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昨今、スマートフォンなどのモバイル機器の急速な普及に伴う個人

の情報発信力の高まり、大量のデータを分析することで新たな価値を

生む「ビッグデータ」の活用、さまざまなモノをネットワークに接続する

「モノのインターネット(IoT)」、人間の知能が持つ機能を備えたコン

ピュータシステム「人工知能(AI)」など、情報通信技術(ICT)の発展

は目覚ましく、情報通信の仕組みやコミュニケーションの形態が大き

く変化しています。

また、札幌市では今後、少子高齢化の影響等により、人口減少及

び生産年齢人口の減少が見込まれており、それに伴う人手不足や経

済規模の縮小が課題となることから、ICTの活用により、業務効率化

や生産性の向上を目指すことは極めて重要です。

このたび、そうした状況に対応し、札幌が抱える課題の解決にICT

を活用していくための指針として「札幌市ICT活用戦略」を策定するこ

とといたしました。

本戦略では、ICT関連企業の集積や質の高い人材の輩出といった

札幌が持つ強みを生かしながら、積極的なICT活用を進めることで、

札幌全体の価値を創造し、向上させ、産業の振興や暮らしの利便性

向上につなげていくことを目指しています。

今後、本戦略に基づき、具体的な施策を展開するとともに、ICTの

先進的な活用によるまちづくりの成果を内外へ向けて発信し、ICT活

用のトップランナーとして札幌への注目を集めることで、さらなるまち

の活性化に取り組んでまいります。

最後に、本戦略の策定に当たり、ご尽力を賜りました札幌市ICT活

用戦略策定検討有識者会議委員の皆さまをはじめ、さまざまなご意

見をお寄せいただいた市民の皆さまに心からお礼を申し上げます。

平成29年(2017年)3月

目 次

第1章 札幌と ICT .................................................................................................... - 1 -

1.札幌における ICTの意味 ................................................................................. - 1 -

2.ICT活用に係るこれまでの札幌の取組 ............................................................. - 1 -

3.ICT企業の集積 ................................................................................................ - 3 -

4.クリエイティブ産業の発展 .............................................................................. - 4 -

第2章 戦略策定に当たって ...................................................................................... - 6 -

1.戦略策定の趣旨 ................................................................................................ - 6 -

2.戦略の位置付け ................................................................................................ - 6 -

第3章 戦略策定の背景 ............................................................................................. - 9 -

1.ICTに係る技術・サービス動向 ....................................................................... - 9 -

2.ICTに係る国の動き ....................................................................................... - 13 -

3.札幌市民の ICT活用状況と ICT活用に関する意識 ....................................... - 17 -

4.ICT活用に係る札幌の強み ............................................................................. - 23 -

5.ICTを活用する上での札幌の課題 .................................................................. - 25 -

第4章 戦略の基本方針 ........................................................................................... - 28 -

1.戦略の目標 ...................................................................................................... - 28 -

2.イノベーション・プロジェクトと基本施策 ................................................... - 30 -

3.戦略推進に当たっての視点 ............................................................................ - 31 -

4.成果指標 ......................................................................................................... - 32 -

第5章 イノベーション・プロジェクト .................................................................. - 33 -

1.位置付け ......................................................................................................... - 33 -

2.構成 ................................................................................................................ - 34 -

3.具体的な取組 .................................................................................................. - 35 -

第6章 基本施策 ...................................................................................................... - 37 -

【基本施策 1-1】 暮らしの質の向上(生活) .................................................... - 37 -

【基本施策 1-2】 安全・安心の実現(生活) .................................................... - 39 -

【基本施策 2-1】 産業の振興(経済) ............................................................... - 41 -

【基本施策 2-2】 多様な雇用と働き方の創造(経済) ...................................... - 44 -

【基本施策 3】 人材の育成(教育) ................................................................... - 46 -

【基本施策 4】 効率的で信頼される行政(行政) ............................................. - 49 -

第7章 主要事業一覧 .............................................................................................. - 51 -

第8章 戦略の推進に向けて .................................................................................... - 57 -

1.戦略的に情報政策を統括する体制の構築 ....................................................... - 57 -

2.他機関との連携 .............................................................................................. - 57 -

3.産学官連携による進捗管理 ............................................................................ - 57 -

4.技術の進歩や環境の変化に合わせた柔軟な推進 ............................................ - 57 -

資料編 ....................................................................................................................... - 59 -

- 1 -

第1章 札幌と ICT

1.札幌における ICT の意味

インターネットの急速な発展や、携帯電話、スマートフォン1やタブレット型端末2等

の普及により、ICT(情報通信技術)3は私たちの暮らしや仕事になくてはならない存在

となりました。

欲しい情報を検索し瞬時に入手したり、インターネットを使った予約や注文、電子メ

ールのやりとりや遠隔地の相手との会議を行ったりできることなど、今日、私たちはICT

から数多くの便益を受けています。

ICTは幅広い分野への活用が可能であり、生活の利便性の向上、防災等の安全・安心な

まちづくりへの活用、ビジネスの効率化や付加価値4の向上、効率的で質の高い行政運営

の実現など、都市課題の解決に当たっての重要な手段の一つです。

札幌には1980年代前半からICT関連の企業が立地し、産学官の連携による産業振興や人

材育成によって、ICT産業は札幌の基幹産業の一つへと発展してきました。

また、さかのぼること約20年前、ICTをまちづくりに活用する際の指針となる「札幌市

情報化構想」を策定し、それに基づいて市民生活の利便性向上や行政の効率化を進め、

着実に成果をあげてきました。

このように、ICTが急速に普及する前から、札幌市はその重要性と可能性に着目し、早

くからまちづくりへの活用を進めてきました。

2.ICT 活用に係るこれまでの札幌の取組

平成 9年(1997年)12月、札幌市は ICTを活用したまちづくりの方向性を示すため「情

報結縁都市さっぽろ」を基本コンセプトとする「札幌市情報化構想」を策定しました。

本構想では、コミュニケーションの活性化に主眼を置き、情報化推進の基本目標とし

て「豊かな市民生活の実現」、「安心・安全・快適なまちづくり」、「活力ある地域経

済の実現」、「行政の情報化とパートナーシップの実現」、「札幌の情報化を支える人

づくり」の 5項目を掲げ、それらに基づき、各分野における情報化施策を推進しました。

1 スマートフォン:一般的な携帯電話にパソコンや携帯情報機器としての機能が追加されたもの。 2 タブレット型端末:パソコンのようなキーボードからではなく、液晶画面にタッチすることで操作する端末機器で、携帯電話(ス

マートフォン)よりも大型のもの。 3 ICT(情報通信技術):インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーの略。情報や通信に関連する科学技術の

総称。IT(インフォメーション・テクノロジー)もほぼ同義として用いられる。 4 付加価値:生産過程で新たに付け加えられる価値。総生産額から原材料費と機械設備などの減価償却分を差し引いたもの。

- 2 -

本構想策定当時はインターネットの普及率が低く、市民のインターネット利用も低調

でした。また、インターネットを利用するための通信インフラ5が不十分な状況であった

ため、国も多くの自治体も、いかに高速な通信インフラを早期に整備するかといった点

に関心が集まっていました。

これに対して札幌市は、インターネットの普及が、生活、企業活動、教育、行政、ひ

いては地域のありようを大きく変革させる可能性を持っていることに着目し「インター

ネットをどのように活用し、まちづくりに役立てるか」といった活用面に主眼を置き、

情報という「縁」で結ばれ、つながるまちを作ることを目標に据え「情報結縁都市さっ

ぽろ」を基本コンセプトに掲げました。

図表1-1 札幌市情報化構想における基本的目標

本構想に基づいて、札幌市は平成 13年度(2001年度)に「札幌市 IT経営戦略」を策

定し、全国初の自治体コールセンター6「札幌市コールセンター」の開設やイントラネッ

ト7の整備、システム監査8を行いました。「札幌市コールセンター」は、札幌市への問

い合わせ窓口を一元化したことで、市民の利便性向上が図られ、情報の蓄積・分析・活

用を円滑に行うことで回答の質が向上し、大きな成果をあげています。

平成 16年度(2004年度)には「札幌市 IT戦略」を策定し、公共施設予約システムの

導入による施設利用者の利便性向上を図ったほか、電子入札システムの導入及び総合行

5 通信インフラ:社会基盤として敷設、運用される通信回線や通信機器、施設などの総体。電話回線(メタル回線)網や光ファイバ

ー回線網、携帯電話基地局、通信会社の拠点施設、集線装置や交換機などが含まれる。

6 コールセンター:電話とコンピューターの機能を統合し、商品の受注処理や問い合わせ対応などさまざまな電話関連サービスを行

う設備または施設。オペレーターが直接応対するほか、自動音声応答装置による業務も行われている。

7 イントラネット:インターネットの仕組みを利用し、特定のエリアと組織内メンバーなどの限定されたユーザーのみを対象として

構築されたネットワークのこと。 8 システム監査:企業・自治体などの組織体の情報システムを対象にした監査のこと。情報システムの開発・運用・利用の状況を、

それに関わる当事者からは独立した第三者が客観的な立場から点検・評価して、関係者に対して報告する。

- 3 -

政情報システムの構築を行い、行政の効率化に寄与しています。

平成 22 年度(2010 年度)からは、住民記録、税、国民健康保険、介護保険、福祉等

に係る基幹系情報システムの再構築に着手し、順次新システムの運用を図り、行政事務

の効率化を進めています。

あわせて、札幌市公式ホームページの充実、市内の公共交通情報を集約した「さっぽ

ろえきバス・ナビ」の開設、札幌市観光サイト「ようこそさっぽろ」による情報発信な

ど、市民や札幌を訪れる人、企業の利便性向上を図ってきました。

こうした行政の取組に加え、民間の情報サービスも充実し、インターネットの利用は

市民、企業、行政、そして地域全体へと広がりました。電子メールや電子掲示板、ブロ

グ9などを活用したコミュニケーションも活発化し、札幌市情報化構想が目標とした「情

報結縁都市さっぽろ」は現実の姿となりました。

3.ICT 企業の集積

1980年代前半から、札幌にはソフトウェアの開発や情報処理業務を請け負う企業や北

海道大学等で情報エレクトロニクス10を学んだ学生によるベンチャー11の起業、大手企業

や中小企業の立地が進みました。

それらの動きを受け、札幌市は情報ソフトウェア産業を新たな札幌の基幹産業の一つ

として育成すべく、全国初の先端技術工業団地「札幌テクノパーク12」を造成し、関連

企業の立地促進に着手しました。昭和 61 年(1986 年)には、札幌テクノパークの中核

施設として「札幌市エレクトロニクスセンター13」を設置し、汎用計算機の共同利用や

産学官連携による各種共同研究開発事業を積極的に展開するなど、企業の活動を支援し

ました。

平成 5年(1993年)には、当時、可能性が注目されていながら実際に利用することが

困難であったインターネットの接続拠点を札幌市エレクトロニクスセンター内に置いて

企業が利用できるように開放し、インターネットを活用したビジネスの構築を支援しま

した。

一連の取組によって、札幌への情報ソフトウェア企業の立地・集積が加速化し、1990

年代中盤以降もインターネットが急速に進展したことにより、中小・ベンチャー企業が

札幌駅北口周辺を中心に数多く集積することとなりました。この現象は、世界の情報関

連企業の集積地である米国のシリコンバレー14に倣って「サッポロバレー15」と称され、

9 ブログ:Weblog(ウェブログ)の略。ホームページよりも簡単に個人のページを作成し、公開できる。個人的な日記や個人のニュ

ースサイト等が作成・公開されている。 10 情報エレクトロニクス:情報工学、通信工学、電気・電子工学など。

11 ベンチャー:ベンチャー企業の略称。一般的には革新的な技術やビジネスモデルを用いて新しい事業を興す成長志向の企業のこと

を指す。

12 札幌テクノパーク:IT 関連産業を育成することを目的に、札幌市が厚別区に整備したソフトウェア研究開発型の産業団地。

13 札幌市エレクトロニクスセンター:「札幌テクノパーク」の中核施設として、昭和 61 年(1986 年)に開設。立地企業のサポー

ト、技術者の交流や企業の技術連携支援、高度 IT 人材の育成、市内 IT 企業のグローバル化促進などが行われている。

14 シリコンバレー:アメリカ合衆国,カリフォルニア州サンフランシスコ湾南岸のサンノゼ周辺一帯の通称。数多くのコンピュータ

ー関連企業が集まっており、米国のみならず世界中の情報通信産業の中心地となっている。

- 4 -

サッポロバレーを擁する札幌は、国内有数の情報ソフトウェア産業の集積地となりまし

た。

情報ソフトウェア産業が ICT産業へとその名を変えるに従って、自社ソフトウェアの

開発、受託ソフトウェアの開発、ゲームの開発、システム設計、情報処理サービス、コ

ンテンツ16の制作やインターネットに付随したサービスの提供など、ICT企業は事業内容

の多様化を図りながら発展し、ICT産業は札幌の経済を支える重要な存在となりました。

こうした背景を受け、平成 28 年度(2016 年度)に改定された「札幌市産業振興ビジ

ョン17」において、IT・コンテンツ産業は重点分野の一つに位置付けられ、今後、重点

的な振興を図ることとしています。

このように、多様な ICT 関連事業を展開する企業が札幌に多数存在することは、ICT

をまちづくりに活用していく上で大きな力となります。

4.クリエイティブ産業の発展

札幌市では情報ソフトウェア産業の振興とあわせて、早くからクリエイティブ産業18

の振興にも着手し、クリエイター19の育成やコンテンツの制作・活用を促進してきまし

た。

平成 13 年(2001 年)には、クリエイターの育成とコンテンツビジネスの支援を目的

に「札幌市デジタル創造プラザ(インタークロス・クリエイティブ・センター)20」を

開設しました。

平成 18 年(2006 年)からは、短編映画の売買や人材育成を目的に「札幌国際短編映

画祭21(SAPPOROショートフェスト)」を開催しており、平成 28年(2016年)にはその

実績を生かしつつ、より大きな取組とすべく、映像・音楽・インタラクティブ22の三つ

のクリエイティブ分野を統合したビジネスイベント「No Maps23」のプレイベントを開催

しました。

15 サッポロバレー:札幌には 1980年代から ICT関連企業が多数集積し、ICT関連産業は札幌を代表する産業へと成長した。この企

業集積は、米国のシリコンバレーに倣い、「サッポロバレー」と称されることなった。斬新な商品やサービスを開発するベンチャー

企業の出現が相次いだことから、こうしたベンチャー企業の出現と集積を指して「サッポロバレー」と呼ぶ場合もある。

16 コンテンツ:文字、音楽、画像、映像、またはそれらを組み合わせた情報の集合のこと。

17 札幌市産業振興ビジョン:札幌の産業振興の目指すべき姿やその実現に向けた方向性を示した計画。

18 クリエイティブ産業:ここでは、個人の創造性や技能・才能に由来し、また、知的財産権の開発を通じて富と雇用を創造し得る産

業をいう。

19 クリエイター:創造的な仕事をしている人。創作家。制作者。

20 札幌市デジタル創造プラザ(インタークロス・クリエイティブ・センター):コンテンツ産業の振興を目的として、クリエイタ

ーや企業などの新たなビジネスの創出を支援する施設。

21 札幌国際短編映画祭:平成 18年(2006年)から映像産業振興を目的として、札幌市と実行委員会の主催により開催。世界各国か

ら応募された作品を上映するとともに、映像作品の放映権等の権利関係の商談、売買が可能なマーケットを併設する。

22 インタラクティブ:ここでは、最新技術から人工知能などの研究分野までを含む ICT先端技術の意味。

23 No Maps:札幌を世界屈指の創造的なまちにすることを目標に、平成 29年(2017年)から開催される国際複合コンベンション。

「映画」、「音楽」、「インタラクティブ(IT先端技術など)」の 3分野から構成される。

- 5 -

これらの取組に加え、インターネットの普及による Web コンテンツ24の需要拡大や、

スマートフォンやタブレットの普及によるモバイルコンテンツ25に対するニーズの増大

に伴い、札幌にはコンテンツビジネスを展開する事業者が増え、クリエイティブ産業が

根付くこととなりました。

コンテンツは ICTによってやりとりする情報の中身であり、その作り手が多数集積す

ることは、ICTをまちづくりに活用していく上で大きな力となります。

また、クリエイティブ産業の集積や世界的にも評価の高い文化芸術イベント、さらに

は、大通公園に代表される都市空間を生かした魅力発信の取組などが評価され、平成25

年(2013年)には、ユネスコ創造都市ネットワーク26において、世界で2都市目、アジア

で初めての「メディアアーツ27都市」として加盟が認定されました。

札幌市は、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を契機として、今後もデジタルテ

クノロジーの活用による文化・クリエイティブ産業の発展、地域や産業の活性化、都市

課題の解決に取り組むことが求められています。

24 Webコンテンツ:Webサイト(ホームページ)上で公開された文書、データ、画像、音楽、映像等の内容、または Webサイトその

ものを指す。

25 モバイルコンテンツ:インターネット接続が可能なモバイル端末(スマートフォン、タブレット端末等)用に最適化し提供されて

いるウェブサイトサービスのこと

26 ユネスコ創造都市ネットワーク:創造的・文化的な産業の育成・強化によって都市の活性化を目指す世界の各都市が、国際的な連

携・相互交流を行うことを支援する枠組で、文化の多様性の保護を重視するユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が平成 16 年(2004

年)に創設。

27 メディアアーツ:ユネスコ創造都市ネットワークの登録分野の一つで、デジタル技術などを用いた新しい芸術表現。映像、演劇・

舞踊(パフォーミングアーツ)なども含む幅広い表現であり、創造的な産業にも波及する概念。

- 6 -

第2章 戦略策定に当たって

1.戦略策定の趣旨

札幌市では今後、少子高齢化の影響による人口減少及び生産年齢人口の減少が見込ま

れており、それに伴う人手不足や経済規模の縮小が課題となります。ICT を活用し、業

務効率化による人手不足の解消や生産性の向上による産業振興につなげることで、ICT

活用人材の定着や流入人口の増加も期待できることから、ICT の活用を推進することは

極めて重要な取組であると考えています。

前章のとおり、札幌市にとって ICTは、まちづくりを進める上で重要な手段の一つで

あり、他地域に先駆けて情報化構想を策定し、それに基づく施策を推進してきた実績や、

市内に ICT産業やクリエイティブ産業が集積し、基幹産業の一翼を担っていることなど

から、ICTは札幌にとって極めて重要な意味を持っています。

近年、ICT の発展は目覚ましく、大量のデータ間における関係性などを分析すること

で新たな価値を生む「ビッグデータ28」や「オープンデータ29」の活用、さまざまなモノ

をネットワークに接続する「IoT(Internet of Things)30」、データをネットワーク上

のサーバー31群におく「クラウドコンピューティング32」など、日々、新たな技術やサー

ビスが生まれ、私たちの暮らしや企業の活動に大きな影響を与えています。

このように、情報通信の仕組みやコミュニケーションの形態が大きく変化している時

代に対応し、札幌が抱える課題を解決するために ICTを活用することで、目指すべき都

市像及び未来の札幌の姿の実現を図るための指針として「札幌市 ICT活用戦略」を策定

します。

2.戦略の位置付け

札幌市は平成25年(2013年)10月、新たなまちづくりの指針となる「札幌市まちづく

り戦略ビジョン(以下「戦略ビジョン」という。)」を策定し、目指すべき都市像とし

て「北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち」、「互いに手を携え、心豊かにつなが

28 ビッグデータ:ICTの進展により生成・収集・蓄積等が可能になる多種多様なデータで、市販されているデータベース管理ツール

や従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物。

29 オープンデータ:インターネットなどを通じて誰でも自由に入手し、利用・再配布できるデータの総称。一般には政府や自治体が

保有するデータのうち、機械判読に適したデータ形式で、二次利用が可能な利用ルールで公開され、人手を多くかけずにデータの二

次利用を可能とするもののこと。 30 IoT(Internet of Things):Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と呼ばれる。自動車、家電、ロボット、施

設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のやりとりをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、

新たな付加価値を生み出す。 31 サーバー:ネットワーク上でサービスや情報を提供するコンピューター。インターネットではウェブサーバー、DNS サーバー、メ

ールサーバー等があり、ネットワークで発生するさまざまな業務を内容に応じて分担し、集中的に処理する。

32 クラウドコンピューティング:データサービスやインターネット技術等が、ネットワーク上にあるサーバー群(クラウド(雲))

にあり、ユーザーは今までのように自分のコンピューターでデータを加工・保存することなく、「どこからでも、必要な時に、必要

な機能だけ」利用することができる新しいコンピューター・ネットワークの利用形態。

- 7 -

る共生のまち」を掲げました。

さらに、平成27年(2015年)12月には、戦略ビジョンを実現するための中期実施計画

(計画期間は平成27~31年度)である「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプ

ラン201533(以下「アクションプラン」という。)」を策定し、未来の札幌の姿として

「『誰もが安心して暮らし、生涯現役として輝き続ける街』さっぽろ」、「『世界都市

としての魅力と活力を創造し続ける街』さっぽろ」を描きました。

戦略ビジョンとアクションプランは総合計画として位置付けられるものであり、その

方針に沿って、都市計画、産業経済、環境、医療、福祉をはじめとする各分野の個別計

画が策定され、それらの個別計画の推進により、戦略ビジョンで掲げた目指すべき都市

像及びアクションプランで描いた未来の札幌の姿の実現を目指すこととなります。

本戦略は、まちづくりにおけるICTの活用方針を定める個別計画の一つであり、戦略ビ

ジョン及びアクションプランで描いた目指すべき都市像及び未来の札幌の姿の実現に向

け、都市計画、産業経済、環境、医療、福祉などの他分野の施策とともに推進されるも

のです。ICTの活用のみで目標の達成や課題の解決が図られることを意味するものではあ

りませんが、ICTはあらゆる分野で活用され、各分野に共通する道具であることから、そ

の意味は非常に大きく、個別計画の一つという範囲を超え、幅広い分野の個別施策と一

体となって推進されるものとなります。

なお、本戦略は、10年程度の中期的な将来を視野に入れて策定することとし、特に平

成29~31年度(2017~2019年度)については、推進すべき事業の具体化を図り、技術動

向の変化等に応じて適宜見直しを行うものとします。

33 札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン 2015:上位計画「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を実現するための「中期

実施計画」として、札幌市の行財政運営や予算編成の指針となるものであり、平成 27~31年度(2015~2019年度)までの 5年間を計

画期間とする。

- 8 -

図表2-1 札幌市ICT活用戦略の位置付け

図表2-2 札幌市ICT活用戦略の対象期間

- 9 -

第3章 戦略策定の背景

1.ICT に係る技術・サービス動向

(1) 第 4次産業革命

ICTの発達・普及が急速に進む中、今後、産業環境が大きく変化することが予想されて

います。

この変化を、国は「日本再興戦略201634」の中で「第4次産業革命35」と位置付け、こ

の環境変化に対応し、競争力を高めることを目指しています。

これまで産業社会は、蒸気機関による自動化が実現した第1次産業革命(18世紀後半)、

電力による自動化が進んだ第 2次産業革命(20世紀初頭)、コンピューターによる自動

化が普及した第 3次産業革命(1980年代以降)を経験してきました。

それに次ぐ第 4次産業革命は、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ・オープン

データ、人工知能(AI)36といった技術が使われることで、ものづくりやサービス、私

たちの生活を劇的に変化させると考えられています。

図表3-1 第4次産業革命の概要

34 日本再興戦略 2016:国の成長戦略の第二ステージとして平成 28年度(2016年度)に公表された戦略。名目 GDP600兆円の達成を

目標としており、ICTの活用を基本とする第 4次産業革命を成長の鍵と位置付けている。

35 第 4次産業革命:IoT(Internet of Things)、ビッグデータ・オープンデータ、人工知能(AI)といった ICT技術が使われるこ

とで、ものづくりやサービス、私たちの生活が劇的に変化すると予想される社会現象。

36 人工知能(AI):人工的にコンピューター上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、あるいはそのための一連の基礎

技術を指す。AI(Artificial Intelligence)と略す。汎用人工知能が実現し、機械の知能が人間の知能を越える時を技術的特異点(シ

ンギュラリティ)と呼ばれている。

- 10 -

第4次産業革命の実現に大きな影響を与える技術は次の三つです。

① IoT(Internet of Things)

IoT(Internet of Things)とは、コンピューターなどの情報通信機器だけでなく、世

の中に存在するさまざまな物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続し

たり、相互に通信したりすることにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うも

ので「モノのインターネット」とも呼ばれています。

あらゆる分野の機器がネットワークに接続されていくことで、製造業、サービス業、

流通業、農業、医療など、幅広い分野への応用が期待されています。

東日本大震災といった大規模な災害時などに自動車のカーナビゲーションシステムか

ら走行データを集めることで、走行可能なルートが分かる地図が提供されましたが、こ

れは自動車が IoT化されているために可能となったものです。

ドイツは IoT の可能性に大きな期待を寄せ、IoT を国家レベルで推進する「インダス

トリー4.037」を提唱しており、日本でも、IoTは今後「第 4次産業革命」を実現するた

めの重要な技術と位置付けられています。

② ビッグデータ・オープンデータ

ビッグデータとは、ICTの進展によって生成・収集・蓄積等が可能・容易になる多種多

量のデータであり、これを活用することにより、異変の察知や近未来の予測等を行い、

利用者の個々のニーズに即したサービスの提供、業務運営の効率化、新産業の創出等が

可能となります。

例えば、観光客の保有するモバイル端末38から観光客の行動に関するデータを大量に

集め、必要な情報を、必要な時に、必要な場所で配信するサービスの構築などが期待さ

れます。

一方、オープンデータは、主に国や自治体などの公共機関が保有するデータを民間に

開放するもので、公共機関が持つ統計情報や地理空間情報39等と企業などが保有するさ

まざまなデータを組み合わせることで、新たなサービスの創造が期待されます。

ビッグデータ及びオープンデータの活用は、私たちの暮らし、産業、行政など、幅広

い分野に影響を与えるものと考えられますが、どのデータがどういった分野に有効で、

どのような形でデータを収集・蓄積・提供できるか等の検討が必要なことから、札幌市

37 インダストリー4.0:製造業の高度化に向け、ドイツが国をあげて取り組んでいる戦略的プロジェクト。IoTを国家レベルで推進

し、製造業を高度にデジタル化することにより、製造業の仕組みを根本的に変えるとともに、消費者の要求に応え、コストを大幅に

削減することを主眼に置いた取組である。

38 モバイル端末:小型軽量で持ち運ぶことができる情報端末装置のこと。スマートフォン、タブレット型端末、小型ノートパソコン

など。

39 地理空間情報:位置情報または位置情報に結びつけられた情報を意味し、それらを地図上に表現すること等により、さまざまな形

で利用される。

- 11 -

では平成28年度(2016年度)に産学官による「札幌市ICT活用プラットフォーム検討会40」

を組織し、検討を行っています。

③ 人工知能(AI : Artificial Intelligence)

学習・推論・判断といった人間の知能が持つ機能を備えたコンピューターシステムで

ある「人工知能」については、業務効率化への期待から、企業への導入が広がりを見せ

ており、質問への応答、判断、全検索・最適化、自動認識等の技術が使われています。

ロボット分野での成長は特に有望であり、今後は生活環境へ自然に溶け込んで、普段

は人間が意識することのない型のロボットが普及するとみられています。

さらに、自動車メーカー各社は自動運転車の開発に注力しており、国も平成 32年(2020

年)の東京オリンピック・パラリンピック開催時に、我が国における自動運転車の開発

技術をアピールすべく、開発を後押ししています。自動車、バス等の交通手段に人工知

能が活用されて自動運転が可能になると、札幌の交通サービスの在り方にも大きな影響

があると予想され、技術開発と実用化の進展状況が注目されています。

IoT の進展によって収集されたビッグデータや公共から提供されたオープンデータを

生かし、人工知能の技術によってロボットが高度な学習を行って的確な動作を行うとい

う一連の工程が円滑に行われるようになることで産業環境の大きな変化が予想されてい

ます。

(2) クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングは、データやソフトウェアをネットワーク経由で利用者

にサービスとして提供するもので、ICT資産を保有することなく利用できるため、機器の

調達・運用・保守の負荷軽減と経費の縮減が図られるという利点があります。

現状では、自治体や企業において、主にファイル保管やデータ共有、電子メール等に

利用されていますが、今後、さらに用途が広がるものと予想され、在宅勤務やモバイル

ワーク41への活用も期待されています。

(3) モバイルファースト

近年、スマートフォンやタブレット型端末等のモバイル機器が急速に普及し、ソーシ

ャルメディア42をはじめとする多様なサービスが提供されることで、私たちの生活に大

きな影響がもたらされています。

40 札幌市 ICT活用プラットフォーム検討会:オープンデータやビッグデータを活用するためのシステム基盤及び産学官の連携体制の

確立に向け、札幌市が平成 28年(2016年)に開設した検討会。スポーツ、観光、交通などの具体的な分野における新たなモデルの構

築により、先進的な ICT活用都市の実現を目指している。

41 モバイルワーク:決められたオフィスではなく、時間や場所に縛られず、ICT(情報通信技術)を活用して柔軟に働く形態。

42 ソーシャルメディア:インターネットを利用して個人間のコミュニケーションを促進するサービスの総称。SNS、ブログなど。

- 12 -

こうした背景を受け、アプリケーション43やサービスを開発する際、モバイル機器向

けの開発をパーソナルコンピューター向けの開発に先行もしくは同時に行う例が増えて

います。こうした方針は「モバイルファースト44」とよばれ、モバイル機器の急増に伴

い、今後定着するものと考えられます。

また、行政においても、モバイル機器の使用を前提とした情報提供や市民サービスの

提供を推進することが重要となっており、札幌市でも現在、モバイル端末に向けた市政

情報発信などの取組を行っています。

図表3-2 情報通信端末の世帯保有率の推移

注)「スマートフォン」は「携帯電話・PHS」に内数として含まれる。

(出典)総務省「通信利用動向調査」

43 アプリケーション:作業の目的に応じて使うソフトウェア。「アプリ」と略す呼び方が一般的になっている。パソコンではワープ

ロ・ソフト、表計算ソフト、ウェブブラウザ、メールソフト、画像編集ソフトなどが、スマートフォンやタブレットではコミュニケ

ーション、動画・音楽視聴、地図・ナビゲーション、電子書籍、ネットショッピング、ゲーム用のアプリなどが代表的。

44 モバイルファースト:スマートフォンやタブレット型端末などのモバイル機器向けのソフトウェアやサービスを、パソコン向けよ

りも先行して開発もしくは同時に開発すること。

- 13 -

2.ICT に係る国の動き

(1) 世界最先端 IT国家創造宣言

内閣総理大臣を本部長とする「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合

戦略本部)」は、平成25年(2013年)6月に「世界最先端IT国家創造宣言」を発表し、適

時、内容の見直しを行っています。

平成28年(2016年)5月には、これまでの国や地方での着実な成果を国全体に展開する

こととし、「国から地方へ」、「地方から全国へ」の横展開を基本的な方針としつつ、

ICT 利活用の更なる推進のための三つの重点項目が公表されました。

図表3-3 IT利活用の更なる推進のための三つの重点項目

(出典) 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)「世界最先端IT国家創造宣言」(平成28年(2016年)5月)

- 14 -

(2) 日本再興戦略 2016

国の成長戦略第二ステージとなる「日本再興戦略2016」では、戦後最大の名目GDP600

兆円を目標に新たな有望市場を創出する「官民戦略プロジェクト10」が掲げられました。

この中で、今後の生産性革命を主導する最大の鍵は、IoT、ビッグデータ、人工知能、

ロボットセンサー45の技術的ブレークスルー46を活用する「第4次産業革命」にあること

がうたわれ、研究開発・産業化戦略の具体化、規制・制度の改革、人材育成、中堅・中

小企業への第4次産業革命の波及等を図ることとしています。

(3) ICT街づくり推進会議

総務省では、最先端のICTを社会実装したICTスマートタウン先行モデル47の実現に向

けた実証プロジェクトを推進するとともに、先行モデルの国内外への普及・展開の推進、

国際連携の推進等を行うため「ICT街づくり推進会議」を開催しています。

この中で、センサーネットワーク48、ビッグデータ、地理空間情報、共通ID49、ワイヤ

レスネットワーク50、クラウド等の最先端のICTを、行政、農林水産、エネルギー・環境、

医療・福祉・介護・育児、観光・交通等の複数分野に適用することで、少子高齢化、コ

ミュニティの再生等、地域が抱える複合的な課題を解決し、我が国の持続的な成長を目

指すこととしています。

45 ロボットセンサー:ロボットを正しく制御するために必要な計測機能を実現する要素。

46 技術的ブレークスルー:技術的な課題を打破し、新しい技術の開発や革新を図ること。

47 ICTスマートタウン先行モデル:総務省が推進しているモデル事業で、ICTの活用により、災害に強い街づくり、地域が複合的に

抱える諸課題の解決、経済の活性化・雇用の創出、国際社会への貢献・国際競争力の強化等を目的としている。

48 センサーネットワーク:部屋、工場、道路など、至る所に埋め込まれたセンサーが周囲の環境を検知し、当該情報がユーザーや制

御機器にフィードバックされるネットワーク。

49 共通 ID:個人がさまざまなサービスを受ける場合、共通の番号で公的個人認証を受け、サービスを受ける仕組み。

50 ワイヤレスネットワーク:無線を活用してコンピューター同士を接続し、情報をやりとりする仕組み。

- 15 -

(4) IoT推進コンソーシアム・IoT推進ラボ

経済産業省と総務省は、IoTやビッグデータ、人工知能などに対応し、企業や業種を超

え、産学官でのデータ活用を促進するための組織として「IoT推進コンソーシアム」を創

設し、その下に「技術開発」、「先進的モデル事業」、「専門(セキュリティ、プライ

バシーなど)」の三つのワーキンググループ(WG)を設置してIoTを活用した取組を推進

しています。

このうち、先進的モデル事業WGは「IoT推進ラボ」と名付けられ、(1)企業間連携の

強化に向けた環境整備、(2)IoTプロジェクトに対する資金援助、(3)課題となる規制

改革、ルール形成などを担う産学官の拠点として位置付けられています。

また、大学・研究機関等が取り組んでいる最先端かつ広範な研究開発と、サッポロバ

レーの意欲的なICT企業群という二つの札幌の強みを融合し、人工知能やフィンテック

(Fintech)51といった先端技術を活用したイノベーション52の創出とエコシステム53の構

築を目指し、札幌市が中心となり、産学官連携による「札幌市IoTイノベーション推進コ

ンソーシアム54」を設立しました。

平成28年度(2016年度)には、国が公募した「地方版IoT推進ラボ」に認定されたこと

から、今後、国の「IoT推進ラボ」と連携した取組も進めることとしています。

51 フィンテック(Fintech):ICTを活用して革新的な金融サービスや金融商品を生み出す取組。

52 イノベーション:新しい方法、仕組み、習慣などを導入することをいい、新製品の開発や生産方法の改良、新しい資源や原料の開

発、組織体制の改変などにより、新しい価値を生み出すこと。(札幌市産業振興ビジョン改定版)

53 エコシステム:異なる構成要素によって良好な環境を維持させている自然界の生態系のように、企業、大学、研究機関等が連携し、

各々が持つ技術や強みを生かしながら新たなサービスや商品を開発・提供することで共存共栄していく仕組み。

54 札幌市 IoTイノベーション推進コンソーシアム:北海道内の大学の最先端かつ広範な研究開発と意欲的な IT企業群という二つの

札幌の強みを融合し、人工知能や ICTの金融への応用(Fintech)といった先端技術を活用したイノベーションの創出と相互発展を目

的に平成 28年(2016年)に発足した産学官連携組織。

- 16 -

図表3-4 札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアムのイメージ図

(5) マイナンバーの導入

平成27年(2015年)10月から日本国内に住民票を有する一人ひとりにマイナンバー55が

割り当てられ、平成28年(2016年)1月からは、マイナンバーカードの配布が開始されま

した。

マイナイバーは法令で定められた目的でのみ利用が認められており、現在のところ、

社会保障、税関連、災害対策の3分野での利用が認められています。

マイナンバーの活用により、行政手続きがスムーズになるなど、利便性の向上と行政

サービスの効率化が期待される一方、制度の公正な運用とセキュリティ対策の充実を図

ることが求められています。

55 マイナンバー:日本国内に住民票を有する一人ひとりに割り当てられる 12桁の番号で、税、年金、雇用保険などの手続きの際に

活用される。

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3.札幌市民の ICT活用状況と ICT 活用に関する意識

(1) 札幌市民のインターネットの利用状況

札幌市におけるインターネットの利用状況は平成27年度(2015年度)において68.4%

(全年齢平均)であり、20代~40代は9割以上、50代は8割以上、60代も5割近くと、幅広

い年齢層が利用しています。

インターネットの利用手段は自宅のパソコンとスマートフォンが主で、18~40歳未満

はスマートフォン利用者がおよそ8~9割となっています。

図表3-5 札幌市民のインターネット利用状況

(出典)平成27年度第1回札幌市民アンケート調査結果

図表3-6 札幌市民のインターネットの利用手段

(出典)平成27年度第1回札幌市民アンケート調査結果

回答者数

(人)

自宅のパソ

コン

勤務先のパ

ソコン

学校のパソ

コン

公共施設な

どのパソコ

ネットカ

フェ

携帯電話

(従来型携

帯電話)

スマート

フォン

タブレット

型端末

その他

全体 1,741 63.0% 22.5% 0.9% 0.2% 0.5% 8.6% 54.9% 10.9% 0.3%

18~19歳 39 64.1% 0.0% 10.3% 0.0% 0.0% 2.6% 89.7% 5.1% 0.0%

20~29歳 217 59.0% 16.1% 3.7% 0.0% 0.9% 5.1% 82.5% 8.3% 0.9%

30~39歳 328 53.0% 28.0% 0.0% 0.0% 1.2% 5.5% 79.0% 7.6% 0.6%

40~49歳 411 59.1% 20.2% 0.2% 0.2% 0.2% 8.5% 63.7% 14.6% 0.0%

50~59歳 351 67.5% 31.9% 0.3% 0.6% 0.0% 11.7% 36.2% 11.7% 0.0%

60~69歳 268 71.3% 20.9% 0.0% 0.4% 0.0% 9.3% 26.9% 13.4% 0.4%

70歳以上 100 85.0% 7.0% 1.0% 0.0% 0.0% 15.0% 7.0% 4.0% 0.0%

無回答 27 51.9% 22.2% 0.0% 0.0% 3.7% 14.8% 51.9% 11.1% 0.0%

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(2) 札幌市民の SNS56利用状況

インターネットを利用している人のうちSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービ

ス)を利用している人は全体で32.4%ですが、40歳未満ではいずれの年齢層もおよそ7

割以上がSNSを利用しています。

利用しているSNSの種類を見ると、LINE57の利用者が多く、次いで、Facebook58、Twitter59

の順となっています。

これらの結果を踏まえ、利用率が低い年齢層に配慮しつつも、インターネットを活用

した情報サービスの開発・提供が期待されます。

図表3-7 札幌市民のSNS利用状況

(出典)平成27年度第1回札幌市民アンケート調査結果

56 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス):インターネット上でのメッセージのやりとりなどを通じて、人と人との交流

を広げていくサービス。

57 LINE:スマートフォンやパソコンなどで、異なる通信会社同士でも無料で通話やメールのやりとりができるサービス。

58 Facebook:インターネット上で自分の経歴を載せ、記事を投稿したり、他の会員が投稿した記事にコメントしたりすることで、人

との交流を広げられるサービス。 59 Twitter:個々のユーザーが「ツイート」 (tweet) と呼ばれる 140 文字以内の「つぶやき」を投稿し、そのユーザーをフォロ

ーしているユーザーが閲覧できるサービス。

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図表3-8 札幌市民が利用しているSNSの種類

(出典)平成27年度第1回札幌市民アンケート調査結果

(3) 札幌市民の ICTに対する意識

「平成23年度(2011年度)札幌市市政世論調査60」及び「平成27年度(2015年度)ICT

の活用に関するアンケート」の結果によると、行政サービスの電子化推進に理解を示す

市民の割合(「推進すべきである」と「推進してもよいが、慎重に進めるべきである」

の合計)が、平成23年度調査の62.2%から、平成27年度調査では71.2%に増加しています

(図表3-9)。

また、情報化施策に対する評価としては「各種申請・申告・手続きの電子化」、「ホ

ームページによる情報提供」に関する札幌市の取組を評価する市民の割合が増加してい

ます(図表3-10)。

一方、個人情報保護に関する関心が高まりを見せており、今後の情報化施策において

個人情報の保護等に注意を払うべきとの意見が多くなっています(図表3-11、12)。

60 札幌市市政世論調査:札幌市が市政や市民生活に関して、市民の意識、関心要望の傾向などを推定し、市政執行の参考とするため

に毎年実施している調査。

回答者数

(人)Twitter Facebook LINE Google+ mixi その他

全体 825 34.4% 50.9% 86.2% 10.2% 14.3% 4.0%

18~19歳 35 62.9% 22.9% 100.0% 11.4% 5.7% 5.7%

20~29歳 177 49.7% 57.6% 93.2% 10.2% 15.8% 4.0%

30~39歳 234 32.9% 62.8% 89.7% 7.7% 23.1% 3.4%

40~49歳 199 27.1% 42.2% 83.4% 12.1% 10.1% 4.0%

50~59歳 120 24.2% 45.8% 78.3% 10.0% 8.3% 4.2%

60~69歳 39 12.8% 38.5% 71.8% 15.4% 2.6% 5.1%

70歳以上 8 25.0% 37.5% 25.0% 0.0% 12.5% 12.5%

無回答 13 53.8% 46.2% 84.6% 15.4% 15.4% 0.0%

- 20 -

図表3-9 札幌市民の行政サービスの電子化に対する考え

(出典) 平成23年度札幌市市政世論調査、平成27年度ICTの活用に関するアンケート

図表3-10 札幌市民の情報化施策に対する評価

(出典) 平成23年度札幌市市政世論調査、平成27年度ICTの活用に関するアンケート

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図表3-11 札幌市民が力を入れてほしい情報化施策

(出典) 平成23年度札幌市市政世論調査、平成27年度ICTの活用に関するアンケート

図表3-12 情報化施策で札幌市が注意すべき点

(出典) 平成23年度札幌市市政世論調査、平成27年度 ICTの活用に関するアンケート

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また、今後期待する ICT活用の取組分野としては「安全・安心なまちづくり」、「行

政の効率化」、「暮らしの向上」への関心が高くなっています(図表 3-13)。

図表3-13 札幌市民が期待するICT活用の取組分野

(出典)平成27年度ICTの活用に関するアンケート

- 23 -

4.ICT 活用に係る札幌の強み

(1) ICT関連企業の集積

第 1章に記したように、札幌は情報ソフトウェア産業の黎明期から企業の集積が進み、

「サッポロバレー」として全国的にも注目されるまちとなりました。ベンチャー企業か

ら大企業まで、規模や業務内容も多様な ICT産業は、今や札幌を代表する産業となり、

これらの企業の存在は、今後、札幌が ICT活用を進めていく上で極めて重要です。

また、札幌を中心とする道内 ICT企業の多くは、今後、クラウド、モバイル、情報セ

キュリティ、IoT、ビッグデータの各分野に力を入れていきたいと考えており、これは近

年の技術潮流にも合致していることから、札幌の ICT活用の担い手として、その役割に

大きな期待が寄せられます。

図表3-14 道内ICT企業が今後力を入れていきたい分野(上位5項目)

(出典)北海道ITレポート2015(北海道IT推進協会)

(2) 実験的精神と進取・挑戦の気質

札幌は、創建以来、新しい理想都市を目指し、フロンティア精神61に燃えた先人のた

ゆみない努力によって築かれてきた都市です。開拓当初からの大胆なまちづくりの構想

と実験的精神は今も引き継がれ、冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動や、創

造都市の推進、札幌国際芸術祭の開催など、札幌は進取と挑戦を絶えず志向し、新たな

取組を進めてきています。

さまざまな課題や困難に立ち向かい、新たなコトに挑戦すること、そこから生まれる

成果が都市としての札幌の価値を高めています。

ICTを取巻く環境や技術は絶えず変化していきますが、それらをまちづくりにうまく

取り入れ、新たな取組へとつなげていける土壌があることは札幌の大きな強みです。

61 フロンティア精神:開拓者精神。

- 24 -

(3) 実証実験に適した都市環境

ICTの活用・普及を図る上では、企業等による実証実験やテストの実施が必要となり

ます。札幌には地下歩行空間や札幌ドーム等の建築・構造物、大規模な公園や観光スポ

ット、駅等の交通関連施設や商業施設など、さまざまな条件の実証実験に適した場や環

境があります。

国内屈指の大都市でありながら世界有数の降雪量となる特有の気候条件も、実証実験

のフィールド62として魅力的です。

こうした特性を活用し、企業等が新たな ICT関連サービスや製品の実証実験を行い、

実用化へとつなげることで、札幌が他に先駆けてその成果を享受できるほか、このよう

に優れた環境を評価した企業が進出し、雇用を創出することも期待されます。

(4) 質の高い人材の輩出

札幌は優れた人材を育み続けており、それらの人材は産学官の各分野、そしてまちづ

くりの主役として活躍しています。

こうした環境を評価し、優れた人材を求めて札幌に進出する企業や雇用を拡大する企

業もあり、活躍の場は増える傾向にあります。

ICT活用の進展は、ICT産業のみならず、それを活用するすべての産業に影響を与える

ことから、活用スキル63を持つ人材の確保が急務であるとともに、生活面や教育面にお

いても、ICT活用能力の向上が必要となります。

優れた人材を育み続けている札幌の環境は、ICT活用の推進においても重要な意味を

持っています。

62 実証実験のフィールド:実証実験を行う場。

63 活用スキル:ここでは「ICTを活用する能力」をいう。

- 25 -

5.ICT を活用する上での札幌の課題

(1) まちづくりに対する市民ニーズへの対応

ICTの活用は、札幌が直面している課題の解決や市民が期待するまちづくり施策の推

進に資する効果があります。

「平成 27年度札幌市市政世論調査」の結果によると、市民の多くが、除雪、安全・安

心なまちづくり、高齢者福祉の充実、産業振興や雇用の推進といった暮らしの質の向上

を望んでいることから、それらに関する施策・事業においても、ICTの活用可能性を検

討することが必要です。

近年のビックデータ・オープンデータ、人工知能に関する技術の発展は、市民が望む

安全・安心なまちづくり及び暮らしの質の向上に資するサービスを創出する可能性が高

いことから、市民ニーズを踏まえながら、課題の解決につながる活用を図る必要があり

ます。

図表 3-15 札幌市民が力を入れてほしい施策・事業

(出典)平成 27年度札幌市市政世論調査

- 26 -

(2) セキュリティの強化

ICTは、生活や企業活動等の利便性を高め、多様な効果を与えることが期待されます

が、一方で、個人情報の流出や悪用等のリスクも抱えています。

市政世論調査や ICTの活用に関するアンケート調査においても、個人情報の漏えいに

不安を持つ市民が多く、札幌市が情報化施策を進める際には、個人情報やプライバシー

の保護に留意すべきとの意見が多くなっています。

札幌市では平成 16年度(2004年度)に、情報資産に関する情報セキュリティ対策に

ついて取りまとめた「札幌市情報セキュリティポリシー64」を定め、適正な運用に努め

ていますが、今後も最新技術を活用したセキュリティ対策を講じるとともに、情報を扱

う職員に対するセキュリティ教育を行うなど情報管理を徹底していく必要があります。

(3) さまざまな人々や利用環境への配慮

札幌市公式ホームページについては、基本方針とガイドライン65、ウェブアクセシビ

リティ66方針を定め、ユニバーサルデザイン67や JIS規格68に配慮しつつ、誰にでも分か

りやすく、使いやすいホームページの制作・運用に努めていますが、今後もコミュニケ

ーションツールの発展に合わせて、こうした取組を継続していくことが必要です。

また、ICTの活用に係る施策は、受益者がインターネットなどを利用できる環境にあ

ることを前提としたものが多くなりがちですが、情報発信手段の多様化等を図り、イン

ターネットなどを利用できない人が不利益を被ることのないように配慮することも重要

です。

(4) オープンデータの積極的推進

オープンデータの推進は、新たなサービスの創出やまちづくりへのデータ活用などに

つながることが期待されおり、国も積極的な対応を促しています。

札幌市ではオープンデータへの取組を始めたばかりですが、今後は全庁的な推進体制

を構築し、積極的に取り組む必要があります。

64 札幌市情報セキュリティポリシー:札幌市が所有する情報資産に関する情報セキュリティ対策について取りまとめた基本ルール。

65 ガイドライン:ここでは、札幌市が設置、運営する公式ホームページにおける各ページの統一性・一貫性を高め、利用者満足度を

向上させるために定めた札幌市公式ホームページの作成・運用に関する統一基準をいう。

66 ウェブアクセシビリティ:高齢者や障がい者といった、ホームページ等の利用になんらかの制約があったり利用に不慣れな人々を

含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること。

67 ユニバーサルデザイン:個人差を問わず、より多くの人に利用しやすい製品・施設・環境・サービス・情報を提供するという考え

方。

68 JIS規格:日本工業規格。日本工業規格 JIS X 8341-3:2010が平成 22年(2010年)に改正公示され、これに伴い改定された総務

省「みんなの公共サイト運用モデル(2010年度改定版)」により、国及び地方公共団体等の公的機関に対し JISに対応したホームペ

ージとするための取組が求められた。札幌市のウェブアクセシビリティ方針は、JISに対応して策定されたものである。

- 27 -

(5) 情報政策を統括する体制の構築

関連する業務の範囲が全庁に及ぶ広範なものであり、先進的かつ専門的な内容を含む

ICT活用の取組については、市民サービスの向上や業務の効率性などの観点から、札幌

市全体で最適化を図るなど、戦略的に情報政策を統括する体制の構築が必要です。

- 28 -

第4章 戦略の基本方針

1.戦略の目標

札幌市は平成 25年(2013年)10月策定の戦略ビジョンにおいて、その目指すべき都

市像を「北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち」及び「互いに手を携え、心豊かに

つながる共生のまち」と定め、平成 27年(2015年)12月策定のアクションプランにお

いては、未来の札幌の姿を「『誰もが安心して暮らし、生涯現役として輝き続ける街』

さっぽろ」及び「『世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街』さっぽろ」と定め

ました。

本戦略は、これらの目指すべき都市像や未来の姿の実現に向け、活用範囲が広く、重

要性の高い ICTという手段をどのように活用するか、その方向性と取組内容を描くこと

を目的としたものです。

戦略ビジョンやアクションプランで描いた目指すべき都市像や未来の姿を実現するた

めには、札幌が内外から評価され、人々が産み、育て、学び、働き、住み続ける場所と

して、また、企業が投資し、観光客などが訪れたくなる場所として、選ばれるに値する

まちとなることが必要です。

このようなまちを目指すためには、生活、産業、教育、娯楽などさまざまな活動にお

いて、札幌が選ばれるに値するまちとして、札幌の持つ魅力や利点、すなわち価値を生

かし、創造し、高めていく取組が欠かせません。

本戦略では札幌が持つ多様な価値全体を「Sapporo Value(サッポロバリュー:札幌

の価値)」と位置付け、利便性が高く安心して暮らせる都市機能などの「地理的価値」、

充実した教育環境と質の高い人材の輩出・集積といった「人的価値」、ICT産業や技術

の集積とその活用に見られる「技術的価値」、そして、挑戦を志向し創造性を刺激する

土壌を持つまちとしての「創造的価値」の四つに整理しています。

札幌市は、ICTが持つ「価値を創造し高める力」に注目し、すでに存在している札幌

の強み(価値)を生かしながら、ICTを活用することで既存の価値をさらに高め、新た

な価値を生み出していくことで、札幌全体の価値である「Sapporo Value(サッポロバ

リュー:札幌の価値)」の創造と向上を目標とし、産業の振興や暮らしの利便性向上に

つなげていきます。

また、ICTを活用したまちづくりの成果を積極的に内外へ向けて発信し、トップラン

ナー69として注目を集めることで、さらなる価値の創造と向上につなげるサイクルの構

築を目指します。

69 トップランナー:ここでは、札幌が全国に先駆けて ICT活用の先頭を走る存在となることを意味している。

- 29 -

図表 4-1 札幌市 ICT活用戦略の目標

- 30 -

2.イノベーション・プロジェクトと基本施策

本戦略の目標達成に向けて、先進的、分野横断的な取組であり、イノベーションの創

出により新たな価値の創造につながるプロジェクトを「イノベーション・プロジェクト」

として位置付け、重点的に推進します。

また、まちづくりの分野を、「生活」に係る「暮らしの質の向上」や「安全・安心の

実現」、「経済」に係る「産業の振興」や「多様な雇用と働き方の創造」、市民活動も

含めた人材育成に係る「教育」、効率的で信頼される行政運営を実現する「行政」の 6

項目の基本施策に分け、ICT活用による価値の向上につながる取組を進めていきます。

また、「イノベーション・プロジェクト」及び「基本施策」の推進に当たっては相互

に連携を図るとともに、技術の発展や環境の変化に合わせて、必要に応じた見直しを行

い、柔軟に取り組んでいきます。

図表 4-2 イノベーション・プロジェクトと六つの基本施策

- 31 -

3.戦略推進に当たっての視点

本戦略の推進に当たっては、札幌を取り巻く社会経済環境や札幌の強みを踏まえ、下

記の五つの視点に基づいて具体的な取組を立案し、着実に実行します。

(1) 札幌が持つ強みの活用

ICT企業の集積、市内の多様な企業・個人、大学・研究機関等が蓄積してきた技術・

ノウハウ、さらには、自然が近く住みやすい都市環境や、実証実験の取組にも適した環

境といった札幌の強みを生かし、企業の参入や市外からの投資などを促進します。

(2) 技術潮流の把握・活用

IoT、ビッグデータ・オープンデータ、人工知能、クラウドコンピューティング、モバイ

ルファースト等、その時々の技術動向を踏まえながら、これまでにない新たなサービス

や、より利便性の高いサービスを提供します。

(3) 多様な ICT活用状況への対応

スマートフォンなどのモバイル端末によるインターネットや SNSの利用といった新た

な ICT技術を活用した各種サービスが若年層を中心に急速に普及している状況などを踏

まえ、ICT活用における多様な市民ニーズに柔軟に対応するとともに、個人の情報発信

力を生かした取組を進めます。

(4) 行政の先行的取組による ICT活用機運の醸成

行政施策の実施に当たっては、積極的な ICT活用に率先して取り組むことにより、市

民の理解を深めるとともに、民間企業等のさらなる ICT活用を促していきます。

(5) 新たな取組の積極的発信

創造性を生かした先進的な ICT関連プロジェクトを実践するとともに、スポーツや文

化芸術、産業振興といった各種国際的イベントなどにおいて、札幌における ICTの取組

を広く発信します。

- 32 -

4.成果指標

図表 4-3 本戦略の成果指標

本戦略において ICTの活用により「Sapporo Value(サッポロバリュー:札幌の価値)」

が向上したことを捉えるために、札幌市が実施している情報化の取組を利用している市

民の割合及び ICT等を活用し高付加価値をつけようと思っている企業の割合を成果指標

として設定し、戦略全体の達成度を計ります。

加えて、イノベーション・プロジェクトにおいては、ビッグデータ・オープンデータ

など ICTの最新技術の活用を促す取組を進めていくことから、オープンデータを利活用

しようと思っている企業の割合を成果指標として設定します。

- 33 -

第5章 イノベーション・プロジェクト

1.位置付け

本戦略の目標達成に向けては、ICTを活用することで「Sapporo Value(サッポロバリ

ュー:札幌の価値)」の創造と向上に大きく寄与する取組が数多く生まれ、その成果が

相互に影響し合うことが期待されます。

特に、新たな価値を創造するためには、さまざまな取組にチャレンジできる環境を整

備し、その環境の下で民間企業や学術研究機関等の実験的な取組が進むことなどにより、

イノベーションを創出していく仕組みづくりが必要です。

本戦略ではイノベーションの創出につながる先進的、分野横断的な取組を「イノベー

ション・プロジェクト」として位置付け、重点的に推進していきます。

なお、「第 6章 基本施策」に位置付けた施策のうち、本プロジェクトと連携するこ

とで新たな価値の創造につながることが期待できるものについては、相互に調整を図り

ながら取組を進めることとし、本プロジェクトの成果についても基本施策の推進に反映

していきます。

さらに、プロジェクトの推進を通して ICT活用人材の育成につなげるとともに、チャ

レンジを創出するフィールドであり、多様な主体が活躍できる都市としての札幌の魅力

発信に取り組んでいきます。

図表 5-1 イノベーション・プロジェクトのねらい

- 34 -

2.構成

新しい ICT技術の活用環境提供や産学官連携体制の運営、イノベーション人材の育成、

実証実験事業の支援窓口といったイノベーションを生み出すための「環境」づくりと、

その環境の下で展開される具体的な「事業」の二つをこのプロジェクトの両輪として取

り組みます。

また、プロジェクトの推進に当たっては、技術の進歩や札幌を取り巻く環境の変化に

合わせ、必要に応じて、適宜、新たな取組を組み入れていきます。

図表 5-2 イノベーション・プロジェクト 構成イメージ

- 35 -

3.具体的な取組

(1) 取組の背景

ICT の発達・普及が急速に進む中、産業環境の大きな変化が「第 4 次産業革命」とし

て位置付けられ、IoT、人工知能、ビッグデータといった技術が使われることで、ものづ

くりやサービス、人々の生活を劇的に変化させると考えられており、札幌の新たな価値

を創造していくためには、その急速な変化に対応し、他都市に先駆けて実施する必要が

あります。

IoT などを通して集まったビッグデータを人工知能により分析、活用することで、生

活利便性の向上や新しいサービス創出による経済の活性化、行政保有データの活用が容

易になることによる行政の信頼性や透明性の向上などにつながることが期待できます。

(2) イノベーションを生み出すための「環境」づくり

官民が保有するオープンデータやビッグデータを収集、管理するための「札幌市 ICT

活用プラットフォーム(システム及び体制)」の構築に向けた検討を進めます。

また、イノベーション創出に向けた国内外の ICT 企業をはじめとした民間企業や大

学・研究機関等の取組を促進するため、札幌における各種実証実験事業を支援するため

のワンストップ窓口70や人材育成の在り方についても検討していきます。

イノベーション・プロジェクトの推進に当たっては、先端技術を活用した新たなビジ

ネスの創出を目指して産学官により設立した「札幌市 IoTイノベーション推進コンソー

シアム」と連携したビッグデータの活用促進などに取り組みます。

(3) イノベーションを生み出すための「事業」

札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)を最先端のサービスが集積する「ICT活用の

ショーケース」として位置付け、センサー等により人流情報や属性情報といったデータ

を、個人情報に抵触しないよう配慮しながら収集・活用する取組を先行的に実施します。

この取組においては、市民・観光客へのサービスアップ、効果的なマーケティング71や

防災対策の実現など、産学と連携したイノベーションの創出やビジネス活性化が期待で

きます。

また、ICTとコンテンツの融合により、新たなビジネスの創出を目指すクリエイティ

ブ・コンベンション「No Maps」においても、イノベーション創出の実践やそれらの取組

の発信に取り組んでいきます。

70 ワンストップ窓口:複数の手続きや申請を1ヵ所で受け付け、対応できるように開設された窓口。

71 マーケティング:企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧

客がその商品を効果的に得られるようにする活動」の全てを表す概念。

- 36 -

図表 5-3 具体的な取組イメージ

■想定スケジュール

- 37 -

第6章 基本施策

【基本施策 1-1】 暮らしの質の向上(生活)

現状と課題 目指す姿

今後、札幌市は人口の減少が予想さ

れ、都市としての活力低下が懸念され

る。交通サービス、各種手続き等、生

活に身近なサービスの利便性の向上

を図るなど、質の高い生活環境を整備

することで、札幌を選び、札幌に暮ら

す人を増やす必要がある。

行政施策の中で、特に除雪などの重点

的な推進を望む市民が多く、こうした

市民ニーズに対応した施策を実施す

る必要がある。

場所や時間にとらわれず、手続きや情

報収集ができ、自由度の高い行動がで

きている。

ICTの活用による生活者満足度の向上

により、定住の促進と転入者の増加が

進んでいる。

市民はICTの存在を特に意識すること

なく、便利で快適な生活を送ってい

る。

除雪に代表される札幌ならではの課

題が ICTによって改善され、快適性が

増している。

利便性が高く、快適な生活を実現するために ICTを活用し、生活の満足度を高め、札

幌を選び、ここで暮らしたいと考える人を増やします。

<ICT活用施策>

(1) 情報提供・情報発信の強化

札幌市公式ホームページや SNS等、複数の手段で、必要な情報が、必要な時に入手で

きるよう、情報提供及び情報発信を強化します。

(2) 手続き・申請・納付の簡素化

マイナンバーカードなどマイナンバー制度を活用し、市民の利便性を高めるための取

組を検討します。

コンビニにおける住民票等の発行や市税証明書の交付を行うほか、コンビニでの

税金・国民健康保険料の納付、税金のインターネットを利用したクレジットカー

ドによる納付等に対応します。

マイナンバー制度の活用により、添付書類を不要とすることで手続きの簡素化を

進めます。

- 38 -

(3) 健康・福祉サービスの充実<新規検討項目、イノベーション・プロジェクト連携項目>

健康ポイントの付与等により、市民の健康づくりを促進するとともに、その活動状況

と医療費データ等を連携・分析するなど、健康づくり事業の効果測定等におけるデータ

活用の取組を検討します。

(4) 子育て支援の充実

子育て中の家庭が必要な情報を入手し、ニーズに合ったサービスを利用できるよう、

年齢、地域など、個々の状況に合わせた子育て情報を発信します。

(5) 交通サービスの充実

公共交通機関利用者に運行情報をスマートフォン等でリアルタイムに提供するほか、

地下鉄駅で公衆無線 LAN72環境を提供します。

(6) 雪対策の充実<新規検討項目、イノベーション・プロジェクト連携項目>

冬期の道路状況を把握するなど除排雪業務におけるビッグデータの活用等について検

討します。

また、担い手不足の解消や技術の継承のための、ナビゲーションや GPS73の活用等につ

いて検討します。

(7) エネルギー対策の強化

スマートコミュニティ74における省エネルギー及び効率的なエネルギー利用を実現す

るため、エネルギーマネジメント75に資する有効な ICT活用の在り方を検討します。

(8) SAPICAの多目的利用<新規検討項目、イノベーション・プロジェクト連携項目>

ICカード SAPICA76の市民カードとしての個人認証機能を活用した新たなサービスの提

供を検討し、市民の暮らしの利便性向上を目指します。

72 公衆無線 LAN:駅や空港などの公共施設や飲食店などで、ケーブルがなくてもインターネットに接続できる仕組み。

73 GPS:Global Positioning System の略。全地球測位システム。人工衛星を利用して、利用者の地球上における現在位置を正確に

把握するシステム。

74 スマートコミュニティ:電力、水、交通・物流、医療、情報など、あらゆるインフラの統合的な管理・最適制御を実現した次世代

のコミュニティ。

75 エネルギーマネジメント: ICTを活用して、家庭・オフィスビル・工場などのエネルギー(電気・ガス等)の使用状況をリアル

タイムに把握・管理し、最適化するシステム。

76 SAPICA:札幌圏の地下鉄・バス・市電で乗車券として利用できる ICカード。SAPICAのロゴマークのある店舗や自動販売機などで

電子マネーとしても利用できる。

- 39 -

【基本施策 1-2】 安全・安心の実現(生活)

現状と課題 目指す姿

「安全・安心なまちづくり」に係る施

策を求める市民ニーズが大きいこと

から、これに対応する必要がある。

防災は平常時からの対策が極めて重

要であるため、情報伝達に際しては、

平常時からよく使用される手段・手法

を使った対策が必要である。

平常時から防災対策が確立され、安全

性の高いまちとなっている。

安全なまちとしての評価が高まり、定

住者が増加している。

医療・保健・福祉サービスが充実し、

安心して市民生活が送れるまちとな

っている。

防災、保健・医療・介護・福祉の質の向上に資する ICT活用を進め、安全な環境の下、

市民が安心して暮らせるまちをつくります。

<ICT活用施策>

(1) 災害情報の収集・発信・伝達の強化

災害時に必要となる正確な情報を迅速かつ効果的に伝達することが可能なシステムを

構築します。市民及び観光客等の来訪者向けとして、スマートフォンは有用なツールで

あり、普及が進んでいることから、スマートフォン向けアプリケーションの開発やスマ

ートフォンでの閲覧に適した情報発信手法を検討します。

システムが活用されるためには、平常時における防災意識の啓発やシステム利用の促

進が重要であることから、それらを意識したシステムの整備を行います。

(2) 災害時の情報提供に向けた官民連携の促進

災害発生時には、行政保有の情報だけでなく、市民、地域、企業が保有する情報が極

めて有用であり、それらを効率良く発信し、必要な人が必要な時に情報を入手できるこ

とが求められることから、平常時から地域の自主防災組織、企業、関係機関等と協議の

上、災害時に的確な情報の収集と発信ができる体制づくりを進めます。

(3) 消防と医療の連携

傷病者の救命率向上及び迅速な対応による後遺症軽減を図るため、救急業務にタブレ

ット端末等を導入することで活動の効率化を進めるなど、ICT を活用した消防と医療の

連携を強化します。

- 40 -

(4) ICTを活用した医療情報分析の推進

市民の疾病状況、医療の需給状況等に関する現状把握、動向分析、将来予測等を継続

的に行い、市民の健康力・予防力の向上のため医療情報分析を推進します。

(5) 都市インフラの効率的な管理・運営<イノベーション・プロジェクト連携項目>

市民生活を支える都市インフラにおける現状把握、異変察知及び予測が迅速かつ的確

に行えるよう、ICTの活用も踏まえた管理体制を検討するなど、市民が安心して暮らせ

る都市づくりを進めます。

- 41 -

【基本施策 2-1】 産業の振興(経済)

現状と課題 目指す姿

市民一人当たりの所得は国内政令市

と比較して低い状況にあることか

ら、産業振興を図り、企業の競争力

と付加価値を高め、所得の増加を図

る必要がある。

市内 ICT企業は、下流工程の受託開発

が中心で、売上が景気動向や元請けの

意向に左右されやすいことから、今

後、先端的な技術研究を生かした新た

なビジネスの創出や他産業の企業ニ

ーズを踏まえた独自の製品やサービ

スの開発を支援し、新たな市場を開拓

していく必要がある。

観光関連産業などでは ICT の活用が

あまり進んでいないことから、ICT活

用による業務の効率化、高付加価値

化が必要である。

実験に適した都市環境、優れた人材

等、札幌が持つ強みを十分に活用す

ることが必要であり、それらを生か

して多様な取組を行い、新たなビジ

ネスの創出や起業の促進を図る必要

がある。

ICT産業がさらに集積し、多様な企業

が競争力を高めている。

札幌市内の ICT 活用サービスの殆ど

は、市内の企業が担い手となって開

発・提供されている。

企業は、業種や規模を問わず、ICTを

活用して付加価値を高め、収益と雇用

を生んでいる。

観光関連産業が発展し、札幌の経済を

支える重要な存在となっている。

新事業のアイデアが次々と生まれ、ど

こよりも早く札幌で実証・提供されて

いる。

ICTの活用による既存企業の競争力向上、ICT企業の振興を図るとともに、新規ビジネ

スの創出や起業、札幌への企業誘致・立地を促進します。

<ICT活用施策>

(1) ICT産業の振興<イノベーション・プロジェクト連携項目>

市内 ICT企業の技術力向上、技術を生かした新たな製品やサービスの創出促進、海外

でのビジネス展開、技術者の育成などを支援し、札幌の基幹産業の一つである ICT産業

の競争力強化を図ります。

また、これまで進めてきたクリエイティブ産業のさらなる振興を図り、コンテンツの

力を観光や食産業等の他産業に波及させるほか、映像・音楽・インタラクティブの融合

- 42 -

によるメディアミックスイベント「No Maps」の開催を支援し、イノベーションを誘発す

る機会を創出します。

(2) ICTの活用による多様な産業の付加価値向上の支援

札幌市が産業振興の重点分野に位置付けている観光、食、環境・エネルギー、健康福

祉・医療等の多様な産業分野と市内 ICT 企業との連携を促進するため、ICT を活用して

新たな製品・サービスの創出や販路拡大を図り、付加価値の向上を目指す企業を支援し

ます。

(3) ICTを活用した観光の振興<イノベーション・プロジェクト連携項目>

観光客の利便性と満足度を高め、周遊促進や観光消費額の増大を図るため、札幌市内

の公衆無線 LAN環境の充実、観光情報の充実及び多言語化対応等を推進します。

さらに、観光客の行動に合わせた魅力的なサービスの開発・提供により、観光客の満

足度向上を図るため、観光客の行動データ等を収集・分析し、活用を図る事業を産学官

の連携により推進します。

(4) ビジネスアイデアの創出と事業化支援<イノベーション・プロジェクト連携項目>

IoT、ビッグデータ・オープンデータ、人工知能など、ICTを取り巻く技術動向は絶え

ず変化し、新たな技術も次々に生まれることから、それらを生かした新しいビジネスア

イデアの創出と事業化を支援するため、ハッカソン77等のアイデアコンテストの開催や

事業化資金の補助等を行います。

(5) 起業・創業の支援

ICT に係る新技術を活用した商品・サービスの開発やビジネスモデルの開発に大きな

期待が寄せられることから、札幌市内で新たな ICT企業の創業・起業を行う事業者を支

援します。

77 ハッカソン:ソフトウェア開発者が、一定期間に集中してプログラムの開発やサービスの考案などの共同作業を行い、その技能や

アイデアを競う催し。

- 43 -

(6) 実証実験と連携した新たな事業創出の支援<イノベーション・プロジェクト連携項目>

イノベーション・プロジェクト等の各種実証実験への札幌市内企業の参画促進や、実験成

果のフィードバック78、札幌でのいち早くサービスイン79すること等を促すなど、実証実

験と連携した新たな事業創出を支援します。

78 フィードバック:結果を伝達すること。

79 サービスイン:サービスの供用が開始されること。

- 44 -

【基本施策 2-2】 多様な雇用と働き方の創造(経済)

現状と課題 目指す姿

少子化・高齢化の影響により、働く人

材の不足が懸念されていることから、

多様で柔軟な働き方や雇用形態の普

及により、働く意志のある人が希望を

かなえ、最適な形態で働ける環境を作

ることが必要である。

特に育児中の女性の有業率が全国、北

海道に比べて低いことから、多角的な

観点から女性の雇用環境の改善を図

ることが必要である。

大学卒業後、市内での就職を希望して

いるにもかかわらず、実際には市外に

流出する人が理系学生を中心に多い

ことから、魅力的な企業の振興、雇用

の創出、多様な働き方の普及を図るこ

とが必要である。

多様な働き方が浸透し、それぞれの環

境に合わせて、働く意志のある人皆が

働いている。

札幌の良質な環境を評価した企業の

立地・進出、起業が進み、新たな雇用

が生まれている。

競争力を高めた ICT 企業等への就職

者、UIJ ターン80者が増え、人材の定

着が進んでいる。

雇用機会の創出及び多様な働き方の普及・定着により、就業率の向上を図るとともに、

UIJターン等による ICT活用人材の確保を図ります。

<ICT活用施策>

(1) テレワークの推進

結婚、出産、育児、介護等、さまざまな事情によって就業を断念したり、就業形態の

変更を余儀なくされたりした就業の意志がある人が、就業を継続、再開できる環境を作

るため、企業に対して、ICTを活用したテレワーク81の普及・啓発及び導入の支援を行い

ます。

80 UIJターン:大都市圏の居住者が地方に移住する動きの総称。Uターンは出身地に戻る形態、Jターンは出身地の近くの地方都市

に移住する形態、Iターンは出身地以外の地方へ移住する形態を指す。

81 テレワーク:ICT を活用し、場所と時間を有効に活用できる柔軟な働き方。企業等に勤務する被雇用者が行う雇用型テレワーク

(例:住宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス等での勤務)と、個人事業者・小規模事業者等が行う自営型テレワーク(例:

SOHO、住宅ワーク)に大別される。

- 45 -

(2) 誘致・集積の促進

札幌の優れた都市環境や通信インフラ等の ICT環境、豊富で優秀な人材等を評価し、

札幌への進出、拠点の開設等を検討する企業への支援を行い、企業の集積と雇用の創出

を促進します。

(3) UIJターンの促進

理系人材の流出防止や人材不足が深刻な ICT 産業における人材の確保に向け、UIJ タ

ーンの促進による企業の人材確保、市内人材の採用、インターンシップ82実施等の支援

を行います。

(4) 「札幌市図書・情報館」における各種支援の実施

平成 30年度(2018年度)に供用開始予定の「札幌市図書・情報館」において、ビジ

ネスパーソン83等を支援する情報提供を積極的に行うほか、コワーキング84・コミュニケ

ーションスペースを設置し、モバイルワークの利用環境を提供します。

82 インターンシップ:高い職業意識の育成や就職後の職場への適応力の向上を図るため、学生が企業等において一定期間実習・研修

的な就業体験をする制度。

83 ビジネスパーソン:性別を問わず、働く人全般を指す。実業家、経営者、会社員、事務員など。

84 コワーキング:各個人が独立して働きつつも、働く場所を共有することで、アイデアや情報を交換し、協働して新たなビジネスを

生み出していく仕事の仕方。

- 46 -

【基本施策 3】 人材の育成(教育)

現状と課題 目指す姿

ICTの急速な普及・発展に合わせて、

それらを活用することで、自ら課題を

見つけ、自ら学び、自ら問題を解決す

ることができる次代の札幌を担う人

材の育成を図る必要がある。

教育におけるICT活用に関する国の方

針や動向を踏まえ、学校において適切

なICT利用環境が整備されるよう努め

る必要がある。

情報モラル85の重要性が高まっている

ことに対応し、学校における教育機会

の充実とモラルの徹底を図るととも

に、優れた ICT活用能力を有する人材

の育成を行う必要がある。

まちづくり、趣味、学習など、自身の

活動に有用な情報やサービスが提供

され、活動の活性化とそれによる人材

育成を図る必要がある。

学校教育において、自ら課題を見つ

け、自ら学び、自ら問題を解決するこ

とができる人材が育まれている。

学校において適切なICT利用環境が整

備されている。

モラルを守り、ICTの特質と利点を活

用しながら自ら学ぶ人材が育ってい

る。

ICTの活用により、市民の生涯学習、

芸術・文化・スポーツ活動が活発化し

ている。

コミュニケーションが活性化し、市民

活動やコミュニティの活性化につな

がっている。

ICT を活用した学校教育の推進と環境整備、生涯学習、芸術・文化・スポーツ、市民

活動等の促進、ICT活用のリーダーとなる人材の育成を行います。

<ICT活用施策>

(1) 学校における ICT活用環境の整備

「自ら学び、共に生きる力を培う学びの推進」の一環として、子どもたちの学ぶ力の

一層の向上を目指し、授業で ICTを日常的に活用できるよう、学校へのパソコン、タブ

レット、ネットワーク等の ICT 機器やデジタル教科書86等の機材の整備、導入を進めま

す。

85 情報モラル:人が情報を扱う上で求められる道徳。特に、情報機器や通信ネットワークを通じて他者と情報をやりとりするにあた

り、他者や自らを害することがないよう身に付けるべき基本的な態度や考え方のこと。

86 デジタル教科書:デジタル機器や情報端末向けの教材のうち、既存の教科書の内容と、それを閲覧するためのソフトウェアに加え、

編集移動、追加、削除などの基本機能を備えるもの。

- 47 -

(2) ICTを活用した教育カリキュラムの開発

児童・生徒が自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら問題を解決する資質や能力等の「学

ぶ力」を育成する観点から、ICTを効果的に活用できる教材の開発や教育方法の研究を行

います。

また、平成 32 年度(2020 年度)からの導入を国が検討している「デジタル教科書」

や、小学校におけるプログラミング教育87の必須化等の国の動向も踏まえながら、それ

らに対応した教育環境の整備を進めます。

(3) 情報モラル教育の実施

インターネット利用の定着とモバイル機器の低学年への普及等を背景に、情報モラル

教育の重要性が高まっていることから、情報化社会の倫理や法の理解と順守、自らの身

を守るために必要な知識の習得等、学校での情報モラル教育の徹底を図ります。

(4) ICTの活用に伴う教職員の支援

ICTを活用した授業の手法や教材活用能力の向上を目的に、教職員の研修機会の充実を

図るとともに、優れた教育法やカリキュラム等の共有が図られるよう努めます。合わせ

て、教職員が授業で活用できるICT機器を順次整備し、教職員の支援を行います。

(5) 市民まちづくり活動の支援

市民がまちづくり活動に関する情報を手軽に入手し、より一層活動に参加できるよう、

まちづくり活動団体に係る基本情報や活動内容に関する情報を提供するシステムを構築

します。

(6) オープンデータの活用による市民協働の促進

<新規検討項目、イノベーション・プロジェクト連携項目>

行政が保有する多様なデータを積極的に公開するとともに、分かりやすい形式で提供し、

市民とともに活用することで地域課題の解決やまちづくりのための方策を検討するなど、

オープンデータを活用した市民協働の促進を図ります。

87 プログラミング教育:コンピューター言語としてのプログラムに触れるだけでなく、論理思考や問題について考え抜く力の養成を

目的に、文部部科学省は平成 32年(2020年)から小学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表した。

- 48 -

(7) ICT活用をリードする人材の育成<イノベーション・プロジェクト連携項目>

ICT を活用した札幌市の地域課題の解決や新たな市民サービスの開発及びその担い手

となる人材の育成を目的に、学生、市民、民間プログラマーなど幅広い層を対象とした

アプリ開発のアイデアコンテスト等を行います。

(8) 「札幌市図書・情報館」における情報提供

平成 30年度(2018年度)に供用開始予定の「札幌市図書・情報館」では、都心に集

うビジネスパーソンに対して、ビジネスに有用な資料・情報を提供するほか、行政情報

や文化芸術など市民の暮らしや創造的な活動に役立つ資料・情報を提供するとともに、

課題解決のための調査研究、調べものなどに集中できる設備・環境を備えた場を提供し

ます。

- 49 -

【基本施策 4】 効率的で信頼される行政(行政)

現状と課題 目指す姿

個人情報保護に不安を持つ市民が多

いことから、技術動向に合わせて情報

セキュリティ対策に取り組んでいく

必要がある。

ICTの活用によって行政の業務効率を

高め、質の高い行政サービスの実現と

効率化を図る必要がある。

ICTの活用経験やスキルに関係なく、

できるだけ多くの人がICTを活用した

サービスを享受できるよう留意する

必要がある。

市民と協働したまちづくりを進める

ため、行政が保有する情報をオープン

データとして提供する必要がある。

新しい技術により、大きく環境が変化

することから、最適な ICT活用の在り

方について、適宜、検討し続ける必要

がある。

情報セキュリティ対策、個人情報保護

が適切に行われている。

行財政運営の効率化が図られ、効果的

な業務運営が行われている。

個人の ICT活用能力に応じて、多くの

市民に必要な情報やサービスが提供

されている。

オープンデータの推進体制が確立し、

有益なデータの提供・活用がなされて

いる。

課題の解決や創造的なまちづくりに

向け、産学官民の連携体制が機能して

いる。

新規事業の実施において積極的な ICT 活用を検討するとともに、ICT の効果的な活用

や保有する情報・データの提供・公開を行うなど、信頼され、質が高く、低コストな行

政運営を実現します。

<ICT活用施策>

(1) 情報システムの整備におけるセキュリティ対策の実施

セキュリティ保持や個人情報保護に対する市民の関心が高いことから、行政内部の情

報システムの構築においては、強固なセキュリティ対策を施すとともに、情報の取り扱

いについてもガイドラインの順守と適正な運用を行います。

(2) マイナンバー制度を活用した手続きの簡素化

マイナンバー制度の情報連携機能を活用し、市民が行政への申請・届出等を行う際、

証明書の添付を不要とすることで各種手続きの簡素化を進めます。

- 50 -

3) 情報提供・発信及び活用の強化

迅速、正確で、かつ、分かりやすい市政情報の発信に向け、ホームページや SNSなど、

複数の手段を活用し、情報発信を強化します。

また、行政運営において、市民や観光客などが発信する情報を効果的に活用する方法

を検討します。

(4) さまざまな人々や利用環境への対応

インターネットを利用しない人や外国人などが不利益を被ることのないよう、情報発

信手段の多様化を図ることで必要な情報を入手し、サービスを受けられるよう対応しま

す。

また、ホームページでの情報発信に当たっては、札幌市公式ホームページに関する基

本方針やガイドライン、ウェブアクセシビリティ方針に沿い、ユニバーサルデザインに

配慮した発信を行います。

(5) 産学官連携による ICT活用戦略の推進

<新規検討項目、イノベーション・プロジェクト連携項目>

ICT の活用は、あらゆる主体に関係し影響を与えるものであるとともに、オープンデ

ータ、ビッグデータの活用や「札幌市 IoTイノベーション推進コンソーシアム」の設立

など、産学官の連携により推進しているものが数多くあることから、本戦略の推進に当

たっても産学官が連携し、協働しながら推進していきます。

(6) オープンデータの推進<新規検討項目、イノベーション・プロジェクト連携項目>

行政保有の情報をオープンデータとして積極的に提供し、民間と協働しながら多様な

サービスの開発及び提供を促します。

また、市民からのオープンデータ化に対するニーズの高まりが予想されることから、

開かれた行政の視点で、全庁的な取組として、積極的な公開に努めます。

- 51 -

第7章 主要事業一覧

基本施策のうち平成 29年度から 31年度までの 3年間に実施する事業については、下

記のとおり事業内容を具体化し、着実に推進します。

【基本施策 1-1】 暮らしの質の向上(生活)

事業名 担当部門 事業内容

新たな市政情報提供シ

ステム構築事業

総)広報部 誰もがいつでも手軽に市政に関する情報

を受け取ることのできるシステムを構築

し、市民サービスの向上を図ります。

コンビニ交付システム

構築等事業

市)地域振興部

財)税政部

市民の利便性向上のため、マイナンバー

カードを使って、市内に数多くあるコン

ビニエンスストアの端末で、住民票や市

税証明書などを発行するサービスを開始

します。

市税のクレジットカー

ド納付の導入事業

財)税政部 パソコンやスマートフォンなどからの手

続きにより、市・道民税(普通徴収)、

固定資産税・都市計画税、軽自動車税の

クレジットカード納付ができるようにし

ます。

国民健康保険料コンビ

ニ収納導入事業

保)保険医療部 納付機会の拡大・利便性向上を図るため、

国民健康保険料の納付にコンビニ収納を

導入します。

子育て情報提供強化事

子)子育て支援

子育て家庭が必要な情報を入手し、自分

に合ったサービスを利用できるよう、NPO

や大学などと連携し、子育て情報に特化

したホームページを運営するとともに、

年齢別、地域別などの個々の状況に合わ

せた子育て情報を発信します。

- 52 -

事業名 担当部門 事業内容

バスロケーションシス

テム導入支援事業

政)総合交通計

画部

バスロケーションシステム88の導入を促

進し、利用者にバスの運行情報をリアル

タイムで提供することにより、冬季を中

心としたバスの定時性に関する満足度を

高めるなど、バスの利便性を向上させま

す。

地下鉄等利用者の情報

アクセス向上事業

交)事業管理部 地下鉄などの利用者が運行情報や駅・停

留場周辺情報などに容易にアクセスでき

るよう、スマートフォン等でリアルタイ

ムに情報提供するほか、地下鉄駅で公衆

無線 LAN環境を提供します。

次世代型エネルギータ

ウン検討事業

政)政策企画部 低炭素社会と原発に頼らない社会の実現

を目指すため、真駒内地区をモデルとし

たスマートコミュニティや、将来的な水

素社会を見据えた水素タウンの在り方な

どを検討し、世界に誇れる次世代型エネ

ルギータウンのコンセプトを提示しま

す。

都心エネルギーネット

ワーク構築推進事業

政)政策企画部 世界の環境モデルとなる街を目指し、CO2

削減と災害に強いまちづくりを進めるた

め、都心において熱と電力を効率的に供

給する自立分散型エネルギーネットワー

クを構築するとともに、ICTを活用した地

域におけるエネルギーマネジメントの在

り方を検討します。

【基本施策 1-2】 安全・安心の実現(生活)

事業名 担当部門 事業内容

防災行政無線更新整備

事業

危)危機管理対

策部

災害発生時に避難場所や防災関係機関と

の情報連絡体制を構成する移動局無線機

について、耐用年数、新規格への移行及

び事業平準化を考慮した整備を行いま

す。

88 バスロケーションシステム:GPS(全地球測位システム)等を用いてバスの位置情報を収集し、携帯端末やパソコン等にバスの運

行情報を提供するシステム。

- 53 -

事業名 担当部門 事業内容

防災・災害情報伝達方

法多様化推進事業

危)危機管理対

策部

スマートフォンやタブレット端末などの

携帯情報端末を利用して、平常時は防災

の普及啓発、災害時は通信途絶状況にお

いても避難誘導を図ることのできるアプ

リケーションを整備するとともに、情報

伝達方法の多様化について検討を進めま

す。

消防施設庁舎監視シス

テム更新整備事業

消)総務部 現行の迅速な出動体制を確保するととも

に、出動等により不在となった消防出張

所での市民サービス向上と災害対応力の

強化を図るため、庁舎監視システムを更

新整備します。

消防情報管理システム

更新整備事業

消)総務部 消防業務全般を処理する消防情報管理シ

ステムについて、災害対応能力の向上や

支援情報提供の円滑化、さらには違反是

正の促進等を目的とし、現在の各業務実

態に即した機能追加を伴う更新を実施し

ます。

ICT(情報通信技術)を

活用した消防と医療の

連携強化事業

消)警防部 傷病者の救命率向上及び後遺症軽減を図

るため、救急業務にタブレット端末など

を導入し、医師への画像伝送や病院受入

要請の効率化を行うなど、ICTを活用した

医療との連携強化を図ります。

【基本施策 2-1】 産業の振興(経済)

事業名 担当部門 事業内容

IT利活用ビジネス拡大

事業

経)産業振興部 市内 ICT企業と「食」をはじめとする他

産業の企業との連携を促進することで、

ICTを活用した新たな製品やサービスの

創出、販路拡大を目指します。

IT-バイオ連携推進事

経)産業振興部 市内 ICT企業と、札幌市に集積するバイ

オやその周辺分野に関する企業との交流

会やセミナーにより、連携を促進するこ

とで、新たな製品やサービスの創出を目

指します。

- 54 -

事業名 担当部門 事業内容

IT企業高度化推進事業 経)産業振興部 ICTの技術力向上により、新製品・サービ

スの創出促進や受注機会の拡大を目指

し、研究会や研修会を実施します。

有望産業海外ビジネス

展開支援事業

経)産業振興部 今後、有望と見込まれる ICT産業、環境・

インフラ産業などの海外展開を促進する

ため、企業団の招へいや現地視察、商談

会出展などを支援し、新たに着手するプ

ロジェクトを創出します。

メディアミックスイベ

ント創出支援事業

経)産業振興部 クリエイティブ産業の活性化や創業支

援・企業誘致、文化・芸術を通じた産業・

観光振興を図るため、産学官連携による

映画・音楽・ICTなどの複合イベントを支

援します。

ベンチャー創出・育成

事業

経)産業振興部 起業に関する講座の開催や起業家の表

彰、経営支援などにより起業マインドを

醸成し、起業に挑戦する方を支援します。

観光情報発信事業 経)観光・MICE

推進部

観光情報サイト「ようこそさっぽろ」の

コンテンツの充実、多言語化などを進め、

多様なニーズを持つ観光客の満足度の向

上につなげます。

ICT社会に対応した観

光まちづくり推進事業

経)観光・MICE

推進部

民間事業者への補助を実施するなど、札

幌市内の公衆無線 LAN環境の充実を行い、

外国人観光客の満足度を高めます。

観光案内所機能強化事

経)観光・MICE

推進部

来札観光客の満足度を高めるため、観光

案内所の機能拡充などによる案内機能の

強化を進めます。

円山動物園観光誘客事

環)円山動物園 円山動物園への外国人をはじめとする観

光誘客のため、Wi-Fi環境整備、リーフレ

ット89の充実、ホームページの多言語化等

を行います。

89 リーフレット:宣伝・広告・案内・説明などのために、1枚の紙に刷られた印刷物。

- 55 -

【基本施策 2-2】 多様な雇用と働き方の創造(経済)

事業名 担当部門 事業内容

IT産業 UIJターン等支

援事業

経)産業振興部 理系人材の流出や厳しい雇用イメージに

よる人材不足が深刻な ICT産業の人材を

確保するため、インターンシップなどを

実施し、ICT産業の従事者を増やします。

テレワーク導入支援事

経)産業振興部 テレワークシステムを市内企業に導入す

る実証実験を行い、札幌ならではのテレ

ワークの在り方や課題を分析するととも

に、成果事例を発信し、女性が働きやす

い環境整備や女性の有業率向上を図りま

す。

【基本施策 3】 人づくりとまちづくり(教育)

事業名 担当部門 事業内容

教育の情報化推進事業 教)生涯学習部 急速な情報化・グローバル化90への対応と

子どもたちの学ぶ力の一層の向上を目指

し、ICTを活用した授業を日常的に実施で

きるよう、タブレットなどの機器や教材

の整備と授業での効果的な活用に向けた

取組を行います。

課題探究的な学習モデ

ル研究事業

教)学校教育部 市立札幌開成中等教育学校において、豊

かな国際感覚や課題発見・解決能力を身

に付けたグローバル人材を育成するため

の、IBプログラム91や ICTを活用した課題

探究的な学習92モデルを研究・確立しま

す。

90 グローバル化:ヒト、モノ、カネ、情報の国境を越えた移動が地球規模で盛んになり、政治や経済などさまざまな分野での境界線

がなくなることで、相互依存の関係が深まっていく現象。

91 IBプログラム:国際バカロレア機構(IBO)が定める、異文化に対する理解と尊敬を通じて、平和でよりよい世界の実現のために

貢献する、探求心、知識、思いやりのある若者の育成などを目的とした国際的な教育プログラム。

92 課題探求的な学習:児童生徒自らが疑問や課題を持ち、主体的に解決する学習。

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事業名 担当部門 事業内容

まちづくり活動団体情

報提供システム整備・

活用事業

市)地域振興部 市民がまちづくり活動に関する情報を手

軽に入手し、より一層活動に参加できる

よう、市民まちづくり活動団体の基本情

報や活動内容に関する情報を提供するシ

ステムを構築します。

札幌市図書・情報館整

備事業

教)中央図書館 都心に集うビジネスパーソンや市民、来

訪者に対して、調査支援サービスや札幌

の魅力に関する情報、交流を促進する空

間を提供し、市民の仕事や暮らしの課題

を解決する課題解決型図書館として、札

幌市民交流プラザ内に「札幌市図書・情

報館」を整備します。

【基本施策 4】 効率的で信頼される行政(行政)

事業名 担当部門 事業内容

イントラネットセキュ

リティ対策事業

総)情報システ

ム部

イントラネットのセキュリティ対策を強

化するため、仮想化技術を用い、イント

ラネットをインターネットと分離しま

す。

庁内データセンター化

事業

総)情報システ

ム部

業務システムの維持管理の効率化とセキ

ュリティ対策強化のため、各部局が別々

に設置しているサーバー機器を集約し、

効率的な運用管理を行います。

新たな市政情報提供シ

ステム構築事業(再掲)

総)広報部 誰もがいつでも手軽に市政に関する情報

を受け取ることのできるシステムを構築

し、市民サービスの向上を図ります。

- 57 -

第8章 戦略の推進に向けて

1.戦略的に情報政策を統括する体制の構築

企画調整機能を担う部署が中心となって、戦略的に情報政策を統括する庁内横断的な

体制を構築し、札幌市全体での最適な ICT活用の在り方を費用対効果や持続可能性など

の視点も交えて検討し、本戦略を着実に推進します。

2.他機関との連携

本戦略の推進に当たっては、国・道・市町村及び関係機関や民間企業、教育研究機関

等と情報共有を行い、広く連携を進めるとともに、事業の推進に資する国等の支援や助

成制度等を積極的に活用し、事業の効果的・効率的な推進を図ります。

3.産学官連携による進捗管理

本戦略の推進に当たっては、PDCAサイクルに基づいた進捗管理を行いますが、事業成

果の評価については客観的な視点が重要であることから、イノベーション・プロジェク

トなど重点的に推進を図る事業については、有識者からなる進捗管理体制を構築し、実

施に当たっての仮説の設定や結果の評価・検証、課題の抽出、解決に向けた助言・提言

をいただきながら戦略を推進します。

4.技術の進歩や環境の変化に合わせた柔軟な推進

情報通信技術の進歩は激しく、また、札幌市を取り巻く社会経済情勢も刻々と変化す

るため、こうした環境変化に合わせて、市民ニーズに照らしながら、必要に応じた事業

の見直しや新たな事業の実施等を行い、戦略の柔軟な推進を図ります。

図表 8-1 推進体制のイメージ

- 60 -

1 有識者会議

札幌市 ICT活用戦略の策定に当たっては、ICT及びその活用策等について幅広い知見

を持つ有識者の意見を参考とするため、「(仮称)札幌市 ICT活用戦略策定検討有識者

会議」を設置しました。

(仮称)札幌市 ICT活用戦略策定検討有識者会議委員

役 職 氏 名 所 属

座 長 山本 強 北海道大学大学院 情報科学研究科 教授

副座長 菅野 滿 (一社)北海道 IT推進協会 副会長

(株)システムデザイン開発 代表取締役

委 員

伊藤 博之 クリプトン・フューチャー・メディア(株)

代表取締役

岡本 浩一 北海学園大学 工学部 建築学科 教授

日下部 進 QUADRAC(株) 代表取締役

佐々木 身智子 ササキミチコ事務所 代表

スーディ神崎 和代 札幌市立大学大学院 看護学研究科 教授

田澤 由利 (株)ワイズズタッフ 代表取締役

(株)テレワークマネジメント 代表取締役

村田 利文 ムラタオフィス(株) 代表取締役

(五十音順・敬称略) オブザーバー

氏 名 所 属

近江 栄治 北海道経済産業局 地域経済部 情報・サービス政策課

参事官(情報産業担当)

酒井 裕司

(第 2~4 回) (一財)さっぽろ産業振興財団 専務理事

竹内 友宏 北海道総合通信局 情報通信部 情報通信連携推進課

情報通信連携推進課長

福井 知克

(第 1 回) 前 (一財)さっぽろ産業振興財団 専務理事

(五十音順・敬称略)

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(仮称)札幌市 ICT活用戦略策定検討有識者会議の開催経過

回 開催日 内 容

第 1回 平成 28年(2016年)

6月 3日(金)

・座長・副座長の選任

・札幌市の現状・課題について

・目指す方向性について

第 2回 平成 28年(2016年)

6月 21日(火)

・委員からの事例紹介

・戦略の構成について

第 3回 平成 28年(2016年)

8月 10日(水)

・委員からの事例紹介

・戦略骨子(案)について

第 4回 平成 28年(2016年)

10月 3日(月)

・委員からの事例紹介

・戦略素案について

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2 平成 27 年度 ICTの活用に関するアンケート調査

1.調査概要

(1) 目的

市民が日ごろインターネットなどの ICTをどの程度活用し、市が行っている ICTを活

用した情報化施策に対してどのような意識、要望を持っているのか調査し、今後の取組

の参考とする。

(2) 調査対象 札幌市内に居住する満 18歳以上の男女個人 1,500人

(3) 調査方法

対象者を住民基本台帳から「等間隔無作為抽出」により抽出して調査票を郵送し、

返信用封筒にて回収

(4) 調査期間 平成 28年(2016年)2月 19日(金)~3月 4日(金)

(5) 回答状況

回収数(率):765 (51.0%)、 有効回収数(率):764 (50.9%)

実数 比率(%)

764 50.9

男性 318 41.6

女性 434 56.8

無回答 12 1.6

18歳~19歳 18 2.4

20歳~29歳 60 7.9

30歳~39歳 109 14.3

40歳~49歳 142 18.6

50歳~59歳 129 16.9

60歳~69歳 188 24.6

70歳以上 108 14.1

無回答 10 1.3

中央区 81 10.6

北区 110 14.4

東区 97 12.7

白石区 78 10.2

厚別区 51 6.7

豊平区 81 10.6

清田区 52 6.8

南区 57 7.5

西区 87 11.4

手稲区 58 7.6

無回答 12 1.6

【居住地】

区分

対象者全体

【年齢】

【性別】

- 63 -

2.調査結果

(1)インターネットの利用について 【問1】インターネットを利用していますか。

インターネットの利用有無は、「利用している」が 67.4%であり、「利用していない」は 26.0%

となっています。

【問1の1】どの程度の頻度でインターネットを利用していますか。

《問1で「1 利用している」と答えた方対象》

インターネットの利用頻度は、「毎日数回以上」が 55.0%と最も高く、次いで「ほぼ毎日(週に

5日以上)」が 28.9%となっており、以下、「週に数回程度」が 9.1%、「月に数回程度」が 5.4%

となっています。

- 64 -

【問1の2】どのような場所でインターネットを利用していますか。

《問1で「1 利用している」と答えた方対象、複数回答》

インターネットの利用場所は、「自宅」が 97.3%と最も高く、以下、「勤務先」が 51.1%、「地下

鉄等の駅や車内」が 28.3%、「屋外」が 24.7%、「飲食店」が 22.3%となっています。

【問1の3】どのような機器でインターネットを利用していますか。

《問1で「1 利用している」と答えた方対象、複数回答》

インターネットを利用する際に使用する機器は、「パソコン」が82.5%と最も高く、次いで「ス

マートフォン」が 65.6%、「タブレット型端末」が 25.2%となっています。

- 65 -

【問1の4】どのような回線を使用してインターネットに接続していますか。

《問1で「1 利用している」と答えた方対象、複数回答》

インターネットを接続する際に使用する回線は、「光ファイバー回線」が61.9%と最も高く、次

いで「携帯電話(スマートフォン含む)・PHS」が 57.3%となっています。

【問1の5】インターネットを利用する目的は何ですか。

《問1で「1 利用している」と答えた方対象、三つまで複数回答》

インターネットを使用する目的は、「趣味・教養」が 85.4%と最も高く、以下、「生活上の利便」

が 56.7%、「仕事」が 46.0%、「人との交流・情報交換」が 39.6%となっています。

- 66 -

【問1の6①】SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)以外で、「あなたが

よく利用するもの」は何ですか。

《問1で「1 利用している」と答えた方対象、五つまで複数回答》

インターネットで利用頻度の高いサービスは、「情報の検索・閲覧」が 91.8%と最も高く、以

下、「地図・交通情報の利用」が 72.6%、「電子メールのやりとり」が 62.7%となっています。

【問1の6②】SNS 以外で、「現在は利用していないが、今後利用したいもの」は何で

すか。《問1で「1 利用している」と答えた方対象、五つまで複数回答》

インターネットで今後利用したいサービスは、「市役所などの行政機関への各種申請や申込

書の入手」が 22.9%と最も高くなっています。

- 67 -

【問1の7】インターネットを利用しない理由は何ですか。

《問1で「2 利用していない」と答えた方対象、複数回答》

インターネットを利用しない理由は、「必要性を感じないから」が49.7%と最も高く、以下、「利

用方法が難しそうだから」が 31.2%、「個人情報の漏えいなどの安全面で不安があるから」が

30.2%となっています。

【問1の8】今後、インターネットを利用したいと思いますか。

《問1で「2 利用していない」と答えた方対象》

今後もインターネットを、“利用したくない”(「利用したくない」38.2%+「どちらかといえば利

用したくない」21.6%)が 59.8%となっています。これに対して、“利用したい”(「利用したい」

17.6%+「どちらかといえば利用したい」19.6%)は 37.2%となっています。

- 68 -

【問1の9】今後、インターネットを利用するとしたら、どのようなサービスを利用し

たいと思いますか。

《問1の8で「1 利用したい」、「2 どちらかといえば利用したい」、「3 どちらかといえ

ば利用したくない」と答えた方対象、三つまで複数回答》

インターネットで利用したいサービスは、「情報の検索・閲覧」が68.4%と最も高く、以下、「市

役所などの行政機関への各種申請や申込書の入手」が 46.2%、「地図・交通情報の利用」が

42.7%、「ネット通信販売の利用、各種チケット・宿泊などの予約・購入」が 35.0%となっていま

す。

- 69 -

(2)SNSの利用について 【問2】現在、Twitter(ツイッター)などの、SNSを利用していますか。

SNSを「利用したことはない」が 54.1%、「利用している」が 33.9%となっています。

【問2の1】どのような種類の SNSを利用していますか。

《問2で「1利用している」と答えた方対象、複数回答》

利用している SNSの種類は、「LINE(ライン)」が 88.8%と最も高く、次いで「Facebook(フェイ

スブック)」が53.3%、「Twitter(ツイッター)」が37.1%となっています。

- 70 -

【問2の2】どのくらいの頻度で SNSを利用していますか。

《問2で「1 利用している」と答えた方対象》

SNS の利用頻度は、「毎日数回以上」が57.9%と最も高く、以下、「ほぼ毎日(週に5日以上)」

が25.1%、「週に数回程度」が12.7%、「月に数回程度」が 3.1%となっています。

【問2の3】SNSを利用しない理由は何ですか。

《問2で「2 利用したことはない」と答えた方対象、複数回答》

SNSを利用しない理由は、「必要性を感じないから」が64.6%と最も高く、以下、「興味がない

から」が 48.2%、「個人情報の漏えいなどの安全面で不安があるから」が 38.7%、「利用方法が

難しそうだから」が 20.1%となっています。

- 71 -

【問2の4】SNSを利用しなくなった理由は何ですか。

《問2で「3 利用したことがあるが、今は利用していない」と答えた方対象、複数回答》

SNS を利用しなくなった理由は、「必要性を感じなかったから」と「個人情報の漏えいなどの

安全面で不安があったから」が 57.5%と最も高く、次いで「面倒くさくなったから」が 55.0%とな

っています。

- 72 -

(3)札幌市の取組について 【問3①】札幌市の情報化の取組のうち、知っているもの、聞いたことがあるものはど

れですか。(複数回答)

札幌市の情報化施策で知っているもの、または、聞いたことがあるものは、「ホームページ」

が 55.0%と最も高く、次いで「公共交通 IC カード「SAPICA(サピカ)」」が 44.8%、「税の電子申

告」が 38.7%となっています。

【問3②】札幌市の情報化の取組のうち、過去1年間に実際に利用したことがあるもの

はどれですか。(複数回答)

札幌市の情報化施策で過去1年間に利用したことがあるものは、「公共交通 IC カード

「SAPICA(サピカ)」」が 36.4%と最も高く、次いで「ホームページ」が 34.4%、「えきバスナビ(公

共交通案内)」が 18.3%となっています。

- 73 -

【問4①】札幌市の情報化の取組のうち、『便利』あるいは『評価できる』と感じるも

のは何ですか。(三つまで複数回答)

札幌市の情報化施策で『便利』あるいは『評価できる』と感じるものは、「各種申請・申告・届

け出手続きの電子化」が 36.1%と最も高く、次いで「ホームページによる情報提供」が 33.5%、

「電子マネーによる公共料金・税などの支払い」が 15.1%となっています。

【問4②】札幌市の情報化の取組のうち、今後、力を入れてほしいと感じるものは何で

すか。(三つまで複数回答)

札幌市の情報化施策で力を入れてほしいと感じるものは、「個人情報保護の強化」が46.3%

と最も高く、以下、「各種申請・申告・届け出手続きの電子化」が 20.3%、「ホームページによる

情報提供」が 14.8%、「子どもに対する ICT教育の実施(安全・マナーなど)」が 13.9%となって

います。

- 74 -

【問5】札幌市の行政情報を主にどのような方法で入手しますか。(複数回答)

札幌市の行政情報を入手する方法は、「広報さっぽろ」が 79.2%と最も高く、以下、「新聞、

タウン誌」が 37.6%、「回覧板」が 34.4%、「テレビ、ラジオ」が 32.7%となっています。

【問5の1】札幌市のホームページからどのような情報を入手していますか。

《問5で「2 ホームページ」と答えた方対象、三つまで複数回答》

札幌市のホームページから入手している情報は、「イベント・催し」が 43.4%と最も高く、次い

で、「ごみ・リサイクル」が 35.7%、「公共施設」が 31.1%となっています。

- 75 -

【問5の2】今後、札幌市のホームページでの情報提供において、さらに力を入れてほ

しいと感じる情報は何ですか。

《問5で「2 ホームページ」と答えた方対象、三つまで複数回答》

札幌のホームページでさらに力を入れてほしい情報は、「イベント・催し」が 27.6%と最も高く、

以下、「福祉サービス」が 23.0%、「保険・医療」が 21.9%、「子育て」と「除排雪」が 15.3%とな

っています。

【問5の3】札幌市のホームページについてどのように思いますか。

《問5で「2 ホームページ」と答えた方対象、三つまで複数回答》

札幌市のホームページに対する評価は、「情報を探すのに時間がかかる」が39.8%と最も高

く、以下、「欲しい情報が不足している」が 20.9%、「必要な情報を探しやすい」が 19.4%となっ

ています。

- 76 -

【問6】行政サービスの電子化についてどのように考えますか。

行政サービスの電子化については、「推進してもよいが、慎重に進めるべきである」が

49.7%と最も高く、次いで「推進すべきである」が 21.5%となっています。以下、「わからない」

が 13.4%、「現状で十分である」が 11.8%となっています。

【問6の1】問6でそのように回答した理由は何ですか。(三つまで複数回答)

行政サービスの電子化について、問6でそのように回答した理由は、「個人情報漏えいの不

安があるから」が 46.6%と最も高く、次いで「暮らしが便利になるから」が 41.8%となっていま

す。

- 77 -

【問6の2】どのような分野で行政サービスの電子化を推進すべきだと考えますか。

《問6で「1 推進すべきである」または「2 推進してもよいが、慎重に進めるべきである」と

回答した方対象、三つまで複数回答》

行政サービスの電子化について、推進すべき分野は、「各種手続き・申請」が 63.1%と最も

高く、以下、「税・保険料の納付」が 30.9%、「公共施設利用料や手数料などの支払い」が

25.9%、「イベント申し込み」が 24.3%となっています。

【問7】札幌市に期待する ICT活用の取組分野はどれですか。

札幌市に期待する ICT活用の取組分野は、「安全安心なまちづくり(防災・災害情報の伝達、

消防と医療の連携強化など)」が 27.9%と最も高く、次いで「行政の効率化(各種手続きの利便

性向上、業務効率化、セキュリティ強化など)」が 21.9%、「暮らしの向上(健康な暮らしの促進、

新たなワークスタイル実現など)」が 19.4%となっています。

- 78 -

【問7の1】札幌市に対して具体的にどんな取組を期待しますか。(自由記載)

この設問には 186人の方が回答しました。主な回答は次のとおりです。

問7で「1 暮らしの向上(健康な暮らしの促進、新たなワークスタイル実現など)」と回答した方の要望

ICTを活用して、イベントや催しにいろんな人が参加でき、健康につながるようにしてほし

い。 (女性/40~49歳/中央区/現業労働者)

在宅ワークができるようになれば雇用も広がるのではないか?(福祉等) (女性/50~59

歳/北区/無職・学生)

問7で「2 安全安心なまちづくり(防災・災害情報の伝達、消防と医療の連携強化など)」と回答した方の要望

災害時に誰がどこに避難しているかわかるシステム。避難所を探し回る手間を省けると良

いかなと思う。 (女性/30~39歳/白石区/パートなどで働いている主婦・主夫)

1人世帯や1人親家庭の様子を町内会や近隣住民で見て、市や区と情報を共有するなど。

(女性/30~39歳/北区/事務・技術職)

ICTが利用できない方にも情報が伝わるような工夫をお願いします。 (男性/50~59歳

/手稲区/管理職)

問7で「3 地域経済の振興(観光など様々な産業での活用、人材育成、起業等の支援など)」と回答した方の要望

観光他を外部へ広く情報発信を行い、あわせて外部から改善点等を収集するのにICTの

活用に力を入れていただきたい。 (男性/60~69歳/南区/現業労働者)

今やインターネットは老若男女使いこなしている時代ですが、そこから得ている情報はど

のような種類なのでしょうか、ほとんどが趣味、興味あることではないかと思うのですが…仕

事、資格へつなげていくうえで、若い人への支援としてICT活用の技術提供の場を設けて

人材育成につなげていけたらと思います。 (女性/50~59歳/白石区/その他)

問7で「4 コミュニティの活性化(情報の発信・共有の支援など)」と回答した方の要望

赤ちゃんや、老人など、日中働かずに家にいる人たちが集える、場所、イベント、情報など

充実してたら良いと思います。 (女性/30~39歳/白石区/家事に専念している主婦・

主夫)

市民同士がインターネット上で交流出来てその場に市の職員も参加し問題解決していくよ

うな取組 (男性/30~39歳/白石区/事務・技術職)

- 79 -

問7で「5 行政の効率化(各種手続きの利便性向上、業務効率化、セキュリティ強化など)」と回答した方の要望

申請手続等で窓口まで行く必要がある場合に、事前にネットを通じて手続を済ませられ受

け取るだけになるか、郵送してもらえると助かる。 (男性/60~69歳/北区/事務・技術

職)

現在でもさまざまな手続きがインターネット等を使い、行えるようになってきてはいるが、ま

だ認知されているとはいいがたい。また、これからさらに進む、少子化によるお年よりの増

加に対応した情報セキュリティをしっかりとしたシステムをつくらなければいけないと思いま

す。 (男性/30~39歳/清田区/現業労働者)

生活者目線で各種手続き等の効率化を目的にICT活用することで市(組織)の運営方法

を見直し、そこから生み出される稼動(資源)を生活者がより豊かな暮らしとなる方向に向

けて欲しい。 (男性/40~49歳/東区/管理職)

セキュリティ強化のためにどのような取組をしたかの報告。 (女性/20~29歳/豊平区/

無職・学生)

役所での手続き等は時間がかかるイメージが強いので、本当の意味での利便性の向上だ

ったり、業務の効率化をお願いしたいです。 (男性/30~39歳/西区/現業労働者)

個人情報漏えいに不安があり、インターネットはできれば使いたくない。個人情報を管理

でき信頼できる人材の育成をしてほしい。アナログの人が生きやすい(わかりやすい)市政

も考えてほしい。 (女性/50~59歳/東区/自由業)

問7で「6 積極的な広報(分かりやすい行政情報の提供、オープンデータ化など)」と回答した方の要望

万一の災害時におけるごみ・し尿の収集・運搬体制、処理・処分体制に関する情報提供、

市民としての協力事項を広く発信してほしい。 (男性/60~69歳/白石区/事務・技術

職)

イベントなど、正直何をしているか知らない、つまり若者への影響力がない。もっと「でしゃ

ばって」知ってもらうことが地域の向上にもつながり、人を知ることで安全安心にもつながる

と思う。 (男性/18~19歳/西区/無職・学生)

≪問7で「7 特になし」と回答した方の要望≫

電子化には反対です。 (女性/60~69歳/中央区/現業労働者)

私は自分用のパソコンを持っておりますが、インターネットはどちらかと言えば嫌いです。

高齢の方やパソコン、スマートフォンを持っていない人のことを考慮した対応を望みます。

(女性/60~69歳/手稲区/家事に専念している主婦・主夫)

- 80 -

【問8】札幌市が情報化施策を進める上で、どのような点に注意すべきだと考えますか。

(三つまで複数回答)

情報化施策を進める上で注意すべき点は、「個人情報やプライバシーの権利を保護するこ

と」が 76.3%と最も高く、以下、「高齢者や障がい者など、ICT を使いこなすことが難しい方にも

配慮すること」が 61.3%、「インターネットを利用した詐欺などの犯罪発生を防ぐこと」が 38.1%

となっています。

- 81 -

3 戦略案に対する市民意見

1.パブリックコメントの実施概要

(1) 意見募集期間

平成 28年(2016年)12月 22日(木)~平成 29年(2017年)1月 20日(金)

(2) 意見募集方法

持参、郵送、FAX、電子メール

(3) 資料公表場所

・札幌市役所本庁舎(まちづくり政策局政策企画部 ICT戦略・創造都市推進担当、

市政刊行物センター、1階ロビー)

・各区役所総務企画課広聴係

・各まちづくりセンター

・札幌市役所ホームページ

2.意見概要

(1) 意見提出者概要

・提出者数 34人

・件数 139件

年代別提出者数

年代 提出者数 提出件数

30歳代 3 9

40歳代 6 11

50歳代 8 37

60歳代 10 54

70歳代 5 20

不明 2 8

合計 34 139

手法別提出者数

手法 提出者数

持参 1

郵送 1

FAX 8

電子メール 24

合計 34

- 82 -

意見内訳

項目 意見件数

第 1章 札幌と ICT 1

第 2章 戦略策定に当たって 0

第 3章 戦略策定の背景 12

第 4章 戦略の基本方針 4

第 5章 イノベーション・プロジェクト 30

第 6章 基本施策 47

第 7章 主要事業一覧 0

第 8章 戦略の推進に向けて 3

全般に関する意見 25

その他意見 17

合計 139

- 83 -

(2) 意見概要とそれに対する市の考え方

《第 1章「札幌と ICT」に関する意見》

意見の概要 市の考え方

「2.ICT活用に係るこれまでの札幌の取組」に『「情

報結縁都市さっぽろ」を基本コンセプトとする「札

幌市情報化構想」を策定』(P1)とあるが、ICTとい

う現代ツールを使う中で、古い形で結ばれる「縁」

という言葉に違和感がある。

平成 9年(1997年)に策定した「札幌市情報化構

想」においては、地縁、血縁など従来からある縁に

加え、「情報」という「縁」でも人々が結ばれてい

る街を目指すこととし、札幌市における情報化の基

本コンセプトを「情報結縁都市さっぽろ」と表現し

ていました。

本戦略においては、第 4章において新たな基本目

標を定めています。

- 84 -

《第 3章「戦略策定の背景」に関する意見》

意見の概要 市の考え方

2045年に到来が予測されているシンギュラリテ

ィ(技術的特異点)については、学会や社会で一般

的に使われている用語であるため、人工知能の解説

の中に盛り込んでほしい。

ご意見を踏まえ、人工知能に関する脚注に追記し

ました。

<P9>

汎用人工知能が実現し,機械の知能が人間の知能を

超える時を技術的特異点(シンギュラリティ)と呼

ばれている。

オープンデータの推進は、オープンガバメント、

オープンイノベーション、地域課題の解決、市民参

画、産業振興、産学官連携など、あらゆる施策展開

に影響を及ぼすような概念と言えるので、丁寧な説

明を希望する。

具体的には、「一方、オープンデータは、ビッグ

データの一種であり、国や自治体などの公共機関が

~」(P10)とあるが、オープンデータはビッグデー

タに包含又は下位概念というものでは無いので「ビ

ッグデータの一種であり、」は不要である。

また、必ずしも「国・公共から民間へ開放」とい

うことではないので「一般には国・・・」又は「主

に国・・・」のようにした方が適当だと思う。

ご意見を踏まえ、以下のとおり修正しました。

<P10>

一方、オープンデータは、ビッグデータの一種であ

り、国や自治体などの公共機関が保有するデータを

民間に開放するもので、〜

一方、オープンデータは、主に国や自治体などの公

共機関が保有するデータを民間に開放するもので、

「行政サービスの電子化に対する考え」(P20図

表3−9)のとおり「推進してもよいが、慎重に進め

るべき」という声は前回調査よりも大きく増え、「推

進すべきである」という回答が微減したことについ

て、慎重派が増えたという見方も出来るように思え

るが、札幌市民が札幌市の情報化推進施策について

どういう見方をしていると考えているのか。

「推進すべきである」と「推進してもよいが、慎

重に進めるべきである」の合計は、平成 23年度(2011

年度)調査の 62.2%から、平成 27年度(2015年度)

調査では 71.2%に増加しており、行政サービスの電

子化推進に理解を示す市民が増加しつつも、個人情

報の保護に注意を払うべきと考える市民も多いと捉

えています。

本戦略の推進に当たっては、各事業の実施におい

て、個人情報の保護に十分配慮しながら、進めてま

いります。

- 85 -

意見の概要 市の考え方

ICT化してもインターネットや SNSの利用率が低

い高齢者へのメリットは少ないと考える。

「第 3章戦略策定の背景 5.ICTを活用する上で

の札幌の課題」の「(3)さまざまな人々や利用環境へ

の配慮」にも記載しておりますとおり、インターネ

ットなどを利用できない人などが不利益を被ること

がないよう、情報発信の手段の多様化を図ることで

必要な情報を入手し、サービスを受けられるように

対応していきます。

インターネットを利用していない人々に対する措

置・配慮は具体的にどのようにするのか。

「情報化施策で札幌市が注意すべき点」(P21図

表3−12)において、個人情報やプライバシーの権利

を保護することが最大の市民の関心事であるにも関

わらず、「リスクを恐れず、新たなコトに挑戦する

こと、そこから生まれる成果が都市としての札幌の

価値を高めています。」(P23)とあるのは市民の願

いを無視し、幸福から遠ざけるものではないのか。

(類似意見 他 3件)

ここでは「リスクを恐れず、新たなコトに挑戦す

る」を、新しい取組を進めるに当たって生じるさま

ざまな課題や困難を一つ一つ解決しながら進めてい

くという趣旨で記載しています。

ご意見を踏まえ、より分かりやすくするために以

下のとおり修正しました。

<P23>

リスクを恐れず、新たなコトに挑戦すること、~

さまざまな課題や困難に立ち向かい、新たなコトに

挑戦すること、~

なお、ICT活用全般の課題としては、「第 3章戦

略策定の背景 5.ICTを活用する上での札幌の課

題」に記載しているとおり、まちづくりに対する市

民ニーズを踏まえた ICT活用の重要性や個人情報な

どに関するセキュリティ強化、さまざまな人々や利

用環境への配慮などを挙げております。

各事業における ICTの活用に当たっては、その具

体的な活用場面に応じた問題点や課題について検討

していきます。

「札幌市民が力を入れてほしい施策・事業」(P25

図表3-15)にICT施策は入っていないのではないか。

ICTは、いわば道具であることから、市民ニーズ

を踏まえた都市計画、産業経済、環境、医療、福祉

などの他分野の施策や事業において、必要に応じた

ICT活用を検討していきます。

- 86 -

意見の概要 市の考え方

「5.ICTを活用する上での札幌市の課題」の一つ

として、「(4)オープンデータの積極的推進」(P26)

を挙げているが、平成 28年(2016年)末に成立し

た「官民データ活用推進基本法」においては、市町

村の努力義務として「官民データ活用推進基本計画」

の策定が義務付けられているが、札幌市としてどの

ように対応する予定か。

現時点での具体的な対応は未定ですが、国の動向

を注視しながら、必要に応じて対応を検討していき

ます。

オープンデータの推進に当たっては、各地方公共

団体間で共通性をもって整理・分類できるよう、一

定の基準をもって行う必要がある。札幌市は道内の

各自治体の参画を促し、周辺自治体と連携したオー

プンデータの整備について取り組むことを検討して

ほしい。

オープンデータの推進に当たっては、国や道、他

の地方自治体の取組状況も注視しながら、検討して

いきます。

いただいたご意見については、今後の施策や事業

の実施に当たっての参考とさせていただきます。

- 87 -

《第 4章「戦略の基本方針」に関する意見》

意見の概要 市の考え方

あくまで経済最優先のゴールに突っ走っているよ

うに受け止められた。もっと温もりのある、市民が

読んでホッとできる未来の描き方をしてほしい。さ

らに言えば、「1.戦略の目標」として掲げている

「Sapporo Value(札幌の価値)の創造と向上」(P28)

について、都市機能に「価値」は必要なのか。心が

伴わない価値の高まりだけを求めても、市民は「札

幌は良い街」だと思えないのではないか。

「第 4章 戦略の基本方針」においては、人々が

産み、育て、学び、働き、住み続ける街として選ば

れるに値するまちとしての札幌が持つ魅力や利点を

「価値」と表現しており、そこでは経済的な評価だ

けではなく暮らしの質の向上という観点も含んでい

ます。

本戦略においては、ICTの活用を通じて、札幌の

魅力や利点を創造し、高めていきたいと考えていま

す。

企業のための施策、人材活用は分からなくもない

が、市民のための施策が感じられない。

「第 6章 基本施策」において、特に市民生活に

関連する分野として、「暮らしの質の向上」や「安

全・安心の実現」、「多様な雇用と働き方の創造」

や「人材の育成」に取り組むこととしています。

札幌市のオープンデータカタログサイトにあるデ

ータのレベルをオープンデータの 5段階の評価指標

「5Star Open Data」の三ツ星である CSVファイルで

の提供を進めることについても何らかの指標を掲げ

るべきではないか。

公開しているデータ全体に占める機械判読可能な

形式の割合を指標として設定することは考えていま

せんが、オープンデータの推進に当たっては、利用

の要望が多いデータを優先的に機械判読可能な形式

で公開することを想定しています。

いただいたご意見については、今後の事業実施に

当たっての参考とさせていただきます。

- 88 -

意見の概要 市の考え方

SNSの利用者が増えてきているという調査結果が

あったが、個人が簡単に情報発信できるようになっ

た時代への対応に付いて、触れられていない。ICT

の活用を進めるのであれば、個人の情報発信力を生

かしていくべきである。

個人の情報発信の活用については重要だと考えて

いますので、それがより明確になるように以下のと

おり修正しました。

<P31>

○ICT活用における多様なニーズへの対応

〜ICT活用における多様な市民ニーズに柔軟に対応

していきます。

○多様な ICT活用状況への対応

〜ICT活用における多様な市民ニーズに柔軟に対応

するとともに、個人の情報発信力を生かした取組を

進めます。

<P50>

(3) 情報提供・情報発信の強化

~情報発信を強化します。

(3) 情報提供・発信及び活用の強化

~情報発信を強化します。

また、行政運営において、市民や観光客などが発信

する情報を効果的に活用する方法を検討します。

- 89 -

《第 5章「イノベーション・プロジェクト」に関する意見》

意見の概要 市の考え方

ビッグデータ、マイナンバーカードに集約される

危惧を感じて不安をおぼえる。

データの収集に当たっては個人情報及びプライバ

シーの保護に十分配慮し、事前にその目的や方法を

明らかにするとともに、結果についても公表します。

なお、各種のデータがマイナンバーカードに集約

されていくわけではありません。マイナンバーカー

ドには住所・氏名・生年月日・性別・顔写真・個人

番号といった、カードに表示されている情報は記録

されていますが、税や年金の情報、病歴などの個人

情報は記録されません。

いただいたご意見を踏まえ、今後も情報提供に努

めていきます。

チ・カ・ホでのデータ収集についてプライバシー

の侵害が危惧される。マイナンバーとのリンク、情

報の集積方法として顔認証による実証実験はやるべ

きではない。

また、実証実験はいつからいつまで行う予定か。

実施に当たっての告知方法はどのようなものか。

■チ・カ・ホでの実証実験

【開始時期】

まだ決まっていませんが、平成 29年度(2017年

度)中に開始し、平成 30年度(2018年度)まで実

施する見込みです。実施に当たっての告知は本市ホ

ームページへの掲載やチ・カ・ホにおける掲示等で

行います。なお、マイナンバーとはリンクしません。

【属性情報など情報収集の概要】

性別、年代、使用言語など特定の個人を識別する

ことができない属性情報を収集することで、属性に

応じた情報発信や案内が可能となり、市民・観光客

の利便性の向上につながります。

また、人流情報については、チ・カ・ホを通行す

る方の数や動きを把握するとともに、災害発生時に

人がどのように動いたか等の情報を把握すること

で、効果的な避難誘導に活用できると考えています。

(次ページに続く)

地下歩行空間でのセンサーによる情報収集には納

得できない。自治体がなぜ不特定多数の市民の個人

情報を取得しなければならないのか。また、どのよ

うな方法で市民に周知徹底させるのか。

(類似意見 他 1件)

「属性情報」とは何か。市民の承諾もなく実行す

るのは全体主義であり、監視社会を作るということ

ではないか。市民にはリスクしかないと考える。チ・

カ・ホでの情報収集は反対である。

(類似意見 他 1件)

- 90 -

意見の概要 市の考え方

ビッグデータの活用によって、観光客や市民の夢

を叶える理想的なサービスを仮に提供できる様にな

ったとして、それが本当に「市民の快適さ」・「暮

らしの質の向上」といった結果に結びつくか、考慮

が必要である。サービスというのは「誰がそれを行

うか」が重要であり、ビッグデータを活用したサー

ビス提供は、どこかで誰かに監視されているような

気味悪さと違和感にしかつながらならないのではな

いか。そのような町には住みたくない。

(類似意見 他 3件)

(前ページより続く)

【実施方法及び公表】

実証実験における情報の収集方法や取扱方法につ

いては、個人情報やプライバシーの保護の観点から

問題がないか、個人情報の保護等の分野の有識者に

対して、原則として公開の場において、第三者意見

を求めた上で決定します。

実証実験で整備するセンサーや収集するデータの

種類等の内容については実験開始前に公表し、市民

からの意見を伺う機会を設けるとともに、実験開始

後も分かりやすく示しながら進めていきます。

【個人情報等の取り扱い】

データの収集に当たっては、個人情報及びプライ

バシーの保護に十分配慮し、事前にその目的や方法

を明らかにするとともに、結果についても公表しま

す。

【データの運営】

集積したデータについては、セキュリティ上問題

の無い管理方法の検討を進めていきます。

(次ページに続く)

チ・カ・ホで集積されたデータはどのように運営

されるのか。「行政保有データ」と合わせて使うと

いうはどういうことか。

(類似意見 他 1件)

個人のプライバシーに関わる情報が収集されない

保証はあるか。また、収集された情報は誰でも利用

できるオープンなものにするとともに、どのような

データが収集され、どのように活用され、どのよう

な成果が得られたか公表すべき。

(類似意見 他 2件)

今回、新たにセンサー・カメラを設置すると聞く

が、事業者は事前に公開されるのか。また映りこみ

たくない通行人への配慮や通行人の「同意」はどの

ように得るのか。

全体的にデータ管理やプライバシー保護の点が弱

いのではないか。また、第三者機関による監視組織

が必要と考える。

ビッグデータ収集については市民・通行人全体の

問題でもあるから、実証実験の前に説明会を開催し

てほしい。また、ビッグデータ収集に関する市民意

見の公募を行ってほしい。

(類似意見 他 1件)

- 91 -

意見の概要 市の考え方

まずは地下歩行空間で顔認証も含めたビッグデー

タの収集・分析・利用の実証実験をし、上手くいけ

ばそれを札幌全体に広げるかのような印象を受ける

が、システム導入の初期費用と年間の維持・管理費

には、それぞれどれだけの金額が必要なのか。

また、データ収集とその通信のため、多くの電子

機器が町に取り付けられる様になると予想されるこ

とから、電磁波や光刺激に過敏な方達の健康被害と、

その対策費用も気になるがどの様に見積もられてい

るのか。

サービスを「ビッグデータの活用」で自動化する、

そのために多くの電子機器を巨額の費用で導入し、

維持するというのでなく、もっとサービスを行う

「人」そのものに投資した方が、トータルな費用が

かからず、効果的な雇用・経済振興策になるのでは

ないか。

闇雲にシステムの導入・実証実験・拡張に向かう

前に、効果とデメリット、費用をしっかりと評価し、

本パブコメだけでなく、市職員の顔の見える方法で、

広く市内各地で、市民に対して十分な説明をしてほ

しい。

(前ページより続く)

【費用】

地下歩行空間で行う実証実験については、平成 29

年度(2017年度)予算において、ICTインフラの整

備と運用費で 3,000万円を見込んでいます。

【電磁波等への対応】

各種通信機器などの電磁波については、電波法の

定めにより、国によって一元的に扱われていますの

で、その取り扱いに則って実施します。

■ビッグデータ活用の意義

ビッグデータを分析し活用することで、生活利便

性の向上や新しいサービス創出による経済の活性化

などにつながるものと考えています。

■行政保有データ

ここでいう「行政保有データ」は、札幌市が公開

している各種統計情報や施設情報などのオープンデ

ータを指しており、さまざまな分野における複数の

データを組み合わせて分析、活用を行うことを想定

しています。

センサーを使い情報収集することは、プライバシ

ー侵害なのでやめてほしい。セキュリティ対策をと

っても安全を保障できるとは思えない。

(類似意見 他 5件)

「ICT活用のショーケース」というのは、通行人

を「商品」として扱うという意味にとれて非常に不

快である。

ここでは、ICT活用の事例を体験することができ

る場所という意味で「ICT活用のショーケース」と

しています。

- 92 -

意見の概要 市の考え方

札幌市 ICT活用プラットフォームの中核となれる

「札幌国際工科大学」を設置してはどうか。

札幌市 ICT活用プラットフォームは、官民が保有

するオープンデータやビッグデータを収集、管理す

るための仕組みです。今後、学識経験者等から意見

を伺いながら、その機能や運営体制等について検討

を進めていきます。

一方で、札幌市では産学連携の取組として、北海

道大学や北海道、北海道経済連合会などからなる「北

大リサーチ&ビジネスパーク推進協議会」に参画し

ています。今後も、企業のノウハウや大学の知見を

地域の活性化に生かすことができるよう、さまざま

な機会を通じ、産学と連携しながら取り組んでいく

こととしており、現時点においては、大学を新設す

るという考えはございません。

イノベーション・プロジェクトのねらいが分かり

づらい。また、地元企業の関わりについてどのよう

に考えているのか。

第 5章イノベーションプロジェクトの目標や市内

ICT企業の関与という観点がより分かりやすくなる

ように、以下のとおり記載箇所及び記載内容を修正

しました。

<P33>

4.期待する効果

・新たなサービスの創出やそれによる利便性の向上

・イノベーション創出に取り組む民間企業や教育研

究機関等の実験的な取組の誘致

図表 5-1 イノベーション・プロジェクトのねらい

・イノベーション創出に取り組む民間企業や教育研

究機関等の実験的な取組の促進及び誘致

・市内 ICT企業等による新たなサービスの創出やそ

れによる利便性の向上

- 93 -

意見の概要 市の考え方

オープンデータの広範な活用と人材活用・育成に

よる、自助・共助的な取組の促進の観点から、以下

の趣旨の文言を追加してほしい。

「・地域の課題解決や施策展開における、市民の

積極的参画やさまざまの主体との協働の増進」

「第 6章 基本施策 3 人材の育成(教育)」に

おいても、ご意見いただいた趣旨の内容を記載して

います。

イノベーション・プロジェクトの実施に当たって

も、オープンデータの活用による市民協働の促進に

取り組んでいきます。

- 94 -

《第 6章「基本施策」に関する意見》

意見の概要 市の考え方

国の方針に乗って個人番号(マイナンバー)カー

ドの普及にいそしむ札幌市の「形・姿勢」しか見え

てこない。また「第 3章 戦略策定の背景 2.ICT

に係る国の動き (5)マイナンバーの導入」(P16)

にマイナンバーに関する記述があるが、マイナンバ

ーは日本に住民登録するすべての人につけられたの

であって「国民」だけではない。

マイナンバーカードの活用については、市民の利

便性向上という観点から、どのようなサービス提供

が適切なのかということを検討していきます。

また、ご意見を踏まえて以下のとおり修正しまし

た。

<P16>

国民一人ひとりにマイナンバーが割り当てられ、~

日本国内の住民票を有する一人ひとりにマイナンバ

ーが割り当てられ、~

マイナンバーカードについては現状でもシステム

トラブルが多発し発行も遅延するなど問題点を抱え

ている。住民にとっての安全が軽視されていると感

じる。

制度面における安全策としては、マイナンバーを

利用できる事務が法令で厳密に定められており、違

反した場合の罰則も強化されております。また、な

りすまし防止のため、マイナンバーを用いた手続き

を行う窓口では、厳格な本人確認が義務づけられて

いるところです。加えて、第三者機関である個人情

報保護委員会を設け、制度全般のマイナンバーの取

り扱いについて監視・監督することとなります。

システム面では、個人情報は一元的に管理せず、

従来どおり各行政機関ごとに分散して管理され、芋

づる式に情報が漏れることはない仕組みとなってお

ります。また、行政機関が情報をやりとりするとき

には、マイナンバーを直接用いるのではなく、別な

符号を用いることとしており、その際の通信も暗号

化されます。さらに、マイナンバーを使って行政機

関が情報をやりとりした記録を本人が確認できる仕

組みが設けられ、不正・不適切な照会・提供が行わ

れていないか自ら確かめることができるようになり

ます。

コンビニ交付などマイナンバーカードの活用を進

めているが、セキュリティ対策についてどのように

考えているか。

(類似意見 他 2件)

コンビニ交付サービスでは、セキュリティを確保

するため、多機能コピー機内にはデータが蓄積され

ない仕組みとするとともに、専用の回線によって暗

号化した通信を行うなどの対策を実施しています。

- 95 -

意見の概要 市の考え方

コンビニでは端末操作の習熟や個人情報保護の意

識付けが徹底されないため、マイナンバーカードを

レジに差し出すなど、個人情報の流出は避けられな

いと考える。

コンビニ交付サービスは、コンビニエンスストア

等に設置されている多機能コピー機で、証明書の請

求や手数料の支払いなど、すべての操作を利用者自

身が行うサービスとなっています。

住民票・印鑑証明のコンビニ交付について、市民

の利便性につながるのか非常に疑問。「費用対効果」

や特定個人情報漏えいの危険性からも非常に危惧す

る施策であり、今後国の方針に乗ってカード普及の

ために「利便性」を強化などとする拡大利用施策は

止めるべき。

コンビニ交付サービスの導入により、証明書を取

得できる時間と場所が大幅に広がることで、市民の

利便性の向上につながるものと考えております。ま

た、セキュリティを確保するため、専用のネットワ

ークを利用した暗号化による通信などの対策を実施

しています。

健康ポイント制度は、病弱者や障がい者への差別

と偏見を助長し、「障害者差別解消法」等に違反す

る。税務担当の職員以外は市民の医療情報を閲覧す

べきではない。

健康ポイント制度とは、健康づくりに関する活動

(運動や健診受診など)への参加に対して特典と交

換できるポイントの付与等を行うことにより、健康

行動のきっかけとする仕組みを想定しているもので

あり、個人の同意無しに医療情報に基づき個々人の

健康・不健康について数値化するものではありませ

ん。

「健康ポイントの付与等」とあるが、SAPICAポイ

ントへ移行できるようにすることは検討しないの

か。移行できるようになると、市民の健康づくりの

意識がより高まるのではないか。

市民の健康づくり活動を勧奨するに当たって、ど

ういった仕組みが有効なのかも含めて検討していき

ます。

いただいたご意見については、今後の施策や事業

の実施に当たっての参考とさせていただきます。

高齢者の見守りや災害時のコミュニケーションな

どを活性化するために、65歳以上で携帯電話を所有

していない世帯に無償貸与してはどうか。

高齢者の見守り等については、民生委員や民間事

業者等と連携しながら行っています。

また、災害時のコミュニケーションについては、

地域の防災活動に結び付く情報を的確に発信するた

め、各種災害への対応に有効な情報発信の充実に取

り組んでまいりたいと考えています。

現在、65歳以上で携帯電話を所有していない世帯

に無償貸与することは考えておりませんが、高齢者

の見守り等について、今後もより効果的な方法を検

討してまいります。

- 96 -

意見の概要 市の考え方

歩きスマホや駆け込み乗車が増えて危険。現状の

駅・ホーム内の案内で十分である。

地下鉄等利用者の情報アクセス向上事業では、近

年増加しているスマートフォン利用者や、外国人観

光客など、あらゆる環境においても市政情報に容易

にアクセスできるよう整備を行っているところで

す。

なお、交通局では、ポスターや放送等により、各

種マナーについてご協力をお願いしておりますが、

今後につきましても、安心してご乗車いただけるよ

う、効果的なマナー啓発を検討、実施してまいりま

す。

SAPICAカードの多目的利用として利用できる場

所をもっと増やす必要があると考えるが、①公金納

付、②救急業務における本人確認、③利用状況確認

による高齢者・子どもの見守り、④物販での交通利

用ポイント使用、については検討しないのか。また、

携帯が難しいマイナンバーカードの代替として活用

できないか。

これまで区役所などでの証明手数料や円山動物園

の入園料の支払いに SAPICAの電子マネーを導入し

たほか、市立図書館の貸出券としての機能を加えま

した。

今後は、市民生活を豊かにするために、交通、商

業、行政などの各分野における多目的な利用につい

て、マイナンバーカードの利活用との関係も含め、

検討を進めていきたいと考えております。

いただいたご意見については、今後の施策や事業

の実施に当たっての参考とさせていただきます。

遠赤外線を利用した融雪機や地下水利用の融雪層

の普及を促進してはどうか。

これまで、雪処理の検討に当たっては、環境に配

慮した熱エネルギーとして、水再生プラザの処理水

や未処理下水などを活用してきました。

いただいたご意見については、今後の施策や事業

の実施に当たっての参考とさせていただきます。

石狩市における風力発電所による低周波音や石狩

湾新港における LNG発電所による海水への温排水、

空中への排出ガスなどの環境影響に関する懸念が存

在し、札幌市の進める事業により、しわ寄せが近隣

市町村に及ぶ。次世代エネルギータウン検討事業は、

近隣市町村の犠牲の上に成り立つことがないように

してほしい。

次世代型エネルギータウン検討事業では、地下鉄

真駒内駅周辺のまちづくりにおいて、ごみ焼却排熱

による既存の熱供給ネットワークを活かした効率

的・安定的なエネルギー利活用を検討いたします。

その中で、公共施設等の効率的なエネルギー利用を

図るために ICTの活用を検討してまいります。

これら取組等を進めるにあたり、近隣市町村とも

適切な協力を図り、持続可能な社会基盤の構築に努

めてまいりたいと考えております。

- 97 -

意見の概要 市の考え方

防犯の項目については、運用者の都合で「犯罪者」

が生まれる恐れがある。また、市のデータ管理がず

さんだと、職員や市長等、公的な立場の人間の行動

が監視され、ゆすりたかりの温床になる。データの

収集・活用には反対である。

ご意見いただいた趣旨のように、防犯を目的とし

て特定の個人の行動を監視し、データ収集・活用す

る取組は行いません。

また、現時点では具体的な取組は予定していない

ことから、文言を削除しました。

市のホームページは分かりやすく情報が掲示され

ている点には課題があり、被災してから慌てること

の無いよう、平素から被災後の支援施策などについ

ても情報発信及び意識啓発を行うべきではないか。

関係各局と調整のうえ、分かりやすいホームペー

ジの掲示方法と平常時や被災後の支援施策や効果的

な情報発信、意識の啓発について検討を進めてまい

ります。

市民の一層の参画意識を醸成する視点から、以下

の趣旨の文言を追加してほしい。

「また、各町内会・地区住民などが自主的に行う

防災・防犯計画等の検討や避難行動のシミュレーシ

ョン(図上訓練)などにも有用な地図、関連施設、

ハザード情報などの地理空間情報をはじめとするオ

ープンデータの提供、普及を推進します。」

現在札幌市では、避難所やハザード情報をハザー

ドマップや防災情報マップとしてパンフレットやホ

ームページで公開しておりますが、今後は、これら

のデータをオープンデータとして提供することにつ

いても検討を進めてまいります。

札幌市のベンチャー企業支援を目的としたインフ

ラを提供してはどうか。例えば、起業から 3年間は

市が用意したクラウド環境を利用できたり、「農業

と ICTの融合」を実現するため、ドローン等で撮影

した農地情報を蓄積し、農業の効率化を図るだけで

はなく、農業従事者のノウハウ伝承に使用するなど。

本市では、官民含めてレンタルオフィスやインキ

ュベーション施設を整備するとともに、創業者向け

の低利な融資制度や相談窓口など、創業を支援する

環境の整備を進めています。今後も、企業の創業時

のニーズを踏まえ、必要な支援策を検討してまいり

ます。

また、今回いただいたご意見については、今後の

施策や事業の実施に当たって参考とさせていただき

ます。

- 98 -

意見の概要 市の考え方

SNSを活用した情報発信及び収集は今や一番手軽

なツールの一つとなっている。市内での無料 Wi-Fi

スポットの充実と充電スポットの拡充は観光を支え

る大きな魅力と考える。

札幌市では平成 27年(2015年)10月より地下鉄

駅、大通公園等において無料でインターネット接続

が可能となる「Sapporo City Wi-Fi(サッポロ・シ

ティ・ワイファイ)」を運用しており、今冬からは

札幌ドームをはじめとする市内スポーツ施設におい

てもサービス提供を開始しています。

また、平成 28年(2016年)10月からは、Sapporo

City Wi-Fiをはじめとした無料 Wi-Fiを整備する民

間施設を対象に、初期費用の補助制度を開始し、無

料 Wi-Fiスポットの拡充に努めているところです。

充電スポットに関するご意見については、検討は

行っておりませんが、今後の参考とさせていただき

ます。

プレミアム付き商品券をインターネットショッピ

ングで活用できるように電子マネー化してはどう

か。

過去に本市が発行したプレミアム付き商品券で

は、市内消費の喚起による地元経済の活性化を目的

に、利用できる店舗の所在地や利用者の居住地など

の資格要件を設定しておりました。

現在、商品券の発行予定はございませんが、電子

マネー化やインターネットショッピングでの利用を

含め、技術面・費用面の課題や地元経済への波及効

果などを検討の上、より良い制度設計につなげてま

いります。

札幌市は ICT産業を基幹産業と位置付けている。

ICTは手段であり、目的であるクリエイティブ産業

にはお金が投与されていないのではないか。

札幌市の産業振興の方向性を示した「札幌市産業

振興ビジョン改定版」では、国内外から投資を呼び

込むとともに全産業を高度化させる札幌の特徴的な

産業である IT・クリエイティブ分野を重点分野に新

たに位置付けており、今後とも積極的に振興してま

いります。

測位・地理空間情報技術(GPS・GIS)に関する文

言を追加してほしい。

ここでは、「第 4次産業革命」の代表的技術とし

て位置付けられているものとして、IoT、ビッグデー

タ・オープンデータ、人工知能を挙げています。

測位・地理空間情報技術(GPS・GIS)によって得

られる地理空間情報をオープンデータとして活用し

ていくことは官民協働による暮らしの利便性向上の

ためにも重要であると考えています。

- 99 -

意見の概要 市の考え方

ICT企業の誘致に対して市民の税金を投入するの

は反対。

ICT産業が集積し、多様な企業が競争力を高める

ことは、札幌の経済や産業振興の観点から重要と考

えております。そのためには、既存企業の振興、新

規ビジネスの創出や起業に加え、ICT企業の札幌へ

の誘致・立地を促進することも必要と認識しており

ますので、関係予算の計上に対しご理解願います。

生徒の親にタブレット端末などの購入費の負担を

強いるのは不適切である。

教育委員会が学校に整備するタブレット端末など

の機器や教材については、保護者に新たな費用の負

担を求めるものではありません。

教育は人と人との言葉が仲介となって成り立つも

のであり、効率ばかりを追求する余り、機器に頼る

ことは、教育の本筋から離れるものと思う。また、

電磁波など環境因子の影響を受けやすいのは、子ど

も達である。学校での、無線 LAN、タブレットなど

の ICTの導入は中止にしてほしい。

(類似意見 他 5件)

ICTを活用することで、分かりやすい授業や児童

生徒が主体的・協働的となる授業の実施が可能とな

る等の効果を期待して、次年度よりタブレット端末

及び無線 LANを段階的に整備することとしておりま

す。

無線 LANの使用に当たっては、健康面の配慮につい

て今後も情報収集に努め、安全・安心な教育活動が

できるよう努めてまいります。

タブレットは重く、壊れやすく、充電の必要性も

頻繁に有る。紙の教科書に比べて、頭に記憶し難い。

授業中に、教師の講義を聴かず、ネットサーフィン

に没頭する生徒が続出してしまう。

授業における学習規律(話を聞く・集中する等)

は重要であり、これまでも授業者は強く意識してき

たところです。ICT活用等においても、子どもたち

が授業に集中できる授業スタイルの確立が重要と認

識しております。

教育情報の流出について、生徒が教師の打ち込む

パスワードを読み取りさえすれば、校内のシステム

に容易に侵入でき、生徒の成績などを流出させるこ

とが可能と発覚した。

ID/パスワードを用いて本人認証を行う情報シス

テムでは、ID/パスワードの適切な管理が重要です

ので、改めて徹底するとともに、より強固な対策に

ついても検討していきます。

図書館の利用とマイナンバーカードを連動させる

ような考えがあるのであれば、思想信条の自由侵害

に結びつく可能性を考慮して、実施しないでほしい。

(類似意見 他 1件)

ご指摘の取組は予定していません。

- 100 -

意見の概要 市の考え方

ICTの活用ではなく、教育の充実こそ求められる

と思う。教員の過重労働が言われている中、ICT活

用についての教員指導研修は教員に新たな負担をか

けることであると考える。

ICT機器整備は、多くの学校備品と同様に教育環

境整備の一つとして考えており、効果的に活用する

ことで充実した教育に繋がる教員の負担減の効果も

期待できます。

なお、新たな機器の導入に当たっては、研修の実

施、マニュアルの配布、授業実践例の情報共有など、

さまざまな支援を予定しております。

(「基本施策 3 人材の育成」について)概論ば

かりで具体性に乏しく、人材が育つとは全く考えら

れない。

具体的な事業の実施に当たっては、利用者からの

ご意見を伺うなど、より効果的に実施できるよう取

り組みます。

技術がどんどん変化する時代なので、作ったホー

ムページがブラウザのバージョンアップに対応でき

ないなどといったことの無いよう、最初から考えて

対応して欲しい。

本市が設置、運営する公式ホームページにおける

各ページの統一性・一貫性を高め、利用者満足度を

向上させるため、札幌市公式ホームページに関する

基本方針とガイドラインを定めています。

対応ブラウザについてもガイドラインで定め、ホ

ームページ制作に当たって順守することとしていま

す。

市民と行政が協力し、道路の破損、落書き、街灯

の故障、不法投棄などの地域・街の課題をパソコン

やスマートフォンを使って解決・共有していくため

の仕組みである「Fix My Street」又は同等のシステ

ムを導入することを約束してほしい。

スマートフォンや SNSなどを利用して個人が主体

的に情報発信を行っている状況に柔軟に対応し、行

政運営において、市民や観光客などが発信する情報

を効果的に活用する方法を検討します。

いただいたご意見については、今後の施策や事業

の実施に当たっての参考とさせていただきます。

自治体ホームページ上での市民からの質問の受付

と回答を実施し今後の施策および改善点に役立てて

はどうか。

公式ホームページに問い合わせフォームを設けて

いるほか、札幌市コールセンターにおいて、Eメー

ルにて質問を受け付け、回答しています。また、公

式ホームページ上で、「よくある質問検索サービス」

として、寄せられた質問と回答を公開しています。

市民の利便性向上及び市役所の事務効率化のた

め、広く事務全般にわたって、電子メールをウェブ

フォーム方式に追加で選択肢の一つとして導入して

ほしい。

市民等からの申請等の受付につきましては、各業

務の内容に応じた効果的な方法を検討してまいりま

す。

市役所職員がメールを受信する際には「開封確認」

機能を有効にしてほしい。

今後、システム更改の機会などを踏まえ、検討し

ていきたいと考えています。

- 101 -

意見の概要 市の考え方

人工知能はすでに銀行のコールセンターへの導入

に向けて実証実験が行われている。札幌市のコール

センターでも人工知能の導入を検討してほしい。

(類似意見 他 1件)

市民等からの問い合わせに対して人工知能(AI)

を活用するに当たっては、市民等の満足度向上や費

用対効果などの観点から検討していきます。

家電量販店において、ロボットが顧客と会話し、

商品案内を行うなどの活用が期待されている。市役

所の窓口案内や区役所のコンシェルジュのように来

庁者への窓口対応にロボットを活用すべき。

現時点で具体的な検討は行っておりませんが、い

ただいたご意見については、今後の施策や事業の実

施に当たっての参考とさせていただきます。

情報セキュリティ対策は必要だが、対策は「いた

ちごっこ」であるため、同意を得ずに、むやみに個

人情報を紐付けるべきではない。

個人情報の取り扱いに当たっては、札幌市個人情

報保護条例に基づき、適切な対応を行っており、各

事業の実施においては、今後も個人情報の適切な取

り扱いに十分に配慮しながら進めていきます。

情報セキュリティの取組として、「LGWAN(総合行

政ネットワーク)において各種行政事務サービスを

提供する事業者及びサービス」の活用は検討しない

のか。

LGWAN上で提供されるクラウドサービスは増えつ

つあり、本市で情報システムの新規開発や更新を行

う際に、該当するサービスが存在する場合には選択

肢の一つとして検討しているところです。

検討に当たっては、業務効率化の観点で十分な機能

を備えているか、全体として費用面で有利か、など

総合的に判断しています。

平成 29年(2017年)7月に稼動開始予定のマイナ

ポータルに対する札幌市としての取組について、例

えば子育てワンストップサービスなどへの対応はど

のようなことを想定しているのか。

現時点では、子育てに関する行政サービスの検索

機能による情報提供のみを予定しています。その他

の取組については、市民ニーズや費用対効果、マイ

ナンバーカードの普及状況等を踏まえ、今後も検討

していきます。

- 102 -

《第 8章「戦略の推進に向けて」に関する意見》

意見の概要 市の考え方

(有識者からなる進捗管理体制について)有識者メ

ンバー、会議日程を公表し、会議を公開してほしい。

原則として公開することを予定しています。

事業の実施内容と個人情報の扱われ方を調査・検

討・評価し、問題があると求めたときは是正・中止

命令を出せるような、強力な権限をもつ「第三者委員

会」を設置してほしい。

(類似意見 他 1件)

本戦略の推進に当たっては「第 8章 戦略の推進

に向けて」でも記載しているとおり、有識者からな

る進捗管理体制を構築し、実施に当たっての仮説の

設定や結果の評価・検証、課題の抽出、解決に向け

た助言・提言をいただきながら進めていきます。

なお、個別事業の実施に当たっても、必要に応じ

て有識者からの意見を求めるなどしながら、適切に

取り組んでいきます。

- 103 -

《全般に関する意見》

意見の概要 市の考え方

この戦略が目指すものがどういった方向性にある

のかが分かりづらい。ICTを活用することでどうい

ったまちになることを目指していくのか。

戦略の趣旨がより明確になるように以下のとおり

修正しました。

<P6>冒頭に追記

札幌市では今後、少子高齢化の影響による人口減少

及び生産年齢人口の減少が見込まれており、それに

ともなう人手不足や経済規模の縮小が課題となりま

す。ICTを活用し、業務効率化による人手不足の解

消や生産性の向上による産業振興につなげること

で、ICT活用人材の定着や流入人口の増加も期待で

きることから、ICTの活用を推進することは極めて

重要な取組であると考えています。

<P28>

札幌全体の価値である「Sapporo Value(サッポロ

バリュー:札幌の価値)」の創造と向上につなげて

いくことを本戦略の目標とします。

札幌全体の価値である「Sapporo Value(サッポロ

バリュー:札幌の価値)」の創造と向上を目標とし、

産業の振興や暮らしの利便性向上につなげていきま

す。

国や自治体の目的は市民が幸福になること、誰も

が平穏に生きられる社会をつくることであり、ICT

戦略の結果は、企業の利益にはなるが労働者の幸福

にはつながらない。こういう事は企業の分野であっ

て国や自治体のするべきことではないと考える。

(類似意見 他 2件)

ICTの活用により、よりきめ細やかな情報提供・

発信、各種手続きの電子化による利便性の向上、内

部管理業務などの効率化により市民サービス向上へ

注力することなどを実現し、市民の暮らしの利便性

向上につながるものと考えています。

- 104 -

意見の概要 市の考え方

新しい技術の有効活用は重要だがメリットばかり

が列記され、問題点や課題について十分検討されて

いないのではないか。

(類似意見 他 2件)

ICT活用全般の課題としては、「第 3章戦略策定

の背景 5.ICTを活用する上での札幌の課題」に記

載しているとおり、まちづくりに対する市民ニーズ

を踏まえた ICT活用の重要性や個人情報などに関す

るセキュリティ強化、さまざまな人々や利用環境へ

の配慮などを挙げております。

ICTを活用することで、よりきめ細やかな情報提

供・発信や各種手続きの電子化による利便性の向上、

内部管理業務の効率化による市民サービス強化など

を実現することにより、市民の暮らしの利便性向上

につながるものと考えています。

「札幌市 ICT活用戦略」にもとづく事業により、

市民のメリットやコミュニティがどのようにできあ

がるのかが具体的に示されていない。また、「ICT

推進の流れは業界にとって大きなビジネスチャン

ス」とも言われており、オープンデータにしても、

結局はマーケティング用のデータで企業のためにな

ることが大部分であると考える。計画策定と実施に

ついて、それぞれいくらの予算を検討しているのか。

「札幌市 ICT活用戦略」の実施についての費用対効

果を示してほしい。

本戦略は、まちづくりにおける ICTの活用方針を

定める個別計画の一つです。その推進に当たっては、

各分野の具体的な施策を個別事業として実施する際

に、各年度ごとにその費用対効果も検討しながら予

算化し進めていきます。

近年、無線電磁波(携帯・携帯基地局・送電線・

スマートメーター他)により電磁波過敏症が増加し

ているそうだ。今回の札幌市の計画の公衆無線 LAN

は、市民(発症者)の行動が制限され、彼らが苦し

む事になる。経済性を優先せず、市民の健康・安全

を守ってほしい。

(類似意見 他 16件)

テレビ放送や携帯電話、Wi-Fi機器などの電磁波

については、電波法の定めにより、国によって一元

的に扱われています。

なお、札幌市では、市民から電磁波について心配

する声が寄せられているため、国に対し、電磁波の

健康への影響について、より一層の調査や研究を行

い、その結果を逐次、迅速に分かりやすい形で国民

に対し情報提供することを求めております。

- 105 -

《その他意見》

意見の概要 市の考え方

札幌市が募集するパブリックコメントは、全て「氏

名・住所・年齢・職業・性別」といった個人情報を

細かく記載しなければ受け付けられないが、匿名で

も、年齢や職業を幾つかのカテゴリーから選び、住

んでいる区のみを明記するなどすれば、パブリック

コメントを出せるよう、送信者情報の求め方を考え

てほしい。

また、こうしたパブリックコメントがどの様に反

映され、またされないのか、その扱われ方にも関心

があるため、寄せられたすべての意見を、それに対

する市の対応とともに公表してほしい。

(類似意見 他 1件)

「札幌市パブリックコメント手続に関する要綱」

第 8条第 2項において「実施機関は、前項の受付を

行うときは、市民等に対し氏名及び住所(市民等が

法人その他の団体である場合にあっては、当該団体

の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

の明示を求めるものとする。 」こととしております。

また、お寄せいただいた意見及びそれに対する市

の考え方、いただいた意見に基づき政策案を修正し

た場合はその内容についても公開することとしてい

ます。

この戦略を札幌がつくろうとしていることについ

て、市民のほとんどが知らないのではないか。この

パブリックコメントだけでは、市民の声を反映した

計画としての「札幌市 ICT活用戦略」にはならない。

「札幌市 ICT活用戦略(案)」についての説明会を各

区ごとにおこなったうえで市民の声を反映し、この

戦略を策定する必要があると思う。

(類似意見 他 3件)

本戦略は、学識経験者等からなる有識者会議にお

ける意見聴取や平成 28年(2016年)第 3回定例市

議会総務委員会への報告、今回のパブリックコメン

トによる市民からの意見聴取を経て策定していま

す。

また、本戦略の内容につきましては、今後も周知

を図っていきます。

ICTの活用は分野が多層にわたるため、今回のパ

ブリックコメントだけではなく、今後も分野別に意

見聴取を行うべき。

(類似意見 他 1件)

本戦略に関するパブリックコメントは今回のみの

実施です。

具体的な事業の実施に当たっては、利用者からの

ご意見を伺うなど、より効果的に実施できるよう取

り組みます。

市民の意見は、計画書の冊子で紹介するだけで、

提案に反映されることは無いのか。

本戦略の策定に当たっては、いただいたご意見を

考慮した上で、決定しています。

「戦略」という戦争をイメージさせる言葉はとて

も違和感がある。方針や計画など他の言葉に変えて

ほしい。

(類似意見 他 1件)

「戦略」という表現は、さまざまな課題に対して、

選択と集中の考え方などにより、立ち向かい、進む

べき方向性を定めることを簡潔に表したものです。

本戦略の策定に当たって、どこかの自治体を参考

にしたのか、あるいは特定の事業者が作成している

ように感じる。

本戦略の作成に当たっては、さまざまな事例を参

考にするとともに、有識者からなる策定検討委員会

でいただいた意見及び庁内議論を踏まえて作成しま

した。

- 106 -

意見の概要 市の考え方

資料全体の年号の表記がばらばらで理解しづら

い。

ご意見を踏まえ修正しました。

カタカナ語が多く、欄外の言葉の説明はありがた

いが、特に老眼の市民には内容ともども配慮が感じ

られない。

ご意見を踏まえ注釈については、より見やすいよ

うに、巻末にも文字を大きくして記載しました。

札幌市のホームページがハッカー・サイバー攻撃

を受けたことがあると聞くが、その際の対応はどう

だったのか。

平成 28年(2016年)6月に、サーバーにウイルス

を送りつける不正通信が試みられ、公式ホームペー

ジの一部サイトを閉鎖する事案が発生しました。

その際には、ホームページの所管部門と情報シス

テム部門を中心に、セキュリティ業者や保守業者等

の協力を得ながら、事態の対応にあたりました。

確認・検証の結果、ウイルスは正しく駆除できて

いて、他に影響が及んでいなかったことから、一週

間程度で復旧しています。

屋外のイルミネーション、ビルの壁についている

大きなモニターはまぶしく、道路でも大音響で音が

常に流れていてやかましく、下品な街になり下がっ

ていると感じる。

屋外のイルミネーションやモニターについては、

札幌市屋外広告物条例や札幌市都市景観条例に基づ

く許可や届出が必要な場合があり、その際には、設

置できる数や大きさ、デザインなどの基準を設けて

います。

なお、モニターから流れる音など屋外での音環境

については、札幌市生活環境の確保に関する条例に

より、音量や時間帯の基準を設けています。

感覚的に敏感と思われる多数の動物がいる動物園

では、エネファームなどの機器の使用は止めたほう

がよい。

エネファームについては、獣舎から最も離れてい

る動物園センターの裏手(円山球場側)に設置して

おり、屋外には燃料電池を格納した装置を設置して

います。

この装置は、建物等の遮蔽物や離隔距離により稼

働時のごく微弱な音量・振動が十分に減衰して各獣

舎まで届かない場所にあり、動物への影響はありま

せん。

- 107 -

4 用語集

NO 語句 解 説

1 スマートフォン 一般的な携帯電話にパソコンや携帯情報機器としての機能が追加されたもの。

2 タブレット型端末 パソコンのようなキーボードからではなく、液晶画面にタッチすることで操作

する端末機器で、携帯電話(スマートフォン)よりも大型のもの。

3 ICT(情報通信技

術)

インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーの略。情報

や通信に関連する科学技術の総称。IT(インフォメーション・テクノロジー)

もほぼ同義として用いられる。

4 付加価値 生産過程で新たに付け加えられる価値。総生産額から原材料費と機械設備など

の減価償却分を差し引いたもの。

5 通信インフラ

社会基盤として敷設、運用される通信回線や通信機器、施設などの総体。電話

回線(メタル回線)網や光ファイバー回線網、携帯電話基地局、通信会社の拠

点施設、集線装置や交換機などが含まれる。

6 コールセンター

電話とコンピューターの機能を統合し、商品の受注処理や問い合わせ対応など

さまざまな電話関連サービスを行う設備または施設。オペレーターが直接応対

するほか、自動音声応答装置による業務も行われている。

7 イントラネット インターネットの仕組みを利用し、特定のエリアと組織内メンバーなどの限定

されたユーザーのみを対象として構築されたネットワークのこと。

8 システム監査

企業・自治体などの組織体の情報システムを対象にした監査のこと。情報シス

テムの開発・運用・利用の状況を、それに関わる当事者からは独立した第三者

が客観的な立場から点検・評価して、関係者に対して報告する。

9 ブログ Weblog(ウェブログ)の略。ホームページよりも簡単に個人のページを作成し、

公開できる。個人的な日記や個人のニュースサイト等が作成・公開されている。

10 情報エレクトロニ

クス 情報工学、通信工学、電気・電子工学など。

11 ベンチャー ベンチャー企業の略称。一般的には革新的な技術やビジネスモデルを用いて新

しい事業を興す成長志向の企業のことを指す。

12 札幌テクノパーク IT 関連産業を育成することを目的に、札幌市が厚別区に整備したソフトウェア

研究開発型の産業団地。

13 札幌市エレクトロ

ニクスセンター

「札幌テクノパーク」の中核施設として、昭和 61 年(1986 年)に開設。立地

企業のサポート、技術者の交流や企業の技術連携支援、高度 IT 人材の育成、市

内 IT 企業のグローバル化促進などが行われている。

14 シリコンバレー

アメリカ合衆国,カリフォルニア州サンフランシスコ湾南岸のサンノゼ周辺一

帯の通称。数多くのコンピューター関連企業が集まっており、米国のみならず

世界中の情報通信産業の中心地となっている。

15 サッポロバレー

札幌には 1980年代から ICT関連企業が多数集積し、ICT関連産業は札幌を代表

する産業へと成長した。この企業集積は、米国のシリコンバレーに倣い、「サ

ッポロバレー」と称されることなった。斬新な商品やサービスを開発するベン

チャー企業の出現が相次いだことから、こうしたベンチャー企業の出現と集積

を指して「サッポロバレー」と呼ぶ場合もある。

- 108 -

NO 語句 解 説

16 コンテンツ 文字、音楽、画像、映像、またはそれらを組み合わせた情報の集合のこと。

17 札幌市産業振興ビ

ジョン 札幌の産業振興の目指すべき姿やその実現に向けた方向性を示した計画。

18 クリエイティブ産

ここでは、個人の創造性や技能・才能に由来し、また、知的財産権の開発を通じ

て富と雇用を創造し得る産業をいう。

19 クリエイター 創造的な仕事をしている人。創作家。制作者。

20 札幌市デジタル創造

プラザ

(インタークロス・

クリエイティブ・セ

ンター)

コンテンツ産業の振興を目的として、クリエイターや企業などの新たなビジネス

の創出を支援する施設。

21 札幌国際短編映画

平成 18年(2006年)から映像産業振興を目的として、札幌市と実行委員会の主

催により開催。世界各国から応募された作品を上映するとともに、映像作品の放

映権等の権利関係の商談、売買が可能なマーケットを併設する。

22 インタラクティブ ここでは、最新技術から人工知能などの研究分野までを含む ICT 先端技術の意

味。

23 No Maps

札幌を世界屈指の創造的なまちにすることを目標に、平成 29年(2017年)から

開催される国際複合コンベンション。「映画」、「音楽」、「インタラクティブ

(IT先端技術など)」の 3分野から構成される。

24 Webコンテンツ Webサイト(ホームページ)上で公開された文書、データ、画像、音楽、映像等

の内容、または Webサイトそのものを指す。

25 モバイルコンテン

インターネット接続が可能なモバイル端末(スマートフォン、タブレット端末等)

用に最適化し提供されているウェブサイトサービスのこと。

26 ユネスコ創造都市

ネットワーク

創造的・文化的な産業の育成・強化によって都市の活性化を目指す世界の各都市

が、国際的な連携・相互交流を行うことを支援する枠組で、文化の多様性の保護

を重視するユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が平成 16 年(2004年)に創

設。

27 メディアアーツ

ユネスコ創造都市ネットワークの登録分野の一つで、デジタル技術などを用いた

新しい芸術表現。映像、演劇・舞踊(パフォーミングアーツ)なども含む幅広い

表現であり、創造的な産業にも波及する概念。

28 ビッグデータ

ICTの進展により生成・収集・蓄積等が可能になる多種多様なデータで、市販さ

れているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理

することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物。

29 オープンデータ

インターネットなどを通じて誰でも自由に入手し、利用・再配布できるデータの

総称。一般には政府や自治体が保有するデータのうち、機械判読に適したデータ

形式で、二次利用が可能な利用ルールで公開され、人手を多くかけずにデータの

二次利用を可能とするもののこと。

- 109 -

NO 語句 解 説

30 IoT(Internet of

Things)

Internet of Things の略で、「モノのインターネット」と呼ばれる。自動車、

家電、ロボット、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のや

りとりをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな

付加価値を生み出す。

31 サーバー

ネットワーク上でサービスや情報を提供するコンピューター。インターネットで

はウェブサーバー、DNS サーバー、メールサーバー等があり、ネットワークで発

生するさまざまな業務を内容に応じて分担し、集中的に処理する。

32 クラウドコンピュ

ーティング

データサービスやインターネット技術等が、ネットワーク上にあるサーバー群

(クラウド(雲))にあり、ユーザーは今までのように自分のコンピューターで

データを加工・保存することなく、「どこからでも、必要な時に、必要な機能だ

け」利用することができる新しいコンピューター・ネットワークの利用形態。

33

札幌市まちづくり

戦略ビジョン・ア

クションプラン

2015

上位計画「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を実現するための「中期実施計画」

として、札幌市の行財政運営や予算編成の指針となるものであり、平成 27~31

年度(2015~2019年度)までの 5年間を計画期間とする。

34 日 本 再 興 戦 略

2016

国の成長戦略の第二ステージとして平成 28年度(2016年度)に公表された戦略。

名目 GDP600 兆円の達成を目標としており、ICT の活用を基本とする第 4 次産業

革命を成長の鍵と位置付けている。

35 第 4次産業革命

IoT(Internet of Things)、ビッグデータ・オープンデータ、人工知能(AI)

といった ICT技術が使われることで、ものづくりやサービス、私たちの生活が劇

的に変化すると予想される社会現象。

36 人工知能(AI)

人工的にコンピューター上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、

あるいははそのための一連の基礎技術を指す。AI(Artificial Intelligence)と

略す。汎用人工知能が実現し、機械の知能が人間の知能を越える時を技術的特異

点(シンギュラリティ)と呼ばれている。

37 インダストリー

4.0

製造業の高度化に向け、ドイツが国をあげて取り組んでいる戦略的プロジェク

ト。IoTを国家レベルで推進し、製造業を高度にデジタル化することにより、製

造業の仕組みを根本的に変えるとともに、消費者の要求に応え、コストを大幅に

削減することを主眼に置いた取組である。

38 モバイル端末 小型軽量で持ち運ぶことができる情報端末装置のこと。スマートフォン、タブレ

ット型端末、小型ノートパソコンなど。

39 地理空間情報 位置情報または位置情報に結びつけられた情報を意味し、それらを地図上に表現

すること等により、さまざまな形で利用される。

40

札幌市 ICT 活用プ

ラットフォーム検

討会

オープンデータやビッグデータを活用するためのシステム基盤及び産学官の連

携体制の確立に向け、札幌市が平成 28年(2016年)に開設した検討会。スポー

ツ、観光、交通などの具体的な分野における新たなモデルの構築により、先進的

な ICT活用都市の実現を目指している。

41 モバイルワーク 決められたオフィスではなく、時間や場所に縛られず、ICT(情報通信技術)を

活用して柔軟に働く形態。

- 110 -

NO 語句 解 説

42 ソーシャルメディ

インターネットを利用して個人間のコミュニケーションを促進するサービスの

総称。SNS、ブログなど。

43 アプリケーション

作業の目的に応じて使うソフトウェア。「アプリ」と略す呼び方が一般的になっ

ている。パソコンではワープロ・ソフト、表計算ソフト、ウェブブラウザ、メー

ルソフト、画像編集ソフトなどが、スマートフォンやタブレットではコミュニケ

ーション、動画・音楽視聴、地図・ナビゲーション、電子書籍、ネットショッピ

ング、ゲーム用のアプリなどが代表的。

44 モバイルファース

スマートフォンやタブレット型端末などのモバイル機器向けのソフトウェアや

サービスを、パソコン向けよりも先行して開発もしくは同時に開発すること。

45 ロボットセンサー ロボットを正しく制御するために必要な計測機能を実現する要素。

46 技術的ブレークス

ルー 技術的な課題を打破し、新しい技術の開発や革新を図ること。

47 ICT スマートタウ

ン先行モデル

総務省が推進しているモデル事業で、ICTの活用により、災害に強い街づくり、

地域が複合的に抱える諸課題の解決、経済の活性化・雇用の創出、国際社会への

貢献・国際競争力の強化等を目的としている。

48 センサーネットワ

ーク

部屋、工場、道路など、至る所に埋め込まれたセンサーが周囲の環境を検知し、

当該情報がユーザーや制御機器にフィードバックされるネットワーク。

49 共通 ID 個人がさまざまなサービスを受ける場合、共通の番号で公的個人認証を受け、サ

ービスを受ける仕組み。

50 ワイヤレスネット

ワーク 無線を活用してコンピューター同士を接続し、情報をやりとりする仕組み。

51 フ ィ ン テ ッ ク

(Fintech) ICTを活用して革新的な金融サービスや金融商品を生み出す取組。

52 イノベーション

新しい方法、仕組み、習慣などを導入することをいい、新製品の開発や生産方法

の改良、新しい資源や原料の開発、組織体制の改変などにより、新しい価値を生

み出すこと。

53 エコシステム

異なる構成要素によって良好な環境を維持させている自然界の生態系のように、

企業、大学、研究機関等が連携し、各々が持つ技術や強みを生かしながら新たな

サービスや商品を開発・提供することで共存共栄していく仕組み。

54

札幌市 IoT イノベ

ーション推進コン

ソーシアム

北海道内の大学の最先端かつ広範な研究開発と意欲的な IT 企業群という二つの

札幌の強みを融合し、人工知能や ICT の金融への応用(Fintech)といった先端

技術を活用したイノベーションの創出と相互発展を目的に平成 28年(2016年)

に発足した産学官連携組織。

55 マイナンバー 日本国内に住民票を有する一人ひとりに割り当てられる 12 桁の番号で、税、年

金、雇用保険などの手続きの際に活用される。

56

SNS(ソーシャル・

ネットワーキン

グ・サービス)

インターネット上でのメッセージのやり取りなどを通じて、人と人との交流を広

げていくサービス。

- 111 -

NO 語句 解 説

57 LINE スマートフォンやパソコンなどで、異なる通信会社同士でも無料で通話やメール

のやりとりができるサービス。

58 Facebook インターネット上で自分の経歴を載せ、記事を投稿したり、他の会員が投稿した

記事にコメントしたりすることで、人との交流を広げられるサービス。

59 Twitter 個々のユーザーが「ツイート」 (tweet) と呼ばれる 140 文字以内の「つぶや

き」を投稿し、そのユーザーをフォローしているユーザーが閲覧できるサービス。

60 札幌市市政世論調

札幌市が市政や市民生活に関して、市民の意識、関心要望の傾向などを推定し、

市政執行の参考とするために毎年実施している調査。

61 フロンティア精神 開拓者精神。

62 実証実験のフィー

ルド 実証実験を行う場。

63 活用スキル ここでは「ICTを活用する能力」をいう。

64 札幌市情報セキュ

リティポリシー

札幌市が所有する情報資産に関する情報セキュリティ対策について取りまとめ

た基本ルール。

65 ガイドライン

ここでは、札幌市が設置、運営する公式ホームページにおける各ページの統一

性・一貫性を高め、利用者満足度を向上させるために定めた札幌市公式ホームペ

ージの作成・運用に関する統一基準をいう。

66 ウェブアクセシビ

リティ

高齢者や障害者といった、ホームページ等の利用になんらかの制約があったり利

用に不慣れな人々を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支

障なく利用できること。

67 ユニバーサルデザ

イン

個人差を問わず、より多くの人に利用しやすい製品・施設・環境・サービス・情

報を提供するという考え方。

68 JIS規格

日本工業規格。日本工業規格 JIS X 8341-3:2010が平成 22年(2010年)に改正

公示され、これに伴い改定された総務省「みんなの公共サイト運用モデル(2010

年度改定版)」により、国及び地方公共団体等の公的機関に対し JISに対応した

ホームページとするための取組が求められた。札幌市のウェブアクセシビリティ

方針は、JISに対応して策定されたものである。

69 トップランナー ここでは、札幌が全国に先駆けて ICT活用の先頭を走る存在となることを意味し

ている。

70 ワンストップ窓口 複数の手続きや申請を 1ヵ所で受け付け、対応できるように開設された窓口。

71 マーケティング

企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービ

スを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」

の全てを表す概念。

- 112 -

NO 語句 解 説

72 公衆無線 LAN 駅や空港などの公共施設や飲食店などで、ケーブルがなくてもインターネットに

接続できる仕組み。

73 GPS Global Positioning System の略。全地球測位システム。人工衛星を利用して、

利用者の地球上における現在位置を正確に把握するシステム。

74 スマートコミュニ

ティ

電力、水、交通・物流、医療、情報など、あらゆるインフラの統合的な管理・最

適制御を実現した次世代のコミュニティ。

75 エネルギーマネジ

メント

ICTを活用して、家庭・オフィスビル・工場などのエネルギー(電気・ガス等)

の使用状況をリアルタイムに把握・管理し、最適化するシステム。

76 SAPICA 札幌圏の地下鉄・バス・市電で乗車券として利用できる ICカード。SAPICAのロ

ゴマークのある店舗や自動販売機などで電子マネーとしても利用できる。

77 ハッカソン ソフトウェア開発者が、一定期間に集中してプログラムの開発やサービスの考案

などの共同作業を行い、その技能やアイデアを競う催し。

78 フィードバック 結果を伝達すること。

79 サービスイン サービスの供用を開始すること。

80 UIJターン

大都市圏の居住者が地方に移住する動きの総称。Uターンは出身地に戻る形態、

Jターンは出身地の近くの地方都市に移住する形態、Iターンは出身地以外の地

方へ移住する形態を指す。

81 テレワーク

ICT を活用し、場所と時間を有効に活用できる柔軟な働き方。企業等に勤務する

被雇用者が行う雇用型テレワーク(例:住宅勤務、モバイルワーク、サテライト

オフィス等での勤務)と、個人事業者・小規模事業者等が行う自営型テレワーク

(例:SOHO、住宅ワーク)に大別される。

82 インターンシップ 高い職業意識の育成や就職後の職場への適応力の向上を図るため、学生が企業等

において一定期間実習・研修的な就業体験をする制度。

83 ビジネスパーソン 性別を問わず、働く人全般を指す。実業家、経営者、会社員、事務員など。

84 コワーキング 各個人が独立して働きつつも、働く場所を共有することで、アイデアや情報を交

換し、協働して新たなビジネスを生み出していく仕事の仕方。

85 情報モラル

人が情報を扱う上で求められる道徳。特に、情報機器や通信ネットワークを通じ

て他者と情報をやりとりするにあたり、他者や自らを害することが無いよう身に

付けるべき基本的な態度や考え方のこと。

- 113 -

NO 語句 解 説

86 デジタル教科書

デジタル機器や情報端末向けの教材のうち、既存の教科書の内容と、それを閲覧

するためのソフトウェアに加え、編集移動、追加、削除などの基本機能を備える

もの。

87 プログラミング教

コンピューター言語としてのプログラムに触れるだけでなく、論理思考や問題に

ついて考え抜く力の養成を目的に、文部部科学省は平成 32年(2020年)から小

学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表した。

88 バスロケーション

システム

GPS(全地球測位システム)等を用いてバスの位置情報を収集し、携帯端末やパ

ソコン等にバスの運行情報を提供するシステム。

89 リーフレット 宣伝・広告・案内・説明などのために、1枚の紙に刷られた印刷物。

90 グローバル化

ヒト、モノ、カネ、情報の国境を越えた移動が地球規模で盛んになり、政治や経

済などさまざまな分野での境界線がなくなることで、相互依存の関係が深まって

いく現象。

91 IBプログラム

国際バカロレア機構(IBO)が定める、異文化に対する理解と尊敬を通じて、平

和でよりよい世界の実現のために貢献する、探求心、知識、思いやりのある若者

の育成などを目的とした国際的な教育プログラム。

92 課題探求的な学習 児童生徒自らが疑問や課題を持ち、主体的に解決する学習