妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と 生活習慣,睡眠充足感,不...

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Bulletin of Research Center for Clinical Psychology of Hiroshima International Universi 2014 1.13 39-50 -1・十十・:・・3 ・・:・十÷やや++++ゃ・3 ・・i-+・:・・:・・3 ・やや+-1・十ややや+-1・やや÷・3 ・÷やややや÷・3 3 i 原著論文 妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と 生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討 広島国際大学心理科学研究科臨床心理学専攻 京都府立医科大学医学部看護学科 植松紗代 同志社女子大学現代社会学部現代こども学科 員鍋えみ子 広島国際大学心理科学部臨床心理学科 田中秀樹 AStudy on Li festyle Sle pSatisfaction and Anxiety with Pain in the Minor Symptoms during Pregnancy Sayo Uematsu* ,**, Emiko Manabe*** Hideki Tanaka**** *Graduate School of Psychological Sciences Hiroshima Intemation a1 University **Kyoto Prefectural Univ rsityof Medicine School of Nursing ***Doshisya Women' s College of Liber a1 Art s Faculty of Contemporary Social Studies Department of Childhood Studies ****Faculty of Psychologic a1 Sciences Hiroshima Intemational University 本研究では,妊娠に伴う様々な不快症状(マイナートラブ、ル)の苦痛度と,生活習慣,睡眠充足感,不安との 関連を検討することを目的とした。妊婦 239 名を対象に調査した結果,飲酒,喫煙,朝食,運動などの生活習慣 は,妊娠を機に改善した。一方,睡眠時間は増加したが睡眠充足感は低下し,妊娠期での規則的な睡眠習慣と, 睡眠の質の確保の重要性が示唆された。また,規則的な就寝,定期的な運動習慣と睡眠充足感は,倦怠感や易疲 労などの妊娠起因身体症状の苦痛度軽減と関連し,規則的な就寝,起床,定期的な運動習慣,睡眠充足感も,イ ライラ感,気分の落ち込みなどの妊娠起因精神症状の苦痛度軽減と関連していた。さらに,規則的な就寝と睡眠 充足感は,便秘,肩こり,冷えなどの体質起因身体症状の苦痛度軽減とも関連していたことから,これらの習慣 を妊娠前から良好に維持すること,また,妊娠を機に改善することで,多岐にわたるマイナートラブ、ルの苦痛度 の軽減が示唆される。 Keywords:妊娠,マイナートラブル,睡眠充足感,生活習慣,不安 pregnancy minor symptoms sleep satisfaction lifestyle anxiety I 問題と目的 妊娠に伴うホルモンの変化や,子宮の増大によって 生じる,様々な不快症状をマイナートラブワレと呼び, それ自体では妊娠経過の障害とならないものをいう(大 月, 2012) 。その症状は,便秘, 頻尿から, 肩こり, 腰痛,倦怠感や易疲労などの全身症状,さらに,抑う つ,イライラ感などの精神症状と,心身両面にわたる。 このマイナートラブノレは,妊婦一人あたり,平均 27 症状を呈するとも報告されており,中でも倦怠感,易 疲労,頻尿は 9 割の妊婦が自覚している(新川ら, 2 9) ここから,妊娠中は常に,何らかのマイナートラブル を抱えながら生活していることが考えられる。また, 妊婦にとって,このマイナートラブルは,不安や苦痛 の原因となり,ひどくなると日常生活を障害し,母性 意識の発達の妨げにもなる(大月, 2012) しかし,これまでのマイナートラブルに関する研究 では,単一症状に対し,その発症の有無で評価されて -39-

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Bulletin of Research Center for Clinical Psychology

of Hiroshima International Universi帆 2014,防 1.13,39-50

-1・十十・:・・3・・:・十÷やや++++ゃ・3・・i-+・:・・:・・3・やや+-1・十ややや+-1・やや÷・3・÷やややや÷・3・・3・・i・ 原著論文

妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と

生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討

広島国際大学心理科学研究科臨床心理学専攻

京都府立医科大学医学部看護学科

植松紗代

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科

員鍋えみ子

広島国際大学心理科学部臨床心理学科

田中秀樹

A Study on Lifestyle Sle巴pSatisfaction and Anxiety with Pain in the Minor Symptoms during Pregnancy

Sayo Uematsu*,**, Emiko Manabe*** ,Hideki Tanaka****

*Graduate School of Psychological Sciences, Hiroshima Intemationa1 University

**Kyoto Prefectural Univ巴rsityof Medicine School of Nursing

***Doshisya Women' s College of Libera1 Arts, Faculty of Contemporary Social Studies, Department of Childhood Studies

****Faculty of Psychologica1 Sciences, Hiroshima Intemational University

本研究では,妊娠に伴う様々な不快症状(マイナートラブ、ル)の苦痛度と,生活習慣,睡眠充足感,不安との

関連を検討することを目的とした。妊婦239名を対象に調査した結果,飲酒,喫煙,朝食,運動などの生活習慣

は,妊娠を機に改善した。一方,睡眠時間は増加したが睡眠充足感は低下し,妊娠期での規則的な睡眠習慣と,

睡眠の質の確保の重要性が示唆された。また,規則的な就寝,定期的な運動習慣と睡眠充足感は,倦怠感や易疲

労などの妊娠起因身体症状の苦痛度軽減と関連し,規則的な就寝,起床,定期的な運動習慣,睡眠充足感も,イ

ライラ感,気分の落ち込みなどの妊娠起因精神症状の苦痛度軽減と関連していた。さらに,規則的な就寝と睡眠

充足感は,便秘,肩こり,冷えなどの体質起因身体症状の苦痛度軽減とも関連していたことから,これらの習慣

を妊娠前から良好に維持すること,また,妊娠を機に改善することで,多岐にわたるマイナートラブ、ルの苦痛度

の軽減が示唆される。

Keywords:妊娠,マイナートラブル,睡眠充足感,生活習慣,不安

pregnancy, minor symptoms, sleep satisfaction, lifestyle, anxiety

I 問題と目的

妊娠に伴うホルモンの変化や,子宮の増大によって

生じる,様々な不快症状をマイナートラブワレと呼び,

それ自体では妊娠経過の障害とならないものをいう(大

月, 2012)。その症状は,便秘, 頻尿から, 肩こり,

腰痛,倦怠感や易疲労などの全身症状,さらに,抑う

つ,イライラ感などの精神症状と,心身両面にわたる。

このマイナートラブノレは,妊婦一人あたり,平均 27

症状を呈するとも報告されており,中でも倦怠感,易

疲労,頻尿は9割の妊婦が自覚している(新川ら, 2∞9)。

ここから,妊娠中は常に,何らかのマイナートラブル

を抱えながら生活していることが考えられる。また,

妊婦にとって,このマイナートラブルは,不安や苦痛

の原因となり,ひどくなると日常生活を障害し,母性

意識の発達の妨げにもなる(大月, 2012)。

しかし,これまでのマイナートラブルに関する研究

では,単一症状に対し,その発症の有無で評価されて

-39-

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植松・員鍋・田中:妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討

いた。そのため,複数のマイナートラブルを呈してい

る妊婦に対する視点や,その苦痛に焦点づけ,客観的

に評価する指標がなかった。そこで我々は,症状の自

覚頻度と強度に関する評価を乗算することで,苦痛の

大きさを数値化し,評価できるマイナートラブル評価

尺度を開発した(植松・虞鍋, 2013)。次の課題は,

この尺度を用い,マイナートラブツレの苦痛度に関連す

る要因を明らかにし,改善に向けた効果的な対策を検

討することである。

従来の単一症状に対する改善策の研究は,多くの妊

婦が経験する,マイナートラブツレの 1つである腰痛に

おいて,関節を弛緩させるリラキシンと出産経験や非

妊時BMIとの関係性などが指摘されている(Kristiansson

et a1., 1996)。その他,運動による胸高軽減効果や(白四habi

& Faghih, 2005),妊娠中の睡眠の産後腰痛への関与な

ど (Stompet al., 2012),生活習慣との関連が示されて

いる。また,妊娠期の便秘改善についても,朝食摂取

や規則正しい生活が推奨されている(大浦ら, 2007)。

さらに,不規則な生活や夜ふかし,睡眠不足などは,

倦怠感や腰痛,イライラ感,頭痛,お腹の張りなど,

妊娠に伴う冷え症に関連した症状に影響することが明

らかになっている(中村, 2008)。この冷え症に関連

する上記の症状は,妊娠中の不快症状と一致すること

から,マイナートラブルに対し,睡眠や不規則な生活

の関与も推測される。また,つわり症状は,妊娠の受

容や妊娠経過への不安などが関連すると言われている

ものの(松岡, 2000),一方で,つわりと不安の関連

性はなかったとの報告もある(加古ら, 2003;山田・

水上, 2010)。しかし,これらは単一症状に対する効

果の検討であり人の妊婦が複数症状を抱えている

現状を考えると,多岐にわたる症状に有効な要因の探

索が求められる。また,生活習慣は,妊娠を期に変化

することが指摘されており(西村ら, 2008),妊娠前と,

妊娠してからの現在の状況についての検討も必要であ

る。

そこで,本研究では,マイナートラブ?ル症状の関連

要因として,従来の単一症状で検討されてきた,朝食

や運動などの生活習慣と,睡眠,不安に焦点を当て,

妊娠前からの変化を明らかにするとともに,妊娠によ

り生じる複数の不快症状(マイナートラブ‘ル)の苦痛

度との関連について検討することを目的とした。

n.方法

1 .調査対象

近畿圏内の公立病院および,産婦人科医院を受診し

ている妊婦239名を対象とした。その選定は,母体お

よび胎児に,予後不良が予測されるような全身疾患(心

疾患,慢性高血圧,内分泌疾患,精神疾患,呼吸器疾

患,修原病,腎泌尿器疾患,消化器疾患,血液疾患,

婦人科疾患など) (亀井, 2012)のない者とした。

対象者の平均年齢は, 30. 70 (SD = 4. 63)歳,初

産婦136名,経産婦103名,平均妊娠週数は, 27.69 (釦

= 8.16)週であった (Tab1e1)。家族形態は,核家族

215名 (90.0%),拡大家族24名 (10.0%)で、あった。

また,今回の妊娠を予定していた者は 196名 (82.0%),

そうでない者43名(18.0%) と8割が予期した妊娠

であった。対象者の非妊時体重より算出したBMI(Body

Mass Index)は,平均20.56(SD = 2. 93) と日本肥満

学会が推奨している基準 (BMI= 18. 50 ~ 25. 00)の

適正体重を示した。

2. 手続き

妊婦健診を受診した妊婦に対し,研究者が研究の趣

旨を書面および口頭で説明し,質問紙と返信用封筒を

手渡した。また,研究参加は任意であり,参加に同意

しないことで不利益を受けないこと,質問紙の提出に

よって同意を得たとみなすことを伝え,回収は,その

Table 1 対象者の属性 (n=239)

人数 (%)

出産経験

初産婦 136 (56.9%)

経産婦 103 (43.1%)

妊娠週数

初期 (0~15週) 17 (7.1%)

中期 (l 6~27週) 95 (39.7%)

末期 (28週~分娩まで) 127 (53.1%)

就労

就労 89 (37.2%)

非就労 150 (62.8%)

-40-

,....

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2)睡眠充足感について

睡眠は,個人によって必要な睡眠時聞が異なること

から,適正睡眠の評価指標として,本研究では,睡眠

充足感を用いた。睡眠により満足感を得られる頻度を

「毎日得られない:1 ~毎日得られる: 5Jの5件法で

回答を求め得点化した。

3)不安について

不安の測定には, 日本版 State-Trait Anxienty Inven町-

lYZ (STAI-JYZ) (肥田野ら, 2000) を使用した。こ

の尺度は,状態不安と特性不安からなり,状態不安は,

その時の状況により変化する一時的な不安状態,特性

不安は,不安になりやすい性格傾向を示す。両尺度と

も20項目からなり,質問に対して 4件法で回答し, 1

~4 点の重みづけにしたがって得点化する。得点範囲

は, 20 ~ 80点であり,得点が高くなるほど不安状態

が強いことを示す。また, STAIの不安段階判定基準

より,状態不安は, 45点未満を低不安, 55点以上を

高不安,特性不安は, 40点未満を低不安, 50点以上

を高不安と判定した。

4)マイナートラブルについて

マイナートラブル評価尺度(植松・異鍋, 2013) を

使用した。これは複数のマイナートラブ、ルを包括的に

捉え,その苦痛度を客観的に評価できる。尺度は,倦

怠感,易疲労,胃の不快感からなる妊娠起因身体症状,

イライラ感,気分の落ち込み,強い眠気からなる妊娠

起因精神症状,さらに,便秘,肩こり,手足の冷え,

腰痛の体質起因身体症状の 3因子からなる。各項目の

第13号心理臨床センタ一紀要

場で,または郵送での返信とした。なお,本研究は,

京都府立医科大学医学倫理審査委員会の承認 (C-684)

を受け実施した。

広島国際大学

3 測定尺度

1)生活習慣について

飲酒,喫煙,朝食,間食,睡眠時間,運動,適正体

重の 7項目からなる Breslow(I972) の生活習慣を用

いた。この指標は,生活習慣と身体的健康度(障害,

疾病,症状など)との関係を調査した結果に基づいて

提唱されており, 7つの健康習慣の実践の有無によっ

て,その後の寿命や健康度との関連が報告され,健康

の維持・増進に好ましい生活習慣として推奨されてい

る (Belloc& Breslow, 1972 ; Belloc, 1973)。その評価

は, Tab1e 2に示すように,好ましい生活習慣(良好)

をl点,そうでないもの(不良)を 0点として合計し,

生活習慣指数を算出した。

本調査では,適正体重を除く 6項目により評価した。

体重を除外した理由は,妊娠により平均 7~ 10 kg体

重が増加するが,それは生理的な変化であり,生活習

慣の悪化を反映したものではなく,評価において不適

切と考えたためである。

さらに,睡眠については,その規則性を検討するた

め,就寝および起床時刻が具なる頻度をもとに,毎日

異なる場合は, r毎日不規貝IjJ,毎日閉じ時刻に就寝も

しくは起床する場合は, r毎日規則的Jとし毎日不

規則 1~毎日規則的: 4Jの4件法で回答を求めた。

釦族』町、山娠

)dy

!満

)趣

ーの

Breslowの生活習慣7項目の評価基準

IEEwvww

不良 O点

する

する

毎日食べない

する

とらない

運動しない

適正体重でない

(18.5未満, 25.0以上)

Table 2

良好 1点しない

しない

毎日食べる

しない

l 日 7~8時間の睡眠をとる

定期的に運動する

適正体重

(BMI18. 5以上, 25.0未満)

毎日不規則

~週1,2因不規則

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得られない

毎日規則的

~月 1,2回不規則

毎日得られる

就寝・起床

の規則性

睡眠充足感

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植松・真鍋・田中:妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討

頻度を「全くない:1 ~よくある: 4J と,程度を「全

く辛くない:1~ とても辛い: 4J で評価し, 2つの積

を苦痛度として点数化し,因子毎の合計点を算出する。

高得点ほど苦痛度が高い。本尺度は,内容的および構

成概念妥当性と再テスト法,内的整合性による信頼性

が確認されている(植松・異鍋, 2013)。

4. 分析方法

妊娠を契機とした生活習慣と睡眠充足感の変化を検

討するため,対応のある t検定およびMcNemer検定

を行った。そして,マイナートラブルの 3因子の苦痛

度をもとに,上位25%,下位25%をそれぞれ高苦痛群,

低苦痛群として,生活習慣と睡眠充足感,不安におけ

るt検定を行った。さらに,マイナートラブソレの苦痛

度に関連する,具体的な生活習慣行動を検討するため,

各生活習慣行動と睡眠充足感を Table2の基準により

「良好,不良」の 2群に分類し,t検定によりマイナー

トラブ、ルの苦痛度の比較を行った。また, 妊娠前後

の習慣の変化により,妊娠前から良好な習慣を維持し

ている者,妊娠を機に改善した者を「良好・改善群J,

それに対し,妊娠前後とも不良な習慣を続けている者

と,妊娠後に悪化した者を「不良・悪化群」とし,マ

イナートラブ、ルの苦痛度の比較を t検定により実施し

た。

ill. 結果

1 .妊娠前後の生活習慣,睡眠充足感,不安と妊娠に

よる変化

妊娠前後での生活習慣の変化を検討するため,生活

習慣指数について,対応のある t検定を行った。その

結果,妊娠後は平均4.05 (SD = O. 98)点と,妊娠前

の3.24 (SD = 1. 26)点より有意に高く(t(238)

10.68, p< .01) , 妊娠を機に健康的な生活習慣にな

っていた。

さらに,各生活習慣行動が妊娠をきっかけに,どの

ように変わったかを検討した。飲酒 (Figure1) は,

飲酒しない者の割合が,妊娠前の 63.6%から,妊娠

後は97.5%と,妊娠により,有意に増加した (χ2(1)

を機に,喫煙しない者が, 78.2%から 95.4%に有意

に増加していた (χ2(1)ぬ02,p < .01)。朝食 (Fi伊re

3) は,毎日食べている者が,妊娠前の 74.5%から,

妊娠後は 84.5%と,妊娠を境に毎日朝食を食べる者

が増加していた (χ2(1) = 13.92, p < .01)。一方,

お菓子などの間食 (Figure4) は,妊娠前後で,間食

する習慣は変わらなかった。しかし,その実態は,毎

日間食する者が,妊娠前 41.0%,妊娠後 35.6%と,

どちらも 4害IJを占め,間食しない者は,妊娠前 10.5%,

妊娠後 9.2%と1割程度であった。運動 (Fi伊re5)は,

妊娠前と比べ, 妊娠後の方がまったく運動しない者

の割合が,妊娠前の66.5%から 56.1%に減少していた。

また,毎日運動する者も,妊娠前 7.1%から妊娠後

16.3%と,妊娠を機に運動をするようになっていた

(χ2 (1) = 6. 77, p < .01)。さらに,睡眠習慣をみ

ると,起床時刻は,妊娠前平均6時四分 (SD= 1. 47 時間),妊娠後 7時 03分 (SD= 1. 24時間)と,妊娠

前後で変化はみられなかった。しかし,就寝時刻は,

妊娠前平均 23時 47分 (SD= 1. 46時間),妊娠後 23

時 16分 (SD= 1. 27時間)と,妊娠により, 31分早

く就寝するようになり (t(238) = 7. 41, p < .01), 睡眠時間も,妊娠前平均 7.05 (SD = 1. 23)時間,妊

娠後 7.54 (SD = 1. 28)時間と,妊娠後に睡眠時間は

29.4分延長した(t(238) = 6. 11, p < .01)。一方で,

睡眠充足感 (Figure6) は,毎日充足感が得られてい

る者の割合は,妊娠前の 44.8%から妊娠後 37.2%へ

減少した (χ2(1) = 6. 28, p < .05)。

精神状態については,妊娠中の特性不安は,平均

40. 84 (SD = 10. 06)点,状態不安40.24 (SD = 9. 78)

点であった。不安段階判定から,特性不安における

50点以上の高不安群は, 44名 (18.4%),40点未満の

低不安群117名 (49.0%),それ以外の普通群78名 (32.6

%)と,半数が低不安群であり,高不安群は約 2害IJで

あった。状態不安では, 55点以上の高不安群は 16名

(6.7%), 45点未満の低不安群 157名 (65.7%),それ

以外の者は 66名 (27.6%) と,高不安群は l割に満

たなかった。

以上の結果より,妊娠を機に生活習慣は,健康的な

ものに改善し,飲酒,喫煙,朝食,運動は,妊娠して

= 75.29, p < .01)。また,喫煙 (Fi伊re2) も,妊娠 から良好な習慣への変容を認め,睡眠時間も延長して

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広島国際大学心理臨床センタ一紀要第13号

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Figure 1-6 妊娠前後の生活習慣の比較

いた。一方,睡眠充足感は,妊娠後に低下することが

明らかとなった。また,間食は,妊娠後も変化せず,

4割の妊婦が毎日間食していた。精神面は,状態不安,

特性不安ともに,妊婦のほとんどが普通もしくは低不

安群に属し,不安になりやすい性格をあらわす特性不

安で,高不安にある妊婦は2割,妊娠という状況下の

不安を表す,状態不安が高い妊婦は l割に満たなかっ

た。

2 マイナートラブルの苦痛度と生活習慣,睡眠充足

感,不安との関連

マイナートラブルの 3因子である妊娠起因身体症状

の苦痛度は,平均 22.73(S1)= 11.28)点,妊娠起因

精神症状は 17.15 (S1) = 9. 54)点,体質起因身体症

状は26.76(S1) = 12. 16)点であった。マイナートラ

ブルの苦痛度と,生活習慣,睡眠充足感,不安との関

連を検討するため,マイナートラブ、ノレの各因子の苦痛

度により,低苦痛と高苦痛の 2群に分類し検討を行っ

た (Table3)。

その結果,妊娠中の生活習慣は,妊娠起因精神症状

において,低苦痛群の生活習慣指数4.40点は,高苦

痛群の 3.84点と比べ有意に高く,低苦痛群の方が好

ましい生活習慣であった (t(106) = 3. 10, p < .01)。

体質起因身体症状も,低苦痛群 4.14点は,高苦痛群

3. 78点より高得点、であり,低苦痛群の方が,好まし

い習慣を有していた (t(117) = 2.15, p < .05)。睡

眠充足感においても,妊娠起因身体症状の低苦痛群は

4. 28点と,高苦痛群 2.74点に比べ有意に高く,低苦

痛群の方が睡眠の充足感が得られていた (t(120)

6.25, p < .01)。同様に,妊娠起因精神症状も,低苦

痛群の睡眠充足感が 3.87点と,高苦痛群の 2.67点よ

り高く,低苦痛群の方が有意に充足感を得られていた

(t (114) = 4. 38, p < .01)。さらに,体質起因身体

症状でも,低苦痛群 3.88点は,高苦痛群2.92点より

一-43一一

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一一----.一一

植松・真鍋・田中:妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討

得点が高く (1(117) = 3. 56, P < .01),マイナート

ラブツレの苦痛度の低い者は,睡眠充足感を得られてい

ることがわかった。

状態不安,特性不安は,妊娠起因身体症状における,

低苦痛群の状態不安は 35.33点で,高苦痛群の 43.80

点に比べ低く,苦痛度が低い群の方が,有意に不安が

低かった(t(121) = 4. 72, P < .01)。また,妊娠起

因の精神症状も,低苦痛群が 33.58点と高苦痛群

48.84点、より低く,低苦痛群で不安が低かった (1(114)

= 9. 72, P < .01)。さらに,体質起因身体症状でも,

低苦痛群の状態不安 38.02点は,高苦痛群42.94点に

比べ有意に不安が低く,苦痛度が低い者の方が不安が

低かった (1(117) = 2. 86, P <.01)。同様に,特性

不安においても,妊娠起因身体症状の低苦痛群は

36.23点,高苦痛群44.39点と苦痛度が低い方が,有

意に不安が低かった (1(121) = 4. 28, P < .01)。妊

娠起因精神症状についても,低苦痛群33.76点は,高

苦痛群50.16点より有意に不安が低く(t(114) = 10. 10,

p<.01), 体質起因身体症状も,低苦痛群 38.59点,

高苦痛群43.16点と,低苦痛群の方が特性不安が低か

った (1(117) = 2. 46, P < .05)。以上より,マイナ

ートラブ、ルの苦痛度の低い者は,状態,特性不安とも

に低いことがわかった。

3 マイナートラブルの苦痛度と各生活習慣行動,睡

眠充足感との関連

Tab!e 3より,マイナートラブルの苦痛度に,生活

習慣と睡眠充足感が関連していることが明らかとなっ

た。そこで,具体的に,どの生活習慣行動が関係する

かを明らかにするため,飲酒,喫煙,朝食,間食,睡

眠,運動習慣,睡眠充足感を Tab!e2に基づき,それ

ぞれ好ましい習慣の良好群,そうでない不良群に分類

し,マイナートラフ手ルの割高度の群間比較を行った (Tab!e

4)。

飲酒は,良好,不良群で苦痛度に差はなかった。一

方,喫煙は,妊娠起因精神症状で,良好群 16.89点,

不良群22.64点と,非喫煙者の方が苦痛度が有意に低

い傾向を示した (1(237) = 1. 96, P < . 10)。朝食,

間食は,どちらも有意な差はなかった。

睡眠習慣は,規則的に就寝している良好群の妊娠起

因身体症状の苦痛度は 21.15点で,不良群25.22点と

比べ低く,就寝が規則的な者は有意に苦痛度が低かっ

た (1(237) = 2. 75, P < .01)。また,妊娠起因精神

症状も,良好群 15.82点は,不良群 19.27点より苦痛

度が低かった (1(237) = 2. 77, P < .01)。同様に,

体質起因身体症状においても,良好群 25.31点,不良

群 29.06点と,規則的に同じ時刻に就寝している妊婦

の方が,苦痛度が低いことが明らかとなった (1(237)

= 2. 35, P < . 05)。さらに,起床も,妊娠起因身体症

状の良好群 21.58点は,不良群 24.48点と比べ,起床

が規則的な者の方が,苦痛度が低川項向にあった (1(237)

= 1. 96, P < . 10)。同じく,精神症状における良好群

も16.17点で,不良群 18.66点より低く,規則的な良

好群の方が苦痛度が低かった (1(237) = 1. 99, P < . 05)。

睡眠時間は,体質起因身体症状の良好群 25.68点は,

不良群28.79点に比べ苦痛度が低く,有意傾向が示さ

Table 3 マイナートラブルの苦痛度による妊娠中の生活習慣,睡眠充足感,不安の比較

妊娠中の生活習慣指数 睡眠充足感 状態不安 特性不安

度豊富歪均値 so t盤 底数呈均僅 so t盤 度主主歪均値 so t盤 度数平均値 so tJi直妊娠起因

身体症状

低苦痛 57 4. 11 ~~. ~~! 0.93 高苦痛 66 3.94 (0.89)

57 4. 28 ~~. ~~! 6.25キ* 57 35・33 (8・97) 4. 72** 57 36. 23 (9. 80) 4. 28キ*66 2.74 (1. 52) ・ 6643.80 (10.69) ・ 6644.39 (11.18)

妊娠起因精神症状

低苦痛 55 4. 40 ~O. 7~! 3. 10** 55 ・87 (1・52) 4.38** 55 33.58 (7.90) 9.72** 55 33.76 (7.66) 10. 10** 高苦痛 61 3.84 (1. 16) ・ 61 2. 67 (1. 43) ・ 61 48.84 (8.89) V" ~., 61 50. 16 (9.61)

体質起因身体症状

低苦痛 56 4,14 (0.84) 2. 15* 56 3・88 (1・ 4~! 3. 56** 56 38・02 (9・34) 2. 86** 56 38. 59 (9. 36) 高苦糧 63 3.78 (0.99) ・ 63 2.92 (1. 48) ・ 63 42.94 (9. 38) ~. W " 63 43. 16 (10.73) 2.46*

柿 pぐ01 牢 pぐ,05

-44-

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広島国際大学心理臨床センタ一紀要第13号

れた (t(237) = 1. 90, p < . 10)。しかし,就寝時刻

では,マイナートラブルの苦痛度に差はなかった。睡

眠充足感については,妊娠起因の身体症状の良好群

17.64点は,不良群 25.75点と比較し,睡眠充足感が

良好な方が,有意に苦痛度が低かった (t(237) = 5. 72,

p < .01)。また,身体症状と同様に,精神症状も良好

群の 12.64点は,不良群 19.84点より低く,良好群の

方が有意に苦痛度が低かった(t(237) = 6. 16, P < . 01)。

さらに,体質起因身体症状も,良好群の 23.16点は,

不良群28.91点より,有意に苦痛度が低かった (t(237)

= 3. 63, p < .01)。これらから,睡眠充足感が毎日得

られている妊婦は,マイナートラブツレの苦痛度も低い

'

1

'

m1食

ミ起

1と

3

十れ-、

rEqd

ドトコu

-

H

A

7

T

戸-

h

u

k

v-円

ことがわかった。

運動習慣は,妊娠起因身体症状の良好群は 21.01点

と,不良群の 24.08点と比べ,有意に苦痛度が低かっ

た (t(237) = 2. 14, p < .05)。また,精神症状にお

いても,良好群 15.15点、は,不良群 18.73点より低く,

定期的に運動をしている者の方が,有意に低い苦痛度

であった(t(237) = 2. 92, P < . 01)。

以上より,妊娠に起因する身体症状は,規則的な就

寝,睡眠充足感の獲得,定期的な運動習慣を有する者

の方が苦痛度が低く,また,妊娠に起因する精神症状

も,規則的な就寝,起床,睡眠充足感の獲得,定期的

な運動習慣で,苦痛度が低いことが明らかとなった。

Ti:lble 4 各生活習慣行動,睡眠充足感におけるマイナートラブルの苦痛度の比較

妊娠起因身体症状 妊娠起因精神症状 体質起因身体症状度数 平均値 SlJ 値 平均値 SlJ 値 平均値 SlJ 値

飲酒

喫煙

良好 233 ~~. :~ ~~~. ~~! O. 12 ~~. ~~ ~~~ 5~). , O. 31 ~~. :~ ~~~. ~~! 0.35 不良 6 22. 17 (13.48) v.._ 18.33 (10.44) v. v. 29.50 (19.48)

良好 228 22.53 (11.27) ,nn 16.89 (9.49) 'A~'" 26.48 (12.07) 1. 29 ・1.96 t 1. 57

不良 11 27.00 (11.14) ~jH (9. 43)~,,' 32.82 (lLll)

朝食

間食

良好 202 22.65 (11. 29) A M 16. 77 (9. 38) "A 26. 37 (12. 13) 0.27 1.49 1.18 不良 37 23.19 (11.37) v. _. 19.30 (10.26) ...v 28.95 02.30)

良好不良

45 20. 64 (11. 03) 1. 38

194 23.22 (11.31) 16. 40 (9. 72)

立」μ主坦0.59

25. 80 (12. 25) O. 59

26. 99 (12.17)

就寝の規則性良好 146 21.15 (11. 72) n ~"...... 15.82 (9.17) A ~~.. 25.31 (12.19)

2. 75** ・ ・ 2.77** 2.35* 不良 93 25.22 (10. 12) ~., V" 19.27 (9. 77) ~.".. 29.06 (11. 83)

起床の規則性良好 144

玉阜~21. 58 (11. 79) , nr'" 16. 17 (9.67)

1. 96 r 24.48 (10.27) L. vv , 18. 66 (9. 18) 1. 99* 26. 15 (11. 74)

0.98 27. 72 (12.79)

就寝時刻良好 148 23.46 (11. 32) 'A" 16.54 (9. 29) 'AO 27.00 (12.34)

1.27 1.28 0.37 不良 91 21. 55 (11.17) ..~. 18.16 (9.91) L. ~V 26.40 (11. 93)

睡眠時間良好 155 22.95 (11. 07) ^" 16.98 (9.09) ^ n̂ 25.68 (11. 84)

0.41 ・・ 0.39 1. 90 t 不良 84 22. 32 (11. 71) V..' 17.49 (10.38) v. vv 28.79 (12. 56)

睡眠充足感良好 89 17.64 (11. 00) " ~A.'.... 12.64 (8. 48) ~ ,~...... 23.16 (11. 35)

5. 72** ・ ・ 6.16** 3.63** 不良 150 25.75 (10.35) V. , ~.. 19.84 (9.14) v. LV" 28.91 02.16)

**

)*キ

運動

3*

'.05

良好 105 21. 01 (10.24) A "... 15. 15 (8.68) n AA...... 26.30 (11. 58) 2.14* 2.92** 0.53 不良 134 24.08 (11. 89) ~.... 18. 73 (9. 92) _. V_.. 27. 14 02. 63)

** pぐ 01 * pぐ 05 t pぐ 10

L

-45-

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植松・真鍋・田中 妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討

さらに,体質起因身体症状は,規則的な就寝,睡眠充

足感の獲得で,苦痛度が低いことがわかった。

4 マイナートラブルの苦痛度と妊娠前後の各生活習

慣行動,睡眠充足感の変化との関連

各生活習慣行動を妊娠前と比較し改善している者,

変化せず維持している者,悪化している者に分類し,

マイナートラブルの苦痛度との関連を検討した。変化

の基準は, Table 2の分類から,①妊娠前から良好な

習慣を維持している者,②妊娠前は不良な習慣であっ

たが,妊娠後,良好な習慣に改善した者,③妊娠前後

ともに不良な習慣を続けている者,④良好な習慣から

不良な習慣へ悪化した者とし,①②を良好・改善群,

③④を不良・悪化群とする 2群に分類し分析を行った

(Table 5)。

その結果,飲酒や朝食,間食は苦痛度に差はなかっ

た。一方,喫煙は,妊娠起因精神症状における良好・

改善群の苦痛度は 16.89点で,不良・悪化群の 22.64

点より低く (t(237) = 1. 96, pく.10),体質起因身体

症状でも,良好・改善群の 26.48点は不良・悪化群の

32. 82点に比べ低く (t(237) = 1. 70, p<. 10),どち

らも良好・改善群で苦痛度が低い有意傾向を示した。

Ti=lble 5 妊娠前後の各生活習慣行動,睡眠充足感の変化におけるマイナートラブルの苦痛度の比較

妊娠起因身体症状 妊娠起因精神症状 体質起因身体症状度数 平均値 50 値 平均値 50 値 平均値 50 値

飲酒良好・改善

主主二塁11::喫煙

良好・改善

主主二塁盆

朝食良好・改善

玉阜二塁ι間食

良好・改善

玉阜二塁i乙就寝の規則性

良好・改善

互主二塁11::起床の規則性

良好・改善

玉阜二塁11::

就寝時刻良好・改善

玉阜二塁11::

睡眠時間良好・改善

至阜二塁11::

睡眠充足感

良好・改善

玉阜二塁11::

運動良好・改善

主主二塁11::

233 22.75 (11.25) O. 12

6 22. 17 (13. 48)

228 22.53 (11.27) 1. 29

11 27.00 (11.14)

202 22.65 (11.29) 0.27

37 23.19 (11. 37)

45 20.64 (11.03) 1. 38

194 23.22 (11.31)

146 21. 15 (11. 72) 2. 75**

93 25.22 (10. 12)

144 21.58 (11.79) 1. 96 t

95 24. 48 (10. 27)

148 23.46 (11.32) 1. 27

91 21. 55 (11. 17)

155 22.95 (11.07) 0.41

84 22. 32 (11. 71)

ψmT

ψ干

のんワ

t• rnυ )

)

ハURυ

ハuqo

-

-

tEA

ハHU

1Ati

(

(

A笠

υ

GUヴ4

-

-

n,aFhu

--つ臼nyAU

OORU

唱Eム

105 21. 01 (10.24) 2. 14*

134 24.08 (11.89)

17.13 (9.54) O. 31

18. 33 (10. 44) 26.70 (11.98)

0.35 29.50 (19.48)

16. 89 (9. 49) 22. 64 (9.43)

1. 96 t 26. 48 (12. 07) 1. 70 t

32. 82 (13. 11)

16. 77 (9. 38) 1. 49

19.30 (10.26)

26.37 (12. 13) 1. 18

28. 95 (12. 30)

16. 40 (9. 72) 17.34 (9.52)

O. 59 25. 80 (12. 25) O. 59 26. 99 (12. 17)

15. 82 (9. 17)

19.27 (9.77) 2. 77**

25.31 (12. 19) 2.35*

29. 06 (11. 83)

16. 17 (9. 67)

18. 66 (9. 18)

26.15 (11. 74) O. 98

27.72 (12.79) 1. 99*

16.54 (9.29)

18. 16 (9.91) 1. 28

27. 00 (12. 34) O. 37

26.40 (11.93)

16. 98 (9. 09) 0.39

17. 49 (10. 38)

25.68 (11.84) 1. 90 t

28. 79 (12. 56)

12. 64 (8. 48)

19.84 (9. 14) 合mr*

。、υco -

つd)

)

phUFO

qδti

•• 唱

EAAY臼

1

1

(

(

614

1

ムハHd

-

-

qJoo

qruηL

6. 16**

15. 15 (8. 68) 18. 73 (9. 92)

2.92** 26.30 (11.58)

O. 53 27. 14 (12.63) ** pぐ.01 * pぐ 05t pぐ 10

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広島国際大学心理臨床センタ一紀要第13号

態日民習慣は,就寝の規則性で,妊娠起因身体症状の

良好・改善群は 21.15点で,不良・悪化群25.22点と

比較し苦痛度は有意に低く,妊娠前から規則的な就寝

習慣を有している者,もしくは妊娠前は不規則でも,

妊娠を機に規則的に就寝するようになった者の方が,

苦痛度が低かった (t(237) = 2. 75, Pく.01)。また,

精神症状も,良好・改善群 15.82点は,不良・悪化群

19.27点より苦痛度が低かった (t(237) = 2. 77, Pく.01)。

妊娠起因の心身症状と同様に,体質起因身体症状も,

良好・改善群25.31点,不良・悪化群29.06点と良好・

改善群の方が有意に低く (t(237) = 2. 35, Pく.05),

妊娠前からの規則的な就寝の維持,または妊娠を機に

改善した妊婦の方が,マイナートラフ守ルの苦痛度が低

いことが明らかとなった。さらに,起床も,妊娠起因

の精神症状の良好・改善群は 16.17点で,不良・悪化

群18.66点に比べ苦痛度は低く,妊娠前から規則的な

起床を維持している者,妊娠を機に改善した者の苦痛

度は低かった (t(237) = 1. 99, P < . 05)。一方,妊

娠起因身体症状においても,良好・改善群は 21.58点

であり,不良・悪化群 24.48点と比べ,良好・改善群

の苦痛度は低く,有意傾向を示した (t(237) = 1. 96,

p =< .10)。睡眠時間は,体質起因身体症状における,

良好・改善群 25.68点は,不良・悪化群28.79点と比

較し,苦痛度が低い傾向にあった (t(237) = 1. 90,

p=< .10)。また,睡眠充足感においても,妊娠起因

身体症状の良好・改善群は 17.64点で,不良・悪化群

25. 75点と比べ有意に低く,妊娠前から睡眠充足感が

良好な者,および妊娠により睡眠充足感が得られ改善

した者の方が,苦痛度が低かった (t(237) = 5. 72,

p < .01)。身体症状と同様に,精神症状も,良好・改

善群 12.64点,不良・悪化群 19.84点と,良好・改善

群で苦痛度が有意に低かった (t(幻7)= 6. 16, P < . 01)。

さらに,体質起因身体症状も,良好・改善群23.16点

は,不良・悪化群28.91点より苦痛度が低いことがわ

かった (t(237) = 3.63, P < .01)。

運動習慣は,妊娠起因身体症状の良好・改善群

21. 01点と比較し,不良・悪化群は 24.08点と,妊娠

前から運動習慣を有している,もしくは妊娠により運

動するようになった者の方が,背痛度が低かった (t(237)

= 2. 14, P < .05)。閉じく,精神症状も,良好・改善

群 15.15点は,不良・悪化群 18.73点と比べ,良好・

改善群でマイナートラブ、ルの苦痛度が低かった (t(237)

= 2. 92, P < .01)。以上より,就寝,起床の規則性,睡眠充足感,運動

習慣は,妊娠前からの良好な習慣の維持と,妊娠前に

好ましくない生活習慣で、あっても妊娠後改善した妊婦

の方がマイナートラブ、ルの苦痛度が低いことがわかっ

た。

1V.考察

1 妊娠に伴う生活習慣の変化

本結果より,妊娠前と比べ妊娠後は,飲酒や喫煙,

朝食や運動習慣は改善し,健康的な習慣への変容を認

めた。西村ら (2008)は,女性のライフイベントと生

活習慣に関する調査を行い,妊娠前後でBreslowの7

項目(飲酒,喫煙,朝食,間食,運動,睡眠,体重)

を基本とする,生活習慣指数の上昇と,朝食や間食,

栄養ノ〈ランス,飲酒,喫煙などの生活習慣の改善を報

告している。本研究では,上記の習慣に加え,睡眠に

ついては,就寝,起床時刻,睡眠充足感の妊娠前後の

変化についても検討した。その結果,妊娠を機に就寝

時刻は早くなり,睡眠時間が延長するが,睡眠充足感

は低下することが明らかとなった。堀内ら(1988)は,

ポリグラフを用いた客観的評価から,末期の睡眠が浅

くなっていることを報告し,本研究における対象者は,

妊娠末期が 53.1%と半数を占めることからも,主観

的評価だけでなく睡眠の質の低下が考えられる。また,

駒田ら (2002)は,妊婦は非妊婦より睡眠時間は延長

し,睡眠維持や入眠困難になることを明らかにし,妊

婦の睡眠の質の低下と,妊娠中は非妊時よりも長い睡

眠時間を必要とすることを示唆している。本研究でも,

妊娠前と比較し,睡眠時間は 29.4分増加しているが,

睡眠充足感は得られておらず,睡眠の質の低下を補填

するに足る,充分な睡眠時間は確保されていないこと

が示唆された。さらに,睡眠の質には,生体リズムが

強く関与し (Czeisleret al., 1980),不規則な生活は,

睡眠の質を低下させる (Monket al., 2003)。つまり,

妊娠期の睡眠の質の改善には,睡眠時間の確保に加え,

睡眠習慣の規則性が関連していることが示唆される。

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植松・員鍋・田中・妊娠中のマイナートラブルの苦痛度と生活習慣,睡眠充足感,不安についての検討

2. 妊娠に伴う生活習慣の変化,不安とマイナートラ

ブルの苦痛度との関連について

本研究では,妊娠に伴う生活習慣の変化に加え,マ

イナートラブツレの苦痛度との関連を検討した。その結

果,規則的な就寝,定期的な運動習慣が,倦怠感や易

疲労,胃の不快感などの妊娠起因身体症状の苦痛度軽

減と関連することが明らかとなった。また,就寝,起

床が規則的であること,定期的な運動習慣がある者は,

イライラ感,気分の落ち込みなどの妊娠起因精神症状

の苦痛度が有意に低く,苦痛度軽減との関連が明らか

になった。特に,規則的な就寝は,便秘,肩こり,冷

え,腰痛などの体質起因身体症状の苦痛度軽減との関

連も示唆された。つまり,規則的な就寝は,マイナー

トラブノレの 3因子(妊娠起因身体症状,妊娠起因精神

症状,体質起因身体症状),全ての苦痛度と関連があ

ることが明らかとなった。さらに,今回,睡眠につい

て,睡眠時間のみならず,睡眠充足感の視点を加え検

討した。睡眠充足感が毎日得られている者は,倦怠感

や易疲労などの妊娠起因身体症状の苦痛度が低いだけ

でなく,イライラ感,気分の落ち込みなどの妊娠起因

の精神症状の苦痛度も低かった。また,便秘などの体

質起因身体症状の苦痛度も有意に低く,睡眠充足感が

得られることは,マイナートラブルの 3因子(妊娠起

因身体症状,妊娠起因精神症状,体質起因身体症状),

全ての苦痛度の軽減に関連していることが示唆された。

睡眠は,自律神経の休息をはじめ,身体の疲労を回復

させるだけでなく,最近の研究では,睡眠の不足が,

抑うつ傾向を強めると報告されている (Motomuraet

al., 2013)。つまり,良質な睡眠は,心身ともの健康に

大きく関わる。また,マイナートラブ、ノレ症状の多くは,

自律神経活動との関連が指摘されていることから(堀

口, 1994),睡眠の質の確保が,心身とものマイナー

トラブルの苦痛度軽減に有効性が高いことが示唆され

る。さらに,運動も生体リズム同調因子であるうえ

(Miyazaki et al., 2001),運動習慣は,睡眠の維持を良

好にすることから (Ohidaet al,. 2001),規則的な就寝

と起床,定期的な運動習慣は,睡眠充足感の向上につ

ながり,マイナートラブルの苦痛度軽減に有効,ttが高

いと考えられる。

以上の結果より,マイナートラブ、ルの苦痛度軽減に

は,規則的な就寝と起床,定期的な運動習慣の重要性

が示唆された。次に,これらの習慣の効果として,本

研究では,その影響が,長期的もしくは,短期的なも

のであるのかを検討するため,妊娠前後で,変化して

いる者,維持している者でのマイナートラブルの苦痛

度との関連をみた。その結果,規則的な就寝,定期的

な運動習慣,睡眠充足感の獲得は,倦怠感や易疲労な

どの妊娠起因身体症状の苦痛度に対し,妊娠前から良

好な習慣を維持している者,および妊娠前に不良な習

慣でも妊娠後に改善した者の方が,苦痛度が低かった。

また,規則的な就寝,起床と,定期的な運動習慣,睡

眠充足感の獲得は,妊娠前から良好な習慣を維持して

いる者,妊娠後に改善した者の,イライラ感,気分の

落ち込みなどの妊娠起因精神症状の苦痛度が低かった。

さらに,規則的な就寝,睡眠充足感の獲得は,便秘な

どの体質起因身体症状において,妊娠前から良好な習

慣の維持者,妊娠を機に改善した者で,その苦痛度は

低いことが示唆された。つまり,規則的な就寝,起床

と,定期的な運動習慣,睡眠充足感の獲得は,妊娠以

前からはもちろん,妊娠前は悪くとも,妊娠をきっか

けに改善することで,マイナートラブルの 3因子(妊

娠起因身体症状,妊娠起因精神症状,体質起因身体症

状),全ての苦痛度軽減に関連することが示唆された。

また,不安が低い者ほど,倦怠感などの妊娠起因の

身体症状の苦痛度は低く,イライラ感,気分の落ち込

みなどの妊娠起因の精神症状の苦痛度も低いことがわ

かった。さらに,不安が低い者は,便秘などの体質起

因の身体症状の苦痛度も低かった。妊婦の不安と生活

習慣との関連を検討した研究では,全く運動習慣のな

い妊婦は,定期的に運動習慣がある者と比較し,高不

安へのリスクがオッズ比 4.12倍であることを指摘し

ている(植松ら, 2014)。また, 24時以降に就寝する

妊婦も,高不安への危険度が 2.86倍,不規則な就寝

をしている妊婦も,高不安への危険度は 2.90倍であ

ることが報告され(植松ら, 2014), 24時までの規則

的な就寝と定期的な運動習慣が,妊娠女性の不安の軽

減に関連していることを報告している。本研究の結果,

規則的な就寝と定期的な運動習慣は,睡眠充足感とと

もに,マイナートラブ、ルの苦痛度の軽減に関連してい l

た。つまり,定期的な運動と規則正しい就寝は,不安!

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広島国際大学心理臨床センタ一紀要第13号

の低減に寄与するとともに,マイナートラブルの苦痛

度軽減つながることが示唆される。

3. マイナートラブルの苦痛度軽減に向けた生活リズ

ム調整

今までの研究(大浦ら, 2007; Garshabi & Faghih,

2005 ; Stomp et al., 2012)では,便秘、や腰痛など,単

一症状のみに対する,運動や睡眠,規則的な生活の効

果の検証であった。本研究で,妊娠による複数の不快

症状の苦痛度の観点から検討した結果,倦怠感,易疲

労,胃の不快感などの妊娠起因身体症状の苦痛度の軽

減には,定期的な運動習慣と規則的な就寝が関連して

いることが明らかとなった。また,イライラ感,気分

の落ち込みなどの妊娠起因精神症状の苦痛度軽減には,

定期的な運動習慣をはじめ,規則的な就寝と起床との

関連が示され,便秘や肩こり,冷え,腰痛などの体質

に起因する身体症状には,規則的な就寝が,その軽減

に関連していた。新川ら (2009)のマイナートラブル

の発症率の調査から,倦怠感,易疲労,胃の不快感を

はじめ,イライラ感や気分の落ち込み,便秘,肩こり,

ことが示唆される。特に,規則的な就寝や定期的な運

動習慣は,妊娠に伴い低下する睡眠充足感の改善効果

も期待できることから,マイナートラブルの苦痛度の

軽減に有効と考えられる。

4田本研究の限界と課題

本調査は,飲酒や喫煙,朝食や間食,運動,就寝,

起床時刻や睡眠時間などの睡眠習慣,睡眠充足感と,

精神面としての不安など,基本的な生活習慣からの横

断的調査であった。しかし,睡眠を評価するうえで,

主観的な質を測る質問票を使用しておらず,さらに,

妊娠中は,睡眠の質と量に加え,昼寝などの実態把握

が必要である。また,生活の規則性を把握するため,

活動量計や睡眠日誌の使用,運動についても客観的な

量や強度の把握が求められる。今後は,妊娠初期,中

期,末期毎の横断調査で,生活の規則性や睡眠の特徴

を捉えること,さらに,一人の妊婦の妊娠初期から末

期にかけての変化を縦断的に検討することで,個人の

実態に即した改善策の提示につながると考えられる。

腰痛などの症状の発症率は,どれも 70%を超え,倦 【謝辞】

怠感,易疲労に至っては 90%と,ほとんどの妊婦が

この症状を抱えていることを報告している。さらに,

l人の妊婦は,平均27症状を呈しているとの指摘もさ

れている。つまり,複数症状を抱えている妊婦の実態

に求められるのは,単一症状をターゲットとした対策

ではなく,複数症状に対する苦痛度軽減が期待できる

改善策である。本研究で,心身両面を捉えた, 3因子

(妊娠起因身体症状,妊娠起因精神症状,体質起因身

体症状)のマイナートラブ‘ルに対し,定期的な運動習

慣と規則的な就寝,起床は,その苦痛度を軽減できる

可能性を指摘した。この指摘の意義は大きく,生活リ

ズムを整えることが,妊婦特有のマイナートラブルの

苦痛度軽減に有効であることが示唆される。

また,本結果で,多くの妊婦は,妊娠を機に飲酒や

喫煙,朝食摂取や運動,睡眠時間などの生活習慣の改

善がみられた。さらに,妊娠前からの良好な習慣の維

持だけでなく,妊娠後の改善によっても,苦痛度の軽

減効果が明らかとなった。つまり,生活習慣は,妊婦

であっても容易に取り組める,改善可能な要因である

本研究にご協力くださいました,妊婦の皆様,ご指

導いただきました諸先生方に心より感謝申し上げます。

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