創作インドネシア料理店「nusa」が手掛けたバン …£Ÿ...
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食食
創作インドネシア料理店「NUSA」が手掛けたバンカ島の郷土料理「AYAM LEMPAH KULAT PELAWAN」。鶏肉を土釜で6時間焼き、ブラッドオレンジソースを添えた
食
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ジャカルタの買い物スポットEC市場活況の余波
店舗来客数が減少
ショッピングモールに入居する店舗と郊外に多い独立店舗がある。食品をはじめ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、炊飯器、電子レンジなどの白物家電、テレビ、衣料品や洗剤など家庭に必要なもののほとんどが手に入る。このため「ほしいものが一度にそろう店」として週末は家族連れでにぎわう。 オフィス街に近い店舗では、月〜木曜は昼に惣菜やお菓子、夜に食材を求め、金〜日曜は家庭での家族団らんや友人ら
を招いた食事などのための買い出しをする会社員が多い。 韓国ロッテマートは、2008年に地場系会員制ハイパーマーケットのマクロ・インドネシアを買収し参入した。 仏カルフールは、2012年に民放トランス TV などのメディアや銀行を所有する新興財閥 CT コープに買収され、2019年までに全店舗の名称を「トランスマート」に変更する。 2016年 6 月 に は ア ラ ブ 首 長 国 連 邦
(UAE)の小売大手ルル・ハイパーマーケットが参入。ロッテマート並の安さで多くの顧客を獲得。国産農産品の中東への輸出増が期待されている。 日系のイオンは2015年6月にジャカルタ郊外のバンテン州南タンゲラン市で開業したイオンモール内に1号店を開店。2017年9月末には東ジャカルタのイオンモール内にハイパーマーケットとして2号店をオープンした。
2019 年までに店舗名称をトランスマートに変更するカルフール
中間層をメーンターゲットに据える地場系ヘローやフードホールは店舗も多く、ほとんどがショッピングモールに入居。食品の他、小型の家電製品、生活雑貨なども手に入る。 米系ランチマーケットは、1997年に参入。富裕層が多い場所に13店舗を構え、高級スーパーとして知られる。日本と韓国からの輸入製品が売れ筋で、2017年はモールへの客足が落ち込んで
いるが客単価が上がり今後も売上増を見込んでいる。 中でもゴマだれや寿司酢、みりんなどは日本食ブームで入荷するとすぐ売り切れるほど。日本のインスタント麺は通関手続きが遅くベンダーが入荷をストップ。しかし、店頭では「おいしい」と入荷再開を求める声が上がっている。 代表的な高級スーパーとしては他に1970年代からあるケムチックスが挙げられる。
店頭に並ぶ大ぶりのマンゴー
旺盛な購買意欲はインドネシアの大きな魅力の一つ。多くの民族が暮らす島しょ国ならではの多様な食文化は、豊富な食物資源に依るところが大きい。 食材を求める場所は大きく分けて①ハイパーマーケット②スーパーマーケット③コンビニなどのミニマーケット④伝統市場。商業大臣令により売場面積やレジの数、取扱商品などでカテゴライズされている。店舗の規模ごとにある程度客層が分かれるものの、立地や価格、品質、他では手に入らない食材がある、といった理由で足が向く先はさまざまだ。 小売業協会(Aprindo)によれば、2 0 1 4年以降電子商取引(EC)市場の発展に伴い実店舗への来客数は減少。レバラン(断食月明け大祭)やクリスマス、年末年始などの年中行事前後しか大混雑しなくなった。 ECサイトでもコメや水、油、砂糖などの生活必需食品が販売され、価格もそれほど変わらない。となると店舗から足が遠のくのもうなずける。 状況を打開するため、各社は割引プロモーションに注力。大型チェーンではアミューズメント施設を併設し、ショッピングモール感
覚で家族連れが休日を過ごす場所となるような工夫を凝らしている。
ハイパーマーケット◦売場面積5000㎡以上◦客層:中間〜富裕層◦主要チェーン
・イオン(2)・カルフール(102)・ロッテマート(75)・ルル ハイパーマーケット(2)
※カッコ内は2017年10月時点の店舗数
ショッピングモールに入居するランチマーケット
スーパーマーケット◦売場面積400㎡以上5000㎡未満◦客層:中間〜富裕層◦主要チェーン
・ランチマーケット(13)・ケムチックス(2)・フードホール(28)・ヘロー(32)
※カッコ内は2017年10月時点の店舗数
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野菜、果物、肉、米などの食材から衣料品まで多種多様な商品がそろうパサール。州内153カ所にあるうちの一つ、東ジャカルタのクラマットジャティ中央市場は、各パサールのための卸売青果市場。場内が活気付くのは真夜中から朝方にかけて。夜に買い付けられた商品が次々と各地のパサールに配送されていく。昼すぎにはくつろぐ商人の姿がちらほら。 価格は庶民の生活に密着しているため、ハイパーマーケットやスーパーマーケットよりも安い。しかし、品目によっては価格の差は5年前よりも少なくなっ
伝統市場(パサール)◦ジャカルタ特別州内に153市場◦州営パサール・ジャヤ社が運営◦有名食材市場
・パルメラ市場・クバヨラン市場・マイェスティック市場・ベンヒル市場・クラマットジャティ中央市場
ミニマーケットは日本のいわゆるコンビニ。地場系では、財閥サリムグループが1988年に創業したインドマレットと小売大手スンブル・アルファリア・トリジャヤが1999年に始めたアルファマートの2大チェーンがいずれも1万超の店舗数を誇る。 日本のローソンは、2011年にアルファマートグループ傘下の「アルファミディ」などを運営するミディ・ウタマ・インドネシアとライセンス契約を結び参入。
ファミリーマートは2012年、ファジャール・ミトラ・インダとフランチャイズ契約を結び、初出店を果たした。 おにぎりや惣菜パン、ドーナツ、コンビニコーヒーなど日本でおなじみの商品の販売も始まっている。 一方で、2009年からセブンイレブンをフランチャイズ経営していたモデルン・セブル・インドネシアは2017年6月、競争激化による不振で全店営業停止した。
オフィスビルに入居するローソン
ジャカルタの青果卸売市場として機能するクラマットジャティ中央市場
クラマットジャティ中央市場で販売されている国内各地のバナナ
各業態の価格比較(1キロ当たりルピア、2017年9月調査)
ハイパーマーケットスーパーマーケット伝統市場(パサール)
コメ2万12602万6020
8500
1万25561万3950
調理油
1万2500
赤トウガラシ(チャベ・ラウィット)6万2900
11万19001万3000
ニンニク4万20004万3500
2万
国産牛モモ肉15万200016万4900
12万
玉ねぎ1万4900
2万5501万2000
鶏卵2万40002万20002万1000
豆腐2万2230
3万30301万5000
バナナ2万19002万2900
1万5000
砂糖1万25001万25001万2500
ココナッツミルク3万5500
4万7500 8000
ミニマーケット◦売場面積400㎡未満◦客層:低所得者〜富裕層◦主要チェーン
・インドマレット(1万4033)・アルファマート(1万2710)・ローソン(38)・ファミリーマート(79)
※カッコ内は2017年10月時点の店舗数
てきている。 購入は量り売りが基本。金額や分量を伝えると取り分けてくれる。 一般的には低所得層の主婦が足繁く通う。中間〜富裕層は場内の衛生面や臭いから敬遠されることもしばしば。ただ、家政婦が代わりに買い物に訪れることも多く、一概に足が遠のいているとも言えない。 運営する州営企業パサール・ジャヤは、衛生面と老朽化対策として2016年から州内20カ所のパサールの改築工事を進めている。総工費は2兆9500億ルピアに上る見込み。 これとは別に、目抜き通りのスディルマン通りに近いブンドゥンガンヒリル市場で2015年に始まった改修工事が進められている。一角に46階建ての高層ビルを建設し、パサールとホテルやオフィスが入居する近代的な商業エリアに生まれ変わる。路線バスなどの公共交通機関と連携させ、2019年の完工を予定している。
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アルファマートナンダさん(33、男)職業:語学教室営業月収:1000万ルピア来店頻度:週3〜4回
昼食を買いに来店。好物の魚とエビの肉団子などのおでんとバナナを購入。計2万2000ルピア。
ローソン
ロシさん(23、男)職業:自動車関連月収:500万ルピア来店頻度:週5回
ロベルトさん(30、男)職業:メディア会社員月収:700万ルピア来店頻度:週3〜4回
ルトゥさん(38、女)職業:メディア会社員月収:800万ルピア来店頻度:月1回
フィルマンシャさん(35、男)職業:金融会社員月収:2000万ルピア来店頻度:週2〜3回
アルフィンさん(28、男)職業:金融会社員
月収:1500万ルピア来店頻度:週2〜3回
リフィアさん(22、女)職業:アグロビジネス関連企業勤務月収:500万ルピア来店頻度:週1回
アスティさん(51、女)職業:銀行員月収:1500万ルピア来店頻度:月1回
昼食を買いに来店。他に飲料やお菓子などを買いに訪れる。インドネシアの揚げ豆腐とおでん、ご飯を購入。計2万8000ルピア。
会社で昼食が出るため食後に来店。お菓子や飲み物を買うために利用するのみ。コーヒー飲料を購入。計1万ルピア。
アイスクリームを買いに来店。たまに総菜パンを買うことはあるが、昼食で利用することは、まずない。計5000ルピア。
ウィディさん(27、女)職業:銀行員月収:1000万ルピア来店頻度:週3〜4回
会社の同僚と昼食を買いに来店。チーズ鶏肉団子と魚肉団子などのおでんとカフェラテ、 グリーンティーラテを購入。2人分で計7万ルピア。
昼食を買いに来店。日本のコンビニは安心感がある。鳥唐揚げ「エナチキ」とご飯、お茶を購入。計2万ルピア。
昼食後のお菓子を買いに来店。加糖のお茶とスナック菓子を購入。計2万2000ルピア。エリンさん(23、女)
職業:大学生来店頻度:週1回
昼食を買いに来店。マルタバック(インドネシア風お好み焼き)とスナック菓子数点を購入。計3万7900ルピア。
マルタバック
地場系インドマレットの各種支払い専用端末「i-kios」
昼食は会社の周りの屋台でとるため、飲み物やお菓子を買うために来店。ご飯を売ってほしい。粉末飲料を購入。計1万6500ルピア。
昼食は会社の外で食べるため飲み物を買いに来店。コンビニではお腹いっぱい食べると高くつく。加糖のお茶を購入。計8000ルピア。
ミニマーケットでは各種公共料金の支払いもできる。日本でも見かける、各種支払いのための専用端末が設置された店舗もあり、携帯電話のプルサ(度数)から航空チケットまで対応している。店頭支払いを選択できるオンラインショッピングサイトも多い。
各種料金支払いサービスミニマーケットで手軽に
支払い可能な料金 公共サービス料金 健康保険、労働保険、生命保険、 自動車保険、電気、水道 交通チケット(航空券、国鉄乗車券) 携帯電話のプルサ(度数) インターネット料金 ケーブルテレビ料金 電子マネーのチャージ EC 各社の購入代金 各種金融ローンの支払い
コンビニ来店理由を聞いてみた
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サトリアさん夫婦宅の家計月収:約1080万ルピア月の住宅ローン:250万ルピア月の食費:150万ルピア
2016年 購 入 の 住 宅 は20年 ロ ーンで約3億ルピア。月々の差額の680万ルピアは光熱費や外食などに使用。銀行員だったリフカさんは専業主婦になったが、十分やりくりできている。
結婚4年目のサトリア・ウガハリさん(29)と妻のリフカ・アグスティヤニさん(29)夫婦宅にお邪魔した。2014年に結婚し、翌年に長女ナヤラ・ジャイナ・ナレスワリちゃん(2)が誕生し、家族3人仲良く暮らす。西ジャワ州ボゴール県パルン・パンジャンにあるクラスター・ハウジングと呼ばれる集合住宅地の住居を2016年に購入、その翌年5月に西ジャカルタの借家から移り住んだ。
買い出しは月に1度
日々の食事はリフカさんが腕を振るう。食材の買い出しは月に1度。魚、調味料は車で5分ほどのミニマーケット「アルファミディ」で日用品と共にまとめて購入する。野菜はオジェック・サユール(オートバイに乗って野菜を売
る行商人)から。 他の家庭も月に1度まとめ買いすることが多いという。取材した日はちょうど買い出し前で、冷蔵庫の食材はほとんど空っぽだったが、冷凍していたマトウダイを切り身にして手早くフライにした。 食材が足りない時は近くのワルテグ(小規模食堂)で総菜を買ってくることも。この日はサユール・アサム(タマリンドの効いた酸味のあるスープ)とサンバル・
テラシ(エビを発酵させたペーストをトウガラシやニンニクなどとすり合わせた辛み調味料)などが昼食の食卓に並んだ。普段の食卓には、野菜と魚料理、ご飯、テンペ(納豆のような大豆の発酵食品)のように2~3品が並ぶ。
調味料は既製品
リフカさんは「調味料は既製品を使うことが多い」と話す。よく使用するのはKOBEブランドの味付き小麦粉。ハーブやスパイス、うまみ調味料が含まれている。日本製の調味料になじみはなく、以前たこ焼き粉を買ってみたが、結局作らなかった。 サトリアさんは勤務先がある南ジャカルタまで列車で40分かけて通っている。以前住んでいた西ジャカルタの方が近かったが、渋滞があったため通勤時間は変わらないという。 昼ごはんはリフカさんの作った弁当を持参。夜は特別な用事がない限り、必ず家で取る。「妻の作るアヤム・オポール(鶏肉のココナッツミルク煮込み)が一番」とはにかんだ。
一般家庭の食卓は?①
新居から弁当持参平日は朝夜必ず家で
サトリアさん夫婦
㊧休日の昼食を囲むサトリアさん(左)とナヤラちゃん(中央)、リフカさん㊤サトリアさん夫婦が購入した家が
ある住宅地の区画内
アルファミディでの月に1度の買い出しをするサトリアさん夫婦。この時の会計は 57 万ルピアほど
(左から)KOBE ブランドの味付き小麦粉を衣にしたマトウダイの切り身▽マトウダイを揚げるリフカさん▽月に一度の買い出し前で食材が少ない冷蔵庫
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ジャカルタで1人暮らし週末は実家に帰省
一般家庭の食卓は?②
ジャカルタ特別州で1人暮らしをする会社員のハリー・ヒダヤットさん(25)宅を訪ねた。ハリーさんは2014年に大学を卒業したが、企業への就職活動に失敗。知人のレストランの従業員など職業を転々とした。2017年9月に中央ジャカルタの物流会社に採用され、バンテン州タンゲランの実家から西ジャカルタ・グロゴルのコス(下宿)に移り住んだ。
食事は併設食堂で手早く
毎日の食事はコスの1階にある食堂で行う。食堂には焼き魚やテンペ(大豆の発酵食品)など、10品ほどのおかずと白米が並ぶ。平
ハリーさんの家計月収:約250万ルピアコスの家賃:100万ルピア月の食費:約80万ルピア
家賃には光熱費も含まれている。差額の70万ルピアは交際費に使うほか、友人からバイクを中古で購入するために貯金している。実家からの仕送りは受けていない。
日は仕事で忙しく、個人で使える台所がないため、自分で料理することはないという。取材した日は昼食に鶏肉とご飯(1万5000ルピア)とお茶(3000ルピア)を注文。手早く平らげ、仕事へと向かっていった。 コスでの食事に飽きたり、食堂が品切れした際には、付近のカキリマ(露天商)やマクドナルドなどファーストフード店を利用する。配達サービスは割高なため使わないという。財布に余裕のあるときは吉野家を利用することもあり、「牛丼が一番身近な日本食」と話す。
週末は実家で母の味
週末にはタンゲランの実家に戻り、家族と一緒に食事をする。ハリーさんは母ジャナさん(55)の作るソトアヤム(チキンスープ)が好物で、「また来週も頑張る力をもらえる」という。ハリーさんの父親は既に他界し、ジャナさんは娘夫婦と住んでいる。家計に余裕はなく、仕送りなどはできないという。ジャナさんは「帰ってきたときはおなかいっぱいにしてあげたい」と話す。 ハリーさんのコスの部屋はベッドとクローゼットでほとんどが埋まり、トイレは共用、シャワーはない。「今の暮らしに満足しているわけではないが、仕事がなかったときよりはずっと良い」と笑う。
「一生懸命働けば、おいしいものを食べられて、良い家に住めるようになると信じている」
タンゲランの実家
ハリーさんが住んでいるコス
コスで食事をするハリーさん
部屋でくつろぐハリーさん
独身ハリーさん宅
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日本食は依然人気 新しい物好きの気質に注意
グミラール・エカラヤ部長
チーズたっぷりのピザとインドネシア風お好み焼きの「マルタバック」
高級モール内にオープンしたカフェ。おしゃれな内装で、分煙もしている
外食産業は、2016年まではインスタグラムなどのソーシャルメディアが流行したこともあり、写真映えのするオシャレで可愛らしい家具や内装、外見をした商品がヒットした。 ソーシャルメディアの勢いは衰えることを知らないが、国内経済停滞もあり、2017年はインスタント麺を使った料理やマルタバック(インドネシア風お好み焼き)など安価でお腹いっぱい食べられる地元料理に人気が回帰。インドネシア人の大好物、チーズのトッピングが再度流行した。 外食事情に詳しい、ジャカルタ特別州観光文化局ホテル・レストラン部のグミラール・エカラヤ部長は「これまで通り、日本食レストランの需要は高い」と話す。 日本食は健康というイメージはインドネシアにもあり、最近は寿司や刺し身など生魚を食べる人が増え、チーズをトッピングした寿司も人気とのこと。
行列に並んでも試したい
インドネシア人は、①どんな国の料理であっても新しい店はすぐ試したがるが、気に入らなければもう来ない②行列は繁盛店の証
で、並ぶことをいとわない——という特徴がある。
飲み物一つで長く談笑
さらに、飲み物一つで長く談笑することが大好き。現地語では「ノンクロン(nongkrong=たむろするという意味)」しようと誘われることもしばしば。ミニマーケットの店頭に飲食スペースを設置したが、ノンクロンを楽しむ人が集まるだけで採算が取れず、閉店に追いやられたという話も聞くほど。 また、平日は午後5~7時の終業時間帯に渋滞が特にひどいため、午後9~10時まで会社の同僚や友人と外食しながら渋滞が引くのを待つ。週末は土曜に家族で出かけ、日曜は家で休む人が多い。
今後、日本の他に韓国やペルーやアルゼンチンなどの南米料理のレストランも増加していくと予測している。
ジャカルタ特別州のへ登録飲食店数(2017年10月現在)
レストランバー食堂・カフェ伝統スナック店フードコート移動式レストラン計
4,1211,1711660971
5,466
各国料理別レストラン新規出店数(2015~2017年)
インドネシア中国米国欧州日本マレーシア韓国
235868171671211
タイインドベトナム中東アフリカ計
94221
581
ジャカルタの外食事情
※ジャカルタ特別州観光文化局のデータより作成
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ベンチマーク店の紹介①
Sushi Tei Indonesia日本食といえばこの店
人気メニューのサーモン親子ロール
スナヤンシティ店の外観
ジャンボドラゴンロール
モール・クラパガディン店の店内
ロブスター明太マヨ
インドネシア人に寿司チェーン店を根付かせた日本食レストランと言えば、シンガポール発の「Sushi Tei」だ。インドネシアのほか、本拠地のあるシンガポールやマレーシア、ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、オーストラリアにも店舗を持つ。2003年の進出後、店舗数はジャカルタを含む首都圏エリアだけで22店舗に拡大した。 進出から10年以上が経過するが、Sushi Tei Indonesiaマーケティング担当のフェラさんは「2017年までの5年間は私たちにとってもチャレンジの期間だった」と話す。
Sushi-Teiグループ全体として、日本食には「健康的」という普遍的な価値があり、寿司や刺身、天ぷらなど豊富な料理、調理法は多くの人を楽しませる、と信じている。これが強みになった。
日本食=健康が答えに
「進出後も私たちの信じていることをお客様に紹介し続けてきた。近年は健康について考える風潮が出てきている。健康を趣向する人にとって、日本食は健康的な食事に対する一つの答えになっている」 インドネシアの店舗では、3カ月ごとに新メニューを提供。レギュラーメニューも含め、人気のメニューは、ジャンボドラゴンロールとサーモンの刺し身、サーモン
親子ロールなど数え切れない。 インドネシアの中間所得層、人口の増加はいずれも成長の好材料になっている。
食事に関連した体験を
フェラさんは「インドネシア人には、日本食を含め、いろいろな料理を試したい、自分の味覚を広げたいという傾向がある。また食事に関連した体験を求めている部分もあるため、そちらにも応えられるようにベストを尽くしていきたい」と意気込む。さらに、2017年からの5年間は「経済成長が継続していくことが予想され、国際社会から外食産業にもより強い関心が向けられるだろう」と、インドネシアを含めた東南アジア諸国連合(ASEAN)の今後を展望した。
Sushi Tei Indonesia の店舗網(2017 年 10 月現在)
・ジャカルタ首都圏 22 店舗・北スマトラ州メダン市 5店舗・南スマトラ州パレンバン市 1店舗・リアウ州プカンバル市 1店舗・リアウ諸島州バタム市 1店舗・西ジャワ州バンドン市 3店舗・ジョクジャカルタ特別州 ジョクジャカルタ市 1店舗
・東ジャワ州スラバヤ市 4店舗・バリ島クタ地区 2店舗
・南スラウェシ州マカッサル市 1店舗
全国合計 41 店舗
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ベンチマーク店の紹介②OJJU K-Food
チーズカルビで人気店に
K-POP が流れる店内は明るく清潔。平日正午〜午後2時のランチと午後6〜8時、休日は終日順番待ちが続く
目の前でサーブしてくれる看板メニューのローリングチーズ。写真はドラムチョップ・チキンで1皿2〜3人前 13 万 9000 ルピア
2017 年新メニューのマック&チーズ(9万 9000 ルピア)
同じくチージー・スモーク・ビーフ(5万 9000 ルピア) 開店間もない平日の OJJU
見た目も美しいレモネードポップ(8万 9000 ルピア)
唐辛子文化が根付く、辛いもの好きのインドネシア。屋台でもレストランでも、必ずサンバル(唐辛子などをすりつぶした辛み調味料)が置かれている。これをドバッとかけるのが、韓流ならぬインドネシア流。辛さに共通点を持つ韓国料理は、インスタント麺から高級レストランまで、幅広く浸透し始めている。
韓国人気は5年後も
韓国で流行している「チーズカルビ」をいち早くインドネシアに持ち込んだのは、韓国料理チェーンの「OJJU K-Food」。日本のラーメンや中国料理を手がけるGF Culinaryが2016年7月に1号店
を出店。瞬く間に行列店になり、2017年9月までにジャカルタのモール内に3店舗を展開している。 マーケティングPRを担当するセルフィア・クマラさんは「家族連れも多く訪れる他、12~25歳の若者の間で韓国好きが広がっている」と分析。5年後も人気は継続するとみており、ジャカルタ以外への出店を目指す。2017年10月には東ジャワ州スラバヤ市に進出した。 OJJUのチーズカルビ「ローリングチーズ」は、ピクルス、コーンが散りばめられた大量のモッツァレラチーズを鉄板で溶かし、コチュジャンで甘辛く仕上げた牛リブかドラムスティック・チキン、手羽先と絡めていただく。大人数で楽しめるよう2~3人前1皿で提供される。
店員が目の前でサーブ
週末は今も行列ができる。客足が途絶えない理由は、インドネシア人の舌に合わせた3段階で調整できる辛さレベルを設けただけでなく、体験型の接客を実施しているため。ローリングチーズを注文すると、店員が目の前でチーズを溶かし、切り分けた肉に絡めてくれる。 マカロニとベーコン、ソーセージ、キムチを鉄板の上でチーズと和えた新メニュー「マック&チーズ」や口と胃がスッキリすると食後に人気ドリンク「レモネードポップ」も同様に客前で仕上げられ、店内で楽しんでいる写真をシェアしてもらうきっかけを作っている。 「インドネシア人は新しいもの体験したい気質がある。料理を食べるだけでなく、一つの体験として食事を提供することが人気の秘訣」 ブデチゲなど定番メニューもカバー。今後も店員が料理をサーブする時に見栄えのする新メニュー開発を進めていく方針だ。
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餃子チェーン「大阪王将」、讃岐うどん「丸亀製麺」など日本でも耳にする店舗のインドネシア進出が続いている。地場系企業も日本食を取り入れたレストランをオープンするなど、日本食人気は根強い。
日本料理は、健康的でさまざまな病気を予防してくれるというイメージから、ジャカルタのライフスタイルの一つに数えられるほどに浸透。特に18~35歳の世代に人気で、本格的な和食は見た目の美しさも合わせて楽しまれている。
日本料理と聞いて答える料理名は寿司、天ぷら、ラーメンが最も多い。 ジャカルタで開かれる日本文化の祭りや日本語学科のある大学の学園祭、アニメ・漫画関連のイベントには、必ずと言っていいほどお好み焼きとたこ焼きの屋台が登場する。
ジャカルタのレストラン紹介日本料理
しゃぶ里
HOKKAIDO IZAKAYA 大戸屋 𠮷野家
KINTAN BUFFET 美人鍋塚田農場 2014 年に1号店を開いた日本のしゃぶしゃぶチェーン。ジャカルタでしゃぶしゃぶ店と言えばしゃぶ里の名前が出るほど。野菜のほかに寿司や練り物、唐揚げなどの惣菜、ジュースやアイスの食べ放題は子ども連れにも好評。
・牛しゃぶコース(90 分) ランチ 15 万8000 ルピア
2017 年6月に1号店をオープン。八雲町のみそやしょうゆ、厚岸(あっけし)町のカキ、幌加内(ほろかない)町のそば粉など北海道内の名産をはじめとする素材で本場の味を演出している。 ・北海道ミルク出汁巻き 6万 8000ルピア ・厚岸産生牡蠣 時価
2008 年 に 参 入 し た 日 本 の 大 手 定 食チェーン。2017 年9月に西ジャワ州バンドン市の新しいショッピングモール「23 Paskal」に7店舗目をオープンした。 ・鶏と野菜の黒酢あん定食 9万 8000ルピア ・さばの炭火焼き定食 12 万 9000 ルピア
2010 年参入の大手牛丼チェーン。インドネシアで牛丼と言えば𠮷野家。大学の構内にもあり、学生からの支持も厚い。店舗数は 73 店舗(2017 年 12 月末現在)。 ・牛丼(レギュラー) 3万 5454 ルピア ・ 照 り 焼 き チ キ ン 丼( レ ギ ュ ラ ー) 3万 909 ルピア
2016 年9月にオープンした食べ放題焼肉店。最大 34 種類の肉や唐揚げ、みそ汁、焼きそば、茶碗蒸し、各種スープなどが食べ放題になっている。
・レギュラーブッフェ(90 分) ランチ15 万 8000 ルピア
日本で居酒屋「塚田農場」を運営する日系チェーンが 2017 年4月にインドネシアに初進出した。コラーゲンたっぷりの「美人鍋」が売りで、豚を使わないメニュー構成になっている。
・特製美人鍋 Mサイズ(2〜3人前)29 万 8000 ルピア
・美人鍋セット ランチ9万 8000 ルピア
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SALADSTOP! 〜健康志向の高まり受け進出〜
インドネシア料理店はファミリーレストラン風の店舗から高級官僚も訪れる老舗までさまざま。街中で見かけるのは露店。ポピュラーなサテ(串焼き)や日本でも有名なナシゴレン(焼き飯)、バッソ(肉団子)などが屋台で売られ
ている。ジャカルタでアルコールを楽しめる場所は、日本人が経営する居酒屋や料理店が多い、南ジャカルタのブロックMが日本人の間で有名。旧市街の町並みが残るコタ・トゥア地区から近いマンガブサールは中華料理店も多く、バ
ーよりも安価で楽しめる。 イタリアやスペイン料理、おしゃれなバーはスディルマン通りのスナヤン・セントラル・ビジネス地区(SCBD)などのホテルやモール内に多い。近年はフュージョン料理の出店が相次ぐほか、インドネシア料理回帰の動きもあり、創作レストランが増えている。
インドネシアと各国料理
NUSA 2016 年8月に料理番組のレポーターを務めるシェフが開いた創作料理店。国内各地の伝統料理を現代風にアレンジ。日本の刺し身に似たひと皿も。コースのみ。
・5品コース 70 万ルピア・9品コース 90 万ルピア
シンガポール発のサラダ専門店。設立は 2009 年で、日本の東京・六本木
サテ ・ タイチャン?
㊤サテ・タイチャン㊦一般的なサテ
サテはインドネシアではポピュラーな串焼き。鶏、牛、ヤギを串に刺して店ごとの特製ダレに付けて焼いた後、ピーナッツソースを絡めていただくのだが、2016 年 ご ろ か ら「 サ テ・ タ イ チ ャ ン
(Taichan)」と呼ばれるサテがちまたをにぎわせている。 サテといえばタレの色で艶のある黒色が一般的。対してサテ・タイチャンはなんと白色。タレを付けずに焼き上げ、塩でいただく日本の焼き鳥に近い。 発 祥 と さ れ る 南 ジ ャ カ ル タ の スナ ヤ ン に あ る サ テ 屋 台 店 主 に よ ると、 あ る 日、 イ ン ド ネ シ ア 人 女 性 を連 れ た 日 本 人 が「 自 分 で サ テ を 焼 かせ て ほ し い 」 と 言 い、 作 り 出 し た。 その男性は肉を火にかけながらおもむろに塩とすだちを振り、焼き上がったところに店のサンバル(辛味調味料)
を添えた。店主が「このサテは何という料理か」と尋ねると、その男性は「タイチャン」と言ったそうだ。 一方で、西ジャカルタにあるサテ屋台
「Mpo」は、2014 年の創業当初からサテ・タイチャンを販売しているという。 1日 500 〜 700 本(1人前1皿 10 本入り)の売り上げがある中でも、売れ筋は看板メニューのサテ・タイチャン。白焼きの鶏もも肉にライムを絞り、「サンバル・タイチャン」という、赤唐辛子と塩をベースにしたシンプルな味付けの自家製サンバルをつける。 1皿の価格は2〜4万ルピア。近所の一般的なサテ屋台は1皿2万 5000 ルピアと値段に差はあまりないようだ。 メディアでもたびたび取り上げられ、
「サテ・タイチャンだけではない新たなサテ」として海鮮やフルーツ、ドーナツ、
焼肉団子などのサテも紹介されている。街中で手軽に、とはいかない屋台での食事だが、タイチャンの文字を見かけたらぜひ一度お試しあれ。
と表参道、インドネシアには 2016 年末に進出した。南ジャカルタを中心に4店舗を展開(2017 年 10 月現在)。 レタスやトマトなど 60 種類以上の具と約 20 種類のドレッシングで好みのサラダを作ることができる。 基本メニューは、サラダボウルのほか、ラップで包んだラップサラダ、穀物などを使ったグレーンボウルの3種類で、いずれも7万 5000 ルピア。一番人気はシーザーサラダのヘイルシーザー。
食
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カフェ・バー事情
高級モールに入居する地場系人気カフェのジャーナル・コーヒー
スーパーマーケットに陳列された各国のビール
国内発カフェが人気
TANAMERA COFFEE国際コーヒー賞で優勝
ANOMALI COFFEE低カフェインが人気
ブラジル、ベトナム、コロンビアに続き世界第4位のコーヒー豆生産量を誇るインドネシア。コーヒー(インドネシア語ではコピ)を愛する大国の人々の好みは、小さな屋台で粉末コーヒーをすするオフィスワーカーや警官らの姿を目にするだけで、多分に垣間見ることができる。 外国チェーン店も人気だが、近年地場系のカフェが話題になっている。出店スタイルもさまざまで、オフィスビルの一角に屋台を改造して店を構える店舗もある。独立店舗を構えるカフェは、着実に国内に支店網を広げている。 特徴的なのが、自家焙煎(ばいせん)の豆を使用する本格派が多いこと。その豆をひき、ドリッパ
ーで丁寧に仕上げる一杯は、芳醇(ほうじゅん)なアロマがたまらない。 ルアック(ジャコウネコ)が食べて消化できなかった豆を使った、希少価値の高いコピ・ルアックは、高級品種として日本人のお土産に選ばれることもしばしば。産地を持つ地方自治体の間では、コーヒー豆をブランド化し輸出振興を目指す機運も高まっている。
工業省によると、2016年のコーヒー製品の輸出量は、前年比約19%増の4億2789万ドルを記録した。しかし、国内発カフェの人気の高まりとは裏腹に、国内では1人当たりの消費量が年間1.1キロと減退。米国(4.3キロ)や日本(3.4キロ)、オーストリア(7.6キロ)、フィンランド(11.4キロ)に比べると少ないため、国内消費増も目標に掲げている。
2007年 に 焙 煎 メ ー カ ー と
して創業した「アノマリコー
ヒー」は国内で取れるコーヒー
豆を産地別にブランド化して
いる人気カフェ。創業者の一
人、 イルファン・ヘルミさん
(36)によると、近年、スマト
ラ産の豆を使った低カフェイ
ンのコーヒ—が売り上げを伸
ばしているという。
店舗数は2017年9月までに
ジャカルタに7店舗、 バリ島
に2店舗の計9店舗。コーヒー
倉庫をイメージしたという2
階建ての店内には、従業員研
修用の部屋もあり、産地ごと
の豆の特徴や接客の基礎を学
んでいる。
タナメラコーヒーは、国産
のアラビカ種にこだわったコー
ヒー豆だけではなく、自家焙
煎した豆を卸す事業も展開し
ている2013年創業のカフェ。
赤い紙袋が同店のコーヒー豆
の目印。2015年のオーストラ
リア国際コーヒー賞国際焙煎部
門で総合優勝を果たした。
ジャカルタのみならず、 ス
ラウェシ島やバリ島にも進出。
2017年9月時点で、国内に全
7店舗を展開している。
インドネシアでは、2015
年4月から酒類規制に関す
る商業大臣令が出され、 バ
リ 島 以 外 で ミ ニ マ ー ケ ッ
ト( コ ン ビ ニ ) で の ア ル
コール飲料の販売が禁止さ
れた。飲酒運転による交通
事故や酔っぱらい同士のけ
んかが多発するなどしたた
め。
ジャカルタでは2013年か
ら21歳未満の飲酒を防止す
るため、身分証などの提示
が求められている。
酒類はスーパーマーケッ
トやハイパーマーケットで
販売されている。
国産のビンタンビールは
大 瓶(620㎖) が 3 万2600
ルピア、 オランダのハイネ
ケ ン は 同 4 万1290ル ピ ア
(2017年10月時点)。
コンビニは酒類禁止