ブランドに対する共感がブランド・エクイティに与...

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1 ブランドに対する共感がブランド・エクイティに与える影響 Effects of Consumers’ Empathy on Brand Equity 12C3148025H 伊東 祐貴 要旨 近年、マーケティング研究において、共感が注目されている。しかしながら、そ の定義は多様で一貫性がなく研究者により異なる。そこで、本研究では、まず、心 理学に依拠して共感研究を概観した後、マーケティング研究の視点から共感を再定 義する。次に、共感とマーケティング研究における諸概念との関係を考察する。具 体的には、消費者のブランドに対する共感が、ブランド・エクイティに与える影響 を考える。このとき、社会心理学における共感と社会的同一性との議論に依拠しな がら、社会的同一性の拡張概念であるブランド同一化に注目し、共感とブランド・ エクイティとを架橋する概念としてブランド同一化を提案する。そして、消費者の ブランドに対する共感を測定した後、共感とブランド・エクイティとの関係を検討 することにより、共感がブランドに与える効果を明らかにする。 本研究の僅かな貢献として、マーケティング研究において共感を陽に考慮したこ と、ブランド同一化を経由した、共感とブランド・エクイティとの関係を明らかに したことなどが挙げられる。 Abstract This research discusses the effects of consumers’ empathy on brand equity. Empathy has been greatly paid attention in marketing; however, its interpretations have varied and no coherent definition has existed in marketing discipline, as far as we know. Hence, first, we overview various theories of empathy in psychology, then we define it in terms of marketing discipline. Finally the relation between empathy and brand equity through brand identification is discussed. 1 はじめに 1.1 問題意識 近年、マーケティング研究において注目されている概念として、共感が挙げられ る。この背景として、マーケティング活動における様々な課題が挙げられる。たと えば、①技術革新の成熟化を背景に、機能面における製品差別化は難しくなってき ており、製品のコモディティ化が進行していること、②通信技術の発展やそれに伴

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1

ブランドに対する共感がブランド・エクイティに与える影響 Effects of Consumers’ Empathy on Brand Equity

12C3148025H 伊東 祐貴

要旨

近年、マーケティング研究において、共感が注目されている。しかしながら、そ

の定義は多様で一貫性がなく研究者により異なる。そこで、本研究では、まず、心

理学に依拠して共感研究を概観した後、マーケティング研究の視点から共感を再定

義する。次に、共感とマーケティング研究における諸概念との関係を考察する。具

体的には、消費者のブランドに対する共感が、ブランド・エクイティに与える影響

を考える。このとき、社会心理学における共感と社会的同一性との議論に依拠しな

がら、社会的同一性の拡張概念であるブランド同一化に注目し、共感とブランド・

エクイティとを架橋する概念としてブランド同一化を提案する。そして、消費者の

ブランドに対する共感を測定した後、共感とブランド・エクイティとの関係を検討

することにより、共感がブランドに与える効果を明らかにする。

本研究の僅かな貢献として、マーケティング研究において共感を陽に考慮したこ

と、ブランド同一化を経由した、共感とブランド・エクイティとの関係を明らかに

したことなどが挙げられる。

Abstract

This research discusses the effects of consumers’ empathy on brand equity. Empathy has

been greatly paid attention in marketing; however, its interpretations have varied and no

coherent definition has existed in marketing discipline, as far as we know. Hence, first, we

overview various theories of empathy in psychology, then we define it in terms of

marketing discipline. Finally the relation between empathy and brand equity through brand

identification is discussed.

1 はじめに

1.1 問題意識

近年、マーケティング研究において注目されている概念として、共感が挙げられ

る。この背景として、マーケティング活動における様々な課題が挙げられる。たと

えば、①技術革新の成熟化を背景に、機能面における製品差別化は難しくなってき

ており、製品のコモディティ化が進行していること、②通信技術の発展やそれに伴

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うメディアの多様化により、個人に到達する情報量は爆発的に増加しているため、

製品の品質が高いだけでは競争優位を獲得することは困難であること、③マス広告

のみでは消費者の心理変容を惹起する見込みは小さいことなどである。これらの課

題の解決に向けた競争優位性や顧客との良好な関係構築の源泉として、共感が注目

されている。

共感の活用範囲は幅広く、マーケティング実務のみならず、消費者行動論、ブラ

ンド研究、広告論など多様な分野において重要性が主張されている。しかしながら、

共感についての一貫した定義が存在せず、異なる意味が与えられていることも少な

くない。さらには、実務領域における盛んな議論に対し、学術的な検討は十分とは

言い難い。マーケティング論で共感を題材とした研究は、少数ながら存在するもの

の、共感の定義づけや測定方法において、必ずしも適切な手続きがとられていない。

さらに、共感がブランド構築に貢献するまでの理論的なメカニズムは、管見の限り

明らかにされていない。

1.2 課題

そこで本研究では、まず共感に関連するマーケティング研究を概観した後、共感

研究の中核分野である心理学的視点から概念を整理し、共感を再定義する。次に、

共感とマーケティング研究の諸概念との関係を考える。本研究では、消費者がある

ブランドに対して共感を抱いたときの、ブランド・エクイティへの影響を実証的に

検討する。

具体的な手続きは以下の通りである。主に実務的なマーケティング論において、

共感と同義の概念として用いられることが多いレレバンス(relevance)を、本研究

における共感として捉え、レレバンスがブランド・エクイティの諸要素(ブランド・

ロイヤルティ、ブランド認知・連想、知覚品質)に与える影響を共分散構造分析に

より検討する。この時、モデルを理論的に精緻化すべく、レレバンスとブランド・

エクイティの架橋となる概念として、ブランド同一化を提案する。ブランド同一化

とは、共感を先行要因とし、結果として対象への忠誠や好意を向上させる、組織同

一化を応用した概念である。

2 先行研究のレビューと概念の定義

まず、マーケティング研究における共感概念を概観し、現状の課題を明らかにす

る(2.1)。次に、共感概念について長年の議論がなされてきた心理学領域における

知見を概観し、マーケティング論に応用可能な形で共感の定義づけを行う(2.2)。

その後、各分野における先行研究を概観し、共感の測定指標としてレレバンスを用

いること(2.3)、共感とブランドの関係を架橋する概念として組織同一化を用いる

こと(2.4)の妥当性を検討する。最後に、共感とブランドの関係を考察すべく、

ブランド・エクイティの概念を再確認する(2.5)。

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2.1 マーケティング論における共感

近年、消費者行動論、ブランド研究、広告論などにおいて、共感が注目されてい

る。すなわち、競合に対する競争優位性や、顧客との関係構築に貢献する新たな概

念であると指摘されている。製品の機能的な特徴ではなく、製品開発の背景やブラ

ンドのビジョンを訴求する広告の増加からも、その注目度の高さがうかがえる。

しかしながら、既存研究で用いられる共感の用法や解釈には一貫性がなく、文脈

や状況に応じて意味が使い分けられている。たとえば、消費行動モデル「SIPS」(電

通 2011)において、共感として sympathy を考え、消費行動が始発する起点である

と仮定する。他方、ニールセンが開発した広告効果測定モデル「ADS@WORK」に

おいては、共感として relevance(レレバンス:関連性)を考える。さらに、ブラン

ド構築モデル「Bland Building Block」(Keller 2003)においては、共感として resonance

(レゾナンス)1を考え、ブランド構築の最終目的地点であるとされる。

さらに、共感の定義や解釈は研究者により異なる。たとえば、電通(2011)では

共感を、「わかる」、「あるある」といった同意的な共感、「有益だ」、「多くの人が知

るべきだ」といった情報価値的共感、「尊敬できる」、「助けたい」といった称賛・

支援的な共感など、多角的な概念として捉えている2。他方、古川、金、上原(2004)

は、ブランドに対する共感が、認知から選好への過程に強く影響することを示唆し

ているものの、共感について明確には定義していない。また、井上(2008)は、製

品・ブランドの開発意図に対する共感が、心理的な思い入れを含む、真のブランド・

ロイヤルティの形成へとつながることを、調査により明らかにした。しかしながら、

共感の測定に際して、共感の有無を被験者の自己申告によって測定するなど、先行

研究に基づいた適切な手法を用いているとは、必ずしは言い難い。さらに、金森

(2014)は、DART(dialogue, access, risk assessment, transparency の視点から、消費

者による、企業の価値創造プロセスへの参加を捉える概念)や経験価値を考慮し、

共感の結果としての、ブランド・ロイヤルティの向上を共分散構造分析により検証

している。しかし、共感について明確な定義を与えておらず、対象ブランドも外食

チェーンや通信添削サービスと限定的である。

以上より、マーケティング論における共感研究の課題として、(1)一貫した定義

が存在しない、(2)理論に基づいた学術的検討が不十分であるなどが挙げられる。

さらには、マーケティング論において、共感を定義し、適切な方法で測定した研究

は管見の限り稀である。

1 顧客がブランドと共鳴していると感じる程度(Keller 2003)と定義される。 2 他方、吉川、城井(2002)は、「共感とは、顧客の単なる好意や満足を超えたと

ころにある、商品・サービスと顧客の心をつなぐ絆である」と共感を定義づけてい

る。また、阪本(2010)は実在のブランドを例に挙げ、「アップルは生活者・顧客

のそのような『期待の感情=思い』を獲得している企業ブランドといえる。この『思

い』を言い換えるならそれは『共感』だ」と言及している。

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2.2 心理学における共感

広義の共感は、17 世紀頃の哲学、倫理学、美学などでの議論を起源とする。そ

の後、20 世紀初頭に Lips(1903)が「Einfühlung(日本語では感情移入と訳される)」

の概念を用い、共感を初めて心理学に応用した。それ以降、今日までに、認知科学、

神経科学、発達科学など心理学領域を中心に多様なアプローチから検討されてきた

(春木 1975、澤田 1992、Davis 1999)。また、澤田(1992)が示すように、共感は

非常に多義的な概念であり、研究者ごとに異なる解釈がなされている。そこで、以

下、心理学における共感を概観した後、マーケティング研究への応用を試みる。

共感研究の歴史をたどると、その論点は時代とともに変遷してきた。心理学にお

ける共感の初期の研究は、他者への自己の投影や行動の模倣などが議論の中心であ

り、感情的側面を考慮する立場が主流であった(Titchener 1909, Lips 1909 ほか)。

他方、Chapin(1942)や Kerr & Speroff(1954)をはじめとする 1940-50 年代の研究

の多くは、共感を、他人の考え方を正確に予想する認知的能力と見なすことが前提

となっていた。その後、双方の研究の発展を経て、今日では、共感は認知的共感

(cognitive empathy)と情動的共感(emotional empathy)の相互作用により構成され

るとする立場が主流となっている(Davis 1983 ほか)3。認知的共感とは、他者の

心の状態を頭の中で推論し理解する認知能力である。認知的共感は、理性的かつ意

図的な処理が行われる、共感の「過程」としての要素として捉えられる。一方、情

動的共感とは他者の心の状態を頭の中で推論するだけでなく、身体反応も伴って理

解する能力である。情動的共感は、感情的かつ無意識的な処理が行われる、共感の

「結果」としての要素として捉えられる4。

ここで、本研究における共感の定義づけを行う。なお、本研究ではブランドに対

する共感について考察する。ブランドは非人間的な対象であるため、人間を対象と

して検討されてきた心理学研究における知見を援用しようとするとき、概念拡張が

必要となる。そこで、共感の認知的要素と情動的要素を考慮しつつ、組織やブラン

3 本稿で紹介する他に、共感をある時点における反応、すなわち、状態としての共

感(状態共感)と、個人が持つ特性としての共感(共感性)に分類する立場がある

(Davis 1994 ほか)。他方、共感を、(1)行動的共感(他者の行動を観察すること

により自らに類似した行動が生じる共感)、(2)身体的共感(他者の行動に触れる

ことによって、身体反応が誘発される共感)、(3)主体的共感(主体自らが「共感

している」と認識した上で生じる共感)の 3 類型によって捉える見方も存在する

(Gutsell & Inzlict 2012 ほか)。 4 認知的・情動的共感と対応する形で、澤田(1992)、福田(2008)は、共感概念

の二通りの解釈を提唱している。一方は「意見に共感する」という考え方の一致の

強調であり、もう一方は「悲しみに共感する」などの感情を主体とした解釈である。

福田(2008)は前者を思考に基づく共感として捉え、考え方の一致を意味する「同

感」とし、後者を感情に基づく共感とした。

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ド、またはそこから発信されるメッセージやビジョンなども共感の対象として捉え

る。以上を踏まえ、心理学領域の共感定義(図表 1)に基づき、共感を「対象の心

的状況や主義主張に対する認知的理解と、それに伴い生じる情緒的反応」と定義す

る。

図表 1 主な共感の定義

Lips(1909)

「他者、自然界、創造物といった対象と対峙する自分をその対象にお

いて客観化し、自分の定性を対象に帰属するものとして体験するこ

と」

Dymond(1948) 「他人の思考、感情、行為のなかに自分自身を想像的に置き換えて、

その人のあるがままの世界を構成すること」

Rogers(1959)

「他者の内的照合枠を正確さをもって、すなわちそこに付与されてい

る情緒的内容意味とともに、あたかもそのひとであるかのように、知

覚すること」

Berger(1962)

「ある人の情動反応が他の人に情動反応をひきおこすことであり、二

人の情動反応が同じものならば、両者の間の関係は共感的または同一

視の一種である」

Stotland(1969) 「他人がある情動を経験したり経験しようとしているのを、それを見

る者が知覚することによって、見る側の者が情動的に反応すること」

Mehrabian(1972) 「(1)他人の考え、感情、行動を正確に認知、予測ができること、(2)

他人の感情的な経験を自分のことのように感情的に反応すること」

詫摩(1973) 「或る人の考えていること、感じていることなどを自分自身の中に移

し換え、その人の内的世界と似た世界を自分の中につくり出すこと」

春木(1975)

「ある人が感情(情動)状態を体験し、それが表出されているとき、

それにさらされた他の人が同じような感情状態を体験し、表出するよ

うになること」

Wispe(1986) 「自分を意識している自我による、別の自我の肯定的あるいは否定的

な経験を無批判的にとらえる試み」

角田(1991) 「能動的また想像的に他者の立場に自分を置くことで、自分とは異な

る存在である他者の感情を体験すること」

澤田(1992) 「単なる他者理解という認知的過程ではなく、認知と感情の両方を含

む過程であり、他者の感情の代理的経験あるいは共有を必ず伴う」

Baron-Cohen

(1995)

「他者の心的状態(感情や思考など)を同定し、それに対して適切な

感情的反応を引き起こす傾向」

Davis(1999) 「他人の体験についてある個人が抱く反応を扱う一組の構成概念」「他

者の視点取得能力と他者の情動を感じる能力」

Hoffman(2000) 「自分自身よりも他人の置かれた状況に適した感情的反応」

福田(2002) 「相手の気持ちを理解し、自分の感情と共鳴させる人の能力」

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2.3 共感の測定

今日の心理学領域における共感の測定方法は、(1)被験者に対し、対象人物の感

情を正確に推測させる方法、(2)他者の感情を刺激とし、被験者に感情的反応を生

起させる方法の 2 つのアプローチが主流である。前者の例としては、ある仮想的な

人物の感情状態を描写した一連のストーリーを、絵や写真、映像などで被験者に提

示し、その後、人物の感情がどのようなものであるかを予測させる方法などが挙げ

られる(Feshbach & Roe 1968 ほか)。後者の例としては、まず、被験者に、苦しん

でいる人物を観察させ(被験者の前で演技をする場合と、映像にて放映する場合な

どがある)、その後、被験者自身の感情反応を自己報告させる方法などが挙げられ

る(Lerner & Simmons 1966, Aderman, et al. 1974 ほか)。

しかし、前述の通り、本研究では共感を、非人間的な対象へと拡張する必要があ

る。そこで、本研究における共感の測定には、心理学領域の測定方法ではなく、主

に実務的なマーケティング論において共感として扱われてきた概念の一つである

レレバンスを用いる5。同概念は英語圏における消費者行動研究では一般的に用い

られており、日本では「関連性」と訳される(阿久津 2011)。レレバンスは対象と

自己との関係の深さを表す概念であり、「実際的かつ社会的に合っていること」

(Coville 2014)と定義される。他方、恩蔵(2011)において同概念は「ブランド

の自分事化」と定義されており、当該ブランドを自分との関係の中で評価し、受容

することは共感と同義であるとしている6。

また、レレバンスは測定尺度が開発されている(図表 2)。同尺度は対象への認

知的要素と感情的要素を考慮した評価により構成されている。

図表 2 Coville & Brown(2014)のレレバンス尺度

認知的要素

感情的要素

自分が大切にしている価値観と深い関係がある

自分と同じものを支持している

これとかかわっている自分が好きだ

これとかかわっていることを、みんなに知ってほしい

自分のニーズを満たしてくれる

自分の暮らしを楽にしてくれる

万人受けはしないが、自分向けである

インスピレーションを与えてくれる

5 ニールセンが開発した広告効果測定指標「ADS@WORK」、電通が開発したブラ

ンド測定指標「Brandex」をはじめ、主に欧米の広告会社において、共感を測定す

るための指標として、レレバンスが頻繁に用いられている。 6 その他の例として、Aaker(2004, 2011)は同概念を、 顧客が感じる自らとブラ

ンドとの関連性、あるいは、顧客が意識的に必要としている製品カテゴリーやサブ

カテゴリーと当該ブランドとの関連性として扱っている。

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以上、(1)主に実務的なマーケティング論で共感として扱われていること、(2)

認知的要素と感情的要素を考慮しており、心理学研究における共感定義、ならびに、

本研究の共感定義と合致することなどの理由から、本研究における共感の測定には

レレバンスを使用する。

2.4 組織同一化

共感からブランドに対する直接的な作用は、管見の限り報告されていない。そこ

で本研究では、「組織同一化(organizational identification)」に注目する。同概念は

本研究で定義した共感を先行条件とし、組織同一化の結果として、対象への忠誠や

関与を増加させることが知られている(小玉、戸梶 2010)。以下、本節では、共感

からブランドへの作用の架橋として、組織同一化を使用することの妥当性を検討す

る。

組織同一化は社会心理学の「社会的同一性(social identity)7」(Tajfel 1978)に基

づいており、「その組織のメンバーであると自らが規定している組織との同一性、

またはその組織に所属しているという知覚(Mael & Ashforth 1992)」と定義される

(図表 3)。

図表 3 組織同一化の主な定義

Ashforth & Mael(1989) 「社会的同一性の特定の形態であり、組織との同一性の認識、も

しくは所属の認識」

Mael & Ashforth(1992) 「その組織のメンバーであると自らが規定している組織との同一

性、またはその組織に所属しているという知覚」

Dutton et al.(1994) 「成員が、組織を規定すると考える特性と同じ特性で自分自身を

規定する程度」

Edwards(2005) 「個人が自己を定義づける情緒的で認知的な組織との絆」

Edwards & Peccei

(2007)

「個人と組織の心理的なつながりであり、自己を定義づける情緒

的で認知的な組織との結びつき」

小玉(2011) 「個人が情緒的及び価値的な意味づけを伴って、組織の成員であ

るという認知を自己概念に統合するプロセス」

7 社会的アイデンティティとも表現される。社会的同一性は「ある社会集団の一員

であるという認識に基づく個人の自己概念の一部であり、集団成員であることが価

値的情緒的意義を伴うもの(Tajfel 1978)」と定義される。集団への実際的な所属で

はなく、あくまで、所属しているという知覚に基づいている。心理的な傾向性や、

個人的属性で記述される自己同一性に相当する「個人的同一性」の対となる概念で

ある。

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初期の研究において、社会的同一性は、個人と組織の関係性を表す心理的概念と

して、成員の職務態度及び行動の説明や予測に活用されてきた(Ashforth & Mael

1989, Dutton, Dukerich & Harquail 1994 ほか)。Edwards(2005)は、組織の目標や価

値が個人と一致することにより、組織に対する忠誠心や帰属意識が生じるといった

結果を報告している。他方、小玉、戸梶(2010)は、組織同一化のプロセスが組織

に所属することへのプライド、組織への忠誠や関与につながるとする見解を示して

いる。

また、近年マーケティング研究では、組織同一化を対象に幅広く概念拡張が行わ

れている(図表 4)。Algesheimer et al.(2005)、宮澤(2012)はブランド・コミュニ

ティ8を対象としたブランド・コミュニティ同一化を検討している。その他、

Bhattacharya & Sen(2003)は消費者による企業との同一化(consumer-company

identification)、Boyle & Magnusson(2007)はファンによるスポーツチームとの同一

化をそれぞれ検討している。本研究では同一化の適用範囲を組織からブランドに拡

張し、共感の結果としてのブランドへの同一化(以下、ブランド同一化とする)を

考える。

図表 4 組織同一化のマーケティング研究への応用

Bhattacharya & Sankar Sen(2003) 企業同一化(consumer-company identification)

Algesheimer et al. (2005)、

宮澤(2012)ほか ブランド・コミュニティ同一化

Boyle & Magnusson(2007) 社会的同一性―ブランド・エクイティモデル

2.5 ブランド・エクイティ

共感とブランドの関係を考察すべく、以下、ブランド・エクイティ概念を再確認

し、共感との関係について検討する。

Aaker(1991)は、ブランド・エクイティを「ブランド名やシンボルと結び付い

たブランド資産・負債の集合であり、製品のサービスの価値を増減させるもの」と

定義しており、その構成要素として、①ブランド・ロイヤルティ、②ブランド認知、

③知覚品質、④ブランド連想、⑤その他無形資産(特許、商標権など)を挙げてい

る(図表 5)。一方、Keller(1998)は、「あるブランドのマーケティング活動に対

する消費者の反応に、ブランド知識が及ぼす効果の差異」と定義される顧客ベース

のブランド・エクイティ(customer-based brand equity)を提唱している(図表 6)。

なお、ここでのブランド知識は、ブランド認知とブランド・イメージの 2 つの下位

尺度により構成されている(ブランド・イメージは Aaker 1991 のブランド連想と

対応する)。

8 ブランド・コミュニティは「ある特定のブランド化された商品を囲んだコミュニ

ティ(Muniz & O’Guinn 2001)」と定義される。

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図表 5 Aaker(1991)によるブランド・エクイティの定義と構成要素

定義

「ブランド名やシンボルと結び付いたブランド資産・負債の集合であり、製品のサービスの

価値を増減させるもの」

構成要素

ブランド・

ロイヤルティ

「顧客がブランドに対して持つ執着心の測度」

ブランド認知 「あるブランドがある製品カテゴリーに明確に属していることを、潜

在的購買者が認識あるいは想起することができるということ」

知覚品質 「ある製品またはサービスの意図された目的に関して代替品と比べ

た、全体的な品質ないし優位性についての顧客の知覚」

ブランド連想 「ブランドに関する記憶と関連しているすべてのこと」

その他無形資産 特許や商標権などの法制度や、トレードマーク、チャネル関係など

の無形資産

図表 6 Keller(1998)によるブランド・エクイティの定義と構成要素

定義

「あるブランドのマーケティング活動に対する消費者の反応に、ブランド知識が及ぼす効果

の差異」

構成要素

ブランド知識

「消費者が長期にわたる経験を通じ、そのブランドについて見聞き

し、感じ、知ってきたもの」

※ブランド認知とブランド・イメージにより構成される

ブランド認知 「記憶の中のブランド・ノードや記憶の痕跡の強さに関わるもので、

異なる状況の下でもブランドを識別できる消費者の能力」

ブランド・イメージ 「消費者のブランドについての知覚であり、消費者の記憶内にあるブ

ランド連想を反映したもの」

また、Keller(2003)は顧客のブランド知識構造を、他ブランドとの差別化の源

泉とする「Brand Building Block」を提唱している。同モデルでは、理性と感情の二

つのルートを経て段階的にブランド構築がなされると考え、ブランド活動の最終到

達地点として、消費者とブランドの「レゾナンス(resonance)」(顧客とブランドの

関係の性質及び顧客がブランドと「共鳴・共感している」と感じる程度)の構築を

仮定している。同モデルに従えば、共感の生起こそが現代のブランド活動の目標で

あると解釈される。これより、共感の生起がどのように強力なブランド構築に影響

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3

を与えるのか

仮説

以上の先行

ド・エクイテ

仮説として

のブランド

仮説 1 消

仮説 2 ブ

と考える。

また、本研

エクイティの

仮説 3 ブ

仮説 4 ブ

仮説 5 ブ

仮説 6 ブ

と考える。

仮説 3 は、

る Aaker(1

経て、ブラ

か、そのメ

行研究を踏

ティの各要

図表

て、「共感の

・エクイテ

消費者がブ

ブランド同

知覚品質が

研究では、

の向上によ

ブランド認

を与える、

ブランド認

ブランド・

ブランド・

、知名・知

991)、青木

ンド・ロイ

メカニズムの

踏まえ、本研

要素へと影響

表 7 共感‐

の生起がブ

ティの諸要素

ブランドに共

同一化によ

が向上する

ブランド

より購買意向

認知・連想、

認知・連想の

エクイテ

ロイヤルテ

知覚品質・ブ

木(1995)、

イヤルティ

10

の実証的な

研究では、

響を与える

ブランド・

ブランドへ

素に影響を

共感するこ

り、ブラン

・エクイテ

向・他者推

、知覚品質

の向上は知

ィの各要素

ティの増加

ブランド連

ならびに

を増加させ

0

な解明が期待

共感がブラ

るとするモデ

エクイティ

の同一化を

を与える」

ことで、ブ

ド・ロイヤ

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推奨が高ま

質の向上はブ

知覚品質に影

素の向上は購

加は他者推奨

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、高品質で

せるとする

待される。

ランド同一

デルを提案

の仮説モデル

をもたらし

を提案する

ランド同一

ヤルティ、ブ

互作用、な

ると考えた

ブランド・

影響を与え

購買意向の

奨につなが

ンド・ロイ

であるとい

Oliver(19

一化を経由し

案する(図

、ロイヤル

る。具体的

一化が生じ

ブランド認知

ならびに、ブ

た。具体的

ロイヤルテ

える、

の向上につ

がる

ヤルティの

う認識が顧

997)を根

し、ブラン

表 7)。

ルティなど

には、

る、

知・連想、

ブランド・

には、

ティに影響

ながる、

の基盤とす

顧客満足を

拠とする。

Page 11: ブランドに対する共感がブランド・エクイティに与 …c-faculty.chuo-u.ac.jp/~kumakura/kumakura/PDF/BPaper/...1 ブランドに対する共感がブランド・エクイティに与える影響

11

仮説 4 は、ブランド認知・連想を知覚品質の前提とする Levidge & Steiner (1961)

を根拠とする。仮説 5 は、「認知されているブランドは未知のブランドよりも選択

されることが多い」、「多くのコンテクストにおいて、あるブランドの知覚品質は中

心的な購入理由となる」、「ブランド・ロイヤルティは将来の販売に直接影響する」

とする Aaker(1991)を根拠とする。仮説 6 は、井上(2008)による「ブランド・

ロイヤルティが形成された結果、ポジティブな口コミや他者推奨が行われることは

多くの研究で証明されている(一例として、Gounaris & Stathakopoulos 2004)」を根

拠とする。

4 データと方法

本研究では、レレバンス、ブランド同一化、ブランド・エクイティの各要素、購

買意向、他者推奨の各変数間の関係と、それらを測定する質問項目の妥当性を検証

するために、質問紙法による予備調査を行った(4.1)。その後、モデル全体の検証

をすべく、Web 調査による本調査を実施した(4.2)。

調査の内容は、当該ブランド製品の購買、使用頻度、共感の程度、同一化の程度、

ブランド・エクイティの 4 要素(Aaker 1991 における⑤その他無形資産を除外)に

対する評価9、購買意向、他者推奨とした。また、質問項目は、Coville(2014)の

レレバンス尺度(図表 2)、小玉(2011)の組織同一化尺度(図表 8)、Yoo & Donthu

(2001)のブランド・エクイティ尺度(図表 9)を参考に設計した。なお、各変数

の定義は図表 10 に示す通りである。

図表 8 小玉(2011)の組織同一化尺度

この会社にいることは私のイメージを高める大きな要因だ

その企業の従業員なんだと実感することが多い

その組織らしい人だと言われるととても嬉しい

この会社の目標は私が目指している目標と同じだ

わたしとこの企業との間には強い絆がある

この企業が成功すると自分のことのように嬉しい

9 本研究では、Yoo & Donthu(2001)によるブランド・エクイティ尺度、ならびに

Keller(1998)における顧客ベースのブランド・エクイティのブランド知識の概念

に基づき、ブランド認知とブランド連想をブランド認知・連想として統合する。

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12

図表 9 Yoo & Donthu(2001)のブランド・エクイティ尺度

(カッコ内にはブランド名が入る)

ブランド・

ロイヤルティ

I consider myself to be loyal to ( ).

( ) would be my first choice.

I will not to buy other brand if ( ) is available at the store.

知覚品質 The likely quality of ( ) is extremely high.

The likelihood that ( ) would be functional is very high.

ブランド認知・連想

I can recognize ( ) among other competing brands.

I am aware of ( ).

Some characteristics of ( ) come to my mind quickly.

I am quickly recall the symbol or logo of ( ).

I have difficulty in imaging ( ) in my mind.(逆転項目)

図表 10 変数の定義

変数 定義

レレバンス 対象を、自らと関連性があるものとして受容する程度(参考:恩蔵 2011,

Coville 2014)

ブランド同一化当該ブランドとの同一性、もしくはそこに所属しているという消費者自身

の認識(参考:Mael & Ashforth 1992, Algesheimer 2005)

ブランド・

ロイヤルティ

顧客がブランドに対して持つ執着心の測度(Aaker 1991)

知覚品質 ある製品またはサービスの意図された目的に関して代替品と比べた、全体

的な品質ないし優位性についての顧客の知覚(Aaker 1991)

認知・連想

消費者の当該ブランドの識別能力、およびブランドに関する記憶と結びつ

く全ての要素によって構成される、ブランドに対する知識(参考:Aaker

1991, Keller 1998)

購買意向 当該ブランド製品の購買に際しての心理的な準備段階(参考:

Bhattacharya & Sen 2003)

他者推奨 当該ブランド製品の良さや魅力を、他者に伝達する程度(参考:井上 2008)

本調査における対象ブランドには、情緒的なプロモーション戦略により、顧客と

の強力な関係構築に成功している、スポーツブランド世界シェア首位の Nike(以

下ナイキとする)を用いた。また、被験者による、ブランドのビジョンや目標の確

認を補助するため、調査の冒頭でナイキのブランド目標と企業プロフィールを提示

した(図表 11)。

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13

図表 11 ナイキのブランド目標と企業プロフィール

ブランド目標

「BRING INSPIRATION AND INNOVATION TO EVERY ATHLETE* IN THE WORLD」

*IF YOU HAVE A BODY, YOU ARE AN ATHLETE

ブランド目標【日本語訳】

我々のミッション、それは全世界の全てのアスリートにインスピレーションと革新をもたらす

こと。体さえあれば、あなたもまたアスリートです。

企業プロフィール

ナイキは創造の文化を育みます。我々は今日のアスリートのために製品・サービス・経験を創

出し、同時に、次世代のために課題の解決策を探求しています。

出典:The official corporate web site for Nike, Inc.(http://about.nike.com/)より翻訳

4.1 予備調査の方法

2015 年 11 月 16 日に中央大学の学生を対象に質問紙調査(図表 12)を実施し、

87 名(ナイキの使用経験がある有効回答 77 名)より、スポーツブランドのナイキ

に対する評価を 5 ポイントリッカート尺度により収集した。そして、レレバンス、

ブランド同一化、ブランド・ロイヤルティ、知覚品質、認知・連想、購買意向、他

者推奨の各質問項目の評価を変数ごとに合計し、仮説に基づき、重回帰分析を行っ

た。

4.2 本調査の方法

2015 年 11 月 20 日から 11 月 21 日にかけて、ネットリサーチ会社の株式会社マ

クロミルによる協力のもと、インターネット調査(図表 12)を実施し、10 代から

60 代までの各年代男女に均等に割り付けられた 210 名(10 代男女、20 代男女、30

代男女、40 代男女、50 代男女、60 代男女の各属性から 21 名を抽出)より、スポ

ーツブランドのナイキに対する評価を得た。

なお、本調査に先駆けて行った予備調査において、複数の質問項目で床効果が見

受けられた。サンプルの内、対象ブランドであるナイキ製品の使用者・購買者の出

現率が低かったことが原因であると判断し、本調査では対象者を「半年以内の使

用・購買者」に限定した。そして、各項目の床効果への対策として、次の本調査で

は 7 ポイントリッカート尺度を用いた。そして、調査により得られたデータを、共

分散構造分析のモデルに当てはめた。

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14

図表 12 変数と質問項目

変数 質問項目

レレバンス ナイキはわたしのニーズ(求めているもの)を満たしてくれる(R1)

ナイキはわたしの暮らしを豊かにしてくれる(R2)

ナイキの製品・サービスは自分向けである(R3)

ナイキはインスピレーションを与えてくれる(R4)

ナイキを愛用している自分が好きだ(R5)

ナイキを愛用していることを、みんなに知ってほしい(R6)

ナイキは自分と同じものを支持している(R7)

ナイキの価値観は自分の価値観と深い関係がある(R8)

ブランド同一化 ナイキを使用することは、イメージを高める大きな要因だ(I1)

「わたしはナイキユーザーだ」と実感することが多い(I2)

「あなたはナイキにふさわしい人だね」と言われたらうれしい(I3)

ナイキが目指しているものは、わたしが目指しているものと一致する(I4)

わたしとナイキとの間には強い絆がある(I5)

ナイキの成功は自分のことのようにうれしい(I6)

ブランド・

ロイヤルティ

わたしはナイキをひいきにしている(BR1)

スポーツブランド製品を購入する際、ナイキは 初に検討する選択肢とな

るだろう(BR2)

ナイキの製品が入手できるならば、他のスポーツブランドの製品は選択し

ないだろう(BR3)

知覚品質 ナイキの製品のクオリティは極めて高い(PQ1)

ナイキの製品は機能的に優れている可能性が高い(PQ2)

ブランド認知

・連想

わたしはナイキを他のスポーツブランドから区別できる(BA1)

わたしはナイキのことをよく知っている(BA2)

ナイキのことを考えると、すぐにその特徴が思い浮かぶ(BA3)

ナイキのシンボルやロゴをすぐに思い出すことができる(BA4)

ナイキのことを想像するのは難しい(逆転項目)(BA5)

購買意向 ナイキの製品を購入したい(BI1)

再びナイキの製品を購入したい(BI2)

ナイキの新製品が発売されたらすぐに試してみたい(BI3)

他者推奨 友人や知人に対してナイキのことを好意的に話す(r1)

ナイキの製品を使用するよう知人にすすめたい(r2)

ナイキの製品を使用するよう知人にすすめたことがある(r3)

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5

5.

結果

予備調査に

計点を算出

り収集したデ

.1 予備調

予備調査の

他方、ブラン

的に支持され

仮説 6 は支

予備調査の各

それぞれ記載

変数

レレバンス ブランド同一

ブランド・ ロイヤルティ

知覚品質 認知・連想 購買意向 他者推奨

においては

し、重回帰

データを観

調査結果

の結果、共

ンド同一化

れた。その

持された

各質問項目

載した。

一化

図表 1

は、質問紙調

帰分析を行っ

観測変数と

共感をブラ

化がブランド

の他、仮説

(図表 14、

目の平均と標

図表

問項目数

863

2533

4 共感‐ブ

15

調査により

った。本調

し、共分散

ンド同一化

ド・エクイ

3 は棄却、

15)。なお

標準偏差、

表 13 予備調

平均値

2.6461.8872.182

3.5973.3772.8052.087

ブランド・エ

5

収集したデ

調査において

散構造分析

化の先行要

ティへ影響

仮説 4 は

お、予備調査

変数ごとの

調査基本統計

度数

777777

77777777

エクイティモ

データを基

ては、イン

のモデルに

因とする仮

響を与える

支持、仮説

査の基本統

の平均は補

計量 標準偏差

1.152 1.013 1.144

0.833 1.327 1.166 1.074

モデル 予備

基に、各変数

ンターネット

に当てはめ

仮説 1 は支

とする仮説

説 5 は部分

統計量は図表

補足資料の図

クロンバ

備調査

数ごとの合

ト調査によ

支持された。

説 2 は部分

分的に支持、

表 13 に、

図表 26 に、

バックの α0.8960.8860.744

0.8380.7530.8320.865

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16

図表 15 予備調査 重回帰分析結果

レレバンスからブランド同一化への影響

被説明変数 ブランド

同一化

非標準化係数 標準化係数 t 値

説明変数 レレバンス 0.581 0.798 11.476**

調整済み R² 0.632

F 値 131.708**

**=1% *=5%

ブランド同一化、認知・連想、知覚品質からブランド・ロイヤルティへの影響

被説明変数 ブランド・

ロイヤルティ

非標準化係数 標準化係数 t 値

説明変数

ブランド

同一化

0.346 0.625 6.816**

認知・連想 0.066 0.094 0.982

知覚品質 0.064 0.038 0.404

調整済み R² 0.425

F 値 19.742**

**=1% *=5%

ブランド同一化、認知・連想から知覚品質への影響

被説明変数 知覚品質 非標準化係数 標準化係数 t 値

説明変数

ブランド

同一化

0.046 0.139 1.249

認知・連想 0.140 0.337 3.033**

調整済み R² 0.137

F 値 7.017**

**=1% *=5%

ブランド同一化から認知・連想への影響

被説明変数 認知・連想 非標準化係数 標準化係数 t 値

説明変数 ブランド

同一化

0.226 0.284 2.561*

調整済み R² 0.068

F 値 6.559*

**=1% *=5%

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17

ブランド・ロイヤルティ、認知・連想、知覚品質から購買意向への影響

被説明変数 購買意向 非標準化係数 標準化係数 t 値

説明変数

ブランド・

ロイヤルティ

0.695 0.696 8.095**

認知・連想 -0.044 -0.063 -0.698

知覚品質 0.217 0.130 1.460

調整済み R² 0.493

F 値 25.638**

**=1% *=5%

ブランド・ロイヤルティから他者推奨への影響

被説明変数 他者推奨 非標準化係数 標準化係数 t 値

説明変数 ブランド・

ロイヤルティ

0.773 0.712 8.783**

調整済み R² 0.500

F 値 77.138**

**=1% *=5%

5.2 本調査結果

5.2.1 初期モデル

本調査により収集したデータを観測変数とし、共分散構造分析のモデルに当ては

めた(図表 17)。なお、本調査の基本統計量は図表 16 に、本調査の各質問項目の

平均と標準偏差、変数ごとの平均は補足資料の図表 27 に、それぞれ記載した。

共分散構造分析による初期モデルの適合度は、χ2 = 899.734、p < 0.01、GFI = 0.774、

AGFI = 0.728、CFI = 0.898、RMSEA = 0.094 であった(図表 18)。

図表 16 本調査基本統計量 変数 質問項目数 平均値 度数 標準偏差 クロンバックの α

レレバンス 8 4.562 210 1.378 0.945

ブランド同一化 6 4.331 210 1.418 0.934

ブランド・ ロイヤルティ

3 4.592 210 1.531 0.895

知覚品質 2 5.131 210 1.238 0.835

認知・連想 3 4.514 210 1.414 0.873

購買意向 2 5.340 210 1.179 0.860

他者推奨 3 4.446 210 1.527 0.902

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説明変数

レレバンス

ブランド同一

ブランド同一

ブランド同一

ブランド認知

ブランド認知

知覚品質

ブランド認知

知覚品質

ブランド・ロ

ブランド・ロ

適合度指標

なお本研究

図表

一化

一化

一化

知・連想

知・連想

知・連想

ロイヤルティ

ロイヤルティ

χ²

有意確率

GFI

AGFI

CFI

RMSEA

究では、豊

表 17 共感‐

図表 18 共分

豊田(2007、

18

‐ブランド・

分散構造分析

被説明変

ブランド

ブランド

知覚品質

ブランド

知覚品質

ブランド

ブランド

購買意向

購買意向

購買意向

他者推奨

2015)に

8

エクイティ

析推定結果

変数

ド同一化

ド認知・連想

ド・ロイヤル

ド・ロイヤル

ド・ロイヤル

よる基準(

ブランド・エクイ

初期モデ

初期モデル

ティ

ティ

ティ

899.734

p < 0.01

0.774

0.728

0.898

0.094

(GFI、AGF

イティ

デル

係数

*

FI ≥ 0.9、CF

(推定値)

0.809**

0.933**

-0.221

0.338**

1.067**

0.444*

0.228**

-0.386

0.691**

0.633*

0.911**

**=1% *=5%

FI ≥ 0.95、

%

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19

RMSEA ≤ 0.05 または 0.1)に従いモデルの適合度を評価する10。同基準によれば、

初期モデルでは、CFI、RMSEA においてはまずまずの値が得られたが、GFI、AGFI

は低水準の値が示されたと言える。直ちに棄却すべきではないものの、モデルを採

択することができる基準には満たないため、モデルの改良を試みた。

5.2.2 アイテムパーセリング

モデルの改良のため、数多くの観測変数から構成される概念である「レレバンス」

と「ブランド同一化」に対し、アイテムパーセリング(小包化)を行った。アイテ

ムパーセリングとは、複数の観測変数についてオブザベーションごとに和や平均を

算出し、新たな観測変数を作成することであり、これによりモデルの適合度や母数

の推定値の安定性が向上する(豊田、川端 2009)。また、パーセリングが適用され

る観測変数には、それらが 1 つの構成概念を測定しているという前提が必要となる

ため、両構成概念に対して因子分析を行った。分析の結果、レレバンス、ブランド

同一化共に一因子構造、かつ全観測変数の共通性が 0.5 以上であった(図表 19、20)。

図表 19 因子分析 共通性 レレバンス

R1 R2 R3 R4 R5 R6 R7 R8

0.523 0.712 0.613 0.683 0.725 0.744 0.724 0.754

図表 20 因子分析 共通性 ブランド同一化

I1 I2 I3 I4 I5 I6

0.634 0.688 0.630 0.624 0.697 0.709

パーセリングに際しては三保(2010)をもとに奇遇法を採用し、因子パターンの

値の高い順に、奇数番目と偶数番目に分類し、それらを下位尺度として 2 つの小包

とした。パーセリングの結果、レレバンスの観測値はレレバンス小包 1(R3+R5+R6

+R7)とレレバンス小包 2(R1+R2+R4+R8)の 2 つに、ブランド同一化の観測値

はブランド同一化小包 1(R9+R13+R14)とブランド同一化小包 2(R10+R11+R12)

の 2 つに集約された(図表 12、21、22)。

10 豊田(2007)は、適合度の評価について、RMSEA の値が 0.05 以下の時にモデル

の当てはまりが良く、0.1 以上の時に当てはまりが悪いとしている。なお、0.05 か

ら 0.1 の範囲の値は「グレーゾーン」として扱われる。

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5.

p

24

図表

R1(8)

0.722

図表 22

I1(5)

0.816

.2.3 改良

レレバンス

を行い、再び

< 0.01、GF

4)。GFI、A

全指標で値の

図表 24、

支持された。

る仮説 2 は、

の 2 つのパス

ブランド・ロ

21 因子負

R2(4)

0.846

2 因子負荷

I2(2

0.86

良モデル

スとブラン

びモデルを

FI = 0.876、

AGFI におい

の改善が見

図表

25 で示され

。他方、ブ

、ブランド

スのみ支持

ロイヤルテ

負荷量 レレバ

R3(7)

0.794

量 ブラン

2)

63 0

ンド同一化

を構築した

AGFI = 0

いて、豊田

見られたため

表 23 共感‐

れる通り、

ブランド同一

ド同一化から

持された。そ

ィ、知覚品

20

バンス (カ

R4(6)

0.825

ド同一化

I3(4)

0.817

の 2 つの構

(図表 23)

.826、CFI

(2007、20

め、図表 23

‐ブランド・

共感をブ

一化がブラ

らブランド

その他、仮

質から購買

ブラン

0

カッコ内の数

R5(5)

0.837

(カッコ内の

I4(6)

0.805

構成概念に

。改良モデ

= 0.961、R

015)の基準

3 のモデル

エクイティ

ランド同一

ンド・エク

ド・ロイヤル

仮説 3、仮説

買意向への

ンド・エクイティ

数値は因子負

R6(1)

0.870

の数値は因子

I5(3

0.86

についてア

デルの適合

RMSEA = 0

準に満たな

を本研究の

改良モデ

一化の先行

クイティへ

ルティ、ブ

説 4、仮説

2 つのパス

負荷量の順位

R7(3)

0.859

子負荷量の順

3)

60

イテムパー

合度は、χ2 =

0.081 であっ

い値が示さ

の最終モデ

デル

要因とする

へと影響を与

ブランド認知

6 は支持、

スのみが支

位)

R8(2)

0.865

順位)

I6(1)

0.875

ーセリング

= 257.856、

った(図表

されたが、

デルとした。

る仮説 1 は

与えるとす

知・連想へ

仮説 5 は

支持された。

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説明変数

レレバンス

ブランド同一

ブランド同一

ブランド同一

ブランド認知

ブランド認知

知覚品質

ブランド認知

知覚品質

ブランド・ロ

ブランド・ロ

適合度指標

一化

一化

一化

知・連想

知・連想

知・連想

ロイヤルティ

ロイヤルティ

χ²

有意確率

GFI

AGFI

CFI

RMSEA

図表 24 共分

図表 25 共感

21

分散構造分析

被説明変

ブランド

ブランド

知覚品質

ブランド

知覚品質

ブランド

ブランド

購買意向

購買意向

購買意向

他者推奨

感‐ブラン

1

析推定結果

変数

ド同一化

ド認知・連想

ド・ロイヤル

ド・ロイヤル

ド・ロイヤル

ド・エクイテ

改良モデル

ティ

ティ

ティ

257.856

p < 0.01

0.876

0.826

0.961

0.081

ティモデル

係数

*

(推定値)

0.963**

0.910**

-0.072

0.290**

0.899**

0.503**

0.213*

-0.345

0.663**

0.610*

0.893**

**=1% *=5%%

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22

6 考察

共感の生起がブランドへの同一化をもたらし、ブランド・ロイヤルティなどのブ

ランド・エクイティの諸要素に影響を与えるとする仮説は概ね支持された。ただし、

ブランド同一化はブランド認知・連想、ブランド・ロイヤルティに寄与するものの、

知覚品質に対する寄与は観察できなかった。Bhattacharya & Sen(2003)が提唱する

企業同一化(consumer-company identification)の結果として、企業へのクレーム行

動が示されているように、自らを対象の内集団であるとみなすことで、かえって品

質に対する評価に厳しい目が向けられるのではないか。さらに、ブランド認知・連

想から購買意向への寄与も観察できなかった。これは、ブランド認知、またはブラ

ンドのイメージだけでは購買を喚起しないとする広告研究における議論とも整合

する。

近年、ブランド・コミュニティや会員組織の構築、ブランド・ビジョンや開発背

景の説明などにより、共感を喚起しようとマーケティング活動が盛んになってきて

いる。本研究における知見によれば、そうした試みは、ブランド・エクイティの向

上に大いに貢献する。ただし、このとき、共感とブランド態度を架橋する同一化が

重要であることに注意したい。単に共感を生起するだけでなく、自らをブランドの

一員であると知覚するブランド同一化を生じさせることで、より効果的にブラン

ド・エクイティを向上させることができると言える。

本節の最後に実務的な示唆の導出を試みる。本研究のモデルに従えば、顧客との

関係構築の起点として共感が有効である。具体的には、自社製品・ブランドの品質

に対するこだわりや、製品開発の背景、生産者側の思いなどをパッケージングや広

告、店頭での人的販売において訴求することで、消費者の自社ブランドに対する共

感を促す。そして、ブランドに対して共感している消費者に対し、公式的な会員組

織や、ネット上のコミュニティ、消費者参加型のキャンペーン、消費者を製品開発

プロセスに巻き込む双方向のコミュニケーションの場などを提示することで、ブラ

ンド同一化を促進する。これらの一連の過程により、ブランド・ロイヤルティ、ブ

ランド認知・連想が向上し、自社ブランド製品の購買や他者への推奨などの望まし

い反応が期待できる。

なお、ブランド・エクイティの諸要素は、相互に影響を与えていることにも注意

が必要である。ブランド認知・連想は直接的には購買に結びつかないものの、知覚

品質やブランド・ロイヤルティの基盤となる。また、知覚品質は直接購買に結びつ

くだけでなく、ブランド・ロイヤルティに対しても作用する。しかし、知覚品質は

ブランド同一化から直接的な作用が報告されていないため、製品・ブランドの品質

の維持・改良、ブランド認知・連想の向上によって管理する必要がある。

7 おわりに

近年、マーケティング研究において共感が注目されているものの、先行研究にお

いて、共感は明確には定義されてこなかった。そこで、本研究においては、心理学

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23

研究に依拠して、共感を「対象の心的状況や主義主張に対する認知的理解と、それ

に伴い生じる情緒的反応」と定義した後、共感とマーケティング諸概念との関係を

考察した。具体的には、共感がブランド・エクイティに与える影響を検討した。こ

のとき、共感を先行要因とし、結果として対象への忠誠や好意を向上させる組織同

一化を応用し、共感とブランド・エクイティを架橋する概念としてブランド同一化

を示した。

本研究では、「共感-ブランド・エクイティ」モデルを提案した。すなわち、共

感が(ブランド同一化を経由して)ブランド・エクイティの各要素に影響を与える

こと、さらに、購買意向・他者推奨に影響を与えることを考えた。そして、予備調

査と本調査から得られた消費者データを用いて、重回帰分析および共分散構造分析

により仮説を検討した。これにより、消費者のブランドに対する共感は、ブランド・

エクイティ構築に有益であることを示した。

今後の課題として、まず、モデルの改良が挙げられる。最終モデルの適合度は、

先行研究が示す目安を僅かに下回った(たとえば、豊田 2007、2015 は、適合度の

目安として、GFI、AGFI ≥ 0.9、CFI ≥ 0.95、RMSEA ≤ 0.1 を提案している)。今後は、

適合度の改善に向け、理論の精緻化、質問項目の改良、大サンプルによるデータ収

集などを図りたい。たとえば、組織同一化尺度を基礎とした質問項目を、ブランド

同一化に適した質問項目へと改良することなどである。

次に、たとえば、耐久消費財と非耐久消費財、最寄品と買回品、製品とサービス

などについて比較することにより、提案モデルの一般化を目指したい。

さらに、共感の先行条件を明らかにすることにより、共感研究のさらなる精緻化

を図りたい。たとえば、近年、心理学において、①自らと対象との類似性が共感に

与える影響(Mann 1969 ほか)、②異なる心理状態にある人間間における共感の発

生の程度(「共感ギャップ(hot-to-cold empathy gap)」、Van & Loewenstein 2005 ほか)、

③対象の規模(国や地域などの大規模集団と個人など)が共感に与える影響(Small

et al.2007 など)などが議論されている。これらの知見を提案モデルに統合するこ

とにより、ブランド構築プロセスをより包括的に検討することが可能となる。そし

て、マーケティング実務においても、共感およびブランド同一化のさらなる促進を

実現できる。

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補足資料

図表 26 予備調査質問項目 1-1.使用経験 1-2.購入経験(自らの使用を目的としたもの) 2-1.使用頻度 2-2.購買頻度 3.ブランドに対する評価(1.全く当てはまらない)⇔(5.非常に当てはまる)

変数 質問項目 平均 標準偏差

レレバンス ナイキはわたしのニーズ(求めているもの)を満た

してくれる(R1) 3.39 0.962

ナイキはわたしの暮らしを豊かにしてくれる(R2) 3.26 1.093

ナイキの製品・サービスは自分向けである(R3) 2.70 1.001

ナイキはインスピレーションを与えてくれる(R4) 2.78 1.231

ナイキを愛用している自分が好きだ(R5) 2.52 1.188

ナイキを愛用していることを、みんなに知ってほし

い(R6) 2.06 1.017

ナイキは自分と同じものを支持している(R7) 2.40 1.016

ナイキの価値観は自分の価値観と深い関係がある

(R8) 2.05 0.944

ブランド同一化 ナイキを使用することは、イメージを高める大きな

要因だ(I1)

2.45 1.231

「わたしはナイキユーザーだ」と実感することが多

い(I2)

1.73 0.898

「あなたはナイキにふさわしい人だね」と言われた

らうれしい(I3)

1.95 1.146

ナイキが目指しているものは、わたしが目指してい

るものと一致する(I4)

1.91 0.830

わたしとナイキとの間には強い絆がある(I5) 1.61 0.830

ナイキの成功は自分のことのようにうれしい(I6) 1.68 0.865

ブランド・

ロイヤルティ

わたしはナイキをひいきにしている(BR1) 2.14 1.022

スポーツブランド製品を購入する際、ナイキは 初

に検討する選択肢となるだろう(BR2)

2.73 1.324

ナイキの製品が入手できるならば、他のスポーツブ

ランドの製品は選択しないだろう(BR3)

1.68 0.785

知覚品質 ナイキの製品のクオリティは極めて高い(PQ1) 3.57 0.802

ナイキの製品は機能的に優れている可能性が高い

(PQ2)

3.62 0.874

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ブランド

認知・連想

わたしはナイキを他のスポーツブランドから区別

できる(BA1)

3.30 1.298

わたしはナイキのことをよく知っている(BA2) 2.22 0.995

ナイキのことを考えると、すぐにその特徴が思い浮

かぶ(BA3)

2.90 1.242

※ナイキのシンボルやロゴをすぐに思い出すこと

ができる(BA4)

4.60 0.674

ナイキのことを想像するのは難しい(逆転項目)

(BA5)

3.87 0.951

購買意向 ナイキの製品を購入したい(BI1) 3.19 0.974

再びナイキの製品を購入したい(BI2) 3.27 0.982

ナイキの新製品が発売されたらすぐに試してみた

い(BI3)

1.95 1.050

他者推奨 友人や知人に対してナイキのことを好意的に話す

(r1)

2.30 1.101

ナイキの製品を使用するよう知人にすすめたい

(r2)

2.14 1.073

ナイキの製品を使用するよう知人にすすめたこと

がある(r3)

1.82 1.010

※天井効果が見受けられ、なおかつクロンバックの αを下げる項目であるため、本調査の質問

票より削除した。

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図表 27 本調査質問項目 1.使用頻度 2.購買頻度 3.ブランドに対する評価(1.全く当てはまらない)⇔(7.非常に当てはまる)

変数 質問項目 平均 標準偏差

レレバンス ナイキはわたしのニーズ(求めているもの)を満た

してくれる(R1) 4.85 1.320

ナイキはわたしの暮らしを豊かにしてくれる(R2) 4.80 1.255

ナイキの製品・サービスは自分向けである(R3) 4.71 1.270

ナイキはインスピレーションを与えてくれる(R4) 4.45 1.345

ナイキを愛用している自分が好きだ(R5) 4.79 1.392

ナイキを愛用していることを、みんなに知ってほし

い(R6) 4.25 1.552

ナイキは自分と同じものを支持している(R7) 4.30 1.362

ナイキの価値観は自分の価値観と深い関係が ある(R8)

4.34 1.371

ブランド同一化 ナイキを使用することは、イメージを高める大きな

要因だ(I1)

4.69 1.329

「わたしはナイキユーザーだ」と実感することが多

い(I2)

4.32 1.509

「あなたはナイキにふさわしい人だね」と言われた

らうれしい(I3)

4.41 1.472

ナイキが目指しているものは、わたしが目指してい

るものと一致する(I4)

4.29 1.310

わたしとナイキとの間には強い絆がある(I5) 4.03 1.390

ナイキの成功は自分のことのようにうれしい(I6) 4.25 1.423

ブランド・

ロイヤルティ

わたしはナイキをひいきにしている(BR1) 4.69 1.511

スポーツブランド製品を購入する際、ナイキは 初

に検討する選択肢となるだろう(BR2)

4.94 1.428

ナイキの製品が入手できるならば、他のスポーツブ

ランドの製品は選択しないだろう(BR3)

4.15 1.554

知覚品質 ナイキの製品のクオリティは極めて高い(PQ1) 5.19 1.195

ナイキの製品は機能的に優れている可能性が高い

(PQ2)

5.07 1.283

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ブランド

認知・連想

わたしはナイキを他のスポーツブランドから区別で

きる(BA1)

4.83 1.444

わたしはナイキのことをよく知っている(BA2) 4.20 1.397

ナイキのことを考えると、すぐにその特徴が思い浮

かぶ(BA3)

4.51 1.339

※ナイキのことを想像するのは難しい(逆転項目)

(BA4)

4.17 1.397

購買意向 ナイキの製品を購入したい(BI1) 5.27 1.229

再びナイキの製品を購入したい(BI2) 5.41 1.130

※ナイキの新製品が発売されたらすぐに試してみた

い(BI3)

4.14 1.546

他者推奨 友人や知人に対してナイキのことを好意的に話す

(r1)

4.60 1.455

ナイキの製品を使用するよう知人にすすめたい(r2) 4.42 1.399

ナイキの製品を使用するよう知人にすすめたことが

ある(r3)

4.32 1.708

※クロンバックの αを下げる項目であるため削除した。

※ナイキ製品の使用・購入経験者のみを調査対象とするために、本調査に先駆けてスクリーニ

ングを行った。アディダス(adidas)、アシックス(asics)、カッパ(Kappa)、ナイキ(Nike)、

プーマ(Puma)5 ブランドそれぞれに対して回答を収集し、ナイキを(1)半年以内に使用、

かつ(2)半年以内に購入経験ありと回答した被験者のみを本調査の対象とした。