半導体エンジニアのための cv(容量...

50
半導体エンジニアのための CV(容量-電圧)測定基礎 キーサイト・テクノロジー合同会社 アプリケーション・エンジニアリング部門 アプリケーションエンジニア 柏木 伸之 Page 1

Upload: hakien

Post on 18-Apr-2018

635 views

Category:

Documents


22 download

TRANSCRIPT

Page 1: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

半導体エンジニアのための CV(容量-電圧)測定基礎

キーサイト・テクノロジー合同会社

アプリケーション・エンジニアリング部門

アプリケーションエンジニア

柏木 伸之

Page 1

Page 2: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

これからCV測定を始める方へ

Page 2

CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定手法です。

本セミナではCV測定の重要性、基礎、測定テクニックについてご紹介いたします。

Page 3: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

目次

Page 3

• CV測定とは?CV測定から得られるデバイス・パラメータ

• 容量測定の基礎

• CV測定の測定テクニック

Page 4: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

容量(静電容量)とは

Page 4

静電容量(C) = 単位電圧あたりの蓄えられた電荷

L: 長さ

W: 幅

d: 厚さ

V

電極

誘電体

プラスの電荷

マイナスの電荷

A: 面積 e: 比誘電率

A: 面積

e0: 真空の誘電率

d

W

d

AC 00 L

eeee

CVQ

Q: 電荷

V: 印加電圧

電荷と印加電圧との関係

誘電率と機械的寸法との関係

Page 5: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

半導体デバイスの主な構造

Page 5

• 構造に起因する各端子間の容量は製造プロセスに対して重要な情報です

• これらの容量(寄生容量)は回路の動作スピードに影響を及ぼします

ゲート絶縁膜

ソース ドレイン

ゲート

基板(サブストレート)

L

W

d Cgb

Cgs Cgd

ゲート・ソース オーバーラップ

ゲート・ドレイン

オーバーラップ

MOS FET 配線間

Cgb: ゲート・基板間容量

Cgd: ゲート・ドレイン間容量

Cgs: ゲート・ソース間容量

層間絶縁膜 d

層間絶縁膜の厚さが配線間容量に影響します

絶縁膜の厚さがゲート・基板間容量に影響します

オーバーラップの幅がゲート・ドレイン間容量、ゲート・ソース間容量に影響します

Page 6: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

CV測定から得られるデバイス・パラメータ例 MOS構造デバイス

Page 6

CdCoxCoxCd

minc

CoxCmax

Vg

高周波CV

低周波CV

Vth

N-MOS Cap

空乏層

ゲート絶縁膜 Ld

Vg Cd

Cox

p-Si

CminとCVカーブの外挿から

しきい値電圧が得られます

高周波(>1kHz)と低周波(<10Hz)のCVカーブから界面準位密度分布が得られます

Cmax とCminから不純物濃度プロファイルが得られます

Cmaxからゲート絶縁膜の厚さ情報が得られます

MOSキャパシタ(MOS-FET)のCV測定により、製造プロセスやデバイス特性に関する重要なパラメータを得ることが出来ます

Page 7: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

Re|Z|

Im|Z|

PN接合の接合部

(空乏層)

N-type

P-type

残留抵抗

+

-

光電流

接合容量

接合リーク

0.E+00

2.E+13

4.E+13

6.E+13

-5.0 -2.5 0.0 2.5 5.0

Voltage [V]

1/C

p2 [

F-2

]

157

158

159

160

161

162

163

0 200 400 600 800

Vpp [mV]

Cp [n

F]

Re|Z|

AC Level (mVpp)

太陽電池の回路モデル

Drive-level Capacitance Profiling (DLCP) Mott-Schottkyプロット

CV測定から得られるデバイス・パラメータ例 太陽電池(ソーラーセル)

Page 7

1/Cp2 と電圧の関係

(Mott-Schottkyプロット)から電荷密度分布が得られます

CpとAC電圧振幅の関係から欠陥密度分布が得られます

Im|Z

|

Rp Rs

C

インピーダンスの周波数特性から動的な振る舞いが見えてきます

ナイキストプロット

Rs Rp

0

Page 8: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

CV測定から得られるデバイス・パラメータ例 MEMSセンサーの静電容量測定

Page 8

• MEMSセンサーの機械的特性が静電容量測定から得られます。

• 機械的圧力よりも電気的な容量測定の方が構成が簡単になり、高速にテストを行うことが可能です。

• また周波数特性から応答速度のテストが可能です。

固定電極

隔膜

MEMSセンサーの機械的特性を静電容量測定から得ることができます

電界 印加 or 発生電圧

容量

C0

0

機械的圧力

Page 9: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

目次

Page 9

• CV測定とは?CV測定から得られるデバイス・パラメータ

• 容量測定の基礎

• CV測定の測定テクニック

Page 10: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

容量測定の基礎 HFCV測定

Page 10

現在最も広く使われている容量測定方法

自動平衡ブリッジ法

信号周波数 ~数MHz

広範囲のインピーダンス測定が可能

リークの大きいデバイスの測定は苦手

4284A E4980A

B1500A

Page 11: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

容量測定の基本原理 自動平衡ブリッジ法

Page 11

LCUR LPOT HPOT HCUR

A V

LCUR LPOT HPOT HCUR

0 V V

I

I

I

VZ

自動平衡ブリッジ法

各端子の機能を正しく理解することが重要です

仮想接地点

DUT

Page 12: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

4端子対によるケーブル配線(4端子対法)

Page 12

• 芯線とシールドに逆方向の電流を流すことにより誘導結合の発生を抑える。

• シールドにより浮遊容量の 影響を抑える。

• 信号電流ケーブルと電圧測定ケーブルを分けることにより、電圧測定誤差を抑える。

V

DUT

Lc

Lp

Hp

~ A

Hc

CML

CMH

GND

Page 13: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

目次

Page 13

• CV測定とは?CV測定から得られるデバイス・パラメータ

• 容量測定の基礎

• CV測定の測定テクニック

Page 14: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

CV測定における測定誤差要因と低減方法

Page 14

•誤差要因その1:適切な測定パラメータを選択していない

•誤差要因その2:オンウェハー測定特有の誤差

Page 15: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

測定パラメータの選択方法

Page 15

Gat

e

基板(サブストレート)

ソース ドレイン ゲート

Cp Rp

Rs

実デバイスに近い等価回路モデル

ゲート端子の抵抗

基板へのリーク 接合部の抵抗

ビア部分の接触抵抗

状況 測定パラメータ

RpRs

CpRs

1

AND Cp Rp

Cp-Rp

Cp-G

Cp-D

Cp-Q

RsRp

AND

CpRp

1

Cs

Rs

Cs-Rs

Cs-D

Cs-Q

Zc>10kΩの時 Cp

Zc<10Ωの時 Cs

MOS-FET

ゲート側

Page 16: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

誤差要因その1 適切な回路モデルを選択していない

Page 16

実際のデバイス

Cp Rp

Cs

Rs

測定パラメータ

Cp-Rp

Cs-Rs

Cp-Rp

Cs-Rs

測定値

222

232

1 RsCs

RsCsCsCpm

CsCsm

CpCpm

22

1

CpRpCpCsm

適切な回路モデ

ルを選択していないことにより生じる誤差項目

適切な回路モデルを選択することで

測定誤差を低減できます。

簡単な判断方法:

測定周波数を変化させても容量値が変化しない場合、現状の回路モデルで問題ありません

Page 17: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

誤差要因その2 オンウェハー測定特有の誤差

Page 17

測定器

DUT

(1)

(2)

(1)DUTまでの距離が長い → 寄生インピーダンスの影響

(2)DUTがチャック上にある → ノイズの影響

ノイズ

寄生インピーダンス

Page 18: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

誤差要因その2 オンウェハー測定特有の誤差

Page 18

測定器

DUT

(1)

(2)

(1)DUTまでの距離が長い → 寄生インピーダンスの影響

(2)DUTがチャック上にある → ノイズの影響

ノイズ

寄生インピーダンス

Page 19: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

信号経路の寄生成分の影響を低減するためには?

Page 19

寄生インピーダンスの

影響を抑える。

残った分については

補正で取り除く。

適切な

ケーブル配線

オフセット

容量補正

Page 20: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

2端子法

Hc

Hp

Lc

Lp

被測定物 V

A

被測定物 Co

A.接続方法 B.回路

Ro Lo

Ro Lo

CoとLoが測定に影響

ケーブル接続方法と誤差要因

20

Page 21: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

ケーブル接続方法と誤差要因

21

3端子法

Hc

Hp

Lc

Lp

被測定物 V

A

被測定物 Co

A.接続方法 B.回路 Ro Lo

Ro Lo

Coを除去

Loの影響は残る

Page 22: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

ケーブル接続方法と誤差要因

22

シールデット2端子法

V

A

被測定物 i i

Ro Lo

Ro Lo

Hc

Hp

Lc

Lp

被測定物

A.接続方法

Co

Coを除去

Loも除去

Page 23: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

ケーブル接続の実際

23

プローバ 容量メータ

Tアダプタで 2端子に変換

BNC-Triax アダプタを使用

V

Lc

Lp

Hp

~ A

Hc

CML

CMH

Page 24: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

24

1. ストレート

2. コモン・オープン

3. ガード・オープン

もっとも適切なアダプタは?

Page 25: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

25

2. コモン・オープンの場合

ACガード(外部導体)がどこにもつながらない

V

Lc

Lp

Hp

~ A

Hc

CML

CMH

Page 26: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

26

2. コモン・オープンの場合

ACガードをつなげばOK

V

Lc

Lp

Hp

~ A

Hc

CML

CMH

Page 27: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

27

3. ガード・オープンの場合

Co

ケーブル容量が除去できない

V

Lc

Lp

Hp

~ A

Hc

CML

CMH

Page 28: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

28

1. ストレートの場合

コネクタプレートで

ACガードがつながる

3端子法となり

Coも除去できる

先端でガードを繋げればさらにGood

V

Lc

Lp

Hp

~ A

Hc

CML

CMH

Co

Page 29: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

29

OPEN/SHORT補正

ケーブルのインダクタンス、浮遊容量を取り除く

Rs Ls

Co Go

Hc

Hp

Lp

Lc

Zm

残留インピーダンス(Zs)

ケーブルの残留分

浮遊アドミタンス ( Yo )

校正面

被測定物

ZDUT

Page 30: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

30

OPEN/SHORT補正

浮遊容量を除去

Rs Ls

Co Go

Hc

Hp

Lp

Lc

Yo OPEN

Rs Ls

Co Go

Hc

Hp

Lp

Lc

Zs

短絡(SHORT)

OPEN補正

ケーブルインダクタンスを除去

SHORT補正

常に実行

高周波(>100kHz) 大容量(>1nF)で実行

Page 31: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

31

補正さえすればケーブル接続は何でもよい?

補正後ケーブルが動けば誤差が生じます

できる限り3端子法、シールデッド2端子法を保つ

Page 32: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

32

シールデッド2端子法が必要な場合は?

ケーブルインダクタンスの大きさ(目安)

ケーブル1m ⇔ 1uH ケーブル10cm ⇔ 100nH ケーブル1cm ⇔ 10nH

覚えましょう

ケーブルインダクタンスを除去する必要があるか

Page 33: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

33

インピーダンスチャートで考えてみよう

lZl=2pfL

For C:

For L:

lZl=1/(2pfC)

10 100 1K 10K 100K 1M 10M 100M 1G

10M

1M

100K

10K

1K

100

10

1

100m

Frequency (Hz)

Impedan

ce (

Ohm

s)

160kΩ

6.3Ω

1pF、1MHzの場合

3端子法で十分

Page 34: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

34

インピーダンスチャートで考えてみよう

lZl=2pfL

For C:

For L:

lZl=1/(2pfC)

10 100 1K 10K 100K 1M 10M 100M 1G

10M

1M

100K

10K

1K

100

10

1

100m

Frequency (Hz)

Impedan

ce (

Ohm

s)

16Ω

6.3Ω

10nF、1MHzの場合

3端子法では誤差大

Page 35: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

35

シールデッド2端子法にすると・・

lZl=2pfL

For C:

For L:

lZl=1/(2pfC)

10 100 1K 10K 100K 1M 10M 100M 1G

10M

1M

100K

10K

1K

100

10

1

100m

Frequency (Hz)

Impedan

ce (

Ohm

s)

16Ω

6.3Ω 0.63Ω

10nF、1MHzの場合

シールデッド2端子ならOK

Page 36: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

36

周波数を下げてみる

lZl=2pfL

For C:

For L:

lZl=1/(2pfC)

10 100 1K 10K 100K 1M 10M 100M 1G

10M

1M

100K

10K

1K

100

10

1

100m

Frequency (Hz)

Impedan

ce (

Ohm

s)

16Ω

6.3Ω

10nF、100kHzの場合

160Ω

0.63Ω

周波数を下げると効果大

Page 37: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

誤差要因その2 オンウェハー測定特有の誤差

Page 37

測定器

DUT

(1)

(2)

(1)DUTまでの距離が長い → 寄生インピーダンスの影響

(2)DUTがチャック上にある → GNDへのリーク, ノイズの影響

ノイズ

寄生インピーダンス

Page 38: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

チャックの拾うノイズの影響を低減するためには?

Page 38

容量測定器

A

大きなチャックによりノイズを拾う

ウエハーチャック

A

CMLをチャックに接続すると、チャックで拾われたノイズが直接電流計に入る。このためノイズの影響を受けやすくなる。

CMLをゲート側に、CMHをチャック側に接続する。

CML

CMH

Page 39: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

接続を変更した場合の測定例

Page 39

0.00E+00

1.00E-11

2.00E-11

3.00E-11

4.00E-11

5.00E-11

6.00E-11

-5.5

-4.4

-3.3

-2.2

-1.1 0

1.1

2.2

3.3

4.4

5.5

Cap

(F

)

Vg (V)

CMLをチャック側に接続

10k Short

10k Medium

10k Long

100k Short

100k Medium

100k Long

1M Short

1M Medium

1M Long

CMHをチャック側に接続

0.00E+00

1.00E-11

2.00E-11

3.00E-11

4.00E-11

5.00E-11

6.00E-11

-5.5

-4.5

-3.5

-2.5

-1.5

-0.5

0.5

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

Vg (V)

Cap (

F)

10k Short

10k Medium

10k Long

100k Short

100k Medium

100k Long

1M Short

1M Medium

1M Long

測定値がばたついています

Low端子をチャック側に接続した場合 High端子をチャック側に接続した場合

Page 40: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

HFCV測定のポイント

Page 40

オンウェハー測定

特有の問題

誤差要因 対処方法

DUT - 測定器が離れている。

残留インダクタンス

寄生容量

延長部分は極力短く。できればシールデット2端子で。

Open補正を行う。

周波数を下げてみる。

DUTがチャック上にある。

チャックノイズ CMLをGate, CMHをチャックに接続

適切なモデルを選択する (Cp-Rp, Cs-Rs)

Page 41: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

41

High-Low CV法による界面準位密度の評価

高周波CV(>1kHz)

低周波CV(<1kHz)

CdCoxCoxCd

minc

CoxCmax

Vg 蓄積領域 反転領域

SMUで測定(QSCV法) 超低周波CV測定

LCRメータで測定

Page 42: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

42

LCRメータの低周波CV測定が難しいわけ

E4980A 測定確度

• 高インピーダンス • 小信号レベル(数10mV)

低周波の半導体容量測定

電流が非常に小さく 測定が不可能

10%

1%

10%

1%

Page 43: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

43

• SMUからステップ電圧を印可

• 𝑄 = 𝐶𝑉 ↔ 𝐼 = 𝐶Δ𝑉

Δ𝑡 より容量を求める

QSCV(Quasi-Static CV)とは

t

V

V

i

ΔV

Cinteg

C

リーク測定

リーク測定

SMUによる 微小電流測定

低周波の容量測定が可能

Page 44: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

44

• 積分時間の調整が難しい

• アベレージングによるばらつき低減が難しい

• DCバイアス点を細かくできない

• 周波数が厳密に決まらない

QSCV 測定の欠点

蓄積領域 反転領域

t

V

ΔV

Cinteg

リーク測定

リーク測定

ACで, 評価したい!

Page 45: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

45

B1500A/B1505A + FG 超低周波CV測定ソリューション

V

t

SMU1

SMU2

Gate

Substrate

電流測定

サイン波印加

積分時間 Wait時間

FG印加波形

SMU1電流測定

FG

電圧測定

SMU2 電圧測定 SMU2

SMU1

FG

周波数“10mHz~20Hz

Page 46: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

46

B2900Aによる超低周波インピーダンス測定

• B2900Aシリーズ1台で、IV測定もCV測定もカバー!

• 周波数1 mHz~1 kHz

C-Vプロット Cole-Coleプロット

Page 47: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

超低周波CV測定結果(SiC MOSキャパシタ)

47

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

-6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1

C [

pF]

Vg [V]

1MHz (LCRメータ)

100kHz (LCRメータ)

10kHz (LCRメータ)

1kHz (LCRメータ)

10Hz (超低周波CV)

1Hz (超低周波CV)

QSCV

超低周波CVは周波数依存性が測定可能!

デバイス提供: 産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター様

Page 48: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

容量測定を実現する測定器

E4980A LCRメータ

20Hz to 2MHz, ±40Vdc

E4990A インピーダンス・アナライザ

20Hz to 120MHz, ±40Vdc

B1500A 半導体パラメータ・アナライザ

1kHz to 5MHz, ±100Vdc

B2900A ソース・メジャー・ユニット

1mHz to 1kHz, ±200Vdc

Page 48

Page 49: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

容量測定器選定のポイント • 周波数分解能

周波数掃引測定による正確な評価のためには、少なくとも2桁の分解能が必要。理想は3桁

• AC信号レベル

半導体容量測定は通常20~30mVrmsを使用する。小さい信号レベルで正確にAC

信号が出力できること

• DCバイアス

CV測定に十分なDCバイアス分解能、確度を備えていること

• 測定確度

半導体容量はpFオーダの小容量であることが多いため、特に高インピーダンス領域の測定確度が高いこと

• 補正機能

ケーブルの誤差成分を完全に除去するためにはOPEN/SHORT/LOAD補正機能を備えていることが必要

Page 49

Page 50: 半導体エンジニアのための CV(容量 電圧)測定基礎“れからCV測定を始める方へ Page 2 CV測定は、デバイス評価において幅広く使用されている測定

まとめ

Page 50

•適切なモデルを選択しましょう。

•ケーブル接続と補正に注意してください。

•超低周波CV測定ソリューションは、LCRメータでは測定できないエリアを精度よく測定することが可能です。

容量測定は、キーサイトにお任せください