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Volume 1 OVERVIEW GLOBAL COMPACT CAR NEWSLETTER

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Page 1: GLOBAL COMPACT CAR NEWSLETTERNEWSLETTER 革新的グローバルコンパクトカー、 マイクラ/マーチが打ち立てる新しいスタンダード 新開発のVプラットフォームを次世代グローバルコンパクトカー

Volume 1OVERVIEW

GLOBAL COMPACT CAR NEWSLETTER

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革新的グローバルコンパクトカー、

マイクラ/マーチが打ち立てる新しいスタンダード

新開発のVプラットフォームを次世代グローバルコンパクトカー

ラインナップに導入し、3ヶ国で生産をスタート

Volume 1OVERVIEW

グローバル市場向けブレークスループロジェクトの一環として、日産自動車株式会社は、

革新的なVプラットフォームとその技術を採用したまったく新しいマイクラ/マーチを2010

年の早い時期に披露します。日産は、このモデルで、新型車といえば日本、米国、ヨー

ロッパのいずれかで生産を開始するというこれまでのやり方ではなく、インド・中国・タイな

どの海外拠点を皮切りに新規車種を生産しようという革新的なやり方を試みました。この

取り組みを成功させるため、日産は新しい生産プロセスを念頭にこのクルマを開発し、高

い品質レベルの維持、優れたパッケージング、競争力ある価格を実現するために、いかな

る妥協も許しませんでした。

このプロジェクトが始動した背景には、新興国市場でコンパクトカーの需要が急増してい

る状況、世界のクルマの20%を占めるこのセグメントでのこれまでの日産のシェアがごく

わずかだったという事実、そして日産のグローバルネットワークと持てる技術力を余すとこ

ろなく活用すべきというグローバル戦略に好機があったという3つの要素がありました。

Vプラットフォームを今後3年間で少なくとも3車種に採用するという前例のない取り組みに

対処するために、日産は、生産、現地化、商品企画において業界トップレベルの経験とノ

ウハウを誇るプロから成るユニークなチームを結成しました。

プロジェクトリーダーのヴァンサン コベに加え、20年以上に亘りグローバルな車両開発に

携わってきた都留典孝もプロジェクトに参加しました。さらに、コンパクトカーの商品企画ス

ペシャリストである加藤顕央も開発に加わりました。

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世界のベストを一堂に

「スマートエンジニアリング」と言われる今回の日産の開発手法は、コストを抑制しながら、

Vプラットフォームを基本に、それぞれの市場要件に適応できるよう車両設計および生産

プロセスの細部にわたる調整が図られました。「私たちは、賢くて新しいアイデアによって

新たな価値を作り出すことを目指しています。私にとっては、まさに日産の将来と対峙して

いるようなものでした。私たちは、グローバルのほぼ全ての市場をカバーするために複数

の国で一連の車両を生産することを決定しました。そしてそのクルマには機能性、先進性、

デザインとハンドリングの良さ、居住性および所有することの満足感が素晴らしいコンビ

ネーションで盛り込まれています。これらのクルマの生産を、日米欧以外の国で始めると

いうことで、品質に影響が出るということは決してありません。定評のある日産のグローバ

ルな日産生産方式が、世界水準の品質を保証します」とコベは語っています。

都留は、「このチームは、既存の成熟市場では生産できないような競争力のある量産モデ

ルの開発のための優れた方法を生み出しました。もちろんそれは簡単なことではありませ

んでした」と振り返ります。日産は、現地調達比率向上への取り組みや現地サプライヤー

の最適なネットワークの構築を行う一方で、生産コストを抑制しなければなりませんでした。

加藤は、「私たちは、品質の妥協を許さずに各国の目の肥えたお客さまのニーズにお応

えしながら、この目標を達成しました。例えば小型車であっても、お客さまは最新のオー

ディオやエアコン機能を求めます。中国やインドのような新興市場でも、これらの機能は

今や必須となっています。しかし同時に、できるだけ低価格にしてほしいという要望もある

のです。重要なのは、成熟市場、新興市場両方の様々なお客さまのニーズや難しい要望

を満たすことにより、結果として素晴らしいクルマができるということです」と語りました。商

品企画から開発・生産部門には、こうした加藤の気づきをはじめ、多くのノウハウが引

き継がれています。

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「このクルマの生産は日米欧以外の場所で始まりますが、それが品質

に一切影響を及ばさないようにするということ。これは私に

とって、まさに日産の将来と対峙するプロジェクトでした。」 ヴァンサン コベ

「私が一番学んだことは、様々のお客様のニーズを満たすこと、なかでも新興国のお客様のニーズを満たすことによって素晴らしいクルマが作れる、ということです。」 加藤 顕央

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経営層からコベと都留に伝えられた方針は明確でしたが、同時に極めて難しいものでした。

都留は、「私たちは当初から、これから取り組もうとしているのは単なる新車プロジェクトで

はなく、“ブレークスルー”なのだと言われていました。また、1車種だけではなく一連の車

両に関する取り組みであり、全く新しいクルマの開発手法を生み出すよう要求されていた

のです。そして、これら一連のコンパクトカーは、販売台数だけではなく収益性も求められ

ていました」と語っています。これだけの高い要求がなされたプロジェクトは未だかつて

ありませんでした。

3つの海外生産拠点で、同一のプラットフォームを採用した一連の車両を生産し、160ヶ国

以上で販売するということは、商品企画および生産方式の見直しが必要とされる壮大な

試みだったのです。

全ての目標を達成、そして更に…

日産は、インド、タイおよび中国の生産拠点から、現地のエンジニアを日産生産方式

(NPW)習得のために、神奈川県の座間事業所にあるグローバル車両生産技術センター

(GPEC)に招きました。そして日本からは、3ヶ国の工場に生産立ち上げをサポートするス

タッフを派遣しています。日産は、このようにして高い品質を確保しながら、現地生産方式

を最適化することで現地化比率を80%超としたのです。これは物流コストや輸入関税と

いった不要なコストを抑えるための重要な要素となります。このプロジェクトは、3ヶ国で同

時に展開されたため、NPWの指導を受けた現地生産スタッフやサプライヤーは、最適な

品質の確保に向けて情報交換を行いながらお互いに連携しています。

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「これは単なる新車プロジェクトではなく、“ブレークスルー”なのです。つまり、全く新しいクルマの開発手法を生み出せということです。」都留 典孝

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海外のスタッフも全て、この「Vプラットフォームブレークスルー」が日産にとってどのような

位置付けにあるのかを十分認識しています。現行のプラットフォームを引き継ぐだけでは、

開発方針で設定されている目標は達成できません。「私たちは、グローバル市場向けに

新たな専用プラットフォームを開発することにより、燃費を向上させ、CO2排出を削減する

ことができます。また、手頃な価格を維持しながら、高い仕様の車両を作り出すことができ

ます。このような方法で一連の車両を生産することにより、Vプラットフォーム車の全ライン

ナップへの投資効率を上げながら、高い性能、シャープな外観とクラス最上級の品質を誇

る車両を生産することができるのです」と、コベは強調します。

既成概念に捉われずに考える

都留の役割は、手頃な価格と高い品質を両立させるだけではありませんでした。厳しい生

産コスト構造の下で動かなければならないチームを奮起させなくてはならなかったのです。

開発チームに今までやってきた手法を忘れろというのは難しいことでした。「彼らは四苦八

苦していました。重量とコストを抑制する作業は、決して愉快な仕事ではありません。チー

ムの当初の反応には新たな手法がいかに困難かが現れていました。しかし、既成概念に

捉われずに重量やコストを大幅に削減しようとする時に、魅力的な製品を実現するための

ブレークスルーを思いつき、それまでの努力が報われるのです」と都留は笑顔で回想しま

す。プロジェクトが進行するにつれ、チームのモチベーションは確実に上がっていきました。

日産がVプラットフォームを採用したこれらのクルマを新興国で生産するということは、戦

略的であり重要なことです。「私たちは新興市場だからといって特別なことをしているわけ

ではありません。新たなプラットフォームを採用した量販車種を多くの市場に投入できるよ

う、投資をしているのです」とコベは言います。日産は、必要以上の機能を持ったクルマを

作るのではなく、全く新しいコンパクトカーの生産に意欲的に取り組み、グローバルに大規

模な投資に着手する段階に来たのです。コベは、このプロジェクトが本格的に始動すれば

Vプラットフォーム車の年間生産台数を100万台にすることも可能であると考えています。

「必ずや、このクルマがお客様に気に入っていただけるものと、私は確信しています。市街

地でストレスを感じずに楽しくドライブができ、ランニングコストも安いところに、きっと魅力

を感じていただけると思います」と都留は語っています。小径シリンダーを採用したクリー

ンで燃費の良いガソリン又はディーゼルエンジンを搭載する予定で、トランスミッションにも

バリエーションがあります。コベは、「市街地では高い走行性能を発揮し、高速道路でも安

定してバランスの良い走りが可能です。外観も立派で、広い室内空間を持ったこのクルマ

は、同等クラスのコンパクトカーにはない満足感を得られるはずです」と語りました。

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Page 6: GLOBAL COMPACT CAR NEWSLETTERNEWSLETTER 革新的グローバルコンパクトカー、 マイクラ/マーチが打ち立てる新しいスタンダード 新開発のVプラットフォームを次世代グローバルコンパクトカー

日産の新型マイクラ/マーチは、2010年3月初旬に開催されるジュネーブモーターショー

で初めてお披露目されます。その後、順次他のVプラットフォーム車も発表される予定で

す。日産のVプラットフォーム車は、新たなグローバルスタンダードを打ち立てるでしょう。

都留は、日産のこのコンパクトカーに向けた決意を示し、「競合他社がもっと優れたクルマ

を出さない限り、日産のこのVプラットフォーム車が世界一のコンパクトカーにな

るでしょう」と語っています。

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「競合他社がもっと優れたクルマを出さない限り、日産のこのVプラットフォーム車が世界一のコンパクトカーになるでしょう。」都留 典孝

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ヴァンサン コベ

執行役員、Vプラットフォーム・プログラムダイレクター。

2002年入社。日産自動車購買部門、欧州日産VPを経て、

2008年よりVプラットフォーム・プログラムダイレクターとなり、

現在に至る。趣味は、スポーツ、オートバイ、家族と過ごすこと。

プロフィール

都留 典孝(つる のりたか)

車両プロジェクト購買部長。Vプラットフォームの前車両開発主管。

1982年入社。1995年にGM(ドイツ・オペル)へ転職し、2004年に

日産に復帰。S13シルビア、R32スカイライン、ミストラル、テラノな

どの車両設計を担当。2004年よりVプラットフォームの開発主管を

務める。現在は購買部門でプロジェクトマネジメント統括に責任を

持つ。メキシコ生まれ。カーデザインを趣味に持つ、根っからのク

ルマ好き。

加藤 顕央(かとう けんおう)

セグメント・チーフ・プロダクト・スペシャリスト。

1988年入社。エクストレイル、マーチ、キューブ、ティーダ、ノート等

の商品企画畑で活躍。2007年よりVプラットフォーム車の商品企

画を担当し、現在に至る。

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