示す。インドネシア、ロシア、南ア、ポーランドに市場がある。乾燥、改質、微粉炭燃焼、コークス製造などが、数多くの国に市場があり、広がりのある技術

32MT 41MT

447MT

74MT

125MT

40MT

256MT 南ア

ベトナム

中国

豪州

ロシア

70MT インドネシア米国

368MT 382MT

ドイツ

ポーランド

豪州

南ア

インドネシア南ア

インドネシア

ロシア

ポーランド


15

Australia 103 MT

Germany 81 MT

Mongolia 43 MT

Colombia 7 MT

Indonesia 443 MT

Russia 346 MT

Vietnam 24 MT

South Africa

542 MT

Mozambique 1.5 MT

Poland 196 MT

US 113 MT

乾燥, 46

改質, 46

微粉炭

燃焼, 8

IGCC, 4

微粉炭燃

焼, 488

流動層燃

焼, 488

IGCC, 122ガス化, 19

間接液化, 339直接液化,

170

コークス製

造, 1552

China 3,178 MT

乾燥, 86

改質, 43

微粉炭燃

焼, 121

流動層燃

焼, 61

IGCC, 30

ガス化, 8

間接液化, 40

直接液化, 40

コークス製

造, 12

選炭, 22

乾燥, 2

選炭, 9

乾燥, 18

微粉炭

燃焼, 11

流動層

燃焼, 3

間接液

化, 2

乾燥, 132

コーク

ス製造, 213

乾燥, 75

微粉炭

燃焼, 3流動層

燃焼, 3

乾燥, 143 微粉炭燃

焼, 7

流動層燃

焼, 7

IGCC, 7

ガス化, 1

コークス製

造, 31

ガス化, 113

改質, 358

微粉炭

燃焼, 92

間接液

化, 28

選

炭, 1.5

微粉

炭燃

焼, 7

低品位炭国別マーケットリーチ

• 国別マーケットリーチ

選炭, 591

微粉炭

燃焼, 1031流動層

燃焼, 1031

IGCC, 258

ガス化, 25

間接液

化, 203コークス

製造, 244

India 3,383 MT


Win Winのビジネスモデル

低品位炭利用促進プロジェクトの課題と対策

日本メーカ（技術）

事業主体（サービス提供）

炭鉱企業（低品位炭）

過不足なき技術実証

国の支援

製品価格の客観的な把握

相手国政府の支援・情報

相手国ニーズの把握支援

ビジネスモデル構築支援

•相手国ニーズに合わせたビジネスモデルの構築を優先

•客観的な市場価格予測から製品目標価格を設定

•製品価格を実現する過不足なき技術適用

提案する開発スキーム

インフラ整備

原炭価格上昇リスク

労働管理リスク

目標価格


３．まとめ

17

日本の競争力とエネルギーセキュリティ確保に資する仕組み作りを行う技術開発だけで無く、G-Gで可能なサポートを行っていく

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