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製品概要 Keysight Technologies 高精度動特性評価・パルスIV評価に対応 B1500Aの波形発生器/高速測定ユニット

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製品概要

Keysight Technologies高精度動特性評価・パルスIV評価に対応B1500Aの波形発生器/高速測定ユニット

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図1. タイムドメイン測定のバリエーション

電流/電圧測定では、パルスや任意波形上の任意のポイントを測定できる機能が、長年、求められてきました。多くの測定アプリケーション(特に最先端の材料やデバイスに関係する測定アプリケーション)の正確な特性評価には、DC電流対電圧(IV)特性だけでなく、AC特性(パルスドIV、ステップドIV、ランプドIVなど)も必要です。また、さまざまなアプリケーションで高度なデバイスの特性評価を行う際に、雑音電流解析をタイムドメインと周波数ドメインで実行できる機能が、ますます重要性を増しています。

従来のパルスド測定ソリューションは、ユーザーが測定器を組み合わせ、パルスまたはファンクションジェネレーター、電流-電圧コンバーター、オシロスコープ(または電圧サンプラー)で構成されています。しかし、これらのタイプの測定ソリューションでは、安定した一貫性のある測定結果を得ることが困難です。その主な原因は、コンポーネントが十分に校正されていないこと、およびシステム全体の校正が行われていないことです。また、複数の測定器で構成される測定ソリューションでは、複雑な配線に起因する大きな測定誤差や個々の測定器の累積誤差が発生しやすくなります。したがって、一貫性のあるデータを収集するためには、仕様が保証された市販の内蔵型ソリューションが必要です。

概要

入力信号 デバイス 応答

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概要(続き)

キーサイト・テクノロジーでは、こうしたニーズに対応するために、B1530A B1500A半導体デバイス・アナライザ用波形発生器/高速測定ユニット(WGFMU)を開発しました。WGFMUモジュールは、パルスおよび線形任意波形生成(ALWG)機能と電流/電圧測定機能が1台に統合されたモジュールです。WGFMUモジュールは、最大200 Mサンプル/sのサンプリングレートで電流または電圧を測定でき、16 MHzの帯域幅を備えています。ALWG機能のプログラム可能な最小タイミング分解能は10 ns、帯域幅は約45 MHzです。こうした機能を備えたWGFMUを使用することにより、上記の高度な材料やデバイスの測定上の問題に対応できます。

本書では、最初にWGFMUの主な特長を紹介します。また、実用的なサンプルに基づいて測定アプリケーションを説明します。より効率的に使用するための技術的なヒントも掲載しています。本書では、以下の内容について説明します。

WGFMUの主な特長

– ALWG機能 – 高速I/V測定 – 操作とデータ処理が容易なソフトウェア – その他のB1500Aの測定機能

アプリケーション

– パルスド測定

– パルスドIV測定 – FETの固有IdVg、IdVd測定(SOI(silicon on insulator)サブストレートで構成されたFET) – 抵抗変化メモリの書込み/消去測定 – 発光ダイオード(LED)とフォトダイオード(PD)のL-I-Vテスト

– パルスドサンプリング測定 – High-kゲートスタックで構成されたFETのIdVgヒステリシス測定 – フラッシュメモリの動的書込み/消去の特性評価

– ステップ応答測定

– 蓄積電荷測定 – 高速C-t測定

– ランプ応答測定

– 変位電流測定 – 超高速CV測定 – 有機電界効果トランジスタ(OFET)のキャリア生成測定

– 測定 – 高速、高精度、長期の電流サンプリング測定

– ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTN)測定 – プログレッシブ遷移測定 – ゲート誘電体の進行性破壊 – 量子ドット配列の電流輸送

– マルチ測定のシーケンス

– 信頼性テストのS-M-S(stress-measure-stress)シーケンス – 負または正バイアス温度不安定性(NBTI/PBTI)テスト – ホットキャリア注入(HCI)テスト – 磁気トンネル接合(MTJ)デバイスのタイムドメイン誘電体破壊(TDDB)

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WGFMUの主な特長

概要

図2に、WGFMUとリモートセンス/スイッチユニット(RSU)を簡略化した回路図を示します。WGFMUのALWG電圧発生機能を使用して作成された波形が、RSUを通して出力されます。RSU

では実際の電流または電圧測定も行われます。WGFMUには、PGモードと高速IVモードの2つのモードがあります。PGモードでは、高速の電圧測定機能と50 Ω出力インピーダンスを組み合わせて、波形の反射を最小限に抑えることができます。高速IVモードでは、PGモードよりも測定速度がわずかに低速で、波形の立ち上がり/立ち下がり時間が遅くなりますが、電流と電圧を測定できます。高速IVモードでは、5つの固定電流測定範囲(1 μA~ 10 mA)が使用でき、測定中にレンジを動的に切り替えることができます。

WGFMUモジュールを使用すれば、5ページの図3に示すように、従来のパルスド測定またはトランジェント測定が非常に簡単に行えます。

従来のシステムでは、校正が不十分なコンポーネントが存在すること、およびシステム全体の校正が行われていないことにより、安定した一貫性のある測定結果を得ることが困難です。また、複数の測定器で構成される測定ソリューションでは、複雑な配線に起因する測定誤差や個々の測定器コンポーネントの累積誤差が発生しやすくなります。これに対して、WGFMUは保証された仕様を持つシングルモジュールです。RSUを被試験デバイス(DUT)の近くに配置することにより、WGFMUの配線が非常に短くなり、簡素化されます。

次ページに、パルスド測定または遷移測定に関するWGFMUモジュールの主な特長と仕様を示します(詳細については、B1500A半導体デバイス・アナライザのテクニカルデータシートを参照してください)。

図2. WGFMUの簡略化した回路図と動作モード

任意波形 発生器

電圧サンプラー

WGFMUモジュール

I/Vコンバーター

出力

PGUモード

高速I/V:I測定モード

高速I/V:V測定モード

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図3. WGFMUがタイムドメイン、パルス、トランジェント、ランプIV測定システムのシステム構成を簡素化

(a) バイアスTおよびシャント抵抗を使用して電流パルスをモニターする

パルスドIVシステム

(c) I/Vコンバータを使用したパルスド、トランジェント、 タイムドメイン電流測定システム

(d) WGFMUを使用したパルスド、トランジェント、 タイムドメイン電流測定システム

(b) 電流プローブを使用したパルスドまたはトランジェント電流測定システム

DC電源/ソース 測定ユニット

パルス/ファンクションジェネレーター

パルス/ファンクションジェネレーター

B1500A半導体デバイス・ アナライザ

増幅器

パルス/ファンクションジェネレーター

パルス/ファンクションジェネレーター

パルス/ファンクションジェネレーター

サンプラー/ オシロスコープ

電流 プローブ

バイアスT

サンプラー/ オシロスコープ

サンプラー/ オシロスコープ

I/Vコンバータ

シャント 抵抗

WGFMUモジュール

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ALWG機能

WGFMUのALWG機能により、波形を可変長のリニアセグメント(10 ns ~ 10,000 ns、10 ns分解能)として生成できます。波形ベクトルのメモリ長は2,048で、WGFMUには、最大512波形で構成された出力シーケンスを作成できるシーケンスメモリがあります。さらに、出力シーケンスに含まれる各波形に最大1012のバーストカウントを持つバーストカウンターを使用でき、持続時間の長いAC信号を出力できます。これらの機能により、WGFMUでは、持続時間の長い波形を出力しながら、非常に急峻な変化を持つセクションも作成できます(図4を参照してください)。

WGFMUモジュールがサポートする出力電圧レンジは、±3 V、±5 V、-10 V~ 0 V、0 V~+10 V

です。出力電圧の分解能も、従来のパルス/ファンクションジェネレーターよりもはるかに優れています(±3 Vレンジでは96 μV、その他のレンジでは160 μV)。これにより、微小に変化するデバイス応答に必要な高精度の入力信号を作成できます。

前述のように、WGFMUには最大512波形から構成された出力シーケンスを作成できるシーケンスメモリがあります(図5を参照してください)。シーケンスメモリを使用すれば、波形データを再利用できるため、波形メモリの消費を最小限に抑えることができます。

また前述のように、出力シーケンスに含まれる各波形に最大1012のバーストカウントを持つバーストカウンターを使用できます。

図4. ALWG機能の可変サンプリング間隔

図5. シーケンスメモリ使用の例

レベル(V)

最小10 ns 最大10,000 s最大2,048ポイント

±5 V、-10 V~ 0 V

または0 V~+10 V

時間

(a) 波形データとシーケンスのセットアップの例

(b) (a)のシーケンスを実行したときの出力波形

波形メモリ シーケンスメモリ ループカウント

波形1

波形2

インデックス511

インデックス0

インデックス1

インデックス2

インデックス3

出力レベル

時間

インデックス0

ループ1 ループ1 ループ2 ループ1 ループ2

インデックス1 インデックス2

波形

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ALWG機能(続き)

これにより、1個のパルスを繰り返すだけで、持続時間の長いAC信号を作成することができます。インデックス間の遷移には50 nsのオーバーヘッドが必要ですが、グリッチはありません。このため、WGFMUでは、非常に急峻な変化を持つセクションを含む持続時間の長い波形を出力できます。

WGFMUは、ALWG機能を使用してパルスシーケンスも出力することもできます。パルスの最小立ち上がり/立ち下がり時間とパルス幅は、出力モード、電流測定範囲、RSUの出力に接続されている負荷など、複数の要因に依存します。表1に、最小立ち上がり/立ち下がり時間(パルスが初期値と最終値の10 %から90 %に移行する際にかかる時間として定義)を示します。これらの立ち上がり/立ち下がり時間を保持することにより、波形のオーバーシュートと歪みが最小限に抑えられます。

参考として、表2にプログラミングされたパルス(0 V~ 5 V)に対して実現可能な最小パルス幅を示します(パルスレベルは設定値の±0.3 %以内)。

表1. WGFMUの最小立ち上がり時間/立ち下がり時間

動作モード 電流測定レンジ

0~ 1 V 0~ 5 V 0~ 10 V

負荷条件

PG - 30 ns 30 ns - 25 pF、オープン

高速I/V 10 mA 80 ns 80 ns 80 ns 25 pF、1 MΩ

1 mA 250 ns 250 ns 250 ns

100 μA 600 ns 600 ns 1.5 μs

10 μA 2 μs 4.5 μs 7 μs

1 μA 6 μs - -

- 35 μs 75 μs 25 pF、オープン

最小立上がり/立下がり時間

表2. 最小パルス幅、±0.3 %のセトリング(0 V~ 5 V)

動作モード 電流測定レンジ 最小パルス幅 負荷条件

PG - 170 ns 25 pF、オープン

高速I/V 10 mA 180 ns 25 pF、1 kΩ

1 mA 500 ns 25 pF、10 kΩ

100 μA 1.6 μs 25 pF、100 kΩ

10 μA 14.5 μs 25 pF、1 MΩ

1 μA 115 μs 25 pF、10 MΩ

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高速電流/電圧測定

WGFMUには、ALWG機能の他に電流-電圧サンプリング回路が内蔵されていて、WGFMUモジュールが任意波形を出力しながら、非常に短い時間間隔で電流または電圧を測定できます。

WGFMUモジュールには1 μA、10 μA、100 μA、1 mA、10 mAの5つの固定電流測定レンジがあります。これにより、WGFMUモジュールで広範囲の測定要件をカバーできます。さらに、測定分解能はレンジの0.014 %、ノイズフロアはレンジの0.2 %です。WGFMUのA/Dコンバーター(ADC)の分解能は14ビットで、通常8ビットADCしか持たないオシロスコープを使用する他社のソリューションに比べて、広いダイナミックレンジが得られます。

WGFMUの最小サンプリング間隔は5 nsです。また、10 ns~ 10,000 sの範囲(分解能10 ns)で可変です。測定メモリ長は1チャネルあたり400万測定ポイントです。

測定ノイズを減らし、測定メモリをより効率的に利用するために、WGFMUにはハードウェアアベレージング機能も備わっています。アベレージング時間は、10 ns~ 20 msの範囲(分解能10 ns)で可変です。図6に、アベレージングの仕組みと測定ノイズ低減の例を示します。

図6. アベレージングの仕組みとアベレージングによるノイズ低減の例

(a) 5 nsプライマリーサンプリングのアベレージング (b) アベレージングによるノイズ低減

レベルアベレージング時間

測定レンジ

アベレージング時間

アベレージング時間(s)

サンプリング間隔

5 nsサンプリング

時間時間

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高速電流/電圧測定(続き)

これまで説明した特長により、WGFMUモジュールでは高速かつ高精度の測定機能が実現され、ユーザーが最適な測定条件を指定することもできます。

WGFMUには、波形上の任意のポイントを測定できるという、もう1つの重要な特長があります(図7

を参照してください)。

例えば、過渡応答を捕捉するために、ステップのエッジを測定できます。波形の特定のタイミングポイントで測定を行うことも可能です。こうした機能により、オシロスコープを使用して波形を捕捉する測定方法に比べて、必要な測定器メモリの容量も、長い波形からデータを抽出するために必要な作業量も、大幅に減少します。

WGFMUは固定の測定レンジ切替えしかサポートしていませんが、ユーザーが測定ポイントごとに使用する測定レンジを指定できます(制御測定レンジ切替えとも呼ばれます)。さらに、1つの波形内で複数のサンプリングレートを指定することもできます。これらの機能により、WGFMUでは高速の大信号応答と低速の小信号応答を同じ確度で捕捉できます。さらに、これを実行する際の測定器メモリの消費量も減少します。

図7. WGFMUは、柔軟な測定タイミング、アベレージング、レンジ変更をサポート

(a) パルスのエッジでの測定

(c) プログラマブルサンプリング間隔と アベレージング時間

(d) 制御された測定範囲

(b) 指定セグメント内の測定

サンプリング間隔

例、1 μAレンジ例、1 mAレンジ

アベレージング時間

プログラマブル測定タイミングスロープでの測定

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優れた操作性とデータ処理を簡素化する内蔵ソフトウェア

キーサイトでは、WGFMU用のWGFMU測定器ライブラリと呼ばれるソフトウェアドライバーを提供しています。このドライバーは、WGFMUのすべての機能を制御でき、波形と測定データを管理できます。

測定器ライブラリは、以下に示すような、さまざまなプログラミングプラットフォームをサポートしています。

– Microsoft Visual Studio .Net(C、C++、C#、Visual Basic) – Microsoft Visual Basic for Application(VBA) – TransEra HTBasic for Windows

– Keysight VEE

– National Instruments社のLabVIEW

サポートされるプログラミング環境の詳細については、『B1530A User‘s Guide』(マニュアル番号:B1530-90001)を参照してください。

キーサイトでは、さまざまな機能を学習できるように、WGFMU用のサンプルプログラムを用意しています。EasyEXPERTで使用するためのサンプル・アプリケーション・テストと、一般的なプログラミングプラットフォームで使用するためのサンプルプログラムの2種類があります。

一般的なプログラミングプラットフォーム用のサンプルプログラムには、ユーザーがカスタマイズ可能なソースコードが含まれています。以下に、サンプルソフトウェアのリストを示します。

– EasyEXPERTアプリケーションテスト – パターンエディター

任意波形の作成と波形上の測定ポイントの指定をサポート – DCストレスによるNBTI/PBTIテスト

高速IdサンプリングとIdVg測定をサポート – ACストレスによるNBTI/PBTIテスト

高速IdサンプリングとIdVg測定をサポート

図8に、パターンエディターのサンプル・アプリケーション・テストのスクリーンキャプチャーを示します。

– 一般的なプログラミングプラットフォームのサンプルソフトウェア

– 高速サンプリング測定

1つの波形でのデュアル測定セットアップをサポート

リニアサンプリングとログサンプリングをサポート

– 高速掃引測定

階段状掃引、ランプ掃引、パルスド掃引をサ

ポート

単一掃引とデュアル掃引測定をサポート – パルスドサンプリング測定

1つの波形でのデュアル測定をサポート

リニアサンプリングとログサンプリングをサポート

– 単一パルスとリニアに増加するパルスステップをサポート

図8. EasyEXPERTパターンエディター・アプリケーション・テスト

時間 レベル

時間とレベルのリストで波形を作成

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優れた操作性とデータ処理を簡素化する内蔵ソフトウェア(続き)

– タイムドメイン・データ・レコーダー

RTNデータ解析ツールを併用したノイズ解析用 – NBTI/PBTI

DCストレスとACストレスをサポート

高速Idサンプリング、階段状掃引、ランプ掃引、パルスド掃引、オンザフライ測定をサポート

ストレスバイアスを印加する前の基準測定と、回復効果を評価するためのストレス後の繰り返し測定をサポート

上記のほか、ランダム・テレグラフ・ノイズ(RTN)用の解析ツールも含まれています(注記:一般的なプログラミング環境のサンプルプログラムでは、外部PCをコントローラとして使用する必要があります。これらのプログラムをB1500Aで直接実行することはできません)。

WGFMUのサンプルプログラムの詳細については、以下のドキュメントを参照してください。 – B1530A ユーザーズガイド(マニュアル番号:B1530-90001) – B1530A Sample Program Learning Kit User's Guide(マニュアル番号:B1500-90503)

WGFMUの測定器ライブラリは、波形データと測定データを名前とインデックスで管理します。この機能により必要な測定データだけを抽出できます。図9に、特定の測定セグメントから測定データを取得する方法の例を示します。

この例のセグメントには、測定エッジでは「Edge」、パルスのトップでは「Top」、パルスのベースでは「Base」という論理名が付けられています。図に示されるように、このシーケンスは複数回繰り返されています。この方式を使用すれば、名前とインデックス(例えば“Edge2”)を指定することにより、パルスの2番目のエッジの測定データを取得できます。この機能により、ポストプロセッシングのデータ解析中に波形のさまざまなセグメントから目的の測定データを抽出する際の作業量が減少するため、測定解析が大幅に簡素化されます。

図9. 測定イベント名を使用した測定結果の取得

時間 時間

時間

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その他のB1500Aの測定機能

B1500A半導体デバイス・アナライザでは、WGFMUモジュールでサポートされている測定に加えて、さまざまな測定が行えます。B1500Aは、ソース/モニターユニット(SMU)およびマルチ周波数キャパシタンス測定ユニット(MFCMU)をサポートしています。SMUの最大出力レンジは200 V/1 A(ハイパワー SMU)、SMUの最小測定分解能は0.5 μV/100 aA(アトセンス/スイッチユニットを使用した高分解能SMU)です。MFCMUは、1 kHz~ 5 MHzの複数の測定周波数をサポートし、中パワーまたは高分解能SMUと、SMU CMU統合ユニット(SCUU)と併用した場合、100 V

DCバイアスを供給できます。これらのモジュールをWGFMUモジュールと一緒にB1500Aに搭載すれば、B1500Aが最先端の材料やデバイスの電気特性評価用の汎用ソリューションになります。さらに、高電圧半導体パルス・ジェネレーター・ユニット(HV-SPGU)も使用できます。このモジュールは、最大±40 Vの振幅のパルスを出力でき、最小パルス幅は50 nsです。

これらの追加モジュールの詳細については、B1500Aテクニカルデータシート(カタログ番号:5989-2785JAJP)を参照してください。

図10. モジュールを搭載したB1500Aの背面図

B1500A半導体デバイス・アナライザ

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アプリケーション例

ここでは、WGFMUを使用したいくつかの実用的な測定例で、WGFMUモジュールを使用して測定上の問題を解決する方法を紹介します。

パルスド測定(パルスドIV、パルスドサンプリング測定)

新材料で作られたデバイスの評価に使用される手法の1つとして、電流測定とパルスド電圧バイアスを組み合わせる方法があります。パルスドバイアス測定の種類は、パルスドIV測定、パルスドサンプリング測定など、さまざまです。

パルスドIV測定

パルスドIV測定では、パルスドバイアス上の指定されたタイミングで電流を測定します。パルスレベルを増加または減少させながら印加して、実際のIV曲線を作成します。

高誘電率(High-k)ゲート絶縁体を持つ金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOS FET)の場合は、SMUなどの従来のDC機器を使用して測定されたドレイン電流ドライブ機能は、境界欠陥でのホールおよび電子トラップにより、パルスドバイアス手法を使用して測定されたものより低くなります(図11を参照してください)。

トランジスタは実際の動作条件ではクロックパルスによりドライブされるので、パルスドバイアスで測定されるIV特性が、デバイスが実環境下で正しく機能しているかどうかを判断するための唯一の手段です。

フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)のピクセルのドライブに使用される有機薄膜トランジスタ(OTFT)またはポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)などの材料から構成されたデバイスの場合も同じです。

パルスドバイアスIV測定は、SOI(Silicon On Insulator)テクノロジー、LCDガラス基板上に作られたCG(Crystal Grade)シリコンTFTなど、絶縁体上に作られたTFTの固有IV特性を評価する場合にも有効です。これらの場合、絶縁サブストレートの熱抵抗が、シリコンの熱抵抗よりはるかに大きくなります。したがって、デバイスの自己発熱のため、DC機器によって測定されるドレイン電流が低下します。実際の動作条件でのIV特性を理解するには、パルスド測定により、トランジスタが加熱される前にドレイン電流を測定する必要があります。

図11. DCおよびパルスドバイアスで測定されたHigh-kゲートスタックを持つFETのIdVd曲線の例

(a) 欠陥順位への電子のトラップ (b) 従来のDC測定とパルスドIV測定によって 測定されたIdVd曲線

新材料を使用したMIS FET

ゲート

トラップ

p-Sサブストレート

キャリア

パルスド

酸化物障壁ゲート誘電体

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パルスドIV測定(続き)

WGFMUは、機器を追加することなくパルスドIV測定が行えます。図12に、WGFMUを使用したパルスドIV測定の接続図とバイアスシーケンスを示します。WGFMUではパルスド電圧バイアスの印加と電流測定を同時に実行できるので、パルスドバイアスをゲート端子とドレイン端子に対して印加できます。これは、ドレイン電流を測定するためにバイアスTで構成されたパルスドIVシステムでは実行できません。

セトリング時間と測定機器の帯域幅も、パルスド測定やトランジェント測定に対する重要な考慮事項です。これらにより、実現できる最小パルス幅と立ち上がり時間が決まります。

表3に、WGFMUモジュールの電流測定のセトリング時間を示します。セトリング時間は、出力電圧が初期値から変化した後、測定値が最終値の±0.3 %以内にセトリングするまでにかかる時間として定義されています。

図12. WGFMUを使用したパルスドIdVd掃引測定の接続と出力シーケンス

表3. 電流測定セトリング時間

測定レンジ セトリング時間(s)

10 mA 100 ns

1 mA 250 ns

100 μA 1 μs

10 μA 10 μs

1 μA 80 μs

(a) WGFMUを使用したパルスドIV測定の接続 (c) パルスドIdVd測定の出力と測定シーケンス

ゲート

ゲート

測定

ドレイン

ドレイン

時間

測定遅延

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パルスドIV測定(続き)

これらの考え方を簡単な例で示します。表3から、10 mAの測定レンジのセトリング時間は100 ns

です。表1から、10 mAの測定レンジでの、高速I/Vモードの最小立ち上がり時間は80 nsです。したがって、最小待ち時間は以下のようになります。

式1

この結果は、パルス幅1 μsでパルスド測定を行う際に、200 nsの必要な待ち時間を減算した後で測定アベレージングに800 nsを使用できることを意味します。図6のチャートから、アベレージング時間800 nsで測定された電流の標準偏差は約3 μAです。測定される電流の再現性を改善するために、下位の電流レンジを使用することも可能です。例えば、1 mAレンジでは、セトリング時間は250 ns、立ち上がり時間は250 nsです。したがって、アベレージング時間には400 nsが残ります。これは、1 mAレンジでは、測定電流の標準偏差が500 nA未満であることを示します。つまりWGFMUモジュールは、1 μsのパルス幅の場合は、1 μA未満の標準偏差で電流を測定できます。

パルスドIV測定は、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード(PD)の光電流電圧(I-L-V)を測定する際に、自己発熱の影響を避けるためにも有効です(図13を参照してください)。

WGFMUのAWLG機能では、単純なパルスだけでなく、さまざまなパルスパラメータを使って複雑なパルスの組み合わせも出力できます。この機能は、抵抗変化RAM(RRAM)、相変化RAM

(PRAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)などの、新しいタイプの不揮発性メモリ(NVM)の書込み/消去特性を評価するときに特に有効です。これらのタイプのメモリセルでは、正しい特性評価のために、複雑な一連のパルス、リセットパルス、プログラミングパルス、測定パルスが必要になる可能性があります。さらに、セルの書込み/消去プロセスの詳細を理解するには、パルスの設定/測定中に電流の測定も必要になります(図14を参照してください)。WGFMUの統合ALWGおよび高速I/V測定機能は、これらの要件を容易に満たし、スイッチング遅延やグリッチが発生することもありません。

図13. フォトダイオードのパルスドL-I-V測定

フォトダイオード

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図14. WGFMUによる抵抗変化メモリ測定の例

図15. パルスドサンプリング測定の例

(a) WGFMUを使用した抵抗変化メモリテストの 接続

(b) 抵抗変化メモリテストの出力と測定シーケンス

抵抗変化 メモリ

リセット パルス

プログラミング中の電流測定

プログラミングパルス

抵抗測定

プログラミング後の抵抗測定

時間

(a) WGFMUを使用したパルスドサンプリング 測定の接続

(b) パルスドサンプリング測定の出力と測定シーケンス

ゲート

ドレインドレイン電圧

ゲート電圧

ソース

時間

電流サンプリング

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パルスドサンプリング測定

パルスドサンプリング測定は、パルスを被試験デバイスに印加しながら電流を測定する、もう1つの一般的な測定手法です(図15を参照してください)。

パルスドサンプリング測定は、デバイスの時間依存特性をパルスドバイアスの関数として表示するために使用できます。High-kゲート誘電体MOS FETの場合、ゲート誘電体での電子トラップがしきい値電圧に影響を与え、ドレイン電流を減少させます。標準的なDC測定法ではこれらのデバイスの正確なIdVg特性が得られないので、これらのデバイスを正確に評価するために、一連のパルスド測定を実行して、各パルスのあいだにドレイン電流を測定する必要があります。ゲート誘電体のトラップ密度が大きい場合、IdVg曲線のドレイン電流は、トラップされた電子に起因する劣化により、図16のようなヒステリシスを示します。これは、ゲート誘電体の欠陥密度が大きいことの指標になります。低下したドレイン電流の時定数から、電子トラップの時定数を評価できます。

図16で、IdVg曲線はパルスの立ち上がり/立ち下がりエッジで捕捉されます。これには、ランプレートと電流範囲がWGFMUの応答速度を超えないように慎重に選択する必要があります。

立ち上がり/立ち下がりエッジで測定する場合は、各サンプリングポイントでの遅延を理解することが、サンプリング間隔、アベレージング時間、測定範囲を決定するための鍵となります。

WGFMUの測定遅延は、図17に示すように、測定回路に固有の遅延に起因したものです。

図16. 単一パルスを使用して捕捉されたHigh-kゲート誘電体MOS FETのIdVgヒステリシス曲線

図17. 測定器の制限による立ち上がり時間測定誤差

アップ

ダウン

入力波形測定された波形

レベル

振幅の90 %

入力波形の 立ち上がり時間

測定された波形の 立ち上がり時間

振幅の10 %

時間

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パルスドサンプリング測定(続き)

遅延時間は、測定器の帯域幅によって決まります。表4に、各測定レンジのWGFMUの電流測定帯域幅(-3 dBポイント)を示します。

通常、測定回路の遅延時間trsは、以下の式を使用して評価できます。

式2

ここでBWは、-3 dB減衰ポイントによって定義された測定器の帯域幅です。合計遅延時間は、以下の式を使用して計算できます。

式3

ここでtriは入力信号の立ち上がり時間、trsは測定器の遅延時間、trmは測定された遅延時間です。WGFMUモジュールの10 mAレンジでは、電流測定帯域幅は、表4により約16 MHzです。この帯域幅値と式2および3から、約22 nsの測定器の遅延時間が得られます。これは、WGFMUが160 ns

までのゲート遅延を、1 % 未満の誤差で測定できることを意味しています。

パルスのエッジで実行されるサンプリング測定の場合、サンプリング間隔は、上記の手法を使用して決定された立ち上がり時間に等しくなります。つまり、パルスのエッジで10個のサンプルを取り込む必要がある場合、10 mAの測定レンジで1 %未満の誤差を達成できる立ち上がり時間/立ち下がり時間は、1.6 μsです。

この手法は、フラッシュ・メモリ・セルの動的書込み/消去特性の測定にも使用できます。半導体ディスクドライブ(SSD)などの高密度半導体メモリに対する需要の伸びから、フラッシュ・メモリ・メーカーでは、マルチビットまたはマルチレベルセル(MLC)テクノロジーを使用する傾向にあります。

MLCでは、制限された電圧レンジ内に複数のプログラミングステートを共存させる必要があります。このため、プログラミングステート間の十分なマージンを保持して、メモリセルのステータスを読み取れるようにするには、しきい値電圧(Vth)の正確な制御が必要です(図18を参照してください)。

表4. 各測定範囲の電流測定帯域幅

測定レンジ 帯域幅(-3 dB)

10 mA ~ 16 MHz

1 mA ~ 8 MHz

100 μA ~ 2.4 MHz

10 μA ~ 600 kHz

1 μA ~ 80 kHz

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パルスドサンプリング測定(続き)

さまざまなステートのVth分布を縮小して、プログラムされたステートを正確に読み取るための十分なマージンを保持できるようにするために、プログラミング/検証(P&V)方式が使用されます(図18

を参照してください)。P&V方式では、プログラミングの直後に検証が実行されます。

ただし、図19に示すように、電荷の注入または劣化回復によってプログラミング後にVthのシフトが発生する可能性があります。

目標範囲内にあることをP&V方式で検証後、メモリセルのVthがシフトすると、P&V方式が期待通りに機能せず、Vth分布が目的のリミットを超える場合があります。このため、プログラミング後にドレイン/ソース電流が安定していることを確認することが重要になります。WGFMUを使用すれば、1 μs未満のサンプリングレートでμA電流レベルの評価がサポートできるため、これが可能になります(図20を参照してください)。

WGFMUを使用したフラッシュメモリのテストの詳細については、アプリケーションノートAN

B1500-12『1 μs IV Characterization of Flash Memory Cells using the B1530A』 (カタログ番号:5990-3636EN)を参照してください。

図18. 厳密なVth制御のためのプログラミング・検証(P&V)方式

(a) P&V手順 (b) P&Vが必要のないVth分布 (c) 狭いマージンによりP&Vが必要なVth分布

スタート

プログラム

読み取りおよび検証

プログラム?

終了

いいえ

マージン

マージン

セル数 セル数

はい

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ステップ応答測定

WGFMUは、ステップ電圧の印加中にデバイスに流れる電流を測定できます。このステップ応答測定の1つの用途は、遅延の測定です(17ページの図17を参照してください)。

このWGFMUステップ応答測定機能のもう1つの用途が、時間変化するキャパシタンス(C-t特性)の測定です。WGFMUは、μsのタイミング分解能でC-t測定が行えます。

ステップ電圧によってキャパシタに注入される電荷は、以下に示す式によって表されます。

式4

式5

Cが小さいバイアス電圧変動(ΔV)に対して一定の場合は、式5を以下のように単純化できます。

式6

ここでΔQは注入された電荷、Cはキャパシタンス、ΔVはステップ電圧の振幅です。これらの結果から、注入された電荷の変動を使用すれば、時間変化するキャパシタンス(C-t)を測定できることがわかります。C-t測定を使用して、半導体デバイスで使用されるゲートまたは層間絶縁膜の境界トラップ密度を評価できます。これは、マイクロホン、加速度センサなどの容量性MEMS(micro

electro mechanical systems)の応答の測定にも使用できます。

図19. フラッシュメモリのプログラミング中とプログラミング後の動的Vthシフト

図20. WGFMUを使用して実行されたId測定(500 nsサンプリングレート)の例

(a) WGFMUを使用したフラッシュ・メモリ・セルの書込み/消去特性評価用の接続

(b) 書込み/消去特性評価の出力シーケンス

ドレイン

ゲート

ソース

1: フローティングゲートに注入された電荷によるVthのシフト

2: 劣化回復またはフローティングゲートからの電荷の漏れによるVthシフト

サブストレート

読み取りプログラム

時間[μs]

Id[μ

A]

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ステップ応答測定(続き)

ステップ電圧を時間変動するキャパシタンスに印加したときの電流は、以下に示す式で表されます。

式7

ここでIcはキャパシタに流れる電流です。式7から、以下の式を使用してC(t)を計算できます。

式8

WGFMUは、5 nsのサンプリング間隔で電流を測定し、測定された電流の平均値を計算できます。この機能を使用すれば、式8の積分を、以下に示すようにサンプリング電流とサンプリング間隔の乗算により得られた総和近似値で置き換えることができます。

式9

ここでtは積分の期間、Nはこの期間に取り込まれる総サンプル数、Icnは間隔nで測定された電流、Δtはサンプリング間隔です。最適な確度を得るには、サンプリング間隔とアベレージング時間を等しくして、測定電流の不連続部を回避する必要があります。

このような測定では、適切な電流レンジ、サンプリングレート、アベレージング時間、ステップ電圧立ち上がり時間を選択することも重要です。これらはキャパシタとその応答時間に基づいて選択する必要があります。

図21に、高速成分と低速成分を持つキャパシタのC-t測定の結果を示します。

高速成分は、キャパシタ(Cp)のみでシミュレートでき、低速成分は、キャパシタ(Cs)と抵抗(Rs)を直列接続してシミュレートできます。Cpは約104 pF、Csは100 pF、Rsは1 MΩです。これにより、低速成分の時定数は約10 μsになります。

印加されたステップ電圧の振幅(Vstep)は50 mVで、エッジの立ち上がり時間(Tedge)は1 μsです。これにより、Cpを充電する最大電流を5 μAと予測できます。この場合は、電流測定レンジは10 μAで、サンプリング間隔は100 nsです。アベレージング時間はサンプリング間隔と同じです。

図21bから、Cpがステップ応答の初期部分を支配していること、また、その応答が並列接続されたCp+Cs(予測時定数10 μs)によって決まることがわかります。

WGFMUモジュールには非常に高速のステップ応答を正確に測定できる機能があるため、自動平衡ブリッジ測定法を採用した従来のLCRメータでは得られない情報を取得できます。

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ステップ応答測定(続き)

正確なC-t測定を実現するために考慮する必要がある要因が、複数あります。

ステップエッジでは、キャパシタを充電する変位電流が以下の式によって決定されます。

式10

ここで、Vstepはステップ電圧の振幅、Tedgeは立ち上がりエッジの持続時間です。測定が有効であるには、この電流が、使用する測定レンジ内である必要があります。

表4に示すように電流測定の帯域幅により、WGFMUの応答時間が決まります。例えば、10 μAレンジは600 kHzの帯域幅があります。これを遅延時間の式2および式3と組み合わせれば、以下に示すように約4 μsのタイミング分解能が得られます。

式11

デバイスが大きなステップ電圧に耐えることができる場合、より高い電流測定レンジを使用して高速の応答時間を実現できます。

図21. 高速成分と低速成分を持つキャパシタのC-t測定の結果

(a) 等価回路 (b) 測定されたキャパシタンス

時間(s)

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ステップ応答測定(続き)

さらに、正確な測定には、測定された電流の測定器オフセット電流成分を考慮する必要があります。図22に、10 μAレンジでWGFMUによって測定されたオフセット電流の例を示します。

この例では、測定オフセット電流と変動は仕様内に収まっています。電荷は測定電流の積分によって計算されるため、持続時間の長い測定の場合は、測定電流の値のドリフトが重要です。オフセット電流を考慮すれば、WGFMUによって測定された電流は、以下に示す式によって表すことができます。

式12

ここでImeasはWGFMUによって測定された合計電流、Icは実際にキャパシタに流れる電流、Ioffset

は測定器オフセット電流(キャパシタに実際に流れない電流)です。平均すれば、Ioffsetは定数として近似できるため、計算されたキャパシタンス内のオフセット電流による誤差は、以下に示す式で求められます。

式13

ここで、tは測定の開始からの時間です。重要なのは、キャパシタンス測定の誤差は測定対象のキャパシタンス値には関係しないことです。つまり、比較的小さいキャパシタンス値を測定する場合、適切なオフセット相殺が重要になります。

例えば、100 mVのステップ電圧を使用して100 pFのキャパシタを測定しているとします。この場合、1 nAのオフセット電流によって生じる誤差は、立ち上がりステップエッジから1 ms離れていると、測定された値の10 %になります。

図22. 測定変動を示す10 μAレンジのオフセット電流データ

仕様:±(読み値の0.1 %+レンジの0.2 %)

レンジの0.01 %

電流(

A)

時間(s)

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ステップ応答測定(続き)

図23に、オフセット相殺機能を備えたキャパシタンス測定に必要な測定シーケンスを示します。

測定器のオフセット電流は、オフセット電流ドリフトによる誤差を除去するために、電荷測定の直前に0 Vで測定します。ステップ電圧によって注入される電荷は、以下に示す式で表されます。

式14

ここで、Icはステップでキャパシタを充電するために必要な電流、Δtはサンプリング間隔です。

式12を使用して以前に測定したオフセット電流(Ioffset)を使用することにより、以下の式を使ってキャパシタンスを計算できます。

式15

この場合、オフセット電流が約1.2 nA(フル・スケール・レンジの0.1 %未満)であったとしても、測定されたキャパシタンスは1 msまで安定しています。これは、オフセット相殺が機能していることを示します。長期測定の場合は、オフセット電流がドリフトします(図22を参照してください)。つまり、WGFMUを使用した高速C-t測定法は、数ms未満のキャパシタの高速応答を測定する場合に適しています。

図23. オフセット相殺機能を備えたステップ電圧キャパシタンス測定のシーケンス

(a) WGFMUを使用したステップ電圧キャパシタンス測定の接続

(b) ステップ電圧キャパシタンス測定のシーケンス

時間(s)

オフセット 電流測定

WGFMU CH1の 出力

WGFMU CH2によって 測定された電流

電荷電流測定

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図24. ランプ電圧を使用したキャパシタンスの測定

ステップ応答測定(続き)

Ioffsetは定数であるため、この誤差の影響は大きなキャパシタンスを測定するほど小さくなります。式15のQが大きくなるからです。また、被試験デバイスが大きなステップ電圧に耐えることができる場合、測定されたキャパシタンスの誤差は、ステップ電圧を増加させると減少します。

ランプ応答測定

電流を測定するためにランプ電圧を印加する方法は、変位電流を測定するためのよく知られている手法です。容量性負荷の場合、負荷を流れる変位電流は、以下の式によって表されます。

式16

ここで、Icはキャパシタに流れる電流、Cはキャパシタンス、dV/dtはランプレート(V/s)です。ランプレートが一定の場合、dV/dtの値は一定です。つまり、測定された電流が、負荷の時定数によって決まる遷移時間後、一定になります。

WGFMUは、負荷のインピーダンスが変動する場合でも、(WGFMUの高速I/Vモードの場合と同様に)一定のランプレートでランプ電圧を印加できます。WGFMUは、ランプ中に電流を測定することもでき、MOSキャパシタのCV測定など、バイアス変動のあるキャパシタンス測定に使用できます(図24を参照してください)。

WGFMUの測定速度は非常に高速であるため、シングルランプ掃引測定法を使用して非常に短時間でCV曲線を表示できます。

(a) WGFMUによる変位電流測定の接続 (b) 出力と測定シーケンス

WGFMU CH1によって 印加された電圧

電圧サンプリング

電流サンプリング

時間

WGFMU CH2によって 測定された電流

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ランプ応答測定(続き)

図25に、ランプ掃引測定を実行するための測定シーケンスを示します。

キャパシタの値は100 pFです。電圧は0 Vから+4 Vまで1,000ステップで掃引されます。測定電流レンジは10 μAで、測定間隔とアベレージング時間はどちらも10 μsに設定されています。ランプレートは400 V/sで、測定電流は約40 nAです。オフセットおよびゲート漏れ電流によるドリフトを除去するには、以下に示すように、順方向掃引の電流から逆方向掃引の電流を減算することにより、キャパシタンスを計算します。

式17

式18

式19

ここで、Icfは順方向掃引中に測定された電流、Icrは逆方向掃引中に測定された電流です。Ioffsetは測定器のオフセット電流です。Igleakはゲート漏れ電流で、ゲート電圧の関数であると仮定しています。図26(a)に、測定の結果を示します。

キャパシタンス測定中に周期的なスパイクが発生しています。これらのスパイクは、図26(b)に示すように、A/Dコンバーター(ADC)の積分非直線性(INL)に起因します。WGFMUの場合は、このINLはフルスケールの約0.02 %で、通常の測定では無視できます。ただし、変位電流測定では、測定を非常に短期間に行う必要がある場合は、使用される高速ランプレートによって大きな誤差が生じます。

図25. 高速CV測定シーケンスの例

(a) WGFMUによる変位電流測定の接続(b) 測定器のオフセット電流とゲート漏れ電流を相殺するための出力と測定シーケンス

WGFMU CH1から 印加された電圧

順方向掃引 逆方向掃引

WGFMU CH2によって 測定された電流

時間

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ランプ応答測定(続き)

これらのスパイクを除去する1つの方法は、RSUの出力にローパスフィルターを接続する方法です。ただし、非スパイク部分のランプレート誤差はまだ1 %未満であるため、これらのスパイクをデジタル的に削除することもできます。最も単純な手順は、測定値の勾配(導関数)を取得して、ピークを検出し、それらを除去する方法です。

図27に、MOS FETのCV曲線の測定結果を示します。

この例では、Vgは-4 Vから+4 Vまで1,000ポイントで掃引しています。測定電流レンジは10 μA

で、測定間隔とアベレージング時間はどちらも10 μsに設定されています。このデータは、WGFMUが1,000ポイントのCV曲線全体を10 msで測定できることを示しています。自動平衡ブリッジ法を用いた従来型LCRメータよりもはるかに高速です。

図26. DACの積分非直線性(INL)とそのキャパシタンス測定に対する影響

図27. デジタルフィルタリングを使用した超高速CV測定データからのスパイクの除去

(a) 不連続キャパシタンス測定の実験結果 (b) D/Aコンバーター(DAC)の積分非直線性

キャパシタンス(

F)

出力電圧

時間(s)時間(s)

理想の波形実際の波形

1:スロープは設定値よりも高速です。

2:スロープは設定値よりも低速です。

(a) MOS FETの超高速CV測定の接続 (b) フィルターなしとフィルター後の測定結果

キャパシタンス(

F)キャパシタンス(

F)

フィルター処理

1,001ポイント/10 ms

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ランプ応答測定(続き)

変位電流測定は、有機電界効果トランジスタ(OFET)のキャリア生成メカニズムの調査にも使用できます。図28に示すように、多くの研究者が、OTFT電流生成プロセスの調査に順方向掃引と逆方向掃引の変位電流の解析を利用しています。

高速、高精度、長期の電流サンプリング測定

WGFMUには、高速かつ高精度の測定機能のほか、1チャネルあたり約400万ポイントの測定データを記録できる機能もあります。WGFMUの使用により、ランダムノイズ測定、プログレッシブ遷移測定など、長期に渡って発生する小さな高速現象を観察できるようになります。

ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTN)測定

ロジックデバイスのプロセスルールの縮小と動作電圧の低下という2つの要因により、動作マージンが減少し、ノイズ関連誤差の影響が増加しています。22 nmのテクノロジーノードでは、ランダム・テレグラフ・ノイズ(RTN)が、デバイスが機能するための機能の重大なボトルネックとなります。RTNは、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)に最も影響を与えます。SRAM回路は、メモリICに存在するほか、CPU(central processor unit)など、多くのロジックデバイスの重要なコンポーネントにもなっています。SRAMセルは、“0”または“1”のステートで存在します。SRAMセルに十分なノイズマージンがないと、図29に示すように、RTNがランダムなステート変化を引き起こす可能性があります。

図28. 変位電流メカニズムを使用して評価された有機トランジスタのキャリア生成メカニズム

図29. RTNに起因するランダムなSRAMのステート変化

(a) OFETの変位電流測定の接続 (b) 出力シーケンスと測定結果

ソース

有機半導体

ゲート

絶縁体

ドレイン

時間時間

変位電流(A)

(a) SRAMでのMOS FETのRTN (b) RTNによるSRAMのランダムのステート変化

ワードライン

時間

データライン

SR

AMステート

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ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTN)測定(続き)

また、CMOSイメージセンサ(アクティブ・ピクセル・センサとも呼ばれます)では、RTNが、ダークエリアにあるピクセルに間違った白い点を発生する可能性があります。形状が小型化し続けているため、ピクセルデータの読み取りに使用される回路へのRTNの影響が、ますます深刻化しています(図30を参照してください)。

B1500AのWGFMUモジュールのノイズフロアは0.1 mV(rms)未満で、電流測定機能のサンプリン

グレートは1 Sa/s ~ 200 MSa/s、帯域幅はDC~ 16 MHzです。これらの機能と1チャネルあたり最高400万ポイントを記録できる大容量の測定メモリを組み合わせることで、B1500AのWGFMUモジュールではRTNを1 Hz未満から数MHzの広い周波数レンジで測定できます。

正確なRTN測定には、測定器の性能、DUTの特性、環境ノイズなど、さまざまな要因を考慮する必要があります。次のセクションでは、これらの要因の影響を考慮する方法について説明します。

- 測定器と環境の雑音

RTNが電流測定のノイズフロアより低いと、RTNを観察できません。図31に、B1500A WGFMU

モジュールの電流測定レンジのノイズフロアを示します。明らかに、測定を行うには、十分なノイズフロアを持つ測定レンジを選択する必要があります。

注記:このデータは、WGFMUの補足特性の一部で、保証されたモジュール仕様ではありません。

図30. RTNに起因するCMOSイメージセンサのランダム・ピクセル・ノイズ

リセットライン

生バスイメージ

ピクセルノイズ

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ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTN)測定(続き)

さらに、振動、電磁波障害などの他の環境要因がRTN測定に影響を与える場合があります。振動関連のノイズを除去するには、適切な振動除去機能を持つ半自動ウエハープローバーを使用する必要があります。電磁波障害を除去するには、電流測定ループをできるだけ小さくする必要があります。電流ループは、WGFMUモジュールとRSU間のケーブルを束ねて、サブストレートとソースパッドをゲートとドレインに向かう信号ラインのシールドに接続してDUT近傍に電流リターンパスを作成することにより、最小限に抑えることができます。

- サンプリングレート

測定電流ノイズは、測定アベレージングによって低減できます。アベレージングを使用してこのノイズを減少させる例が、図6に示されています。アベレージング時間を長くすれば、測定される電流のノイズがさらに減少します。ただし、サンプリングレートが電子の捕獲/放出の時定数より長い場合は、RTNが測定できません。

低電流の測定レンジを使用すれば、測定電流のノイズフロアも減少します。この場合、電流測定回路の帯域幅によってRTNの周波数成分の上限が決まります。

- 電流測定帯域幅

電流測定の帯域幅により、測定できるRTNの最大周波数レンジが決まります(注記:実際の帯域幅は、配線とデバイスからの容量性負荷によりさらに悪化する可能性があります)。

低電流レンジの帯域幅は高電流レンジの帯域幅より低いため、電流測定レンジを選択するときには、測定しようとするRTNを検出できる十分な帯域幅があるかを確認する必要があります。

測定器のほか、DUTの特性も考慮する必要があります。

図31. 電流測定ノイズフロア

測定レンジ

周波数(Hz)

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- 測定条件

電子(またはホール)を捕獲し、RTNを生成している境界トラップには、空間分布とエネルギー分布があるため、時定数(すなわち、RTNのレベル)は、MOS FETゲートとドレインに印加されるバイアス電圧に強く依存します。

図32に、さまざまな印加ゲート電圧によるRTNの例を示します。

上の例は、0.44 μm(幅)×0.24 μm(長さ)の寸法、酸化層の厚さ4 nmのNMOS FETです。この例では、ゲート電圧の変化に伴って、RTNのレベルと時定数およびヒストグラムのピーク数が変化しています。

この結果が示すように、さまざまなバイアス条件、電流レンジ、サンプリングレートの組み合わせでRTNを測定する必要があります。このようにして、測定データから、粒界トラップの分布と時定数に関する正確な情報が得られます。

RTNは、絶縁体サブストレート上に作られた単層カーボン・ナノチューブ・トランジスタ(CNT)、ナノワイヤートランジスタ(NWT)などのナノスケールデバイスでも観察されます。ナノチューブのサイズは非常に狭いため、しきい値電圧は、絶縁体欠陥によりトラップされたキャリアの影響を強く受けます。また、しきい値電圧は、分子自体がチューブに付着する場合は、シフトする可能性があります(図33を参照してください)。これらの特性によりCNT/NWTに関心が寄せられ、生化学センサとして使用することが検討されています。

図32. さまざまなバイアス条件で測定されたRTN

タイムドメイン

ヒストグラム時間(s) 時間(s) 時間(s)

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ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTN)測定(続き)

WGFMUモジュールにはサンプルRTN解析ソフトウェアが付属しているため、RTN解析をすぐに開始できます。図34に、このツールによってサポートされるデータ解析機能の例を示します。

このソフトウェアは、B1500AのWGFMUモジュールによって測定されたドレイン電流からタイムドメイン/周波数ドメインの解析を実行し、次に示すパラメータを自動的に表示します。

– RTNレベルのヒストグラム – 視覚化されたタイムドメイン・データとデジタイズされたデータ – デジタイズされた波形とその比から計算された、電子(またはホール)の捕獲/放出の時定数の視覚化

– パワースペクトラム分布

図33. 単層CNTに付着した分子に起因するRTN

図34. RTNデータ解析ツールの機能の例

ソース

分子

ドレイン

ゲート

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プログレッシブ遷移測定

WGFMUの高速電流サンプリング測定機能と大容量測定メモリを、プログレッシブゲート、層間絶縁膜破壊などの時間に依存した遷移現象の測定にも使用できます。時間依存誘電体破壊(TDDB)の測定時に、最終(ハード)破壊の大電流の直前に小電流ピークが観察されています。この現象は、「進行性破壊」と呼ばれ、最終破壊の前触れのメカニズムとプロセスを反映しています。

破壊の開始時に、キャリアが誘電体欠陥に一番近いステートにジャンプし、次に隣接欠陥にジャンプします。これは、「ホッピング伝導」と呼ばれています。時間が進むにつれ、電流パスが最終的に反対の電極に到達します。電極間に小電流パスが確立されると、より大きな電流が流れ始めて誘電体が完全に破壊します(図35を参照してください)。

同様の電子/ホールホッピング伝導が、誘電体で形成された量子ドット配列で観察されます。

WGFMUの高速電流サンプリング機能を使用すれば、このタイプの遷移をリアルタイムで観察できます。これは、デバイスの物理現象を理解する際に有効です。

図35. 誘電体の進行性破壊の測定

欠陥ハード破壊

ストレス時間

進行性破壊

誘電体

サブストレート ゲート電流

1:進行性破壊2:ハード破壊

ゲート

(a) 誘電体破壊のプロセス (b) ゲート電流で測定された進行性破壊

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複数の測定シーケンス

WGFMUのALWG機能は、広いタイミング分解能レンジ(10 ns ~ 10,000 s)とシーケンスメモリ機能を使用して、長い波形と短い波形を組み合わせて出力できます。これらの機能は、バイアスストレスを繰り返し適用した後でIV特性を測定する信頼性テストに使用できます。これは、S-M-S(stress-measure-stress)テストとも呼ばれます。S-M-Sテストシーケンスは、NBTI(負バイアス温度不安定性)とPBTI(正バイアス温度不安定性)テスト、ホットキャリア注入(HCI)テスト、時間依存誘電体破壊(TDDB)テストなどの、さまざまな信頼性テストに使用されています。

NBTIおよびPBTIテストが直面する主な課題は動的回復効果で、被試験デバイスがストレスを印加された条件から回復できることです。特性評価測定が完了する前にこれが発生すると、取得されたデータは、デバイスの信頼性の予測に役立ちません。場合によっては、ストレス後の測定を1μs以内に行う必要があります。

WGFMUには高速測定機能が備わっているため、この目的に最適なツールとなっています。

WGFMUのALWGおよび高速I/V測定機能を使用すれば、ほとんどすべての種類の測定シーケンスを作成できます。これには、高速Id測定、高速掃引測定、高速ランプ掃引測定、パルスドIV測定が含まれます。WGFMUでは、これらの測定を任意に組み合わせたS-M-Sシーケンスも作成できます。図36に、WGFMUが提供できるS-M-S

シーケンスの例を示します。

図36. WGFMUでさまざまなNBTI/PBTIテストシーケンスを作成可能

基準

(a) 超高速スポット ID測定 (b) 階段状掃引測定 (c) ランプ掃引測定 (d) パルスド掃引測定

ストレス ストレス ストレス

測定 リカバリー

<1 μs/ステップ

時間

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複数の測定シーケンス(続き)

ストレスが除去された後どれだけすばやく測定を実行できるか以外に、デバイスのライフタイム予測に大きな影響を持つ、別の重要な要因があります。純粋なDCストレスで実行されたNBTIテストでは、ACストレスで実行されたテストよりもデバイスのライフタイム予測がはるかに低くなります。しかし、ACストレスは、デバイスが実環境条件下で実際に経験するストレスをより正確に表しています。つまり、DCストレスのみで実行されたNBTIテストでは、デバイスのライフタイムが過度に悲観的に予測され、この基準でデザインすると、プロセスがオーバーエンジニアリングとなり、収益性に悪影響が出ます。図37は、DCストレスとACストレスでのドレイン電流劣化の結果を比較しています。

これらの結果は、ACストレス測定の結果に基づいたライフタイム予測が、単なるDCストレスに基づいたライフタイム予測よりもはるかに長いことを示しています。WGFMUには、ACストレスを印加する場合、顕著なオーバーシュートなしにACパルスの周波数を50 %デューティーサイクルで1 MHzまでできるという利点があります。

従来のコンポーネントを使用してACストレスを印加できるNBTIシステムを構築するには、パルス・ジェネレーター・ユニット(PGU)、ソース/モニターユニット(SMU)、ストレスと測定を切り替えるスイッチユニットから構成されたラック&スタックシステムが必要です(図38を参照してください)。

このソリューションには、以下の重要な問題があります。 – スイッチング時間が不安定なので、ストレスと測定間の遅延時間が変動します。 – スイッチによって発生する予期しないグリッチが、劣化または回復プロセスに影響する可能性があります。

図37. 実用的な動作条件でデバイスのライフタイムを予測するにはACストレスが必要なことを示したDCとAC NBTIストレス測定の比較

(a) DCストレスNBTIおよびACストレスNBTIの ゲート・バイアス・シーケンス

(b) ACおよびDCストレス条件のNBTIドレイン電流劣化を 比較した結果

ゲートバイアス

DCストレス

デューティー 50 %

デューティー 25 %

ACストレス ACストレス

累積公称ストレス時間(秒)

DCストレス測定

測定

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複数の測定シーケンス(続き)

WGFMUはこれらの問題を解決できるだけでなく、配線接続も簡素化します。WGFMUは、ストレスと測定間の一貫した一定の遅延、およびグリッチのない動作を提供します。デバイスのライフタイム予測の変動をストレスバイアス形状の関数として調査できます。これは、従来のラック&

スタックシステムでは不可能な機能です。

同様に、WGFMUは、ホットキャリア注入(HCI)などの信頼性テスト、図39に示すようなテストシーケンスを用いたMRAMなどの磁気トンネル接合(MTJ)デバイスのTDDBテスト用のS-M-Sシーケンスの作成に使用できます。

WGFMUを使用したNBTIテストの詳細については、アプリケーションノートB1500-10『Ultra-

Fast 1 μs NBTI Characterization Using the Keysight B1500A's WGFMU Module』(カタログ番号5989-9963EN)を参照してください。

図38. WGFMUが提供するシンプルなNBTI ACストレス・テスト・ソリューション

(a) 従来のコンポーネントを使用したACストレスNBTI テストシステムの接続図

(b) WGFMUを使用したACストレスNBTIテストシステムの接続図

ゲート

ゲート

ドレイン

ドレイン

スイッチ

スイッチソース

シンプルな接続

ACストレス後の測定遅延が短い

ACストレスと測定間のグリッチがない

ソース

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図39. 磁気トンネル接合のTDDBストレス-測定-ストレス・シーケンス・テスト

(a) MTJデバイスの構造 (b) MTJデバイスのTDDBテストのストレス-測定- ストレスシーケンス

ビットライン

書込みライン 読取りライン

ストレス ストレス

時間

再生可能ラップ測定ビットラインのストレスバイアス

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まとめ

本書では、B1500A WGFMUモジュールの主な特長について説明しました。WGFMUは、パルスドおよび任意波形発生機能と高速電流/電圧測定機能の独自の組み合わせにより、さまざまなアプリケーションに使用できます。これらの機能を使用した多くの実用的な測定例を説明しました。WGFMUは、正確かつ再現性の高い解析機能を提供する市販の測定ソリューションで、高度な材料を用いる最新デバイスの評価に使用できます。

Keysight B1500A半導体デバイス・ アナライザは、前の機種のKeysight 4155/56シリーズ半導体パラメータ・アナライザと同じ高精度SMUテクノロジーを使用しています。ただし、SMUは、多くの最新デバイスやプロセステクノロジーのニーズを満たすほど高速ではありません。B1500A WGFMUモジュールは、SMUがカバーできない測定エリアをカバーできます。これにより、B1500Aは、事実上、半導体パラメータテストの業界標準ツールとなっています。

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旧版はプロダクトノートB1500A-1です

© Keysight Technologies, 2014 - 2015Published in Japan, July 15, 20155990-4567JAJP0000-00DEPwww.keysight.co.jp