ict及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度...

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平成 22 年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成 29 年 12 月 社会福祉法人富山県社会福祉協議会 富山県介護実習・普及センター

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Page 1: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

平成 22 年度

ICT及び福祉・介護機器の

導入・活用にかかる実態調査

報告書

平成 29年 12月

社会福祉法人富山県社会福祉協議会

富山県介護実習・普及センター

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目 次

Ⅰ 調査の概要 ................................................................... 1

(1)調査の目的 ............................................................... 1

(2)調査実施期間 ............................................................. 1

(3)調査方法 ................................................................. 1

Ⅱ 調査結果 ..................................................................... 2

1.ICTの導入・活用状況について ................................................ 2

(1)ICTの導入状況 ......................................................... 2

(2)導入したICT ........................................................... 3

(3)導入を検討・準備中のICT ............................................... 7

(4)ICTの導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金 ............. 9

(5)ICTの導入にあたり取り組んだこと ...................................... 10

(6)ICT導入後の変化 ...................................................... 12

(7)ICTの導入・活用にあたっての課題 ...................................... 14

2.福祉・介護機器(介護ロボットを含む)の導入・活用状況について ................. 16

(1)福祉・介護機器の導入状況 ................................................ 16

(2)福祉・介護機器の導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金 .... 20

(3)福祉・介護機器の導入にあたり取り組んだこと .............................. 21

(4)福祉・介護機器導入後の変化 .............................................. 23

(5)福祉・介護機器の導入・活用にあたっての課題 .............................. 25

3.必要とする情報や支援について ................................................. 28

Ⅲ 全体のまとめ ................................................................ 31

Ⅳ 資料編...................................................................... 35

(1)回答施設一覧 ............................................................ 35

(2)使用した調査票 .......................................................... 40

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【調査の見方】

・調査結果は百分率で表示した。百分率は小数第 2位を四捨五入し算出した。従って、合計値

が 100%にならない場合がある。

・1つの質問に対して 2つ以上の回答を求めているものは「複数回答」と表示し、百分率は回

答数を本調査の有効回答数で割った数値である。また、本調査では、自由記述の設問を「複

数回答」の設問として扱っている。

・図表中に「N」と記してあるのは、分類別各層の対象者総数である。

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1

Ⅰ 調査の概要

(1)調査の目的

少子高齢化の進展に伴い、要介護者の増加や介護期間の長期化など介護ニーズが増大する中、

福祉・介護分野においては慢性的な労働力不足が続いている。限られた人材で、より質の高い

福祉サービスを効果的・効率的に提供するため、現在、ICTや福祉・介護機器を活用したさ

まざまな取り組みが進められているところである。

本調査は、県内の福祉施設におけるICTや福祉・介護機器の導入・活用状況の実態を把握

し、ニーズに即した事業企画の基礎的資料とするとともに、先進的な取り組みや好事例につい

て周知を図り、福祉サービスの質向上や福祉・介護現場の活性化を支援することを目的に実施

する。

※ICT Information and Communication Technology(情報通信技術)。利用者情報の一元管理やパソコン、

モバイル情報端末等の活用により、業務の効率化や多職種間の情報連携等を図るもの。

(2)調査実施期間

平成29年5月25日(木)~ 6月30日(金)

(3)調査方法

福祉施設に対し、返信用封筒を添付した専用の調査票を郵送する。

(4)回答数

対象施設(件) 180

回答施設(件) 137

回答率(%) 76.1

(5)調査対象

対象施設(件) 回答施設(件) 構成比(%)

介護老人福祉施設 69 58 42.3

介護老人保健施設 48 27 19.7

介護療養型医療施設 36 26 19.0

障害者支援施設 27 26 19.0

合 計 180 137 100.0

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Ⅱ 調査結果

1.ICTの導入・活用状況について

(1)ICTの導入状況

ICTの導入状況をみると、全体では、「導入している」が 58件(42.3%)、「検討中/準備中」が 11

件(8.0%)、「導入の予定はない」が 68件(49.6%)であった。

施設区分別にみると、「導入している」と回答した割合が高かったのは、介護老人福祉施設が 32 件

で 55.2%、次いで障害者支援施設が 14 件で 53.8%であった。一方で「導入の予定はない」と回答し

た割合が高かったのは、介護療養型医療施設が 21 件で 80.8%、次いで介護老人保健施設が 18 件で

66.7%であった。

図 1-1 ICTの導入状況

表 1-1 ICTの導入状況(件数)

(件)

合計 導入している 検討中/準備中 導入の予定は

ない

全 体 137 58 11 68

介護老人福祉施設 58 32 8 18

介護老人保健施設 27 9 0 18

介護療養型医療施設 26 3 2 21

障害者支援施設 26 14 1 11

42.3

55.2

33.3

11.5

53.8

8.0

13.8

7.7

3.8

49.6

31.0

66.7

80.8

42.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全 体 N=137

介護老人福祉施設 N=58

介護老人保健施設 N=27

介護療養型医療施設 N=26

障害者支援施設 N=26

導入している 検討中/準備中 導入の予定はない

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(2)導入したICT

ICTを「導入している」と回答した 58施設が導入しているものを具体的にみると、「介護(支

援)ソフト・システム」が 27件(46.6%)と最も多く、次いで「パソコン等による利用者情報の

一元管理」が 17件(29.3%)、「タブレット端末・モバイル端末」が 14件(24.1%)であった。

施設区分別にみると、介護老人福祉施設は「介護(支援)ソフト・システム」や「タブレット端

末・モバイル端末」、介護老人保健施設と介護療養型医療施設は「電子カルテ」を導入している割

合が高い。

表 2-1 導入したICT N=58 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

介護(支援)ソフト・システム(ほのぼのシリーズ等) 27 46.6

パソコン等による利用者情報の一元管理 17 29.3

タブレット端末・モバイル端末 14 24.1

電子カルテ(ワイズマン等) 9 15.5

グループウェア、イントラネット(サイボウズ、デスクネッツ等) 6 10.3

業務管理ソフト・システム 5 8.6

事業者間情報共有システム(あんしん在宅ネットにいかわ) 2 3.4

テレビ会議システム 1 1.7

その他 5 8.6

表 2-2 施設区分別導入したICT N=58 「複数回答」

上段:件下段:% 合計

介護(支援)ソフト・システム(ほのぼのシリーズ等)

タブレット端

末・モバイル端末

パソコン等による利用者情報の一元管理

電子カルテ

(ワイズマン等)

グループウエア、イント

ラネット(サイボウズ、デスクネッツ等)

業務管理ソ

フト・システム

事業者間情報共有シス

テム(あんしん在宅ネットにいかわ)

テレビ会議システム

その他

58 27 14 17 9 6 5 2 1 5

100.0 46.6 24.1 29.3 15.5 10.3 8.6 3.4 1.7 8.6

32 14 12 6 4 5 0 1 0 2

100.0 43.8 37.5 18.8 12.5 15.6 0.0 3.1 0.0 6.3

9 1 1 2 3 0 1 0 1 2

100.0 11.1 11.1 22.2 33.3 0.0 11.1 0.0 11.1 22.2

3 0 0 0 2 1 0 0 0 1

100.0 0.0 0.0 0.0 66.7 33.3 0.0 0.0 0.0 33.3

14 12 1 9 0 0 4 1 0 0

100.0 85.7 7.1 64.3 0.0 0.0 28.6 7.1 0.0 0.0

全体

介護老人福祉施設

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

障害者支援施設

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■導入した年度

本調査では、導入年度は平成 11年度が最も早く、当初は 1施設であったが、毎年導入する施

設が増加傾向にある。

平成 11年度に導入したのは障害者支援施設であり、他施設を見学した際に有用であると判断

し、導入に至っている。

表 2-3 導入した年度 N=58

件数(件) 割合(%)

平成 11年度 1 1.7

平成 12年度 7 12.1

平成 13年度 3 5.2

平成 14年度 7 12.1

平成 15年度 2 3.4

平成 16年度 1 1.7

平成 17年度 1 1.7

平成 18年度 3 5.2

平成 19年度 1 1.7

平成 22年度 4 6.9

平成 24年度 6 10.3

平成 25年度 2 3.4

平成 26年度 2 3.4

平成 27年度 4 6.9

平成 28年度 7 12.1

平成 29年度 1 1.7

無回答 6 10.3

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■ICTを導入したきっかけ・目的

ICTを導入したきっかけ・目的をみると、「業務の効率化・省力化」が 27件(46.6%)と最

も多く、次いで「利用者情報の共有」が 17件(29.3%)、「多事業者間、多職種間の情報共有」

が 10件(17.2%)であった。

施設区分別にみると、介護老人福祉施設は「業務の効率化・省力化」を目的にしている割合が

高く、障害者支援施設は支援費制度の導入がきっかけで導入している割合が高い。

表 2-4 ICTを導入したきっかけ・目的 N=58 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

業務の効率化・省力化 27 46.6

利用者情報の共有 17 29.3

多事業者間、多職種間の情報共有 10 17.2

支援費制度の導入に伴い 6 10.3

記録業務の負担解消 6 10.3

事務作業の合理化 5 8.6

介護保険制度施行により 4 6.9

利用者情報の一元管理 3 5.2

ペーパーレス化 2 3.4

システムの刷新を機に 1 1.7

情報伝達の迅速化 1 1.7

その他 5 8.6

無回答 1 1.7

表 2-5 施設区分別ICTを導入したきっかけ・目的 N=58 「複数回答」

上段:件下段:% 合計

業務の効率化・省力化

利用者情報の共有

多事業者間、多職種間の情報共有

支援費制度

の導入に伴い

記録業務の負担解消

事務作業の合理化

介護保険制度施行により

利用者情報の一元管理

ペーパーレス化

システムの刷新を機に

情報伝達の迅速化

その他 無回答

58 27 17 10 6 6 5 4 3 2 1 1 5 1

100.0 46.6 29.3 17.2 10.3 10.3 8.6 6.9 5.2 3.4 1.7 1.7 8.6 1.7

32 18 10 5 0 6 2 4 2 2 1 1 2 1

100.0 56.3 31.3 15.6 0.0 18.8 6.3 12.5 6.3 6.3 3.1 3.1 6.3 3.1

9 4 4 2 0 0 0 0 1 0 0 0 2 0

100.0 44.4 44.4 22.2 0.0 0.0 0.0 0.0 11.1 0.0 0.0 0.0 22.2 0.0

3 1 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

100.0 33.3 33.3 66.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

14 4 2 1 6 0 3 0 0 0 0 0 1 0

100.0 28.6 14.3 7.1 42.9 0.0 21.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 7.1 0.0

全体

介護老人福祉施設

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

障害者支援施設

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回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

ICTを導入したきっかけ・目的 導入年度 施設区分

平成 12年に介護保険制度が施行されたことに伴い、記録業務の効率化

を図った。 12 年度導入

介護老人

福祉施設

看取り期など、利用者の状態変化について多事業者間、多職種間でタイ

ムリーに情報共有するため。 22 年度導入

介護老人

福祉施設

組織内の情報共有を密にするため、介護記録でタブレットを使用するこ

とで業務効率化を図った。書類の削減にもつながる。 25 年度導入

介護老人

福祉施設

業務の効率化。人員確保。業務を効率化する事で時間を生みだせる。 27 年度導入 介護老人

福祉施設

利用者の緊急受診時に速やかに利用者のADL情報を伝えるため。 25 年度導入 介護老人

福祉施設

ケアプラン・アセスメントの見直しを効率的に行うため。 24 年度導入 介護老人

保健施設

診療情報の共有化と職員の負担軽減を図る。 27 年度導入 介護療養型

医療施設

クラウドサービスで当院の各施設で情報を共有している。将来的にはV

PN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)で情報の共有を考え

ている。情報の共有方法は多数あるので組み合わせて使用している。個

人情報が多いので苦労している。院内は有線LANでイントラネットを

構成している。

不明 介護療養型

医療施設

他の施設を見学し有用と判断し導入した。 11 年度導入 障害者

支援施設

平成 15年の支援費制度施行時より請求事務等の円滑化を目的に導入し

た。 16 年度導入

障害者

支援施設

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7

(3)導入を検討・準備中のICT

ICT導入を「検討中/準備中」と回答した 12施設が導入を検討しているものをみると、「タブ

レット端末・モバイル端末」が 6件(50.0%)と最も多く、次いで「介護システム・介護(支援)

ソフト」が 2件(16.7%)、「電子カルテ」、「データの一括管理」などがそれぞれ 1件(8.3%)で

あった。

「タブレット端末・モバイル端末」と回答した施設は、全て介護老人福祉施設であり、「電子カ

ルテ」は介護療養型医療施設、「データの一括管理」は障害者支援施設からの回答であった。

表 3-1 導入を検討・準備中のICT N=12 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

タブレット端末・モバイル端末 6 50.0

介護システム・介護(支援)ソフト 2 16.7

電子カルテ 1 8.3

データの一括管理 1 8.3

具体的には決まっていない 1 8.3

その他 2 8.3

無回答 1 8.3

■ICT導入を検討・準備したきっかけ・目的

ICT導入を検討・準備しているきっかけ・目的をみると、「業務の効率化・省力化」が 5件

(41.7%)と最も多く、次いで「多事業者間、多職種間の情報共有」が 2件(16.7%)などであ

った。

表 3-2 ICT導入を検討・準備したきっかけ・目的 N=12 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

業務の効率化・省力化 5 41.7

多事業者間、多職種間の情報共有 2 16.7

利用者の満足度向上 1 8.3

記録業務の負担解消 1 8.3

事務作業の合理化 1 8.3

人材不足の解消 1 8.3

情報の抜けおち防止 1 8.3

無回答 1 8.3

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8

■導入する予定の年度

ICTを導入する予定の年度をみると、「平成 29年度」と「未定」がそれぞれ 1件(8.3%)

であり、他の 10施設からは回答を得られなかった。

表 3-3 導入する予定の年度 N=12

件数(件) 割合(%)

平成 29年度 1 8.3

未定 1 8.3

無回答 10 83.3

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9

(4)ICTの導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金

「ICTを導入済み」または「導入を検討中・準備中」と回答した 69施設が導入にあたり利用

した(利用する予定の)補助金・助成金をみると、「社会福祉助成金」(公益信託飴久晴富山社会

福祉支援基金、平成 19年度~)、「富山県介護環境改善モデル事業補助金」(富山県、平成 26~27

年度)、「介護ロボット等導入支援特別事業費補助金」(厚生労働省、平成 28 年度)がそれぞれ 1

件(1.4%)であった。

また、全体の 37.7%が補助金・助成金を使用していないと回答している。

表 4 ICTの導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金 N=69 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

社会福祉助成金

(公益信託飴久晴富山社会福祉支援基金、平成 19年度~) 1 1.4

富山県介護環境改善モデル事業補助金※

(富山県、平成 26~27年度) 1 1.4

介護ロボット等導入支援特別事業費補助金

(厚生労働省、平成 28年度) 1 1.4

名称不明 2 2.9

その他 3 4.3

特になし 26 37.7

無回答 35 50.7

※現在は「富山介護業務環境改善事業費補助金」(平成 28年度~)の名称となっている。

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10

(5)ICTの導入にあたり取り組んだこと

「ICTを導入済み」または「導入を検討中・準備中」と回答した 69施設がICT導入にあた

り取り組んだことをみると、「職場内研修・勉強会の実施」が 32件(46.4%)と最も多く、次い

で「業者による説明・研修」が 10件(14.5%)、「デモ機の借用」が 8件(11.6%)などであっ

た。

表 5-1 ICTの導入にあたり取り組んだこと N=69 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

職場内研修・勉強会 32 46.4

業者による説明・研修 10 14.5

デモ機の借用 8 11.6

周辺環境の整備 5 7.2

内容の検討・機器の選定 4 5.8

委員会での検討 3 4.3

外部研修会への参加 3 4.3

介護システムの共同開発 2 2.9

導入施設への見学 2 2.9

マニュアル作成 1 1.4

職員の意識改善 1 1.4

その他 1 1.4

特になし 4 5.8

無回答 14 20.3

表 5-2 施設区分別ICTの導入にあたり取り組んだこと N=69 「複数回答」

上段:件下段:% 合計

職場内研修・勉強会

業者による説明・研修

デモ機の借用

周辺環境の整備

内容の検討・機器の選定

委員会での検討

外部研修会への参加

介護システ

ムの共同開発

導入施設への見学

マニュアル作成

職員の意識改善

その他 特になし 無回答

69 32 10 8 5 4 3 3 2 2 1 1 1 4 14

100.0 46.4 14.5 11.6 7.2 5.8 4.3 4.3 2.9 2.9 1.4 1.4 1.4 5.8 20.3

40 20 5 5 1 4 2 1 1 2 0 1 0 4 5

100.0 50.0 12.5 12.5 2.5 10.0 5.0 2.5 2.5 5.0 0.0 2.5 0.0 10.0 12.5

9 6 3 1 1 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0

100.0 66.7 33.3 11.1 11.1 0.0 0.0 11.1 0.0 0.0 11.1 0.0 0.0 0.0 0.0

5 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 3

100.0 0.0 0.0 0.0 20.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 20.0 0.0 60.0

15 6 2 2 2 0 1 1 1 0 0 0 0 0 6

100.0 40.0 13.3 13.3 13.3 0.0 6.7 6.7 6.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 40.0

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

障害者支援施設

全体

介護老人福祉施設

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11

回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

ICTの導入にあたり取り組んだこと 導入年度 施設区分

職員の意識改革(なぜ必要か、職員全員が使用できることなど)を行

った。また、入力に際しての約束ごとや入力方法、使い方などの勉強

会・研修会を実施した。

12 年度導入 介護老人

福祉施設

ソフトウェアが大規模アップデートをした際に、ソフトウェア会社の

担当者に来所してもらい、操作方法や活用法などの講習会を実施し

た。

19 年度導入 介護老人

福祉施設

OJTで使い方研修を行ったほか、業者による導入研修を実施した。

また、デモ機を借用し導入前に試用した。 28 年度導入

介護老人

福祉施設

同一法人内で使用しているタブレット端末の導入により効率がどの

程度向上するか報告を受けた。メリットだけではなく、デメリットの

部分の説明も受けて、状況を知る機会とした。

不明 介護老人

福祉施設

全職員が使用できるよう勉強会等を開催し、普及に努めた。 不明 介護老人

福祉施設

どこまで省力化できるか、手入力がどれくらい残るか、サービス部門

ごとの記録の共通点と相違点の洗い出しを実施する予定。 未定

介護老人

福祉施設

全職員への操作方法の研修と施設内簡易マニュアル作りを行った。 24 年度導入 介護老人

保健施設

LAN回線を充実させ、周辺機器を購入した。(ノートパソコン、大型

モニター、モニタースタンド等) 27 年度導入

介護老人

保健施設

職場内の勉強会を頻回に実施した。業者からレクチャーを受けた。 29 年度導入 介護老人

保健施設

まずセキュリティ面の整備が必要と判断し、専門業者と契約してUT

M(複合的なセキュリティ機能を集約したもの)を設置した。 不明

介護療養型

医療施設

パソコンが初めての人も多かったので機械操作の研修やソフトの使

い方の研修を行った。また、より使いやすいソフトとなるように、業

者と連携してソフトウェアのアップグレード等を行った。

11 年度導入 障害者

支援施設

業務改善委員会で業務の効率化について話し合い、システム会社に現

場目線で「こんなICT技術や介護システムがほしい」という提案を

して共同開発した。

22 年度導入 障害者

支援施設

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12

(6)ICT導入後の変化

ICTを「導入している」と回答した 58 施設のICT導入後の変化をみると、「利用者情報の

共有」が 29件(50.0%)と最も多く、次いで「業務の効率化・時間短縮」が 25件(43.1%)、「サ

ービスの質向上」が 12件(20.7%)などであった。

また、「新たな負担の増加」や「大きな変化はみられない」などの意見も 1件ずつみられた。

表 6 ICT導入後の変化 N=58 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

利用者情報の共有 29 50.0

業務の効率化・時間短縮 25 43.1

サービスの質の向上 12 20.7

多事業者間、多職種間の情報共有 11 19.0

職員の意識向上 4 6.9

記録業務の負担解消 3 5.2

ペーパーレス化 3 5.2

判断不能 3 5.2

利用者の満足度向上 2 3.4

情報伝達の迅速化 2 3.4

新たな負担の増加 1 1.7

大きな変化はみられない 1 1.7

無回答 2 3.4

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13

回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

ICT導入後の変化 導入年度 施設区分

部署内での情報共有、時間短縮、サービスの質向上、職種別での情報

共有、職員の意識改革が図られた。 12 年度導入

介護老人

福祉施設

財務、栄養、介護、看護、相談業務、ケアプラン作成等の業務省力化

と情報の共有化が図られた。 12 年度導入

介護老人

福祉施設

タブレット導入により、入力業務が効率化され、時間外勤務が減った。

また動画や写真等を活用することで、細やかな個別対応が可能にな

り、サービスの質の向上にもつながっている。

12 年度導入 介護老人

福祉施設

作業の効率化とサービスの質の向上が図られた。紙で記入することが

少なくなり、パソコンでの管理により、書類の保管にもスペースが少

なくて済むようになった。

12 年度導入 介護老人

福祉施設

利用者情報を多職種がタイムリーに確認でき、対応の統一などがスム

ーズに行えることにより、利用者へのサービスの質の向上に効果が出

ていると考えられる。

19 年度導入 介護老人

福祉施設

他の事業者の方々とタイムリーに情報共有することができた。バイタ

ルサイン、食事水分摂取量、ご家族の揺れる思い、またそれに対して

各専門職が行った支援も共有できる。重複した手書き書類がなくな

り、時間を有効活用できている。残業が減った。

22 年度導入 介護老人

福祉施設

データの共有化や一元化によるサービスの質の向上、書類作成時等の

スピードアップが図られた。 22 年度導入

介護老人

福祉施設

受診時、利用者のカルテを調べ必要な資料をコピーしていたが、iPad

1つを持って速やかに受診でき、より多くの情報を医師に伝えること

が可能になった。

25 年度導入 介護老人

福祉施設

情報の共有のもれを減らせる。情報の伝達が速くタイムリーに伝えら

れる。職員自ら情報を取得する行動が見えてきており、指示待ち傾向

が少し改善された。

25 年度導入 介護老人

福祉施設

操作方法の習得等が新たな負担になってしまい、導入効果が充分に得

られているとは言い難い状況である。 26 年度導入

介護老人

福祉施設

記録打ち込みの時間が短縮された。また、その場で入力できるように

なったので、時間外勤務が減った。また、記録が充実し、サービスの

向上につながった。

27 年度導入 介護老人

福祉施設

皮膚や傷などを写真で記録することが可能となり、経過が視覚的に分

かるようになった。医療補助資料として提示できる。職員間の情報共

有に有効である。

28 年度導入 介護老人

福祉施設

ケース入力の時間が短くなったことにより、入居者との時間が増え

た。 28 年度導入

介護老人

福祉施設

iPad を利用者のリハビリに活用したところ、利用者の機能の向上が

図られた。訪問先での活用により業務の効率化が図られた。 13 年度導入

介護老人

保健施設

法人内研修の情報やトップの意向伝達などがシステムを利用してで

きるようになったため、労働意欲が向上した。 27 年度導入

介護老人

保健施設

現実的にインターネットやパソコンを利用できる職員はほんの一握

りである。大多数は興味を示さない。 不明

介護療養型

医療施設

パソコンでの記入により、支援記録の一元管理、検索、整理が可能と

なり、処理時間の短縮につながった。また、今までより短時間で記入

できるため、データ量も増えた。

11 年度導入 障害者

支援施設

各部署の日誌や利用者の情報などが、パソコンを通して瞬時に確認で

きるようになった。 14 年度導入

障害者

支援施設

開所当初より使用しているため、変化は不明であるが、支援状況など

の統計、検索が効果的に行えるようになった。また、事業所間におけ

る情報共有も円滑となった。

16 年度導入 障害者

支援施設

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14

(7)ICTの導入・活用にあたっての課題

ICTの導入・活用にあたっての課題をみると、「経費・費用負担の増大」が 63 件(46.0%)

と最も多く、次いで「職員の習得・習熟に時間がかかる/習熟度に差がある」が 41 件(29.9%)、

「費用対効果が不明確」が 11件(8.0%)などであった。

表 7 ICTの導入・活用にあたっての課題 N=137 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

経費・費用負担の増大 63 46.0

職員の習得・習熟に時間がかかる/習熟度に差がある 41 29.9

費用対効果が不明確 11 8.0

事故・トラブル等への対応 10 7.3

職員が敬遠する 8 5.8

維持管理が困難 8 5.8

作業負担の増加 7 5.1

施設規模に見合わない 2 1.5

情報不足 1 0.7

その他 1 0.7

不明 6 4.4

特になし 2 1.5

無回答 31 22.6

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15

回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

ICTの導入・活用にあたっての課題 導入年度 施設区分

入力作業に気を取られ、見守りが疎かになる可能性がある。 15 年度導入 介護老人

福祉施設

ハード及びソフトの更新にかかる経費負担が増大している。 18 年度導入 介護老人

福祉施設

ソフトウェアや機器の操作習熟度に個人差があり、習熟度の均一化が

図りにくい。 19 年度導入

介護老人

福祉施設

操作が複雑になることもあるため、若い職員は良いが、年配の職員は

使いこなすのに時間がかかる。 22 年度導入

介護老人

福祉施設

ICTやネットワークに詳しい職員がいないため、トラブルが発生し

た場合などは、すばやい対応が困難で、業者に有償でお願いしている。 24 年度導入

介護老人

福祉施設

パソコンの数が足りなくて不便。操作に対する得手・不得手がある。

端末・機器管理するのが難しい。 25 年度導入

介護老人

福祉施設

導入によるメリットを共通理解できず、導入に心理的抵抗を感じる職

員が一定数いる。業務の手間が増えるように感じてしまう。 26 年度導入

介護老人

福祉施設

職員に苦手意識があるため、活用しきれていない。 28 年度導入 介護老人

福祉施設

職員数の減少により取り組む暇がない。 未導入 介護老人

福祉施設

導入費用。施設内の無線化への対応、端末の費用、個人情報を扱うた

めのセキュリティ対策が課題である。職員への周知に時間がかかる。 未導入

介護老人

福祉施設

メリットや経費、職員の習熟にかかる時間等について、現在活用され

ている施設の方にお聞きしたいと思う。 未導入

介護老人

福祉施設

ICTに対して、「難しい」「触りたくない」と高齢職員から不満の声

が聞かれる。手書きにこだわりをもつ職員への説得に時間を要する。 12 年度導入

介護老人

保健施設

導入費用が大きい。業務の省力化や合理化を図るためのシステムが、

当施設に適合するものかどうかを検証している余裕が現場にはない。

中高年職員が多い。

未導入 介護老人

保健施設

職員の年齢が高いため、導入しても習熟に時間がかかったり、きちん

とした入力がされない恐れがある。 未導入

介護老人

保健施設

費用対効果を考慮すると、導入に踏み切れない。現職員が十分活用で

きるか不安がある。 未導入

介護老人

保健施設

施設規模が見合っていない。 未導入 介護老人

保健施設

経費負担が大きい。IT管理、セキュリティ管理、ITにかかる倫理

管理等膨大な作業内容、高いスキルが求められる。 未導入

介護療養型

医療施設

専門のICT管理者を置くことが出来ず、普段の管理、特にセキュリ

ティが十分でない。また、トラブルの際、素早い対応ができないこと

がある。また、機械の更新等のメンテナンスに費用がかかる。職員の

習熟度にばらつきがあるが、それを埋めるための十分な研修が時間的

に行えない。

11 年度導入 障害者

支援施設

報酬改定の度にシステムの更新費用がかかる。パソコンのOSのサポ

ート期間終了等があると入替により費用がかさむ。 14 年度導入

障害者

支援施設

誤った処理による情報消失の恐れがある。パソコンの台数が増えると

結果的にライセンス料など費用負担が大きい。 16 年度導入

障害者

支援施設

経費に対してどれだけのメリットがあるのか分からない。モバイル端

末を持ったまま支援の場に入ると、業務の妨げになるのではないかと

の不安もある。

未導入 障害者

支援施設

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16

2.福祉・介護機器(介護ロボットを含む)の導入・活用状況について

(1)福祉・介護機器の導入状況

福祉・介護機器の導入状況をみると、「移乗用ボード」が 86件(62.8%)と最も多く、次いで

「移乗用シート」が 74件(54.0%)、「移乗用リフト」が 42件(30.7%)などであった。

また、「導入の予定はない」と回答した施設は 32件(23.4%)で、その理由をみると、経費・

費用に関するものが多かった。

全体的に「移乗用ボード」や「移乗用シート」などの比較的安価なものは導入が進んでいるも

のの、導入費用が高額となる各種介護ロボットの導入は一定の割合に留まっているとみられる。

図 8-1 福祉・介護機器の導入状況 N=137 「複数回答」

※( )内は実数

62.8

54.0

30.7

16.1

15.3

8.0

7.3

1.5

1.5

6.6

8.8

23.4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

移乗用ボード

移乗用シート

移乗用リフト

コミュニケーションロボット

見守り支援ロボット

入浴支援ロボット

移動支援ロボット

移乗介助ロボット

排泄支援ロボット

その他

導入を検討中/準備中

導入の予定はない

(86)

(74)

(42)

(22)

(21)

(11)

(10)

(2)

(2)

(9)

(12)

(32)

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17

■施設区分別福祉・介護機器の導入状況

施設区分別にみると、介護老人福祉施設の 70%以上が、「移乗用ボード」及び「移乗用シー

ト」を導入しており、移乗関連用具の導入は比較的進んでいるといえる。また、介護老人福祉施

設は、「介護ロボット」を導入している割合が他に比べて高かった。

障害者支援施設は「導入の予定はない」が 11件(42.3%)と多かった。

表 8-1 施設区分別福祉・介護機器の導入状況 「複数回答」

全 体

N=137

介護老人

福祉施設

N=58

介護老人

保健施設

N=27

介護療養型

医療施設

N=26

障害者

支援施設

N=26

移乗関連用具

移乗用ボード 86( 62.8) 41( 70.7) 15( 55.6) 19( 73.1) 11( 42.3)

移乗用シート 74( 54.0) 41( 70.7) 10( 37.0) 13( 50.0) 10( 38.5)

移乗用リフト 42( 30.7) 33( 56.9) 2( 7.4) 3( 11.5) 4( 15.4)

介護ロボット

コミュニケーションロボット 22( 16.1) 14( 24.1) 5( 18.5) 2( 7.7) 1( 3.8)

見守り支援ロボット 21( 15.3) 13( 22.4) 5( 18.5) 2( 7.7) 1( 3.8)

入浴支援ロボット 11( 8.0) 6( 10.3) 1( 3.7) 2( 7.7) 2( 7.7)

移動支援ロボット 10( 7.3) 8( 13.8) 1( 3.7) 0( 0.0) 1( 3.8)

移乗介助ロボット 2( 1.5) 2( 3.4) 0( 0.0) 0( 0.0) 0( 0.0)

排泄支援ロボット 2( 1.5) 2( 3.4) 0( 0.0) 0( 0.0) 0( 0.0)

その他 9( 6.6) 4( 6.9) 1( 3.7) 3( 11.5) 1( 3.8)

導入を検討中/準備中 12( 8.8) 8( 13.8) 1( 3.7) 0( 0.0) 3( 11.5)

導入の予定はない 32( 23.4) 7( 12.1) 8( 29.6) 6( 23.1) 11( 42.3)

※( )内は割合

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18

回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

導入の予定がない理由 施設区分

費用と効果が不明である。 介護老人

保健施設

現場からの要望が無いし、情報も少ない。 介護老人

保健施設

ロボットメーカーへの信頼性が低い。 介護老人

保健施設

経費の負担、職員習熟への問題などがある。 介護療養型

医療施設

経費の負担が大きい。 障害者

支援施設

現在のところ、活用ニーズがない。 障害者

支援施設

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19

■福祉・介護機器の活用状況

福祉・介護機器の活用状況についてみると、「活用している割合」(「十分活用している」+

「ある程度活用している」)は「見守り支援ロボット」が 100.0%と最も高く、次いで「入浴支

援ロボット」が 90.9%、「移乗用ボード」が 89.6%であった。

一方で、全体の 16.1%が導入していると回答した「コミュニケーションロボット」は「活用

している割合」が 40.9%と低かった。

図 8-2 福祉・介護機器の活用状況

47.7

36.5

40.5

22.7

81.0

81.8

20.0

50.0

77.8

41.9

39.2

31.0

18.2

19.0

9.1

50.0

11.1

8.1

20.3

14.3

40.9

20.0

11.1

1.2

2.7

14.3

18.2

9.1

10.0

100.0

50.0

1.2

1.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

移乗用ボード N=86

移乗用シート N=74

移乗用リフト N=42

コミュニケーションロボット N=22

見守り支援ロボット N=21

入浴支援ロボット N=11

移動支援ロボット N=10

移乗介助ロボット N=2

排泄支援ロボット N=2

その他

十分活用している ある程度活用している あまり活用していない

活用していない 不明

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20

(2)福祉・介護機器の導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金

「福祉・介護機器を導入済み」または「導入を検討中・準備中」と回答した 106施設が福祉・

介護機器の導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金をみると、「職場定着支援

助成金(厚生労働省、平成 20年~)」が 14件(13.2%)と最も多く、次いで「富山県介護環境

モデル事業費補助金」(富山県、平成 26~27年)が 7件(6.6%)、「地域介護・福祉空間整備等

施設整備交付金」(厚生労働省、平成 17年度~)が 4件(3.8%)などであり、全体の 38.4%が

補助金・助成金を利用している。

表 9 福祉・介護機器の導入にあたり利用した(利用する予定の)補助金・助成金 N=106 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

職場定着支援助成金

(厚生労働省、平成 20年度~) 14 13.2

富山県介護環境改善モデル事業補助金

(富山県、平成 26~27年度) 7 6.6

地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金

(厚生労働省、平成 17年度~) 4 3.8

ロボット介護機器開発・導入促進事業

(国立研究開発法人日本医療研究開発機構、平成 25年度~) 3 2.8

介護労働環境向上奨励金

(厚生労働省、平成 20年度~) 2 1.9

清水基金

(社会福祉法人清水基金、昭和 41年度~) 2 1.9

介護ロボット等導入支援特別事業費補助金

(厚生労働省、平成 28年度) 1 0.9

介護福祉機器等助成

(厚生労働省、平成 20年度~) 1 0.9

障害者自立支援基盤整備事業

(富山県、平成 18~24年度) 1 0.9

中小企業労働環境向上助成金

(厚生労働省、平成 20年度~) 1 0.9

介護労働者設備等整備モデル奨励金

(厚生労働省、平成 20年度~) 1 0.9

自転車事故対策費補助金

(国土交通省、平成 29年度~) 1 0.9

高齢者雇用安定助成金

(高齢・障害・求職者雇用支援機構、~平成 28年度) 1 0.9

名称不明 2 1.9

特になし 26 24.5

無回答 45 42.5

※「介護労働環境向上奨励金」「介護ロボット等導入支援特別事業費補助金」「介護福祉機器等助成」「中小企業

労働環境向上助成金」「介護労働者設備等整備モデル奨励金」については、統合され、現在では「職場定着支

援助成金」の名称となっている。

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(3)福祉・介護機器の導入にあたり取り組んだこと

「福祉・介護機器を導入済み」または「導入を検討中・準備中」と回答した 106施設が導入に

あたり取り組んだことをみると、「職場内研修・勉強会」が 62件(58.5%)と最も多く、次いで

「デモ機の借用」が 27件(25.5%)、「外部研修会への参加」が 18件(17.0%)などであった。

意見の中には、職員の腰痛を予防するために職場内研修を実施したり、外部研修に参加してい

る施設が多くみられた。

表 10 福祉・介護機器の導入にあたり取り組んだこと N=106 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

職場内研修・勉強会 62 58.5

デモ機の借用 27 25.5

外部研修会への参加 18 17.0

委員会での検討 5 4.7

内容の検討・機器の選定 4 3.8

業者による説明・研修 3 2.8

マニュアル作成 3 2.8

効果検証 1 0.9

実証実験 3 2.8

補助金の確認 1 0.9

展示会への参加 1 0.9

特になし 4 3.8

無回答 27 25.5

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22

回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

福祉・介護機器の導入にあたり取り組んだこと 施設区分

職場内研修の実施、デモ機の借用、人事考課との連動を行った。 介護老人

福祉施設

職場内研修を実施した。また、外部の腰痛予防研修に参加した。 介護老人

福祉施設

職場内研修を実施し、職員 1 人 1 人がリフトを操作する側と介助される側を体験し

た。

介護老人

福祉施設

職場内の研修をきっかけに、移乗用ボードとシートを借用し介護現場で使用したと

ころ、活用できるとのことだったので導入した。

介護老人

福祉施設

福祉用具選定委員会を立ち上げて、必要な機器の見定めを多職種で行った。 介護老人

福祉施設

外部研修に参加して知識の向上を図り、外部研修で学んだことを職場内研修で周知

した。

介護老人

福祉施設

腰痛予防研修に参加し、そこで得た知識、情報を自施設へ持ち帰り、施設内研修を開

催した。業者にデモ機の借用を依頼し、実際に使用してみて導入に至った。

介護老人

福祉施設

腰痛予防研修などに職員を派遣し、介護・福祉機器の導入が自らの身を守る有効な手

段であることを、研修報告を通じて周知した。

介護老人

福祉施設

施設職員で委員会を立ち上げ、「持ち上げない介助」をテーマにスライディングボー

ドを使用した研修会を開催した。

介護老人

福祉施設

腰痛防ぎ隊を設置し、腰痛予防マニュアル作成や福祉機器等の導入を計画的に行っ

ている。

介護老人

福祉施設

リフト等の導入にあたり、リフトリーダーの養成と補助金の確認を行った。機器使用

方法についての勉強会を実施した後、デモ機を借用して試行した。

介護老人

福祉施設

業者から事前にデモ機を借用して研修した。期間は 2 ヵ月程度であった。今は順調

に作動している。

介護老人

保健施設

市の助成金を活用してアシスト装着型のレンタル導入を希望したが、評価等で予算

がオーバーしたため導入を断念した。

介護老人

保健施設

導入後に福祉用具の使用目的と使用方法を学ぶ実技研修会を開催した。 介護療養型

医療施設

腰痛のメカニズムとその予防について職場内研修を実施した。また、介助用グロー

ブ、スタンディングリフターのデモ機を借用した。

障害者

支援施設

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23

(4)福祉・介護機器導入後の変化

「福祉・介護機器を活用している」と回答した 93施設の導入後の変化をみると、「職員の負担

軽減」が 53件(57.0%)と最も多く、次いで「職員の腰痛の予防・軽減」が 27件(29.0%)、

「リスクの軽減・利用者の安全確保」が 21件(22.6%)、「利用者の安心感・満足感の向上」が

18件(19.4%)などであった。

福祉・介護機器の導入により、職員の負担が軽減したとともに、介助時の安全性が確保され、

利用者の安心感・満足感の向上につながったことがうかがえる。

表 11-1 福祉・介護機器導入後の変化 N=93 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

職員の負担の軽減 53 57.0

職員の腰痛の予防・軽減 27 29.0

リスクの軽減・利用者の安全確保 21 22.6

利用者の安心感・満足感の向上 18 19.4

サービスの質の向上 7 7.5

業務の円滑化・効率化 6 6.5

職員の意識向上 6 6.5

利用者の自立への意識向上 3 3.2

利用者の生活機能向上 2 2.2

褥瘡予防 1 1.1

無回答 18 19.4

表 11-2 施設区分別福祉・介護機器導入後の変化 N=93 「複数回答」

上段:件下段:% 合計

職員の負担の軽減

職員の腰痛の予防・軽減

リスクの軽

減・利用者の安全確保

利用者の安

心感・満足感向上

サービスの質の向上

業務の円滑化・効率化

職員の意識向上

利用者の自

立への意識向上

利用者の生活機能向上

褥瘡予防 無回答

93 53 27 21 18 7 6 6 3 2 1 18

100.0 57.0 29.0 22.6 19.4 7.5 6.5 6.5 3.2 2.2 1.1 19.4

48 30 17 15 13 4 3 4 3 0 1 6

100.0 62.5 35.4 31.3 27.1 8.3 6.3 8.3 6.3 0.0 2.1 12.5

13 9 4 3 3 1 0 1 0 2 0 0

100.0 69.2 30.8 23.1 23.1 7.7 0.0 7.7 0.0 15.4 0.0 0.0

20 12 3 1 1 1 2 1 0 0 0 5

100.0 60.0 15.0 5.0 5.0 5.0 10.0 5.0 0.0 0.0 0.0 25.0

12 2 3 2 1 1 1 0 0 0 0 7

100.0 16.7 25.0 16.7 8.3 8.3 8.3 0.0 0.0 0.0 0.0 58.3

全体

介護老人福祉施設

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

障害者支援施設

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24

回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

福祉・介護機器導入後の変化 施設区分

職員の介護負担が軽減し、福祉用具に対する意識の改善につながった。移動支援ロボットの

導入により、介護士だけでも歩行訓練が容易に実施できるようになった。利用者の移乗時に

おけるリスクが軽減した。

介護老人

福祉施設

3 人の介助が必要であった入浴介助が 2 人介助で行えるようになった。職員の負担が軽減

し、利用者の安心感向上につながっている。

介護老人

福祉施設

福祉機器の導入により、職員間で使用方法を検討したり、外部講師によるフォローアップ研修

を実施するようになった。

介護老人

福祉施設

職員の身体・心理面での負担が軽減された。利用者を持ち上げる介護が少なくなった。リスク

が低下・減少した。

介護老人

福祉施設

近年の利用者の重度化から推測すると、恐らく機器を導入しなければ職員の身体的負担は

増加し、腰痛を抱えたり、離職を余儀なくされる職員が多数いたと思われる。また、限られた人

員や時間の中で無理な介助を試みることにより、職員起因による利用者の転倒や転落事故

の発生件数が確実に増していたと思われる。

介護老人

福祉施設

職員の介護動作負担が軽減し、腰痛予防につながった。利用者の移乗時等に発生する摩擦

が軽減し、安心で安楽な移乗・移動。職員の腰痛予防に対する意識づけやスキルアップが図

られた。6月より床走行式リフトの活用が開始となることで、いっそう介護負担が軽減される。

介護老人

福祉施設

職員の腰痛予防への意識づけが図られた。腰痛の進行率が減少した。利用者の自立支援へ

の意識が変わった。

介護老人

福祉施設

体、特に腰に負担なく、浴槽からの出入り介助が行えるようになった。 介護老人

福祉施設

介護職員の腰痛予防対策に役立っている。コミュニケーションロボットを活用したことにより、

利用者のQOLが向上した。

介護老人

福祉施設

利用者の安全確保、ベッドからの滑落回避、職員の負担軽減につながった。迅速にトイレ誘

導が可能となったため、排泄の失敗による着替え、シーツ交換の回数が減った。

介護老人

福祉施設

安全・安楽に移乗ができ、利用者の不安感の軽減が図れた。持ちあげない介護により、職員

の身体的負担軽減につながった。

介護老人

福祉施設

利用者の日常生活が潤い、活性化された。 介護老人

福祉施設

利用者の笑顔が増えた。職員と利用者のコミュニケーションが活性化した。 介護老人

福祉施設

内出血等の事故が減少した。 介護老人

福祉施設

普段の生活の見守りだけではなく、看取り介護にも使用しているが、看護師が不在になる夜

間帯の心拍の把握が容易にでき、介護職員の看取り介護における精神的負担の軽減につな

がっている。

介護老人

福祉施設

転倒予防につながった。睡眠状態の把握ができるようになった。コミュニケーションロボットの

導入により、他利用者とはコミュニケーションをしない方が、ロボットとの会話に積極的な姿が

見られた。

介護老人

保健施設

コミュニケーションロボットが利用者の精神的安定に寄与した。また、利用者の生活機能の向

上や職員の負担軽減につながっている。

介護老人

保健施設

移乗ボードを増やしたことで、車いすのはね上げ式機能を活かした移乗機会が増えた。 介護療養型

医療施設

職員の負担軽減と利用者の安心感向上が図られた。職員の正しい知識の習得とケアの方法

への意識も変化した。

介護療養型

医療施設

ベッドからストレッチャーへの移乗が楽にできるようになった。 介護療養型

医療施設

特に女性職員の腰痛予防に役立っている。 障害者

支援施設

腰痛予防や安全性に役に立っている。移動等の時間は少しかかるが、安全にまた利用者に

安心感をもってもらえてきている。

障害者

支援施設

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25

(5)福祉・介護機器の導入・活用にあたっての課題

福祉・介護機器の導入・活用にあたっての課題をみると、「経費・費用負担の増大」が 34件

(24.8%)と最も多く、次いで「導入事例等の情報不足」が 21件(15.3%)、「職員の習得・習

熟に時間がかかる/習熟度に差がある」と「機器の性能が不十分」が 17件(12.4%)であった。

表 12 福祉・介護機器の導入・活用にあたっての課題 N=137 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

経費・費用負担の増大 34 24.8

導入事例等の情報不足 21 15.3

職員の習得・習熟に時間がかかる/習熟度に差がある 17 12.4

機器の性能が不十分 17 12.4

職員の意識改革が困難 12 8.8

安全面の徹底が困難 10 7.3

使用の際に手間・時間がかかる 8 5.8

機器を置くスペースがない 4 2.9

職員の確保が不十分 5 3.6

維持管理が困難 3 2.2

導入後のフォローアップが不十分 3 2.2

費用対効果が不明確 4 2.9

利用者の理解が得られにくい 2 1.5

補助金が受けづらい 1 0.7

特になし 5 3.6

無回答 49 35.8

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回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

福祉・介護機器の導入・活用にあたっての課題 施設区分

費用ひいては介護報酬減額によるダメージが大きい。当法人に合う支援ロボットが

ない。色々デモ機を試したが導入に至らない場合がほとんどだった。

介護老人

福祉施設

今回の機器も全額補助でなかったら導入していなかったかもしれない。操作性につ

いて、設定や機能が多過ぎ、使いこなすことが難しい。

介護老人

福祉施設

研修後のフォローアップが不十分で、時間が経過すると、使用方法が自己流になった

り曖昧になったりしている。定期的なフォローアップが必要である。

介護老人

福祉施設

シートやボードは年々増やしているが、更に購入の必要がある。移乗用リフト導入を

視野に入れているが、高額であり、また使用時や保管時のスペースの問題もある。職

員の知識も不十分であり、具体的な進展が図れていない。

介護老人

福祉施設

機器類がまだまだ発展途上と思われる。 介護老人

福祉施設

使用方法についての研修時間の確保や機器の管理が課題である。金額が高額過ぎる

ので、車いすなど高額ではない物へも補助金や助成金が適応になると種類も増やし

やすい。

介護老人

福祉施設

どういう機器をどう使えばどういう効果があるかという具体的な使用事例と、それ

にかかるコストについて知りたい。

介護老人

福祉施設

福祉機器、介護機器について知らないことが多い。職員の技術、認識、意識にバラツ

キがあり、使用方法の統一が図りにくい。定期的な動作の評価見直しがまだ薄い。使

い始めたらそのままになっている。

介護老人

福祉施設

現在、活用しはじめたところだが、完全に定着するまで継続していくことが課題であ

る。

介護老人

福祉施設

リフトの使用が定着しない。「移乗介護したほうが早いから」と使用しない職員が多

い。使用しないため、リフトの操作方法を忘れてしまっている。新たにリフトの使い

方を教える時間が取れない。

介護老人

福祉施設

現状では、介護現場にとって使い勝手の良いロボットの製品が少ない。また、価格も

とても高額である。

介護老人

福祉施設

機器の機能習熟がまだ実用的でないと考えている。 介護老人

福祉施設

「介護は人の手で」という考えがある。 介護老人

福祉施設

機器を使用するのに思ったより時間がかかる。利用者によって、リフトを嫌がったり

怖がったりする人がいるため使用できないことがある。

介護老人

福祉施設

使用する上で非常に時間を要する機器もあり、職員不足が慢性化している現状では、

逆に現場の業務が回らなくなる恐れもある。

介護老人

福祉施設

センサーに振り回され、利用者の行動に過剰な反応をしてしまう。破損時の修理に時

間がかかる。定期的なメンテナンスが必要である。

介護老人

福祉施設

技術の浸透と見直しが必要である。職員により技術の差が出ている。 介護老人

福祉施設

補助金を受けるにも事前調査や導入後の報告が必要なものがある。新しい福祉・介護

機器について知る機会が少ない。職員の中にまだ機械に対する抵抗感・恐怖心があ

る。以前リフトを購入したが活用までに至っていない。勉強会を開催していきたい。

介護老人

福祉施設

機器導入・活用をさらに推進する上では、機器を導入・活用するメリットを、介護に

携わる職員全体で共通理解を図ることが重要であるが、特に電動式の機器は介助に

時間がかかるという思いを持っている職員が少ないながらもいるため、共通理解が

進まないところが課題と思われる。

介護老人

福祉施設

職員が機器の活用、目的、取り扱い等十分に理解していないため、導入にも消極的に

なっている。情報不足であり、新しいものへの積極性が欠けている。

介護老人

保健施設

使い勝手のよい機器が少ない。研究開発の余地あり。経費負担が大きい。 介護老人

保健施設

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職員の負担軽減を図る介護機器・器具があっても、それを活用するためには普段行っ

ている手法よりも利用者一人あたりに関わる時間が多くとられるため、結局、やり慣

れた方法により対処してしまうことがある。まず職員の教育、意識転換がとても重要

であり、大きな課題である。

介護老人

保健施設

福祉用具を活用する意味、患者と介助者双方にとっての重要性の理解を得るために

働きかけることが重要である。一時的には理解されても定着するまでには繰り返し

の研修等が必要だと感じている。

介護療養型

医療施設

活用できる機器を選択したいが、予算の都合で機能の低い機器となってしまう。その

ため、十分活用できなかったり、操作が煩雑となったりすることがある。

介護療養型

医療施設

情報がほしい。需要は今後あると思われるが、メリット、デメリット、補助金等判断

材料が少ない。需要にともなう技術や機器がまだまだ追いついていない感がある。

介護療養型

医療施設

一度にすべてを整える予定はない。他施設の情報を参考にして、使えそうな物を購入

していきたい。その中で問題点などが明らかになってくると思う。

介護療養型

医療施設

安全管理、職員習熟のためには人員不足である。以前、ペッパー君のデモ機の斡旋が

あったが、地域性を鑑みても導入に踏み切る必要性がない。

介護療養型

医療施設

施設の設備そのものが古く、福祉・介護機器を導入しても効果が確認できない。 障害者

支援施設

利用者の高齢化に伴い、必要性が高まっている。設置場所や安全性など全体的に情報

不足の状態である。また、経費等の問題も大きい。

障害者

支援施設

利用対象者が限定的となるケースが多く、その割に導入費用が高額になる。 障害者

支援施設

情報を集めるのにいろいろなところに問い合わせしたりしなければならないため、

時間がかかる。導入を検討しても予算的に難しいことがある。

障害者

支援施設

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28

3.必要とする情報や支援について

ICT及び福祉・介護機器の導入・活用に必要とする情報や支援をみると、「機器情報の提

供」が 22件(16.1%)と最も多く、次いで「導入事例の紹介」と「展示会・勉強会の開催」が

16件(11.7%)、「補助金・助成金の拡充」が 12件(8.8%)などであった。

表 13 必要とする情報や支援について N=137 「複数回答」

件数(件) 割合(%)

機器の情報提供 22 16.1

導入事例の紹介 16 11.7

展示会・勉強会の開催 16 11.7

補助金・助成金の拡充 12 8.8

補助金・助成金の情報提供 8 5.8

機器の性能向上 6 4.4

補助金・助成金手続きの簡略化 2 1.5

人材確保 2 1.5

展示会へのツアー企画 1 0.7

災害時、緊急時の連携 1 0.7

特になし 4 2.9

無回答 72 52.6

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回答施設からの意見(※主なものを抜粋)

必要とする情報や支援について 施設区分

全メーカーの介護機器を紹介しているサイトがあると便利である。メーカーや販売

会社ごとのサイトばかりでほしい物を探しにくい。

介護老人

福祉施設

導入によるメリットを頭で理解できても、実際に導入となると新たな操作を覚えな

ければならず、負担が逆に増えてしまう感覚になる。開発業者による説明会は開催し

ているが、実際の業務の中でタイムリーに使用方法をレクチャーしてもらえる機会

を継続的に設ける等の支援があれば助かる。また、パンフレットと実物では操作性が

異なることが多いため、展示会があれば参加したい。

介護老人

福祉施設

新しい機器や情報は見たい、知りたい、さわって試してみたい。資料だけでは分かり

にくいことも多いため、展示会等を近い場所(同一市内)で開催してほしい。借用し

て試用してみたい。

介護老人

福祉施設

導入前の機器の説明、職員に向けた研修と導入後機器の使い方、全体に定着するまで

の支援があるといいと思う。

介護老人

福祉施設

ICT、介護機器ともに導入から活用までの方法、教育がとても重要になってくる。

トップの決断ももちろんだが、目的の周知、理解がなければならないので組織全体の

力が必要である。まずは導入メリットのPRが盛んになればどうかと思う。

介護老人

福祉施設

良い点、悪い点を含めて、実際に活用している施設の報告を聞きたい。 介護老人

福祉施設

どんな便利な機器でも、使う側の心持ちひとつで良品にも悪品にもなり得ると思う

ので、実際の活用事例の発表を失敗例も含めて積極的に行っていただけると、普段の

業務に引き付けて検討したり、導入・活用する上で気を付けるべきことがわかりやす

いのではないか。

介護老人

福祉施設

導入費用の助成があるとよい。導入の効果、選定機器の理由、職員の生の声等メリッ

ト・デメリットの情報を聞く機会があるとよい。

介護老人

福祉施設

支援助成金が一度使用してもまた更新できるようにしてほしい。まだまだ機器の金

額が高いので、もう少し安価に導入しやすくしてほしい。

介護老人

福祉施設

補助金や助成金の拡充とともに申請手続きを簡素化していただきたい。 介護老人

福祉施設

在宅サービスでは、様々なサービスを利用しているので、他法人とも簡単に情報を共

有できれば良いと思う。今は全てケアマネジャーを通して電話のみで連携している。

介護老人

福祉施設

国際福祉機器展までは望まないが、何年かに 1 回でも富山県内で勉強できる機会が

あれば良いと思う。

介護老人

福祉施設

施設内研修でデモ機等の試用ができると良い。古い意識を変えられる材料や情報が

ほしい。補助金や助成金もあればありがたい。

介護老人

福祉施設

職場外研修として参加しているが、一度に多くの人数を参加させることは困難。また

研修で得た知識、技術を職場内研修としてフィードバックすることは言葉落ちや思

い違い、忘れ等で正確、十分に伝達できない。講師の方が施設を回り、研修を受けら

れる体制があればよいと思う。また、腰痛予防対策推進福祉施設に特化した研修があ

ったらよいと思う。

介護老人

福祉施設

やはり介護職員にとって自分と同等あるいはそれ以上の働きをしてくれる機器でな

いと本格的に活用しないのではないか。少なくとも介護機器の導入で職員にゆとり

や他の作業に振り向ける時間が生じることが必要。

介護老人

福祉施設

例えば 1 時間に 10 件の業務或いは介助等を現在処理しているとする。これを職員の

業務負担を軽減することができた上で 1 時間に 10 件+αの業務等を処理できること

を現場は求めている。職員の負担は軽減されたとしても、1 時間あたりにこなせる件

数が 10 件から 5 件、6 件などに減ってしまうシステムや介護機器の導入では実用的

とは言えないと受け止められるので、業務負担・身体的負担の軽減と処理件数、介助

件数が効率的になってこそ、本当に現場が求めるニーズに応えることだと思う。ます

ますの技術開発を期待している。

介護老人

保健施設

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30

介護・看護の優秀な人材の確保が最優先である。人的余裕がなければ新しいことにチ

ャレンジしない。

介護老人

保健施設

介護ロボット等のモニターがあると試しに利用できる。 介護老人

保健施設

ICT導入は、これからの若い職員には良いシステムである。システム購入への補助

が沢山あると導入しやすい。記録の重複を避けることも実践できるようにしてほし

い。

介護老人

保健施設

人によってICTの評価は異なる。正直、使ってみないと分からない。情報はいろん

な業者が提供してくれるので十分かと思う。

介護療養型

医療施設

新しい機器や助成などの情報がすぐに入ってくるとありがたい。 介護療養型

医療施設

ケアの業務全体における他施設の良い事例を具体的に情報として得られれば、実施

の現場で活かしやすいのではないかと思う。情報発信の意味で、今までの研修も継続

していく必要があると思う。

介護療養型

医療施設

福祉機器の情報や現場の声を書き込みできるような情報共有の場があれば、より効

率的に情報収集ができるのではないかと思う。また、災害時、緊急時に行政等と連携

するシステムが不十分に感じる。固定電話が使えなかったり、停電でパソコン等の機

器が使えない時、緊急の指示等はどうするか、何を使えばいいのか。具体的に決めて

おく必要が有ると思う。例えば、施設の代表者に一斉にメールが送られるとか、独自

のインフォメーションツールがあるとか。

障害者

支援施設

女性や高齢の職員が多いため、操作のやさしい機器の紹介やあまりコストの高くな

い機器の紹介があればよい。情報がもっとあれば検討も考える。

障害者

支援施設

ICTが福祉の場に入ることで何が良くなるのかということがわからない。 障害者

支援施設

実際の使い勝手等は文字では伝わりにくい。動画があればイメージが伝わりやすい

のではないか。

障害者

支援施設

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31

Ⅲ 全体のまとめ

ICTの導入・活用状況について

・ICTの導入状況をみると、58件(42.3%)が「導入している」と回答しており、施設区分別

にみると、介護老人福祉施設と障害者支援施設は半数以上が導入している。

・導入しているものをみると、「介護(支援)ソフト・システム」が 27件(46.6%)と最も多く、

次いで「パソコン等による利用者情報の一元管理」が 17件(29.3%)、「タブレット端末・モバ

イル端末」が 14件(24.1%)であった。

・導入を開始した年度は、平成 11年度が最も早く、当初は 1施設であったが、毎年導入する施設

が増加傾向にある。

・ICTを導入したきっかけ・目的をみると、「業務の効率化・省力化」が 27 件(46.6%)と最

も多く、次いで「利用者情報の共有」が 17 件(29.3%)、「多事業者間、多職種間の情報共有」

が 10件(17.2%)であった。

・ICT導入の際の補助金・助成金の利用状況をみると、全体の 37.7%が「補助金・助成金を使

用していない」と回答している。

・ICT導入にあたり取り組んだことは、「職場内研修・勉強会の実施」が 32件(46.4%)と最

も多く、次いで「業者による説明・研修」が 10件(14.5%)、「デモ機の借用」が 8件(11.6%)

などであった。

・ICT導入後の変化をみると、「利用者情報の共有」が 29件(50.0%)と最も多く、次いで

「業務の効率化・時間短縮」が 25件(43.1%)、「サービスの質の向上」が 12件(20.7%)な

どであった。

・ICTの導入・活用にあたっての課題をみると、「経費・費用負担の増大」が 63件(46.0%)

と最も多く、次いで「職員の習得・習熟に時間がかかる/習熟度に差がある」が 41件

(29.9%)、「費用対効果が不明確」が 11件(8.0%)などであった。

福祉・介護機器(介護ロボットを含む)の導入・活用状況について

・福祉・介護機器の導入状況をみると、「移乗用ボード」が 86件(62.8%)と最も多く、次いで

「移乗用シート」が 74件(54.0%)、「移乗用リフト」が 42件(30.7%)などであった。

また、「導入の予定はない」と回答した施設の理由では、経費・費用に関するものが多かっ

た。

・福祉・介護機器の活用状況をみると、「活用している割合」は「見守り支援ロボット」が

100.0%と最も高く、次いで「入浴支援ロボット」が 90.9%、「移乗用ボード」が 89.6%など

であった。一方で、「コミュニケーションロボット」の「活用している割合」は 40.9%と低か

った。

Page 35: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

32

・福祉・介護機器導入時の補助金・助成金の利用状況をみると、「職場定着支援助成金(厚生労

働省、平成 20年~)」が 14件(13.2%)と最も多く、次いで「富山県介護環境モデル事業費

補助金」(富山県、平成 26~27年)が 7件(6.6%)、「地域介護・福祉空間整備等施設整備交

付金」(厚生労働省、平成 17年度~)が 4件(3.8%)などであり、全体の 38.4%が補助金・

助成金を利用している。

・福祉・介護機器導入にあたり取り組んだことをみると、「職場内研修・勉強会」が 62件

(58.5%)と最も多く、次いで「デモ機の借用」が 27件(25.5%)、「外部研修会への参加」

が 18件(17.0%)などであった。

・福祉・介護機器導入後の変化をみると、「職員の負担軽減」が 53件(57.0%)と最も多く、次

いで「職員の腰痛の予防・軽減」が 27件(29.0%)、「リスクの軽減・利用者の安全確保」が

21件(22.6%)、「利用者の安心感・満足感の向上」が 18件(19.4%)などであった。

・福祉・介護機器の導入・活用にあたっての課題をみると、「経費・費用負担の増大」が 34件

(24.8%)と最も多く、次いで「導入事例等の情報不足」が 21件(15.3%)、「職員の習得・

習熟に時間がかかる/習熟度に差がある」と「機器の性能が不十分」が 17件(12.4%)であっ

た。

必要とする情報や支援について

・ICT及び福祉・介護機器の導入・活用に必要とする情報や支援をみると、「機器情報の提

供」が 22件(16.1%)と最も多く、次いで「導入事例の紹介」と「展示会・勉強会の開催」

が 16件(11.7%)、が「補助金・助成金の拡充」が 12件(8.8%)などであった。

Page 36: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

33

考察

本県の福祉施設におけるICTの導入状況は、介護老人福祉施設、障害者支援施設においては

半数以上が「導入している」と回答しているものの、全体としては 4割強にとどまっており、ま

だまだ広く普及しているとは言い難い状況にある。

ICTを導入した目的は、「業務の効率化」、「利用者情報の共有」の順に多く、介護支援シス

テム等による利用者情報の一元管理やモバイル情報端末の活用による記録業務の効率化を図って

いる施設が多く見られた。

導入後の変化については、「業務の効率化」と回答した施設が 43%、「利用者情報の共有」と

回答した施設が 50%あったことから、約半数の施設は導入時の目的を達成できているものと考

えられる。その他、約 20%の施設が導入後の変化として「サービスの質の向上」を挙げている

が、これは導入時にはなかった視点である。記録業務の効率化や動画・写真等の活用による経過

の可視化、多職種間でのタイムリーな情報共有等が可能になったことにより、結果として提供す

るサービスの質が向上してきたことがうかがえる。

ICTの導入・活用にあたっての課題は費用負担に関するものが多く見られ、補助金・助成金

の充実や情報提供が求められている。また、「費用対効果が不明確なため導入に踏み切れない」、

「中高齢の職員や女性職員の中にはICTに心理的抵抗を感じる場合もある」等の意見も見られ

たことから、メリット・デメリットを含め、導入段階から導入後までの具体的なイメージが描け

るような支援が必要であると考える。

福祉・介護機器の導入状況は、機器によってばらつきがある。導入している割合が高いのは

「移乗用ボード」及び「移乗用シート」であり、特に介護老人福祉施設においては、70%以上の

施設が「移乗用ボード」及び「移乗用シート」を、55%以上の施設が「移乗用リフト」を導入し

ている。また全体の 70%~90%以上がそれらを「十分活用している」「活用している」と回答し

ており、移乗関連用具の導入・活用は比較的進んでいることがうかがえる。

一方、各種介護ロボットの導入については一定の割合に留まっている。「コミュニケーション

ロボット」や「見守り支援ロボット」については約 15%の施設が導入しているものの、「経費の

負担が大きい」、「費用対効果が不明確」、「情報不足」等の理由から積極的な導入には至っていな

い現状がある。活用状況については、「見守り支援ロボット」は導入施設の 100%が、「入浴支援

ロボット」は同施設の 90%以上が「十分活用している」「活用している」と回答しており、導入

率は高いとは言えないながらも一定程度の活用はなされているものと思われる。

福祉・介護機器の導入にあたっては、約 60%の施設が研修や勉強会に取り組んだと回答して

いる。委員会を立ち上げたり、他職種で必要な機器の選定を行ったりしたという施設もあり、こ

のようなプロセスの中で、職員の意識変化や職場の活性化が図られたものと思われる。

Page 37: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

34

また、福祉・介護機器の導入後の変化については、「職員の身体的・精神的負担の軽減につな

がった」、「持ち上げる介護が少なくなったことで、移乗時のリスクが減り、利用者の安心感が増

した」「職員と利用者のコミュニケーションが活性化し、利用者の笑顔が増えた」等の意見がみ

られ、職員の負担軽減とともに利用者の安心感・満足感の向上にもつながっていることがうかが

える。

一方で、「費用負担が大きい」、「使用スペースや保管場所等、環境整備が必要」、「機器の操作

性や機能の習熟に不安がある」、「介護は人の手でとの考えがある」、「機器に振り回されてい

る」、「機器を使用することで、かえって時間がかかってしまうため定着しない」等、さまざまな

課題も挙げられている。

「今後需要はあると思うが、メリット・デメリット等、判断材料が少ない」との意見にあるよ

うに、多くの施設は判断材料となる具体的な情報を求めていると思われる。まずは、今回の調査

で寄せられたような現場からの率直な意見を共有できる場が必要であると考える。また、中には

「現状の機器の性能は発展途上と考える」という意見も見られ、今後の新たな技術開発を注視し

ていくとともに、最新機器の情報を得られる展示会等を開催したり、それらの周知に努めたりし

ていくことも重要である。

本調査により、県内福祉施設のICT及び福祉・介護機器の導入・活用状況は十分であるとは

言えず、多くの課題があることが明らかとなったが、慢性的な人材不足が続く福祉・介護職場に

おいては、「業務を効率化し、限られた人材で質の高いサービスを提供すること」、「長く安心し

て働けるよう職員の身体的・精神的負担を軽減すること」が重要課題となっている。また「利用

者自身の持てる力を引き出し、できないところをサポートする自立支援を促す介護」が求められ

ている中、利用者の特性に応じた適切な機器を活用することは必要不可欠であると思われる。

今後、求められる支援としては、メリット・デメリットを含め、実際に導入した施設の活用事

例を紹介したり、現場からの率直な意見や各施設の現状を共有したりする場を提供することであ

る。また、最新機器や補助金・助成金情報の発信も求められている。

さらに導入後も、機器の種類や職員の習熟度等に応じた活用研修を実施する等、機器の活用が

定着するようなフォローアップ支援を継続実施していくことが必要であると考える。

Page 38: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

35

Ⅳ 資料編

(1)回答施設一覧 ※50 音順

介護老人福祉施設

施設名 設置主体(管理運営主体)

特別養護老人ホーム あさひ苑 (福)あかね会

特別養護老人ホーム 雨晴苑 (福)永寿会

特別養護老人ホーム 有磯苑 (福)有磯会

特別養護老人ホーム アルテン赤丸 (福)福岡福祉会

特別養護老人ホーム あんどの里 (福)海望福祉会

特別養護老人ホーム 射水万葉苑 (福)射水万葉会

特別養護老人ホーム いなみ (福)福寿会

特別養護老人ホーム エスポワールこすぎ (福)小杉福祉会

特別養護老人ホーム おあしす新川 (福)おあしす新川

特別養護老人ホーム 大江苑 (福)小杉福祉会

特別養護老人ホーム おらはうす宇奈月 (福)宇奈月福祉会

特別養護老人ホーム かがやき (福)高岡南福祉会

特別養護老人ホーム 香野苑 (福)立野福祉会

特別養護老人ホーム カモメ荘 (福)廣和会

特別養護老人ホーム 喜寿苑 (福)誠心会

特別養護老人ホーム きらら (福)福寿会

特別養護老人ホーム くれは苑 (福)陽光福祉会

特別養護老人ホーム 越野荘 (福)緑寿会

特別養護老人ホーム こぶし園 (福)大門福祉会

特別養護老人ホーム ささづ苑 (福)宣長康久会

特別養護老人ホーム 三寿苑 (福)三寿会

特別養護老人ホーム 志貴野長生寮 (福)高岡市身体障害者福祉会

特別養護老人ホーム 七美ことぶき苑 (福)喜寿会

特別養護老人ホーム 常楽園 (福)富山聖マリア会

特別養護老人ホーム しらいわ苑こもれび (福)とやま虹の会

特別養護老人ホーム すみれ苑 (福)みとし会

特別養護老人ホーム すわ苑 (福)ひみ福祉会

特別養護老人ホーム 清寿荘 (福)清寿会

特別養護老人ホーム 晴風荘 (福)幸恵会

特別養護老人ホーム 清楽園 (福)清楽会

特別養護老人ホーム ソレイユ (福)堀川南会

Page 39: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

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特別養護老人ホーム 太閤の杜 (福)小杉福祉会

特別養護老人ホーム だいご苑 (福)戸出福祉会

特別養護老人ホーム 太陽苑 (福)千寿会

特別養護老人ホーム たちばな荘 (福)慶寿会

特別養護老人ホーム 椿寿荘 (福)慶寿会

特別養護老人ホーム つまま園 (福)ひみ福祉会

特別養護老人ホーム 砺波ふれあいの杜 (福)となみ野会

特別養護老人ホーム ながれすぎ光風苑 (福)光風会

特別養護老人ホーム 新川ヴィーラ (福)新川老人福祉会

特別養護老人ホーム にながわ光風苑 (福)光風会

特別養護老人ホーム のむら藤園苑 (福)早川福祉会

特別養護老人ホーム のりみね苑 (福)慶寿会

特別養護老人ホーム はなさき苑 (福)大山会

特別養護老人ホーム 福寿園 (福)福寿会

特別養護老人ホーム 白光苑 (福)富山市桜谷福祉会

特別養護老人ホーム ふしき苑 (福)伏木会

特別養護老人ホーム 藤園苑 (福)早川福祉会

特別養護老人ホーム ふなはし荘 (福)中新川福祉会

特別養護老人ホーム 舟見寿楽苑 (福)舟見寿楽苑

特別養護老人ホーム ふなん苑 (福)富山ふなん会

特別養護老人ホーム ふるさと敬寿苑 (福)富山城南会

特別養護老人ホーム 鳳鳴苑 (福)福鳳会

特別養護老人ホーム ほっとはうす千羽 (福)小矢部福祉会

特別養護老人ホーム ほのぼの苑 (福)白寿会

特別養護老人ホーム やすらぎ荘 (福)福寿会

特別養護老人ホーム やなぜ苑 (福)砺波福祉会

特別養護老人ホーム 竜ヶ浜荘 (福)立山福祉会

介護老人保健施設

施設名 設置主体(管理運営主体)

魚津老人保健施設 (医社)七徳会

大沢野老人保健施設 かがやき (医社)双星会

介護療養型老人保健施設 尽誠会 (医社)尽誠会

介護療養型老人保健施設 ちょうろく (医社)ホスピィー

介護療養型老人保健施設 福光あおい (医社)寿山会

介護老人保健施設 葵の園・なんと (医社)修和会

介護老人保健施設 アメニティ月岡 (医社)月岡

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介護老人保健施設 きぼう (医社)正和会

介護老人保健施設 ケアポート庄川 (福)庄川福祉会

介護老人保健施設 サンセリテ (医社)喜生会

介護老人保健施設 シルバーケア城南 (医社)城南会

介護老人保健施設 長寿苑 (医社)桑山会

介護老人保健施設 西町セントラル・ヴィレー (医社)丘生会

介護老人保健施設 みどり苑 (医財)五省会

介護老人保健施設 やすらぎ (医社)誠林会

介護老人保健施設 ようわ苑 (医社)友愛病院会

上市老人保健施設 つるぎの庭 (医社)藤聖会

黒部市介護老人保健施設 カリエール 黒部市

入善老人保健施設 こぶしの庭 (医社)藤聖会

八尾老人保健施設 風の庭 (医社)藤聖会

山田医院併設介護療養型老人保健施設 (医社)楽山会

老人保健施設 アルカディア氷見 (医社)明寿会

老人保健施設 さくら苑 (医社)志貴野会

老人保健施設 しきのケアセンター (医社)志貴野会

老人保健施設 シルバーケア栗山 (医社)いずみ会

老人保健施設 なごみ苑 (福)周山会

老人保健施設 みしま野苑一穂 (医社)楽山会

介護療養型医療施設

施設名 設置主体(管理運営主体)

池田リハビリテーション病院 (医社)一志会

魚津病院 (医社)七徳会

太田病院 (医社)薫風会

おおやま病院 (医社)東方会

温泉リハビリテーションいま泉病院 (医社)いずみ会

栗山病院 (医社)基伸会

黒部温泉病院 (医社)友愛病院会

公立南砺中央病院 南砺市

佐伯病院 (医社)佐伯メディカルグループ

坂本記念病院 (医社)仁敬会

サンバリー福岡病院 (医社)志貴野会

成和病院 (医社)正啓会

丹保病院 (医社)桑山会

砺波サンシャイン病院 (医社)藤和会

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となみ三輪病院 (医社)三医会

富山城南温泉第二病院 (医社)城南会

富山城南温泉病院 (医社)城南会

流杉病院 流杉病院

萩野病院 (医社)継和会

光ヶ丘病院 (医社)紫蘭会

深川病院 (医社)深川病院

万葉病院 (医社)川岸会

三輪病院 (医社)三医会

山田温泉病院 (医社)親和会

友愛温泉病院 (医社)友愛病院会

吉見病院 (医社)秀林会 吉見病院

障害者支援施設

施設名 設置主体(管理運営主体)

いみず苑「ひびき愛」 (福)射水福祉会

うさか寮 (福)めひの野園

高志ライフケアホーム (福)富山県社会福祉総合センター

高志ワークホーム (福)富山県社会福祉総合センター

こもれびの里 (福)野の草会

志貴野ホーム (福)高岡市身体障害者福祉会

障害者支援施設 あざみ園 (福)恵風会

障害者支援施設 渓明園あすなろ (福)渓明会

障害者支援施設 渓明園からまつ (福)渓明会

障害者支援施設 こだまの丘 (福)セーナー苑

障害者支援施設 志貴野苑 (福)高岡市身体障害者福祉会

障害者支援施設 新生苑さくら通り (福)たかおか新生会

障害者支援施設 新生苑つつじ通り (福)たかおか新生会

障害者支援施設 新川むつみ園 (福)新川むつみ園

障害者支援施設 のぞみの丘 (福)セーナー苑

障害者支援施設 花椿あおぞら (福)渓明会

障害者支援施設 花椿きらめき (福)渓明会

障害者支援施設 はるかぜの丘 (福)セーナー苑

障害者支援施設 ひゞき (福)海望福祉会

障害者支援施設 ほほえみの丘 (福)セーナー苑

障害者支援施設 やまびこの丘 (福)セーナー苑

障害者支援施設 わかくさの丘 (福)セーナー苑

Page 42: ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態 …...平成22年度 ICT及び福祉・介護機器の 導入・活用にかかる実態調査 報告書 平成29年12月

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野積園 (福)白皇山保護園

マーシ園木の香 (福)マーシ園

マーシ園八乙女 (福)マーシ園

四ツ葉園 (福)新川会

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(2)使用した調査票

県内福祉施設における

ICT及び福祉・介護機器の導入・活用にかかる実態調査票

施設名 記入者ご氏名 TEL

区分 □特養( 従来型 / ユニット型 ) □老健 □介護療養型 □障害者支援施設

※区分のあてはまる箇所に○印をお願いします。

1 ICTの導入・活用状況について

※ICT…情報通信技術。利用者情報の一元管理やモバイル端末等の活用により、業務の効率化や多職種間の情報連携を図るもの。

(1) 貴施設ではICTを導入していますか。または導入の予定がありますか。

① 導入している ②検討中/準備中 ③導入の予定はない

(H 年度より導入) (H 年度より導入予定) (理由等 )

(2)(1)で①と回答された施設にお聞きします。具体的にどのようなものを導入されていますか。

また、導入のきっかけ/目的を教えてください。 (ex)職場のイメージアップ、業務の効率化 等

(3)(1)で②と回答された施設にお聞きします。具体的にどのようなものを検討されていますか。

また、検討することになったきっかけ/目的を教えてください。 (ex)職員の離職防止、業務改善 等

(4)(1)で①または②と回答された施設にお聞きします。ICTの導入にあたって利用した/利用する

予定の補助金や助成金等があれば記入してください。 (ex)IT導入補助金(経済産業省)等

(5)(1)で①または②と回答された施設にお聞きします。ICTの導入にあたって取り組んだことを

教えてください。 (ex)職場内研修の実施、デモ機の借用 等

【導入したもの】

【きっかけ・目的】

【導入を検討しているもの】

【きっかけ・目的】

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(6)(1)で①と回答された施設にお聞きします。ICTの導入・活用により、どのような変化・効果が

みられましたか。 (ex)サービスの質向上、時間外勤務の減 等

(7)すべての施設にお聞きします。ICTの導入・活用にあたり、問題となっていることや課題等が

あれば教えてください。 (ex)経費の負担が大きい、職員の習熟に時間がかかる 等

2 福祉・介護機器(介護ロボットを含む)の導入・活用状況について

(1) 貴施設では、下記の福祉・介護機器(介護ロボットを含む)を導入していますか。導入されている

ものに○印をつけ、具体的な機器・ロボットの名称を( )に記入してください。

また、①~⑩のいずれかに○印をつけられた場合は、それらの活用の程度について、それぞれ下記の

AからDのあてはまるものに○印を記入してください。

【活用の程度】

A 十分活用している B ある程度活用している C あまり活用していない D 活用していない

① 移乗用ボード ( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

② 移乗用シート ( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

③ 移乗用リフト ( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

④ 移乗介助ロボット( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

※介助者のパワーアシストを行う装着型/非装着型の機器

⑤ 移動支援ロボット( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

※対象者の歩行、立ち座り、姿勢保持を支援する機器

⑥ 排泄支援ロボット( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

※設置位置が調整可能なトイレ

⑦ 見守り支援ロボット( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

※センサーや外部通信機能を備えた機器

⑧ 入浴支援ロボット( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

※入浴時の一連の動作を支援する機器

⑨ コミュニケーションロボット( ) ⇒ 活用の程度【 A B C D 】

⑩ その他( )⇒ 活用の程度【 A B C D 】

⑪ 導入を検討中/準備中( )

⑫ 導入の予定はない(理由等 )

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(2)(1)で①~⑪のいずれかに○印をつけられた施設にお聞きします。福祉・介護機器の導入に

あたって利用した/利用する予定の補助金や助成金等があれば記入してください。

(ex)職場定着支援助成金(富山労働局)等

(3)(1)で①~⑪のいずれかに○印をつけられた施設にお聞きします。福祉・介護機器の導入に

あたって取り組んだことを教えてください。 (ex)職場内研修の実施、デモ機の借用 等

(4)(1)の活用の程度について、AまたはBと回答された施設にお聞きします。福祉・介護

機器の導入・活用により、どのような変化・効果がみられましたか。

(ex)利用者の安心感向上、職員の負担軽減 等

(5)すべての施設にお聞きします。福祉・介護機器の活用を図るうえで、問題となっていることや

課題等があれば教えてください。

(ex)情報不足、安全対策の徹底 等

3 必要とする情報や支援について

すべての施設にお聞きします。ICT及び福祉・介護機器の導入・活用にあたって、どのような

情報や支援があるとよいと思われますか。また、ご意見等あればご自由に記入してください。

(本会における今後の事業企画の参考とさせていただきます。)

ご協力ありがとうございました。