コンクリートダムの非線形動的解析ハザマ研究年報(2008.12) 29...

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ハザマ研究年報(2008.12) 28 コンクリートダムの非線形動的解析 浦野和彦 * ・村上祐治 * ・松家武樹 * ダムの耐震設計については,従来法である震度法による設計が行われているが,2005 年に国土交通省 河川局から「大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)」が示されたことなどにより,ダムに対し ても動的解析による耐震性能の照査が行われるようになってきている。コンクリートダムに対してレベル 2地震動による動的解析を実施する場合に問題となるのはコンクリートの非線形特性(引張軟化特性)の 取扱である。本報ではコンクリートの損傷に係わる重要な要素である破壊エネルギーGf などをパラメータ とした非線形動的解析を実施し,ダムの地震時挙動や損傷過程などについて基礎的な検討を行った結果を 報告する。 キーワード:コンクリートダム,非線形動的解析,ひびわれ,引張軟化,破壊エネルギー 1.はじめに コンクリートダムは今日まで致命的な地震被害を受け たことがないこともあり,他構造物の設計指針などが改 訂される中,兵庫県南部地震以降も震度法による設計が 行われている。しかし,昨今の地震ではダムサイトにお いても1G を超える地震動が観測された例があることや, 2005 年に国土交通省河川局から「大規模地震に対する ダム耐震性能照査指針(案)」 1) が示されたことにより, ダムについてもレベル2地震動に対する動的解析による 耐震性能の照査などが行われるようになってきている。 本報では前記の指針(案)を基本にして,レベル2地 震動による動的解析を実施する場合に重要となるコンク リートの引張軟化特性を考慮した非線形動的解析を実施 し,レベル2地震動に対するコンクリートダムの地震時 挙動や損傷過程,破壊エネルギーの影響などについて基 礎的な検討を行う。 2.コンクリートダムの耐震検討 2.1 耐震解析の流れ 2005 年に国土交通省河川局から出された「大規模地 震に対するダム耐震性能照査指針(案)」 1) では,図- のような耐震性能の照査フローが示されている。図- にこの照査における構造解析のイメージを示す。ここ では想定している地震動がレベル2地震動であるため, 震度法による検討と同じようにひびわれも許容せず弾性 領域内に収めることは合理的でないと考えられる。その ため,図中に示すように,ひびわれの進展等の損傷過程 を考慮した非線形動的解析による検討が推奨されている。 図-1 耐震性能の照査フロー 1) * 技術研究所 図-2 耐震性能の照査のイメージ 2) 報告

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Page 1: コンクリートダムの非線形動的解析ハザマ研究年報(2008.12) 29 コンクリートダムの非線形動的解析では次項に示すコン クリートの引張側の非線形特性(引張軟化特性)のモデ

ハザマ研究年報(2008.12) 28

コンクリートダムの非線形動的解析

浦野和彦 *・村上祐治 *・松家武樹 *

ダムの耐震設計については,従来法である震度法による設計が行われているが,2005 年に国土交通省

河川局から「大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)」が示されたことなどにより,ダムに対し

ても動的解析による耐震性能の照査が行われるようになってきている。コンクリートダムに対してレベル

2地震動による動的解析を実施する場合に問題となるのはコンクリートの非線形特性(引張軟化特性)の

取扱である。本報ではコンクリートの損傷に係わる重要な要素である破壊エネルギーGfなどをパラメータ

とした非線形動的解析を実施し,ダムの地震時挙動や損傷過程などについて基礎的な検討を行った結果を

報告する。

キーワード:コンクリートダム,非線形動的解析,ひびわれ,引張軟化,破壊エネルギー

1.はじめに

コンクリートダムは今日まで致命的な地震被害を受け

たことがないこともあり,他構造物の設計指針などが改

訂される中,兵庫県南部地震以降も震度法による設計が

行われている。しかし,昨今の地震ではダムサイトにお

いても1G を超える地震動が観測された例があることや,

2005 年に国土交通省河川局から「大規模地震に対する

ダム耐震性能照査指針(案)」1)が示されたことにより,

ダムについてもレベル2地震動に対する動的解析による

耐震性能の照査などが行われるようになってきている。

本報では前記の指針(案)を基本にして,レベル2地

震動による動的解析を実施する場合に重要となるコンク

リートの引張軟化特性を考慮した非線形動的解析を実施

し,レベル2地震動に対するコンクリートダムの地震時

挙動や損傷過程,破壊エネルギーの影響などについて基

礎的な検討を行う。

2.コンクリートダムの耐震検討

2.1 耐震解析の流れ

2005 年に国土交通省河川局から出された「大規模地

震に対するダム耐震性能照査指針(案)」1)では,図-

1のような耐震性能の照査フローが示されている。図-

2にこの照査における構造解析のイメージを示す。ここ

では想定している地震動がレベル2地震動であるため,

震度法による検討と同じようにひびわれも許容せず弾性

領域内に収めることは合理的でないと考えられる。その

ため,図中に示すように,ひびわれの進展等の損傷過程

を考慮した非線形動的解析による検討が推奨されている。

図-1 耐震性能の照査フロー1)

* 技術研究所

図-2 耐震性能の照査のイメージ 2)

報 告

Page 2: コンクリートダムの非線形動的解析ハザマ研究年報(2008.12) 29 コンクリートダムの非線形動的解析では次項に示すコン クリートの引張側の非線形特性(引張軟化特性)のモデ

ハザマ研究年報(2008.12) 29

コンクリートダムの非線形動的解析では次項に示すコン

クリートの引張側の非線形特性(引張軟化特性)のモデ

ル化が非常に重要となる。

2.2 引張軟化特性と破壊エネルギー

図-3にひびわれと引張応力の関係を示すが,ひびわ

れが生じていない弾性領域と完全に開口したひびわれ部

との中間にある破壊進行領域では,ひびわれ幅の増加に

伴って,そこで伝達される引張応力が減少する引張軟化

が生じる。この伝達応力とひびわれ幅の関係を表したも

のを引張軟化曲線といい,引張軟化曲線下の面積が破壊

エネルギーGf に相当する。この破壊エネルギーGf は単

位面積当たりの,完全に開口したひびわれを形成するの

に要するエネルギーに等しい。また,破壊エネルギーGf

はコンクリートの粗骨材の最大寸法に影響を受けるため,

粗骨材の最大寸法が大きいダムコンクリートでは普通コ

ンクリートより大きいことが報告されている 4)。この報

告では粗骨材の最大寸法 20,40,80,150mm を用いたくさ

び挿入型割裂試験を実施し,以下の関係式を得ている。

7.0

max 10)8079.0( ⎟

⎠⎞

⎜⎝⎛×+= c

ff

dG 式(1)

ここで, maxd :粗骨材の最大寸法(mm)

cf :コンクリートの圧縮強度(N/mm2)

式(1)において,圧縮強度 fc=18,24,30N/mm2 とした場

合の Gfと dmax の関係を図-4に示す。また,コンクリ

ート標準示方書 5)に示されている普通コンクリートの破

壊エネルギーGf を図-5に示すが,ダムコンクリート

と比較してかなり小さいことがわかる。

3.解析概要

3.1 解析対象ダム

解析対象は図-6に示す重力式コンクリートダムとし

た。ダムの堤体の高さは 100m,基礎部分の幅も 100m と

した。上流側には底面から 70m の位置に勾配変化点があ

る。また,上流側の水深は 90m とした。

3.2 解析モデルと解析条件

本検討に用いる解析モデルを図-7に示すが,対象ダ

ムの形状を忠実に二次元有限要素でモデル化した。

解析に用いたダム堤体の物性値を表-1に示す。地震

時挙動に影響を与えるパラメータとしては以下の4項目

図-3 ひびわれと引張応力の関係 3)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

0 50 100 150 200

粗骨材の最大寸法 dmax (mm)

破壊

エネ

ルギ

ー G

f (N

/m

)

fc =30N/mm

fc =24N/mm

fc =18N/mm

2

2

2

図-4 Gf と dmax の関係

図-5 普通コンクリートの破壊エネルギーGf5)

下流側 上流側

図-6 解析対象ダム

Page 3: コンクリートダムの非線形動的解析ハザマ研究年報(2008.12) 29 コンクリートダムの非線形動的解析では次項に示すコン クリートの引張側の非線形特性(引張軟化特性)のモデ

ハザマ研究年報(2008.12) 30

が事前に考えられた。

① 破壊エネルギーGf

② 引張強度 ft

③ 堤体形状

④ 入力地震動

この中でひびわれ進展に最も影響を与えるパラメータ

と考えられるダムコンクリートの破壊エネルギーGf を

今回の検討パラメータとした。Gf の値については,図

-4の Gf の分布範囲(150~430N/m)を参考にして,

200,300,400N/m とした。ここで,解析に用いた引張

軟化曲線を図-8に示すが,引張強度 ft は圧縮強度の

1/10 として 2.5N/mm2 とした。また,表-2の解析ケー

スに示すように,堤体の上流側に勾配変化点が無い解析

モデルも作成し,堤体形状の影響についても検討を行う。

境界条件としてダム堤体底面を固定とし,また,今回

周辺地盤はモデル化しておらず,堤体と地盤の相互作用

は考慮していない。

3.3 解析方法と入力地震動

本解析では図-9の解析フローに示すように,静的解

析(①自重,②静水圧)を実施し,その状態を初期状態

として,二次元弾塑性有限要素法による動的解析を実施

した。解析コードは「ABAQUS/Standard」6)で,コンク

リートの塑性損傷モデルを適用した。減衰については固

有値解析結果をもとに剛性比例型減衰として考慮する。

動的解析に用いる入力地震動は,図-10 に示す兵庫

県南部地震における神戸海洋気象台の観測記録波形(道

路橋示方書 7)のレベル2地震動,タイプⅡ,最大加速

度 812gal)で,ダム堤体底面から水平方向に直接入力

した。また,図-11 に入力地震動の加速度応答スペク

トルを示す。ここで,鉛直地震動は今回考慮していない。

4.解析結果

4.1 固有値解析結果

固有値解析による1次振動モード図を図-12 に示す

が,1次固有振動数は 5.53Hz であった。ここで,白線

はモデル図,赤線がモード図であるが,上流側に勾配変

化点があることもあり,ダム堤体の上部のみが振動する

ような振動モードとなっている。この固有値解析結果に

基づきダム堤体の減衰を5%(剛性比例型減衰)に設定

した。

4.2 地震時挙動(損傷の進展状況)

図-13 にケース1(Gf=400N/m)の堤体の損傷(ひび

われ)の進展状況を見るための損傷図を示すが,損傷の

底面固定

勾配変化点

図-7 解析モデル

表-1 堤体の物性値

弾性係数Ec (N/mm2) 3.0×10

4

圧縮強度fc (N/mm2) 25

引張強度ft (N/mm2) 2.5

破壊エネルギーGf (N/m) 200, 300, 400

単位体積重量γ (kN/m3) 24

ポアソン比ν 0.2

表-2 解析ケース

解析ケース

破壊エネルギーGf(N/m)

堤体形状

1 400

2 300

3 200

4 400上流側に勾配変化点

無し(台形モデル)

上流側に勾配変化点有り

ひび割れ幅

伝達応力がゼロと

なるひび割れ幅

破壊エネルギーGf

引張軟化

開始応力ft

引張応力

0 wc

f1

4,4

1ftf

ftGfwc =⋅

=

図-8 引張軟化曲線

③動的解析

静的解析

①自重

②静水圧

・ 水平地震動

・ 動水圧 (ウェスターガードの式)

剛性比例型減衰5%

固有値解析

③動的解析

静的解析

①自重

②静水圧

・ 水平地震動

・ 動水圧 (ウェスターガードの式)

剛性比例型減衰5%

固有値解析

図-9 解析フロー

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ハザマ研究年報(2008.12) 31

進展経過は以下のように考えることができる。

まず,上流方向への最大加速度振幅が作用(時刻①,

t=5.53 秒)し,堤体は下流方向に変位する。そのため,

堤体堤体底部に引張応力が生じ,ひびわれが発生する。

その後,再度上流側に大きな加速度が作用(時刻②,

t=6.09 秒)して堤体の上流側の勾配変化点にひびわれ

が発生する。この上流側のひびわれ発生による堤体上部

の剛性低下に伴い,下流側の堤体上部でもひびわれが発

生している。ここで,底部については上流側のみ損傷が

発生しているが,これは常時において上流側から静水圧

が堤体に作用しており,上流側の底部の方が下流側の底

部と比較して下方向への常時荷重が小さいためである。

また,底面固定という境界条件も底部から始まる損傷の

進展に影響を与えていると考える。

-1000

-500

0

500

1000

0 5 10 15 20 25 30

時間 (秒)

加速

(gal)

図-10 入力地震動

10

100

1000

10000

0.1 1.0 10.0

固有周期 (sec)

加速

度応

答ス

ペク

トル

(gal

)

図-11 入力地震動の加速度応答スペクトル

図-12 固有値解析結果(1次モード図)

(a)時刻①(5.53 秒,基部損傷発生)

(b)時刻②(6.09 秒,上流側損傷発生)

(c)時刻③(6.49 秒,下流側損傷発生)

(d)解析終了時

-1000

-500

0

500

1000

0 5 10 15 20 25 30

時間 (秒)

加速

(gal

)

③ひびわれ発生時刻

図-13 損傷(ひびわれ)の進展状況

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ハザマ研究年報(2008.12) 32

図-14 に堤体頂部の底面に対する水平方向の相対変

位時刻歴波形を示すが,相対変位は最大3cm 弱であっ

た。上流側の堤体の損傷が大きいことや水圧が作用する

ことなどから下流側に 5mm 程度の残留変位が生じている。

4.3 損傷度の比較

(1)破壊エネルギーの影響

図-15に破壊エネルギーが小さいケース3(Gf=200N/m)

の損傷図を示す。ケース1(Gf=400N/m)の損傷図(図

-13(d))と比較して,堤体上部においてひびわれがよ

り進展していることがわかる。この結果より,破壊エネ

ルギーGf が大きいとひびわれが進展しにくいことが確認

された。ここで,ケース2(Gf=300N/m)の損傷図は割愛

するが,ケース3の結果とほぼ同様な損傷状態であった。

堤体の地震時挙動については,図-16 に堤体頂部の

底面に対する水平方向の相対変位時刻歴波形の比較(ケ

ース1とケース3の比較)を示すが,堤体の下流側に損

傷が発生する 6.5 秒以降で応答に差が見られる。これは

ケース3の方がケース1と比較して下流側上部の損傷が

大きいため,ケース1のように下流側のみ変位が蓄積す

ることなく,全体的に剛性が低下し上流側にも変位を生

じているためであると考える。

(2)堤体形状の影響

上流側の勾配変化点をなくした台形解析モデルによる

ケース4の損傷図を図-17 に示す。勾配変化点が有る

ケース1のように堤体上部に損傷は発生しておらず,こ

の結果より勾配変化点がひびわれ発生の一因であること

が確認できた。ただ,この形状変更の解析モデルでは底

部に損傷が集中することにより,底部の損傷長さはケー

ス1より大きくなっている。

5.まとめ

本検討ではレベル2地震動が作用した場合のコンクリ

ートダムについて,破壊エネルギーの影響や損傷の進展

についてコンクリートの引張軟化を考慮した動的解析結

果に基づく検討を行った。

検討より以下のような基本的な地震時挙動を確認する

ことができた。

① 破壊エネルギーGf が大きい方がひびわれの進展が小

さく損傷も小さい。

② 堤体において最もひびわれが発生しやすい箇所は上

流側の底部である。

③ 堤体の勾配変化点は応力が集中しやすいため,ひび

われの発生原因になることが懸念される。

以上の検討結果を参考にして,既存ダムの耐震補強な

どに本技術を適用した耐震検討を進めて行きたいと考え

ている。

また,今回の検討では損傷の発生に主眼をおいたため

加速度振幅の大きい内陸直下型の地震動を用いたが,損

傷の進展に関してより着目する場合には繰り返し回数の

多いプレート境界型の地震動による検討 8)も必要である

と考える。さらに,今回の検討では考慮しなかった堤体

と地盤との相互作用や鉛直地震動の影響についても今後

検討を行う予定である。

-0.04

-0.03

-0.02

-0.01

0.00

0.01

0.02

0.03

0.04

0 5 10 15 20

時間 (秒)

相対

変位

(m

)

図-14 相対変位時刻歴波形(ケース1,Gf=400N/m)

上流側

下流側とも

損傷大

図-15 損傷図(ケース3,Gf=200N/m)

-0.04-0.03

-0.02-0.01

0.000.01

0.020.03

0.04

0 5 10 15 20

時間 (秒)

相対

変位

(m

)

Gf=400N/m

Gf=200N/m

図-16 相対変位時刻歴波形の比較(破壊エネルギーの影響)

底部

損傷大

図-17 損傷図(ケース4,堤体形状変更)

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ハザマ研究年報(2008.12) 33

参 考 文 献

1) 国土交通省河川局治水課:大規模地震に対するダム耐

震性能照査指針(案)・同解説 ,2005.3.

2) 山口嘉一,佐々木隆,金縄健一,佐野貴之:レベル2

地震動に対する重力式コンクリートダムの耐震性能照

査の考え方と方法,ダム技術,No.227,2005.8.

3) Saouma, V.E.: Lecture Notes in FRACTURE MECANICS,

CVEN-6831, Univ. of Colorado, 2000.

4) 堀井秀之,内田善久,柏柳正之,木全宏之,岡田武

二:コンクリートダム耐力評価のための引張軟化特性

の検討,電力土木,NO.286,pp.113-119,2003.3.

5) 土木学会:コンクリート標準示方書 設計編,pp.42-

43,2008.3.

6) SIMULIA:ABAQUS Analysis User’s マニュアル,2007

7) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐震設計編,

pp.304-310,2002.3

8) 木全宏之,藤田豊,宮元大輔,仲山賢司:入力地震動

の違いによる重力式コンクリートダムのクラック進展

挙動特性,土木学会第 63 回年次学術講演会後援概要集,

1-186,2008.9.

Non-Linear Dynamic Analysis of Concrete Dam

Kazuhiko URANO, Yuji MURAKAMI and Takejyu MATSUKA

So far, seismic design of dams is commonly conducted by the seismic coefficient method. However, recently the seismic design of dams has to be done based on dynamic analysis in accordance with “Guidelines for Seismic Performance Evaluation of Dams against Large Earthquake” issued by the River Bureau of the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism in 2005. In this study, by executing dynamic analysis for a concrete dam subjected to seismic ground motions of Level-2 earthquake, it is revealed that the concrete non-linear characteristics (strain-softening characteristics) should be taken into account. The study found that destruction energy Gf, a parameter used in this dynamic analysis, is an important element related to concrete damage. This paper reports the results of general examination on dam’s behaviors during earthquakes and damage conditions.