ngoトーク アジアの障がい児の...
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NGOトークNGOトーク
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吉川 どのような活動をされているのでしょうか。大河内 1999年に㈱デンソーの社会貢献活動として設立されました。2016年度はタイに290台、インドネシアに95台、中国に40台の車いすを障がい児に贈りましたが、累計では約5,000台に達しています。教育を受けていないことで自立できない方を減らそうという思いから、大人ではなく子どもに贈っています。吉川 とても多いですね。気を付けていることはありますか。大河内 日本から新品の車いすを贈るのではなく、現地で流通しているものを購入しています。きちんとその子どもさんのサイズや障がいの程度をアセスメント(診断)して、1台ずつフィッティングして加工してお渡ししてフォローアップするという、世界保健機関(WHO)のガイドラインに沿ったサービスを提供しています。そのためとても労力がいるので寄贈する台数が限られてしまいますが、車いすをただ贈っても使わなければ何の意味もありません。吉川 どの子どもに寄贈するのかは、どのようにして決めているのでしょうか。秋山 タイの場合でお話しますと、タイには77の県があり、特殊教育センターという施設が1県に1つずつあります。その特殊教育センターから「この子はどうですか」という情報をいただき、優先順位別に子どもさんにお会いして話を
聞くことにしてます。2016年度はこのようにして35県に寄贈しました。 インドネシアの場合は、同じような活動をしているアメリカのNGOと活動エリアを分担していますが、タイと同じようにそれぞれの州の機関から情報を得ています。 この他にも、奨学金をお渡ししたり、障がい児がいる学校の施設のバリアフリー化工事を支援したり、地域住民や学校向けの障がい理解セミナーを開いたり、車いすの障がい児同士が交流を深める合宿プログラムなどの「心のバリアフリー化」にも取り組んでいます。
大河内 一方でこの地域の障がい者の皆さまとの交流も進めています。この4月に刈谷市立特別支援学校が開校することから一緒に何かやりたいと思っています。既に安城の特別支援学校さん
と連携して、障がい者の絵画展にも取り組んでいます。 また、名古屋短期大学の寺田恭子先生から指導を受けて車いすダンスの支援もしています。健常者の方と車いすの方とペアになって楽しむ社交ダンスで、重度障がいの方でも健常者と一緒に動くことで健康になりますし、見られることを意識して自信がもてたりするようです。タイとインドネシアで取り組んでいますが、これを刈谷でも広めたいと思います。吉川 スポーツも支援しているそうですね。皆川 愛知万博では車いすバスケの支援、その後は中国との車いす卓球での交流を行ってきました。パラリンピックなどの効果もあり企業が直接多額の資金を支援することが多く、私たちの規模では難しくなりましたので、今年度はボッチャという、カーリングやビリヤードに似たスポーツで交流や障がい者スポーツ理解活動を行っています。革のボールを
使って転がすので障がいの程度に関係なく楽しめますが、パラリンピックの種目にもあるように、ハイレベルになると戦略的に奥が深くて見ごたえがあります。吉川 (ちょっと体験させていただいて)簡単なようで難しいですね!皆川 秋は毎週のようにイベントがあるのですが、そこでもボッチャを体験してもらっています。知ってもらうのはもちろんですが、障がい者の方と交流するのも目的にしています。一緒に同じスポーツを楽しむことで壁が少しずつなくなっていきますね。 海外の活動をきちんと伝えたいと思いながら、イベントはどこかで楽しさを作りたい。でもそうすると活動を伝えるのが難しくなります。毎日が試行錯誤ですね。大河内 このように日本の活動を目に見えるようにしたいですね。今まではほとんど刈谷でしか活動していなかったので、もう少し広げないと私たちの活動
が埋もれてしまいます。私たちの事を知って頂き、イベントを手伝っていただけるボランティアの方を募集すると大勢の方が来てもらえる団体になりたいと思っています。
吉川 今号のさんぐりあはスタディーツアーを特集しています。丹羽 車いすを寄贈しているのは海外なので、寄付していただいた皆様に現場を見て頂く機会がありません。そのためにフレンドシップツアーを行っています。これは3泊4日で土日を挟んだ行程なので、会社員の方にも参加していただけます。実際に車いすを使っている子どもたちに会ったり交流を深めていただいています。 これとは別に、インドネシアにて現在8泊10日のスタディツアーを企画しています。主に学生をターゲットにしたもの
で3月3日から12日までで参加費は14~16万円です。吉川 何か特徴はありますか。丹羽 車いすの組み立てを実際に体験したり、車いすを贈った障がい児と交流したり、ホームステイしたりと盛りだくさんです。このスタディツアーの内容はWAFCAでインターンをした学生が自分たちで企画したものをベースにしています。それを事前学習をしながら参加者自身で作り上げていくのです。事前学習は、どういう動機で参加したのか、このスタディツアーで何をしたいのかを考えながら3~4回行う予定です。吉川 ツアーが終わった後に、先輩から後輩へ口コミで伝わるのが楽しみですね。丹羽 大学では入学したときから就活の話が多く、市民活動への興味や関心が薄れてきているように感じます。私は今までNGOの皆さんから多くのことを教えて頂きました。今度は学生さんにNGOのことを伝えていきたいと思います。吉川 ありがとうございました。
いすを贈るときに気を付けていること
車
内での活動も国
タディツアース
理事が聞くNGOトーク アジアの障がい児の
自立のために認定特定非営利活動法人 アジア車いす交流センター 事務局長 大河内 弘幸さん、 職員 皆川 理恵さん、秋山 和豊さん、丹羽 俊策さん & 認定特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター 理事 吉川 典子
第52回
アジア車いす交流センターは昨年加盟していただいた団体。
英語名Wheelchairs and Friendship Center of Asia
を略したWAFCA(ワフカ)の愛称でも親しまれています。刈
谷市内にある事務局で、4人のスタッフに囲まれてお話をう
かがいました。
左から大河内さん、丹羽さん、秋山さん、皆川さん、名古屋NGOセンター吉川理事
車いすを1台ずつフィッティング
車いすダンス
愛知県刈谷市司町1-2 ふれあいプラザゆうきそう内TEL: 0566-23-5822 FAX: 0566-23-5827 HP:http://wafca.jp/ email: [email protected]
団体概要
認定特定非営利活動法人アジア車いす交流センター
(担当 丹羽輝明)
NGOトークNGOトーク
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吉川 どのような活動をされているのでしょうか。大河内 1999年に㈱デンソーの社会貢献活動として設立されました。2016年度はタイに290台、インドネシアに95台、中国に40台の車いすを障がい児に贈りましたが、累計では約5,000台に達しています。教育を受けていないことで自立できない方を減らそうという思いから、大人ではなく子どもに贈っています。吉川 とても多いですね。気を付けていることはありますか。大河内 日本から新品の車いすを贈るのではなく、現地で流通しているものを購入しています。きちんとその子どもさんのサイズや障がいの程度をアセスメント(診断)して、1台ずつフィッティングして加工してお渡ししてフォローアップするという、世界保健機関(WHO)のガイドラインに沿ったサービスを提供しています。そのためとても労力がいるので寄贈する台数が限られてしまいますが、車いすをただ贈っても使わなければ何の意味もありません。吉川 どの子どもに寄贈するのかは、どのようにして決めているのでしょうか。秋山 タイの場合でお話しますと、タイには77の県があり、特殊教育センターという施設が1県に1つずつあります。その特殊教育センターから「この子はどうですか」という情報をいただき、優先順位別に子どもさんにお会いして話を
聞くことにしてます。2016年度はこのようにして35県に寄贈しました。 インドネシアの場合は、同じような活動をしているアメリカのNGOと活動エリアを分担していますが、タイと同じようにそれぞれの州の機関から情報を得ています。 この他にも、奨学金をお渡ししたり、障がい児がいる学校の施設のバリアフリー化工事を支援したり、地域住民や学校向けの障がい理解セミナーを開いたり、車いすの障がい児同士が交流を深める合宿プログラムなどの「心のバリアフリー化」にも取り組んでいます。
大河内 一方でこの地域の障がい者の皆さまとの交流も進めています。この4月に刈谷市立特別支援学校が開校することから一緒に何かやりたいと思っています。既に安城の特別支援学校さん
と連携して、障がい者の絵画展にも取り組んでいます。 また、名古屋短期大学の寺田恭子先生から指導を受けて車いすダンスの支援もしています。健常者の方と車いすの方とペアになって楽しむ社交ダンスで、重度障がいの方でも健常者と一緒に動くことで健康になりますし、見られることを意識して自信がもてたりするようです。タイとインドネシアで取り組んでいますが、これを刈谷でも広めたいと思います。吉川 スポーツも支援しているそうですね。皆川 愛知万博では車いすバスケの支援、その後は中国との車いす卓球での交流を行ってきました。パラリンピックなどの効果もあり企業が直接多額の資金を支援することが多く、私たちの規模では難しくなりましたので、今年度はボッチャという、カーリングやビリヤードに似たスポーツで交流や障がい者スポーツ理解活動を行っています。革のボールを
使って転がすので障がいの程度に関係なく楽しめますが、パラリンピックの種目にもあるように、ハイレベルになると戦略的に奥が深くて見ごたえがあります。吉川 (ちょっと体験させていただいて)簡単なようで難しいですね!皆川 秋は毎週のようにイベントがあるのですが、そこでもボッチャを体験してもらっています。知ってもらうのはもちろんですが、障がい者の方と交流するのも目的にしています。一緒に同じスポーツを楽しむことで壁が少しずつなくなっていきますね。 海外の活動をきちんと伝えたいと思いながら、イベントはどこかで楽しさを作りたい。でもそうすると活動を伝えるのが難しくなります。毎日が試行錯誤ですね。大河内 このように日本の活動を目に見えるようにしたいですね。今まではほとんど刈谷でしか活動していなかったので、もう少し広げないと私たちの活動
が埋もれてしまいます。私たちのことを知っていただき、イベントを手伝っていただけるボランティアの方を募集すると大勢の方が来てもらえる団体になりたいと思っています。
吉川 今号のさんぐりあはスタディーツアーを特集しています。丹羽 車いすを寄贈しているのは海外なので、寄付していただいた皆様に現場を見て頂く機会がありません。そのためにフレンドシップツアーを行っています。これは3泊4日で土日を挟んだ行程なので、会社員の方にも参加していただけます。実際に車いすを使っている子どもたちに会ったり交流を深めていただいています。 これとは別に、インドネシアにて現在8泊10日のスタディツアーを企画しています。主に学生をターゲットにしたもの
で3月3日から12日までで参加費は14~16万円です。吉川 何か特徴はありますか。丹羽 車いすの組み立てを実際に体験したり、車いすを贈った障がい児と交流したり、ホームステイしたりと盛りだくさんです。このスタディツアーの内容はWAFCAでインターンをした学生が自分たちで企画したものをベースにしています。それを事前学習をしながら参加者自身で作り上げていくのです。事前学習は、どういう動機で参加したのか、このスタディツアーで何をしたいのかを考えながら3~4回行う予定です。吉川 ツアーが終わった後に、先輩から後輩へ口コミで伝わるのが楽しみですね。丹羽 大学では入学したときから就活の話が多く、市民活動への興味や関心が薄れてきているように感じます。私は今までNGOの皆さんから多くのことを教えて頂きました。今度は学生さんにNGOのことを伝えていきたいと思います。吉川 ありがとうございました。
いすを贈るときに気を付けていること
車
内での活動も国
タディツアース
理事が聞くNGOトーク アジアの障がい児の
自立のために認定特定非営利活動法人 アジア車いす交流センター 事務局長 大河内 弘幸さん、 職員 皆川 理恵さん、秋山 和豊さん、丹羽 俊策さん & 認定特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター 理事 吉川 典子
第52回
アジア車いす交流センターは昨年加盟していただいた団体。
英語名Wheelchairs and Friendship Center of Asia
を略したWAFCA(ワフカ)の愛称でも親しまれています。刈
谷市内にある事務局で、4人のスタッフに囲まれてお話をう
かがいました。
左から大河内さん、丹羽さん、秋山さん、皆川さん、名古屋NGOセンター吉川理事
車いすを1台ずつフィッティング
車いすダンス
愛知県刈谷市司町1-2 ふれあいプラザゆうきそう内TEL: 0566-23-5822 FAX: 0566-23-5827 HP:http://wafca.jp/ email: [email protected]
団体概要
認定特定非営利活動法人アジア車いす交流センター
(担当 丹羽輝明)