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感度 量子効率でPMTを上回り、容易に大面積配列が可能 Dynode型以上、MCP型の10倍の光検出率を達成 高速応答性 単純に結合すると応答が鈍るため、高速化回路を設計・実装 インパルス応答FWHM3.3 nsを確認、時間弁別性を確認 X線耐性 半導体素子であるため、PMTと同原理の障害は発生しない ゲート回路を実装し、200 ns間の安定動作を確認 マルチピクセルフォトンカウンター( MPPC )を用いた高感度・高速応 答中性子計 測器の 開発 大阪大学 レーザー科学研究所 浅野将唯, 有川安信, 安部勇輝,中尾采美, 南上和也, Alessio Morace, 中井光男, 白神宏之 高速点火核融合実験において、核融合プラズマのイオン温度診断を行うためには 高感度」「高速応答」「中性子信号に先行して発生するX線ノイズへの耐性」の条件をすべて満たす中性子計測器が必要 本研究ではアバランシェフォトダイオードのアレイ素子であるMPPC(浜松ホトニクス)を用いた中性子計測器を開発 レーザーダイオードを使用した実験で計測のための各要件を満たすことを確認(2020年秋) 実際のLFEXレーザー実験において運用し、高速応答性を確認 X線バックグラウンド下においてゲート機能を用いずにMeV高速中性子の計測に成功 DynodeMCPMPPCディテクター (本研究で開発) 従来使用されていた光電子増倍管PMTDynode:高感度だがゲート性能に問題 MCP:ゲート性能に優れるが低感度 上記の三条件を満たす中性子計測器は 存在しなかったため、新たに MPPC光ディテクターの開発を行った 但し高速化回路の実装により、信号波高が小さくなるPMTより微小ノイズに敏感 MPPCディテクターは微小ノイズに敏感 LFEX実験で使用するために 電源のバッテリー化など環境ノイズ対策 ノイズをおよそ1/10に低減 LFEXを用いたD-Be中性子発生実験 ~MeV、高イールド)において ゲート機能を用いずに中性子信号を 測定することに初めて成功 実験に協力いただきました余語覚文先生、藍沢塵さんに感謝致します。本研究はA-step「コンパクト中性子源とその産業応用に向けた基盤技術の構築」、日本学術振興会科研費挑戦的萌芽研究20K20922、基盤研究B19H01876、若手研究19K14681の支援を受けました。 LFEX実験で発生したX線を用いて 液体シンチレータ+MPPCディテクターの インパルス応答を計測 高速応答性の維持を確認

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Page 1: マルチピクセルフォトンカウンター(MPPC)を用いた高感 …Title マルチピクセルフォトンカウンター(MPPC)を用いた高感度・高速応答中性子計測器の開発

感度 量子効率でPMTを上回り、容易に大面積配列が可能Dynode型以上、MCP型の10倍の光検出率を達成

高速応答性 単純に結合すると応答が鈍るため、高速化回路を設計・実装インパルス応答FWHM3.3 nsを確認、時間弁別性を確認

硬X線耐性 半導体素子であるため、PMTと同原理の障害は発生しないゲート回路を実装し、200 ns間の安定動作を確認

マルチピクセルフォトンカウンター(MPPC)を用いた高感度・高速応答中性子計測器の開発大阪大学 レーザー科学研究所

浅野将唯, 有川安信, 安部勇輝,中尾采美, 南上和也, Alessio Morace, 中井光男, 白神宏之

• 高速点火核融合実験において、核融合プラズマのイオン温度診断を行うためには「高感度」「高速応答」「中性子信号に先行して発生する硬X線ノイズへの耐性」の条件をすべて満たす中性子計測器が必要

• 本研究ではアバランシェフォトダイオードのアレイ素子であるMPPC(浜松ホトニクス)を用いた中性子計測器を開発• レーザーダイオードを使用した実験で計測のための各要件を満たすことを確認(2020年秋)• 実際のLFEXレーザー実験において運用し、高速応答性を確認硬X線バックグラウンド下においてゲート機能を用いずにMeV高速中性子の計測に成功

Dynode型 MCP型

MPPCディテクター(本研究で開発)

従来使用されていた光電子増倍管(PMT)Dynode型:高感度だがゲート性能に問題MCP型:ゲート性能に優れるが低感度

上記の三条件を満たす中性子計測器は存在しなかったため、新たにMPPC光ディテクターの開発を行った

但し高速化回路の実装により、信号波高が小さくなる⇒PMTより微小ノイズに敏感

MPPCディテクターは微小ノイズに敏感LFEX実験で使用するために電源のバッテリー化など環境ノイズ対策

ノイズをおよそ1/10に低減

LFEXを用いたD-Be中性子発生実験(~数MeV、高イールド)においてゲート機能を用いずに中性子信号を測定することに初めて成功

実験に協力いただきました余語覚文先生、藍沢塵さんに感謝致します。本研究はA-step「コンパクト中性子源とその産業応用に向けた基盤技術の構築」、日本学術振興会科研費挑戦的萌芽研究20K20922、基盤研究B19H01876、若手研究19K14681の支援を受けました。

LFEX実験で発生したX線を用いて液体シンチレータ+MPPCディテクターのインパルス応答を計測高速応答性の維持を確認