大型直熟3極管211/845アンプは製作記事,ヒアリ

ング会などで人気が青いが　これまでB電圧1000V

台での動作例が多く,製作上の障害となることもあ

った.本機はMJ誌1998年10月号発表のVV52Bアン

プを改造して211/845アンプに仕立てたもの.回路

は6SN7の2段増幅とチョーク結合によるもので,

出力段には自己バイアス方式を採用した. VV52B

インターネットと

オーディオ

私がPC(パソコン)を始めたの

は　郵便番号が7桁に変わる前の

ことでした.それまではワープロ

専用機を使い, MJ誌の原稿やヒ

アリンク会の招待はがき印刷,プ

ログラムの作成と,それなりに便

利に使っていました.

ワープロの買い替えを考えてい

ると息子から, ｢新しくワープロ

を買うのなら思い切ってPCにし

たら｣と言われ迷いました.果た

してこの年齢で使うことができる

のだろうかと,正直言って不安が

ありました　そこで試しに本体と

プリンターを中古品(¥20k)で

モニターは視力の弱い私に,大き

めの見やすい新品17インチに決め,

合計¥98kで一応揃いました.

郵便番号の5桁の旧住所録の

44

アンプからの変更点はトランス類がほとんどで電

源トランスの交換でB電圧を750Vと, 211/845アン

プにしては上境更的低く設定して安全性の確保につと

めている.結合チョークは音質上パーマロイコアか

らオリエントコアの製品に交換した. 211はWEの

211-亡とハイトロン艶　845は中国製　同様の大型

直熱3極管4242およびMCl/50でも試聴を行った.

PCへの入力は,ソフトの違いで

変換できず途方にくれていたと5,

MJ誌の前編集長高橋氏のご厚意

で何とかクリアすることができま

した

次の挑戦はEメールでしな　サ

ーバーからEメールアドレスをも

らい,最初はコウイので自分自身

を宛先にして送ってみました.成

功したときは真空管アンプを組み

上げ最初に音が出てきたときと

同じような興奮を覚えました

明けて正月の松も取れたころ,

エイフルの若林社長に｢メーリン

グリストのtubem12に入りません

か｣と声をかけられ　不安ながら

入会させていただきました　しば

らくは皆さんのメールをROM

(Read Only Member :読むだ

けで書き込みをしない会員)して

いました753',真空管アンプのメー

ルは当然ですが｢tubem1 2｣の名

称にも関わらず,そのほかに音楽

の話題や他の趣味話など内容カシヾ

ラエティーに富んでおり,次第に

自分も参加したくなってきました.

おかげで返信の仕方や転送の仕

方も覚え,興味はますます深まっ

ていきましたが,何しろ古いタイ

プのPCのために処理が遅く感じ

るようになり,息子のアドバイス

でターミナル･アダプターを購入

してデジタル通信回線に変更し,

インターネットを始めるようにも

なりました.

インターネットを始めて驚いた

ことは,大勢の真空管マニアが

HP (ホームページ)を開設して

いることでした　中には真空管の

回路の仕組みを子細に解説してい

るHPもありました.

こうしてPCに取り組んで2年日

の年を迎えた年末になると,自分

のHPを作りたいという夢が次第

MJ

211/845シングル･モノ-ラルパワーアンプ

に膨らんでいきました. HP作成

にあたり,まず容量の少ないPC

とお別れし,おりしもMacの新

型G4が出ましたので早速買い替

え, HPに欠かせないデジタルカ

メラとスキャナーも購入しました.

こうして仲間の協力を得て, 2000

年1月4日,内容は乏しいながら

HPを開設し, 1月30日には早く

も1000人の訪問者を迎えること

ができました.

PCを始めて良かったことは

メールを通して北は北海道から南

は沖縄まで　多くの真空管フアン

と知り合いになれたことです.こ

こには多くの製I儒呈験者および真

空管アンプを作ったことがない人

もおられますが　｢音楽が何より

も好き｣ということは共通してい

るようです.

私のHPは3-4か月ごとに更新

し,内容もさらに増やして楽しん

でいただけるようにしていく予定

ですので　時々のぞいてみてくだ

さい. PCを始めて,また違った

オーディオの方向を教わったよう

に思いました

URLはhttp://www2 0cm.ne.

Jp/~matunamlです.

211と845

昨年と今年のヒアリング会での

アンケートで｢今度どのような球

でアンプを作りたいですか｣とい

う質問に対して1位300B, 2位

2A3, 3位211/845という回

答が得られました. 211や845

は高電圧が必要なので敬遠される

のではないかな-と思っていただ

けに意外でした　そこで今回は製

作しやすいように700V台で作れ

る21 1/845アンプを紹介します-

UV-21 1 (VT-4C)は皆さんも

ご存じの大型送信管ですが,初期

の頃は板プレートの構造でしたの

2000/7

でプレート損失も65-75Wくら

いでした.後に改良されプレート

はカーボングラファイトになり,

プレート損失も100Wと大きくな

りました.

さらに使用目的を変更した845

が生まれましたが,バイアス電

圧-55Vくらいの211系と違い,

845は同じ1000V動作でもバイ

アス電圧力や架く-150Vくらいで

すから強力なドライブ回路が必要

です.また150Vフルスイングさ

せるためにはそれなりのゲイン

(利得)を積がねはなりませんので

その点211系は回路的には使い

やすい出力管です.

今回はWEの21 1-2が手元にあ

りますので　これと-イトロンの

211の紹介を兼ねてアンプを製

作してみました　またヨーロッパ

でも同種のものが出ていますので

フィリップスMCl/50とSTCの

4242を写真のみですが併せて紹

介します.このほかに中国製845

もありますので　3種の特性お

よび5種の音質の違いを報害しま

しょう.

表1がWEの211-D,表2は

845の規格表です. 5種いずれ

もフィラメントは電圧が10V,電

流3 -3.25Aという大食らいの真

空管ですが,大型出力管の音の魅

力はまた一味違って格別です.

★警告〝

本機は750Vという211/845

としては低いB電圧で動作してい

ますが　それでも通常のアンプの

2倍ほどの高電圧を扱っています.

真空管アンプ製作経験の浅い人は

危険を伴いますので　本機の製作

はご遠慮ください.充分な経験の

ある人も製作される場合は,調整

の際くれぐれも感電に注意して,

できればゴム手袋の使用をお勧め

します.

211アンプの回路構成

211系のようを送信管はプレ

ートに1000Vくらいかけた方がパ

ワーカ取れ　力感のある音が得ら

れますが,扱う電圧が1000Vとな

りますと感電の心配などで不安が

伴い｢製作したいが少し恐い｣と

思っている人が多いようです. 400

Vも1000Vも感電すれば当然危険

ですが,注意して配線を行えばそ

れほど恐くはありません.とはい

え事故を起こしては大変です.そ

こで今回は対アース間電圧を750

vくらいに抑えて製作できる,

211系専用アンプと845の使用

例も含めて製作してみました

今回のアンプは本誌1998年10

月号に掲載したVV52Bモノ-ラ

大型直熱3極管wE211一員　中国製845, STC4242　フィリップスMCl/50

45

211/845シングル･モノーラルパワーアンプ

Wのプレート損失ですから,さ　　①プレートチョーク

らに余裕があります.

ドライブ回路および初段電圧増

幅回路は, 211のバイアスが30V

前後ですから. -イ〟の単管でも

充分ドライフできます.今回はデ

カップリング回路の変更のみで

VV52Bのときの回路をそのまま

使うことにしました.これは

eSN7の2段増幅回路で高利得の

ものです.しかし測定では歪率が

少し高かったので　初段のカソー

ド抵抗の増減で2段目ドライバー

管の動作点を変更し,歪み打ち消

し量を調整した結果,カソード抵

抗はlknから5000-変更になり

ました.

本機は高大力感度のアンプとな

ります力† 845でも使えるよう

に-イゲインの設計のままにしま

した.. VV52Bではドライブ段は

プレートチョーク結合とし,チョ

ークコイルはパーマロイコアを使

用した平田電機製作所(タンゴ)の

CD-180-12WNを使っていまし

たが　今回は力感を出す意味でオ

Vl i/26SN7

園田◆インタクタンス

5V. 50]Z

◆許容電流

◆レスポンス

(- ldB､巻線リノーズ)

◆最大励振電圧

◆最大B電圧◆巻線直流抵坑

◆使用真空管例

100　　　1k　　　10k　　100k　500k

周波数〔[Z〕

100　　　1k　　　10k　　100k　500k

周波数〔Hz〕

160]IDC15mA,170間〕COmA　巻線シリーズ

40]IDC30mA.43]lDCOmA　巻線パラレル

DC20mA･ ･巻線ゾノース

0040mA　巻線パラレル

12[2-80Mz ( ら-5kQ. b-15mA､句- 100kil) ･図①

12]2-50k]2((0-10kQ,(ち-22FLF)図②

200Vms120Hz　巻線シリーズ

DCI OOOV

500Ox2

6SN7.7616350.6AH4.6V6 (T)

[図1] TC-leo-15Wの使用例と特性

V2 i/26SN7　　　　　　　　　　　　V3211

2 C:I 2.05V3 e: �93V lOO声 35V 迭�H�ﾂ�310V 3 6 十 一lOOpFl2 35V8 匹B��ぴ�"�740V P 4 i.5W7k 29VB 判886F 覇ぴ�

lOOV6 C言 霊g 3 劔i

Vl i/26SN7　　　　　V2 i/26SN7　　　　　　　　　　　　V3845

VRl 2.05V nl �90V 一I I Cl ��310V 3 6 + ∴∴ 8 ��2��ｸﾂ�CH鰾��"�739V P 7k 79VB + 04 覇ぴ�

9915V R2 価 8 劔i

談陥囲

◆プレート･チョーク

6SN7(112).烏b-250V

Flk-8200. b-8 9mA

G-2 2I`F.Fl9 -100kQ12[2-50kHz(-1dB)

～クリ/r･'･Tj-7

6SN7(1/2).包b-COO∨

FiF 1 kQ. FIL-33kn

/b =4 6mA. 0.-4 7pF

7Hz～50kHz (- 1 dB)

47

+

　

　

-

｣

〔eP〕　YへモKn

:l｣=0 93日当

211/845シングル･モノ-ラルパワーアンプ

タ NOll 亦�9852�β一一βー0 �#$&ﾂ�eFﾃ$�R�

Oil 一十 ,lOOFLFl60V T25H200mA

∴ �$����Cc�b����C�b��'d�C"�c��b�Ub�皇07 罵瑚6F220ii Q:500V t∴ ∴三∴∴ tI500V ���Y����ﾈ�ﾂ���"ｳ��2ｲ�Cr�fﾄ�dﾄb�3S�h�ｳ3S�h�ｲ�3｢�Y���*ﾓｨ�ﾂ�

OV 0

∴

∵ 泥����

カア_スポイント

[図3] 5R4GYを使用した笥渡部

0-3 タンゴHB-畢諾 012

Hl ∴ ∵ ∴ 塔都##�$cS��c##�把S��b�c��c#��ｶﾓ#��ｶﾒ�CV�d箔T�"$��CS�c#��ｴ�#��ｶ��

600VVa6D22So708 十一 5VlOO/JF500VlOOpF500V

0 Vb6D22S

[図4] 6DZZSを使用した電源部

使用部品

今回のアンプでは電源トランス

のみカ特注品のNo. 11897です.

タンゴのカタログ製品ではこのク

ラスの電源トランスがありません.

出力トランスはタンゴの7kn･

50WのFW-50-7Sを使い,チョ

ークコイルは手持ちのノグチトラ

ンス製を使っていますが　タンゴ

のTC-5-150または200mAのバ

ンド型でもよいでしょう.

平滑回路のコンデンサーは入力

2000/7

側は100IIF/500Vを2段重ね(501t

F/1000V相当となる)のブロッ

ク型,出力側は220〟F/500V

(110/`F/耐圧1000V相当とな

る)のブロック型を使っています.

本機では47I却ま手持ちのニチケ

ミを, 2201却まニチコンゴールド

を2本ずつ使っています.

初段およびドライバー段には

6SN7をそのまま使用,段間の結

合コンデンサーは久しぶりに

EROのブルー角形の1/lF/250V

を使っていますが　耐圧は400V

以上,できれば600Vのフイルム

コンデンサーを使ってください.

プレートチョークはタンゴの

TC-160-15Wに交換して21 1-ど

の特徴を生かすようにしましな

211/845用のUVソケットは

手持ちの国産の金メッキしたもの

を使いました.接点バネがやや軽

すぎの感はありますか　この接点

金具が固いと, 211を挿して回

すときにバルブベースの接着が剥

がれガラスを破損する危険があり

ますので注意しましょう.少し高

49

211I845シングル･モノーラルパワーアンプ

CiPi �845

l °ip. low 套r�211

001 002　005　01　02　　05　1

入力電圧〔∨)

[図7]

入出力特性(80負荷, lkHz)

∴ -.-ー00Hz 劔剪� ��

-lkHz

"〟 �� ����

01 02　　05　1　2　　　5　10

出力〔W)

[図9]

wE21 i -亡の高調波歪率特性

WEZlLEによる

方形波応答特性

(8q lW上　入力,

iiii 劔 �� �� �� �� �� ��

中国製845 劔 �� �� �� �� �� ��

I ���49fﾘ8ﾘ93#��剴�� �� �� �� �� �� ��

WE211-i 剪� �� �� �� �� �� ��

10　20　　　50　100　200　　500　1k　　2k　　　5k　10k　20k　　　50k　100k

周波数日Z)

[図8]周波数特性(80負荷, 1.5W)

---lOOHz 劔剪�I ��

-lkHz

i ��

01 02　　05　1　2　　　5　10

出力〔W〕

[図1 0]

ハイトロン211の高調波歪率特性

下.出力)　　　100Hz

催した埼玉県久喜市でのヒアリン

ク会に出品したもので　雑誌より一足先に聴いていただきましたが,

本機は出品した3台中で一番人気

がありました　このときはヨーロ

ッパ管の4242を比較に聴いてい

ただく予定でしたが,あいにく1

本が断線し,フィリップスのMC

I/50との聴き比べとなってしま

いました　どちらも板プレートで

したが,バランス,音飛びと中城

の厚みは21 1-とのほうが優れてい

ました.

2000/7

iiiii 劔��

---lOOHz 劔��

-lkHz 劔�"""�

i �� 亅8�ｸ�ｲ� �� ��

i �� ��

i �� ��

H

登〇〇〇一 �� �� 一､､ �� �� 梯� ��

_<∠ �� ��

i 塔���ｸ耳��� �� ��

01 02　　05　1　2　　　5　10

出力(W)

[図11]

中国製845の高調波歪率特性

lkHz

-イトロン211はカーボンプ

レート独特の音でトリウムタン

グステンフィラメントでもあり,

211_Eほどのキi)ッとしたとこ

ろはありませんが, -イトロンの

方はソフトで甘さがあります.

4242はWE211-2よりもさら

に中城の厚みがあり,私は4242

のほうが好みに思いました

845はセトロン製も持ってい

ますが　今回は中国製で聴いてみ

ました.やはりセトロン製と多少

違いはありますが　決して悪い印

10kHz

象はありませんでした. 845特

有のゆったりとした音で　キスキ

スせず安いして聴ける出力管です.

負荷をもっと下げれば歪みは増え

ますが,さらにソフトになる傾向

があります.このあたりも使うス

ピーカーによっても変わりますの

で　製作した人は実験すると良い

でしょう.

今回はB電圧を700Vとしまし

たが,出力は10W(845は12W)

も取れますので　家庭で音楽鑑賞

するには充分なものと思います.

53

(%〕慨闇

l%)*E