ノヽンドボール選手の体力の評価に関する研究 - …ln,~ 卜「 卜 卜 四 ウm...
TRANSCRIPT
ノヽンドボール選手の体力の評価に関する研究
平 木 宏 児
On the Physical Strength of Hand ball Players
Koii HiRAKI
・研究目的
ハンドボールのゲームで,たくましい競技力を発揮するためには,体力と技術の向上はなくてはならない
ものである.
「体力とは,人間か生きていくうえで基礎となる身体的能力」であり,心身の構えと能力とによって現わ
される全体現象である.また,「いろいろのかたちで表現される身体のもつ諸性質を力の概念で総合統一し
たものである.」というように,その定義は明確でない.
体力問題はスポーツの世界にとどまらず,最近の日常生活に入って来ている.この勢いはときに流行現象
の思いを抱かせるものかおる.というのは体力の改良をめざすものは施設者でもなく,体力科学者でもな
く,体プJの必要性を痛感する本人自身の問題だからである.体力は一般人よりも競技する人々にこそ必要と
されるものと思われる.そこで一応体プJの要素ついて福田邦三博士の意見に加えた猪飼道夫博士は,体力の
要素について次のように述べている.
体 が
身体的要素
龍神的要素
行動体力
彷衛体力
行動体力
防衛体力・精神的ストレスに対する抵抗力
形 態
機 能
構造器官・組織
機 能・
-温度調節
免 疫
適 応
立 士■,e、 /ひ
判 断
意 欲
体 格
姿 勢
筋 力
敏捷性・スピード
平衡性・協応性
持久性
柔軟性
本研究での体力とは身体的要素としての行動体力を狭義の体力としてとらえてみた.
・測定条件
測定対象
第19回全日本ハンドボール高校選手権大会出場の男子14校(98名),女子12校(84名)を対象とした.
測定日時・場所
昭和43年7月29日 広島県立廿日市高校
・147・
ノゝ
ン ド ボ ー ル
測定項目
形態(5種目・7項目)
身長・体重・指先長・手長(右・左)・孚|腐(右・左)
機能(8種目・10項目)
筋力一握力(右・左)・背筋力 瞬発力-垂直跳
筋持久カー反復上体起し 敏捷性一反復模とび往復走
桑軟性一体前屈・上体そらし 全身持久性一踏台昇降テスト
O測定結果
次の表に示すとおりである.資料は各チーム別の平均値か示されている.また下段には男子の98名,女子
84名それぞれの全員についての平均値および標準偏差値が算出されている.
能絹濯叫恥巴畷汐一{忌畑Vm・mr-4- 3i!ffiff≪4i;Srn 垢Q冷球痢こと
覗べ訟
■ia驚
政味じ
収
鮮
鳴
ドQ
6∽∽
1s
'ぶふ
ぐl
ふう
m
う㎝
ぐり
1卜・
O
S
l応
t乃○四
カ
○㎝
Cり
つふ
吋
tQこ四
マ
l乃四~
一
心ふ
仁
14ふ
○
○ふ
し
卜〇~
四
¢
寸
~~
咽
測
哺
リ
C7の
食
∞
マ戸
頃←四
Q一心
Q-べ
C
七四
CQ一心
仇
二々
四
卜H
t~
f
J
n-~
し
`?-
々
ト~
寸
十四
々
マ卜
Q
四々
四CI鳴○
1くトこ・
*■Iト
妬の
1Q寸
〃
N卜
Q
~-
~
寸t
C々71-
1ゝ
Jマ
り
竹?
○←ヤ
-
O'寸
~
に々
Q
に寸
~
七マ
一
卜-
一
ぐり
づ
い
Cり卜
t-QIトM
R祠官
眠
徊喘
Sト
口し
~一口
Q
OQ
四
7に
~
ドに
n
OC
ふ
CQ
一
にう
C
ザQ
い
りS
丿
マに
ト
9〃応
こ
こに
QnQ
Q
べC
MQ~Q
ぎ
ぷ
畔
尽 忿
、孝
E~t~Q
Q
ぐ1に
々∽に
C
Qに
C
Qに
卜
にに
い
ぐjQ
ふ
つに
い
こじ
ぐ1
~C
7.
t心L丿
ト
うta
t~
Zに
S
Cに
Q
いC
に画Cこ
咀強芒
S
㎝
Q一
Q
QI~
-
M四
a〃~
-
○
ごり
叱
七
C〃
○
にべ
マ
吟~
C
り卜
べ
きl~
Q,c^〃
~
M~
○
妬卜
卜
M一QCOC
R
恰
言 回
S
Mn
Q
○如
ト
○n
四
ぷ-
C}
-
に
鳴
1丿
卜
い
~QI
吋
ご--←
ト
~
ぐl
ト
さ1ぐl
十
C
ぐl
一一
’?
一
哨〃
こ
○?l
6a~
寸
~ぐl
○
卜?1
一t
偽
~
卜
~N
○さ~el
余治単
ざ¢
トM~
Q
M〃~
∽
マう~
心
F㎝
マ
ベ
叩-〃四
、Q
Q
QI
~
7・
ぐ4∽~
Qに㎝〃
-
Z∽~
~
卜Q卜
ごQ
∽
ご-
七
C
ln,
~
卜「
卜
卜
四
ウMCい〃
~卜
吠
一祠
-J 寸斗丿回
ト
S-
呻
l丿-口回 R
臨『9
?S
Q
mト
ト
-ト
ぐつ
哭 SΞ
∽
~W-R沁-9な
Q9U
-
と
kJよ
う
1卜ト『呂
一
卜-
t~
心-
マ
~卜
Q
mマ
S
卜ト四斥
こ
1卜ト
ふ
こト
lヽ弓
9坏
卜
じぷ 11耳
∃
IC
j
孝
咽
ら
〃`4輿
-
迄 S 飛石 呪弓
■^
乱 仁S
り呂
ト-
71
S
-N
卜
Q-
如
~
ぐ1
~剖
S
~JR回
Q呂
?S
○
~ぐ1
斟-
恣 S一
如-
M
必-
し
恥-
S
工一丿流
t・
勾一
~
沁~
沈
Z-
~
ふ~
心
力-
ト
哨-
〃
∞べ
m
巴-71呂
つ
∽S
二乖W
-ぶ-
催 E l乃呂 命S 9呂
一回
tl呂
マ
一71
M
一tl
Q
Q-
ト
-t4
ln
-n 心呂 M斜
9呂
9S
箆コ
翼 SN
S-
沁
ト-
に
2-
マ
Z-
ひl
∝-
ヤ
∽-
O
Q-い弐
乙
∽
~
の
∽~
マ
∽-
ヴ
鳴~
一曽
Q
卜-
心
Q-
ミ§
○μ
痢陥
S
一一
ご
m
い~N
十○~M
心
C
74
詞
1Q
ぐ4一卜
ヤ
卜一QI
一
ト〃tl
7・n
~むl
卜七Sn
~Z゛-へl
a
J←ひl
|MQ~N
Q
芦卜ぐ1
MO卜M
○帥べM
○∞○
帥
細
孝
Q
ぐI
Q
○∽に
~
にC
C
ふ1丿
Q
Q鳴
S-Q
刀
~し
トnQ
Q
I丿Q
一
~Q
∽
゛四S
い
QI
C
○∽ご
ト∽に
ト
~口
諾
々
tμ
々巳
Q
~ト-
〃
匁乙~
C-
し一
ぐつ
t~
Q
S
り二jぷ-
卜
Sへ二
い
Sり~
い
うt-
~
C
M
C~
~
卜
~ト~
〃
⇔ドベ
Q
Oい~
い
こ,
Q
~
々∽CS
N
O
ぐゝ
卜
M
ぴlづ寸
☆-
Ξ
ぶ
-弓
うく
⌒守印-竃
斟
一貫
谷
倭
一司霖一匹
紬
一§
脊
一溥
白
÷く
ぞ
-昌
三
召
Ξ-征一斗
分
一毒弱一侭
弓
⌒茸
-
-一一
麗
一々一伺一
司
迢
-く百
玲
-=こ
Ξ
タ
~一一召
{
一回
一回
莞
-
7-t丿=芒
H
勿
そ
侭
斗
絹
乖
外
郭
~ ひlM - ・け ,-l≪祠兄 一S μ 乖
W加~
ぶ米屈服祗巴喜こ卜涜毫≪i≫(=3ikIlgY-^
拶百?低吟固唾Ξ
垢Qら{硲ひ冰
-148-
Rべな
・!=g含 余底* 巴
剱
珪
の
N○J
Q
∽
㎝○ら
々
卜∽
N
心旬
四
卜∞
∽
tnQ
い
J○べ
6
ふQ
哨
マ○四
∞
m㎝
Q
心Q
∽
心画
〃
a々
寸〃
ぎ
淘
湿
リパ乱
四
鴎べ
ぺ1肖-
寸
に卜
ミ
Qぺ
鴎
Q四
Q
に卜
a
lQ
四
寸
にH
-
1丿四
ト
口四
㎝
l乃べ
い
ln四
Wm四
吋6寸〇
言
i- IK
七:ト
M寸
ト
にf
卜
ベマ
〃
●∽
Q
り
Q⇔
つ
QI寸
七
○ヤ
Q
Oで
∽
勿∽
ト
N寸
四
四寸
∽
ふM
四
べ七
∽
Q
Cり
ひl
Q睨き
凹ど|-胴
S〃
トマ
四a∽
一
Qヤ
○
Cヴ
○
にC
○
○に
○∽々
寸
Q寸
ト
Qマ
○
ト寸
a
'う寸
H
し寸
∞
Cヽ々々ふQに
ポ
ぶ
仔
咄忿孝
SQ
Qに
ト
t~鳴
ト
口に
こ
こに
3→し
6
Cこ
Q
沁応
一
・に
Q
Q
にQ
Q∽に
Q
Qに
6-Q
ト㎝に
如Qに心
咀混孝
5Saa
Q
CQ
t~
ぬ~
Q
吻卜
今
四S
一
に~
M
Q
卜
6~
心
N~
吋
し~
○
∽→
Q
6一卜つ~
Q一
ト
●心
こ
坦
言 回Q
丿四
a
Mべ
〃
りJ
~n~
O
丿~
ト
フ1~
寸
QI~
四
りS
m
N~
四
如卜
七
四〃
㎝
Q〃
Q
ぐl四
aQ妁四
ダ
埓μj
帥
ぐl
ひ】
S
○
○~卜
~㎝Q
M∽a
?SO~
心∽~~
々
1応C~
~
~SS
Q
四べ~
〃
四㎝
ト
卜㎝ト∽∽
Q
哨○四
回
心2
R
池一
次
吽
一々
- きり§1
ド毘
9S
9呂
=な『呂
~
ぎQ回
?S
~呂
りa9に;『呂
と
辱-
j 合S 9応
⇔,
-∽
QSマgl『S
〃に
11S lこgl R
S『a
一回
う浜
Ξ
卜卜
之
芒
口-
球 S OS
Q
∽~
-
ぷ-
-la
t~~
い
い~
一沁
四←
卜
∽-
岬
ふ-
の
∽-
ぐl
∽~
ト
t~
Q3
こ-
~
ふ-
Q
ウ-
g
∽-]L
呂蓼 5∽に;
㎝
口-
t
t~
回
心-
~
トS
○
6-
S
い~
M
S-
り
6-
ぐ1
ト-
~
トー
-
i二卜-
班 S卜
∽~
○
∽~
卜
Q-
㎝
ト-
○
沈--S
ト⌒
如
匁-
Q
刃-
~
Z~
Q
う~
心
つ~
鳴
∞-
ト
勿-?巴
否
S躍 S
-CO
卜~
O
卜~
㎝
ト⌒
Q
C~
㎝
J~
一
卜-
○
t~ゝ
~
ドー
N
6-
m
卜-
哨
b~
~
卜~
回
○幽姻昴
S6
帥OSI
O
QQ四
卜
NこQI
ぬトφ一
m~○a
ト~C四
四aQ~
ト
~ON
t~
〃ON
卜
〇⇔N
・
QQ~
N
〃○四
トOOa
○∽トQ
司
政j
Q
Q鳴
四
にう
∽
∞に
○
Mの
Q
CQ
㎝
四帥
t~
●N
に
ト
CQに
々
うい
CmQ
Qj
卜に
○
寸□
○
に哨
a
~う7
昭
々5
吟
卜C二
○のC〃
四〇J一
卜
6にS
四
ゝO
Q
S
Qaに~
6
ドに~
トOQ-
~ふに〃
に∽に~
N
偽喚四
㎝
∞に~
Q
Q1ね卜
QO卜ト
☆-Ξぶ一㈹尽Ξぷ
一命瑞一笹
部
据
⌒き
一隣
邸
j〃?襄
一曰
ji
冶
●心
外
--訟一斑・←誼そ
見
4“ゝ゛~y乙
斗
ぐ
{
ヨ
-ぽ
ベ
ー維
うく
一三匪一眼
批
一台
活ニ
⌒切畑一座
Ξ
哀
号櫛
冬
脳
町
斗
栢
翠
珊
恥
~ M 四 七 鴎 こト ∽ Q○-
-- □
・考
工
平 木 宏 児
察
全国高等学校(全日制)一般生徒との比較
男 子
全国平均
身 長 166.3cm
体 重 56.1kg
握 力 42.6kg
背 筋 力 138. 3kg
上体そらし 57. 9cm
体 前 屈 15.8cm
垂 直 跳 56.9cm
サイド・ステップ 42.2点
ハンドポール選手平均
170.2cm
61.7kg
44,7kg
148.5kg
57.9cm
13.4cm
61.8cm
43.5点
選手群においては柔軟度2項目以外はすべての項目においてすぐれていることかわかる.柔較度とは関節
の可動性,その原動力となる筋力,およびその反対側筋群の脱力が考えられるが,ハンドボール競技に必要
な体力要素とは考えられない.柔軟性のトレーニングを心がけずともインターハイに出場できることが証明
されたからである.測定時においては静的状態で柔軟度を計測したが,競技中に要求される柔軟性は必ずし
も静的状態ではないのでこのような結果があらわれたのかも知れない.
女子についてみると以下のようである.
全国平均
身 長 155. 5cm
体 重 50.8kg
握 力 28.1kg
背 筋 力 85,8kg
上体そらし 58.1cm
体 前 屈 17.0cm
垂 直 跳 39.3cm
サイド・ステップ 37.6点
ハンドボール選手平均
159.2cm
55.0kg
28.9kg
103.9kg
59.7cm
16.1cm
47.8cni
41.1点
握力についていえば,日頃用いられているのでトレーニング効果のあらわれ方が少ないものだけに,それ
程の差がみられない,ところが同じ筋力でも背筋力については大きな差が認められる.また瞬発力をみる垂
直跳でも同じことか認められる.柔軟性については男子と同様なことがいえそうである.
一般人と選手を比較する掛合に常に議論されることはトレーニングの効果があったのか選手として選出さ
れたときに既に素質がすぐれていたのであったかという問題である.これについては本研究では不明であ
る.これは残された問題であるということかできる.
2 出場チームの体格と地域差
第1図(男子)および第2図(女子)は縦軸に身長をとり,横軸に体重をとって各チーム毎の平均値をプ
ロットしてみたものである.実線で枠がとられているのは,本研究の対象となった年度の全国平均値であ
る.点線で示されたものは本研究よりも5年前の昭和38年のインターハイ出場チームのベスト8位の平均値
である.これを見ると, 5年間に平均値が大きくなったことかわかる.これは全日本高校選手権大会出場チ
ームの体格が大きくなったことを示している.
そこで各チーム別の平均値のプロットをみると,点線の枠内にあるチームは5年前の平均値よりも劣る体
格のチームであり,実線の枠内にあるチームは本研究対象の平均よりも下のチームであることかわかる.実
線の枠よりも右上に位する各チームは平均値よりもすぐれたチームであることかわかる.女子については,
大阪・東京のチームが都市型であるという特長が現われている.
-149-
器
174
173
172
171
169
162
161
158
157
ノ■\ ン ド ボ ー ル
第1図
(男子)
---一一-S.38インターハイベスト8
S. 43インターハイ14チーム
・広
・東大附(東京)
。小倉
盛岡(福剛
(岩手)
富岡
(群馬)
こ58 59
第2図
60
- ¬
で回反)・下関中央(山剛
’小杉 ‘・新居浜(愛媛j
(富山)
62
(女子)
S.43インターハイ 12チーム
ー一一一一一-S.38インターハイ ペスト8
- - - - -
・大谷
(大阪)
1
・高知(高知
●明答
(福岡)
名古屋女子商
(愛や2水海道
53
(茨城)
54
・真備
(岡山)
・花巻
(岩判
56
-150-
63
・小諸
(長野)
57
64
・麻生
(茨城)
・滝川
(兵庫)
65 66体重(kg)
・和洋女子
(秋田)
・涌谷
(宮城)
59 60体重(kg)
平 木 宏 児
3 各測定項目別個人比較
第3表 第30位に相当する記録
へ犬 性別
項目別 ```へ‾-'へ
~
男 子 女 子
身 長
体 重
指 先 長
手 長(右)
// (左)
手 幅(右)
// (左)
握 ブ7 (右)
// (左)
背 筋 力
垂 直 跳
体 前 屈
上体そらし
サイド・ステップ
9 m 3往復走
ハーバードステップ
反復上体起し
172, Ocm
64.0kg
218. 5cm
18.6cm
18.8cin
21.5cm
21.5cm
46.0kg
44.0kg
152. 0kg
65.0cm
17.0cm
61.0cm
45.0点
14.3秒
102.7
22,0回
161.0cm
57. 0kg
202.0cm
17.4cm
17.4cm
19.3cm
19.3cm
31.0kg
28. 0kg
110.0kg
50.0cm
19.0cm
62.0cm
42.0点
15.2秋
101.4
13.0回
形態7項目,機能10項目,計17項目に
ついて,それぞれ上位から30位に入る選
手を個人について調べた.ここで30位を
選んだ意味を検討しておく.①被測定チ
ームが各ブロック上位または中位校であ
ること. ②被測定人数が男子98名,女子
が84名であるところから約3分の工に相
当する以上2つの理由による各項目30位
に相当する記録は第3表のとおりであ
る.
上記17項目中上位30位にL項目でも入
っている個人選手は男子98名中93名,女
子84名中81名であった.これをみるとイ
ンターハイに出場するためには何らかの
体力要素が優れていなければならないと
いうことになる.ところで17項日中で何
項目が30位以内にあるかの度数分布をみ
ると次のようである. (第4表)
そこで約半数の46名が入る6項目以
上, 30位に入る被検者個人について形態
と機能の内訳からみると次のようになる. (第5表)
第4表
項目 人数
14 1
13 1
12 0
11 3
10 9
9 6
8 7
7 5
6 14
5 9
4 9
3 11
2 11
1 6
第5表
形態 機能 総数 人数 形態 機能 総数 人数
7 7 14 工
7 6 13 1
7 4 11 2
6 5 11 1
6 4 10 2
6 2 8 1
5 5 10 4
5 4 9 2
5 3 8 2
5 1 6 3
4 6 10 2
4 5 9 2
4 4 8 2
4 3 7 1
4 2 6 1
3 7 10 1
3 6 9 工
3 5 8 1
3 4 7 工
3 3 6 3
2 6 8 1
2 5 7 1
2 4 6 2
1 8 9 1
1 6 7 1
1 5 6 3
0 7 7 1
0 6 6 2
計46名
これをみると形態では最高7項目から零までに分布し,機能では8項目から1項目までに分布している.
形態と機能の関連からこれをみるには,例えば形態⑦一機能⑥であれば形態面がすぐれているということが
かかるであろう.また,選手によっては形態①一機能⑧というように機能非がすぐれている選手と明らかに
認めることができる.
-151 -
ノ\ ン ド ボ ー ル
第3図 そこで縦軸に形態をとり,横軸に機能をと
って体力関巡図を書いてみると第3図のよう
である.
図のA群は形態がすぐれているだけの選手
のように思える. B群は形態と機能が共にす
ぐれている選手達である. c群は形態と逆相
関を示し,機能面にすぐれている選手達の一
群であるということができる.
これからのトレーニングの課題はA群の選
手途をB群に押しやることであろう.
以上のような見方で女子選手を眺めてみる
と以下のようになる. 17項目の測定を行なっ
たなかで30位にランクされた項目数で分類す
ると次のようになる.
これをみると測定17項目中30位以内に入っ
た項目数は, 16項日に入ったものから工項目
に入ったものまで分布している. (第6表)
左記の表の中で,約半数の43名が入る7項
目以上について形態の内訳をみると次のよう
第6表
項目 人数
16 工
15 1
14 1
13 2
12 1
11 5
10 4
9 11
8 11
7 6
6 9
5 10
4 10
3 4
2 3
1 2
第7表
形態 機能 総数 人数 形態 機能 総数 人数
7 9 16 1
6 9 15 1
6 7 13 2
6 5 11 2
6 2 8 1
5 9 14 1
5 7 12 1
5 6 H 2
5 5 10 2
5 4 9 2
5 3 8 3
5 2 7 1
4 7 11 1
4 6 10 2
4 5 9 7
4 4 8 1
4 3 7 1
3 6 9 2
3 4 7 1
2 6 8 3
2 5 7 2
1 7 8 1
0 8 8 2
0 7 7 1
合計 43名
になる. (第7表)
男子の部と同様に7項目の内訳について体をみると, A群, B群, c群と分類できるな力関連図をみると
第4図のようである.これかでB群は順相関をC群は逆相関を示していることが面白い.その態味はB群で
は形態の大きいものは機能がすぐれているということを示し, c群では形態の小さいものの方が機能がすぐ
れているというようになったわけである.
いずれにしろA群をB群に押しやるようにトレーニングすることが必要と考えられる.形態は表質に左右
されるところが多く,機能は後天的要素が大きいものである.筋力は筋の横断面積に比例するとか,骨の長
-152
平 木 宏 児
第4図
第8表
卜 性別
白√ぺ二二男 女
身 長
体 重
指 先
長 手 長(右)
// (左)
手 幅(右)
// (左)
握 プ1(右)
// (左)
背 筋 力
垂 直 跳
体 前 屈
上体そらし
サイド・ステップ
9m3往復走
ハーバードステップ
反復上体起し
182, O迦
78.0kg
232.5cn
20.1ffln
20.5師
23.9c刀i
24.0cm
62. O知
63.0kg
200.Oka
85.0卵
26.0涼
72. Ocra
51.0点
13.8秒
130.4
25.0回
170. O苛
69. O加
229.5泡
18.8印?
19.0cm
21.3CZB
21、2cm
38.0kg
38. 0kg
145. 0kg
65.007!
27.0師
70.0cm
46,0点
14.5秒
147.1
17.0回
いものは筋が長く,長い筋は太というような一般原理から考えれば,上位チームは更に強化出来る而をもっ
ているし,下位チームはチーム作り(選手集め)に努力できる改良の要素を持つと示唆し得よう.
個人分析の結果では形態のみすぐれている(A群)ことがわかった.また形態に支えられすぐれた機能群
(B群)に入るもの,それと形態を克服し,よく形態のすぐれたものと同等の機能を発揮している選手群
(C群)のあることが知られるのである.
いずれにしても今後ナショナルチームに残っていく選手達はA・B・Cいずれの群からであるかを追跡す
ることが必要であり,その実績によって高校ハンドボール塵手の必要な体力要素が加味されてくるものと思
われる.
4 ナショナルチーム選手への到達目標としての一基準
昭和43年全日本高等学校ハンド・ボール選手権大会に出湯した選手の中から抽出され体力要素の17項目が
測定された最高値は上の表である. (第8表)
この表に示される値は被測定者の中で最高値であるから1人または2人の少人数である.しかしながら頭
の中でえがくハンドボールマンの理想的体格,体力像は数学の無限の原理に従うものではない.大きければ
大きいに,体力がすぐれていればいる程よいに越したことはない.ハンドボールの選手は現段階では高等学
校で集められ,全日本総合選手権大会を得てオリンピックへの栄光の道を歩むと考えるとき,インターハイ
にあらわれた選手の体格体力の最高値は可能性をもった具体的数値として取り扱えると考えるのである.高
等学校ハンドボール部に体格・体力の大きな選手があらわれないかぎり,日本を代表するナショナルチーム
は大型化七得ないと考えるのである.
昭和38年全日本総合選手権ベスト4と同年インターハイのベスト8の体格の比較をチーム別にしてみると
第5図である.
男子についてみると高校のすべてのチームを総合のベスト4のチームが上廻っている.
これは高校の大型選手が選抜された結果,総合のベスト4のチームが上位になったと考えられる.
ところが女子については必ずしも男子のようではなく,身長ではインターハイベスト8のチームが上廻っ
-153-
貧
4 3 2 1 0 9 8 7 6 5
7 7 7 7 7 6 6 6 6 6
1 1 - - 1 1 1 1 1 1
貧
63 62 61 60 59158
157
156
第5図
ノN ン ド ボ ー ル
(男 子)
-----一一総合選手権ベスト4平均
インターハイベスト8平均
一 一 一 一 -
む
(広SI)
e
桜台
●盛岡一
(岩手)
e
桐生工
(群馬)
o
中京商
(愛知)
○伏見工
(京祁)
6寝屋川
一一一一一J一一
立教大
(大阪)
Q徳山
Ulll刀
57 58 59 60 61 62 63 64
第6図
(女 子)
一一一一一一一総合選于前ベスト4平均
半田
インタヽ-ハイベスI- 8平均
徳山
(山口) ○
栃木女
__mき
大崎電キ
水海道二
(茨城)
@
熊本市立
(熊本)城北 o 0(侈岡)
o新訳浜東 e (量媛)-レナウン東京i大士
57
-154-
66
¬
ゆ111-II-1--I-I-111111111111
e
芝浦工大
全日体大
e
大崎電キ
67 68 69体重
平 木 宏 児
ているという事は考えなくてはならない問題ではないだろうか.
そこで男子昭和44年ナショナルチーム(33名)の平均値,女子昭和43年全日本選抜チームと本研究対象と
なったインターハイの30位の数値とを比較してみると,男子は総体的にみて体格では,ナショナルチーム
が,機能では30位の記録がすぐれていることがわかる.これについて考えてみるとナショナルチームの測定
は1月に行なわれ,インターハイの選手では7月に行なわれたという季節差かおるのではなかろうか.ナシ
ョナルチームの機能の劣ることは考えられないので,再び測定されることが望まれよう.若し事実インター
ハイの選手がすぐれているのであれば,日本の強化対策として高校生の存在は無親できないのではないかと
考えられる.少なくともインターハイの数値は30位の記録である.平均値にすれば更に大きな値になるので
あろう.
項目別種別
男 子 女 子 ----==¬-I㎜■㎜㎜S44 (A)
ナショナル
==¬ -I㎜㎜ (B)
インターハイB-A 差
S43 (A)
全日本選抜 (B)インターハイ
四万
差
身 長 1 176. Q㎝ 1 172.0cm l -4.6 1 157.3m 1 161.0cm | +3.7
体 重 1 69.1kg i 64. 0kg l -5帽 56.1kg 1 57. 0kg レト0.9
指 先 長 | 1 218.508 l l 198. Qcn 1 202. Oc・ | +40
手 長(右) 1 20.2cm. l 18.6cm l -1.6 1 16.7OB l 17.4≪ l 十〇.7
// (左) 1 20.3cm 18.8仇 -1.引 16.8cffi l n.ian 十〇.6
手 幅(右) 1 21.4cra 21.5回十〇.川 18.6回 19.3仇十〇,7
/・ (左) 1 21.5cm l 21.6CM +0.川 18.4(B l 19.3ca!十〇.9
握 力(右) 1 56. Qkg 1 46. 0kg |-10.0 1 35.5kg ! 31.0kg | -4.5
// (左) 1 52.5kg 1 44.Oka | -8.帽 32.5kg 1 28.0kg | -4,5
背 筋 力 1 158.7kg 1 152. Oka | -6.71 115. l加 l no.0kg | -5.1
垂 直 跳 1 62. O㎝ 1 65.0cm | +3.0 1 45.l㎝ 1 50.OC・ | +4.9
体 前 屈 1 12.8cm l n.ocm l +4.2 1 19.8c≫i l 19.0≪ l -0.8
体 後 反 1 55,3≪K l 61.0cm l +5,7 1 58.OCB l 62.OcM l +4.0
サイドステップ 1 43.9点 1 45.0点 | +1.1 43.5点 1 42,0点 1 -1.5
9m3往復走 | 1 14.3秒 | 1 15.2秒 1 15.2秒 l O
ハーバードステップ 1 95.2 1 102.7 1 +7.5 1 126.3 1 101.4 1 -24.9
反復上体起し | 1 22.0回 | 1 14.6回 1 13.0回 | 一球
女子についてみれば,形態においては明らかにすべての項目で,インターハイの30位の記録がよい.女子
選抜のすぐれているのは機能面である.これはよくきたえられている証明になるが,外国チームと対決する
のにこれでよいかという問題かおるように思われる.
測定協力者
近畿地区ハンドボール研究会
馬場太郎・中出盛雄・岡本健次郎・高山政悟・鈴木健治・望月伸三郎・北岡大詰・田中秀和・桑原芳子・
田井稔乃・北村怜子・古川美重子・山崎武
155・