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=JASTPRO広報誌電子版のご案内= 裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。 434 2014- 2014- 11 11 今月号の内容 記事1. ◇連載◇ 貿易の実務と理論(3) …………………………………………………… 1 早稲田大学名誉教授 椿 弘次 記事2. 税関研修所にて……………………………………………………………………… 11 記事3. 国連CEFACTからのお知らせ ……………………………………………………… 13 記事4. 『ばいざういんどせいらー』 日本列島船の旅〔東北/関東圏から最短時間で行く北海道へ新幹線&フェリーの旅…… 16

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=JASTPRO広報誌電子版のご案内=

裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。

4342014-2014-1111

今月号の内容

 記事1. ◇連載◇ 貿易の実務と理論(3) …………………………………………………… 1      早稲田大学名誉教授 椿 弘次

 記事2. 税関研修所にて……………………………………………………………………… 11

 記事3. 国連CEFACTからのお知らせ ……………………………………………………… 13

 記事4. 『ばいざういんどせいらー』

     日本列島船の旅〔東北/関東圏から最短時間で行く北海道へ新幹線&フェリーの旅〕 …… 16

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記事1. 貿易の実務と理論(3)

早稲田大学名誉教授 椿 弘次

日本の大学の学科目として、法学部に「商行為法」があり、商学部に「貿易実務」がある。前者は、商行為(commercial operation, business transactions)を対象として法理が講じられ、主要なトピックは、商事売買、金融取引、倉庫事業、運送事業、通信、保険営業、信託などである(商法第3編)。最近は、広く国際的取引に関連する課題も論述に含まれることになり、「商取引法」として馴染まれるようになっている1。

他方、「貿易実務」は、Incotermsを主たるトピックとして商流を論じ、それに関連する範囲で国際物流、荷為替決済を説明し、通関に少し触れるのが従来の教授内容だった。しかし、企業の一層の国際化の進展に合わせ「国際商取引」、「国際取引論」と称する例も増え、内容もやや広がってきた。こうして見れば、「貿易実務」は商取引法の国際版に近づいてきたように思える。しかし、残念ながら、「貿易実務」、「貿易取引」、「国際商取引」などと称する科目が、企業の国際活動の進展にもかかわらず、商学部、経営学部などで講じられる機会が少なくなっている。「商取引法」も「貿易実務」や「国際商取引」なども、具体的状況、とりわけ異文化間交流の場で、事実や

行為、意見と判断、約束と情報などの仕分けをして、具体的な妥当性や合理性を考え、決定を下してゆく能力を磨くことに適したそれぞれ有効・有益な科目である。これらの科目を学んでその原理・原則を理解することにより、取引の現実と現場において、相手方との間に信頼を確立することができる、と信じる。そして、大学で学ぶ科目であるとともに、職務の現場での実践と研修の要点として、これらの科目で論じられていることを学び続け、説得力のある判断を下せるように心がけたいと思う。

国際コンテナ運送の革新的発展とIncoterms貿易取引(関税法にいう輸出、輸入)は、外航船への商品の積込、あるいはそれからの取り卸しとして説明

されてきた。航空運送の場合には、船舶に代えて国際線の航空機になり、積卸よりも、運送人の管理下への商品の引き渡しに読み替えられている。それらを反映して、伝統的に「passing the ship's rail」(本船欄干の通過)を以って、積卸の時点とされ、「placing the goods in the custody of the air ‒carrier」(具体的には、航空運送人の空港カウンターにおいて商品の受け渡しをすること)を以って、商品の物流リスクの分岐点としてきた。

日本においては、1960年代の後半から、コンテナ革命と称する定期海上貨物運送サービスが急速に進展してきたことは、周知のところである。貨物専用のジャンボ機の導入による航空貨物運送サービスと同様、コンテナ運送は運送人の責任の仕切りをターミナルにおける「受取」から「荷渡し」の区間に拡大したが、貿易取引条件はそれの後追いになった。すなわち、コンテナによる国際一貫運送にふさわしい条件として、FRC(Free Carrier), DCP(Delivered, Carriage/Freight paid to (named point of destination)), CIP(Carriage and Insurance paid to (named point of destination))の3条件が、Incoterms 1980で定義された。その後、Incoterms 1990で、FCA,CPT,CIPに再編成され、E(出荷地渡し)、F(出荷地渡し、主要運送費抜き)、

◇連載◇

1  江頭憲治郎『商取引法』(弘文堂法律学講座双書)、第7版、2013年、神崎克郎『商行為法Ⅰ』(有斐閣大学双書)、1973年参照。

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C(出荷地渡し、主要運送費込)、D(仕向地渡し)の4分類による統一的なコード化が行われた2。Incoterms 2000, およびIncoterms® 2010のうち、それぞれ定期運送を前提にしたこれらの条件は、基本的にIncoterms 1990の手直し、補充などの範囲に留まっていると言えるだろう。商事慣行をベースにして取引条件の統一的定義をするのに、20年以上の歳月を要したことになる。20年以上を経過しても、未だ、十分正確にこれらの条件が理解され、使用されていないようである(本誌、No.432、p.6参照)。

本誌、第433号、2ページの脚注3に指摘するように、FCAとFOBの混同が見られる。同様に、Kawasaki Kisen Kaisha, Ltd., et al, v. Plano Molding Co.事件3では、担当判事が、The original terms of carriage were Free on Board Shanghai(“FOB Shanghai”)と述べているから、売買条件と運送条件の区別をしていない上、その直後の文脈で、to alter the delivery terms from Shanghai to Delivered Duty Paid(“DDP”)と表現している。法律専門家でも、貿易条件(trade terms)の性質を売買条件として正確に理解していないのか、あるいはIncotermsに準拠しないで、売買条件上の引渡(delivery terms)および運送(shipping terms)の両面で用いられることの証左かもしれない。コンテナ運送される商品の売買に、依然として伝統的なFOB, CIF, CFRの各条件を採用する「誤用問題」は、残念ながら十分に解決されていないようである。一旦確立した慣行は、容易に消滅しない「Old habits die hard」の典型例だろうが、最新版のIncotermsが2グループへ集約したことの意味(Liner Servicesによる製品の取引とC/P(charterparty)ベースのcommodityの取引に大別)が十分理解されていないことと、言い換えれば「物流サービス形態が売買条件により大きく影響を与えること」が良く認識されていないのが実情であろう。もちろん、国際定期貨物運送にふさわしい条件は、FOB, CFR, CIFではないとして宣明してから4年弱の時間は短すぎる。むしろ、Incoterms® 2010の供用を受けて、コンテナ貨物の出荷実務をより正確に反映しているFCA, CPT, CIPの使用が増えるべきだろう。したがって、いわゆるコンテナによる国際複合一貫運送に使用できる定型貿易条件(trade terms)として、

FCA, CPT, CIPを詳細に検討して、内容と性質を確認しておく必要が依然としてある。しかし、これら3条件に関する判例の蓄積は少なく、Incotermsの手引き(Guide to Incoterms® 2010)を中心に説明の手がかりとせざるを得ない4。また、貿易取引に関する主要な外国の著書でも、依然として、CIF, FOBを中心に説明し、コンテナによる貿易取引の条件については、Incotermsを紹介する程度に留まっているのはやむを得ないかもしれない5。

コンテナ運送をベースとするIncotermsの主要3条件そこで、IncotermsのFCA, CPT, CIPの3条件(あるいは2010年版では「規則」ともいうが、以下、条件

で統一しておく)を、少し仔細に検討しておきたい。1990年版で分類・整理されたように、これらの3条件に基

2  新堀 聰『現代貿易売買』(同文舘)、第4版、2005年、p.83参照3  2012 AMC 2611(7th Cir.2012)4  J.Ramberg(新堀 聰訳)『インコタームズ® 2010の手引き』(中央経済社)、2010年参照5  C.Murray et al., Schmitthoff The Law and Practice of International Trade , 12th ed. Sweet & Maxwell, 2012は、1ページ

ほどを割いて2パラグラフ(2‒040, 2‒041)でCIP, CPTを説明し、コンテナ・トレードにふさわしい条件として、この2条件にFCAを加えて推奨している程度である。イギリスの古典的体系書であるM.Bridge et al., Benjamin’s Sale of Goods , 8th ed., Sweet & Maxwell, 2010は、CIP、CPTなどにパラグラフを割いていない。R.Folsom, M.Gordon, J.Spanogle et al., International Business Transactions: A Problem-Oriented Coursebook, 11th ed., West, 2012 , 臼井修一『コンテナ物流の基礎』(コスモ・レジェンド社)、2012年、石原伸志・合田浩之『コンテナン物流の理論と実際』(成山堂書店)、2010年など、いずれもコンテナによる貿易取引条件の簡潔な説明に留めている。

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づく貿易取引では、運送手段を特定せず、単一の運送(single mode of transport)のみならず複数の運送手段の組み合わせ(multimodal(combined, intermodal) transport)も想定した条件としている。このため、コンテナ化された貨物の売買取引に適合するので、「コンテナ取引条件」と通称されてきた。以下に、それぞれについての特徴といずれかを選択した場合に留意するべきことに言及したい。

これら3条件では、前述のように、用いる運送手段が固定されていないところに特徴がある。このため、従来のFOB Airではなく、FCA Airのように、各用語に「Air」を付記すれば、航空運送貨物の貿易取引にも使用できる汎用性がある(特に、FCA Airのように断らなくても、FCAそれ自体は十分航空貨物の売買条件として通用するが、「Air」を付記することでより明解になり、今はIncotermsに定義されていないFOB AirあるいはFOB Airportを排する効果がある6。

運送人の責任区間を「運送のための受取り(taking charge of the goods)から引渡し(delivery at the point of destination)」までとし、伝統的な海上運送におけるいわゆる「tackle-to-tackle」(船側から船側まで)の運送責任区間から「place of receipt-to-place of delivery」に責任区間を拡げたことに、特に、重要な意義がある7。その結果、長年親しまれてきた「本船欄干通過(passing the ship's rail)を以って、危険移転の基準にする」ことが廃された(「本船欄干の通過」を運送品の物理的な危険負担の分岐点とすることについては、Pyrene Co., Ltd. v. Scindia Steam Navigation Co., Ltd.事件8で批判的に検討されたが、永くこの語句はIncotermsに残っていた。M.Bridgeも、その著書, The International Sale of Goods, Oxford U.P., 2007、p.71以下で、この分岐点問題を批判的に説明している。そして、港の慣行に従い積み込むこと(loading)が船積(shipment)であり、船積の完了(completed loading)が引渡し(delivery)になると同書の前記箇所の脚注で説明している。飼料・穀物売買の代表的な約款であるGAFTA Contract No.100(CIF)は、第6条

(Period of Shipment)で、“The Bill(s) of lading to be dated when the goods actually on board.と定めている。したがって、passing the ship's railと言う表現は、一種のレトリックであって、actually placing the goods on boardが船積であると言ってよい。 

従来、FOB, CFR, CIFなどの送付型取引(積地渡し型、shipment (or dispatch) contract)において、欄干のない船舶が普通で、にもかかわらずship’s rail という語句が独り歩きをするような状態を廃止した意義は深い。そして、shipment=loading, delivery=completed loadingの前提に立っていて、敢えて「risk of loss, or transfer of risk of loss」の一般約款を設ける貿易取引契約書はあまり見かけない事実と整合することになった。

海上B/L, Sea Waybillにおける運送品の状態の記載も、「受取り式」(received form)の場合には、出荷地での運送人による貨物の種類、数量、荷姿、受取りの際の状態などを証するもので、これらの条件ではそれで足りる(敢えて、本船積込日を追記(on board endorsement)する必要はない9。) 

6  前掲、Schimitthoff , p.31参照7  しかしながら、至上約款(Paramount Clause)などによりHague RulesあるいはHague-Visby Rulesの適用がある場合には、受取

場所(place of receipt)から積込(loading)までの区間および船側における荷卸し(discharging)から引渡しまでの区間(両者併せて、いわゆる“before and after”と呼ばれる)については、責任原則はそれらのRulesの適用はないものとされる。1993年5月改定のJSE-CT B/Lの裏面約款第8条参照。この点に関しては、履行補助者の責任に関するHimalaya Clauseが重要である。

8  [1954] 2 All E.R.158; [1954] 1 Lloyd’s Rep.3219  しかし、信用状付荷為替決済の場合、港湾の安全性などを考慮して、shipped B/Lの提示が発行銀行側から求められることはある。

その場合は、たとえ売買条件がFCA, CPT, CIPであっても、売主は,信用状条件の充足のために前記の積込追記を運送人に求めなければならない。

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これらFCA, CPT, CIPの各条件の差異は、売主及び買主の義務の3, 4 (運送及び保険契約の手配、引渡し)に典型的に現れ、それに伴って費用負担、提供書類に相違が出てくるのである。その他の義務規定は、ほぼ共通しているので、義務規定の3,4を中心に説明しておきたい。

国際貨物運送保険の手配国際貨物運送保険の手配は、売買当事者間の義務規定としては、CIPにおいてのみ契約上の合意事項と

され、その他の2条件では、当事者の自主的な判断と決定により、独自に保険会社との間で取り決めるべきものである。

貿易取引の世界では、貨物保険は、ロンドンのいわゆる協会積荷約款(The Institute Cargo Clauses; ICC)を基準にとって取り決めるのが、国際商慣習法として確立している。巨大危険に対応するためにも、約款を統一して再保険(保険の保険)取引を容易にする仕組みになっている。このため、保険金の支払いなど保険クレームは、イギリスの海上保険法とロンドンの保険取引の慣習に準拠することは、周知のとおりである10。

Incotermsでは、特に、買主からの要請がなければ、最も保険填補の範囲が狭いICC(C)条件で良いことになっている。実際には、複合運送されるコンテナ貨物の場合、海上運送区間の他に陸上運送区間を含むから、ICC約款に陸上運送区間における諸危険を担保危険に含める必要がある。具体的には、ICC(A), (B), (C)の各約款第1条 Risks Coveredはこれに応えている(例えば、鉄道車両の脱線転覆、地震、噴火、雷による損害は(B)約款で担保される。抜き荷、盗難などは付加危険として割増保険料を支払えば担保される。しかし、「波さらい(washing overboard)」は、(C)約款では免責であることに注意し、コンテナ貨物の場合には、(C)約款ではなく(B)約款ないし(A)約款を選択すべきである。したがって、ICC(B)または(A)を手配した場合のICC(C)条件との保険料率差額の負担について、原則通り買主負担とすることを取り決めれば済む。ICC(B)条件の場合、運送品及び運送ルートに固有の危険を付加して危険担保を求める必要があれば、その旨を合意し、同様に割増保険料(additional premium: AP)の負担を原則として買主とするのがIncotermsの考え方である。その他、保険者、保険証券による保険金請求、基本的な填補条件の他に追加する戦争危険担保約款、ストライキ・暴動等担保約款などについての規定は、従来と異なるところはなく、同様の扱いをすれば足りる。

運送書類(Waybill, CT-Waybill, CT-B/Lなど)でカバーされた全運送区間を、保険証券の運送約款(transit clause, duration of risk clause)も考慮して、受取地(place of receipt)から引渡地(place of delivery)までの運送経路を保険証券に示し、保険区間としておくのが標準的な取引実務である。

売買条件が、これらの3条件のいずれかであれば、運送人が積荷として受け取った後は、売買上、運送品の物理的危険の負担は買主に移る。このため、かつてFOB, CFR条件の下で生じた埠頭上における積込前の事故による滅失、損傷の売主負担の問題は回避できる。また、地震による損傷などもICCでは担保してもらえる。したがって、1995年の阪神大震災のときに生じたような、荷主がFOB輸出保険を手配せず、また、地震免責であった日本の約款の下での損害負担問題は回避されることになる。この点でも、コンテナ運送貨物の貿易取引には、FCA, CPT, CIP条件を選択し、ICC約款による保険手配に慎重に対処すべきである。

保険金額については、一般的な慣行であるインボイス金額の10%増しとし、契約通貨で表示すべきである。注意すべきは、定期海上貨物運送の国際条約と同様、海上貨物保険は運送品の艙内積(under deck

10 大谷孝一監訳『外航貨物海上保険 2009年ロンドン協会貨物約款対訳』(損保総研)、2009年参照。

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stowage)を前提に設計されてきたので、海上コンテナによる国際貨物運送の場合、運送人の裁量による甲板積(on deck stowage)に対する保険約款を取り決めておく必要がある。実際には、物理的にこれが甲板ですと示されるものは、コンテナ船の場合にはslot枠に積み重ねてコンテナが積み付けられるので、存在しない。しかし、一応、遮浪壁より下部をunder deckとしているようである。海が荒れて波さらい(washing aboard)の危険にさらされることもあるので、これに対する貨物保険対応は重要である。

保険約款としては、艙内積または甲板積約款(Under Deck or On Deck Clause)がある。それによれば、割増保険料の支払いを条件として、積み付け場所に付き、荷主に通告することなく自由に選択できる裁量権

(optional stowage and deck cargo clause)を運送人に与えているB/L約款の下に運送されることを前提として、コンテナ貨物の甲板積の場合でも保険保護が被保険者に提供される趣旨である。そして、B/L約款では、積み付け場所に関して、荷主に通告する義務を運送人は負担しないし、甲板積の記載をB/L面に記載することを求められるものでもないと定めている11。

荷送人である保険契約者(例、CIP規則の売主)が、船腹予約確認データおよび積み付け表(Bay Plan, Stowage Plan)などで甲板積を知ったときで、甲板積みから生じる損害を填補する保険条件を手配する合意が売買当事者間にある場合でも、運送人の裁量権の行使であるから、敢えて保険者に告知せずとも、前述の約款で対応できるだろう。

イギリスの先例にみるCIP条件と貨物運送保険(on deck stowage)4年ほど前のイギリスの先例が、この点に関して興味深い判断を下しているので、紹介しておきたい。それは、

Incoterms 2000 年版のCIP条件に基づく、イギリスからの3台の救急車のリビア向け輸出(CIP Tripoli条件)に絡むものであった12。

Incotermsにおける売主の運送契約手配義務は、「売主の費用負担で、通常の条件(on usual terms)により、通常の運送経路による運送契約」を結ぶべきことであった。売主が取り決めるべき保険契約条件は、もちろんICC(C)条件であった。そして、この条件の担保危険には、波さらいは含まれていなかった。運送人が、フレート・フォワーダーに送った船腹予約確認書(the Booking Note Confi rmation)には、次に記載があった。

  ALL VEHICLES WIIL BE SHIPPED WITH ‘ON DECK OPTION’ this will be remarked on your bills of lading.(筆者注、大文字に注目)

署名なしのB/Lの写しが、フレート・フォワーダーに船積み当日送付されたが、署名入りの複数のB/Lがフレート・フォワーダーに、船積後4日ほど経過した後に届けられた。そのB/Lには、甲板積みの選択権を運送人が留保する約款があり、事実、甲板積されその旨B/Lに記載されたときは、運送人免責とすることが約款に明記されていた。

このB/Lを入手して、フレート・フォワーダーは、予定保険特約に従い保険会社に保険告知し、ICC(A)約

11  例、JSE-CT 標準B/L約款第15条、Deck Cargo。船会社(実運送人)の約款では、B/Lに“on deck” cargoないし類似の摘記(remarks)をした場合には、ヘーグ・ヴィスビー・ルールズに従い運送人免責とする旨の定めをしている。NVO発行のいわゆる自社B/L(House B/L)はそれに倣っている。したがって、コンテナによる海上運送の場合、通常は、B/L面に“stowed on deck”などとは摘記されない。

12  Geofi zka DD v. MMB International Ltd. Greenshields Cowie & Co., Ltd.(Third Party) (The “Green Island)[2010] 2 Lloyd's Rep. 1(C.A.))

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款を選択し、さらに、艙内積の保証(warranty)を付けた。B/L面に甲板積の記載がないので、積荷は艙内積みであると信じて、売り主側はこの保証を保険者に与えた。

運送品は、実際には、甲板積みされ、航海途上で2台が波さらいにより滅失した。買主は、保険金の支払い請求を艙内積みの保証違反を理由に保険会社に拒否され、運送人との間ではクレーム処理し、売主に対しクレーム処理後の損害額差額を請求した。売主とそのフォワーダーは、B/Lに甲板積みを明示する場合にのみ甲板積みが容認されるとの趣旨の当事者間での先例は、船腹予約確認書に含まれていると主張し、契約違反でないと反論した。これに対し、買主は、特に大文字で記載されている条項を指摘し、運送人は甲板積みの権利を留保していたと主張して争った。これを背景に、第一審は、買主勝訴、売主対フォワーダーの間では、売主勝訴の判決を下した。控訴審

(Court of Appeal)は、次の通り、判示した。

本件の運送契約は、通常の条件に基づくものである。その理由は、運送契約の手配に従事する者ならば、船腹予約確認書を読めば、甲板積みが行われると、B/Lにその旨記載されることを意味するものと理解するだろう。したがって、荷送人に通知することなく行う甲板積みの裁量権の行使には一定の制約がかかっていたからである。

保険契約の手配に関し、フレート・フォワーダーには、運送品が艙内積みされることにつき確認を怠ったまま、艙内積みの保証をしたことに過失がある。売主に関して言えば、ICC(C)条件の下で有効な保険契約の手配を怠ったかもしれないが、現に生じた損害は売主が手配すべきこのICC(C)条件で担保される危険ではなかったから、売買契約上は買主に何ら実害をもたらしていない。ICC(A)条件での保険填補を手配することを売主が口頭で合意していたと認定することは、買主がその旨の主張していないから、判事には許されないことである。売主勝訴。

以上は、CIP規則上の売主の運送契約手配義務とそれに関連した保険契約の填補条件の調整に関する示唆に富んだイギリスの事例である。コンテナ運送においては、運送人に甲板積みの選択権がB/L約款により通常は与えられているので、売買当事者はIncotermsの義務規定とは別に、ICC(A)もしくは(B)条件での貨物保険手配につき、その経費負担を含め特約するのが賢明である。なぜならば、前述のとおり、コンテナ貨物は概ね単価の高い商品であり、甲板積みされるときは、荒天やコンテナ固定上の過失(すなわち、積み付け不良)などにより、波さらいの危険を伴うからである13。

FCA, CPT, CIPと運送契約の手配先に紹介したイギリスのCIP条件による貿易取引に関する判例から判るように、コンテナ貨物の運送契約や

保険契約の手配には、慎重を期さなければならないことが多い。コンテナ詰め貨物の甲板積みは、その一例に過ぎない。その先例から明らかなように、運送契約の取次や手配に、フレート・フォワーダーが荷主と運送人の間に立って重要な役割を果たしている。

コンテナ運送は、標準的なサイズのコンテナを基準に運送賃が建てられ、荷扱いも、同様に一種あるいは一

13  こうしたことを考えると、FCA条件にして、買主側で物流リスクを一元的に管理するのが実務的に妥当だろう。この裏返しとして、売り主側に物流サービスを一元的に管理する体制があれば、CIP, DATが売買条件として好ましいだろう。したがって、CPTは、物流リスクの一元的管理の視点からは中途半端に見えるかもしれない。

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社の貨物のみでコンテナを満載できるか否かが、重要な相違をもたらしていることは周知のところである。実運送人(actual carrier)は、コンテナ運送システム全体を統括管理したいので、具体的な荷扱いについては専門の業者との間で分業する体制を敷いて、いわゆるLogistic Servicesをそれらの業者に委ねようとしている。したがって、FCL貨物だからと言うだけで実運送人が直接的に荷役業務を担当するとは限らない。言い換えれば、実運送人専属のLogistic Service会社を介して荷役の諸業務が行われることの方が多い。他方、荷主は、それらの業者と折衝して、運送、保険、検査・梱包・コンテナ詰め、通関などの業務を処理しているのが通常である。首記の売買条件を貿易取引契約の条件とするとき、それらの業務を担当してくれる優れたフォワーダー、NVO(非船利用運送業者)、3PL業者などとよく連携することが、円滑な貿易取引に不可欠である。実運送人から見ても、そのような優れた業者との提携はコンテナ貨物の集荷・配送・仕訳・情報管理

(documentation や積荷情報)などの観点からも重要である。荷主と運送人の間に活躍する、これら各種の業務サービスを担当する業者との効率的で正確な情報連携が、B-to-B及びB-to-Gの両面で貿易の円滑化や貿易取引の電子情報化の推進に果たす役割は大きい。これらの専門業務サービス業者の電子ビジネス対応が、効率的なSCMのカギを握っていることは明らかである。そして、大手実運送人や3PL業者が、それらのサービス業者を束ねる役割をしている場合が少なくない。

ここでは、特に、フレート・フォワーダーとNVOを取り上げて、コンテナ貨物と貿易取引に焦点を当てたい14。実運送人から見れば、フォワーダーであれNVOであれ、いずれもLogistic Serviceを提供してくれる業者であり、荷主関係者から見れば、物流サービスのアドバイザーあるいはコンサルタントであり、運送取次の他に、時には運送証券を発行して運送責任を引き受けてくれる重要な業務パートナーである。契約運送人となるNVOは、契約運送を引き受け、売買契約上の売主(荷送人)に対しては運送人の立場に立ち、求めがあれば自社B/Lを発行する。実運送人(Vessel Operating Common Carrier=VOCC, or VOC)に対しては、NVOは荷送人の立場に立ち、VOCが引き受けた運送の荷受人は、NVOの仕向地営業所や業務提携先企業、あるいは売買契約上の買主になる。

FCA, CPT, CIPを貿易条件として選択する輸出入者は、このようなLogistic Service Providerとの取り決めの中味を理解すると同時に、取り扱う商品についてその業者の知識経験を吟味して、選択・選任することが肝要である。商品分類、商品知識、荷扱いなどについて実運送人はこれらの業者からの情報と判断に依拠せざるを得ず、船積24時間前ルールで要求される情報の信頼性、コンテナの荷繰り・積み付けの安全性、運送書類上の記載の正確性などに密接に関連し、実運送人の責任が問われる事態も稀ではないからである15。

日本からの輸出の場合(とりわけ対米輸出の場合)、海陸などの国際複合運送契約が必要になるので、日本のNVOが自ら外国の陸上運送業者と直に複合運送取り決めをすることは多くなく、VOCが張り巡らした国際複合運送業務のネットワークに参加しそれを利用することになる。しかし、NVO独自のB/Lを発行するより、実運送人であるVOCのB/L(master B/L)に依拠し、全運送区間をカバーしてもらうことが、とりわけ北米との間の複合一貫運送の場合、本誌前号に触れたアメリカの判例理論を活かすためにも好都合だろう。そうだとすれば、House B/Lは原の荷送人とNVOの間の運送状になることもあるだろうし、NVOというよりフレート・フォワー

14  フレート・フォワーダー、NVO, 3PLなどについては、JIFFA編『国際複合輸送業務の手引き』(JIFFA), 第8版, 2013 年、第1章参照

15  実運送人あるいは契約運送人は、コンテナに運送品を詰めた者に対して、貨物情報の正確性の保証(warranty)を求めることができる。国際海上物品運送法第8条第3項、JSE-CT B/L裏面約款第13条参照

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ダーに近い存在になり、FCR(Forwarder's Cargo Receipt)を用いることもあるだろう16。仮に、NVOとVOCの間で運送書類が使用されたとしても、これも運送状(waybill)として機能するものと思う。日本のNVOが、アメリカの当局からNVOの認定を受け、アメリカの鉄道会社を下請運送人とし、ヘーグ・ルールで全運送区間を規律する体制を敷くことは取引交渉力の点からも簡単なことではないと想像されるからである。したがって、荷主としてはVOCのサービス網を超える地点を売買契約上の仕向地(あるいは出荷地)にすることは慎重でなければならない。VOCは、NVOなどと組んで国際複合運送サービス地域の範囲を広げ、それを主宰するよう努めている。また、日本のNVOが、国際複合運送業務を自社の責任で引き受ける場合には、運送貨物の出荷地(point of origin)及び仕向地(point of destination)に営業施設を持ち、内外の業者と国際複合運送業務契約を結び、自社主導で、言い換えれば、自社のB/L(Waybill)のみで履行できる体制を整えなければならない。これも容易なことではない。

NVOと言えども、身軽に国際展開できるわけでもなく、自社B/Lを発行して運送責任を引き受けることができる範囲は限られてくるだろう。したがって、VOCと連携して、フレート・フォワーダーとして、VOC発行のB/LまたはWaybillの下で、物流サービスを提供することも重要である。

このように見れば、国際コンテナ運送に基づく貿易取引は、概ね、VOCを中心にして形成された主要なルート上において盛んであるといえる。相手国の国内運送制度が良く整っていないと、前記の貿易の諸条件のいずれかを選んで、港湾隣接の地域から深く運送区間を拡げて内陸の業者と取引することは相当困難を伴うであろう。とりわけ、国内の運送規制が強行的に適用される国に所在する貿易業者との間の取引では、依然として、ocean terminalおよび隣接のコンテナ・ターミナルを始・終点とする運送を前提とした貿易取引条件が重要になる。すなわち、貿易取引は概ね海上売買性(sea-borne trade)を依然として色濃く残しているといえるだろう。そして、多少長い国内運送区間を含む国際複合運送の責任体系は、network liability systemで対応される。日欧、日中間の複合運送の場合がこれに当たる。発生区間不明の損傷(concealed damage)に対する責任は、距離的に長い海上運送区間の責任原則が適用される。日本からCIP 成都(中国)で輸出すると言っても、香港などで陸揚げし、それ以降は日本で運送契約を引き受けた業者が中国内の業者と業務提携していないと、成都までの一貫の運送証券を発行できない。発行できたとしても、中国内の陸上運送は、中国法に基づいて処理されるべきものとされ、対米貿易の場合のようなThrough and Exclusive Liabilityを契約運送人が荷主に対して引き受けることはできない。

興味深い事例として、先にFCAとFOBの誤用に関して取り上げたKawasaki Kisen v. Plano事件の再審判決を紹介しておきたい17。

P社は、イリノイ州法人でプラスチック成型に従事し、その製品の販売をおこなっている。アジアからの製品輸入業務の仲介をするC社を介して、中国の製造業者Kと取引することになった。中国・アメリカ間の運送を、World社が取り次ぐ(coordinate)ことになった。元の出荷条件はFOB Shanghaiで、P社が船積後に物品の所有権を取得する筈だった。しかしながら、P社の担当者とWorld社の担当者などが協議の上、条件をDelivered Duty Paid(DDP)

に変更する方向が打ち出されたが、結局は条件は変更されず、World社発行のB/Lでは、P社を荷受人

16  NVOとFreight Forwarderの差は微妙であるが、NVOが運送書類を発行して運送責任を引き受けるならば、Hague RulesあるいはHague-Visby Rules上の注意義務を負担すべきである。

17  Kawasaki Kisen Kaisha, Ltd., et al., 2014 AMC 438(N.D.Il.2013)

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と表示した。P社は、そのB/Lを受取ったが、それにはHimalaya約款が挿入されていた。そのB/Lには、荷主(Merchant)が定義され、運送契約関係者の他に、証券所持人、運送品に利害関係を有する者などの他に、それらの者の代理人が含まれていた。

WorldのB/Lに拠れば、コンテナ詰めがWorld以外の者により行われた場合、荷主は、積み付けおよびコンテナ・シールの安全性と的確性、荷扱い並びに運送は適正なものであることの保証をWorldに与えるべきものと定めていた。これに反して、損害、損傷、負傷などが生じたときは、荷主はWorldに補償することとされていた。

World社は、フレート・フォワーダーとして、T社とK-Lineに米中間の運送を依頼し、米国内はK-Lineが、Union Pacifi c(UP)に鉄道運送を委託した(subcontracted)。UP社の列車が脱線して、他の荷主にも相当な損害をもたらした。P社は、FOB条件の買主として、物品の運送手配に関して、World社をフレート・フォワーダーとして使用

し、20フィート型コンテナ詰めのFCL貨物とすべきことを指示していた。また、P社は、運送賃と通関経費を支払っていた。これを総合的に考慮するとFOB売買であった。

WorldのB/Lには、P社が荷受人として表示され、C社は荷主関係者でないと認定された。その結果、P社は、Kawasaki KisenのB/L上の約款を摂取していたWorldのB/Lに拘束され、Kawasaki Kisenに対し、運送契約上の荷送人として運送人に対する保証違反の責任(Kawasaki KisenおよびUP社の顧客にもたらした保証違反に起因する損害の賠償責任)を負担すると判示された。

荷主として、複合運送の取次をフレート・フォワーダーに依頼するとき、海上実運送人の運送証券に準拠した業務引き受け書がB/Lの様式を借りて行われ、荷主に提供されると、この事案のFOB買主のように、運送契約上の荷送人としてそのB/L約款に拘束される。売買条件が、CPT, CIP, DDPなどの条件であれば、上の事案の運送人に対する責任は、運送契約上の荷送人として売主が負担することになる。これらの条件の下で売主は、フレート・フォワーダーの選任に注意し、運送品の保管、梱包、コンテナ詰め、適切な運送関連書類作成などに万全を期さなければならないことをこの事案は示している。

小 括Incoterms® 2010のCIP条件の助言メモに明らかなように、運送契約の出荷地は、売買契約上の運送人

への引渡し地点で、かつ物流危険の負担の分岐点であり、仕向地は引渡し費用の負担の限界である。運送賃は運送サービスの対価であり、その運送サービスに伴う荷送人としての運送人に対する保証責任に注意すべきである。また、可能な限り具体的に出荷地と仕向地を定め、その間の運送契約の手配を行い運送賃を負担するのがCPTおよびCIP売主の運送契約責任であることを銘記しておくべきである。

SCMに合わせた物流サービスを提供するCIP条件を実現するためには、荷主が運送人と連携しその間でいわゆるService Contractが成り立つ程度の運送量が必要になるだろう。また、売り荷主と買い荷主との密接な企業間連携も不可欠だろう。このように、同じCIP条件と言ってもService Contractベースのprivate carriageに近いものを利用する場合と、従来型のport-to-port間の運送をベースにするcommon carriage(一般公衆運送)を利用する海上売買系もしくは航空運送系のCIPに二分されるだろう。そして、国際荷為替型決済が利用されやすいのは、後者の方だろう。前者は、そのような決済条件を必要としない取引関係のときの売主主導の物流に基づく条件と言える。

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このように、Incoterms® 2010年が、「本船欄干」を物流危険の仕切り点とすることを廃し、「受取り」から「引渡し」までに運送区間を拡大したと言っても、それに見合うpoint-to-pointのSCM物流が売買契約に直ちに採用され、CIP, CPT, FCAが陸上売買性を色濃くする場合は限られるだろう。それゆえ、未批准だがRotterdam Rules(2009)がこれらの条件の将来に重要な影響を及ぼすのではないかと思う。それは、正式名称が、The UN Convention on Contracts for the International Carriage of Goods Wholly or Partly by Seaとなっていることに示唆されている。

この間、国際的に標準的なB/Lの至上約款(Paramount Clause)とヒマラヤ約款(Himalaya Clause)の重要性に注目したい。また、国際物流の電子情報化は、海運同盟がほとんど姿を消した今、各種のLogistic Serviceを束ね、SCM物流の主宰者(organizer)になる企業の業務効率向上の意欲と主宰者間の業務連携の成否に依存するのではないかと思う。

訂正: Incotermsは、2010年版より著作権登録記号を付すことになっているのを、前号までは見落としてい ました。該当箇所を、Incoterms® 2010に訂正してください。

以上

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記事2. 税関研修所にて≪国際貿易円滑化に向けた動き(~国連の動きを中心に~)≫

財務省関税局は、全国9税関に配属されている中堅職員(係長相当職任用前)を一堂に集め、税関行政全般に関する知識及び技能を修得させ、業務遂行能力の向上を図ることを目的に「中等科研修」(財務省税関研修所(千葉県柏市柏の葉所在))を毎年開催しています。

当協会は、平成22年度から税関研修所の要請に基づき、この中等科研修の教養講話として、「国際物流を巡る貿易円滑化と安全確保の動向」とのタイトルにより講演を行っています。平成26年度における中等科研修は、第一期が9月30日~ 11月7日までの間、研修生134名を対象に実施され、また第二期が11月12日~ 12月19日までの間、研修生約130名程度を対象に実施されることとなっております。

当協会は、去る11月5日(水)第一期の研修生を対象に約3時間に亘り、国連CEFACTにおける貿易円滑化に向けた国際標準化の動向等を中心に、最近の国際物流に関するトピックスを織り交ぜながら税関行政との関連性等について講演を行いました。

各研修生は、①国連CEFACTにおける貿易円滑化に向けた標準化の動向、②国際貿易における海上運送書類(B/L、SWB(Sea waybill))に関する最近の動き等、これらの内容が税関行政に及ぼす影響等について興味深く聴講していました。主たる講演の内容は、以下のとおりです。

1.国連CEFACTにおける貿易円滑化に向けた標準化の動向国連CEFACT(貿易の円滑化と電子ビジネスのための国連センター)の組織や貿易円滑化と電子商取引

に向けた活動(勧告の発出等)の変遷など、これまで国内外での貿易円滑化等に向けた活動について説明。

《中等科研修での講演》 《熱心に聴講する中等科研修生》

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2. 海上運送書類の手続簡素化に向けた取組み平成25年度事業として当協会は、 国連欧州経済委員会(ECE)勧告第12号(改定版)を受け、船荷証

券(B/L)と海上運送状(SWB)の運用実態と課題等を調査し、これをもとにB/L⇒SWBへ極力移行するよう関係団体等に提言。この調査概要等について説明。

3. WTO貿易円滑化協定の動向2013年12月、WTO閣僚会議は税関手続の迅速化・簡素化の措置を盛り込んだ貿易円滑化協定に合意。

結果として予定されていた2014年7月末までの採択には至らなかったものの、国連 CEFACTは、この合意を受け、その実現に向けた検討をWTO及びWCOとも協調して実施。WTO貿易円滑化協定の概要と国連CEFACTでの検討状況について説明。

以上

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記事3. 国連CEFACTからのお知らせ

3-1 6 November 2014:  24th Forum in New Delhi: enhancing trust in paperless trade

 2014年11月6日第24回ニューデリーでの国連CEFACTフォーラム:ペーパーレス貿易に対する信用性の強化

To advance the work on developing standards and recommendations in support of trade facilitation, the United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business (UN/CEFACT) held its 24th Forum Session from 27 to 31 October in New Delhi, in collaboration with the Ministry of Communications and Information Technology of India. Around 200 experts from the public and private sector from around the world participated.

貿易円滑化の支援のための標準および勧告の開発作業を促進する為に、国連CEFACTはインドの通信・情報技術省と共同で、10月27日から31日までの間ニューデリーにて第24回フォーラムを開催しました。世界各地からの官民の機関からの約200人のエキスパートが参加しました。

One highlight of the week-long activities was a Workshop on ‘Security and Authentication to Stimulate Paperless Trade and Governance’ during which experts exchanged views on a wide range of topics, including authentication frameworks, interoperability of electronic exchange of information, recognition of foreign certifying authorities and governance. The workshop concluded with a recommendation to build a UN mechanism for mutual recognition of Digital Certifi cates for facilitating cross border paperless trade.

《タージマハール:インド》

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1週間にわたる活動の1つのハイライトは、エキスパートが認証フレームワーク、情報にかかる電子交換の相互運用性、外国の証明機関の認証およびガバナンスを含む広範囲のトピックに関する見解を交換したことです。当フォーラムは「ペーパーレス・トレードおよびガバナンスを活性化するセキュリティおよび認証」に関するワークショップとなりました。

ワークショップはクロスボーダーにおいてのペーパーレス貿易円滑化の為のデジタル証明書の相互認証の国連メカニズムを構築することを勧告することとなりました。

Facilitation of international trade requires continuously improving the ability of businesses, trade/regulatory organizations and other public and private service providers, to exchange products, services and information effectively. UN/CEFACT develops and maintains standards and recommendations which are used worldwide by Governments and business communities.

For more information, please visit: http://www.unece.org/index.php?id=35433

国際貿易の円滑化には産品、サービスおよび情報を有効に交換するためのビジネス、貿易/法令/組織および他の公私のサービス・プロバイダーの能力を継続的に高めることが必要です。国連/CEFACTは、政府と産業界にとって世界的に使用される標準および勧告を開発し維持しています。

詳細は、以下をクリックしてください http://www.unece.org/index.php?id=35433

3-2 27 October 2014: Call for Participation on Project "Common Framework for Freight Information Exchange". Following approval of the "Common Framework for Freight Information Exchange Project", this is to announce a call for participation. This Project concerns studying requirements for freight information exchange across the international supply chain as well as reviewing existing frameworks in view of confi rming or invalidating the need for a UNECE Recommendation on the subject. To register interest in participating or for more information please contact Mr. Mike Onder (email: [email protected]).

 2014年10月27日「輸送情報交換用の共通フレームワーク」プロジェクトへの参加募集。

「輸送情報交換用の共通フレームワークプロジェクト」の承認に伴い、このプロジェクトへの参加者を募集しています。このプロジェクトは、当該テーマに於いてUNECE勧告の要否を判断する視点で既存のフレームワーク類をレビューするのと同時に、国際サプライチェーンを跨った輸送情報交換に対しての要件を研究するものです。参加に興味がある方の登録、もしくは更なる詳細についてはMike Onder氏にコンタクトください。

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Call for Participation on Project "Multi Modal Transport Reference Data Model". Following approval of the "Multi Modal Transport Reference Data Model (MMT) Project" this is to announce a call for participation. This Project concerns developing a Multi Modal Transport (MMT) reference data model, as a limited structured subset of the UN/CEFACT ebXML Core Components Library, providing semantic links especially between the Core Components and the EDIFACT implementations. To register interest in participating or for more information please contact Mr. David Hesketh (email: [email protected]).

「マルチモーダル輸送参照データモデル」プロジェクトへの参加募集。

「マルチモーダル輸送参照データモデル(MMT)プロジェクト」の承認に伴い、このプロジェクトへの参加者を募集しています。このプロジェクトでは、特にコア構成要素とEDIFACTインプリメンテーションの間のセマンティックな(意味的な)リンクを提供する「UN/CEFACT ebXMLコアコンポーネントライブラリー」の限定的な構造化されたサブセットとしてマルチモーダル輸送参照データモデルを開発します。

参加に興味のある方の登録、及び更なる詳細ついてはDavid Hesketh氏にコンタクトください。

Call for Participation on Project "Purchase Order Financing Project". Following approval of the "Purchase Order Financing Project" this is to announce a call for participation. This Project concerns providing companies short term solution for funding inventory in order to complete sales transactions. To register interest in participating or for more information please contact Mr. Fabio Sorrentino (email: [email protected]).

「POファイナンスプロジェクト」への参加のお知らせ。

「POファイナンスプロジェクト」の承認に伴い、このプロジェクトへの参加者を募集しています。このプロジェクトは取引を完遂するための資金調達にかかる短期間での解決方策を企業に提供することにあります。

参加に興味のある方の登録、更なる詳細についてはFabio Sorrentino氏にコンタクトください。

以上

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記事4. 『ばいざういんどせいらー』日本列島船の旅〔東北/関東圏から最短時間で行く北海道へ新幹線&フェリーの旅〕

○効率的なバイパス航路/4隻の船が1日4往復この航路もご多分に漏れずバイパス効果の大きい航路である。八戸~苫小牧は陸路ではJRで493.6km、

所要時間は新幹線と在来特急で6時間弱である。海路はその半分以下の237kmで所要時間は7 ~ 8時間半である。因みに北海道は南に面した良港として「室蘭港」があり大型カーフェリー用岸壁2か所を有していた。博多、直江津、青森、八戸、大洗、大間の各地に向け大型カーフェリーが就航していたが、2006年11月30日、室蘭~青森航路の撤退を最後にフェリーターミナルとしての機能を失っている。苫小牧港に比べ札幌へのアクセスが悪かったのも一因であろう。

バイパス効果のあるこの航路は当然便数も多く、2014年11月現在で1日4往復4隻での運航である。供給輸送量は4隻で乗客2,150名(片道、以下同)、12mトラック296台、乗用車94台である。夜に出港して朝に到着する3便の消席率に軍配が上がるが、夜中に苫小牧に入港して早朝に苫小牧を出港するトラック輸送を主体にしたダイヤもある。まさに客あり貨物ありで多彩を極める航路である。

○多様なニーズにマッチした各船4隻の就航船について以下簡単に紹介する。我が国で中距離航路(航路延長100km以上300km未満)

に就航する10,000トン以上の船舶は、2014年11月現在で2隻のみであり、そのうちの1隻が「シルバープリンセス」(10,536トン・旅客定員500名)である。

また同船の2等寝台は特筆ものであり全てシングルルームの個室で30室ある。同船での夜間便でのこの個室の利用は予約を勧める。

等級は2等、2等寝台、1等、特等であるが「べにりあ」(6,558トン・450名)は4名定員の2段ベッドの1等室が11部屋、その他は全て雑居室のごろ寝スタイルの2等(和室)である。貨物主体のダイヤで運航するので一般乗客の数は他船に比べて少ない。

特等はバス・トイレ付のツインルームでホテルのツインルームを思い浮かべたら良い。1等は和室、洋室ともにあり(「べにりあ」は洋室及び和洋室のみ)4名部屋だが船により2名部屋もある。2等寝台が同じ値段で船によりまちまちである。「シルバープリンセス」は個室のシングルルーム、「シルバーエイト」(9,483トン・600名)は「シル

八戸港に佇む同航路最大の「シルバープリンセス」1日に4便就航(特に八戸22時発は人気が高い)

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バープリンセス」と同様の面積で2段ベッドが1基の2名部屋、「シルバークイーン」(7,005トン・600名)では大部屋に2段ベットがしつらえられている。2等室は大部屋ではある。「シルバープリンセス、シルバーエイト」は個人のスペースが決まっており、この上方に個人毎の鍵のかかるロッカーがあり雑居室のスタイルの2等室としては最高のランクであろう。

公室関係としては今やすっかりカ―フェリーには定着した感がある「展望風呂」(「べにりあ」は通常の風呂となる)。「オートレストラン」、「ペットルーム」(「シルバープリンセス、シルバーエイト」のみ)。ロビー、キッズルーム、ゲームルーム、売店等である。「オートレストラン」とは冷凍食品の自動販売機と電子レンジ、紙コップや箸、スプーン、フォーク等を置いた言わば「フリースペース」であり、航海中は常に使えるという利点がある。冷凍食品の品数は多い。筆者は当航路でのレストランの必然性について考える事があるのだが2013年に引退した「べが」ではレストランは営業されてはいたものの朝食は1名(筆者のみ)、昼食、夕食共1桁の利用率(苫小牧発昼行便で尤も乗客は少なかったが)であったが、今回、苫小牧発の夜行便、八戸発の夜行便に乗る限りはこの「オートレストラン」は活況を呈していた。各人、食事を持ち寄り殆どの席が埋まっているのである。レストランを作っても限られた人しか利用せず、さらに営業時以外は閉めてしまえば50名程度の折角の広いスペースが有効利用されずに終わってしまう。船社はそれを考えての措置であると思うが、上記した時刻表を見てもレストランの必要性があると言う読者が果たしてどれだけいるであろうか?それよりは仲間や家族と共に持ち寄った食品と共にフリースペースで談笑したいという方が多いであろうと推察するのは筆者だけであろうか?

   

「シルバープリンセス」2等寝台(1名部屋:全30室)「シルバープリンセス」特等室(2名部屋:全5室)

和の趣がある「シルバーエイト」展望浴室マットと個人ロッカーのついた2等室「シルバープリンセス」

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○コンプライアンス重視の本船とペットへの「おもてなし」同社のフェリーではコンプライアンス重視の感が窺われる。まずは船内での煙草の販売は一切ない。次に、

アルコール類の自動販売機がないのである。これは、未成年及びドライバーの安易な購入を抑制する為であろう。当然、売店で購入する乗客を見ての「対面販売」となり、それも出港後1時間程度で終えてしまう。ビールを飲んだ際に果たして何時間経てば「飲酒運転」逮捕の基準値を越えるのか否かは筆者には分からないが「飲酒運転撲滅」の一役をかっている。「対面販売」すれば売店に女性乗組員を配置して、人件費も嵩むであろうものを立派な企業ポリシーと言えよう。未成年の子を持つ親にとってもこの船での船旅は未成年同士であっても安心して利用させることが出来るというものである。「おもてなし」は人もそうであるが、大事なお客様とともに犬に対しても同様である。ソファーを配置した個室に

特別料金で「ペットルーム」と称している船もあるが、「シルバープリンセス、エイト」に各2部屋設置されている。ペット同伴1等室は2名分の2段ベットをも設けた個室でありケージもいささか大きく、正に「犬と寝食を共にする」方には好都合であるし通常の1等料金で利用できる。ケージをそなえた「ペットルーム」も「シルバープリンセス」には10ケージ「シルバーエイト」には8ケージあり冷暖房付きの「おもてなし」で特別料金は不要である(9月号で紹介した航路も特別料金不要)。犬の大きさによりその「同伴方法」は異なるが、この他にマイカーに置いておく方法もある。この場合にはどの会社のフェリーでも航海中は車両甲板には「立ち入り禁止区域」となるので犬に面会は出来ないことに事前の注意が必要である。

○「オイソガ氏」の出張シュミレーション!さて夕方の退社時刻が迫る時に、東京駅まで至近距離の丸の内にあるオフィスに勤務する「オイソガ氏」に

急遽、出張命令が下った! 明日9時に札幌で開催される会議でのプレゼン及びプレゼン資料の作成である。生憎、新千歳空港行きの本日の航空機と明日の朝8時までの航空機は全て満席であった。寝台特急を見てみれば1本ある。上野駅19時03分の出発には十分に間に合うが、札幌到着は翌11時15分である。6月号で触れた「青森~函館」航路では東京駅を17時20分の東北新幹線で新青森には20時42分に到着である、青森港を22時20分に乗れば函館港に翌未明02:05に到着し、23時30分なら同03時20分に到着する。しかし・・・・・・・・函館駅発札幌行きの最初の特急列車は06時22分で札幌到着は09時58分である、遅れる、しかもどうやって深夜の函館で時間を潰せというのか??

東北新幹線で新青森まで北上したら青森駅を22時18分発の夜行急行があり札幌には翌06時07分に着き

広 と々した豪華なロビー「べにりあ」「シルバークイーン」オートレストラン・フリースペース

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これは大丈夫そうだ。車中8時間足らずの仮眠が出来る、しかしこの列車は同じ様に関東圏と札幌の出張族に人気が集まり指定席が取り難いと聞く。自由席も2両連結しているが必ず座席に座れるとは限らないのではないか。

そこで「オイソガ氏」が選んだのがこの八戸~苫小牧ルートである。17時20分に東京駅を出発したら20時13分には八戸駅に到着。この間に新幹線の中で大まかに書類作成を片付ける。八戸駅から新幹線に接続している八戸線で2駅目の本八戸駅へ、同駅20時45分の連絡バスに乗り20時59分に八戸港に到着する。「シルバーエイト」の八戸港出港は22時である、八戸港到着と同時に乗船手続きを行い早速、船に乗り込む。

落ち着いた「和」のテイストの船内でまずは展望風呂で疲れをいやす。十分なスペースの「オートレストラン」にて東京駅地下で購入した惣菜でまずはビール、冷えた食物はオートレストランにある電子レンジで瞬時にしてホカホカに。出港後1時間、パソコンでプレゼン資料を仕上げてほろ酔い気分で23時に就寝、あす朝は「樽前山」が迎えてくれる苫小牧入港である。

苫小牧には6時定刻に入港し、速足でボーディングブリッジを渡り、タクシー(約1510円、10分)で苫小牧駅に向かう、苫小牧駅06時27分発の普通列車で7時36分に札幌到着。(苫小牧~駅のバスは07時25分~07時42分:札幌行きL特急の苫小牧発は7時51分でこれに乗って8時37分に札幌に着く手もある)。

会議も終わった。「オイソガ氏」は翌日も東京で仕事だ、10時にアポがある。札幌支店の後輩に「一杯やりましょ

う」と誘われる。1年振りの再会であり「18時半まで」という条件付きで繁華街に繰り出す。帰りは札幌駅発18時44分発のL特急で苫小牧へ、駅からタクシーで苫小牧港に向かう、到着したのは19時40分頃、21時15分発は同航路の最大船である「シルバープリンセス」である。評判の良い「2等寝台」を購入する、インサイドの窓なしではあるがシングルベッドと高級な寝具である。早速、展望風呂でひと汗流し、オートレストランで土産の寿司をつまむ。さあ、あすの入港は早い。21時前にはもうベットイン、静かで落ち着いた部屋で快眠、出港したのも覚えていない。ぐっすり眠って入港30分前の4時15分に八戸港入港が定刻である旨の船内放送で起こされる。船中2泊であるが疲れは覚えていない。4時45分にぴたりと「シルバープリンセス」は八戸港に着岸した。タクシーに乗り朝市に向かい新鮮な海産物を物色しその後八戸駅まで飛ばし6時41分の東北新幹線に乗る。9時23分には東京駅に到着、今日も良い仕事が出来そうだ。

(交通機関の時刻は2014年11月1日現在のものを記載した)。以上

地味ながら貨物輸送に力を発揮する「べにりあ」(八戸港)航海の中盤尻屋崎沖(下北半島)を通過(「べにりあ」船上より)

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Page 21: 434 · 脚注で説明している。飼料・穀物売買の代表的な約款であるGAFTA Contract No.100(CIF)は、第6条 (Period of Shipment)で、“The Bill(s)

JASTPRO 第40巻 第8号 通巻第434号

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平成26年11月25日発行 JASTPRO刊14-08

発 行 所 (一財)日本貿易関係手続簡易化協会 東京都中央区八丁堀2丁目29番11号       八重洲第五長岡ビル4階 電  話  03-3555-6031(代) ファクシミリ  03-3555-6032 http://www.jastpro.org編 集 人 山 内 大 二 郎

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