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40.

612.141

リヴアロツチー式血壓測定法ノ實驗的批判

岡山醫科大學生理學教室(主任生沼教授)

藤 野 博 儀

[昭 和12年10月27日 受 稿]

Aus dem Physiologischen Institut der Medizinischen Fakultat Okayama.

(Vorstand: Prof. Dr. S. Oinuma)

Uber die Blutdruckbestimmung nach Riva-Rocci.

Von

Hironori Hudino.

Eingegangen am 27, Oktober 1937.

Der nach der klinischer indirekter Methode bestimmtete Blutdruckswert ist nicht

immer gleich mit dem echte Blutdruckswert bestimmtet nach der direkter Methode.

Diesen Fehler in der indirekter Methode verursacht die Resistenz der Arterienwand

und ihrer Umgebungsgewebes, abgesehen von der Ungeschicklichkeit bei der Aus-

fuhrung. Die Beziehungen zwischen diesen beiden Methoden klar zu machen, be-

strebten mehrere Autoren, aber haben sie noch nicht zur Schluss gekommen. Hierauf,

um die Ausknltationsmethode nach Riva-Rocci im Vergleich mit der direkter Methode

zu beobachteu, stellte VerFasser die Blutdruckbestimmung nach diesen beiden Methoden

gleichzeitig an einer Femoralarterie des Hundes an. Die Resultaten sind wie folgt:

1) Der maximaler Wert des Blutdrucks durch die Auskultationsmethode ist

10mm Hg grosser als der durch die Palpatiou der blosslegender Wand betreffender

Arterie und etwa 40mm Hg grosser als der durch die direkte Methode.

2) Der minimaler Wert des Blutdrucks durch die Auskultationsmethode ist

3-5mm Hg kleiner als der durch die direkte Methode. (Autoreferat)

27

906 藤 野 博 儀

内 容目 次

第1章 序 文

第2章 實驗 材料竝ニ實驗方法

第3章 實檢成績

第4章 總括竝 ニ考按

第5章 結 論

文 獻

第1章 序 文

生理 學的 意義ニ 於 ケル眞 正 ナル血壓測 定 ハ

水銀 計壓器Quecksilbermnnometer或 ハ撥條

計壓器Federmanometer等 ヲ血 管ニ 直接聯

結 セル直接 測定 法ニ 依 ルヲ最善 トスベ キハ論

無 キト コロナル モ,夫 レハ臨牀 上不 可能 ナル

ヲ以 テ,脉 波檢 壓器Sphygmo-manometer

ヲ用 ヒル.而 シテ最 高壓,最 低壓 ヲ定 ムル ニ

ハ振顫 法Oscillations Methode,聽 診 法,檢

脉法 等 ノ諸 間接測 定法採 用 セラル.然 レ共間

接法ニ 依 ル測定値 ハ,其 ノ測 定技術 ノ巧 拙 ハ

モ トヨ リ,組 織竝ニ 血 管壁 ノ抵抗 等,其 ノ値

ニ 影響 スベ キ幾 多 ノ因 子 ヲ存 スル ヲ以 テ眞 ノ

血壓 ノ値 トハ甚 グ異 ル所 アルベ ク從ツ テ補 正

ヲ要 スベ キ幾 多 ノ點 アルベ シ トハ夙 ニ考 ヘ ラ

レタル所 ニ シテ此點ニ 關 スル批判 的研 究 ハ數

多行 ハ レタ リ.

諸種間 接測 定法 中振顫 法 ハ最 モ優 レタル モ

ノ ノ如 ク(脇 本)1),A. Muller2)ニ 依レ バ同法

ノ最 大,最 小血壓 ハ聽 診法 ノ夫レ ニ比 シテ一

般ニ 低 シ ト云ハ レ,又J. Duomarcot et B.

Oliver3)ハ 振顫 法ト 直 接法 トノ値 ノ差 ハ僅 少

ニ シテ,實 驗 誤 差 ノ範圍ニ屬 スベ キモ ノ ト論

斷 シ,P. Gley et D.M. Gomez4)ハ 振 幅最

大 ナル 時 ガ最小血 壓ニ 相 當 スルコ トヲ承 認 セ

リ.

然 レドモ現 今臨牀 上最 モ賞 用 セ ラルルハ 聽

診 法ニ シテ同法 ノ吟味 ハ從 來屡 々直接法 トノ

聯 關ニ 就 テ行ハ レタレ ドモ,諸説區 々ニ シテ

定説 ナ シ.例 之,J.R. Petroff5)ハ 犬 ノA.

carotisニ 就 テ聽 診 法ト 直接 法 トヲ同時 的 ニ

比 較 セル ニ血 管緊 張度 ガ一定 ナル時ニ ハ聽 診

法 ノ値 ハ直接 法 ノ夫 レヨリモ一 般ニ 稍 々低 シ

トイ フ.即 チ聽 診法ニ 於 テ最 大118.2― 最 小

82.3mm Hgナ ル時 直接 法ニ 於 テハ最 大131.0

一最小98.9mm Hgナ リ ト云 フ.反 之H.H.

Livinstone6)一 派 ハ犬 ノA. carotis及ビA.

femoralisニ 就 テ主 トシテ最 大血 壓 ヲ測 定 セ

ル ニ聽 診 法 ハ直 接法ヨ リ20―100mmHgダ

ケ高 キ値 ヲ示 ス.而 シテ此兩 者 ノ差 ハ出血 ニ

依 リテ血壓 低下 ス レバ縮 少 セ ラ レ,補 血 シテ

血壓上 昇 ス レバ増 大 ス トイ フ.コ ノ事實 ヨ リ

スレ バ臨牀 上 最 モ意義 深 キ高血壓 ノ測定 ハ甚

ダ疑 問 ナ リ.

如 上 ノ理由 ニ依 リ著 者 ハ聽 診 法及ビ 檢 脉 法

ニ就 テ間接 血壓 測定法 ノ吟味 ヲナ シ聊 カノ知

見 ヲ得 タ レバ茲ニ 報告 スベ シ.

第2章 實 驗材 料竝ニ實 驗 方法

イ) 實驗動物― 犬8―12kgヲ 用ヒA.C.E.

ヲ以テ麻醉セル外2%「鹽 酸 モルヒネ」5―10cc注

射 シタル後實驗臺ニ 仰臥位ニ固定 ス.

ロ) 實驗裝置 ノ大略ハ 第1圖ニ示 ス如 ク犬 ノ

股部 ノ上部ニ於テRiva-Rocci計 壓器 ノ 「マンセ

ツト」ヲ纏絡シ其 ノ末梢部約1.0cmノ所ニ 聽診器

ヲ置キテ「マンセ ツト」内壓 ノ増減ニ伴 ヒテ發生消

滅スル 血管音 ヲ聽診 スル ト共ニ,其 ノ時 ノRiva-

Rocci計 壓器ノ示度 ヲ讀ム.尚 ホ「マンセツ ト」内

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リヴア ロ ツチー式 血壓 測定 法 ノ實驗 的批 判 907

第1圖

壓ハ之 ヲ水銀 計壓 器 ニ聯 絡 シテ 「キモ グラフ イ オ

ン」 上ニ 描寫 セシム.聽 診 器 ノ末梢 部ニ 於 テハ手

術ニ 依 リテ露出 セシA. femoralis(同 一血 管幹)内

ニ「カニユー レ」ヲ挿 入シテ 夫 ヲFedermanemeter

ニ連結 シ上記聽 診 法實 施 中「マ ンセ ツ ト」内壓 ノ變

化 ト共ニ 變動 スル 血管 内壓 ヲ同 一 「キ モ グラ フイ

オ ン」 上ニ 描 カシム更ニ 「カニユー レ 挿 入部 ノ末

梢 部或 ハ又「カニ ユーレ」ト聽 診器 トノ中間 ニ於 テ

指 ヲ露 出セ ラ レタル 血管ニ觸 レ ツツ,脉 ノ發生 消

滅 ノ時 ノ壓 ヲRiva-Rocci計壓 器ニ 就 テ讃 ム ト伺

時ニ 「キモ グラ フイオ ン」上ニモ記 ス.

ハ)各 測 定法ニ 就 テ

直接 法: 血液凝 固 ヲ防 グ タ メ ーハ 豫 メ犬 ニ

「ベブト ン」或ハ「ノビル ヂ ン」等 ヲ注 射 シ オキ且 計

壓 器 ノ全 管内ニ ハ「硫 酸 マ グ ネシヤ 」ノ半飽 和 溶液

ヲ充 タス.血 管ニ 施 セル鋏壓 器Klemmeヲ 除 キテ

血壓 ヲ計壓器ニ働 カセルニ 先 立チテ 「硫酸 マ グネ

シヤ液」ニ 血壓 ト略 ボ同一 ノ壓 ヲ加ヘ 置 クベシ.

挿 入 スル 「カニユ ーレ」 ニハ2種 ア リ其ノ1ツ ハ

丁字 形ニシテ 之ニ依 リテ血管 壁 ノ側方 位ニFede-

rmnnometerヲ連 絡 シ得ベ ク(Seitenstandig)他

ハ 血管 ノ斷端 部ニ 於 テendstandig Federma

no-meterヲ連 結 ス.

908 藤 野 博 儀

檢脉法:前 述 ノ如 ク露 出セ ル血管ニ指ヲ觸 レ

ツ ツ外壓 ノ増減ニ 件 ヒテ脉 ノ消 滅發 生 スル時 ヲ診

定 シテ其 ノ時 ノ壓 ヲ讃 ム.

聽診 法:最 大最 小血壓 測定 法 トシテ 簡便 正確

ノ故 ヲ以 テ最 モ賞 用セ ラルル ハ次ニ述ブ ルKoro

tkow氏聽 診法 ナ リ.余 モ亦 本實驗ニ 際 シ同法ニ

從 ハ ン トスル モ ノナ レバ詳 述 スベ シ.從 來成 書ニ

記載セ ラレタル 同法竝ニ 其 ノ依據 スル理論 的説 明

ハ次 ノ如 シ.

始 メ強 キ外壓 ヲ「マンセ ツ ト」ニ加ヘ 血 管 ヲ全 ク

壓平スル時 ハ何 等 ノ音 ヲモ聽 カザ レ ドモ徐 々ニ 外

壓ヲ減 ズ レバ 始 メテ清 澄 ニシテ跳 ネル 如 キ音(第1

期音)ヲ聽 ク,是 レ壓 迫 少シ ク弛 ミタル爲 今迄 阻

止 セ ラ レタル 血液 ガ急 激ニ 下方ニ迸出 シテ此部 ノ

血 柱ニ 衝 突 シ,血 管壁 ヲ振動 セ シメテ生 ズル音 ニ

シテ此 音發 生 ノ瞬 時 血壓 計 ノ表 ハ ス示度 ハ最大 血

壓ニ相 當 ス.次 デ尚 ホ外壓 ヲ減 ズレバ 血管音ハ雜

音 ヲ加 フ(第2期 音).是 レ多量 ノ 血液 ガ壓 迫 セ ラ

レ タル挾 キ血管 ヲ通 ジ急 二下方 ノ廣 キ血管 内 二出

ヅル爲渦流 ヲ起 シ摩擦音ヲ發スルニ 依ル.外壓 更

二低減スレバ血管ハ擴張 シ血流速度ハ稍々蓑へ最

早ヤ渦流 ヲ生ゼザルヲ以テ濁音ハ消滅シ 且外壓下

リ血管壁 ノ振動 ハ自由 トナ リ振幅増大スルガ故ニ

血管音ハ澄 明ニ シテ第1期音 ヨリモ更二著明ニ響

ク(第3期 音).更 二外壓低下スレバ第3期音 ハ急ロ

ニ包被セラレテ鈍音 二變ズ(第4期 音).是 レ外壓

ガ最小血壓 ヨリモ低 クナ リタル爲ニ血管壁 ノ振動

ガ稍々減少セルタメナ リ.從 ツテ第3期 音 ト第4

期昔 トノ境ニ於 ケル血壓計 ノ示度ガ最小血壓 ニ一

致ス.外壓更ニ 低減セバ血管壁ハ正常状態ニ復シ

テ血管音ハ消滅ス.臨牀上ニハ 第4期音 ヘ ノ移行ナ

期ヲ判然聽取 スル コ トハ屡 々困難ナルガ故ニ血管

音 ノ消滅 ノ時期 ヲ以テ最小血壓 トナス人モ少カラ

ズ。

第3章實驗成 績

第1例 犬♀,體重12kg「カニユーレ 」側位挿

入.

燃煙紙圖I. ニ就 テ設明 スベシ.前 記 ノ如ク装置

燥 煙 紙圖I.(實 験ハ左 ヨリ始ル)

30

リヴアロツチー式 血壓測定法 ノ實驗的批判 909

シ,實驗 ヲ開 始 スル ニ先 立 チテ暫 時 「フエー デル

マ ノメータ」ノ ミヲ自由ニ 働 シタル後 徐 々ニ「マ ン

セ ツ ト」内ニ 壓 ヲ加 フル 時 ハ159mm Hg (R.R.M)

ニ至 リテ脉 ヲ觸 レザル ニ至 リ179mmHg(R.R .M)

ニ於 テ聽 診音 モ消 失 ス.更ニ 「マ ンセ ツ ト」内壓 ヲ

高 ムレバ 「フエー デル マ ノ メー ター」ハ 振幅 ヲ減 ジ

遂ニ ハ振動 セ ズ シテ 下方 ノ零 線ニ 向 ツテ下 降 ス.

次ニ 「マ ン セ ツ ト」内壓 ラ徐 々ニ 減 ズ レバ「フエー

デル マ ノメ ータ ー」 ハ再 ビ振 動 シ始 メ次第ニ 振幅

モ増大 ス.176mm Hg (R.R.M.)ニ 於 テ聽 診音

ガ先 ヅ再現 シ,157mm Hg(R.R.M.)ニ 於 テ脉 ヲ

再 ビ觸 レル ニ至ル.其 ノ後 暫時 ハ聽 診音 ハ極 メテ

高 ケレ共,86mm Hg (R.R.M.)ノ所 ヨ リ平 常 ニ

復 ス.コ ノ聽 診法竝ニ 檢脉 法 ノ値 ヲ,燻 煙 紙 圖I

ヨ リ計算 シタル直 接法 ノ値 ト比較 對照 ス レバ(第

1表)ノ 如 シ.

尚ホ,外 壓即 チ「マ ンセ ツ ト」内 壓(「水銀 マ ノ メ

ー ター」ガ示 ス)ト 「フエ ーデルマ ノメー ター 」ガ

示 ス平均 血壓 トノ關係 ヲ示 セバ 曲線Ia(外 壓 増加

ノ場 合)及 ビ曲線Ib(外 壓 減 少 ノ場 合)ナ リ.

第1表

曲 線Ia. (外 壓 増)

31

910 藤 野 博 儀

曲 線Ib.(外壓 減)

第2例 犬 ♀,體 電12kg「 カニ ユ ーレ」側 位挿

入.

前囘ト 同樣 ノ實驗 操 作ニ 依 リテ得 タル成 績ハ第

2表 及 ビ曲線IIa, IIbナ リ.燻 煙圖 ハ略 ス.

第2表

曲 線IIa.(外 壓増)

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リヴアロツヂー式血壓測定法ノ實驗 的批判 911

曲 線Ilb.(外壓 減)

第3例 犬♀,體 重8kg「カニ ユ ーレ」側 位挿

入.

實驗操 作 ハ前同 同樣 ナ レ ドモ,本 例ニ 於 テ ハ時

ニ外壓漸 減 ノ場合就 中聽 診音 ノ變化ニ 就 テ ヨ リ一

層 精細ニ觀察 シテ最 小 血壓 ノ決定 ヲ吟味 セ リ.之

ガ爲 ニハ外壓ハ一 度高 メタル 後前囘 ヨ リモ更ニ 一

層 緩徐ニ 減 ズル ニ(燻煙紙圖參 照).172mm Hg

(R.R.M.)ニ 於 テ始 メテ音ヲ聽取(最 大)シ タ後 暫

時ハ音ハ 徽 弱ナ レ ドモ168mm Hg (R.R.M.)-

至 リテ音 ハ著明 トナル ト共ニ,次 第 二強 サ ヲ増 シ遂

二162mm Hg (R.R.M.)ヨ リハ極 高音 トナル.

コ ノ極高 青ハ120-130mmHg(R.R.M.)ヨ リ次

第ニ 強 サ ヲ減 ジ80mm Hg(R.R.M.)ヨ リ正 常

ニ歸ル.コ ノ値 ヲ最 小 血壓 ト診定 ス.

尚 ホ燻 煙紙圖IIヨ リ算 出セル 直接 法 ノ値竝ニ

檢脉法,外壓 ト平均血壓 トノ關係 等 ハ第3表 及 ビ

曲線IIIニ 就 テ見 ルベ シ.

燻煙紙圖II.

33

912 藤野 博 儀

第3表

曲 線III.(外 壓 減)

第4例 犬 ♀,體重8kg「カニユー レ」端 位挿

入.

「カニユ ー レ」端位 挿 入ニ 於 テモ實 驗操 作其 ノ他

殆 ド前囘 同樣 ナ リ.唯 「フエー デルマ ノメー ター 」

ノ示 度 ハ側 位挿 入 ノ場 合 ヨ リ稍 々高 ク位 ス(第4

表.)燻 煙 紙 圖等 ハ略 ス.

第4表

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リヴアロツチー式 血壓測定法 ノ實驗的批判 913

第4章 總 括竝ニ 考 按

以 上 ノ成績 ヲ通 覧 スルニ 先 ヅ第1ニ 注目 ス

ベ キハ外壓ヲ増 シツ ツ測定 スル ヨリモ,外 壓

ヲ漸 減 シツツ測 定 スル方容 易 ニ シテ且 正確 ナ

リ.就 中最 小 血壓 測定 ハ後 者 ニ ヨラザル ベカ

ラズ.即 チRiva-Rocei計 壓器 ニ於 テ ハ先 ヅ

「マ ンセ ツト」内壓 ヲ充 分ニ 高 メタル後 可 及的

徐 々ニ 減 ジツ ツ聽 診 ス ベキナ リ.茲ニ 於 テ前

記 成績 表 中 ヨリ(外 壓 減)ノ 値 ヲ採 用 シ,聽

診,檢 脉,直 接 ノ3測 定法 ヲ比較 セバ次 ノ如

シ.

最 小血壓ニ 就 テ ハ(直接)ノ(83―91mm Hg)

ニ對 シ(聽診)ハ(80―86mm Hg)ニ シテ僅 ニ

3―5mm Hgダ ケ聽 診 ハ小 ナ リ.

最 大血壓ニ就 テハ(直 接)ノ(127―140mm

Hg)ニ 對 シ(檢脉)ハ(157―178mm Hg)ニ シ

テ平均 約30mm Hgダ ケ高 ク(聽 診)ハ172―

182mm Hg)ニ シテ平 均約40mm Hgダ ケ

高 シ.

即 チ直接法 ノ値 ヲ基準 トシテ數 字的ニ 見 レ

バ,檢 脉(露出 血管 觸 診)法 ハ常ニ 聽 診 法 ニ

比 シ直 接 法ニ 近 キ値 ヲ示 スモノナ リ.然 レド

モ外壓 ノ増減ニ 伴 ヒテ變 化 スル血 管 内 ノ壓 ノ

變 動ニ 對 シテハ聽 診 法 ハ檢 脉 法 ヨリモ ハル カ

ニ鋭敏 ナ リ.故ニ 若 シ,血 管壁,筋 肉等 ノ組

織 及ビ 其 ノ他 ノ抵 抗 ヲ理 想的ニ 避 ケ得 レバ聽

診 法 ハ數字 的 ニモ亦直 接 法ニ 對 シテ,檢 脉 法

ニ 比 シヨリ近 キ値 ヲ示 シ得 ベ シ ト考 ヘ ラル.

本實驗 ニ於 テハ,犬 ノ足 ノ不恰 好 其 ノ他 ノ

故 ニ「マ ンセツ ト」内 ニ加 ヘ ラ レタ ル壓 ノ幾部

分 カガ冗 費散 逸 セ ラ レテ實際 ニ血管 壁 ニ働 キ

タル外壓 ハ「マ ンセ ツ ト」内壓 ノ示度 ヨ リ幾 分

小 ナ リシモノ ト考 フベ シ.コ ノ考 ヲ上 記聽 診

法 最小 血壓値 ニ適 用 ス レバ其 ノ値 一層小 トナ

リ.從 ツテ聽 診法 ノ最小血 壓 ハ愈 々益 々直接

法 ノ夫 レヨ リ小 ナ ルベ キナ リ.換 言 ス レバ最

大血壓 ニ就 テハ(聽 診)>(直 接)ニ シテ最小血

壓ニ 就 テハ(聽 診)<(直 接)ナ ル關 係 ヲナ ス.

之 ハ最 大血 壓測定 ハ漸 次壓 力ヲ増 加 セ シメテ

測 リ最小血 壓測 定 ハ漸 次血壓 テ減 少 セ シメテ

測 ル ヲ以 テ最 大壓 ハ血 壓 ノ外ニ 軟部 ヲ變 形 セ

シムルニ要 スル壓 力加 ハ リ,最 小壓 ニハ眞 ノ

血 壓 ヨ リ變 形 ニ要 スル壓 力 ヲ減 ジタル モ ノヲ

示 スニ ヨル.

式 ニテ示 セバ次 ノ如 シ.

P=脉 波 計壓器 ノ示 ス壓 力

Dp=身體 軟 部 ノ變 形ニ 要 スル壓 力

Hp=變 形壓 ノ一部熱ニ 化 スル モノ

P=血 壓

Pmax=p+Dp+Hp

Pmin=p-Dp

第5章 結 論

犬 ノA. femoralisニ就 テ直接 及ビ 間接 血

壓測 定法 ヲ同時 的 ニ施 行 シテ比較 吟味 シタル

ニ次 ノ結論 ヲ得 タ リ.

1. 最 大血壓 ニ就 テ ハ聽診 法 ハ檢 脉 法(露

出 血管 ノ觸 診)ヨ リca 10mm Hg直 接 法 ヨ

リca 40mm Hg大 ナ リ.

2. 最 小血壓ニ 就 テ ハ聽診 法 ハ直接 法 ヨリ

ea 3-5mm Hg小 ナ リ.

擱筆スルニ臨 ミ終始御懇篤 ナル御指導ト御

校閲 トヲ賜 リタル恩師生沼教授ニ 深甚 ノ謝意

ヲ表ス.

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914 藤 野博 儀

文 獻

1) 脇 本,岡醫雜,第46年,第2號,(第529號),369頁.2) A. Muller Physiol. abst., Vol. 15,

P.634, 1930; Zeitsch. f. die gesamta exp. Med., Bd. 71, S.1. 3) J. Duomarcot et B. Oliver,

C.R. Soc. Biol. Paris, 111, 525, 1932. 4) P. Gley et D.M. Gomez, Journ. de physiol. et

path., XXIX, 38, 1931. 5) J.R. Petroff, Pflug. Arch. f. Physiol., Bd, 223, S. 477, 1929.

6) H.M. Livingstone, E. Andrius and W.E. Adams, Amer. J. of physiol., Vol. 97, P. 588, 1931.

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