イワダレソウと地球緑化イワダレソウとは?(lippianodifloral. •...

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~・~・~ イワダレソウと地球緑化 ~・~・~ 宇都宮大学 雑草科学研究センター 植生マネジメント部門 講師

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  • ~・~・~

    イワダレソウと地球緑化

    ~・~・~宇都宮大学 雑草科学研究センター

    植生マネジメント部門 講師 倉 持 仁 志

  • イワダレソウとは?(Lippia nodiflora L.)

    • クマツヅラ科の多年生植物。• 日本では伊豆半島~南西諸島の海岸地域に分布し、世界的には約200種あると報告されている。

    • 日本に自生するイワダレソウは緻密性に優れるが、耐寒性はそれほど高くない。

  • これまでに開発したイワダレソウ

    1.Sヒトシ(唯一種子をつけるタイプ、品種登録抹消)

    2.クラピアS1 (白系統、品種登録済み)

    3.クラピアS2 (濃ピンク系統、品種登録済み)

    4.クラピアSH1 (ピンク系統、品種登録済み)

    5.クラピアSH2 (濃ピンク系統、品種登録済み)

  • クラピアS1の草型

  • クラピアS1の草型

  • ヒメイワダレソウの草型

  • クラピアS1

    沖縄産 グァム産

    イワダレソウの草型の違い

  • イワダレソウとヒメイワダレソウの違い

    優れる劣る耐雪性

    優れる劣る耐寒性

    高い低い草高

    劣る優れる緻密性

    外来種在来種タイプ

    ヒメイワダレソウイワダレソウ植物名

  • 水田畦畔緑化のモデル試験

    深水管理 浅水管理

  • 自家不和合成と雑種強勢の応用

    耐寒性が毎年2~3℃高まっている !!

    新品種の開発方法

  • イワダレソウ改良種の土壌酸度(pH)適応性

    pH3.9~pH12.1

    (至適pH8~9)

    pH適応幅が極めて良い!

  • イワダレソウ改良種とヒメイワダレソウの違い

    劣る優れる耐雪性

    劣る優れる耐寒性

    高い低い草高

    劣る優れる緻密性

    外来種在来種の改良種タイプ

    ヒメイワダレソウ2005年以降のイワダレソウ改良種

    植物名

  • 赤土流出解析試験(琉球大学)

  • 表 イワダレソウ選抜品種による赤土流出抑止効果

    月日

    2000年

    降水量 流出土壌重量 (kg)降雨

    裸地区 定植区 流出率 (%)

    定植区の被覆率

    (mm/hr)(mm)

    裸地区 定植区 流出率 (%)

    強度流出水量 (L)

    2001年

    8/29~8/30 86.5 33.3 25.37 12.68 49.98 1058.8 530.1 49.98 40

    9/8~9/9 73.0 17.5 13.78 4.59 33.31 985.5 657.2 66.69 55

    (%)

    9/27~9/28 13.5 11.4 0.73 0.018 2.47 174.9 87.5 50.03 70

    10/3~10/4 21.5 8.0 0.91 0.017 1.87 294.1 196.1 66.68 75

    10/24~11/2 75.5 16.9 14.96 0.139 0.93 208.8 125.3 60.01 85

    11/9 216.0 41.3 43.52 0.51 1.17 2437.6 1625.1 66.67 85

    12/17~12/18 17.0 6.0 0.28 0.002 0.71 218.5 132.2 60.50 80

    12/20~12/21 46.0 33.5 10.57 0.126 1.19 621.7 466.3 75.00 80

    6/14~6/15 74.0 15.0 3.63 0.017 0.47 1266.1 364.7 28.80 100

  • イワダレソウ選抜品種の被覆による土中および表面温度

    29 .1

    28 .5

    28 .3

    30 .7

    31 .5

    31 .7

    32 .3

    32 .5

    31 .8

    34 .2

    42 .9

    47 .4

    32 .7

    32 .8

    32 .1

    0 10 20 30 40 50

    9月1日

    9月6日

    9月7日

    外気温 (℃)

    表面温度(℃) 裸地区

    表面温度(℃) 被覆区

    土中温度(℃) 裸地区

    土中温度(℃) 被覆区

    32.147.431.831.728.39月7日

    32.842.932.531.528.59月6日

    32.734.232.330.729.19月1日

    (℃)裸地区被覆区裸地区被覆区2000年

    外気温表面温度(℃)土中温度(℃)調査日

  • クラピアS1の増殖性(宇都宮大学内畑圃場)

    無肥料条件

    定植方法:内径11cmのホールカッターで植物体を打ち抜き、試験区(3m×3m)の中央に定植

    定植日:2003年5月21日

    6956.6420.49689.25ヵ月後

    5795.5400.388638.24ヵ月後

    4003.8280.275795.33ヵ月後

    1161.19.50.091581.52ヵ月後

    5.30.051.10.018.40.081ヵ月後

    増殖倍率面積(㎡)増殖倍率面積(㎡)増殖倍率面積(㎡)

    ヒメイワダレソウヒメコウライクラピアS1

  • 屋上緑化試験(宇都宮大学) 6月中旬撮影

  • CO2吸収能測定試験

  • 土壌微生物は多量のCO2を放出している!そして、イワダレソウ改良種はそれらのCO2も吸収している!

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    1400

    2006.5.16

    2006.5.17

    2006.5.18

    2006.5.19

    2006.5.20

    2006.5.21

    2006.5.22

    2006.5.23

    (ppm)

    CK

    土のみ

    イワダレソウ

  • 異なるCO₂濃度条件化における増殖性(実験期間1ヶ月)

    (備考)8反復の平均値で示した (乾重比)

    110%190%390%1000ppm

    120%160%270%380ppm

    コウライノシバイワダレソウ

    検定植物炭酸ガス濃度

    (ppm)

  • 380ppm 1000ppm

  • イワダレソウ野生種&クラピアSヒトシの花

  • クラピアS2の花 (ピンク)

  • クラピアS1の花(淡いピンク)

  • クラピアSH2の花(濃いピンク)

  • イワダレソウ 導入時の留意点

    • 寒冷地での導入適期・・・3月上旬~10月上旬• 土層厚は最低10cm確保する• 定植前に緩効性肥料(窒素、リン酸、カリをそれぞれ8%程度含有するもの)を1平方メートル当り20g程度施用する

    • 好ましくは熱処理した土壌を用いる• 雑草種子が混入している土壌を用いる場合には、定植前にゴーゴーサン乳剤またはハイメドウ水和剤+フェナックスフロアブルの通常量を1平方メートル当り200mlの水量で土壌処理する

    • 活着を促進するために、定植後1週間程度は適時灌水する

  • 永続性を図るための管理方法

    • 晩秋植栽区からはみ出した匍匐茎を除去する• 晩秋緩効性肥料(窒素、リン酸、カリをそれぞれ8%程度含有するもの)を1平方メートル当り20g程度追肥する

    • 寒冷地では晩秋~初春の間は灌水しない• 温暖・過湿時(梅雨時、秋雨時)はリゾクトニアまたはフザリウムによる葉枯れ病発生の恐れがあるので、発生始期にベノミル(商品名:ベンレート)の500倍希釈液を散布する

    • ヨトウムシ、イモムシ等による食害、ナミハダニの寄生がみられたら、それらに有効な殺虫剤を散布する

  • 屋上緑化(宇都宮大学)2007年1月1日

  • ヒメイワダレソウに発生した葉枯れ病

  • 千代田区役所の屋上緑化(品種名:クラピアS1)

  • 岐阜県大垣市におけるクラピアS1の植栽例(2005年5月下旬撮影)

  • 東扇島でのクラピアS1の植栽(2006年10月下旬)

  • 新矢作川スーパー堤防(2006年9月上旬)

  • 新矢作川スーパー堤防における緑化試験(2006年9月下旬)

  • 新矢作川スーパー堤防緑化試験の被覆状況(2ヵ月後)

    ⑦半分見える長い継ぎ目5種類50ノシバ

    ①75%見える短い継ぎ目4種類25イワダレソウ

    ⑤隠れて見えない長い継ぎ目5種類70センチピート

    ⑦-長い全体3種類100植生無し

    2.除草剤処理

    ③半分見える長い継ぎ目4種類50ノシバ

    ②半分見える長い継ぎ目3種類50イワダレソウ

    ⑥隠れて見えない長い中、継ぎ目4種類80センチピート

    ⑦-長い全体4種類100植生無し

    1.除草剤非処理

    評価各植生種丈雑草丈(全体)

    雑草場所雑草種類雑草植生率(%)

  • 株式会社グリーンプロデュース会社概要

    地球環境の保全と持続可能な循環型社会の実現に向けて

    平成18年 7月7日

  • 株式会社グリーンプロデュース組 織 概 要

    設 立 2006年7月7日住 所 栃木県小山市上初田1004資 本 金 3,300万円電 話 番 号 0285-37-1613 FAX番号 0285-37-1801ホ ー ム ペ ー ジ http://www.greenproduce.co.jp

    代表取締役社長 大出 武久役 員 倉持 仁志(宇都宮大学雑草科学研究センター 講師)

    高橋 修(白水興産株式会社 相談役)菊池 悟(菊池産業株式会社 代表取締役)田中 譲(株式会社地域整備総合研究所 常任顧問)

    顧 問 近内 誠登(宇都宮大学名誉教授)新垣 健(日本ランチェスター工業株式会社 代表取締役)木島 慶昌(株式会社エイ・シー・エム 代表取締役)杉本 和章(与那国島薬草園 常務取締役)

    技 術 顧 問 一前 宣正(宇都宮大学雑草科学研究センター 教授)竹内 安智(宇都宮大学雑草科学研究センター 教授)

  • 今後開発予定のイワダレソウ

    1.現行種よりも耐寒性や美観性等に

    優れるイワダレソウの開発

    2.黄花系統のイワダレソウの開発

    3.芳香性を発するイワダレソウの開発

  • イワダレソウの今後の多目的展開

    1.バイオエタノールの生産技術の確立

    2.天然甘味料の抽出&事業化

    3.より環境適応性に優れる品種の開発

  • イワダレソウ改良種のナイアガラ方式栽培

  • Lippia属に含まれる甘味成分

    ヘルナンドルシン

    (hernandulcin)

    (参考)ステビア 砂糖の250~300倍羅漢果 砂糖の400倍

    CH3

    O

    HO

    CH3 CH3HOH

  • イワダレソウ新品種選抜圃場(宇都宮大学)

  • 2006年まで開発した中で最も耐寒性の高い品種

  • 約4年半、全く開花が認められない改良品種

  • 冬のイワダレソウの状態(2007年1月)

  • マイナス30℃の壁をクリアしたい

  • 人の為になるということ

    名誉のある者は名誉で

    金のある者は金で

    力のある者は力で

    知恵のある者は知恵で

    何もない者は祈りで

    祈る手を持たない者はその笑顔で

    ・・・役立ちなさい

  • こうすれば黄砂は飛ばない!

  • 中国砂漠分布図

    砂漠

    境界省

  • 5000km

    300km

    内モンゴル中部地区

    長城沿線地区江西走廊地区

    タクラマカン砂漠

    朝鮮半島

    ゴビ砂漠

    黄土高原

    黄砂飛来方向

    黄砂発生源

    アラシャン地区

  • 実験方法

    1. クリコート(300g/㎡) +ソイリューション(4ml/㎡)2. クリコート(300g/㎡)3. ソイリューション4. 無処理

    処理後10分

    散水処理(30秒:3800ml)

  • クレイ篩い

    砂利洗い

    下処理

    *250μm以下の微粒土壌の採取

  • 10分後

    土壌改良剤処理

    散水処理

  • 土壌改良剤のみでも黄砂は防げる!!

    1007.327無処理

    251.825ソイリューション

    70.495クリコート

    70.478

    ソイリューション

    +クリコート

    対無処理区(%)

    250μm以下の流出量(g)

    土壌改良剤

    *2反復の平均値

  • 無処理 ソイリューション クリコート クリコート

    +ソイリューション

  • 1.イワダレソウを用いた緑化・南から北へ展開(現在までに開発した品種)・北からの封じ込め(-30℃耐性種の開発)

    2.飛砂・粉塵防止剤の使用(例)クリコート

    3.土壌団粒化剤の使用(例)ソイリューション

    黄砂の防止方法

  • 黄砂を飛ばさせない方法

    0

    50

    100

    2007 2008 2009 2010 2011

    使用比率

    (%

    飛砂・粉塵防止剤, 土壌団粒化剤

    イワダレソウ改良種

  • ゴビ砂漠から黄砂を出さないために必要なクリコートとソイリューション、及び水の量

    ゴビ砂漠面積 100万k㎡

    クリコート 3億トン (単価:700円/㎏)210兆円

    ソイリューション 400万トン(単価:4000円/ℓ)16兆円

    水 20億トン

    *但し、毎年処理が必要!!

  • 砂のみ 砂+土壌改良剤

  • 現行種で南から北へ砂漠を縮小する!!

  • 超耐寒種を開発し、北からも砂漠を縮小する!!

  • イワダレソウのゴビ砂漠導入時の留意点

    1. 暖かい所→寒い所 (南から北へ)

    2. 気相、液相の確保→土壌団粒化剤の併用!

    3. 栄養分の確保→基肥を多めに!

    菌根菌資材の併用!

    4. 有機物の確保→定植時に泥炭をすき込む!

    5. 3~4種のイワダレソウ改良種を混植!