椿ときのこ(ツバキキノボリツエタケ 椿木登杖茸) …Œ...n (2012). the genus...

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ヤブツバキの枯幹に発生したツバキキノボリツエタケPonticulomyces orientalis、鳥取市 目  次 表紙のきのこに寄せて 椿ときのこ(ツバキキノボリツエタケ 椿木登杖茸) 愛媛県における平成29年産原木シイタケ春子の 発生状況 …………………………………………… 料理トピックス 第30回きのこ料理コンクール全国大会開催される きのこレシピ その8:プレミアムエリンギ濃丸とサーモンの てまりずし ………………………………………… 4~6月の原木シイタケ栽培管理………………… 11 市    況 5月号 全農乾シイタケ情報 ……………………… 20 生シイタケの市況動向……………………………… 23 ………………………………………………………… 24 各地のきのこだより ………………………………………………………… 26 -1-

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Page 1: 椿ときのこ(ツバキキノボリツエタケ 椿木登杖茸) …Œ...N (2012). The genus Ponticulomyces (Physalacriaceae, Agaricales) from Japan. Mycoscience 53: 156–160

ヤブツバキの枯幹に発生したツバキキノボリツエタケPonticulomyces orientalis、鳥取市

目  次表紙のきのこに寄せて 椿ときのこ(ツバキキノボリツエタケ 椿木登杖茸) … 2産 地 情 報 愛媛県における平成29年産原木シイタケ春子の        発生状況 …………………………………………… 3料理トピックス 第30回きのこ料理コンクール全国大会開催される … 7きのこレシピ その8:プレミアムエリンギ濃丸とサーモンの        てまりずし ………………………………………… 9栽 培 技 術 4~6月の原木シイタケ栽培管理 ………………… 11市    況 5月号 全農乾シイタケ情報 ……………………… 20       生シイタケの市況動向……………………………… 23お 知 ら せ  ………………………………………………………… 24各地のきのこだより ………………………………………………………… 26

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

 ヤブツバキの深く鮮やかな赤い花は、11月〜

4月が見頃です(図1)。盛りを過ぎた花は花びら

が一枚一枚散らずに、丸ごと落下して地面を飾り

ますので、どことなく風情のある雰囲気に包まれ

ます。木の成長は非常に遅く、また美しく非常に

硬い幹をもち、種子は昔から椿油の原料として利

用されています。日本人には庭木から鎮守の森と

呼ばれるような原生の照葉樹林など、様々なとこ

ろで目にする身近な樹木ですが、樹齢数百年から

数千年というものも多く存在します。また日本海

沿岸のヤブツバキの低木林は地を這うように発達

しており印象的です。

 さて、ヤブツバキに発生するきのことしては、初春の3月から4月頃、ツバキキンカクチャワ

ンタケが地面に落下した花葉から発生します。5月半ばから7月にかけては、今回紹介しますツ

バキキノボリツエタケ(Ponticulomyces orientalis (Zhu L. Yang) R. H. Petersen)という

きのこが発生します(図2)。このきのこは最初2000年に、中国は雲南省の常緑広葉樹林で採

集(樹種名は不明)され、Oudemansiella orientalis Zhu L. Yangという学名の新種として

報告されました*1。それからしばらくして筆者がこの仲間を調査していたところ、40年ほど前

からこれに似たきのこが鳥取市近辺で記録されており、長らく不明種であることがわかりまし

た。国内の標本を幾つか収集してこれらの形態と遺伝子の配列を調べてみると、中国から報告され

ていた上記の種と一致しました。収集した標本の

うち、樹種不明のものを除きすべてヤブツバキか

らの発生でした。分子系統学的には地面から生え

るツエタケ類に近縁なためこの和名を与えていま

す。現在、国内では本州(鳥取、神奈川)と九州(屋

久島)でその分布を確認しています*2。なお食毒は

分かっていません。(菌蕈研究所、主任研究員)

*1. Yang ZL (2000). Further notes on the genus Oudemansiella from southwestern China. Mycotaxon 74: 357–366.

*2. Ushijima S, Nagasawa E, Suhara H, Maekawa N (2012). The genus Ponticulomyces (Physalacriaceae, Agaricales) from Japan. Mycoscience 53: 156–160.

表紙のきのこに寄せて椿ときのこ(ツバキキノボリツエタケ 椿木登杖茸)■ 牛島秀爾

図1.ヤブツバキ

図2.群生するツバキキノボリツエタケ

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

1.平成28年夏期~原基形成時期の気象とほだ木状態

 上記のグラフは、平年と平成28年の6月~10月の降水量と平均気温を比較したものです。昨

年の夏場は6月、9月、10月において平年を上回る雨量となり、全体では平年より多い状況で

推移しました。特に6月は平年の189%と極端に多くなりました。原基形成期(9月中旬~10

月中旬)の降水量も同様に多くなりました。平均気温は6月~10月まで平年より高く、特に8

月~10月は平年より1.3℃~2.9℃と近年になく高く推移し、新ほだ木の靭皮部や材部の腐朽、

植穴オガ菌の熟度および原基形成に良い影響を与えました。原基は順調に形成されましたが、そ

の熟度、深さおよび大きさに個人差が見られました。全体的に、2年ほだ木のほだ化にはバラツ

キがありました。

 原因として、原木の充分な葉枯らしができず、生木状のものが多かったため、ダイダイタケや

キウロコタケ等の害菌の発生が多かったことが考えられます。一部のほだ場では、ボタンタケ類

(ヒポクレア・ラクテアやヒポクレア・ペルタータ)の発生も多く見られました。本年も1年ほ

だ木の植穴オガ菌の熟度には全体的にバラツキがありました。

産地情報愛媛県における平成29年産原木シイタケ春子の発生状況■ 西本 博

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

2.晩秋子~4月下旬までの発生状況

図1.菌興115号2年ほだ木の発生( 標高200m、南西向きヒノキ林ほだ場、2月28日撮影)

図2.菌興240号2年ほだ木の発生(標高200m、東南向きヒノキ林ほだ場、3月2日撮影)

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

図3.菌興169号4年ほだ木の発生(標高200m、東南向きスギ林ほだ場、3月10日撮影)

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

 愛媛県での今シーズンは昨年同様、暖秋・暖冬で推移するものの、中低温性品種は秋子~晩秋

子において順調な発生がありました。しかし、低中温性品種は暖秋・暖冬の影響で芽切りが遅く、

寒子は僅かな発生となりました。その後1月中旬頃から平年並みの低温が続く一方、2月中~下

旬の気温上昇と10℃以上の日格差、そして適度な降雨により、一斉芽切りとなりました。積雪

は3回(1月23日、2月10日、3月8日)あり、山沿いでは30~40㎝の積雪を記録しました。

降雨量は、1月86㎜ (平年比114%、降雨日数10日)、2月102.5㎜ (平年比123%、 降水日

数10日)でした。1月の平均気温は5.6℃(平年値4.9℃)、2月平均気温は5.8℃(平年値5.7℃)

となりました。充分な低温刺激と水分補給により、古ほだ木からの発生に好影響を与えました。

 本年は2月中旬から平年を下回る気温と降水量が続き、特に春子発生の最盛期となる3月上旬

~下旬の降水量は極端に少なく、寒の戻りもありました。同時に乾燥注意報が続いたため、冬菇

~小葉系の天白が多く収穫されました(図1、2,3)。出荷箱1箱あたり正味重量は25~28㎏

と重いものが目立ちました。平年のような最盛期が無く、日和子・良品で断続的な発生となりま

した。

 しかし、4月に入ると、6日から4日連続して暖雨(積算105㎜)が続き、最高気温も20℃

を越え、一気に標高700ⅿまで雨子バレの収穫となりました。品柄は大葉バレ中心の軽いもの

となりました(1箱の重量は10㎏前後)。本年の春子最盛期は近年になく遅く、極端な集中発生

となりました。急激な暖雨により収穫・乾燥が間に合わず、古ほだ木のきのこの一部を腐敗させ

た方も見受けられました。このように、今年の春子作柄は、前半の日和子・小葉厚肉中心、後半

の雨子・大葉バレ中心と2極化する状況となりました。

3.今後の見通しと反省

 4月25日現在での収穫進捗度は、昨年最終対比の約95%~100%前後となっています。

 原発事故の風評被害による価格低迷により、平成25年と平成26年分の植菌ほだ木の減少と新

ほだ木の熟度不足等により、昨年より生産量が下回った方も多いようです。しかし、本年におい

ても積極的な発生操作・袋かけ・成長促進散水を小まめに実践した方については、安定した芽切

りと、良好な成長により単収・収量増となりました。

 重労働が多い原木栽培ですが、ほだ場環境の整備や発生管理の徹底による収量アップと良品作

りや新規担い手の参入により、国内需要に応える生産量の確保が求められています。

 今一度 増産・増収・増益へ向け、共に頑張りましょう!

(四国事務所)

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

 今年も3月14日に、渋谷区の服部栄養専門学校の協力を得て、きのこ料理の普及と消費拡大

を目的として、第30回の節目となる「きのこ料理コンクール全国大会」が開催されました。出

場は、全国11県の予選を経て選抜された13人の各県の最優秀品で競われました。

 当日の全国コンクールの概要は以下のとおりでした。

 ・主 催 者:日本特用林産振興会

 ・後  援:林野庁

 ・協賛団体:日本産・原木しいたけをすすめる会、JA全農、全国森林組合連合会など6団体

 ・審 査 員:審査員長は服部栄養専門学校長。他著名な料理研究家3名

 ・表  彰:林野庁長官賞2点、しいたけ等特用林産振興議員連盟会長賞など13点

 ・応募作品:全国11県から2,334点で、その内訳は、乾シイタケ料理410点、生シイタケ

料理738点、その他きのこ類料理1,186点

 ・来  賓:磯崎農林水産副大臣、今井林野庁長官、中曽根しいたけ等議員連盟会長

 コンクールは、出場者13人の内、高校生が8人を占め若い感性の作品が多く、与えられた1

時間の調理時間の後、4人の審査員による厳正な審査を経て入賞品が決められました(図1)。

料理トピックス第30回きのこ料理コンクール全国大会開催される■村山盛繁

図1.きのこ料理コンクールの審査の様子

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

最優秀の林野庁長官賞に輝いたのは、栃木県の岩崎尋乃さんと大分県の末友風摩さんの作品でし

た(図2、3)。

 表彰式では、磯崎副大臣と中曽根会長から祝辞が述べられるとともに、6年前の大震災と原発

事故からの復興・再生への継続支援が表明され、和食文化の代表的な食材として輸出拡大への貢

献の期待が述べられました。

 また特別に、きのこ料理コンクール30回記念賞が設けられて、初回から審査員を務められた

「堀江泰子賞」が宮崎県の金丸千識さん(図4)に贈られました。

 表彰式後には、審査員を囲んで受賞者との懇談会が開催されて無事30回の節目のコンクール

を終了しました。

(一般財団法人日本きのこセンター 参与)

図2.岩崎尋乃さんの作品

図4.金丸千識さんの作品

図3.末友風摩さんの作品

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

きのこレシピその8:プレミアムエリンギ濃丸とサーモンのてまりずし■ 渡邊萌生

「野菜ソムリエ上級プロ長島明子さん 監修」

●材料(16個分)

プレミアムエリンギ濃丸…2本

ごま油………………………小さじ2

塩……………………………ひとつまみ

スモークサーモン…………6~8枚

大葉…………………………適量

白ごま………………………大さじ1

酢飯

白米…………………………1合

昆布…………………………3cm長さ 1枚

酒……………………………小さじ1

すし酢………………………30ml(大さじ2)

●作り方                                       1)白米は昆布と酒を加えて少なめの水加減で炊き、すし酢を合わせて酢飯を作る。2)濃丸を5mm厚さの輪切りにする。ごま油を入れたフライパンに濃丸を並べて塩をふり、両

面を焼く。3) (2)の焼いた濃丸のかさと柄の輪切り16個分を取り分けておき、残りをみじん切りにして、

白ごまと一緒に酢飯に混ぜる。4)ラップを手のひらに広げ、濃丸のかさを下向きに置き、(3)の酢飯をのせて、茶巾に絞り、

丸く形作る。白ごま(分量外)をのせる。5)濃丸の柄の部分は、柄、スモークサーモン、大葉を重ねて酢飯をのせて茶巾に絞る。                                           

【長島明子さん】季節の野菜と果物で、日々の暮らしを“おいしい、楽しい、ヘルシー”に!をテーマに鳥取の旬の野菜を使った料理教室を開催しています。★「こんな食べ方もあるよ!」というご提案もお待ちしております♪情報の宛先は、一般財団法人日本きのこセンター http://www.kinokonet.com/                                           

野菜ソムリエ上級プロ長島明子さん

酢飯に混ぜ込んだ濃丸の食感もアクセント!

ちょっとしたおもてなしや行楽にもいかがでしょうか。

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

 この度、プレミアムエリンギ濃丸を使った料理レシピを考案していただきました長島明子さん

から濃丸に寄せるコメントが届いていますので、紹介します。長島さん考案の料理レシピは菌蕈

誌にシリーズで紹介していきますので、ご期待ください。

「長島明子さんのコメント」

 プレミアムエリンギ濃

丸の特徴を活かしたレシ

ピ考案のために、濃丸と

向かい合った半年間は、

野菜ソムリエとしてのそ

うぞう(想像と創造)力

と好奇心を刺激される楽

しい日々でした。先ずは、

いろいろな切り方や調理

法を試し、濃丸の特徴を

知ることから始めました。

 濃丸の最大の魅力はコ

リコリ、ぷりぷりとした

食感です。切る時から違

いがわかります。包丁から伝わる手ごたえは弾力があり、中身が充実して密度が高い。焼く、蒸

す、茹でる、煮る、炒める、揚げる、どの調理法でもその食感が損なわれず、歯ごたえが心地よ

い。濃丸のもう一つの特徴は、その名が示す通り、傘の色が濃く、丸いこと。傘の茶褐色と柄の

白の色のコントラストも美しく、目を引きます。

 私と濃丸との最初の出会いは、日本きのこセンターで教わった「濃丸の刺身」でした。8㎜~

1cm幅の輪切りにした濃丸をさっと茹でて氷水に取り、わさび醤油で食べる極めてシンプルな

もので、濃丸の柄のコリコリ、傘のぷりぷりの食感が印象的でした。この時の濃丸の第一印象を

伝えたいという思いから生まれたレシピの一つが、「濃丸とサーモンのてまりずし」です。考案

した他のレシピでは、みじん切り、拍子木切り、縦に薄くスライス、手で裂くなど様々な切り方

を取り入れました。切り方で変わる食感の違いも感じていただけたらうれしいです。

 また、濃丸は、エリンギの匂いが控えめで味や香りがあまり主張しないので、どんな食材や調

味料とも合わせ易いです。和洋中ジャンルを選びません。施設内での栽培のため通年手に入りま

す。一年を通して、日々の家庭料理から特別な日のおもてなしまでプレミアムエリンギ濃丸を幅

広く楽しんでみてください。

 野菜ソムリエとして、鳥取の農産物の魅力を伝える活動をしていますが、鳥取のきのこの魅力

はまだあまり知られていないと感じています。これからも、きのこを始め、鳥取の魅力ある食材

を一人でも多くの人に伝えていきます。  (一般財団法人日本きのこセンター知財活用部門)

プレミアムエリンギ濃丸 

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

栽培技術4~6月の原木シイタケ栽培管理

乾シイタケ栽培1.乾シイタケの選別について

 シイタケの収穫・乾燥が終了し、出荷・販売に向けての最終の仕上げが選別作業です。選別の

良否で価格差や産地評価等にもつながりますので、選別の徹底が大切です。選別にあたっては下

記のフルイ選別手順ときのこの傘の開き具合を参考にしてください。

1)選別は天気の良い日を選んで行います。

2)シイタケの乾燥状態を今一度チェックします。

3)選別手順:最初にサイズによる選別、次いで色目と形状による選別を行います。

 ①サイズ分け=>大・中・小・フルイ下の4サイズに選別します。

 ②上物品と下物品は混ぜないようにします(傘・ヒダ色等)。

 ③形状による選別(変形・開傘状態等)。

 ④出荷箱の上下で異なった規格を混入しないよう、全体を同一規格品とします。

フルイ選別手順

場合によっては

混合してもよい

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

2.植菌時期・方法と仮伏せ管理について

 シイタケ菌は、5~31℃の範囲で生育し、20~26℃の範囲で最も活発に伸長しますので、

雑菌が多くなる前のソメイヨシノ桜の満開(平均気温13℃)頃までに終了するよう、計画性を持

って作業に努めましょう。

1)これから植菌する場合の注意点

 *植菌列間を4~5cm位にやや近くします(1列増植)。

 *死節や枯れ枝等の所にも雑菌防止として植菌します。

 *植菌穴を35ミリ以上のやや深めに開け植菌します。

2)仮伏せは、シイタケ菌の活着を促すための管理で、下図に示すように、裸地では雨水が通る

程度に笠木等を掛けて、林内では低い棒積みにして行います。一般的には4月下旬~5月上旬

笠木を用いた仮伏せ 遮光ネットを用いた仮伏せ 林内仮伏せ

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

頃まで(種菌の頭が白く発菌するか木口に菌糸紋がでてくるまで)仮伏せを行います。

 ※人工庇陰《寒冷遮)を使用した場合は、雨水の通りが悪く、しかも黒色であるため太陽熱で

仮伏せ中の温度が上り過ぎることがあるので早めに本伏せに移します。

3.伏せ込み管理について

 伏せ込みのスタイルは様々ですが、基本的に風通しを良くして直射日光が当たらないように管

理することがポイントとなります。ほだ木の伏せ込みスタイルには大きく分けて下図の三つの方

法があります。

1)裸地伏せ:九州地方で多く行われているスタイルで積算温度が確保され良いほだ木作りの代

表格的伏せ込みです。

2)林内伏せは:笠木を掛ける必要がなく作業性は良いですが、温度(積算温度)が不足するの

でやや硬めのほだ木になる傾向があります。暖かい林内を選定することでそのような林内伏せ

の欠点を補うことができます。

3)遮光ネット伏せ:近年、増加してきた伏せ込みですが、注意点として、ほだ木と遮光ネット

の間に30㎝以上の空間を持たせることが重要です。また、雨通りの良い資材を選定し遮光ネ

ットは横にピーンと引っ張って弛みを無くするようにしましょう。弛みがあると一定の場所に

雨が集中してほだ木の出来にムラが生じることになります。さらに、南側や西側になる部分の

張り出しを多くして、特に夏場の日光が直接ほだ木に当たることを防ぐことが大切です。

共通管理

1)風通しの悪い所では鳥居伏せの高さを高くし、隙間が広くなるように組み上げます。風通し

が極端に良いところや過乾燥のほだ木は低めのよろい伏せにします。

2)直射日光が当たらないように管理することが重要です。

 *シイタケ菌の成長する温度は5~32℃で40℃を超えると短時間で死滅します。

3)梅雨時は風通しを図るため必ず除草をするようにします。

裸地伏せ 林内伏せ 遮光ネット伏せ

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

4.ほだ降ろしと古ほだ木の管理

1)ほだ降ろし

 ほだ降ろしとは、伏せ込んだ場所からシイタケが発生しやすい環境・場所にほだ木を運び移す

ことを言います。ほだ降ろし時期は2つの時期がありますので、品種特性や場所・労力に合わせ

て行いましょう。

①1年降ろし(1夏経過後降ろし)

 植菌年の秋~翌年7月頃までにほだ場に運搬・移動し、ほだ場内に低伏せをしておき、晩秋合

掌に起すか、移動後直ぐ合掌立てに起す方法ですが、ややきのこの発生にムラが多くなる傾向が

あります。しかし、労力の配分や秋に発生しやすい品種については、むしろ効果がある場合もあ

ります。

 降ろしたほだ木は、スギ・ヒノキ林内やほだ場内で敷き木を置いて、この上に高さ50~

60cmの横積み(棒積み)としておき,雨水をしっかり当ててほだ化促進を図ります。そして、

晩秋になって、その品種の最初に発生したきのこが腐り始めてから、ほだ木を合掌立てに起しま

井桁伏せ(詰め込み過ぎ) 林内伏せ(過剰庇陰) 遮光ネット伏せ(風通し悪い)

伏込み管理のポイント

問題のある伏せ込み事例

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

す。なお、ほだ化の良いほだ木は、移動後直ぐ起こしても良いです。

②2夏降ろし(2夏経過後降ろし)

 植菌後2夏経過した晩秋期に、その品種の最初に発生したきのこが腐り始めてから、降ろして

直ぐ起す方法で、最も安定した発生となりやすく、古ほだ木になっても発生しやすい傾向があり

ます。

2)古ほだ木の管理

 安定生産のためには、新ほだ木からの発生は当然ながら、増産のためには古ほだ木(植菌後3

年以降のほだ木)からの発生が不可欠であり、豊凶の差を少なくし安定した単収を目指すため、

梅雨~夏季の間にほだ木の「上下、表裏」を天地返して、夏場にほだ木を回復させ養分を蓄積さ

せるようにしましょう。

 用役の終わったほだ木は廃棄し、まだ良いほだ木は片隅へ整理します。また、ほだ場の間伐等

や庇陰調整を行って清掃し、新ほだ木を入れる場所を確保しておきましょう。

 なお、春子が終了するとほだ場の管理を怠りがちになりますが、防風垣の撤去(もしくは防風

垣のまくり上げ)は早々に行います。また、ほだ場周囲の草木が繁茂する時は定期的に除草を行

い、風通しを図って下さい。

(九州日向事務所 飯干克己)

古ほだ木整理・天地返し(6~8月)

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

生シイタケ栽培 玉切り購入原木の産地では依

然として、原木価格の高騰、原

木の品質低下、納期・規格のト

ラブルなど深刻な問題が続いて

います。またこのことで、ほだ

木作りにも影響が出ています。

経営の安定は良いほだ木を作る

ことから始まるので、特に植菌

直後の初期管理(仮伏せ)から

本伏せについては基本を忠実に

実施するよう心掛けることが大

切です。

1.ほだ木作り

1)植菌

 原木生シイタケ栽培では4月

以降の植菌は大きなハンディと

なる。止むを得ず植菌が遅れる

場合は、1~2列の増植、場合

によっては3列植菌列を増やす

ことを徹底しましょう。

2)仮伏せ

 4月以降は外気温も日に日に

上昇します。露地・ハウス内で

の被覆仮伏せは、被覆内の温度

を20℃以下に保つことが優先

されます。具体的な方法として

は、ハウス資材の改善やビニー

ル系から通気性のある遮光ネッ

トに交換して適した環境を整え

ます。また、温度調整が難しく

なるようであれば、速やかに本

伏せに移行するようにします。

 仮伏せ中の散水の量は、目安

として被覆材の内側に水滴の有

木口に菌糸紋の発生(本伏せ時期の目安)

裸地事前管理(黒マルチ+ヨシズで被覆)の様子。ヨシズを掛けることで温度上昇を防ぐ。

1月にハウス内へ取り込みビニ-ル被覆。その後、2時間程度の散水を2回実施。3月には被覆を剥がし、定期散水を行う。

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

無で判断します。水滴が無い場合はほだ木が濡れる程度の散水が必要ですが、外気温が上昇する

時期でもあり被覆内の温度の急上昇に注意する必要があります(蒸れ防止)。

3)本伏せ

 仮伏せから本伏せへと移行す

る目安は、形成菌・オガ菌では

木口にまんべんなく菌糸紋が出

現し、コマ種菌では駒の頭に菌

糸が発菌する、あるいはゴムタ

ケの発生が確認されたころです。

 時期的には、3月までに植菌

が完了し、適切な管理を行って

いれば5月中旬ごろが一つの目

安となります。また、本伏せ移

行後散水を行う場合、夏菌(菌

興702号、697号、537号)

の形成菌やオガ菌は、移動直後

の散水はハッポー栓の浮き上がり、フーローが破裂する恐れがあるため、移動7~10日後より

散水を行うようにします。一方、冬菌(菌興115号、118号、141号、240号)の形成菌や

オガ菌は夏菌のような現象が起こりにくいため移動直後の散水は可能です。

2.夏菌(菌興702号、706号、697号、537号)の管理及び発生操作

1)2年ほだ木(新ほだ木)

 夏菌品種の早晩は基本的に702号=706号>697号>537号の順です。

【4月の管理のポイント】

 近年は3月以降の乾燥気象によりほだ木の表面硬化が目立ちます。2年ほだ木の初回(4月下旬)

からの安定発生に向けて事前管理を徹底しましょう。基本的な管理としては、少なくとも使用を

計画している1カ月前までには休養室あるいはハウスに取り込み、カラ芽が発生するまでこまめ

な散水を行います。そのカラ芽が褐変する頃(約30日後)を目安に1回目の使用にかかります。

養生室あるいはハウスに取り込めない場合は、伏せ込み場でホダ寄せを行うなどホダ木の硬化を

防ぐよう管理しましょう。

【5月の管理のポイント】

 多くの方が2年ほだ木(新ほだ木)の1回目の使用を計画します。1回目の発生の良否はほだ木の

ほだ化が大きく影響しますので、4月の事前管理は重要な意味を持ちます。ここで確実に発生さ

せることで今後の使用(2回目以降)を有利に進めましょう。言うなれば「初回の発生がその後

のほだ木一代の発生量を決定する。」といっても過言ではありません。そこで、使用前には必ず

ゴムタケ

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

原基確認を行い、試験浸水(8

時間以上)を実施しましょう。

試験浸水で100g/本程度の発

生が確認できれば本格使用に入

ります。

 事前管理ができなかった、あ

るいはできない方の5月上旬か

らの1回目の使用は不安定なも

のがあります。必ず試験浸水を

行うとともに、発生状況によっ

ては、使用回数の少ない3年ほ

だ木からの使用を考えることが

大切です。

【6月の管理のポイント】

 5月に1回目を使用したほだ

木の2回目が始まります。ま

た、事前管理ができなかったた

め、あるいは試験浸水が思わし

くなかったために使用を遅らせ

た2年ほだ木の1回目も始まり

ます。事前処理を行っていない

ほだ木はここでも試験浸水を行

い、状態を確認してから使用を

計画するようにしましょう。

2)3年ほだ木(古ほだ木)

 3年ほだ木の使用について

は、2年ほだ木時代の使用回数

により時期と回数が変わりま

す。2年ほだ木時代に使用回数

が少ないほだ木は5月からの使

用が可能であり、使用回数が多

く酷使したほだ木は6月(梅雨

中期ごろ)と9月(最低気温20

℃以下)の2回程度の使用とし

ましょう。散水は週2回2~3

時間程度実施します。

休養中の風景:休養中は、表面が濡れる程度の湿度が重要。

事前管理を行った697号2年ほだ木の初回発生。250g/本以上の発生(4月中旬)。

使用通算5回目(林内で休養)の697号3年ほだ木の発生。250g/本(18時間浸水、6月)。

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

全国の向こう3カ月気象予報(平成29年4月25日、気象庁発表)5月 北日本と東日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わるでしょう。東日本日本海側と西

日本では、天気は数日の周期で変わり、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。気温は、西日本

で平年並または高い確率ともに40%です。

6月 北日本と東日本日本海側では、期間の前半は、天気は数日の周期で変わるでしょう。期間

の後半は、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。東日本太平洋側、西日本では、平年と

同様に曇りや雨の日が多いでしょう。気温は、北・東・西日本で平年並または高い確率ともに

40%です。降水量は、西日本太平洋側で平年並または多い確率ともに40%です。

7月 北日本と東日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。東日本太平洋

側と西日本では、期間の前半は、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。期間の後半は、平

年と同様に晴れの日が多いでしょう。気温は、北日本で平年並または高い確率ともに40%です。

降水量は、東日本太平洋側と西日本で平年並または多い確率ともに40%です。

3)発生操作のポイント

*浸水時間:8~18時間(古ほだ木は長めに)。

*芽出し温度:15~20℃が最適。梅雨時期は芽出し処理をすることなく即展開でも可。

*生育条件:生育温度は13~27℃、湿度は75~90%。日中と夜間の温度格差が大きいほど

良質のきのこになりやすいです。ハウスは明るく乾き気味にします。

*休養:新ほだ木は20~30日、古ほだ木は40~50日が基本。採取後に、散水や雨など水分

をもらうと追い芽を切る原因となるので注意しましょう。休養中の散水は1週間に1回行い、

次回浸水の7~10日前から夕方に1~2時間程度散水します。

(近畿駐在 大竹俊充)

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

1.春子の状況について 九州では藤の開花も始まり、日本海側の標高の高い産地や東北以外の産地は最終盤に入っています。今年の春子生産は、多くの地域で、前半は少雨の影響により日和子で厚肉系の比率が高く、後半は降雨と気温の上昇により特用バレ系が主体となりました。例年もこの傾向ではありますが、今年の西日本は3月の気温が低く生育が遅れた影響もあり、特に前半と後半の品柄の差が極端で、例年以上に栽培に苦労した生産者が多かったように思います。 前半は少雨で乾燥していたため、散水設備の有無により生産量に差が出る形となり、またシーズンを通して言えば標高によっても生産量、品柄の差が大きい年となりました。水源の有無・遠近や、ほだ場の方位・標高など生産者ごとに様々な条件があるかと思いますが、毎年の変動する天候に対応するためにも、可能であれば散水設備の導入や、ビニール被覆による雨よけ栽培など、生産量の安定・向上、ひいては所得の向上を目指していただきたいと考えています。前半は生産量が少なくても、後半に品柄はともかく量はある程度取り戻したという生産者もおり、入札の平均単価が回復し、特に特用・加工の市況が堅調な現在の状況を見ると、後半バレ系でも量がそれなりに採れたということは所得確保の意味でも大きいと感じています。 気になる今後の市況展開ですが、後半に採れた特用バレ品が5月に一気に出回れば、これらの規格は少し弱含む可能性もありますが、流通在庫は多い状況ではなく、商社の仕入れ意欲も高いため全体の市況は堅調に推移すると見ています。今年残念ながら生産量が少なかった地域でも、一枚でも多く最後まで採取・乾燥いただき、また、現在収穫中の日本海側産地や東北では、ほだ場管理を徹底し品質、収量確保に努めていただきたく、よろしくお願いいたします。 2.第50回全農乾椎茸品評会について 折にふれご連絡しておりますが、今年は節目の第50回全農乾椎茸品評会を鳥取市で開催します(日程は以下を参照願います)。生産者、産地の皆様には例年以上の品評会出品をお願いします。 また、会場に各産地の原木シイタケ・乾シイタケ関係の「のぼり」を立てたいと考えており、出品物とともに椎茸事業所にご送付ください。皆様に喜んでいただける品評会になるよう事務局一同頑張りますので、ご協力のほどよろしくお願いします。 また、6月17日には併催行事として鳥取県や鳥取市も参加する「きのこ王国とっとり 食のみやこフェスティバル」が開催されます。こちらもあわせてよろしくお願いします。

3.今後の予定 5~7月の主な入札会等の予定をご連絡します。 5月10日 入札会(椎茸事業所) 5月17日 入札会(椎茸事業所 ) 5月24日 第2回九州現地入札会(熊本市) 6月 2日 入札会(椎茸事業所) 6月14日 品評会産地交流会(鳥取市) 6月15日 品評会展示会・記念表彰式典(鳥取市) 6月20日 品評会特別入札会(椎茸事業所) 6月28日 入札会(椎茸事業所 )

市 況5月号 全農乾シイタケ情報■ 全農椎茸事業所

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

 7月12日 島根特別入札会

4.入札状況(品柄・出品数量等) 全農入札状況:4月20日に静岡現地特別入札会、4月26日に第1回九州現地入札会を開催しました。引き合いは引き続き強く、平均単価はそれぞれ4,877円、4,972円と堅調に推移しています。5月10日の入札会は産地からの入荷が少なく休市の可能性がありますが、5月17日は開催いたしますので、全国からたくさんの出品をお待ちしております。5月24日の第2回九州現地入札会への出品もよろしくお願いします。 産地状況:静岡県乾椎茸箱物品評会の審査会が4月中旬に全国の品評会に先駆けて開催されました。静岡県の作柄は昨年並みから若干少ないと推測され、生産者からも乾燥して芽がなかなか育たない大変な年だったとの声も聞かれましたが、産地のご尽力により出品数は昨年を3割程度も上回るものとなりました。今後続く全国各地の品評会でも出品数が増えることを期待しています。

5.乾シイタケ販売動向・一般情勢 贈答:贈答向けの荷動きは芳しくありませんが、下位等級品の価格が上がっている影響で、上位等級品が相対的に割安との見方が一部であり、荷動きが活発となるよう取り組みます。 家庭用・小袋:一世帯あたりの人数が減少し、様々な商品で量目を少なくした使い切り商品が発売されていますが、乾シイタケも例外ではなく、使い切りどんこ等の量目の少ない商品も出てきています。7月7日の「乾しいたけの日」に向けた仕掛けを商社に働きかけ、そうめんと食べるなど、夏場の需要を確保していきます。全国各地の乾しいたけの日関係のイベントも頑張りましょう。 業務・加工用:学校給食等を中心に堅調な荷動きとなっています。春子後半でバレ品が一気に増加しましたが、流通在庫は現時点ではまだ決して多い状況ではないため、特用・加工の市況もしばらくは大幅な落ち込みはないと見ています。 輸出入:2月の輸出量は0.7tで昨年の3.2tから大幅に減少しました。風評被害や、国産の生産量減少、市況回復の影響もあり、香港・台湾への輸出量が大幅に減少しています。2月の輸入量は250tで、単価は1,131円でした。輸入量は昨年対比72%で、単価は同83%。平成28年は輸入価格の下げにより輸入量が微増となりましたが、平成29年に入ってさらに単価は下がっていますが、輸入量は増えていない状況です。

6.事業所から 生産者、関係者の皆様にご協力をいただき静岡特別入札会、第1回九州現地入札会という二つの現地入札会を無事開催することができました。本当にありがとうございました。平均単価も昨年同時期の5,000円台とまではいきませんでしたが、それに近いものとなり、生産者の皆様もほっとされたことと思います。上位等級品の単価という課題がありますが、産地の皆様、商社とも協力して改善できるよう椎茸事業所一丸となって取り組んでまいりますので、引き続き一層のご協力のほどよろしくお願いいたします。 また、当事業所も異動により4月から新体制となっておりますが、各地のJAグループ乾シイタケ担当者も例年以上に代わっているように思います。引き続きコミュニケーションを強化し継続的な取り組みができるよう、産地巡回も強化してまいりますので、お忙しい中とは思いますがよろしくお願いします。 現地入札から帰ってみると、事業所のある埼玉県久喜市も五月晴れがすがすがしい新緑の美し

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

い季節となっていました。健康に気をつけて、国産原木乾シイタケを全国の関係者が一丸となり盛り上げていきましょう。

乾シイタケの輸出実績(平成29年2月、財務省貿易統計より)

乾シイタケの輸入実績(平成29年2月、財務省貿易統計より)

全農乾シイタケ入札結果(平成29年4月)(単位:円/㎏)

区分 月/日 本 数(箱) 高 値 平均値

4/19静岡現地特別入札"

687 12,000 4,877

高値規格(出品JA):花どんこ(JA伊豆の国)

4/26第1回九州現地入札会"

1,000 7,030 4,972

高値規格(出品JA):スライス(熊本県・JA菊池)

2月 1~2月

数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

中 国 0 0 0 0 0 0

台 湾 0 0 0 0 0 0

香 港 0 0 0 870 5,168 5,940

ベ ト ナ ム 0 0 0 0 0 0

シ ン ガ ポ ー ル 0 0 0 0 0 0

マ レ ー シ ア 143 1,155 8,077 143 1,155 8,077

マ カ オ 0 0 0 0 0 0

サウジアラビア 144 495 3,438 144 495 3,438

オ ラ ン ダ 100 665 6,650 100 665 6,650

ベ ル ギ ー 60 479 7,983 60 479 7,983

カ ナ ダ 0 0 0 0 0 0

アメリカ合衆国 241 627 2,602 397 1,641 4,134

オーストラリア 25 230 9,200 25 230 9,200

合  計 713 3,651 5,121 1,739 9,833 5,654

前年対比 22.2% 17.0% 76.6% 40.4% 39.3% 97.1%

前年実績 3,218 21,519 6,687 4,300 25,032 5,821

2月 1~2月数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

韓 国 0 0 0 1,429 3,357 2,349中 国 249,943 282,691 1,131 731,202 884,290 1,209台 湾 0 0 0 0 0 0香 港 0 0 0 60 483 8,050

合  計 249,943 282,691 1,131 732,691 888,130 1,212前年対比 71.7% 59.8% 83.4% 93.5% 79.4% 84.9%前年実績 348,410 472,451 1,356 783,742 1,118,592 1,427

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

大阪市場

 4月上旬の生シイタケ入荷量は前年比116%の65.2t(国産前年比117%の65t、輸入前年

比29%の0.2t)でした。価格は前年比93%のキロ835円(国産前年比93%のキロ836円、

輸入前年比93%のキロ557円)でした。

 同月中旬の入荷量は前年比137%の67t(国産前年比138%の66.8t、輸入前年比60%の

0.3t)でした。価格は前年比99%のキロ852円(国産前年比99%のキロ853円、輸入前年比

93%のキロ542円)でした。

 4月に入って日々の寒暖の差は大きく、適度の降雨があり野菜全般に昨年に比べ潤沢な入荷が

続く中、生シイタケについても安定した入荷により昨年に比べ数量増の単価安となりました。5

月に入り農繁期の影響で数量は減少傾向で昨年並みの販売が見込まれます。

(大阪中央卸売市場 大阪中央青果㈱ 蔬菜部 田島範弘)

生シイタケの輸入実績(平成29年2月、財務省貿易統計より)

その他の生鮮冷蔵きのこの輸入実績(平成29年2月、財務省貿易統計より)

市 況生シイタケの市況動向

2月 1~2月

数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

韓 国 0 0 0 0 0 0

中 国 206,229 65,437 317 466,743 154,690 331

合  計 206,229 65,437 317 466,743 154,690 331

前年対比 88.3% 77.0% 87.1% 109.4% 96.2% 88.0%

前年実績 233,432 85,029 364 426,793 160,741 377

2月 1~2月

数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

韓 国 28,801 7,304 254 51,968 13,627 262

中 国 421 1,842 4,375 926 2,578 2,784

フ ラ ン ス 401 681 1,698 1,513 2,401 1,587

ス ペ イ ン 366 1,338 3,658 366 1,338 3,656

ポ ー ラ ン ド 0 0 0 252 904 3,587

リ ト ア ニ ア 50 325 6,520 50 326 6,520

カ ナ ダ 150 477 3,180 150 477 3,180

合  計 30,189 11,968 396 55,225 21,651 392

前年対比 214.9% 206.0% 95.9% 122.4% 118.5% 96.8%

前年実績 14,046 5,809 414 45,124 18,277 405

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菌蕈4月号(第63巻 第4号 739号)

第56回農林水産祭参加第50回全農乾椎茸品評会の開催案内

展示と表彰について展示・表彰式会 場:鳥取県民体育館

    〒680-0944 鳥取県鳥取市布勢146-1番地

    Tel:0857-31-6911  Fax:0857-31-6912

日 時:展示会 平成29年6月15日(木)  9:00~14:00

    表彰式 平成29年6月15日(木)10:00~12:30

表 彰*個人表彰:農林水産大臣賞、林野庁長官賞、その他多数の賞が用意してあります。

*団体表彰:優勝(最優秀県連・県農協・県本部)、準優勝(最優秀県連・県農協・県本部)を

表彰します。

出品について*出品単位:大箱満杯を1単位として、規格選別されたもの。

*規  格:こうしん大葉厚肉、こうしん大葉中肉、こうしん中葉厚肉、こうしん中葉中肉、花

どんこ、上どんこの6部門。

*送 り 先:全農椎茸事業所

      〒346-0025 埼玉県久喜市樋ノ口大野50-5番地

      Tel:0480-23-4520  Fax:0480-23-0824

*出品申込締切:平成29年6月5日(月)

*搬 入 締 切:平成29年6月6日(火)

*注 意 事 項:出品物には、住所、氏名、所属農協名(正式名称)を箱に明記し、箱の上部に

は「品評会」と朱書きのこと。

審査・入札会日程について*審 査 会:平成29年6月 8日(木)

*入 札 会:平成29年6月20日(火)

       審査会・入札会の会場は全農椎茸事業所。

多数のご参加をお待ちしております。

お知らせ

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菌蕈4月号(第63巻 第4号 739号)

*主  催:全国農業協同組合連合会

(JA全農)

*特別協賛:鳥取県

*協  賛:一般財団法人日本きのこ

センター、全農全和会

*後  援:林野庁

第50回全農乾椎茸品評会記念行事「きのこ王国とっとり」食のみやこフェスティバルの開催案内 第50回という節目の全農乾椎茸品評会の鳥取開催を記念する行事として「きのこ王国とっと

り」食のみやこフェスティバルが下記の日程で催されます。

*開催日:平成29年6月17日(土)

     10:00~15:30

*会 場:鳥取県民体育館メインアリ

     ーナおよび周辺特設テント

     〒680-0944

     鳥取県鳥取市布勢146-1番地

*主 催:「きのこ王国とっとり」食

のみやこフェスティバル実

行委員会

*テーマ:「鳥取発 菌食のススメ 

伝統的食文化の再発見」

*内 容:会場を四つのゾーン、「学ぶゾーン」、「食べるゾーン」、「地域おこしゾーン」、「基調

講演・パネルディスカッション」に分け、きのこをメインとする鳥取県の農林産物に

関する多彩なイベントを実施する計画です。

注:平成29年度の「第18回とっとりきのこ祭り」の開催日変更について

 平成29年度の「第18回とっとりきのこ祭り」は、「きのこ王国とっとり」食のみやこフェス

ティバルの併催行事として6月17日に実施するため、毎年恒例となっています10月第一土曜日

には開催いたしませんので、ご承知おきいただきますようお願いします。

(菌蕈編集室)

平成28年度第17回とっとりきのこ祭りの展示会場の様子(参考資料)

平成28年度第49回全農乾椎茸品評会の展示会の様子(参考資料)

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菌蕈5月号(第63巻 第5号 740号)

各地のきのこだよりきのこセンターニュース

第59回創立記念日にコナラを植樹

 一般財団法人日本きのこセンターは、第59回目の創立記念日となる4月25日、菌興椎茸協同

組合と共同で鳥取県八頭郡八頭町大江にある財団の演習林においてコナラの植樹を行いました。

この植樹にあたり、鳥取県を始め、地元大江地区、八頭中央森林組合、ふなおか共生の里づくり

推進協議会ならびに地元の(有)北村きのこ園と(有)ひよこカンパニーには多大なご協力とご

支援をいただきました。心からお礼を申し上げます。

 当日は青空の下、八頭中央森林組合の指導により、険しい斜面に踏ん張りながらコナラの植樹

に心地よい汗を流しました。この一帯の山林には多くのシカが生息しているので、その食害から

苗木を守るため一本一本の苗木には防護ネットを設置して、午前中には無事作業を終了しました。

(菌蕈編集室)

険しい斜面でコナラの植樹作業に精を出す皆さん

菌蕈5月号(第63巻 第5号 通巻740号) 発行日:平成29年5月5日 発 行:一般財団法人日本きのこセンター     鳥取県鳥取市富安1丁目84番地     ☎0857-22-6161、http://www.kinokonet.com/ 編 集:菌蕈編集委員会     記事、写真およびデータの無断転載を禁じます。

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