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資料3-4-2 平成 23 年 7 月 12 日 火力部会資料 JFE千葉西発電所更新・移設計画に係る 環境影響評価準備書 補 足 説 明 資 料 平成23年7月 JFEスチール株式会社

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資料3-4-2

平成 23 年 7 月 12 日 火力部会資料

JFE千葉西発電所更新・移設計画に係る

環境影響評価準備書

補 足 説 明 資 料

平成23年7月

JFEスチール株式会社

補足説明資料目次

1.5号機の硫黄酸化物及び窒素酸化物の排出濃度について .................... 1

2.ISC モデルによる建物ダウンウォッシュの判定について .................... 2

3.千葉市の二酸化窒素に係る環境目標値について............................ 5

4.温水層厚さ 5mの場合の拡散予測結果について............................. 6

5.現状における温排水拡散範囲の実測結果と予測結果の比較について.......... 13

6.付着生物防止剤の管理方法及び水質の監視方法について.................... 20

7.緑化計画の見直しについて ............................................. 21

8.二酸化炭素の環境保全対策について...................................... 22

<説明済み>

<大気環境>

1.上層気象観測結果の代表性の確認について................................ 23

2.5号機運転開始前における 4号機の煙突ダウンウォッシュ予測結果について .. 26

3.将来 3号機稼働時の煙突ダウンウォッシュ予測結果について................ 28

4.将来の既設煙突における煙突ダウンウォッシュの年平均値への影響について.. 29

5.寒川小学校測定局の将来濃度予測結果に対する影響について................ 30

6.逆転層の突き抜け判定における逆転層の区分について...................... 31

7.上層の逆転層中に排煙が放出された場合について.......................... 36

8.内部境界層の設定方法について.......................................... 37

9.乱流による内部境界層の把握について.................................... 40

10.内部境界層フュミゲーションにおける上昇過程の考慮について............ 48

11.建設機械の稼働に伴う騒音の予測値の違いについて...................... 50

<水環境>

12.水質予測手法について ............................................... 53

13.水質予測濃度の違いについて.......................................... 54

14.周辺海域における青潮の発生状況について.............................. 55

15.本事業単独での温排水拡散予測結果について............................ 56

16.海生生物調査点と温排水拡散予測範囲について.......................... 58

17.泊地の温排水拡散範囲について........................................ 59

<景観>

18.西発電所 既設煙突の塗り替えについて................................. 64

<温室効果ガス等>

19.二酸化炭素年間排出量の算定における 2号機の扱いについて.............. 65

20.4・5 号機の二酸化炭素排出原単位の差異について ........................ 66

21.発電所熱精算について ............................................... 68

22.5号機ガスタービンの入口温度改修について ............................ 69

-1-

1. 5号機の硫黄酸化物及び窒素酸化物の排出濃度について

本事業では、既設のコンバインド発電所の設備を移設して西発電所 5 号機とする計画ですが、硫

黄酸化物及び窒素酸化物の排出濃度は現状と将来で変わりません。

発電所で燃料として使用する副生ガス(コークス炉ガス)は、製鉄所において脱硫を行い、硫黄分を

低減させています。既設のコンバインド発電所の設備移設後も燃料性状、使用量に変更はありません。

窒素酸化物の排出濃度は、定格運転時は 5ppm 程度ですが、起動時の高濃度を加味し 10ppm と

しております。既設のコンバインド発電所の移設に当たり、排煙脱硝装置(脱硝効率 90%)も併せて移

設します。

参考に、副生ガスを燃料とするガスタービンコンバインド発電設備の排出濃度を、他事例と比較した

結果を表-1 に示します。

表-1 排出濃度の比較

(単位:ppm)

項 目

JFE 千葉西発電所

5 号機

(コンバインド発電所)

君津共同発電所

6 号機

鹿島共同発電所

5 号機

硫黄酸化物 13 16.1 20

窒素酸化物 10 6 (10) 11

JFE:コンバインド発電所の数値は、経済産業省への届出、千葉県・千葉市との公害防止協定値であり最大

値である。

君津:施設別最大(最大値)。( )内は部分負荷時の最大値。

鹿島:製鉄所の設備点検等の影響により、供給される副生ガスの性状が通常時よりも悪くなる場合の値であ

り、通常時はこの値を下回る運転とする計画である。

硫黄酸化物の排出濃度:JFE;実 O2 濃度。君津;湿りガスベース。鹿島;記載なし。

窒素酸化物の排出濃度:乾きガスベースで 16%の換算値。

「君津共同発電所 6 号機増設計画 環境影響評価書」(君津共同火力株式会社、平成 22 年)

「鹿島共同発電所 5 号機設置計画 環境影響評価書」(鹿島共同火力株式会社、平成 22 年)

より作成

-2-

2. ISCモデルによる建物ダウンウォッシュの判定について

新設煙突の高さは、建物ダウンウォッシュを発生させない高さとなるよう、ISC モデルの判定の結果から

190mとしました。その判定の経緯は以下のとおりです。

西発電所の近くに、高さ 100m、幅 60m のガスホルダーが存在していることから、方法書提出前に、

建物ダウンウォッシュの影響について検討いたしました。建物ダウンウォッシュの発生に係る検討は、

米国 EPA が開発した ISC モデルにおいて行われている判定方法を用いました。予測手順は、図-1

に示すとおりです。

「①建物と煙突の位置の判定」において、建物ダウンウォッシュを発生させないためには新設煙突を

ガスホルダーから 5Lb=300m より遠くに配置する必要がありますが、敷地の制約上、この距離を確保

することができません(図-2 参照)。

そのため「②建物と煙突の高さの判定」において建物ダウンウォッシュを発生させない煙突高さを確

認した結果、190m 以上の煙突であれば建物ダウンウォッシュを回避することができます。

建物ダウンウォッシュを発生させないこと、また景観上の観点から煙突の高さを抑えることにも配慮し、

新設煙突の高さを 190mとすることといたしました。

なお、ガスホルダーの寸法は、正確には高さ 98.5m、幅 59.8m であるため、ISC モデルの「②建物と

煙突の高さの判定」の結果は、190m(煙突高さ)>188.2mとなります。

また、新設煙突の建設において、高さ 190mを下回らないよう施工管理をする計画です。

図-1 ISC モデルによる建物ダウンウォッシュの予測手順

建物と煙突の

位置の判定

建物と煙突の

高さの判定

煙突が十分に高い

煙突が十分に離れている

H0≧Hb+1.5Lb

煙突が建物の風上側:2Lb、風下側:5Lb より離れている

H0<Hb+1.5Lb

H0 :煙突の実高さ(m)

Hb :建物の高さ(=100m)

Lb :建物の高さと幅の小さいほう(=60m)

着地濃度

ISC モデルによる計算

H0≧100+1.5×60=190m

5Lb=5×60=300m

-3-

図-2 建

物及び

煙突位置

ガス

ホル

ダー

新設

煙突 L

b = 6

0 m

1:2,500

050

100m

①建

物と

煙突

の位

置の

判定

煙突

位置

が建

物よ

り 5L

b = 3

00 m

より

離れ

てい

れば

、ダ

ウン

ウォ

ッシ

ュ発

生し

ない

海域

海域

②建

物と

煙突

の高

さの

判定

煙突

がガ

スホ

ルダ

ーの

周囲

5L

b(=

300m

)以

内に

位置

する

とき

煙突

高さ

H0≧

Hb+

1.5L

b=100+

1.5

×60=

190m

であ

れば

、ダ

ウン

ウォ

ッシ

ュ発

生し

ない

Hb = 1

00 m

-3-

-4-

【参 考】

本事業において新設煙突の高さは、ISC モデルの判定式により建物ダウンウォッシュを発生させな

い高さとして 190mを計画していますが、仮に煙突の高さが低く、建物ダウンウォッシュが発生した場合

の濃度について、ISC3 モデルで計算を行った結果は、以下に示すとおりです。

最大着地濃度は、煙突高さ 190m(建物ダウンウォッシュ発生なし)のとき 0.00068ppm、煙突高さ

185m(建物ダウンウォッシュ発生)のとき 0.00078ppm、煙突高さ 180m(建物ダウンウォッシュ発生)のと

き 0.00081ppm、煙突高さ 150m(建物ダウンウォッシュ発生)のとき 0.00096ppm となります。

表-1 計算諸元

項 目 単 位 諸 元

煙突高さ m 190 185 180 150

排出ガス量(湿り) 103m3N/h 2,958

煙突出口ガス温度 ℃ 142

排ガス速度 m/s 30

窒素酸化物排出量 m3N/h 35.8

気 温 ℃ 15

上層の大気安定度 - C

地上風速 m/s 8.0

対象建物高さ m 100

対象建物の幅 m 60

注:硫黄酸化物排出量(34.47m3N/h)は窒素酸化物排出量(35.8m3N/h)よりも

小さいため割愛。

表-2 ISC3 モデルによる計算結果(窒素酸化物)

煙突高さ 風 速(m/s) 有効煙突高さ 最大着地濃度 最大着地濃度

出現距離

(m) 地 上 煙突頭頂部 (m) (ppm) (km)

190(建物 DW 発生なし) 8.0 14.4 378 0.00068 5.0

185(建物 DW 発生) 8.0 14.3 374 0.00078 4.3

180(建物 DW 発生) 8.0 14.3 370 0.00081 4.3

150(建物 DW 発生) 8.0 13.8 347 0.00096 3.8

図-1 ISC3 モデルによる計算結果(窒素酸化物)

0.0000

0.0001

0.0002

0.0003

0.0004

0.0005

0.0006

0.0007

0.0008

0.0009

0.0010

0 5 10 15 20

煙源からの距離(km)

着地

濃度

(ppm

煙突高さ 150m(建物DW発生)

煙突高さ 180m(建物DW発生)

煙突高さ 185m(建物DW発生)

煙突高さ 190m(建物DW発生なし)

-5-

3. 千葉市の二酸化窒素に係る環境目標値について

千葉市の二酸化窒素に係る環境目標値について、準備書では表-1 のように記載いたしましたが、本

年 4 月(準備書提出後)に表-2 のように見直されました。

表-1 千葉市の環境目標値

項 目 目 標 値

二 酸 化 窒 素

1 時 間 値 の 1 日 平 均 値 が 0.04ppm 以 下 であること。ただし当 面 は、1時 間

値 の 1 日 平 均 値 が 0.04ppm から 0.06ppm までのゾーン内 、またはそれ以 下

であること。

(準備書p.3.2-24)

〔出典:「千葉市環境基本計画」(千葉市、平成 8 年 4 月)〕

表-2 千葉市の環境目標値

項 目 目 標 値

二 酸 化 窒 素 1 時 間 値 の 1 日 平 均 値 が 0.04ppm 以 下 であること。

〔出典:「千葉市環境基本計画」(千葉市、平成 23 年 4 月)〕

-6-

4. 温水層厚さ5mの場合の拡散予測結果について

温排水の拡散予測において、温水層の厚さを 3mと設定していますが、水温の現地調査結果から温

水層厚さがやや厚い場合も考えられるため、温水層の厚さ 5mについても拡散予測を実施しました。

検討ケースは、本事業単独での温排水拡散予測と、東電千葉火力発電所及び五井火力発電所との

温排水重畳拡散予測の 2 ケースです。

予測の結果は以下のとおりです。

1. 準備書における温水層厚さの設定

水温の現地調査結果から、冬季の放水口近傍の水温鉛直分布を整理した結果は図-1 に示すとお

りです(準備書 p8.1.2-131 に掲載)。

これによれば、温水層の厚さは 3m程度からやや厚めの分布となっていますが、温排水の拡散範囲

が水平的に広がりやすく、安全側の評価ができるように、準備書の温排水拡散予測では温水層の厚さ

は 3m に設定しました。

図-1 放水口近傍域における水温鉛直分布形

注:1.図中の細線は、水温調査地点のうち冬季の放水

口近傍域における無次元化水温分布である。

ここで、

:調査地点の深さzにおける

無次元化水温

:調査地点の深さzにおける水温(℃)

:調査地点における表層水温(℃)

:環境場の水温(℃)

2.図中の太線は、温水層の厚さを 3m とした場合

の鉛直分布形である。

ここで、

:温水層の厚さ(m)

:海面からの深さ(m)

2. 本事業単独予測結果の比較

温水層厚さの設定による予測結果の違いを把握するために、温水層厚さを 3mに設定した場合と 5

mに設定した場合の、本事業単独の条件における温排水拡散予測結果の比較を表-1 及び図-2 に示

します。

温水層厚さを 5mに設定することにより、海面及び海面下 1mでは拡散面積が減少、海面下 2mで

は増加する結果となっています。

)z(T

)z(To

( )Hw

z,2exp)z(To 2 =ηη⋅−=

Hwz

Ts

0

5

10

0 0.5 1無次元化水温 To(z)

水深

(m)

TaTsTa)z(T

Ts)z(T)z(To

−−

=ΔΔ

=

Ta

-7-

表-1 温排水拡散予測結果(単独予測、包絡面積)

深 度 水温上昇

Hw=3m

(km2)

Hw=5m

(km2)

減少分

③=①-②

(km2)

減少率

③/①

(%)

1℃以上 3.1 2.3 0.8 25.8 2℃以上 1.0 0.6 0.4 40.0 海 面

3℃以上 0.4 0.2 0.2 50.0 1℃以上 2.3 2.0 0.3 13.0 2℃以上 0.6 0.4 0.2 33.3 海面下 1m

3℃以上 0.2 0.1 0.1 50.0 1℃以上 0.6 1.3 -0.7 -116.7 2℃以上 0.1 0.2 -0.1 -100.0 海面下 2m

3℃以上 0.0 0.0 0.0 -

図-2(1) 温排水拡散予測結果の比較(単独予測、海面における包絡線)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱

東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:将来、Hw=3m

赤色:将来、Hw=5m

凡 例

生浜地区

-8-

図-2(2) 温排水拡散予測結果の比較(単独予測、海面下 1mにおける包絡線)

図-2(3) 温排水拡散予測結果の比較(単独予測、海面下 2mにおける包絡線)

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:将来、Hw=3m

赤色:将来、Hw=5m

凡 例

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:将来、Hw=3m

赤色:将来、Hw=5m

凡 例

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

-9-

3. 重畳予測結果の比較

温水層厚さの設定による予測結果の違いを把握するために、温水層厚さを 3mに設定した場合と 5

mに設定した場合の、東京電力千葉火力発電所及び五井火力発電所との温排水重畳拡散予測結果

の比較を表-2 及び図-3 に示します。

温水層厚さを 5m に設定した場合には、取水口で再循環が発生するものと想定されることから、それ

を考慮した予測としました。

温水層厚さを 5mに設定することにより、海面及び海面下 1mでは拡散面積が減少、海面下 2mで

は増加する結果となっています。

表-2 温排水拡散予測結果(重畳予測、包絡面積)

深 度 水温上昇

Hw=3m

(km2)

Hw=5m

(km2)

減少分

③=①-②

(km2)

減少率

③/①

(%)

1℃以上 32.5 24.2 8.3 25.5 2℃以上 20.6 15.3 5.3 25.7 海 面

3℃以上 13.3 9.6 3.7 27.8 1℃以上 28.8 23.2 5.6 19.4 2℃以上 16.6 14.2 2.4 14.5 海面下 1m

3℃以上 9.1 8.3 0.8 8.8 1℃以上 17.1 20.2 -3.1 -18.1 2℃以上 3.9 10.8 -6.9 -176.9 海面下 2m

3℃以上 0.7 4.6 -3.9 -557.1

図-3(1) 温排水拡散予測結果の比較(重畳予測、海面における包絡線)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:将来、Hw=3m

赤色:将来、Hw=5m

凡 例

-10-

図-3(2) 温排水拡散予測結果の比較(重畳予測、海面下 1mにおける包絡線)

図-3(3) 温排水拡散予測結果の比較(重畳予測、海面下 2mにおける包絡線)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:将来、Hw=3m

赤色:将来、Hw=5m

凡 例

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:将来、Hw=3m

赤色:将来、Hw=5m

凡 例

-11-

【参 考】再循環の検討

1. 再循環を考慮した温排水拡散予測計算の手順

再循環を考慮した温排水拡散予測計算のフローを下図に示します。

以下の手順により、潮位変動による再循環の有無を判定し(「2.再循環の判定」を参照)、温

排水拡散予測計算に反映しています。

① 予測計算により得られる取水口位置での表層水温上昇値を算出

② 躍層面(温排水と下層水の境界面)と取水開口部までの深さの関係から、

潮位変動毎(計算ステップ毎)に再循環の有無を判定

③ 再循環有りと判定された場合は、限界取水条件に関する実験式*により、

取水温上昇値を算定 *「臨海発電所の海岸施設の水理設計」 (千秋信一、昭和 43 年 2 月)

④ 放水温度に取水温上昇値を付加

図 再循環を考慮した温排水拡散予測計算のフロー

なお、潮流予測計算では、境界条件として M2 分潮の潮位振幅を与えており、流況調査地点

での流向・流速をモデル内に再現しています。

このとき、実測における千葉港の潮位変動と流向・流速の関係についてもモデル内に再現さ

れていることを確認しているため、その時の潮位に応じた取水口位置での表層水温上昇値も再

現されています。

② 潮位変動による再循環の有無を判定

温排水拡散計算

③ 取水温上昇値 を算定 取水温上昇なし =0℃

① 取水口位置での表層水温上昇値を算出

有り

無し

④ 放水温度算定 (取放水温度差+取水温上昇値)

温水層

ΔhΔhc

   再循環:有り Δh<Δhc干潮時等により海面が下がり、限界

取水水深Δhcに比べ、躍層面から取

水開口部までの深さΔhが小さくなる

と、表層の温水層を混入する。

温水層

ΔhΔhc

   再循環:無し Δh>Δhc限界取水水深Δhcに対し、躍層面か

ら取水開口部までの深さΔhが大きい

(余裕がある)時は、表層の温水層を

混入しない。

-12-

2. 再循環の判定

再循環の判定は、限界取水条件に関する実験式*を用い、取水口表層での水温上昇予測値及び取

水諸元をあてはめて限界取水高さを算定し、躍層面との関係を確認しました。

温排水拡散予測においては、取水口で再循環が発生すると想定された場合には、取水温の上昇値

を算定して、温排水の負荷に上乗せして計算を行いました。

下図は、本事業における温水層厚さ 3mと 5mでの再循環の検討結果です。

左図は温水層の厚さ Hw=3mの場合で、潮位変動に伴い躍層面も上下しますが、躍層面が限界取

水高さまで低下することはなく、何れの潮時においても再循環が発生しないことを示しています。

右図は温水層の厚さ Hw=5mの場合で、潮位が低い時間帯において、躍層面が限界取水高さよりも

低下しており、再循環が発生するものと想定されます。このときの再循環による取水温上昇値は最大

0.5℃と予測されました。

図 再循環に関する検討結果(将来・重畳予測の場合)

(注) 躍層面は温水層の厚さ Hw を 2 成層に置き換えた場合の海面からの深さに設定している。

限界取水高さ(z+Δhc)

躍層面

海面

海底

取水天端高さ( z)

温水層の厚さ

取水口

温水層の厚さHw=3mの場合

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

3

3

海底

から

の高

さ (

m)

海面

躍層面

限界取水高さ(z+Δhc)

取水天端高さ(z)

温水層の厚さHw=5mの場合

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

3

3

海底

から

の高

さ (

m)

海面

躍層面

限界取水高さ(z+Δhc)

取水天端高さ(z)

-13-

5. 現状における温排水拡散範囲の実測結果と予測結果の比較について

温排水拡散範囲について、実測結果と予測結果を比較しました。

平成 19 年 11 月、平成 20 年 2 月及び 4 月に、それぞれ 2 回実施した水温調査結果について、1℃、

2℃及び 3℃上昇域の等値線を引き、予測結果との比較図を作成しました。なお、平成 20 年 8 月にも調

査を実施しましたが、夏季は温排水の影響と日射による昇温の影響を分離することが困難であることから、

整理の対象から除外しました。

比較結果は図-1(海面)、図-2(海面下 1m)及び図-3(海面下 2m)に示すとおりです。予測結果につ

いては、単独予測と重畳予測それぞれについて、温水層厚さが 3mの場合と 5mの場合、計 4 ケースを示

しています。

実測結果は、単独予測結果からは大きく逸脱していますが、重畳予測結果にはおおむね包含されてい

ます。

-14-

図-1(1) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面、1℃上昇域)

図-1(2) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面、2℃上昇域)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

-15-

図-1(3) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面、3℃上昇域)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

-16-

図-2(1) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面下 1m、1℃上昇域)

図-2(2) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面下 1m、2℃上昇域)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

-17-

図-2(3) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面下 1m、3℃上昇域)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

-18-

図-3(1) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面下 2m、1℃上昇域)

図-3(2) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面下 2m、2℃上昇域)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

-19-

図-3(3) 温排水拡散範囲の実測と予測の比較(海面下 2m、3℃上昇域)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

生浜地区

※ 実測では 3℃の分布なし

黒色:実測結果

青色:将来、単独予測、Hw=3m

橙色:将来、単独予測、Hw=5m

紺色:将来、重畳予測、Hw=3m

赤色:将来、重畳予測、Hw=5m

凡 例

-20-

6. 付着生物防止剤の管理方法及び水質の監視方法について

冷却系統における付着生物防止剤の管理方法及び環境監視計画における水質の測定方法につい

て、以下のように修整します。

表-1 準備書記載内容の修整案

項 目 準備書 修正案

付着生物防止剤の濃度管理

(準備書 P2.2-28)

復水器の冷却水には、海生生物の付着

を防止するために次亜塩素酸ソーダ(放

水口における残留塩素濃度が検出限界

値(0.01mg/L)未満となるよう管理)を注

入する予定である。

復水器の冷却水には、海生生物の付着

を防止するために次亜塩素酸ソーダ(放

水口における残留塩素濃度が DPD 比色

法による検出限界値(0.05mg/L)未満と

なるよう管理)を注入する予定である。

浮遊物質量の環境監視

(準備書 P8.2-24)

建設工事に伴う排水は、仮設沈殿槽を

設置し、濁水処理機で調整後、その出口

で水素イオン濃度及び濁度を適宜測定

する。

建設工事に伴う排水は、仮設沈殿槽を設

置し、濁水処理機で調整後、その出口で

水素イオン濃度及び浮遊物質量を適宜

測定する。なお、浮遊物質量はあらかじ

め濁度との関係を把握した上で、濁度に

て監視する。

窒素・燐の環境監視

(準備書 P8.2-24)

排水処理設備出口において、化学的酸

素要求量、窒素含有量、燐含有量を毎

日測定する。

排水処理設備出口において、化学的酸

素要求量、窒素含有量、燐含有量につ

いて毎日測定する。

-21-

7. 緑化計画の見直しについて

準備書において、新設緑地の緑化計画は平成 11 年に弊社にて実施した発電所アセスの事例を参考

に計画いたしましたが、以下の考え方に基づき緑化計画を見直します。

○ 外来種を用いないようにし、房総に分布する植物群落から選定します。また、海側については耐

潮性のある樹種を選定します。

○ 緑地のマウンドは、水はけや根の張りなどを考慮し、山形となるように造成します。

評価書案 〔第 2 章 緑化計画に関する事項〕

第 2.2-15 図 緑化計画

第 2.2-16 図 植栽計画(平面、断面)

記号 区分 植栽樹種

高木 イヌマキ、ウバメガシ、エノキ、オオシマザクラ、クロマツ、スダジイ、タブノキ、 モチノキ、ヤブツバキ、ヤブニッケイ、ヤマモモ

中木 サザンカ、トベラ、ネズミモチ、ヒサカキ、マサキ

低木 オオバイボタ、ガクアジサイ、ナワシログミ、マルバシャリンバイ、マルバウツギ

注:1.区分は、次のとおりとした。高木;3m以上、中木;1m以上 3m未満、低木;1m未満 2.平面図の丸は樹木の植栽位置を表す。

0 50 100m

4 号機 5号機

既設西発電所

西公共用地

新設緑地 新設生産施設

既存緑地

海域

海側(西公共用地) 敷地境界

混植帯

低木帯

発電所側

10 m

6m

6 m

1.2~

1.3m

海側 発電所側

西公共用地

7 年後のイメージ

-22-

8. 二酸化炭素の環境保全対策について

二酸化炭素の環境保全対策について、分かりやすい記載となるよう以下のように修整します。

表-1 準備書記載内容の修整案

項 目 準備書 修正案

8.1.9 温室効果ガス等

1.二酸化炭素

環境保全措置

(準備書p.8.1.9-1、3)

・適切な負荷配分となるよう運転管理を

行い、発電効率の良い 4・5 号機の稼

働率を上げる。

・適切なガス配分となるよう運転管理を行

い、発電効率の良い 4・5 号機の稼働

率を上げる。

< 説 明 済 み >

-23-

1. 上層気象観測結果の代表性の確認について

上層気象観測結果の代表性を、高層気象観測結果により確認しました。

1. 本アセスにおける上層気象と高層気象観測結果の比較について(平成 20年)

平成 20 年に実施した高層気象観測の 150m及び 200m観測結果と、同期間の上層気象観測結果

(172m)を、風配図として図-1 に示し、比較を行いました。平成 20 年に実施した高層気象観測は、内

部境界層の確認のために春季と夏季の 2 季実施しています。

150m 及び 200m 観測結果と上層気象観測結果は、概ね一致した結果となっており、主風向に大き

な違いが見られないため、予測結果に与える影響は小さいものと考えます。

2. 過去のアセスにおける上層気象と高層気象観測結果の比較について(平成 8,9 年)

本計画地点と同じ西工場内にて稼働している「川鉄千葉クリーンパワーステーション」の環境影響評

価において、平成 8 年から平成 9 年にかけて、今回とほぼ同じ地点で 4 季にわたり高層気象観測を

実施しています。この環境影響評価においては、上層気象観測結果は、隣接する東京電力千葉火力

発電所の煙突 172m での結果を用いています。

「川鉄千葉クリーンパワーステーション」の高層気象観測の 150m及び 200m観測結果と、同期間の

東京電力千葉火力発電所の上層気象観測結果(172m)を、風配図として図-2 に示します。

風向分布及び平均風速は、ほぼ同様な傾向となっています。

以上のことから、上層気象観測結果の代表性は、高層気象観測結果により確認できたものと考えます。

-24-

図-1 本アセスにおける上層気象と高層気象観測結果(平成 20年)

春季:平成 20 年 5 月

夏季:平成 20 年 8 月

春季 夏季

JFE千葉西_高層-200m

春季 夏季

JFE千葉西_高層-150m

春季

JFE千葉西_上層-172m

夏季

2 季

2 季

2 季

-25-

図-2 過去のアセスにおける上層気象と高層気象観測結果(平成 8,9 年)

秋季:平成 8 年 10 月

冬季:平成 9 年 1 月、2 月

春季:平成 9 年 5 月

夏季:平成 9 年 7 月

秋季 冬季 春季 夏季

川鉄_高層-200m

川鉄_高層-150m

秋季 冬季 春季 夏季

秋季 冬季 春季 夏季

千葉火力_上層-172m

全季節

全季節

全季節

-26-

2. 5号機運転開始前における4号機の煙突ダウンウォッシュ予測結果について

4 号機が運転を開始した後、5 号機が運転を開始するまでの約 2 年半は、4 号機のみの稼働であるこ

とから、この期間における新設煙突のダウンウォッシュについて検討いたしました。

5 号機が運転を開始するまでは、新設煙突の出口面積を小さくする*ことにより、4 号機稼働時の排

出ガス速度を、5 号機運転開始後と同じ 30m/s とする予定です。そのため、煙突ダウンウォッシュの発

生する条件については、準備書で示した将来の 4・5 号機稼働時の条件と変わりません。

予測の結果は、表-1 及び表-2 に示すとおりであり、排出量が 4 号機分のみであるため、 大着地

濃度は準備書で示した将来の 4・5 号機稼働時の予測結果よりも小さいものとなります。

表-1 煙突ダウンウォッシュ発生時の予測結果(二酸化硫黄)

排出

ガス速度

煙突頭頂部

の風速

上層の

大気安定度

有効煙突

高さ

最大

着地濃度 出現距離 出現頻度

予測項目 対 象

(m/s) (m/s) (m) (ppm) (km) (%)

4 号機 30.0 20.0 C-D 190 0.0004 4.0 0.5 二酸化硫黄

4・5 号機 30.0 20.0 C-D 190 0.0008 4.0 0.5

表-2 煙突ダウンウォッシュ発生時の予測結果(二酸化窒素)

排出

ガス速度

煙突頭頂部

の風速

上層の

大気安定度

有効煙突

高さ

最大

着地濃度 出現距離 出現頻度

予測項目 対 象

(m/s) (m/s) (m) (ppm) (km) (%)

4 号機 30.0 20.0 C-D 190 0.0004 4.0 0.5 二酸化窒素

4・5 号機 30.0 20.0 C-D 190 0.0008 4.0 0.5

*新設煙突の出口形状

5号機運転開始時4号機運転開始時

▽ GL

190m

φ7.2m

φ5.6m

2m

▽ GL

190m

ライニング φ7.2m

煙突キャップ

-27-

【参 考】

5 号機運転以前は○A により排ガス速度(30m/s)を調整するため、ボイラ内の排ガス速度は 4・5 号機

稼働時と変わりません。

図 発電設備の概念図

-28-

3. 将来3号機稼働時の煙突ダウンウォッシュ予測結果について

既設煙突から出る排ガスは、現状は1~3号機に対し将来は3号機のみとなることから、煙突ダウン

ウォッシュについて検討いたしました。

現状(1~3 号機稼働)及び将来(3 号機稼働)における、煙突ダウンウォッシュ発生時の予測結果を

表-1~3 に示します。

将来(3 号機稼働)は、現状(1~3 号機稼働)に比べて、排出ガス速度が小さくなるため、煙突ダウン

ウォッシュが発生する煙突頭頂部の風速(排出ガス速度の 2/3 以上)が小さくなります。

そのため、煙突ダウンウォッシュの出現する頻度は増加しますが、 大着地濃度については現状と

同等もしくは減少します。

表-1 煙突ダウンウォッシュ発生時の予測結果(二酸化硫黄)

予測項目 対象 排出ガス速度

(m/s)

煙突頭頂部の

風速 (m/s)

上層の

大気安定度

有効煙突高さ

(m)

最大着地濃度

(ppm)

出現距離

(km)

出現頻度

(%)

現状 22.5 15.0 C-D 200 0.0011 4.4 2.7 二酸化硫黄

将来 11.6 7.8 C-D 200 0.0011 4.4 26.3

表-2 煙突ダウンウォッシュ発生時の予測結果(二酸化窒素)

予測項目 対象 排出ガス速度

(m/s)

煙突頭頂部の

風速 (m/s)

上層の

大気安定度

有効煙突高さ

(m)

最大着地濃度

(ppm)

出現距離

(km)

出現頻度

(%)

現状 18.9 12.6 C-D 200 0.0023 4.4 5.8 二酸化窒素

将来 10.4 7.0 C-D 200 0.0020 4.4 32.9

表-3 煙突ダウンウォッシュ発生時の予測結果(浮遊粒子状物質)

予測項目 対象 排出ガス速度

(m/s)

煙突頭頂部の

風速 (m/s)

上層の

大気安定度

有効煙突高さ

(m)

最大着地濃度

(mg/m3)

出現距離

(km)

出現頻度

(%)

現状 22.5 15.0 C-D 200 0.0001 4.4 2.7 浮遊粒子状

物質 将来 11.6 7.8 C-D 200 0.0001 4.4 26.3

-29-

4. 将来の既設煙突における煙突ダウンウォッシュの年平均値への影響について

既設煙突から出る排ガスは、現状は1~3号機に対し将来は3号機のみとなり煙突ダウンウォッシュの

発生頻度が上がることから(説明済み資料「将来 3 号機稼働時の煙突ダウンウォッシュ予測結果につい

て」)、煙突ダウンウォッシュを考慮した年平均値予測を行いました。

大着地濃度、出現距離及び出現方位は 表-1 に示すとおりです。

表-1 年平均値予測結果(寄与濃度)

予測項目 対象 大着地濃度 出現距離 出現方位

現状 0.00005 ppm 12 km 南南西 二酸化硫黄

将来 0.00004 ppm 12 km 南南西

現状 0.00008 ppm 11 km 南南西 二酸化窒素

将来 0.00006 ppm 11 km 南南西

現状 0.00003 mg/m3 17 km 南南西 浮遊粒子状物質

将来 0.00003 mg/m3 10 km 南南西

-30-

5. 寒川小学校測定局の将来濃度予測結果に対する影響について

日平均値(実測高濃度日)の予測結果において、寒川小学校測定局の二酸化窒素将来濃度予測結

果が環境基準を達成していない点、及び負荷低減に向けた対策については以下のとおりです。

1. 寒川小学校測定局の現況濃度の推移について

寒川小学校測定局の平成 16 年度から平成 21 年度の二酸化窒素の年間測定結果を、表-1 に示

します。二酸化窒素の環境基準は日平均値の年間 98%値にて評価しますが(0.06ppm を超えないこ

と)、この期間の結果は 0.038~0.049ppm であり、いずれの年度も環境基準を達成しています。

また日平均値が 0.06ppm を超える日は、1 年間に 0~2 日となっています。

今回、日平均値(実測高濃度日)の予測には、各測定局の日平均値の年間 大値を用いています。

予測の対象とした平成 19 年 11 月から平成 20 年 10 月までの 1 年間の日平均値の 大値は、表中

の下線部分となります。

表-1 寒川小学校測定局の年間測定結果(二酸化窒素)

有効測定日数

1時間値 の 高値

1時間値が

0.2ppmを 超えた時間数 とその割合

1時間値が

0.1ppm以上

0.2ppm以下

の時間数と

その割合

日平均値が

0.06ppmを

超えた日数と

その割合

日平均値が

0.04ppm以上

0.06ppm以下

の日数と その割合

日平均値 の

年間 98%値

98%値評価 による

日平均値が 0.06ppmを 超えた日数

日平均値

の 年間 大値

日 時間 ppm ppm 時間 % 時間 % 日 % 日 % ppm 日 ppm

16 363 8,691 0.024 0.107 0 0 3 0.0 2 0.6 37 10.2 0.048 0 0.065 17 357 8,574 0.026 0.116 0 0 3 0.0 1 0.3 37 10.4 0.049 0 0.063 18 361 8,682 0.021 0.092 0 0 0 0 1 0.3 16 4.4 0.046 0 0.062 19 358 8,637 0.022 0.108 0 0 2 0.0 1 0.3 20 5.6 0.048 0 0.061 20 362 8,677 0.019 0.093 0 0 0 0 0 0 11 3.0 0.040 0 0.052 21 356 8,560 0.018 0.092 0 0 0 0 0 0 4 1.1 0.038 0 0.049

(準備書 p.8.1.1-62 に追記)

2. 寒川小学校測定局の将来濃度予測時の濃度状況について

上記の寒川小学校測定局において、日平均値の年間 大値が発生した日の二酸化窒素濃度及び

気象の変化を表-2 に示します。

16 時をピークとして、夕方から夜半にかけて濃度が高くなっています。このときの寒川小学校測定局

における風速は概ね 2m/s 以下で弱風となっております。地上の大気安定度は D 及び G となっており、

中立から安定した状態となっています。

このことから、地表面付近の発生源からの汚染物質が滞留したことにより、高濃度が発生したと推定

されます。

-31-

表-2 実測高濃度日 大地点における気象状況

(平成 20年 1月 11 日の気象)

寒川小学校測定局 (地上 10m)

千葉測候所 (地上 47.9m)

JFE 上層 (地上 172m)

NO2 濃度 風向 風速 風向 風速 風向 風速 時刻

(ppm) (m/s) 地上大気

安定度 (m/s) (m/s)

JFE 地上大気安定度

1 0.043 NNW 2.0 F NNW 3.1 N 4.9 F 2 0.042 N 0.5 G NNW 1.8 N 2.8 F 3 0.041 SE 0.8 G NNW 2.0 NNE 1.0 G 4 0.036 SSE 1.7 G SE 0.5 N 1.6 G 5 0.033 E 1.0 G NNW 2.8 N 5.2 F 6 0.040 NE 1.3 G NNW 1.9 N 7.0 E 7 0.042 NNW 0.6 D NNW 1.7 NNW 7.7 D 8 0.042 NW 1.3 D NNW 2.8 NNW 7.0 D 9 0.046 ENE 1.0 B NE 1.4 N 5.2 C 10 0.052 ENE 0.6 AB SE 0.5 NNE 0.6 AB 11 0.050 N 0.7 AB WNW 0.6 CALM 0.4 AB 12 0.052 SE 0.9 AB WSW 1.9 NW 0.9 B 13 0.061 WSW 2.1 B WSW 2.5 SSW 0.9 B 14 0.076 NE 0.6 AB WSW 0.8 SSE 0.7 AB 15 0.096 SW 1.2 B W 1.0 SE 1.8 C 16 0.108 WNW 1.0 D NW 1.4 WSW 2.0 D 17 0.107 NNW 0.9 G WSW 1.5 SW 3.3 G 18 0.086 NNE 0.6 G W 0.3 SW 4.8 G 19 0.093 NE 1.8 G NE 1.8 CALM 0.1 D 20 0.089 NE 1.2 D NE 1.7 SW 1.6 D 21 0.069 NNE 1.2 D NE 1.9 SW 1.7 D 22 0.059 NE 1.8 D NE 2.0 SW 2.7 D 23 0.057 NE 0.8 D NNW 1.2 WSW 3.0 D 24 0.055 E 0.6 D SSW 0.8 WSW 2.2 D

平均 0.061 1.1 1.6 2.9

注:大気安定度は JFE 地上気象観測の日射量及び放射収支量を用いた。

図-1 計画地点と対象地域の関係

路 357

16

寒川小学校測定局

14

357

0 1 2km

凡 例

対象事業実施区域

JFE スチール㈱敷地境界

千葉測候所

JFE 上層

14

357

JFE 地上

-32-

3. 今回の予測結果について

今回の実測高濃度日予測では、寒川小学校測定局の現状濃度(バックグラウンド濃度)として、環境

基準の評価値である日平均値の 98%値ではなく日平均値の 大値を用いています。この 大値は環

境基準 0.04ppm~0.06ppm のゾーンを超える濃度となっておりますが、現状寄与濃度と将来寄与濃度

を比較すると、将来の寄与濃度は 0.00003ppm の減少となっており、今回の計画によりわずかに低減

することとなります。(準備書 p.8.1.1-193)

4. 負荷低減に向けた対策の実施について

窒素酸化物排出量を削減するために、製鉄所において以下のような対策を実施しています。

・製鉄プロセス:焼結機への排ガス脱硝装置の設置

・物流:積載率の向上、モーダルシフト(比較的環境負荷の低い船舶への輸送切り替え)、エコタ

イヤの採用、など

また本事業では、新設する 4 号機に低 NOx 燃焼器及び排煙脱硝装置を設置いたします。

-33-

6. 逆転層の突き抜け判定における逆転層の区分について

準備書 p.8.1.1-202 第 8.1.1.1-67 表、接地逆転層の区分を「逆転層の下端高度が煙突高度以下

のもの」とした理由について、以下に示します。

「窒素酸化物総量規制マニュアル(新版)」では、煙流が安定層をつきぬける場合として、「接地逆転

層を破るか否か」と「上空の逆転層を貫通するか否か」に分けて判定の考え方を示しています。

(次頁以降参照)

逆転層の下端高度が煙突高度(190m)より低い場合には、排煙が逆転層中に放出されることになり

ますので、「接地逆転層を破るか否か」 を判定する式を用いました。これを表では 「接地逆転層」

と表記しております。

また、逆転層の下端高度が煙突高度より高い場合には、排煙は逆転層の下側に放出されて上昇し

ていき、やがて上層の逆転層に到達しますので、「上空の逆転層を貫通するか否か」 を判定する式を

用いました。これを表では 「上層逆転層」 と表記しております。

【参考】

準備書では、高層観測結果のデータを用いて、計画施設からの排煙の拡散に影響を及ぼす逆転

層の出現状況の把握を行っております。

準備書 p.8.1.1-23 第 8.1.1.1-13 表にその結果を示しておりますが、そこでは、区分高度と逆転層

の出現高度との関係から、同表の注記の図に例示しましたように、下層逆転、上層逆転、全層逆転と

区分しており、ここでの判定とは違った区分で出現状況を把握しております。

-34-

窒素酸化物総量規制マニュアル(新版)

-35-

-36-

7. 上層の逆転層中に排煙が放出された場合について

上層の逆転層中に煙が放出された場合の地上への影響について検討を行いました。

逆転層内に排煙が放出された場合、逆転層内は安定な状況にあるため、拡散はゆっくりと行われま

す。拡散が進み、排煙が逆転層の厚みよりも鉛直方向に広がった場合は、排煙の端から徐々に漏れ

出すことになるため、地上に急激な濃度変化をもたらすことはないと考えます。

準備書では、排煙が逆転層までの大気中に放出された場合(表-1の②)について、逆転層の下端

が蓋となり、拡散が制約されるため、着地濃度が高くなるケースとして予測を行っています。

表-1 逆転層の突き抜け状況

区 分 出現回数(回) 出現頻度(%)

逆転層なし又は海向きの風 335 74.8

突き抜ける 42 9.4 接地逆転層

突き抜けない 1 0.2

突き抜ける 11 2.5

He>L 25 5.6

He≧Lu 13 2.9

He<Lu ① 12 2.7

上層逆転層 突き抜けない

He≦L ② 34 7.6

合 計 448 100

注:1.高層気象観測結果は、平成 8~9 年に実施した「川鉄千葉クリーンパワーステーション修正環

境影響調査書」(川崎製鉄株式会社、平成 11 年)の高層気象観測結果を用いた。

2.逆転層の区分は以下に示すとおりとした。

接地逆転層:逆転層の下端高度が煙突高度(190m)以下のもの。

上層逆転層:逆転層の下端高度が煙突高度より高いもの。

3.海向きの風は、北東から時計回りで南東とした。

4.He は有効煙突高さ(CONCAWE 式)、L は逆転層の下端高度、Lu は上端高度を示す。

5.出現頻度は、四捨五入の関係で合計が一致しないことがある。

逆転層内に放出された場合(表-1の①)について、検討を行った結果は以下のとおりです。

排煙が逆転層から漏れ出すのではなく、逆転層内に全く入ることができなかったものと仮定して、有

効煙突高さ(He)を逆転層下端高度(L)に抑えて予測計算を行いました。

計算式は逆転層形成時の予測として準備書 p8.1.1-200 で実施した方法を用いました。

予測の結果、準備書P8.1.1-203 に記載した第 8.1.1.1-68 表(1)に示す 大着地濃度を上回る

ケースはありませんでした。

第 8.1.1.1-68 表(1) 逆転層形成時の予測結果

( 大着地濃度及び出現距離)

項 目 単 位 逆転層形成時

高度 200m の風速 m/s 3.8

上層の大気安定度 - C

逆転層下端高度 m 600

有効煙突高さ m 556

二酸化硫黄 ppm 0.0011 大着地濃度

二酸化窒素 ppm 0.0012

大着地濃度出現距離 km 8.4

-37-

8. 内部境界層の設定方法について

内部境界層フュミゲーションの予測に用いた内部境界層の設定方法は、以下のとおりです。

内部境界層の形成状況を把握するために、現地調査として春季及び夏季に対象事業実施区域近

傍及び内陸側(椿森公園)の 2 地点において高層気象観測を実施しました。

予測計算に用いた内部境界層の発達式の係数 A は、以下のように設定しています。

① 内部境界層発達高度が風下距離 x の 1/2 乗に比例すると仮定して、内陸側(椿

森公園)における高層気象観測から求めた内部境界層出現高度より係数Aを算出し

た。

L(x)= A ・ x 1/2

L(x) :内部境界層発達高度(m)

A :係数

x :海岸線からの風下距離(m)

② 内部境界層は海岸線に垂直な方向に発達するものとして、海岸線からの風下距離x

は、海岸線からの 短距離(図-2 参照。海岸線から椿森公園の 短距離 3.9km)と

した。

発生した全ての内部境界層の出現状況(準備書 p.8.1.1-50 第 8.1.1.1-23 表)における係数Aは、

表-1 に示すとおりです。

表-1 内部境界層の出現状況と発達式の係数

観測期間:春季;平成 20 年 5 月 21 日~5 月 27 日 夏季;平成 20 年 8 月 5 日~8 月 11 日

対象事業実施区域近傍 椿森公園(内陸側) 高層気象

内部境界層 海風層 内部境界層 海風層 200m 風 出現日時 出現

高度

気温

勾配

出現

高度

気温

勾配

出現

高度

気温

勾配

出現

高度

気温

勾配 風向 風速

No.

年 月 日 時刻 m ℃/100m m ℃/100m m ℃/100m m ℃/100m m/s

係数

1 20 5 21 15:00 50 -2.8 550 -0.4 300 -2.3 450 -0.6 SW 8.6 4.82 20 5 22 10:30 200 -1.5 350 -0.5 300 -2.0 600 -0.7 SW 11.8 4.83 20 5 25 10:30 0 - 1,500 -0.3 50 -1.0 1,500 -0.4 SW 10.1 0.84 20 5 25 15:00 50 -2.0 1,500 -0.4 250 -1.3 1,500 -0.5 SW 8.9 4.05 20 5 25 16:30 0 - 1,500 -0.5 150 -1.1 1,500 -0.4 SW 8.7 2.46 20 8 7 9:00 100 -2.5 1,350 -0.6 350 -1.7 1,500 -0.5 WSW 4.9 5.67 20 8 7 12:00 50 -3.6 650 -0.7 300 -2.3 650 -0.7 WSW 7.3 4.88 20 8 7 15:00 100 -2.0 600 -0.5 350 -1.7 500 -0.3 SW 7.7 5.6

9 20 8 7 16:30 50 -1.2 600 -0.5 100 -2.3 650 -0.6 SW 9.5 1.6※ 太字は着地濃度が最も高くなった時刻の内部境界層の状況

-38-

準備書に掲載した p.8.1.1-208 第 8.1.1.1-43 図は、フュミゲーションの予測計算を行った結果、

も着地濃度が高かった時間(表-1 No.8)の状況を示しています。

図-1 内部境界層の状況(着地濃度 大時)

0

100

200

300

400

500

600

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8

煙突からの風下距離(km)

高さ

(m)

-0.1

有効煙突高さ:405m

護岸位置

煙突

煙突からの風下距離 x (km)

L(x)=5.6・x1/2

内部境界層

3.9km

内部境界層高さ:350m

(準備書 p.8.1.1-208 第 8.1.1.1-43 図に加筆)

-39-

図-2 高層気象調査位置

海岸線からの距離3.9km

-40-

9. 乱流による内部境界層の把握について

温位勾配による内部境界層よりも、乱流による内部境界層のほうが 1.4 倍高くなるという研究について

の検討結果は以下のとおりです。

今回の内部境界層の発達状況については、沿岸部に位置する対象事業実施区域近傍と内陸側

(椿森公園)の 2 地点で実施した高層気象観測で得られた気温観測データより把握を行いました。乱

流による内部境界層が温位勾配による内部境界層よりも 1.4 倍高くなるという指摘は蒲生(1981)の中

にみられます。(添付文献参照)

大気拡散は乱流によって生じることから、乱流による内部境界層の発達高度を踏まえて検討を行う

ことが重要であると認識しておりますが、乱流による観測につきましては、温度と比較して局所的な影

響を受けやすいのではないかと考えられることから、内部境界層の把握を行うためには、蒲生が実施し

たような詳細な観測を行う必要があると考えます。

また、上記の研究で示された、陸海の温度差が大きく、海岸線が比較的単純な鹿島灘地域のように、

内部境界層の発達が顕著である地域で行われた結果を、東京湾奥部のような地形的にも複雑である

地域にそのまま適用できるかどうかについて、十分な知見が得られているとは考えられません。

そこで、今回の解析においては、環境アセスメントで一般的に行われているゾンデによる高層気象

観測の気温測定結果を用いて、内部境界層を検討した結果をそのまま用いております。

-41-

【参考】

鹿島地域で求められた乱流と温位による内部境界層の発達の違いをそのまま適用することとして、

準備書に記載したケースについて、把握した内部境界層の高さを 1.4 倍して算出した内部境界層の

係数を用いた場合の予測結果は、以下に示すとおりです。

表-1 準備書による内部境界層高度を 1.4 倍したケースにおける

フュミゲーション発生時の予測結果

- 5.6 7.8

m/s 7.7 7.7

境界層内 - C C

境界層外 - E E

m 405 405

ppm 0.0016 0.0030

ppm 0.0016 0.0031

mg/m3 - -

km 6.4 3.3

風 速

単位内部境界層の高さを1.4倍

準備書ケース項 目

内部境界層発達高度式a

大着地濃度出現距離

有効煙突高さ

大着地濃度

拡散パラメータ

二酸化硫黄

二酸化窒素

浮遊粒子状物質

図-1 フュミゲーション発生時における内部境界層の状況

0

200

400

600

800

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8

煙突からの風下距離x(km)

高さ

(m)

CONCAWE式 He=405m

内部境界層 L(x)=7.8x1/2

-0.1

護岸位置

煙突

内部境界層 L(x)=5.6x1/2

-42-

【文献】

乱流による内部境界層と温位勾配による内部境界層の違いについて、蒲生(1981)が指摘している

部分の要約を以下に示します。

「 蒲生稔:海風に伴い発達する自由対流内部境界層に関する研究

公害資源研究所報告第 19 号(1981) 」

この研究は、海岸線が直線で、陸側が平坦であり、海風の発達が顕著で、典型的な内部境界層の

出現が生じている鹿島地域を対象として実施されたもので、航空機に搭載した乱流計、温度計等の観

測機器による三次元の詳細な観測データに基づいて行われています。

海側から陸側に飛行したときに、乱流が大きくなり始める距離が、温位が変化を始める距離より早く

に始まる、すなわち乱流による内部境界層の高さが温位による内部境界層より高いことが観測されて

います。

両者の変化する位置をプロットして描かれる乱流及び温位変化に基づく内部境界層の発達状況を

比較して、その比は 1.4 となっていました。

-43-

海風に伴い発達する自由対流内部境界層に関する研究

公害資源研究所報告第 19 号(1981)蒲生稔

-44-

-45-

-46-

-47-

-48-

10. 内部境界層フュミゲーションにおける上昇過程の考慮について

内部境界層の予測において、排煙が上昇過程で内部境界層に入ると想定した場合の予測結果は以

下のとおりです。

排煙の上昇過程を考慮した有効煙突高さの算定式として、「窒素酸化物総量規制マニュアル(新

版)」(公害研究対策センター、2003)に示されている Montgomery の経験式を用いて検討を行いまし

た。

Montgomery の式

ΔH=(1/1000・QH)1/3・u-1・f(x)

ΔH :排ガスの上昇高さ(m)

QH :排出熱量(cal/s)

u :風速(m/s)

f(x):中 立(-0.0017<dθ/dz≦0.0016) ;f(x)=0.84x0.56(x≦3,000m)

弱安定(0.0016<dθ/dz≦0.0070) ;f(x)=1.26x0.49(x≦2,800m)

強安定(0.0070<dθ/dz≦0.0187) ;f(x)=4.64x0.26(x≦1,960m)

dθ/dz:温位勾配(℃/m):海風層の観測値より設定

・Montgomery 式の f(x)は当該時刻の海風層の温位勾配から、「弱安定」を用いた。

・Montgomery 式の有効煙突高さが準備書の予測で用いた CONCAWE 式の有効煙突高さを上

回った場合は、 終上昇高さに達したものとして、CONCAWE 式の値を用いて計算を行った。

有効煙突高さ He

He=H0+ΔH

H0 :煙突実高さ(=190m)

ΔH :排ガスの上昇高さ(m)

準備書 p8.1.1-207 に示した 大着地濃度(平成 20 年 8 月 7 日 15 時)のケースについて、上昇過

程を考慮した計算結果は表-1 に示すとおりです。

排煙が内部境界層に取り込まれた時点で 終上昇高さに到達するため、 大着地濃度は二酸化

硫黄、二酸化窒素ともに 0.0016ppm で、準備書に記載した値と変わりませんでした。

なお、補足説明資料「乱流による内部境界層の把握について」に関連して、内部境界層の高さを

1.4 倍した場合の予測結果は、表-1【参考】に示すとおりです。

-49-

表-1 フュミゲーション発生時の予測結果

項 目 単 位 準備書ケース

CONCAWE 式

上昇過程考慮

Montgomery 式

【参考】

上昇過程考慮

Montgomery 式

(内部境界層の

高さを 1.4 倍)

内部境界層発達高度式 a ― 5.6 7.8

海風風の温位勾配 ℃/m 0.0048

風 速 m/s 7.7

境界層内 ― C 拡散パラ

メータ 境界層外 ― E

有効煙突高さ m 405 405 396 *

二酸化硫黄 ppm 0.0016 0.0016 0.032

二酸化窒素 ppm 0.0016 0.0016 0.033 大着地

濃度 浮遊粒子状物質 mg/m3 ― ― ―

大着地濃度出現距離 km 6.4 6.4 3.2

* CONCAWE 式 の有 効 煙 突 高 さに達 するよりも先 に、プルームの下 端 が内 部 境 界 層 と

交 差 するため、その交 差 した風 下 距 離 での有 効 煙 突 高 さとした。

図-1 内部境界層と排煙の状況

【参考】 内部境界層と排煙の状況(内部境界層の高さを 1.4 倍)

0

200

400

600

800

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8

煙突からの風下距離x(km)

高さ(m)

CONCAWE式 He=405m

内部境界層 L(x)=5.6x1/2

-0.1

護岸位置

煙突Montgomery式

0

200

400

600

800

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8

煙突からの風下距離x(km)

高さ

(m)

CONCAWE式 He=405m

内部境界層 L(x)=7.8x1/2

-0.1

護岸位置

煙突

Montgomery式 He=396m

注:排煙の状況はプルームの中心位置を表す。

注:排煙の状況はプルームの中心位置を表す。

-50-

11. 建設機械の稼働に伴う騒音の予測値の違いについて

建設機械の稼働に伴う騒音の予測結果(準備書p.8.1.1-241)において、地点ごとに数値のばらつきが

ある理由は以下のとおりです。

本事業において、建設作業は「西発電所」及び「コンバインド発電所」の 2 ヶ所で実施します。建設

機械の稼働に伴う騒音の予測対象時期は、西発電所とコンバインド発電所の工事が重なる時期としま

した。(予測対象時期の設定根拠は準備書 p.8.1.1-237、238 をご参照ください)

予測計算は、西発電所及びコンバインド゙発電所から予測地点に到達する騒音レベルを以下の式よ

り算定し、合成することにより求めました。

予測地点における騒音レベルの合成式 L=10 log (10 L1/10 +10 L2/10 +・・・・・・+10 Ln/10)

L1~Ln:各音源からの騒音レベル

計算にあたり、障壁による遮蔽効果等は考慮していません。(準備書p.8.1.1-239)

敷地境界(予測地点)から遠い西発電所よりも、敷地境界に近いコンバインド発電所で稼働する建設

機械の騒音の影響を大きく受けているため、騒音の予測地点4地点のうち、コンバインド発電所に も

近い地点Cの予測値が、他の予測地点に比べて高くなっています。

図-1 建設機械の稼働に伴う騒音の予測地点と予測値

0 500 1,000m

対象事業実施区

JFEスチール㈱敷地境界

騒音予測地点とその予測値

A(57dB)

B(58dB)

C(61dB)

D(57dB)

西発電所

コンバインド発電所

-51-

【参 考】

敷地境界の各騒音測定点から、西発電所及びコンバインド発電所を望んだ状況は次のとおりです。

図 各測定点と視野方向

敷敷敷地地地境境境界界界

西発電所煙突

西工場

東工場コンバインド発電所煙突

AAA

DDD CCC

BBB 敷敷敷地地地境境境界界界

写真撮影方向

0 500 1,000m

AAA DDD CCC

BBB

対象事業実施区域

JFEスチール㈱敷地境界

騒音・振動調査(4地点)

西工場

東工場

西発電所

発電所 コンバインド

敷地境界線写真 撮影位置

-52-

敷地境界線(ネットフェンス)

調査点C

西発電所方向 コンバインド発電所方向

西発電所煙突

コンバインド発電所煙突

調査点D

西発電所方向 発電所位置は確認できない コンバインド発電所方向

コンバインド発電所煙突

西発電所、コンバインド発電所方向 西発電所、コンバインド発電所とも、位置は確認できない

調査点A

西発電所方向 コンバインド発電所方向 発電所位置は確認できない

西発電所煙突

調査点B

- 52 -

-53-

12. 水質予測手法について

準備書に記載した化学的酸素要求量(COD)、全窒素(T-N)及び全燐(T-P)の予測手法及び予測

条件については以下のとおりです。

(準備書 p.8.1.2-121~126)

(1) 予測手法

平面二次元モデルによる数値シミュレーション手法を用いました。

一般排水は西 5 号排水口から、発電所の温排水と混合されて海域に排出されることから、温排水

と同じ鉛直分布と拡散厚さをもって拡散していくものと仮定しました。

また、海域流況、拡散係数及び計算領域は、温排水拡散予測と同じ条件としました。

(2) 排出負荷量

西 5 号排水口から排水される一般排水について、将来増加する排出負荷量のみを負荷源として

設定しており、事業所及び周辺の河川からの負荷は与えていません。

したがって、寄与濃度を求める相対値予測となっています。

(3) 内部生産の扱い

海域における内部生産は考慮せず、全て保存系物質として扱っています。

(4) 評価方法

環境基準点(公共用水域水質測定点)の現況濃度(バックグラウンド濃度)に、数値シミュレーショ

ンにより得られた寄与濃度を足し合わせて、寄与率を算定して評価しています。

このとき、化学的酸素要求量については、年間 75%値に換算しています。

-54-

13. 水質予測濃度の違いについて

水質予測結果において、排水口から遠い東京湾6が、排水口に近い東京湾7に比べて寄与濃度が大

きい理由について、検討を行いました。

水質予測では、公共用水域水質測定点である「東京湾6」及び「東京湾7」を予測地点に設定しており、

拡散予測の結果、排水口から遠い「東京湾6」の方が排水口に近い「東京湾7」よりも寄与濃度が大きくな

りました。

潮流は考慮せずに、各発電所からの放水による流動を再現した結果は図-1 に示すとおりです。

排水口前面海域では千葉火力発電所からの放水流の影響により、排水がやや北側に寄せられるため、

「東京湾7」では本事業の寄与濃度が低い結果になったものと推察します。

図-1 各発電所からの放水による流動ベクトル

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区

0 1 2km

千葉火力 発電所放水口

五井

火力発電所放水口

東京湾 7

東京湾 6

20cm/s

凡 例

-55-

14. 周辺海域における青潮の発生状況について

対象事業実施区域の周辺海域における青潮の発生状況について、文献資料*で調査した結果は以下

のとおりです。

至近 10 年間における青潮の発生状況を図-1 に、青潮が発生している水域の名称を図-2 に示しま

す。

文献資料*によれば、青潮は主に市川航路、船橋や幕張沖から千葉中央港にかけて発生しており、発

生回数は 1~6 回/年、平均発生回数は 3.0 回/年、平均発生延べ日数は 11.4 日/年となっています。

また、漁業への影響は平成 20 年に 1 回確認されています。

* 文献資料:「公共用水域及び地下水の水質測定結果報告書」 (千葉県ホームページ、平成 12~21 年度)

図-1 青潮の発生状況(平成 12~21 年度)

〔「公共用水域及び地下水の水質測定結果報告書」 (千葉県ホームページ、平成 12~21 年度) より作成〕

図-2 水域の名称

0

1

2

3

4

5

6

7

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 平均

年度

発生

回数

(回

0

5

10

15

20

25

延べ

発生

日数

(日

発生回数

延べ発生日数

中央区

市原市

美浜区 千葉市

花見川区

稲毛区

若葉区

習志野市船橋市

浦安市

千葉中央港

幕張

船橋港

三番瀬

市川港

0 2 4km

JFEスチール㈱敷地境界

凡 例

対象事業実施区域

市川航路

-56-

15. 本事業単独での温排水拡散予測結果について

準備書において、温排水の拡散予測は近隣発電所との重畳を考慮して実施していますが、本事業単

独での温排水拡散予測結果は以下のとおりです。

本事業単独での温排水拡散予測結果は表-1 及び図-1 に示すとおりです。

本事業における温排水の放水に伴う海面での水温 1℃上昇域は、現状 3.4km2 から将来 3.1km2(減

少率 8.8%)と小さくなります。

表-1 温排水拡散予測結果(単独予測、包絡面積)

深 度 水温上昇

現状

(km2)

将来

(km2)

減少分

③=①-②

(km2)

減少率

③/①

(%)

1℃以上 3.4 3.1 0.3 8.8 2℃以上 1.2 1.0 0.2 16.7 海 面

3℃以上 0.5 0.4 0.1 20.0 1℃以上 2.5 2.3 0.2 8.0 2℃以上 0.7 0.6 0.1 14.3 海面下 1m

3℃以上 0.2 0.2 0.0 0.0 1℃以上 0.8 0.6 0.2 25.0 2℃以上 0.1 0.1 0.0 0.0 海面下 2m

3℃以上 0.0 0.0 0.0 0.0

図-1 温排水拡散予測結果の比較(単独予測、海面における包絡線)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力発電所放水口

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:現状単独予測

赤色:将来単独予測

凡 例

生浜地区

-57-

【参考】 重畳予測結果(準備書に記載の予測結果)

準備書に記載した近隣事業所を含めた温排水拡散予測結果は表-2 及び図-2 に示すとおりです。

(準備書 p.8.1.2-132~135)

表-2 温排水拡散予測結果(重畳予測、包絡面積)

深 度 水温上昇

現状

(km2)

将来

(km2)

減少分

③=①-②

(km2)

減少率

③/①

(%)

1℃以上 32.7 32.5 0.2 0.6 2℃以上 20.8 20.6 0.2 1.0 海 面

3℃以上 13.5 13.3 0.2 1.5 1℃以上 29.0 28.8 0.2 0.7 2℃以上 16.8 16.6 0.2 1.2 海面下 1m

3℃以上 9.3 9.1 0.2 2.2 1℃以上 17.3 17.1 0.2 1.2 2℃以上 4.0 3.9 0.1 2.5 海面下 2m

3℃以上 0.7 0.7 0.0 0.0

図-2 温排水拡散予測結果の比較(重畳予測、海面における包絡線)

N

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

五井火力発電所放水口

千葉火力 発電所放水口

生浜地区

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

黒色:現状重畳予測

赤色:将来重畳予測

凡 例

-58-

16. 海生生物調査点と温排水拡散予測範囲について

海生生物の調査点と、温排水拡散予測範囲については、以下に示すとおりです。

海生生物の調査地域及び調査地点については、水温の特性及び流況の特性を踏まえ、水温に係

わる環境影響を受けるおそれがある地域として、温排水拡散予測範囲を包含する範囲を設定しました。

海生生物調査地点と温排水拡散予測範囲を図-1 に示します。

図-1 海生生物調査地点と温排水拡散予測範囲(海面)

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

青色:現状単独予測

赤色:現状重畳予測

凡 例

:魚等の遊泳動物調査(3 地点)

底生生物調査(メガロベントス:3 地点)

:潮間帯生物調査(動物・植物:6 地点)

:底生生物調査(マクロベントス:12 地点)

動植物プランクトン調査(12 地点)

:卵・稚仔調査(9 地点)

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

五井海岸

養老川

五井南海岸

市原市千種海岸

JFEスチール㈱

東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

0 1 2km

対象事業実施区域

N

五井火力発電所放水口

千葉火力 発電所放水口

生浜地区

-59-

17. 泊地の温排水拡散範囲について

コンバインド発電所の移設に伴って、その冷却水が減少することから、西工場東側泊地(以下「泊地」と

いう。)での温排水拡散範囲について、現状と将来の予測を実施しました。予測結果は以下のとおりです。

(5) 予測条件

泊地に放水される温排水(製鉄所設備及び発電所の冷却水を対象とする)の諸元を表-1、排水

口位置を図-1 に示します。なお、排水は全て表層放水方式です。

泊地には、現状では製鉄所設備から、JFE 千葉クリーンパワーステーションから及びコンバインド

発電所からの温排水が放水されており、将来はコンバインド発電所を移設する計画であるため、温

排水の負荷量が減少します。

温水層の厚さは、既往事例*を参考に 4mと設定し、その他の予測条件は準備書に記載の温排水

拡散予測と同様です。

*既往事例:「川鉄千葉クリーンパワーステーション環境影響評価書」(平成 11 年 5 月)

表-1 放水諸元

現 状 コンバインド発電所移設前

将 来 コンバインド発電所移設後

排 水 放水量

(m3/s)

取放水 温度差 (℃)

放水量

(m3/s)

取放水 温度差 (℃)

備 考

泊地に放水される温

排水の合計 21.2 6.2 17.1 6.0

取放水温度差は

加重平均値

(4.3~10.5℃)

北海水(北)

排水口 7.3 4.3 3.1 0.8

排水口位置:A

コンバインド発電所の

温排水を含む

図-1 排水口位置

西5号排水口 F ED

CB

A

西工場 東工場 泊地

-60-

(6) 予測結果

現状及び将来の予測結果は、表-2 及び図-2 に示すとおりです。

表-2 泊地の温排水拡散予測結果(包絡面積)

深 度 水温上昇 現状 ①

(km2)

将来 ②

(km2)

減少分 ③=①-② (km2)

減少率 ③/① (%)

1℃以上 1.9 1.5 0.4 21.1 2℃以上 1.3 1.0 0.3 23.1 海 面

3℃以上 0.8 0.5 0.3 37.5 1℃以上 1.7 1.4 0.3 17.6 2℃以上 1.1 0.6 0.5 45.5 海面下 1m

3℃以上 0.4 0.3 0.1 25.0 1℃以上 1.1 0.6 0.5 45.5 2℃以上 0.2 0.2 0.0 0.0 海面下 2m

3℃以上 - - - -

-61-

図-2(1) 泊地の温排水拡散予測結果(海面における包絡線)

〔現状〕

〔将来〕

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区 1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

凡 例

0 1 2km

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区

0 1 2km

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

凡 例

-62-

図-2(2) 泊地の温排水拡散予測結果(海面下 1mにおける包絡線)

〔現状〕

〔将来〕

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

JFEスチール㈱

東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区 1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

凡 例

0 1 2km

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区

0 1 2km

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

凡 例

-63-

図-2(3) 泊地の温排水拡散予測結果(海面下 2mにおける包絡線)

〔現状〕

〔将来〕

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区 1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

凡 例

0 1 2km

千葉市

都川

中央港

八幡海岸通

JFEスチール㈱東日本製鉄所

西工場

東工場

生浜工場

対象事業実施区域

N

生浜地区

0 1 2km

1℃上昇域

2℃上昇域

3℃上昇域

凡 例

-64-

18. 西発電所 既設煙突の塗り替えについて

西発電所 既設煙突(赤白塗装)の塗り替えについては、以下のとおりです。

西発電所に新設する煙突の塗装は、平成 5 年に弊社 東日本製鉄所千葉地区で制定した「西工場

環境色彩基準」に則った色彩を計画しています。

西発電所の既設煙突(赤白塗装)についても、塗装の劣化状況を踏まえて適切な時期に、この色彩

基準に則って塗り替えを行う予定です。また、この旨を、評価書に記載いたします。

図-1 既設煙突塗り替え後の予想図

表-1 煙突の色彩(西工場環境色彩基準)

対 象 マンセル値 色 名

筒身 上部 10BG 6.0/3.0 ブルーグレー

N9.5 白色

10BG 8.6/0.8

10BG 8.1/1.1

10BG 7.6/1.7

10BG 6.9/2.2

(グラデーション)

筒身 下部 10BG 6.0/3.0 ブルーグレー

煙 突

フレーム N7.5 灰色

(準備書p.8.2-4)

-65-

19. 二酸化炭素年間排出量の算定における2号機の扱いについて

二酸化炭素の年間排出量(準備書 p.8.1.9-2)の算定における、2 号機(定検予備機)の扱いは以下の

とおりです。

準備書 p.8.1.9-2 第 8.1.9-2 表に示した、施設の稼働に伴い発生する二酸化炭素の年間排出量

は、全ての発電設備から 1 年間に排出される二酸化炭素の総和であり、将来については 3・4・5 号機

の定期点検の期間中に稼動する 2 号機についても考慮しています。

-66-

20. 4・5号機の二酸化炭素排出原単位の差異について

CO2 排出原単位(準備書p.8.1.9-2)において、新設する 4 号機は 0.73kg-CO2/kWh に対して、移設

する 5 号機は 0.67kg-CO2/kWh と、古い設備の方が原単位が低い理由は以下のとおりです。

5. 発電所の燃料の種類について

本発電所の燃料は、副生ガス(BFG、COG、LDG)と都市ガスで、表-1に示すようにそれぞれ熱量、

成分が異なるため等価熱量当たりの CO2 原単位が異なります。

CO2 原単位(kg/MJ)は、COG < 都市ガス < BFG < LDG の順となります。

表-1 燃料の種類

副生ガス

燃料の種類 高炉ガス

(BFG)

コークス炉ガス

(COG)

転炉ガス

(LDG)

都市ガス

発熱量(MJ/m3N) 3.13 18.33 7.97 45.0

硫黄分(ppm) 50 100 50 0

灰分(mg/ m3N) 5 5 5 0

CO2 23.7 2.6 15.4 -

CO 19.7 6.7 58.2 -

H2 1.6 56.3 5.4 -

CH4 - 27.4 - 89.60

C2H4 - 2.7 - 5.62

N2 55 4.1 21 -

C3H8 - - - 3.43

成分

(V/V%)

C4H10 - - - 1.35

CO2 原単位(kg/MJ) 0.097 0.040 0.141 0.050

6. 二酸化炭素の年間排出量と排出原単位について

二酸化炭素の年間排出量と排出原単位を表-2 に示します。

4号機及び5号機に使用する燃料としては、燃焼器の使用熱量範囲の観点から、

4 号機は比較的高カロリーとし、BFG+COG+LDG+都市ガス

5 号機は低カロリーである BFG+COG

を主体的に使用致します。

このことから、CO2 原単位の大きい LDG は 4 号機で多量に使用するため、4 号機の CO2 排出原単

位が高くなっております。

-67-

表-2 二酸化炭素の年間排出量及び排出原単位

現 状 将 来

西発電所 西発電所 項 目 単 位

1 号機 2 号機 3 号機

コンバインド

発電所 2 号機

(予備)

3 号機

(既設)

4 号機

(新設)

5 号機

(移設)

原動力の種類 ― 汽力 同左 同左ガスタービン

及び汽力汽力 同左

ガスタービン

及び汽力 同左

発電端出力 万 kW 8.3 8.3 13.8 15.3 8.3 13.8 25.0 15.3

設備利用率 % 71.2 75.1 81.6 80.7 9.6 76.5 91.2 80.7

BFG 12.6 12.2 12.0 19.1 1.3 13.3 25.0 19.1

COG 0.7 0.7 0.2 1.1 0.0 0.5 1.3 1.1

副生ガス LDG 1.4 2.3 5.8 0.6 0.4 4.8 4.6 0.6

年間燃料 使用量

都市ガス

億 m3N

0.2 0.1 0.3 0.0 0.0 0.2 0.4 0.0

1 基当たり 5.18 5.46 9.86 10.82 0.70 9.25 19.97 10.82年間発電

電力量 合 計 億 kWh

31.32 40.74

1 基当たり 66.97 70.60 111.90 72.77 7.18 103.26 145.26 72.81年間排出量

合 計

万 t-CO2/

年 322.24 328.51

1 基当たり 1.29 1.29 1.14 0.67 1.02 1.12 0.73 0.67 排出原単位

(発電端) 合 計

kg-CO2/

kWh 1.03 0.81

-68-

21. 発電所熱精算について

本事業における発電所の熱精算は以下のとおりです。

投入熱量を 100%としたときの発電所の熱精算の内訳は、図-1 に示すとおりです。汽力発電方式

(1 号機)をコンバインドサイクル発電方式(4 号機)に変更することにより、ガスタービンからの排ガス損

失は 9→13%と 4 ポイント増加しますが、総出力のうち蒸気タービン分の出力が減少するため、復水器

による放熱は 48→38%と 10 ポイント減少します。このため、発電効率は 37→43%と 6 ポイント向上す

ることとなります。

図-1 発電所熱精算の内訳

注:将来の値は、2 号機(予備機)の稼働も含めた値である。

48%9%現 状

将 来

その他損失復水器放熱

(温排水)

排ガス損失 発 電

0%

37%

13% 38% 6%

6%

43%

100%

+4 ポイント

-10 ポイント +6 ポイント

-69-

22. 5号機ガスタービンの入口温度改修について

コンバインド発電所を移設して西発電所 5 号機とする際に、ガスタービンの入口温度を上げる改修

工事が可能か検討した結果は以下のとおりです。

コンバインド発電所(将来 5 号機)は、建設当初に比べ、既に燃焼温度を約 50℃(1,154℃→

1,200℃)上げて運転しております。

これ以上の燃焼温度アップについては、高温部品の冷却構造の変更並びに冷却空気量の増加を

伴うため、ガスタービン自体の大型化が必要になってくることから困難と考えております。