lng調達の現状と課題 - meti.go.jp · 2012年12月12日 小山堅 禁無断転載 3...
TRANSCRIPT
1 禁無断転載
総合資源エネルギー調査会 料金専門委員会
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所
小山 堅
2012年12月12日
LNG調達の現状と課題
資料9
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
2 2012年11月20日 小山堅
世界のLNG貿易量 2011年のLNG貿易は対前年11%の大幅増
輸入面では欧州、アジアなどを中心に各地域で大幅増
輸出面では中東が大幅増
世界の地域別LNG輸入量 世界の地域別LNG輸出量
出所:BP統計各年版より作成
0
50
100
150
200
250
300
350
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
その他
欧州
中南米
北米
中国
インド
台湾
韓国
日本
(10億立米)
0
50
100
150
200
250
300
350
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
欧州・旧ソ連
米州
アフリカ
中東
アジア太平洋
(10億立米)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
3
日本のLNG調達
震災以降、LNGが主要な代替電源になり、発電用LNG需要が急増
長期契約量と輸入量の差:約600万トン(2010年度)⇒約2,400万トン(2011年度)
(出所)GIIGNL、通関統計
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
長期契約量 輸入量 長期契約量 輸入量
2010年度 2011年度
ベルギー
イエメン
ノルウェー
赤道ギニア
ナイジェリア
エジプト
アルジェリア
ペルー
トリニダード・トバゴ
アメリカ
ロシア
オーストラリア
オマーン
カタール
インドネシア
マレーシア
ブルネイ
UAE
100万トン
6,458万トン
7,056万トン
5,878万トン
8,318万トン
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
4
電力・ガス会社のLNG調達
電力会社による2011年度の輸入量は前年度比1,100万トン増
(出所)資源エネルギー庁「電力調査統計」「ガス事業生産動態統計調査」
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
8.0
9.0
10.0
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2010年度 2011年度 2012年度
100万トン
電力会社
ガス会社
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
5
震災後の日本のLNG需要・輸入 2011年度の輸入は前年比で1265万トン(18%)増加 2012年4-10月期の輸入は前年同期比391万トン増の4900万トンに
日本の月次LNG輸入動向
出所:貿易統計等より作成
4,000
4,500
5,000
5,500
6,000
6,500
7,000
7,500
8,000
8,500
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2009
2010
2011
2012
(1,000トン)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
6
増加する火力発電比率、LNG発電比率
(註)準国産電力: 水力・再生可能エネルギーと原子力の合計 (出所)実績、予測とも日本エネルギー経済研究所
21.3 21.6 21.2 21.0 21.5 22.3
23.0 23.6 24.4 24.2 32.3 35.2
12.2 10.5 6.6 7.3
13.6 17.2 22.5 23.1 26.0 25.5
9.5
11.1 11.0 11.1 11.4 11.9 12.6
1.8
11.2 11.2 10.7 10.8 10.3 9.8
0%
20%
40%
60%
80%
100%
FY2007 FY2008 FY2009 FY2010 FY2011 FY2012
石炭
天然ガス
石油等
水力・再エネ
原子力
32% 33% 37% 36% 21% 13% 準国産
電力シェア
自家発
( )内は太陽光・風力 (0.2) (0.2) (0.3) (0.5) (0.3) (0.4)
68% 67% 63% 64% 79% 87% 化石燃料
シェア
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
7
日本向けLNG供給源構成の変化 (2011年度/2010年度)
(出所)通関統計より作成
0
2
4
6
8
10
12
14
16
アラス
カ
ブル
ネイ
イン
ドネシ
ア
マレー
シア
豪州
ロシ
ア
アブ
ダビ
カター
ル
オマ
ーン
イエ
メン
エジ
プト
アル
ジェリア
ナイジ
ェリア
赤道
ギニ
ア
ノルウ
ェー
ベル
ギー
トリニ
ダー
ド
ペル
ー
2010
2011
(百万トン)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
8
日本のLNG輸入におけるスポット・短期調達
(出所)GIIGNL
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
0%
5%
10%
15%
20%
25%
短期・スポット(単位100万トン、左軸) 全輸入量(単位100万トン、左軸) 短期・スポット比率(%、右軸)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
9
日本のLNG価格決定方式の経緯
1969年~(公害対策 + 石油危機以降エネルギー源多様化) 生産・液化コストを反映した固定価格方式
1970年代後半~(石油代替燃料としての位置づけ) 原油価格連動方式(OPEC公示価格、産油国政府販売価格GSP)
1980-1990年代(GSPとスポット価格乖離) 日本の原油輸入平均価格(JCC)連動へ P=A×JCC+B 1986年韓国、1990年台湾、2004年インド、2006年中国、2011年タイ、いずれもJCC連動
1990年代以降 日本向けプロジェクト、Sカーブ採用(当初石油価格低迷時の売主保護)
2006-2007年以降 売り手攻勢で直線型フォーミュラの動き、Sカーブはいったん影を潜める
2010年以降 新規プロジェクトの一部で、新Sカーブ導入
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
10
LNG価格フォーミュラ
(出所)International Gas Union
原油価格連動のイメージ
Sカーブなし Sカーブあり
日本のLNG調達の大半は長期契約によるもの
長期契約価格は基本的に原油価格連動方式 日本の原油輸入平均価格(JCC)にリンク
LNG価格 = 係数 X JCC + 定数 (+Sカーブ)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
11
LNG輸入代金支払いは加速増加
単位: 10億円
(出所)貿易統計データより筆者作成
0
100
200
300
400
500
600
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
FY 2010 FY 2011 FY 2012
2011年度の輸入代金は前年比52%増の5.4兆円 2012年4-10月期の輸入代金も前年同期比24.3%増の3.02兆円
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
12
諸地域の天然ガス価格の比較
(出所)通関統計(日本)、米連邦エネルギー省、Energy Intelligence、Plattsデータより作成
(単位: 米ドル/100万Btu)
日本向けLNG平均
アルジェリア産LNG(フランス)
ロシア産 パイプライン (ドイツ国境)
ニューヨーク・ シティーゲート
ヘンリーハブ
スポット・ アセスメント (Platts JKM)
-
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
1 2 3 4 5 6 7
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
ヘンリーハブ ニューヨーク・シティーゲート ロシア産パイプライン(ドイツ国境) アルジェリア産LNG(フランス) 日本向けLNG平均
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
13
国際天然ガス価格決定方式
ハブ価格が大陸欧州に浸透
? ?
?
石油リンク
ハブ
石油リンク/ハブ併存
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
14
北米シェールガスとLNG輸出計画 LNG輸出のポテンシャルは1億
トン以上(申請2億トン以上)
ルイジアナ州Sabine Pass: 韓国、インド向け販売契約
テキサス州Freeport
ルイジアナ州Cameron
メリーランド州Cove Point
で日本企業が調達のコミットメント
カナダ西海岸のガス開発・LNGプロジェクトに日本企業が参加
12月5日、米DOE委託のLNG輸出影響調査報告書発表。LNG
輸出によって米国に純便益発生と指摘
(出所) “Golden Rules for a Golden Age of Gas, World Energy Outlook Special Report on Unconventional Gas”, International Energy Agency (IEA), 29 May 2012 に筆者加筆
丸紅
丸紅
三菱商事、中部電力 、 東京ガス、
大阪ガス、石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC)
Cordova
三井物産住友商事
伊藤忠商事
住友商事
Liard 国際石油開発帝石 (INPEX)、日揮
日揮
三井物産
Cameron LNG (三菱商事、三井物産)
Cove Point LNG
(住友商事、東京ガス)
LNG Canada
(三菱商事)
Cutbank Ridge
三菱商事
大阪ガス
石油資源開発
(JAPEX)
Permian Basin
住友商事
White River mine
三井物産
Freeport LNG
(中部電力、大阪ガス) 日本企業が関与する LNG輸出プロジェクト
シェールオイル・ガス(確認済)
シェールオイル・ガス(賦存地域)
コールベッドメタン(確認済)
コールベッドメタン(賦存地域)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
15
日本企業の北米LNG関与
• 米国
大阪ガス・中部電力:Freeport LNG プロジェクト(2017年稼働開始予定)から各年間220万トンの液化加工契約 大阪ガス、テキサス州の天然ガス資産取得
三菱商事・三井物産:Cameronプロジェクト(2017年稼働開始予定)より各400万トン/年の商業開発協定(基本合意)
東京ガス・住友商事:Cove Pointプロジェクト(2017年稼働開始予定)から230万トン/年を調達するための協議開始(先行協定)
• カナダ
LNG Canada(キャパシティ2400万トン/年): Shell、韓国ガス(KOGAS)、中国石油(PetroChina)とともに三菱商事が参画。 Cordovaガス田: JOGMEC、三菱商事、東京ガス、大阪ガス、中部電力
Nexenの開発鉱区に国際石油開発帝石(Inpex)・日揮(JGC)参加、LNGプロジェクト化検討
• その他
関西電力、BPから天然ガス価格連動でLNGを長期購入契約(2017年開始) (供給源は北米ではなく、世界各所)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
16
米国における非在来型天然ガスの開発 現状はほぼ半数が非在来型天然ガス
今後はシェールガスの生産量が大きく伸びる見通し
生産コストは$4/mmbtu程度にまで下落
米国のシェールガス資源の附存状況
出所:Halliburton
米国の天然ガス生産見通し
出所:EIA
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
17
シェールガス、非在来型天然ガスの概要
(出所)米連邦エネルギー情報局(EIA)
タイトサンドガス:
浸透性が非常に低い硬質砂岩層に含まれるガス。ガスは水圧破砕工法により生産される。ガス浸透率0.1~0.5md 以下、孔隙(こうげき)率 5~15%、水飽和率30~70%の固く締まった砂層に存在する。
シェールガス:
浸透性が非常に低い硬質砂岩層に頁岩の中に存在しているガス。一般に堆積盆地の沈降部の硬質頁岩中に存在している。タイトサンドガス同様、水圧破砕工法で生産されるが、その適用条件(圧力)はより厳しい。頁岩とは、泥質の堆積岩で、石油や天然ガスの根源岩や帽岩となる。頁岩とは、泥質の堆積岩で、石油や天然ガスの根源岩や帽岩となる。
コールベッドメタン:
石炭鉱床に含まれるガスで、主にメタンからなる。有機物の石炭化の過程で発生したメタンが石炭の分子格子構造の中に吸収されたり、微細孔表面に吸着されたりして存在している。
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
18
大陸欧州での価格決定方式論争
石油リンク vs ハブ 輸出者: 石油リンクを主張⇒(投資回収、天然ガスは石油と同じく炭化水素)
輸入者: ハブ価格導入を主張⇒(競争、価格透明性)
リーマンショック後の需給緩和と二重価格化 2009年の需要減尐
シェールガス革命とスポットLNG流入
石油リンク価格とハブ価格の乖離
既存輸入者の逆ザヤ拡大
E.ONとGazprom:対立と解決模索 ハブ価格の一部導入(2010年)
仲裁裁判所提訴(2011年8月)
石油リンク維持も値下げでとりあえずの収束(2012年7月)
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
19
アジア向けLNG価格決定方式のオプション
ハブ LNGスポット
価格
石油リンク 内容の調整
電力・石炭 リンク
Henry Hub, NBP
アジアでの ハブ
長所
•既に存在 •(現在は)低価格
•国内/域内需給状況反映可能
•利用可能 •現実性高い •電力会社にとって正当性あり
短所
•高ボラティリティ •アジアの需給バランス反映されず
•ハブ自体が存在せず •高ボラティリティ
•高ボラティリティ •(現在は)低流動性
•石油リンクの正当性低下 •アジアの需給バランス反映されず
•ガス会社にとっては正当性低い •電力市場の低流動性
禁無断転載 2012年12月12日 小山堅
20
まとめ
日本のLNG輸入は震災後に電力向けを中心に急増。 2011年度の輸入量は、対前年度比18%増の8300万トン強へ
輸入量急増と共に輸入価格上昇でLNG輸入代金は大幅拡大 2011年度のLNG輸入代金は、前年度比52%増の5.4兆円に
日本のLNG調達の中心である長期契約は原油価格連動による価格決定方式を採用
シェールガス革命による需給軟化で価格下落する米国と原油価格高騰でLNG価格上昇する日本(アジア)で大幅価格差発生
わが国企業による、米国ハブ価格をベースにした価格方式等による新たな調達努力 新規供給源の模索・価格方式の多様化等による調達力強化を目指す動き
しかし当面、わが国のLNG輸入価格は原油価格によって左右される構造が継続する見込み