レポート作成と文書作成ソフトの機能(2)...

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2019 年度 情報リテラシー(第5回)2018/05/20 情リテ -1 レポート作成と文書作成ソフトの機能(2) (複数ページの資料作成) 概要 この回では,文書作成ソフトを用いた複数ページに渡る文書作成において,有用とされる機能について解説する.主に文 書構造を示すための「見出し」「ページ」の設定を「スタイル」という機能を用いて実施する. 1. 課題の確認 作成する文書︓A4 複数ページの文書 利用するソフトウェア︓Microsoft Word 1.1. 演習の内容 大学で作成するレポートは,1ページで完結させるのが一般的である.しかし,ゼミ等で作成する報 告書,卒業論文では複数ページで作成される場合がある. 実際にビジネス等で作成する報告書は,1ページで完結することはほとんどなく,「見出し」によっ て文書構造を設計して,報告内容をまとめる.ここで,見やすい構造とするために「章」「節」などの 見出しが設定された,読み手が理解しやすいレイアウトが求められる. 1.2. 文書ファイルの準備 長文テキストのレイアウト練習のために,著作権切れの小説データを利用する.ここでは青空文庫 1 で公開されている「銀河鉄道の夜(宮沢賢治:一部抜粋)」をダミーテキストとして利用する. なお青空文庫には「人間失格」や「舞姫」など著名な文学が公開されているので,利用を勧める. 2. 演習 2.1. 表紙の作成 「タイトル」「著者」を記載した表紙を作成する.ここでは,通常の「フォント設定」「書式設定」 を利用して,適宜レイアウトを行う. まず,目次の下に改行を一つ入れ,[挿入]タブの[ページ]にある[ページ区切り]をクリックす る.すると,カーソルがあった場所を最後に次のページへカーソルが飛ばされる. [ページ]には,[表紙]というコマンドもあるが,特に凝ったデザインをする必要がなければ,利 用しない. ページ設定 1 http://www.aozora.gr.jp/

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Page 1: レポート作成と文書作成ソフトの機能(2) (複数ページの資料作成…literacy/data/paper/050_literacy.pdf · アウトラインの作成 ここでは,[アウトライン]の設定を行う.[アウトライン]は,段落番号と同様に連番を振る機能

2019年度 情報リテラシー(第5回)2018/05/20

情リテ 5-1

レポート作成と文書作成ソフトの機能(2) (複数ページの資料作成)

概要 この回では,文書作成ソフトを用いた複数ページに渡る文書作成において,有用とされる機能について解説する.主に文書構造を示すための「見出し」「ページ」の設定を「スタイル」という機能を用いて実施する.

1. 課題の確認 作成する文書︓A4 複数ページの文書 利用するソフトウェア︓Microsoft Word

1.1. 演習の内容 大学で作成するレポートは,1ページで完結させるのが一般的である.しかし,ゼミ等で作成する報

告書,卒業論文では複数ページで作成される場合がある. 実際にビジネス等で作成する報告書は,1ページで完結することはほとんどなく,「見出し」によっ

て文書構造を設計して,報告内容をまとめる.ここで,見やすい構造とするために「章」「節」などの見出しが設定された,読み手が理解しやすいレイアウトが求められる.

1.2. 文書ファイルの準備 長文テキストのレイアウト練習のために,著作権切れの小説データを利用する.ここでは青空文庫 1

で公開されている「銀河鉄道の夜(宮沢賢治:一部抜粋)」をダミーテキストとして利用する. なお青空文庫には「人間失格」や「舞姫」など著名な文学が公開されているので,利用を勧める.

2. 演習

2.1. 表紙の作成 「タイトル」「著者」を記載した表紙を作成する.ここでは,通常の「フォント設定」「書式設定」

を利用して,適宜レイアウトを行う. まず,目次の下に改行を一つ入れ,[挿入]タブの[ページ]にある[ページ区切り]をクリックす

る.すると,カーソルがあった場所を最後に次のページへカーソルが飛ばされる. [ページ]には,[表紙]というコマンドもあるが,特に凝ったデザインをする必要がなければ,利

用しない.

ページ設定

1 http://www.aozora.gr.jp/

Page 2: レポート作成と文書作成ソフトの機能(2) (複数ページの資料作成…literacy/data/paper/050_literacy.pdf · アウトラインの作成 ここでは,[アウトライン]の設定を行う.[アウトライン]は,段落番号と同様に連番を振る機能

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通常であれば,ページ区切りを設定しても画面上には何も表示されない.ページ区切りを設定している箇所を明示したい場合は[ホーム]タブの[段落]にある[編集記号の表示非表示]をクリックする.

編集記号の表示・非表示と「改ページ記号」

2.2. アウトラインの作成 ここでは,[アウトライン]の設定を行う.[アウトライン]は,段落番号と同様に連番を振る機能

であるが,階層構造を持つ見出し(章,節など)を作成できる. 今回題材にしている小説には,階層が存在しないので,仮の形で見出しを作成する.2 ページ目にあ

る(Word の画面左下にページ番号と全体のページ数が記載されている)「午后の授業」の下に「見出し2(ダミー)」「見出し3(ダミー)」「見出し3´(ダミー)」「見出し2´(ダミー)」がある.これにアウトラインを設定する.

まず,「午后の授業」にカーソルを置き,[段落]メニューの[アウトライン]ボタンをクリックす

る.すると,サブメニューが表示されるため,[リストライブラリ]の 6つ目にある形式をクリックする. クリック後,カーソルのあった行に「第1章」という文字が追加される.次に[書式コピー]を利用

して,以下4行にも同じ書式を設定する.

[アウトライン]の設定

設定が終わると,「第5章」まで表示される.次に「見出し2」の頭にカーソルを置き,キーボードの[TAB]キー,もしくは[インデントを増やす]ボタンをクリックする.すると「第2章」が「第1節」に切り替わり,階層が構成される.Word 上に[ナビゲーションウィンドウ](左のウィンドウ)が表示されていると,文書構造が登録されていることを確認できる. 次に,「見出し3」「見出し3’」にカーソルを置き[インデントを増やす]を2回設定する.増やし

すぎた場合は,インデントを減らせばよい.最後に「見出し 2’」にインデントを1回設定する. このようにすれば,Word の機能として「章,節」などの文書構造を設定することができる.これは,

後に解説する「目次の設定」で役に立つ.

これは編集記号であり、文書印刷時には無視される。

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2.3. スタイルの登録 ここでは[スタイル]の登録方法を解説する.先に設定した[アウトライン]において,第 1 章に適

当なフォント設定を施す(例えば「明朝体」「太字」など).ここで設定したレイアウトを後の見出しにも利用することにする.このように繰り返し同じレイアウトを利用したい場合,[書式コピー]を利用せずに[スタイル]の登録によって作業を効率化できる.

スタイル設定

スタイルは,文書上で繰り返し用いられるレイアウト設定を登録し,適宜呼び出せる機能である.ここでは,いくつかの文書スタイルを作成して登録・利用してみる. まず,「見出し 1」を登録する.アウトラインを施したため,自動的に「見出し 1」の設定が存在す

るが,フォント設定などは登録されていない.これを登録するには,フォント設定を施した「午后の授業」にカーソルを置き,[スタイル]上の[見出し1]を右クリックする. 表示されたメニューから[選択箇所と一致するように…を更新する]をクリックする.

アウトラインの登録

すると,[アウトライン]の設定が更新され,設定したフォント設定などが登録される.一度登録すれば,同じレイアウトを施したい箇所に,簡単に設定できるようになる.

アウトラインの設定

次に,「活版所」「家」「ケンタウル祭の夜」「天気輪の柱」「北十字とプリオシン海岸」「鳥を捕る人」に同じ設定を施す 2.該当する行にカーソルを置き,先に設定した[スタイル]の[見出し1]をクリックすると,アウトラインやフォント設定を含めた,見出し1に登録されたレイアウトが設定される.

2 見出しの箇所は、フォント色を青色に設定している。

スタイルを右クリック

更新をクリック

登録されたスタイル

設定が反映される

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次に,本文の一字下げや,インデント設定を施したのちに,「本文01」へスタイルを登録する.登録したスタイルを用いて,本文の段落にレイアウトを設定せよ. 全ての段落に「本文01」3を設定したのち,一部段落のレイアウト(文字の大きさ,色,インデント

など)を設定し,スタイル「本文01」を更新せよ.すると,「本文01」が設定された全ての段落が,同じレイアウトに変更される.

【補足】ユーザ設定のアウトライン

アウトライン設定には,ユーザで新たに設定を作成することもできる.例として,「通常の段落設定」を「text00」,「セリフの箇所」を「speech」として登録する. まず,「ではみなさん…」の箇所の一行目に空白を入れて「1字下げ」,左右のインデントを[ページレ

イアウト]タブの[インデント]を利用し「左に1字,右に2字」に設定する. 次に,5行ほど下にある「ジョバンニさん…のでしょう.」のセリフにインデント「左に3字,右に3字」

を設定する. 以上でレイアウトが確定したので[スタイル]に登録する.通常の段落設定を施した箇所にカーソルを置

き,[ホーム]タブの[スタイル]設定において,下向き矢印に線が引かれている箇所をクリックする.すると,スタイル設定が拡張表示される.

スタイル設定の「その他」ボタン

表示された拡張表示にある[スタイルの作成]をクリックする.表示されたウィンドウで「text00」と名前を入力し[OK]をクリックする.すると,カーソルを置いている箇所の設定が,新しいスタイル設定として登録される.同様の方法で,セリフの箇所の設定を「speech」として登録する.

新しいスタイルの登録 このようにスタイルを登録すると,Word の文章で文書構造を意識した統一的なレイアウト設定を施すこ

とができる.次に1ページのみで構わないので,登録したスタイル設定に該当する箇所に「text00」と「speech」を設定する(動作を見るだけなので,大体で構わない). 次に,「speech」が設定された行のレイアウト設定を一括で変更する.例えば,フォント設定を「ゴシッ

ク」「斜体」「青色」にする.その後,[スタイル]設定にある「speech」を右クリックし[選択箇所と一致するように…を更新する]をクリックする. すると,「speech」が設定されている箇所が全て,登録されたレイアウトに変更される.このように[ス

タイル]を設定しておくことで,文書作成後の調整が非常に効率的になる.

3 このスタイルは、作業ファイル独自に用意されたものである。

ここをクリック

スタイルの作成をクリック

名前を入力

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2.4. ページ番号の設定 ここでは,文書にページ番号を設定する.ページ番号の設定は Word上にいくつか用意されているた

め,簡単にページ番号を設定できる. [挿入]タブの真ん中より少し右にある[ページ番号]をクリックする.するとサブメニューが表示

されるので,利用したいレイアウトのページ番号をクリックする(一般的にはページの下部,真ん中 or右にページを記載する).すると,所定の箇所にページ番号が追加される.

ページ番号の設定

なお,先ほどの表紙作成において[挿入]→[表紙]を利用し,Word の機能として表紙を作成していると,表紙の後から1ページ目が始まる.これは[ページレイアウト]の[区切り]を活用することでも同じことができる.また,挿入されたページ番号の箇所をダブルクリックすることで,通常の「フォント」「書式設定」でページ番号のレイアウトを変更できる.

2.5. ヘッダー・フッターの設定 「ヘッダー・フッター」を利用して,文書全体に統一的に表示される情報を記載することができる.

例えば「作成者の名前」「日付」「文書のタイトル」などである. これを設定するのは,余白の範囲にある「ヘッダー(頭)」「フッター(足)」という箇所である.

なお,先のページ番号設定は「フッター」に登録されている.「ヘッダー・フッター」の設定は[挿入]メニューにコマンドが用意されているが,これを利用せず簡易な方法で作成してみる. 文書にある余白の上部(ヘッダーが入る箇所)をダブルクリックする.すると本文が薄い表示され,

ヘッダーの編集状態になり,上部メニュー表示が切り替わる.

ヘッダーの編集画面

この状態で,テキスト入力やレイアウト設定を行えば,ヘッダーの文字列を作成できる.編集を終わる場合は,メニュー上にある「ヘッダーとフッターを閉じる」をクリックするか,本文の箇所をダブルクリックする.

配置したい箇所を選ぶ

番号の書式を選択する

[ヘッダー/フッターツール]が表示される。

編集を終わる際は[…閉じる]ボタン。

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ヘッダーの設定

【補足】ヘッダー・フッターのオプション なお,ヘッダーやフッターの設定は,先頭ページのみ別,奇数・偶数別にも設定できる.例えば,先頭ペ

ージのみ「日付」,その他は「文書タイトル」としたい場合,ヘッダーをダブルクリックし,[ヘッダー/フッターツール]にある[オプション]→「先頭ページのみ…」にチェックを入れる.

ヘッダー・フッターのオプション

すると,先頭ページとその他ページのヘッダーを別途作成できるようになるため,適宜,文字列を入力する.これは,見開きで文書を作成する場合に,左ページに「章のタイトル」,右ページに「全体タイトル」を表示したり,ページ番号を外側に寄せたりすることができる.

【課 題】

今回の作業で作成したデータを,ファイル名「学籍番号 情報リテラシー第5回」として保存し,メールの添付ファイルとして提出.送信メールは大学メール.提出期限は 5/20(講義中に提出).

必ず,件名に「組-学籍番号 情報リテラシー 第5回課題」を記載すること 例)3組 学籍番号 P19991 の場合. 3-991 情報リテラシー 第5回課題

※今回からは件名が正しく記載されていないメールは受け取らない.

ヘッダー/フッターの内容は、通常グレー表示になる。

ヘッダー/フッターのオプション