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リアルタイムPCR法による24種類の 食品媒介病原菌標的遺伝子の 網羅的迅速検出法 島根県保健環境科学研究所 川瀬 ~多種類の食中毒媒介病原菌をスピーディーに検出する方法~ 1

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リアルタイムPCR法による24種類の食品媒介病原菌標的遺伝子の

網羅的迅速検出法

島根県保健環境科学研究所 川瀬 遵

~多種類の食中毒媒介病原菌をスピーディーに検出する方法~

1

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内容 • 従来の細菌性食中毒の検査

• 細菌培養法の課題とリアルタイムPCR

• 24種類の食品媒介病原菌標的遺伝子の網羅的迅速検出法 (特徴、方法、PCR内部増幅標準、判定方法、事例検証 など)

• 24種類の食品媒介病原菌標的遺伝子の網羅的迅速検出法の改良

• 想定用途、実用化への課題、企業への期待 など

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従来の細菌性食中毒の検査(培養法)

患者糞便検体 寒天培地(12種類) ふ卵器 30℃・37℃・42℃

1日から2日培養

遺伝子検査(4~5時間)

生化学性状検査(1日~数日)

糞便を塗る

原因菌の特定

培養菌の 病原性遺伝子の検査

多くの種類を使用し、糖の分解、硫化水素産生、血清型 など

行政機関への報告 培養結果の確認

検査開始から特定までに3日~1週間 3

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病因物質の早期推定 培養法の効率化 (検査費用・労力・作業時間の削減等) 迅速な情報提供

原因菌の特定までに3日~1週間。 17種の食中毒原因菌を対象とした培養を行うため、大量の試薬を 使用し、多くの作業量・作業時間が必要。

食中毒発生時の細菌性食中毒の検査の課題とリアルタイムPCR

細菌性食中毒の検査にリアルタイムPCR法を導入

培養法の現状と課題

リアルタイムPCR法による食品媒介病原菌の網羅的迅速検出法 4

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PCRの原理

PCR とは、酵素(DNAポリメラーゼ)により、標的DNAを繰り返し複製し、定量できる量まで増幅する方法(数100万倍まで増幅可能)

プライマー(試薬)

2本鎖DNA⇒1本鎖⇒プライマー結合⇒元のDNAと同じものを合成

リアルタイムPCR法の特徴 ・原理はPCRと同じ ・増幅した遺伝子を蛍光色素で発色さ せ、増幅量をリアルタイムでモニタリ ングできる方法 ・電気泳動が不要で、従来のPCR法より 短時間で判定可能

3段階の温度ステップの繰り返し⇒DNAの増幅

酵素

リアルタイムPCR装置

5

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リアルタイムPCR法の種類 ・TaqMan プローブ法(蛍光色素プローブ) TaqManプローブは、標的遺伝子の鋳型DNAに特異的に結合し、PCRの伸長反 応ステップの際に、DNAポリメラーゼによってTaqManプローブが分解され、蛍光 を発する。 ・インターカレーター法(SYBR Green Ⅰ) SYBR Green I は、PCRによって増幅された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射 により蛍光を発する。 TaqMan プローブ法とインターカレーター法の比較 【正確性】 TaqMan プローブ法 【コスト】インターカレーター法

○短時間で多種類の食中毒原因菌を検出する方法が必要 ○短時間で食中毒原因菌の「あたり」をつける

TaqMan プローブで行った場合、金額の上から現実的ではない

インターカレーター法の採用

目的

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リアルタイムPCR法による食品媒介病原菌の網羅的迅速検出法(RFBS24)を考案

1.患者糞便DNA試料を検体とする(市販のDNA抽出キットを使用) 2.8セットのMultiplexリアルタイム SYBR Green PCR ひとつの反応で3種類の食中毒原因菌標的遺伝子を検出できるMultiplex リアルタイムPCR 8セットを96穴PCRプレート上で行う ※3×8セット=24種類(培養法の検査内容をカバー)

技術的特徴1 登録日:平成25年5月17日 特許第5267293号

プライマー1

プライマー2

プライマー3

反応液

酵素 蛍光色素

食中毒原因菌標的遺伝子を増幅させる プライマーが3種類含まれている ↓ ↓ 3種類の食中毒原因菌標的遺伝子を増幅

プライマーの組み合わせは特許です。 7

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3.PCR内部増幅標準(IAC) すべての反応にIACを添加しており、正常なPCR反応が行われているかどうか 確認が可能 4.検査結果の確認 MultiplexリアルタイムPCR終了後、融解曲線分析による増幅DNAのTm値を確 認することで、3種類の内のどの遺伝子が増幅されたか確認が可能。 また、標的遺伝子の増幅DNAのTm値が異なるようにプライマーを組み合わせ ている。

技術的特徴2

8

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RFBS24によるメリット

○検査結果の信頼性向上 PCR内部増幅標準の添加により結果の信頼性を向上させます。 ○リアルタイムPCR法により数時間で原因菌を推定 行政機関への迅速な情報提供が可能 ○培養法の効率化 食中毒発生時に、本法を実施することで原因菌を速やかに推定 し、培養法で原因推定菌のみの培養を行う。 ⇒検査費用・作業量・作業時間の削減

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約3時間で原因菌を推定

3日~1週間

従来の培養法の流れ

RFBS24の流れ

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RFBS24 試薬調整 準備するもの

【試薬】 ・8種類のprimer set(ABCDEFGH) ひとつのprimer setには3種類のprimerとIAC検出primerが含まれている ・Takara SYBR Premix Dimer Eraser(PCR反応試薬) ・PCRグレード水(DW) ・PCR内部増幅標準(IAC) ・陽性コントロール(PC) 【消耗品】 ・96穴PCRプレート ・PCRプレートシール ・1.5mlチューブ ・マイクロピペットチップ 【機器・器具】 ・リアルタイムPCR装置 ・96穴プレート遠心機 ・遠心分離機 ・マイクロピペット

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試薬調整~リアルタイムPCR装置にセット

リアルタイムPCR装置にセット

陽性 患者便DNA 陰 性

IAC

PCR反応液(AからH)の作製 SYBR Premix Dimer Eraser, (ROX),primer set,DW,IAC を必要量加え、混和する。 96穴PCRプレート ・各行ごとに対応する反応液 (例:Aの反応液⇒A行) ・各列に検体などを添加 1の列:DW⇒陰性対照 2の列:IAC+DW⇒IAC 3~5の列:IAC+PC⇒陽性対照 6-12の列:IAC+患者便DNA

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反応系 プライマー名

A 1 ウエルシュ菌 GAP-11 and GAP-122 プロビデンシア・アルカリファシエンス PAG38-F and PAG110-R3 腸管出血性大腸菌(Stx 2) JMS2-F and JMS2-R

Yersinia ruckeri yersH2-F and yersH2-RB 4 カンピロバクター・コリー ceuE-For and ceuE-Rev

5 カンピロバクター・ジェジュニ AB-F and AB-R6 TRH類似毒産生腸炎ビブリオ trh250-F and trh250-R

Yersinia ruckeri yersH2-F and yersH2-RC 7 リステリア菌 Lm-hly-F and Lm-hly-R

8 嘔吐毒産生セレウス菌 ces-TM-F and ces-TM-R9 毒素産生大腸菌(LT) LT-1 and LT-2

Yersinia ruckeri yersH2-F and yersH2-RD 10 毒素産生大腸菌 STa-F and STa-R

11 腸管出血性大腸菌、病原性大腸菌 eae-F2 and eae-R12 コレラ菌 ompW-F and ompW-R

Yersinia ruckeri yersH2-F and yersH2-RE 13 腸管凝集接着性大腸菌 aggRks1and aggRKas2

14 腸管出血性大腸菌 (Stx 1) JMS1-F and JMS1-R15 黄色ブドウ球菌 FemB-fw and FemB-rv

Yersinia ruckeri yersH2-F and yersH2-RF Yersinia ruckeri yers79 -F and yers79-R

16 耐熱性溶血毒産生腸炎ビブリオ tdh-F176 and R42217 エルシニア菌 yadA-F1757 and yadA-18 プレシオモナス・シゲロイデス PSG-F64 and PSG-R313

G Yersinia ruckeri yers79 -F and yers79-R19 腸管凝集接着性大腸菌 EAST-1-S and EAST-AS20 赤痢菌, 細胞侵入性大腸菌 ipaH1672-F and ipaH1761-R21 エロモナス菌 AHH1-F and AHH1-R

H Yersinia ruckeri yers79 -F and yers79-R22 下痢毒産生セレウス菌 SG-F3 and SG-R323 サルモネラ菌 invA2-F and invA 2-R24 分散接着性大腸菌 daaD-F31 and daaD-R263

RFBS24 各primer setの一覧 第1種

耐熱性溶血毒産生腸炎ビブリオ ウェルシュ菌 サルモネラ菌 カンピロバクター・ジェジュニ 黄色ブドウ球菌 嘔吐毒産生セレウス菌 eae遺伝子保有大腸菌 astA遺伝子保有大腸菌

カンピロバクター・コリ aggR遺伝子保有大腸菌 stx1遺伝子保有 大腸菌 下痢毒産生セレウス菌 赤痢菌 コレラ菌 プロビデンシア・アルカリファシエンス プレシオモナス・シゲロイデス LT遺伝子保有大腸菌 リアステリア菌 TRH産生腸炎ビブリオ stx2遺伝子保有大腸菌 ST遺伝子保有大腸菌 エルシニア菌 エロモナス菌 daaD遺伝子保有大腸菌

第2種

食中毒事件のほとんどがこのグループの原因菌による

各遺伝子のTm値が異なるようにプライマーを組み合わせ 各セットには第1種の菌をどれかひとつ含む

事件数の 少ない

原因菌を含む

13

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PCR・リアルタイムPCRの問題点

糞便中にDNAの増幅を妨害する物質(胆汁酸など)が含まれる

●DNAの増幅を妨害する物質(阻害物質)が糞便サンプル中に 存在することがある ●稀であるが、リアルタイムPCRを行った際に、その物質が存在す ると、標的DNAが増幅されない⇒陰性と判定(偽陰性)

DNA

DNAが増えない

PCR内部増幅標準(IAC)

14

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PCR内部増幅標準(IAC)

プライマー1

プライマー2

プライマー3

IACのプライマー

IAC(Y.ruckeriのDNA)

食中毒原因菌のDNA (DNA1又はDNA2又はDNA3 又はない場合もある)

原因菌DNAが サンプルに有

PCR反応チューブ

IAC:Yersinia ruckeri の16s rRNA遺伝子のDNA そのDNAを増幅するためのプライマー

PCR阻害物質があると ⇒原因菌DNA 又はIACの 増幅が起きない

偽陰性であることが分かる 原因菌DNAが増幅

(陽性)

原因菌DNAが サンプルに無

原因菌DNAが増えない IACが増幅(陰性) 15

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判定方法1

各反応のDNAの増幅量は、増幅曲線により表示

Tm値

ひとつの反応液で3つの標的遺伝子を検出 ⇒どの遺伝子が増幅されたか分からない IACを増幅したのか分からない

融解曲線分析 ・増幅したDNA(二本鎖)を加熱していく ・増幅されたDNAがある一定の温度に達 すると一本鎖に解離し、蛍光シグナル は急激に低下する。 (Tm値) ⇒どの遺伝子が増幅されたのか分かる

16

融解曲線分析(Tm値を求める) 増幅曲線

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Tm値

IAC

遺伝子2 遺伝子3

遺伝子1

Tm値

融解曲線分析(Tm値を求める)

判定方法2

Tm値の差はおおむね0.6以上になるように設定

3つの標的遺伝子の増幅DNAのTm値は 異なるように設定

どの標的遺伝子を増幅したのか分かる

特許

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事例検証

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温度

蛍 光 度

食中毒事例 1 食中毒事例 2 発生日

2006.8.16

検査時期 1日後

施設 レストラン

原因物質 焼き飯

患者数 15/34

発生日 2006.9.2検査時期 3日後

施設 法事

原因物質 仕出し弁当

患者数 14/49

標的遺伝子 分離菌 標的遺伝子

ces 1/4 セレウス菌 2/4 cesastAaggR

1/41/41/4

発生時における検査Multiplex PCR

Duplex Rti-PCR 培養検査

標的遺伝子 分離菌 標的遺伝子

tdhgyrA of C. j

4/60/5

TDH 腸炎ビブリオ 3/6 tdhspecific DNA of C. jST

3/62/61/6

発生時における検査Multiplex PCR

Duplex Rti-PCR 培養検査

TDH 腸炎ビブリオ

Set A: ceuE+aggR+tdh

-0.050

0.050.1

0.150.2

0.250.3

62.9 65 67.1 69.2 71.3 73.3 75.4 77.6 79.7 81.8 84 86.1 88.2 90.4

water IACC.c EAECtdhVp 4142 4344

SetF: trh+ces+JMS2

-0.050

0.050.1

0.150.2

0.250.3

62.9 65 67.1 69.2 71.3 73.3 75.4 77.6 79.7 81.8 84 86.1 88.2 90.4

water IACtrhVp E-BcEHEC 4142 4344

Set H: EAST+AHH1+daaD

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

62.9 65 67.1 69.2 71.3 73.3 75.4 77.6 79.7 81.8 84 86.1 88.2 90.4

water IACEAEC A.hDAEC 4142 4344

温度

蛍 光 度

EAEC

セレウス菌

astA陽性大腸菌

カンピロバクター・ジェジュニ

ETEC

IAC

Set A: ceuE+aggR+tdh

-0.050

0.050.1

0.150.2

0.250.3

62.7 64.7 66.8 68.8 70.9 73 75.1 77.1 79.3 81.3 83.4 85.6 87.7 89.8 92

water IACC.c EAECtdhVp 5152 5354 5556

Set D: AB+PAG+PSG

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

62.7 64.7 66.8 68.8 70.9 73 75.1 77.1 79.3 81.3 83.4 85.6 87.7 89.8 92

water IACCj PaPs 5152 5354 5556

Set G: STa+eaeF2+yadA

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

62.7 64.7 66.8 68.8 70.9 73 75.1 77.1 79.3 81.3 83.4 85.6 87.7 89.8 92

water IACETEC EHECY.e 5152 5354 5556

原因菌 セレウス菌

原因菌 腸炎ビブリオ

RFBS24 RFBS24

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食中毒事例 3 食中毒事例 4

発生日 2007.10.21検査時期 1日後

施設 レストラン

原因物質 夕食

患者数 7/13

発生日 2007.11.26検査時期 5日後

施設 レストラン

原因物質 焼肉:鶏生レバー

患者数 8/8

標的遺伝子 分離菌 標的遺伝子

eaeAgyrB of P.shigelloides

2/52/5 P. sh igello ides '2/5

eaeAgyrB of P.shigelloides

1/51/5

発生時における検査Multiplex PCR

Duplex Rti-PCR 培養検査

標的遺伝子 分離菌 標的遺伝子

specific DNA of C. jastA

4/71/7

C. jejuniastA -陽性大腸菌

4/71/7

specific DNA of C. jastA

4/71/7

発生時における検査Multiplex PCR

Duplex Rti-PCR 培養検査

Set D: AB+PAG+PSG

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

62.9 64.9 66.9 69 71.1 73.1 75.2 77.3 79.4 81.5 83.6 85.7 87.8 89.9

water IACCj PaPs 6162 6364 65

Set G: STa+eaeF2+yadA

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

62.9 64.9 66.9 69 71.1 73.1 75.2 77.3 79.4 81.5 83.6 85.7 87.8 89.9

water IACETEC EHECY.e 6162 6364 65

温度

蛍 光 度

プレシオモナス・シゲロイデス

EPEC

Set D: AB+PAG+PSG

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

62.9 64.9 66.9 69 71 73.1 75.2 77.3 79.4 81.5 83.6 85.7 87.8 89.9 92

water IACCj PaPs 7172 7374 7576 77

Set H: EAST+AHH1+daaD

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

62.9 65.1 67.1 69.2 71.3 73.5 75.6 77.8 79.9 82.1 84.2 86.4 88.5 90.7

water IACEAEC A.hDAEC 7172 7374 7576 77

温度

蛍 光 度

カンピロバクター・ジェジュニ

astA陽性大腸菌

原因菌 プレシオモナス・ シゲロイデス

原因菌 カンピロバクター・ ジェジュニ

RFBS24 RFBS24

20

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RFBS24による食中毒事例の検証

培養法 RFBS24

14 77 64.94% 59.74%

事例数 検査数陽性率

カンピロバクター・ ジェジュニ

腸管出血性大腸菌

培養法 RFBS24

5 34 82.4% 76.5%

事例数 検査数陽性率

ウェルシュ菌

培養法 RFBS24

2 9 66.7% 55.6%

事例数 検査数陽性率

黄色ブドウ球菌

培養法 RFBS24

2 14 64.3% 42.9%

陽性率事例数 検査数

21

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RFBS24の改良 RFBS24は、厚生労働科学研究でさらに改良を行い、検出限界の改善が図られています。 詳細はポスター展示を行っていますので、ご感心のある方はお越しください。

平成22~24年度 厚生労働科学研究 「地方衛生研究所における網羅的迅速検査法の確立と、その制度管理の実施、及び疫学機能の強化に関する研究」 ・研究代表者:調 恒明 山口県環境保健センター ・分担研究者:後藤 良一 北海道立衛生研究所 ・研究協力者:山口敬治、池田徹也、綿引正則、嶋智子、飯田奈都子、川瀬遵、 亀山光博、堀川和美、江藤 良樹 (改良点) 〇PCR条件の変更 PCRサイクル数 30⇒35に変更 〇プライマーの再設計 プライマーダイマーの抑制、検出感度不足のプライマーを改良 〇非競合型IACから競合型IACに変更 各プライマーセットに含まれているプライマーペア4組⇒3組 プライマー同士の干渉作用の改善 22

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サルモネラ (島根県の事例)

カンピロバクター (島根県の事例)

食中毒事例の評価(RFBS24と改良版の比較)

遺伝子名 RFBS24 RFBS24Ⅴ 直接培養法

1 8 aggR - 5(62.5%) 4(50.0%)

astA 7(87.5%) 8(100.0%) 6(75.0%)

ST 2(25.0%) 4(50.0%) 3(37.5)

daaD 1(12.5%) 1(12.5%) -

eae - 3(37.5%) -

事例数 検査数大腸菌病原性遺伝子陽性数(陽性率)下痢原性大腸菌

(島根県の事例)

RFBS24 RFBS24Ⅴ 直接培養法

7 24 15(62.5%) 19(79.2%) 16(66.7%)

直接培養法で3名陰性⇒RFBS24Ⅴで3名からC.jejuniを検出

事例数 検査数陽性数(陽性率)

RFBS24 RFBS24Ⅴ※ 直接培養法

4 20 6(30%) 11(55%) 12(60%)

RFBS24Ⅴで検出されなかった1名は健康保菌者(2x10^3CFU/g)

事例数 検査数陽性数(陽性率)

23

※:RFBS24の 改良版

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本法の特徴・メリット (まとめ)

本法は、1回の検査で患者糞便DNAに含まれる24種類の食中毒原因菌の標的遺伝子を数時間で検出する方法である。

PCR内部増幅標準の添加により正常なPCRが行われたか確認が可

能であり、検査結果の信頼性を向上させる。

RFBS24による食中毒事例の検証結果から、原因菌の推定を行うことが可能である。

原因と推定された菌のみの培養で済むため、時間・コスト・労力の

削減等につながる。

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想定される用途

全国の衛生研究所等における細菌性食中毒の検査への使用が想定される。

ウイルス性食中毒発生時に培養法を並行して実施していますが、細菌性食中毒を否定する目的での使用が想定される。

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課題・企業への期待 本法の利用対象

○地方衛生研究所、保健所などの検査機関

○検査機関で使用できるように、検査キットの商品化 1)8種類のプライマーセット、3種類の陽性コントロールミックス、IAC 2)あらかじめ、上記試薬とリアルタイムPCR試薬を添加した96穴PCRプレート(検討中)

企業への期待

○検査機関でプライマー、陽性コントロール、IACの作製

実用化に向けた課題

検査キット(1) 検査キット(2)

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本技術に関する知的財産権

1 発明の名称 リアルタイムPCR法による食品媒介病原菌の網羅的迅速検出方法 特許番号:特許第5267293号

出願日:平成21年4月13日 登録日:平成25年5月17日

2 特許権者 島根県

3 発明者 福島 博 (獣医学博士・元島根県保健環境科学研究所保健科学部長)

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お問い合わせ先

島根県保健環境科学研究所

企画調整担当 伊藤 健

TEL 0852-36 - 8181

FAX 0852-36 - 8171

e-mail [email protected]

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