quantum teleportation and entanglement distribution over...
TRANSCRIPT
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Quantum teleportation
and entanglement distribution over
100-kilometre free-space channels
Juan Yin, He Lu, Ji-Gang Ren, Yuan Cao, Hai-Lin Yong, Yu-PingWu, Chang Liu, Sheng-Kai Liao,YanJiang, Xin-Dong Cai,
Ping Xu,Ge-Sheng Pan, Jian-Yu Wang, Yu-Ao Chen, Cheng-Zhi Peng, and Jian-Wei Pan
平野研究室 09041028 齊藤 悠太
Nature 488 185 (2012)
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Juan Yin, He Lu, Ji-Gang Ren, Yuan Cao, Hai-Lin Yong, Yu-PingWu, Chang Liu, Sheng-Kai Liao,YanJiang, Xin-Dong Cai,
Ping Xu,Ge-Sheng Pan, Jian-Yu Wang, Yu-Ao Chen, Cheng-Zhi Peng, and Jian-Wei Pan
Teleporting independent qubits
through a 97 km free-space channel
arXiv:1205.2024
自由空間における97㎞間での 量子テレポーテーション
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発表の流れ
1. 論文概要 2.原理と手順 ▫ 予備知識:偏光状態の量子エンタングルメント ▫ 量子テレポーテーションの流れ ▫ 量子テレポーテーションの原理
3.本論文中の実験について 4.結果と考察
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97㎞間での自由空間における 量子テレポーテーション に成功
論文概要
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概要:量子テレポーテーションとは?
• 登場人物
送信者:Alice
受信者:Bob
仲介者:Charlie
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概要:量子テレポーテーションとは?
97km
送信者 受信者
ボブへ送りたい状態 ボブへ送りたい状態
受信者
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概要:量子テレポーテーションの歴史
• 1993 年 量子テレポーテーションを提案 Charles H. Bennett, Gilles Brassard, Claude Crépeau,
Richard Jozsa, Asher Peres, and William K. Wootters
-Phys. Rev. Lett. 70, 1895–1899 (1993)
• 1997年 量子テレポーテーションの実験 D Bouwmeester, J-W Pan, K Mattle, M Eibl, H Weinfurter
& A Zeilinger-Nature 390, 575 (1997)
•
2012年 97km量子テレポーテーション
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発表の流れ
1. 論文概要
2.原理と手順 ▫ 予備知識:偏光状態のエンタングルメント ▫ 量子テレポーテーションの流れ ▫ 量子テレポーテーションの原理
3.本論文中の実験について 4.結果と考察
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2
3232
23
VVHH Φ
予備知識:偏光状態のエンタングルメント
Ex)
|H〉:水平偏光 |V〉:垂直偏光
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量子テレポーテーションの流れ
97km
送信者 受信者
仲介者
手順1:相関をもった状態を共有する
相関を持った状態
2
相関を持った状態
3
ボブへ送りたい状態
1
2
3232
23
VVHH Φ
-
97km
送信者 受信者
仲介者
手順2: ベル測定 (詳しくは原理の説明時)
相関を持った状態
2 相関を持った状態
3
ボブへ送りたい状態
1 ある4通りの結果の内の1つを得る。
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手順3:古典通信でベル測定の結果を受信者へ
測定結果の4通りのうちの1つを 受信者へ(ボブへ)
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97km 送信者
受信者
仲介者
手順4:古典通信で送信者(アリス)からの情報に 従って相関を持った状態を処理
相関を持った状態
3
ボブへ送りたい状態
3
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状態を受信者へ送ることができた →量子テレポーテーション
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発表の流れ
1. 論文概要 2.原理と手順 ▫ 予備知識:偏光状態の量子エンタングルメント ▫ 量子テレポーテーションの流れ
▫量子テレポーテーションの原理
3.本論文中の実験について 4.結果と考察
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量子テレポーテーションの原理
光子1 : |χ〉1=α|H〉1+β|V〉1
・1,2,3、全体の状態
・今回光子を用いて行う。光子1を送りたい状態、光子2,3の相関を持つ状態を以下のようにする
2
V|V|H|H||:32 323223
〉〉〉〉= 〉Φ ,光子
)2
VVHH)(VH( 3232
11231
βαΦχ
-
)}V|H|)(-2
H|V|- V|H|(
)V|H|)(2
H|V| V|H|(
)V|-H|)(2
V|V|-H|H|(
)V|H|)(2
V|V|H|H|( {
2
1
332121
332121
32121
332121
〉α〉β〉〉〉〉
+
〉α〉β〉〉〉〉
+
〉β〉α〉〉〉〉
〉β〉α〉〉〉〉
)2
V|V|H|H|)(V|H|(|| 323211231
〉〉〉〉〉β〉α〉Φχ〉
光子1,2の状態と光子3の状態の積の形にすると…
-
ベル状態
・これを用いて以上の式を書き直して次式を導き出す
)}H|V|(|)H|V|(|
)V|H|(|)V|H|(|{2
1||
33123312
33123312231
〉β〉α〉Ψ〉β〉α〉Ψ
〉β‐〉α〉Φ〉β〉α〉Φ〉Φχ〉
この|Φ±>12,|Ψ±>12の状態を測定する
(ベル測定)
)V|V| H| H(|2
1| , )H|V| V| H(|
2
1|
)V|V| H| H(|2
1| , )H|V| V| H(|
2
1|
212112212112
212112212112
〉〉〉〉〉Φ〉〉〉〉〉Ψ
〉〉〉〉〉Φ〉〉〉〉〉Ψ
-
ベル状態がわかると…
)}H|V|(|)H|V|(|
)V|H|(|)V|H|(|{2
1||
33123312
33123312231
〉β〉α〉Ψ〉β〉α〉Ψ
〉β‐〉α〉Φ〉β〉α〉Φ〉Φχ〉
送りたかった状態 |χ〉1=α|H〉1+β|V〉1
⇒これより、ベル状態がわかれば光子3の状態がわかり、 簡単に復元できる!!
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|Φ+〉12のとき:そのまま
|Φ-〉12のとき:|V〉3→ -|V〉3
|Ψ+〉12のとき: |H〉3 → |V〉3、 |V〉3→ |H〉3
|Ψ-〉12のとき:|H〉3→ |V〉3、|V〉3→ -|H〉3
|χ〉3=α|H〉3+β|V〉3 を得る
⇒状態を送ることができた (量子テレポーテーション)
受信者ボブの復元のための操作
Aliceからの古典通信より
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発表の流れ
1. 論文概要 2.原理と手順 ▫ 予備知識:偏光状態の量子エンタングルメント ▫ 量子テレポーテーションの流れ ▫ 量子テレポーテーションの原理
3.本論文中の実験について 4.結果と考察
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本論文の実験系について
送信者
受信者
97㎞ 仲介者
青海湖(中国)
-
実際の実験系
Alice Bob
Charlie
青海湖
-
実際の実験系
エンタングルメント光子対 発生
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パラメトリック下方変換とは
非線形結晶に高い周波数の光子を入射したとき、
低い周波数の2つの光子に変換される。このような現象のことを、パラメトリック下方変換という。この時、偏光状態に相関を持つ。
-
2
||||| 323223
〉〉〉〉〉Φ
VVHH
2
||||| 323223
〉〉〉〉〉Φ
VVHH
光源 仲介者Charlieの系
光子1
光子2 光子3
Alice
2
||||| 323223
〉〉〉〉〉Φ
VVHH
光子2.3
Bob
PBS
パラメトリック下方変換 LBO
赤:778nm(ω) 紫:394nm(2ω)
二次高調波発生
ω ω
2ω
ω
ω
光子2.3
2
||||| 323223
〉〉〉〉〉Φ
VVHH
光子2.3
-
送信者Aliceの系
ベル測定
-
送信者Aliceの系
Charlie
光子1
光子2
送りたい 状態を作る
-
PBS PBS
PBS
ベル測定の系について
•半波長板(λ/2板):偏光を回す。 (この系では45°偏光を回している)
•偏光ビームスプリッタ(PBS):水平偏光を透過し垂直偏光を反射する。
-
ベル測定について
2
45|45|45|45|
2
||||
2
|||||
BABA
ABBA
212112
〉〉〉〉=
V〉V〉H〉H〉=
V〉V〉H〉H〉〉Φ+
)2)||(-45|,2)||(45|( としたV〉H〉〉 V〉H〉〉
水平偏光を透過垂直偏光を反射
PBS
1
2
A
B
PBS
1
2
A
B
PBS
1
2
A
B
PBS
1
2
A
B
PBS
1
2
A
B
PBS
1
2
A
B 45°回転
• ベル状態を偏光ビームスプリッタ(PBS)、半波長板(偏光45°回転)後の状態で書き下す
-
同様に計算すると
は判別不可〉Ψ 〉Ψ
は判別可〉Φ 〉Φ+
1212
1212
|,|
|,|
2}45|45|45|45|45|45|45|45{|
}45|45|45|45|45|45|45|45{||
2}45|45|45|45|45|45|45|45{|
}45|45|45|45|45|45|45|45{||
245|45|45|45||
245|45|45|45||
BBBB
AAA
BBBB
AAAA
BABA
BABA
12
12
12
12
BBBB
AAAAA
BBBB
AAAA
〉〉〉〉〉〉〉
〉〉〉〉〉〉〉〉〉Ψ
〉〉〉〉〉〉〉〉
〉〉〉〉〉〉〉〉〉Ψ
〉〉〉〉〉Φ
〉〉〉〉〉Φ
+
-
それぞれの検出器と状態を対応させると…
受信者Bobへ古典通信
(|45〉A,|45〉B )or(|-45〉A,|45〉B)
⇒|Φ+〉 (|45〉A,|-45〉B )or(|45〉A,|-45〉B)
⇒|Φ-〉
前のページの結果より
|45〉A
|45〉B
|-45〉A
|-45〉B
-
受信者Bobの系 古典通信より 状態の復元
-
受信者Bobの系
Charlie
⇒|χ〉3=α|H〉3+β|V〉3 を得る
光子3 |Φ+〉12:そのまま
|Φ-〉12:|V〉3→-|V〉3
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発表の流れ
1. 論文概要 2.原理と手順 ▫ 予備知識:偏光状態の量子エンタングルメント ▫ 量子テレポーテーションの原理 ▫ 量子テレポーテーションの流れ
3.本論文中の実験について 4.結果と考察
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INITIAL STATE (|χ〉1) FIDELITY(忠実度F)
|H〉 0.814±0.031
|V〉
0.886±0.024
|H〉+|V〉
0.773±0.031
|H〉-|V〉
0.781±0.031
|R〉(=|H〉+i|V〉)
0.808±0.026
|L〉(=|H〉-i|V〉) 0.760±0.027
本論文の実験結果
平均:0.8032 (古典限界:F≦2/3)
-
実験結果の考察① • 80パーセント以上の高い忠実度
自由空間の高いロスの中
古典限界2/3に対して
大きく上回った.
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実験結果の考察②
•97㎞の自由空間での
量子テレポーテーション
地 上
97㎞
1000㎞ 以上
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今後の展望
→大気圏を超えた、人工衛星との通信で活躍を 期待
中国、2015年めどに
「量子通信衛星」の打ち上げ目指す
(人民日報 11:32 Aug 16 2012 http://j.people.com.cn/95952/7912727.html)
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まとめ
•97㎞の自由空間を80パーセントとい
う高い忠実度での量子テレポーテーションに成功
• 今後、人工衛星への通信としての応用が期待
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フィデリティー
送りたい状態を|χ〉、送られてきた状態 を|φ〉としたとき、密度行列を
フィデリティーFは
F=〈χ|ρ|χ〉
CT
CR
φφρ
CT
CR
-
今回の実験では、 以下の式で計算している
CT
CR
TR
RT
CC
CCF
1
1
-
パラメトリック下方変換について
BBO結晶(β-BaB2O4)
-
予備知識1:一光子の偏光状態
Ψ|
1)||||(
H|V||
22
111
βαただし、
βαΨ
1)||||(
H|V||
22
111
βαただし、
βαΨ
-
97km
送信者 受信者
古典限界 2/3について
送りたい状態:|χ>=α|H>+β|V>
1.エンタングル光子対の配布 2.検出器での測定 3.古典通信 4.受信者の操作
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1.エンタングル光子対配布はなし
送信者
97km
受信者 古典では 出番なし
-
2.水平か垂直かを測定
送信者
97km
受信者
|χ>
|H>or|V>のどちらかを測定 (α,βの高い方を係数に持つもの)
-
3.古典通信で垂直か水平か伝える
|H>だったよ
-
4.受信者ボブは古典通信より得た情報より復元
送信者
97km
受信者
|H>
-
このときの、フィデリティを ブロッホ球上で、平均を取ると
F=2/3
-
送信者
)1(
| 12121212
つ4つのうちの
>または|Φ>、|Φ>、|Ψ>Ψ -+-+
ベル測定を行うとは…
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実験系の概略
2
||||| 323223
VVHHΦ
Charlie
エンタングル状態 光子2,3を生成
光子2をAliceへ 光子3をBobへ
Alice
光子1、2でベル測定
送りたい情報を光子1として作る
古典通信
得られたベル状態を古典通信により、Bobへ
Bob
光子3をAliceからのベル状態を もとに、変換し、測定
Aliceの送りたい情報
|χ〉1=α|H〉1+β|V〉1
|χ〉3=α|H〉3+β|V〉3
-
送信者
相関を持った量子状態
>Ψ+|
ベル測定
という4つのベル状態のうちの 一つを得る
手順2:ベル測定を行う
ボブへ送りたい状態
-
Bob(受信者)での操作
)}H|V|(|)H|V|(|
)V|H|(|)V|H|(|{2
1||
33123312
33123312231
βαΨβαΨ
‐βαΦβαΦΦχ
Bobが受け取った状態: β|H>3+α|V>3
⇒α|H>3+β|V>3 (これは送りたかった状態)
-
⇒|Φ+>12、|Φ->12は判別可能
この計算結果の意味とは…
|Φ+>12⇒(T1,T2) or(R1,R2) |Φ->12⇒(R1,T2)or(R2,T1) |Ψ+>12 ⇒(R1,T1)or(T1,T1)or(R1,R1)or (T2,R2)or(T2,T2)or(R2,R2)
|Ψ->12 ⇒(R1,T1)or(T1,T1)or(R1,R1) or (T2,R2)or(T2,T2)or(R2,R2) |45>A
|-45>A
|-45>B
|45>B
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量子テレポーテーションの流れ
97km
送信者 受信者
仲介者
手順0:登場人物の紹介と配置
ボブへ送りたい状態
1
-
|Φ+〉12のとき:そのまま
|Φ-〉12のとき:|V〉3→-|V〉3
|χ〉3=α|H〉3+β|V〉3 を得る
復元するための処理は…
これにより状態を受信者へ送ることができた →量子テレポーテーション成功
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|Φ+〉12のとき:そのまま
|Φ-〉12のとき:|V〉3→-|V〉3
|χ〉3=α|H〉3+β|V〉3 を得る
これにより状態を受信者へ送ることができた →量子テレポーテーション成功