令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020....

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1 Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 令年度 エネルギー等に関する国標の獲・普及促事業託 (国ルールインテリジェンスに関する調(飛ぶクルマの標化動調)) 調 2020年3月31日 経業業 御中

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1Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

令和元年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(国際ルールインテリジェンスに関する調査(空飛ぶクルマの標準化動向調査))

調査報告書2020年3月31日

経済産業省製造産業局総務課 御中

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目次1.「空飛ぶクルマ」の標準化における情報収集 051.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集 06(1)eVTOL関連の標準化機関(2)ASTMの動向(3)SAEの動向(4)EUROCAEの動向(5)RTCA・ISOの動向(6)関連文書1.2 国際標準化機関の会合への参加⽅法の整理 471.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集 52(1)機体認証(2)操縦者免許(3)航空機使用事業、航空機輸送事業(4)離着陸場(5)⾶⾏試験

2.機体製造事業者等からの情報収集 992.1 機体製造事業者、部品製造事業者等からの情報収集 1002.2 技術マップの整理 104

3.「空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議」の開催 109

4.まとめ 113

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調査の目的と背景事業の背景と目的

<背景>経済産業省は、国⼟交通省と合同で、日本における「空⾶ぶクルマ」の実現に向けて、官⺠の関係者が⼀堂に会する「空の移動⾰命に向けた官⺠協議会」(以下「官⺠協議会」という。)を2018年8月29日に設⽴し、12月20日に開催した第4回官⺠協議会において「空の移動⾰命に向けたロードマップ」を取りまとめた。

<事業目的>「空⾶ぶクルマ」の実現にあたっては、国内の制度整備の議論を進めていく必要があると同時に、国際的な制度整備の状況や国際標準化の動向を適切にとらえ、機体製造事業者や部品製造事業者等が技術開発を進めていく必要がある。そのため、本事業を通して、「空⾶ぶクルマ」に関わる国際標準化の動向を調査するとともに、機体製造事業者や部品製造事業者における技術開発状況や関係部品の調達状況、標準化への関与の状況について整理する。関係事業者が国際標準化の動向や各社の取組状況について議論する「空⾶ぶクルマの標準化に関する連絡会議」を開催し、国内事業者の技術開発における協調領域や標準化が可能な領域についての調査を⾏う。

実施内容

上記の目的のため、下記の調査を実施した

1.「空飛ぶクルマ」の標準化における情報収集SAE, ASTM, RTCA, EUROCAEにおける空⾶ぶクルマの標準化動向について文献調査、海外現地調査を実施した2.機体製造事業者等からの情報収集国内の機体メーカー、部品メーカーへのヒアリングにより、開発状況を調査した3.「空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議」の開催関係事業者の技術開発における協調領域や標準化が可能な領域についての議論を⾏った

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調査実施フロー実施項目と業務全体フロー

本業務は以下のフローで実施した。

(1) 「空飛ぶクルマ」の標準化における情報収集

(2) 機体製造事業者等からの情報収集

(3) 「空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議」の開催

(4) 調査報告書の作成

<本業務の全体フロー>

• 国際標準化機関における議論の最新動向• ⽶国・欧州の空⾶ぶクルマに関する制度化動向

• 国内事業者による技術開発状況、標準化取組み状況• 空⾶ぶクルマの技術マップの策定

• 空⾶ぶクルマの技術マップの取りまとめ• 標準化すべき技術域と取組み方針• 研究開発すべき技術領域と取組み方針

<アウトプット>

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1.「空飛ぶクルマ」の標準化における情報収集

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集

(1)eVTOL関連の標準化機関(2)ASTMの動向(3)SAEの動向(4)EUROCAEの動向(5)RTCA・ISOの動向(6)関連文書

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(1)eVTOL関連の標準化機関調査対象の標準化機関の位置づけ、⽶国・欧州の主管庁との関係を示す。eVTOL関連の議論が活発であるが、任意規格⾊の強いSAE、ASTMに加え、各国基準への反映がされやすい航空システムのグローバル標準であるRTCA、EUROCAEの動向を調査。

ICAO

FAA(⽶国) EASA(欧州)

EU諸国の航空当局

RTCA EUROCAESAE

ASTM

航空システムの⺠間標準化団体。FAAもメンバーであり、FAAの技術基準に引用される。

航空システムの⺠間標準化団体。欧州主管庁の技術基準に引用される。

整合規格

条約に基づく航空分野の国際標準を策定。

主に試験法に関する⺠間標準化団体⽶国法令への反映例あり

航空宇宙、⾃動⾞関連の⺠間標準化団体。⽶国家規格ANSIに多数採用例あり。

SARPs等への寄与 SARPs等への寄与

国内制度・基準への反映国内制度・基準への反映

国内制度・基準への反映

国内制度・基準への反映

国内制度・基準への反映

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(1) eVTOL関連の標準化機関における議論の概要 サマリー

機関 Comt. VTOL関連活動 各Committeeの参加メンバー 日本関連メンバー 日本の関わり

ASTM F38/ UAS Vertiportの議論が始まったところ

FAA, CAA(NZ), Airbus, Bell, Boeing, Ehang, GAMA, Joby, Kitty Hawk, Lilium, Volocopter,Garmin, Honeywell, Moog, Thales, Uber 等

ACSL, Honda Aircraft, JAXA, NEC, 東京大学

Vertiportの議論に日本が関わっているかは不明

F39/Aircraft Systems

電動推進の規格を発⾏。追加検討が⾏われている

EASA, FAA, Airbus, Aurora, Kitty Hawk, Embraer, GAMA, Joby, Lilium, Volocopter, Garmin, Rolls-Royce, Safran, Thales, Uber等

DENSO America, Honda Aircraft

DENSOが参加

F44/ General Aviation

eVTOL全般の多岐にわたる規格を開発中

GAMA, NASA, Uber, Kitty Hawk, Terrafugia, PIPISTREL, CAMI 等

不明 日本からの参加は不明

SAE E-40/ Electrified Propulsion

電動航空機の安全性指針を準備中

FAA, EASA, TCCA, PW, Collins, Embraer, Boeing, Airbus, Triumph Aurora, GE, Safran, Rolls-Royce, UTC 等

IHI, JAXA, JADC, Murata, Sinfonia, Tamagawa

日本が積極的に参加している

AE-7D/ Energy Storage

電池、BMS、充電に関する設計指針を検討中

EASA, FAA, Airbus, Boeing, Joby aviation, Lilium, Pipistrel, SAFRAN, Rolls-Royce, Volocopter 等

Murata、東京大学、DENSO

日本から参加している

RTCA SC-228/ UAS

UASの遠隔操縦の議論の延⻑でUAMが予定に入っている

Collins Aerospace, Boeing 等 MRI 日本から参加している

EUROCAE

WG112/ VTOL

機体、安全、推進、インフラを網羅的に検討

EASA, Safran, Vertical aerospace, Thales 等 JAXAとENRIが参加︖

日本の関わり方は要確認

WG113/ Hybrid Electric Propulsion

電動/ハイブリッド推進の検討が⾏われている

EASAと連携。それ以外は不明 不明 E-40との連携しており、間接的な情報は得られる

ISO TC20/SC16/ UAS

UASの運航の議論の延⻑でポート等が挙げられている

WG3はイギリスが部会⻑。ポートとpassenger carrying UASについてはイタリアから提案

SJAC, NEDO, AIST, JUAV, JUIDA, MRI等

日本が積極的に参加している

※上記参加メンバーは委員会の参加メンバーをわかる範囲で記載しているものであり、eVTOL関連の個別のWork itemに積極的に関わっているとは限らない

eVTOL関連の標準化機関・委員会は以下の通り。特にASTMとEUROCAEがeVTOLの議論を積極的に推進。規制当局も参加している

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM eVTOL関連委員会と関連規格

出所) https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F3802.htm, https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F3905.htm, https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F4410.htm, https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F4420.htm, https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F4430.htm, https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F4440.htm,https://www.astm.org/COMMIT/SUBCOMMIT/F4450.htm

*Work Groups= Proposed New Standards

F38.02 Flight

Operations

F44 General Aviation Aircraft

F44.10 General

F44.20 Flight

F44.30 Structures

F44.40 Powerplant

F44.50 Systems and Equipment

F38 Unmanned Aircraft Systems

F39 Aircraft Systems

F39.05 Design, Alteration, and Certification of Electric

Propulsion Systems

Work Groups・WK56255・WK66523・WK67455・WK70381

Active Standards・F3117/F3117M-19・F3120/F3120M-19・F3264-19・F3310-18

Work Groups・WK61705・WK68757・WK68762・WK68763・WK71556・WK71557

Active Standards・F3082/F3082M-17・F3173/F3173M-18・F3174/F3174M-19・F3179/F3179M-18・F3180/F3180M-19

Work Groups・WK65205・WK65230・WK68849・WK68839・WK68850

Active Standards・F3083/F3083M-19・F3093/F3093M-19・F3114-19・F3115/F3115M-19・F3116/F3116M-18e1・F3254-19・F3331-18・F3380-19

Active Standards・F2849-10 (2019) ・F2909-19・F3178-16・F3196-18

Work Groups・WK65042・WK59317・WK65041・WK63418・WK69335

Active Standards・F3338-18 (WK47374)

Work Groups・WK61232・WK59101・WK64943・WK65176・WK69159・WK70524・WK70584・WK68781・WK68805

Active Standards・F3062/F3062M-19・F3063/F3063M-18a・F3064/F3064M-19・F3065/F3065M-19・F3066/F3066M-18・F3239-19

Work Groups・WK46999・WK47000・WK62786・WK65110・WK67364・WK68803・WK68801・WK68795

Active Standards・F3061/F3061M-19a・F3227/F3227M-20・F3228-17・F3229/F3229M-17・F3230-17・F3231/F3231M-19・F3232/F3232M-19a・F3233/F3233M-17・F3234/F3234M-17・F3235-17a・F3236-17・F3309/F3309M-20・F3316/F3316M-19・F3367-19a

Work Groups・WK60748・WK56374・WK61549・WK63976・WK68766・WK68767・WK68765

2020年2月現在、F38(Unmanned Aircraft Systems), F39(Aircraft Systems), F44(General Aviation Aircraft)委員会の下で、eVTOLないし電動推進に係る新規格(⾚文字)や既存規格の修正(⻘文字)が検討されている。

AC377 Autonomy TG AC433 eVTOL means of compliance group

タスクフォースF38、F39、F44の委員会メンバーからなる戦略的諮問委員会。

既存規格とeVTOL/UAMの間のギャップ分析から、それらのギャップを埋める方法を検討

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM F38(UAS)における審議項目

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープ

F38.02 WK59317 New Specification for Vertiport Design

バーティポート設計の新規格

1.1 ⼩型の垂直離陸型(VTOL)航空機への活用を意図した、バーティポートの企画,開発,設計,設⽴のため要求される規格。これら航空機には、7000lbs以下/乗客9名以下の標準的な航空機、任意の操縦航空機(optionally piloted aircraft)、無人航空機等が含まれる。バーティポートはVTOLの操⾏サポートを通して商業的およびプライベートサービスを提供しうる。これには、乗客および貨物配送、フライト指示、航空事業(aerial work)、航空機レンタル、充電、燃料取替、航空機の格納、メンテナンスサービス等が含まれる。※バーティポート︓VTOLの離着陸に使用することを意図した陸地,水上,機構等を指す。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM F39(Aircraft Systems)における審議項目

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープF39.05 F3338-19

(WK47374)New Specification for Design and Manufacture of Electric Propulsion Units for General Aviation Aircraft (Aeroplanes)

⺠間機の電動推進ユニット(Electric Propulsion Units︓EPU)の設計, 開発における新規格

1.1 この規格はGAのEPU設計・開発における必須要求事項を網羅する1.2 EPUは少なくとも電動モーター1つ、コントローラー、切断及び配線, EPUモニター, 適用可能な場合はヒューマンマシーンインターフェース(HMI)から構成される。1.3 機上或いは地上での充電装置。⾶⾏中の電⼒供給デバイスを含む。1.4 このタスクグループの内容は F44.40 WK41136と統合する

F39.05 WK66523 Revision of F3338 - 18 Standard Specification for Design of Electric Propulsion Units for General Aviation Aircraft

液体冷却のMoCの追加 液体冷却のMoCの追加

F39.05 WK67455 Revision of F3338 - 18 Standard Specification for Design of Electric Propulsion Units for General Aviation Aircraft

規制内容の抽出と提案された改善の組み込み

規制内容の抽出と提案された改善の組み込み

F39.05 WK70381 Revision of F3338 - 18 Standard Specification for Design of Electric Propulsion Units for General Aviation Aircraft

⼀体型スラスタを含む⼀般航空機(⾶⾏機)の電気推進ユニット(EPU)の設計に関する最⼩要件の追加。

⼀体型スラスタを含む⼀般航空機(⾶⾏機)の電気推進ユニット(EPU)の設計に関する最⼩要件の追加。

F39.05 WK56255 Design of Electric Propulsion Energy Storage Systems for General Aviation Aircraft

⺠間機の電動推進エネルギー貯蓄システム(Energy Storage Systems︓ESS)の設計

1.1⺠間機のESS設計および開発における必須要求事項をこの規格は網羅する。1.2この規格は、⼩型航空気にも適用される1.4これら機能を利用するにあたり、設計承認を申請する者は、各⺠間航空局(CAA)の個々のガイドラインを確認すること。CAA規制主体が⼩型航空機の⼩型航空機の耐空性規制へのコンプライアンス手段として承認した規格情報については、ASTM委員会のF39ウェブページを参照すること(これにはCAAウェブサイトリンクも含まれる)1.5 SI単位あるいはinch-pound単位内の値は別個の規格とみなされる。各単位系の中で示される値は完全に⼀致するわけではないため、各システムは独⽴して使用すること。2つのシステムの値を統合すると規格から逸脱しうる。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM F44(General Aviation Aircraft)における審議項目

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープF44.10 WK68762 New Practice for Maintenance

and Development of Maintenance Manuals and Training Materials for eVTOLAircraft

eVTOLのメンテマニュアル・トレーニング資料の作成に向けた新たな試み

電動・eVTOL航空機特有のメンテプログラム,補⾜資料およびトレーニングプログラムを作成するにあたり、重要となる検討事項を挙げる。ASTM AC433により、この規格はeVTOLのコンプライアンスギャップ分析手法に基づくべき。

F44.10 WK68763 New Test Method forAcousticEvaluation of eVTOL Aircraft

eVTOLの新しい音響測定メソッド

航空機が発する音響および周囲への影響を評価するため、様々なeVTOLに適用可能な信頼性ある測定基準を作成する必要がある。現⾏研究、および既存のヘリコプター,航空機,ティルトローターのノイズ評価・測定技術を活用する。ASTM AC433 により、これはeVTOLのためのMoCギャップ分析の⼀部とされる。上記は地域の意思決定者や(法令)規定者にとっても重要となる。

F44.10 WK68757 New Specification for Protection from Inadvertent Icing for General Aviation Aircraft

⺠間機への偶発的な着氷を防ぐための新規格

都市部の航空移動等で利用されることを想定したF3120では現状網羅されていない、着氷防止及び保護のための検討事項。ASTM AC433により、この規格はeVTOLのコンプライアンスギャップ分析手段に基づくべき。

F44.20 WK68850 Revision of F3180 / F3180M -19 Standard Specification for Low-Speed Flight Characteristics of Aircraft

F3180 / F3180Mの改訂 - 航空機の低速特性に関する19標準規格

eVTOLは、この規格内で対処すべき特有の低速航空特性(low speed flight characteristics)を持つ。ギャップはAC433と調整される。

F44.20 WK68839 Revision of F3173 / F3173M -18 Standard Specification for Aircraft Handling Characteristics

F3173Mの改訂-航空機ハンドリング特性に関する18標準規格

NASA Grand Challengやその他のeVTOL研究からの教訓を組み込む。 垂直離陸からwingborneへの移⾏、拡張wingborne機、地面付近(near-to-ground)の検討、その他AC433と⼀致するものは検討される。

F44.20 WK68849 Revision of F3082 / F3082M -17 Standard Specification for Weights and Centers of Gravity of Aircraft

F3082 / F3082Mの改訂-航空機の重量及び重⼒に関する17標準規格

現状、Operational reserveに関する要求事項は設計要求事項に含まれている。その他の操⾏要求事項を検討するため、改訂が必要となった。この規格の再検討に際し、eVTOLとeAircraftのその他ギャップについてもAC433と⼀致すべく検討される。

F44.30 WK68781 Revision of F3083 / F3083M -18 Standard Specification for Emergency Conditions, Occupant Safety and Accommodations

F3083 / F3083Mの改訂-非常事態,乗客の安全確保及び座席に関する18標準規格

この規格はeVTOLに適合するよう⾒直される。また追加の載荷検討や要求事項も適宜検討する。AC433eVTOL Mocギャップ分析の推奨事項に基づく。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM F44(General Aviation Aircraft)における審議項目

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープF44.30 WK68805 Revision of F3114 - 15

Standard Specification for Structures

F3114の改訂-構造に関する15標準規格

都市空間にて操⾏予定のeVTOLについて、バードストライクに関する要求事項を再評価すべき。Part27のロータークラフト要求事項が参照ポイントとして役⽴つだろう。

F44.40 WK68803 Revision of F3064 / F3064M -18a Standard Specification for Aircraft Powerplant Control, Operation, and Indication

F3064 / F3064Mの改訂-航空機の発電装置制御,操作および指示に関する18標準規格

eVTOL含むeAircraftへの適用性について⾒直すべき。また、分配推進(distributed propulsion)状態についても検討が必要。

F44.40 WK68801 Revision of F3065 / F3065M -18 Standard Specification for Aircraft Propeller System Installation

F3065 / F3065Mの改訂-航空機のプロペラシステム設置における18標準規格

eVTOLの回転式エネルギー容量(rotational energy content) における違いを再検討する

F44.40 WK68795 Revision of F3066 / F3066M -18 Standard Specification for Aircraft Powerplant Installation Hazard Mitigation

F3066 / F3066Mの改訂-航空機の発電装置設置 危険回避に関する18標準規格

eVTOLとその他eAircraftのギャップ分析に基づき、追加で危険緩和に関する要求事項を検討すべき。これには、水浸、ローター破壊に関する検討が含まれる(これらに限定されない)。

F44.50 WK68765 Revision of F3230 - 17 Standard Practice for Safety Assessment of Systems and Equipment in Small Aircraft

F3230の改訂 - ⼩型航空機における安全評価及び機器に関する17標準規格

eVTOLの法令適合の手段として、改訂すべき範囲をASTM AC433は規定する。

F44.50 WK68767 New Specification forSimplified Vehicle Operations (SVO) in General Aviation Aircraft

⺠間機における簡易⾞両操作(Simplified Vehicle Operations ︓SVO)に関する新規格

General Aviation Manufacturers Association (GAMA)とASTM AC433委員会は、sinplified vehicle operationsを利用するeVTOLと航空機に関して、法令順守のための検討が必要と考えている

F44.50 WK68766 New Specification forSensorFusion in General Aviation Aircraft

⺠間機に関するセンサー融合(Sensor fusion)の新規格

都市空間で操⾏予定のeVTOL含む⺠間機におけるセンサー融合(sensor fusion)活用について、システムや部品の設計、統合検討を⾏う。ASTMAC433により、eVTOLやその他潜在的な⾃動航空機は法令順守のためこれら検討が必要と指摘された。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM Task Forceの活動

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープ

task force

AC377Autonomy TG

ー 無人航空機システム(F38)、航空機システム(F39)、および⼀般航空機(F44)に関する委員会のメンバーからなる戦略的諮問委員会で、sUAS、GA、UAMまでの航空機の⾃律性を調べることが任務。2019年6月に、⾃律システムの認証要件を決定するための用語とフレームワークをカバーする技術レポートを発表した。レポートには、ASTM、GAMA、SAE、FAAなどの関連規格情報が含まれる

task force

AC433eVTOL means of compliance group

ー AC377のメンバーによって⾏われた既存規格とeVTOL/UAMの間のギャップ分析から、それらのギャップを埋める方法を検討する委員会は新しい標準の技術コンテンツを作成しない。新しいコンテンツを必要とする分野を特定することで、各分野の適切な技術標準作成委員会の連携を促す。また、委員会は⼀種のプロジェクトマネージャーとしても機能し、20を超えるアクティブなeVTOL関連の作業項目を追跡する

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM F44 参加メンバー

出所) https://www.astm.org/MEETINGS/SYMPOSIAPROGRAMS/F44ID3890.pdfhttps://www.astm.org/COMMIT/F44%20ASTM%20eVTOL%20Workshop%20Presentations_April2019.pdf

ASTM F44は2019年4月にeVTOLに関するワークショップを開催。GAMA, Uber, Kitty Hawk, Terrafugia, NASAが講演しており、その後のASTMにおけるeVTOL関連の活動にはこれらの企業・機関が関わっていると考えられる。eVTOL International Standards Workshopのプログラム(April.2019, Belgium)

プログラム 講演者

OPENING WELOME AND OPENING REMARKS Kyle Martin, GAMA

SESSION I REGULATORY FRAMEWORK AND MARKET REVIEW

(Session will discuss standardization efforts underway. These areas are gaining consensus with the goal of beginning

standards work in the near future. Some needs and gaps under consideration will be highlighted. )

Implementing Basic Regulation for GA- Part 21 Light

- Part M Light

Boudewijn Deuss, EASA

SESSION II VERTICAL TAKE OFF AND LANDING: MARKET OVERVIEW

(Session presentations will cover an overview of the market, changes in technology, regulatory considerations and its

impact on the transportation infrastructure globally.)

Market Overview: Innovations and Considerations Christine DeJong, GAMA

EASA SC VTOL Kyle Martin, GAMA EU

Operational Capabilities and Considerations Ryan Naru, Uber

SESSION III MEANS OF COMPLIANCE: GAPS & PRIORITIES

(Session will discuss standardization efforts underway. These areas are gaining consensus with the goal of beginning

standards work in the near future. Some needs and gaps under consideration will be highlighted.)

Energy Storage Devices Tom Gunnarson, Kitty Hawk

Integration of Energy Storage Systems Tom Gunnarson, Kitty Hawk

Inadvertent Icing Protection Greg Bowles, GAMA

Crashworthiness Nick Borer, NASA

UAM/eVTOL Emergency Systems Certification Credit Ryan Naru, Uber

Design of Indirect Flight Controls (WK61549) Dave Stevens, Terrafugia

CLOSING REMARKS Greg Bowles, F44 Chairman

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM 参加メンバー GAMAについて

出所)https://gama.aero/about-gama/committees/

Executive Committee

Chair: David PaddockVice Chair: Nicolas Chabbert

Data Communications, Infrastructure Subcommittee eVTOL Subcommittee Hybrid & Electric Propulsion

Subcommittee Simplified Vehicle Operation

Subcommittee Flight Licensing & Certification

Ad-Hoc Committee

European Leaders Steering Committee

Global Markets Committee

Flight Licensing and Certification Ad-Hoc

Electric Propulsion & Innovation Committee (EPIC)

Airworthiness & Maintenance Policy Committee

Communications Committee

Environment Committee

Flight Operations Policy Committee

General Aviation Air Safety Investigators

Policy & Legal Issues Committee

Regulatory, Policy & Information Update

Safety & Accident Investigation Committee

Security Issues Committee

Technical Policy Committee※Mailing List Committee以外を記載

GAMA(General Aviation Manufacturers Association)はASTMにおけるeVTOL関連規格の策定に積極的に関わっている組織の⼀つである。

GAMAの委員会の⼀つにElectric Propulsion & Innovation Committee (EPIC)があり、この下にeVTOLSubcommitteeがある。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM 参加メンバー GAMAのEPICのサブ委員会

出所)ヒアリングにもとづき作成

EPIC傘下のサブ委員会の概要は以下の通り。SUBCOMMITTEE CHARTER Key Focus Areas

Electric and Hybrid Propulsion Subcommittee

電化促進の枠組み ハイブリッド及び完全電気推進システムを含む 設計認証ポリシーと規定 オペレーショナル・リスク、ポリシー、規制

-power train-motor -battery-fuel cell

Simplified Vehicle Operation Subcommittee

設計および運用要件の進化をサポート 汎用機の⾃動化拡大 簡素化された機体運用システム及び機器のための設計の機能及び運用目的 運用要件とライセンス要件 空中都市移動/オンデマンド空中移動の成功を促進する問題

-Pilots functions-Increased automation-Pilot training/Licensing framework

eVTOL Subcommittee

設計認証、製造、運航、許可、訓練、空域及び継続的耐空性 重要な安全問題に関する協⼒ 設計認証ポリシーと規定 オペレーショナル・リスク、政策、規制 eVTOLミッションの適応を必要とするかもしれない社会的・地球的変化

-Vehicle certification-Operational considerations-Public perception

Infrastructure Subcommittee

電子航空機のオフエアポート支援ニーズに対応する 既存の地上インフラストラクチャにおけるギャップとオポチュニティを特定 業務を効率的に実施するために調整することができる政策、規制⼜は⽴法

-Aircraft servicing, charging, fueling-Ground crew & maintenance personnel-Vertiport design & safety-Passenger & crew safety

Data Communications Ad-Hoc Committee

2019年4月設⽴ データ通信のニーズと機会に対応する パブリック、プライベート、および不可知論的なリンクソリューションを検討する

・Data needs・V2V・V4C2・V2FOC・V2CLOUD・VINV・V2ANSP

Flight Licensing & Certification Ad-Hoc Committee

最新の委員会 eVTOLのパイロットライセンスによる短期的なフレームワークの開発 Simplified Vehicle Operation Subcommitteeと並⾏して作業する EUと⽶国から始める

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(2)ASTM 参加メンバー GAMAのEPICのメンバー

出所)EASA EUROCAE VTOL workshop

GAMAのEPICは2015年に設置された。 2015年の設⽴当時から、eVTOLのOEMではJoby aviation, Pipistrel, Airbus, Bellが参加している。

2019年までにLilium, Volocopter, Kitty Hawk, Uber, Boeing Nextなどの機体メーカー、プラットフォーマーやGarmin, Thales, Honeywellなどの装備品メーカーも加わり、2019年には80機関がEPICメンバーとなっている。

GAMAのメンバーには、GAMA正会員、GAMA準会員、EPIC準会員の分類がある。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(3)SAEの組織図とeVTOL関連サブ委員会eVTOLに特化した委員会はないが、関連する委員会としてE-40電動推進とAE-7D蓄電・充電があげられる。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(3)SAE E-40(Electrified Propulsion)における審議項目Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープ

E40 AIR8678 Architecture Examples for Electrified Propulsion Aircraft

電動航空機の設計例 この文書は電動推進に関して機構を分類し、例を示す。また、以下を定義することによって機構要素に対する共通の定義を開発する。1)電動推進機構の構成要素。個々の電⼒発⽣・配電システム, エネルギー貯蓄機構を含む。2)電動推進システムとの相互のインターフェース。3)電動推進システム内のインターフェース。4)電動推進システムのエネルギーマネージメント及び貯蓄機構。これら機構および要素を網羅する⼀方、この文書は SAE E-40 委員会の将来的作業の参照ポイントとなる。

E40 ARP8676 Nomenclature & Definitions for Electrified Propulsion Aircraft

電動航空機の学名及び定義

電動航空機の関連用語リストと説明要約を作成する。これら用語や説明書により、完全な説明,設計図,その他詳細な説明が提供されるわけではない。そうした詳細な説明は別の文書にて対応予定。

その理論的根拠は、共通の解釈に達するために、電気推進航空機を記述する新しい領域、新しい技術、および新しいアーキテクチャに関する共通⾔語を確⽴することである。

E40 ARP8677 Safety Considerations for Electrified Propulsion Aircraft

電動航空機の安全性検討

範囲このSAE航空宇宙勧告規定(ARP)は、電気推進航空機の安全評価を⾏う際に考慮すべき特殊性を論じている。その主な焦点は以下の通りである。•電気推進構成要素の故障モード•電気推進構成要素の故障率を評価する方法•故障が例示的な電気推進システム及び航空機構造に及ぼす影響•特定のリスク、共通の原因及び電気推進に特有の地域的な考慮事項この文書の指針は、システム及び航空機の安全評価活動のための入⼒を⽣成するために使用することができる。

理論的根拠既存のシステム安全性評価方法論は、電気化推進航空機の安全性を評価するのに適切であると考えられるが、そのような方法論の適切な展開は、電気化によって導入された新規性の理解を必要とする。さらに、ガスタービン及びピストンエンジン航空機推進のために典型的に配備される安全実証方法のいくつかは、電気推進には適切でないかもしれない。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(3)SAE AE-7D(Aircraft Energy Storage and Charging)における審議項目

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープ

AE-7D AIR6343 Design and Development of Rechargeable Aerospace Lithium Battery Systems

再充電可能な航空リチウムバッテリーシステムの設計開発

このAIRは、⾛⾏中の航空機上で利用できる航空リチウムバッテリーシステムの設計開発において考慮すべき基本的な指標及び方法を提供することを目的とする。この指標は"インストール済みの”機器にも適用される。

AE-7D AIR6897 Battery Management Systems for Rechargeable Lithium Batteries used in Aerospace Applications, David Vutektakis

航空機で利用する再充電可能なリチウムバッテリーのバッテリーマネージメントシステム

このAIRは、機上(onboard)において再充電可能なリチウムバッテリーシステムを活用するための設計・開発に際し、検討すべき基本的指標を提供する。これら指標は、"インストール済みの"機器にも適用される。

AE-7D AS6968 Connection Set of Conductive Charging for Electric Aircraft

電動航空機のための伝導性充電(Conductive Charging)接続セット(Connection Set)

電動航空機のための接触充電(Conductive Charging)の接続部(Connection Set)に関する設計要求事項と、必須の性能要求事項

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(4)EUROCAEにおける関連委員会

Com No タイトル(英) 項目名(和) スコープWG-112 VTOL VTOL EASAのVTOL機に関するSpecial ConditionのAcceptable Means of Complianceとなるような産業

界としての標準を策定することが目的のWG。電動、揚⼒・推⼒、安全性、⾶⾏、地上インフラ、のSGが設置され、各SGの全体統括を⾏うSG0 Steering Committeeは各SGのリーダー、EASAから構成される。

WG-112 SG1 Electrical 電気 VTOLの電気システムの標準を開発するWG-112 SG2 Lift/Thrust 推進 VTOLのlift/thrustシステムの標準を開発するWG-112 SG3 Safety 安全 VTOLの安全面の標準を開発するWG-112 SG4 Flight ⾶⾏ VTOLの⾶⾏に関する標準を開発するWG-112 SG5 Ground 地上 ポート、地上インフラの標準を開発するWG-113 Hybrid

Electric Propulsion

ハイブリッド電気推進

航空機業界ではさらなる電動化に向けた変⾰が進んでいる。 技術⾰新の背景には環境規制(排出を抑える目的)がある。航空機の電動化により、2005年から2050年の間に⼆酸化炭素排出量を50%削減できる可能性を示す研究もある。これによりACARE目標に寄与することができるだろう。技術や機構における⾰新により、航空機の機体製造者・エンジン製造者・システムサプライヤー間の新たな連携方法や、規制への対処、また新機構に対するコンプライアンス手段が必要となる。ハイブリッド/電動航空機は、ACARE Flightpath2050目標実現のための⼀つの重要な鍵となりうる。

WG-80 Hydrogen and Fuel Cells Systems

燃料電池システム 航空機の水素燃料電池システムの認定/認証のガイドライン開発、ベストプラクティス収集を目的としたWGで、水素燃料電池技術の空中使用事例と認証目標を検討する。電⼒や信頼性などの運用要件は範囲外

WG-105 Unmanned Aircraft Systems (UAS)

UAS あらゆるタイプの空域で、何時でも、全ての操作においてUASの安全な運航を可能とするための基準とガイダンスの開発を目的としたWGで、以下の特定6分野で構成される︓UAS Traffic Management, Command/Control/Communication, Detect and Avoid, Design and Airworthiness Standards, Specific Operations Risk Assessment, Enhanced RPAS Automation

WG-105 SG42 Remote Pilot Stations

リモートパーロットステーション

リモートパイロットステーションのATCインターフェースの標準化

※各委員会の検討アイテムについては後述

2020年2月現在、eVTOLに関連する委員会としては、WG-112(VTOL), WG-113(Hybrid Electric Propulsion), WG-80(Hydrogen and Fuel Cells Systems)、WG-105(UAS)が挙げられる。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(4)EUROCAEの状況︓ 「WG-112 VTOL」の構成

VTOLに特化した標準を開発するWG-112が2019年6月に⽴ち上げられ、EASAのSpecial Condition for VTOLのAcceptable Means of Complianceとなる業界標準の開発を進めている。

委員会 サブG タイトル 概要 スケジュール 体制WG-112 Vertical Take

Off and Landing (VTOL)

EASAのVTOL機に関するSpecial ConditionのAcceptable Means of Complianceとなるような産業界としての標準を策定することが目的のWG。電動、揚⼒・推⼒、安全性、⾶⾏、地上インフラ、のSGが設置されている

2019年6月に設置ドラフトを検討中(次頁)

ハイブリッド電気推進の委員会とも連携ASTM, SAEとも連携

SG0 Steering Committee

SG1〜SG5の全体統括を⾏う EUROCAE, EASA, WG-112の各SGのリーダーから構成される

SG1 Electrical VTOLの電気システムの標準を開発する ドラフトを検討中(次頁)

議⻑は Limhi Somerville, Vertical Aerospace

SG2 Lift/Thrust VTOLのlift/thrustシステムの標準を開発する

ドラフトを検討中(次頁)

議⻑はMeunier René, SAFRAN

SG3 Safety VTOLの安全面の標準を開発する ドラフトを検討中(次頁)

議⻑はPhilip Blagden, Civil Aviation Authority(UK)

SG4 Flight VTOLの⾶⾏に関する標準を開発する ドラフトを検討中(次頁)

議⻑はChristian CANTALOUBE, Thales Group

SG5 Ground ポート、地上インフラの標準を開発する ドラフトを検討中(次頁)

議⻑はSimon Whalley, VTOL

出所) EUROCAE WG-113 Technical managerへのヒアリングhttps://eurocae.net/about-us/working-groups/

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(4)EUROCAEの状況︓ 「WG-112 VTOL」のWork ItemWG-112のサブグループでは、以下の技術基準のドラフトが検討されている。

委員会 サブG タイトル Work ItemWG-112

Vertical Take Off and Landing (VTOL)

ED-XXX VTOL Concept of Operations (CONOPS) for Standard Operating Scenarios - Status: Draft

SG0 Steering Committee Internal report Overview of EUROCAE VTOL standardisation activities - Status: Approval

SG1 Electrical ED-xxx Process Standard for crashworthiness test of battery systems for eVTOL applications - Status: Draft

ED-XXX Guidance on determination of SoC and SoH applied to the battery for eVTOL applications - Status: Draft

ED-XXX Technical Standard on Rechargeable Lithium Batteries in eVTOL applications -Status: Draft

ED-XXX Guidance on use of high-voltage electrical distribution for eVTOL applications -Status: Draft

ED-XXX TBD - Status: DraftSG2 Lift/Thrust ED-xxx Guidance on designated fire zone for VTOL - Status: Draft

ED-xxx Guidance for rotorburst analysis for VTOL enhanced category - Status: Draft ED-xxx Guidance for Common mode analysis for lift - thrust system for VTOL enhanced

category - Status: Draft

SG3 Safety ED-xxx Guidance on Hazard and Safety Assessment from Aircraft down to system level for VTOL - Status: Draft

ED-xx Specific Risks Assessments - Status: Draft ED-xxx Information security guidance for VTOL and collaborative systems - Status: Draft ED-xx Guidance on the demonstration of acceptable occupant safety - injury prevention

measures - Status: Draft ED-xx Guidance on Emergency Landing - Status: Draft

SG4 Flight ED-xxx Environmental Conditions and Test Procedures for VTOL Operations - Status: Draft ED-xxx VTOL Flight Trajectories - Status: Draft ED-xxx VTOL Flight control/ Handling qualities verification - Status: Draft

SG5 Ground ED-xxx VTOL landing sites - Status: Draft ED-xxx VTOL charging infrastructure - Status: Draft

出所) https://eurocae.net/about-us/working-groups/

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(4)EUROCAEの状況︓ その他のVTOLに関連するWG(1/2)WG-112以外の関連WGとして、WG-113(電動ハイブリッド推進), WG-80(水素・燃料電池システム), WG-105(UAS)がある。

委員会 サブG タイトル 概要 スケジュール 体制WG-113 Hybrid

Electric Propulsion

航空機業界ではさらなる電動化に向けた変⾰が進んでいる。 技術や機構における⾰新により、航空機の機体製造者・エンジン製造者・システムサプライヤー間の新たな連携方法や、規制への対処、また新機構に対するコンプライアンス手段が必要。

2019年6月に設置3月末までに内部で報告書をまとめ、業界内で調整して検討事項の優先順位付けを⾏う予定

EASAと連携している

WG-80 Hydrogen and Fuel Cells Systems

航空機の水素燃料電池システムの認定/認証のガイドライン開発、最善慣⾏収集を目的としたWGで、水素燃料電池技術の空中使用事例と認証目標を検討する。電⼒や信頼性などの運用要件は範囲外

【発⾏済規格】 ED-219 Aircraft Fuel Cell Safety

Guidelines - Status: Published (2013年1月)

ED-245 MASPS for Installation of Fuel Cell Systems on Large Civil Aircraft -Status: Published (2017年4月)

ER-020 Considerations for Hydrogen Fuel Cells in Airborne Applications -Status: Published (2019年11月)

【検討中ドラフト】 ED-xxx MASPS for Liquid Hydrogen

fuel cells on-board aircraft - Status: Draft

SAE AE-7AFCと共同で作業している

出所) EUROCAE WG-113 Technical managerへのヒアリングhttps://eurocae.net/about-us/working-groups/

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(4)EUROCAEの状況︓ その他のVTOLに関連するWG (2/2)

委員会 サブG タイトル 概要 スケジュール 体制WG-105 Unmanned

Aircraft Systems (UAS)

あらゆるタイプの空域で、何時でも、全ての操作においてUASの安全な運航を可能とするための基準とガイダンスの開発を目的としたWGで、以下の特定6分野で構成される︓UAS Traffic Management, Command/Control/Communication, Detect and Avoid, Design and Airworthiness Standards, Specific Operations Risk Assessment, Enhanced RPAS Automation

2016年9月に設置 RTCA SC-228 for Unmanned Aircraft Systems と連携

SG42 Remote Pilot Stations

リモートパイロットステーションのATCインターフェースの標準化

【公開審議中規格】ED-272 Minimum Aviation Systems Performance Standard for Remote Pilot Stations supporting IFR operations into non-segregated airspace -Status: Open consultation

議⻑はFrancisco Javier RAMOS SALAS, Airbus Defence & Space

出所) https://eurocae.net/about-us/working-groups/, https://www.eurocae.net/news/posts/2016/september/wg-105-call-for-participation/, https://www.eurocae.net/news/posts/2019/december/eurocae-open-consultation-ed-272/

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCA/ISOにおける審議項目

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープ

SC-228 Minimum Performance Standards for Unmanned Aircraft Systems

UASの最低運用性能基準 無人航空機システム(UAS)のDAA機器の最低運用性能基準(MOPS)とL帯やC帯の電波を用いたC2リンクのMOPSを開発。

<RTCA>

<ISO>

Com No Work Item(英) 項目名(和) スコープ

TC 20/SC 16 WG3

New work item proposal

Operational procedures for passenger carrying UAS

旅客輸送UASの運航手順 ―

TC 20/SC 16 WG3

New work item proposal

Operation of vertiports for unmanned aircraft

無人機のバーティポートのオペレーション

※ISOでは、UASに関する委員会であるTC20/SC16のイギリスが部会⻑を務めるWG3において、イタリアの個人コンサルが2020年2月に上記2つのアイテムを提案。2020年4月末期限で新規提案の投票が実施されるところで、承認されれば将来の検討項目となる

※RTCA SC-228では、UASのMOPSを検討している委員会であるが、将来の検討テーマの候補としてUAMが挙げられている

RTCAにおけるeVTOLに関連する委員会として、SC-228(Minimum Performance Standards for Unmanned Aircraft Systems)が挙げられる。加えて、ISOではUASに関する委員会であるTC20/SC16において、eVTOL関連の新たな議題提案がなされているところ。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCA SC-228の動向

委員会 英語タイトル 日本語タイトル 概要SC-228 Minimum Performance

Standards for Unmanned Aircraft Systems

無人航空機システムの最低性能基準

無人航空機システム(UAS)のDAA機器の最低運用性能基準(MOPS)、空対空レーダー(Air to Air Rader)のMOPS、L帯やC帯の電波を用いたC2リンクのMOPSを開発している委員会。

RTCAのSC-228では、UAS関連の最低運用性能基準(MOPS)が策定されているほか、UAM StandardもSC-228の今後のアジェンダとして検討が⾏われている現状がある。

RTCA-DO-362 Command and Control (C2) Data Link MOPS

RTCA-DO-365 MOPS for Detect and Avoid (DAA) Systems

RTCA-DO-366 MOPS for Air-to-Air Radar for Traffic Surveillance

SC-228におけるUAM関連の検討状況RTCA SC-228の将来的に検討され得るトピックの⼀つとして、"UAM standards"が

取り上げられており、直近のSC-228 運営委員会関係者会議(Steering Committee Stakeholder Meeting)でのレビューと優先付けを経て、2020年11月にTerms of Referenceとして決定される可能性がある

2020年1月 RTCA第22回本会議での情報

SC-228においては、下記の文書が策定されている。

• UASの運用において、地上施設やUASなどとの間をつなぐC2システムに必要な性能や試験手順を整理した文書。

• UASに搭載される衝突回避(DAA)システムに必要な性能や試験手順を整理した文書であり、FAAにおけるTechnicalStandard Order等において参照されている。

• UASに搭載されるDAAシステムにおいて活用される空対空レーダー(Air-to-Air Radar)に必要な性能や試験手順等を整理した文書。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCA SC-228の動向RTCA DO-362で規定されるC2リンクのアーキテクチャは下記の通り。これらを⼀つの基準としつつ、各種機体に実装されるC2リンクが作られている。

航空無線航空機の

フライト及び無線管理システム

その他システムカメラ映像DAA情報

VHF及びUHF無線

ナビゲーション情報

エンジン情報

情報のやりとり

無線コマンド及び状態

無人機(UA1)

アンテナ地上無線

アンテナ

地上無線

アンテナ地上無線システムB

地上無線システムA

分配システムB

分配システムA

操縦席操縦席UA2

操縦席操縦席UA3

操縦席操縦席UAx

UA2地上FRMS

UA3地上FRMS

UAx地上FRMS

操縦席UA1

UA1地上FRMS

ATC

周波数割当マネージャー

UA2 UA3 UAx

情報のやりとり

無線コマンド及び状態

出所︓RTCA, ”Command and Control (C2) Data Link Minimum Operational Performance Standards (MOPS) (Terrestrial)”, p.11を参考にMRI作成

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCA SC-228の動向

地上センサ等 衛星等

無人機侵入機

航空管制(ATC) 地上制御ステーション

監視データ

ADS-B、アクティブ

監視データ

ATC レーダー、

セカンダリ)

ATC レーダー、(プライマリ、セカンダリ)

ATC ADS-BATC ADS-B地上局 GPS衛星/通信衛星/地上局

DAA,無人機データ

DAA,無人機データ

CNPCデータ

航空管制通信

航空管制通信

TCAS IIデータ

ATC監視データの蓄積

ADS-Bデータ

レーダーデータ

アクティブ監視データ

出所︓RTCA, ”Minimum Operational Performance Standards (MOPS) for Detect and Avoid (DAA) Systems”, p.5を参考にMRI作成

RTCA DO-365で規定されるDAAシステムのアーキテクチャは下記の通り。これらを⼀つの基準としつつ、各種機体に実装されるDAAシステムが作られている。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCA SC-228の動向

PNS︓Primary Navigation System、FCS︓Flight Control System、FMS︓Flight Management System

RTCA DO-366では、DAAシステム(Air-to-Air Radar)に関連する無人機側のアーキテクチャは下記のように示されている。(次ページへ続く)

監視器材(航跡探知)

TCASⅡTCASⅡ

ADS-BADS-B

レーダーレーダー

DAA処理部

航跡処理(トラッカ含む)

航跡処理(トラッカ含む)

DAAの警報DAAの警報

誘導処理誘導処理

無人航空機システム

ナビゲーションシステム(PNS)

ナビゲーションシステム(PNS)

フライトコントロールシステム(FCS)

フライトコントロールシステム(FCS)

フライトマネジメントシステム(FMS)

フライトマネジメントシステム(FMS)

CNPC データリンク器材(航空機)

CNPCデータ

侵入機データ

⾃機データ

CASロジックデータTCASⅡデータ

ADS-Bデータ

レーダーデータ

DAAデータ監視データ 無人航空機データ

⾃機データ

CAS

ActiveSurveillance

無人機

出所︓RTCA, ”Minimum Operational Performance Standards (MOPS) for Air-to-Air Radar for Traffic Surveillance”, p.3を参考にMRI作成

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCA SC-228の動向

RA︓Resolution Advisory、CNPC︓Control and Non-Payload Communications

CS DAA処理部CS DAA処理部

DAA誘導部DAA誘導部

DAAアラート部DAAアラート部

TCASⅡ統合RATCASⅡ統合RA

CS監視制御部

表示・警報システム

無人機制御部

CS DAAトラフィックディスプレイ

CS DAAトラフィックディスプレイ

アラートシステムアラートシステム

CNPCデータ

航空管制通信

制御情報

航跡処理データ、DAAアラート、ガイダンスデータ、DAAの状態

モード制御

トラフィック、DAAアラート、ガイダンスの表示

CNPC データリンク器材-地上

パイロット

機体制御情報

機体制御情報

制御情報

RTCA DO-366では、DAAシステム(Air-to-Air Radar)に関連する地上の制御ステーションのアーキテクチャは下記のように示されている。

通信⼜は無線リレーを通じて

CS DAA誘導部CS DAA誘導部

その他ディスプレイ

その他ディスプレイ

地上制御ステーション

DAA/監視の状態、⾃機データ、航跡情報、航跡処理データ、DAAアラート、ガイダンスデータ等

TCAS II RAデータ

出所︓RTCA, ”Minimum Operational Performance Standards (MOPS) for Air-to-Air Radar for Traffic Surveillance”, p.4を参考にMRI作成

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(5)RTCAにおけるその他の関連動向

バッテリーに関する基準として、RTCA SC-225が策定したDO-311(Minimum Operational Performance Standards for Rechargeable Lithium Battery Systems)が存在する。

※型式証明の⼀部を構成するPortable Electronic Devicesに含まれる充電式リチウムバッテリーも適用対象であるとされている。

委員会 文書番号 英語タイトル 日本語タイトル 概要

SC-225 DO-311A Minimum Operational Performance Standards for Rechargeable Lithium Battery Systems

充電可能なリチウムバッテリーシステムの最低運用性能基準

• 2017年にSC-225により策定された規格であり、充電式リチウムバッテリーの設計者・メーカー、航空機メーカー、航空機機器の設置者、航空機業界のユーザーが対象とされている規格。

• 規格の対象となる機体は特定されておらず、航空機に積載される充電式リチウムバッテリーシステムに当該規格は適用される※。

• DO-311Aは、充電式リチウムバッテリーシステムの設計・試験・設置に関するガイダンスを提供する規格となっている。

出所︓Engineering360, “https://standards.globalspec.com/std/10270501/RTCA%20DO-311”を参考にMRIが整理

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関連文書

EASA SC E-19 電気 / ハイブリッド推進システムに関するスペシャルコンディション

ASTM F39.05 F3338 航空機の電気推進ユニットの設計に係る標準規格

SAE AIR 6343 再充電可能な航空リチウムバッテリーシステムの設計開発 AIR 6897 航空機で利用する再充電可能なリチウムバッテリーのバッテリーマネジメントシステム

航空機システムの安全性に関する考え方

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 EASA Special Condition E-19(2020年4月10日までコメント受付中)

Special Condition E-19

電気 / ハイブリッド推進システムに関するスペシャルコンディション

EASAは、2020年1月に電気/ハイブリッド推進システムに関するスペシャルコンディション(提案版)を策定し、その認証基準を当該規定の中で明確にしている。

当該SCの問題意識

当該SCの主な構成

内容

• 航空機のエンジンに適用される通常の認証基準は、CS-E(改訂版)⼜はCS-22のサブパートHであるが、これらの基準はいずれも電気/ハイブリッド推進システムを想定した基準ではなかった。

• そこで、電気/ハイブリッド推進システム(EHPS)の認証基準を定めることが必要であるとされ、当該SCが策定されるに至った。

• 当該SCには、大きく分けて下記4つのサブパートが存在する。

A

⼀般規定

B

設計及び構造

C

システム及び設備

D

実証

• SCの適用範囲、遵守基準(AMC)、用語の定義等が規定されるパート

• EHPSのハード面の基準を定めるパート。• 材料、安全性の評価、強度等を定める。

• EHPSのシステム面の基準を定めるパート。• 燃料システム、冷却システム等を定める。

• 検討対象となるEHPSに関する各種条件を実証する方法や目的を定めるパート。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 EASA Special Condition E-19 ( 2020年4月10日までコメント受付中)

内容

適用範囲(EHP 10)

具体的な構成

A. 一般規定• EHP 10 適用範囲• EHP 11 遵守のための受け入れ可能な手段(AMC)• EHP 15 用語• EHP 20 EHPSの構成• EHP 22 識別• EHP 25 継続耐空証明に関する説明• EHP 30 EHPSの設置及び操作に関するガイドライン• EHP 40 定格及び運用限界

B. 設計及び構造• EHP 50 材料• EHP 80 安全性評価• EHP 90 EHPSの重要部品• EHP 100 防火• EHP 200 固定及び疲労荷重• EHP 210 強度• EHP 220 取付器具及び構造• EHP 230 振動調査• EHP 240 過速度とローターの整合性

B. 設計及び構造• EHP 250 圧縮機⼜はタービン翼故障格納機• EHP 260 継続回転• EHP 270 雨の状況• EHP 280 着氷状態• EHP 290 バードストライク及び異物の衝突

c. システム及び設備• EHP 300 燃料システム• EHP 310 潤滑システム• EHP 320 冷却システム• EHP 330 機器• EHP 340 点火システム• EHP 350 EHPS制御システム• EHP 355 時間限定出発• EHP 360 機器及びセンサーの接続• EHP 370 発電及び配電• EHP 380 エネルギー貯蔵システム

D. 実証• EHP 410 試験の⼀般的な実

施方法• EHP 420 耐久性実証• EHP 430 冗⻑性実証• EHP 440 校正実証• EHP 450 分解検査• EHP 460 動作実証• EHP 490 システム・機器・構成

品の試験

実証(サブパートD)

• 当該SCは、EHPSと呼ばれる電気/ハイブリッド推進システム※に適用される。また、当該SCは、電⼒の範囲の制限なしに、あらゆるEHSPに適用される。(※EHPSは、揚⼒/推⼒/電⼒を提供または⽣成するために使用される。EHPSは、電気モータ、インバータ、タービンエンジン、ピストンエンジン、発電機、電気配線相互接続、電源⽣成、エネルギー貯蔵システム、統合ファン、冷却システム、電源管理システム等を含む。)

• 飛⾏中に揚⼒/推⼒/動⼒を発⽣するために使用されないEHPS(⾛⾏中の⾞輪を動かすためのEHPSや空調用のEHPS等がその⼀例)は、当該SCの範囲外である。また、プロペラも適用範囲外である(CS-Pで規定されているため)。

• 耐久性、冗⻑性、振動、オーバートルク、気温限界実証、運用(パワーレスポンス、ローターロッキング、可変ピッチスラスタによる操作、固定ピッチスラスタによる操作を含む)の要件への適合性は、サブパートDで定める各種試験、解析、それらの組み合わせなどで実証される必要がある。

SC E-19の具体的な内容や、適用範囲、実証試験の位置付けは下記の通り。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 ASTM F39.05(発⾏済)

内容

標準規格の概要

• 当該標準規格は、電気推進ユニットの設計に係る最低要件を示すもので、⺠間航空当局から承認を受けることを目指す各設計者や製造者が⼀般航空機の電気推進ユニットを開発する際に使用される基準を提供している。(1.1及び4.1)

• 当該規格は、分散推進システムも適用対象外とはしないが、これが引き起こし得る問題(共通モーターコントローラー⼜はインバータ、分離された電気ハーネス、冷却システム、電源等)に関する追加的な要件の検討が必要とされる。また当該規格は、固定ピッチのプロペラやファンを有するEPUに適用可能である。これらに関する試験は、当該規格5.24において規定される。(1.2及び1.6)

• 当該規格は、ハイブリッド構成(EPUと燃料エンジンが共通のスラスタを駆動させ得るようなもの)に必要とされる可能性のあるすべての要件をカバーしているものではない。また、当該規格は、ギアボックス、スラスタ、液体冷却/潤滑、またはエネルギー貯蔵システムを含むEPUの要件は扱っていない。(1.3及び1.4)

要件の構成

• 5.1 継続耐空証明の説明• 5.2 EPUの設置及び運用の説明マニュアル• 5.3 EPUの運用限界と定格• 5.4 材料• 5.5 防火• 5.6 耐久性• 5.7 EPUの冷却• 5.8 EPUの取り付けアタッチメント及び構成• 5.9 EPUの回転の超過速度• 5.10 EPUのコントロール• 5.11 計器⼜はセンサーの接続• 5.12 振動• 5.13 EPUシステムと構成品の試験• 5.14 強度分析• 5.15 EPUの消耗部品及び必須部品

既存の規格である、F39.05の「F3338 航空機の電気推進ユニットの設計に係る標準規格」の概要は下記の通り。

• 5.16 潤滑システム• 5.17 継続的回転• 5.18 安全性分析• 5.19 損傷• 5.20 組み合わせ試験• 5.21 回転固定試験• 5.22 分解検査• 5.23 含有• 5.24 EPUの変動ピッチプロペラ⼜はファンシステムの試験• 5.25 EPUの固定ピッチプロペラ⼜はファンの試験(EPUの

型式証明に含まれる場合)

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 SAE AIR 6343(発⾏済)Aerospace Information Report 6343が2020年1月に発⾏され、その中ではリチウムイオンバッテリーの開発に関連して発⽣するリスクを低減するガイドラインを規定する推奨事項及び標準の策定が必要であると勧告されている。

AIR 6343Design and Development of Rechargeable Aerospace Lithium Battery Systems

再充電可能な航空リチウムバッテリーシステムの設計開発

スコープ

目的

現状理解と今後の方向性

結論・勧告

内容

• 再充電可能なリチウムイオンバッテリーの設計と開発に対する標準化された方法論的アプローチの必要性に関する注意喚起を⾏うことが当該レポートの目的。上記の方法論的アプローチの目的は、特に航空宇宙分野用途のリチウムイオンバッテリーの製品としての安全性能を達成することにある。

• 当該AIRは、航空宇宙分野の用途のリチウムイオンバッテリーの設計と開発を⾏う際に利用されるべき方法論の基本的な概要を示すもので、ここで⾔うリチウムイオンバッテリーには、バッテリーセル、監視・制御電子機器、バッテリ充電器を含んでいる。上記方法論は、設置済みの装備品に適用される。

• SAEとしては、航空宇宙分野向けのリチウムイオンバッテリーの安全基準は存在しないと理解しており、RTCAのDO-311Aで規定されている内容はあくまで標準化された試験方法を定めたものであり、設計、開発、製造のための手法については扱われていないと認識。

• 業界で受け入れられている方法論として、ARP 4754、ARP 4761が存在しており、特にARP 4761は、⺠間航空で組み⽴てられるシステムの安全性を評価するために使用されるモデル化されたプロセスを規定している。その上で、当該AIRでは、下記の評価プロセスを考慮することが必要とされている。

• 機能的危険性評価(FHA)︔システム安全性評価(SSA)︔フォールトツリー解析(FTA)︔障害モードと影響の解析(FMEA)︔共通原因分析(CCA)︔共通モード解析(CMA)︔特定のリスク分析(PRA)

• 上記の評価プロセスで特定される条件を満たしていることを示すため、サプライヤーは、設計保証レベル(DAL)を考慮しながら製品の設計、開発、検証、妥当性確認のすべての側面をカバーする全体的な開発計画を構成する⼀連の要素を文書化する必要がある。(次ページにおいて、この過程で含まれる可能性のある計画・文書の例を示す。)

• 再充電可能なリチウムイオンバッテリーの開発に関連して発⽣するリスクを低減するガイドラインを規定する推奨事項及び標準の策定が必要である。これは、設計の特性、リスク低減の方策に焦点を当てつつ、非常に詳細になる必要がある。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 SAE AIR 6343(発⾏済)

システム開発計画(SDP) → RTCA DO-311Aへの適合性を強調する必要がある。 品質計画 設計の検証および検証計画(VVP) 構成管理計画

仕入先管理計画(SMP) 環境要求事項試験計画の認定(QETP) → RTCA DO-160Gの該当セクション、環境条件、および航空機搭載機器の試験手順への適合性を重視

する必要がある。 ハードウェア認定の計画(PHAC) → RTCA DO-254への適合性を重視する必要がある。 ソフトウェア認定の計画(PSAC) → RTCA DO-178Cへの適合性を重視する必要がある。 安全・信頼性評価

機器信頼性予測(ERP) 安全機能試験報告書

セル濫用性能試験報告書 セルカレンダー/ライフサイクルレポート システム悪用テストレポート

熱解析 排ガス分析(組成、放出速度、総量) 排ガス圧⼒解析 外部短絡解析· 過充電解析 過放電解析

エンクロージャ検証テストレポート 正常性監視戦略

コンポーネントメンテナンスマニュアル インストールのガイドライン

インタフェースコントロール図面

AER 4761等を踏まえ、サプライヤー側で作成する必要性が⽣じ得る計画・文書は下記の通り。

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1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 SAE AIR 6897(ドラフト)

リチウムイオンバッテリーのバッテリーマネジメントシステムに関する基準を規定するAerospace Information Report 6897に関してもドラフト版が下記の目的で策定されている。

AIR 6897Battery Management Systems for Rechargeable Lithium Batteries used in Aerospace Applications

航空機で利用する再充電可能なリチウムバッテリーのバッテリーマネジメントシステム

目的

現状理解

内容

• 当該AIRは、航空宇宙分野のリチウムイオンバッテリーにおいて使用されるバッテリーマネジメントシステムのアーキテクチャの設計とその開発に関する背景とガイダンスを提供することが念頭に置かれている。目的は、バッテリーマネジメントシステムを組み込んだリチウムイオンバッテリーの認定及びバッテリーマネジメントシステムの設計・開発のための標準化されたアプローチを開発するためのフレームワークを示すことにある。

• 当該AIRのにおいては、設置済みの機器に対して適用される。※ リチウムイオンバッテリーには、バッテリーマネジメントシステムを組み込むことが必要である。その主な機能は、セルの状態を監視し、

過電圧、不⾜電圧、過電流、過熱等の有害な状態からセル保護することにある。その他、バッテリーマネジメントシステムには、セルのバランシング、充電状態の推定、電池の健康状態の推定、内臓テストなどの機能も含まれている。

※ 現在のところ、リチウムイオンバッテリーにおけるバッテリーマネジメントシステムの設計と検証のための推奨事項⼜は標準を提示する文書は存在しなかったため、今回のAIRでそれを明確化する試みが⾏われている。

• 現在、使用可能なほぼすべてのリチウムイオンバッテリーにはバッテリーマネジメントシステムが組み込まれている。• その認定のため、バッテリーマネジメントシステムは、その故障状態分類と⼀致する設計保証レベル(DAL)を満たす必要がある。• 航空宇宙分野で使われるリチウムイオンバッテリーの基準には、DO-311AとMIL-PRF-29595Aの⼆種類の文書が存在。

• DO-311A︓商用(非軍事)の航空機用バッテリーの試験に関して定めた基準• MIL-PRF-29595A︓軍用航空機用のバッテリーの試験に関して定めた基準

• 上記の文書は、あくまでリチウムイオンバッテリーのための試験に関する基準を規定しているが、バッテリーマネジメントシステムに関してはあくまで最⼩限の設計要件と試験方法が規定されているのみである。

• そこで、本AIRにおいて、バッテリーマネジメントシステムの設計要件と試験要件を定めるための基礎的な考え方が提供されている。

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 41

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 SAE AIR 6897 (ドラフト)

バッテリーマネジメントシステムの機能

パラメータ監視 セルの保護 診断及び事前判定機能 コントロール 通信 データログ

過電圧充電保護

低電圧放電保護

過温度放電保護

低温放電保護

過温度充電保護

低温充電保護

過電流充電保護

過電流放電保護

充電の完了

セル/モジュール/パックの電圧

充電/放電の現状

セル/モジュール/パックの温度

冷却材の温度

充電状態の推定

状態の推定

残存耐用年数の推定

内臓テスト

高電圧絶縁監視

電源管理

バッテリー温度管理

接触器作動

セルのバランス調整

航空機システムとの通信

電⼒制御システムとの通信

エネルギー貯蔵コントローラーとの通信

使用履歴

障害履歴

パラメータ超過

AIR 6897では、バッテリーマネジメントシステムを下記の機能に分解して各機能に求められる要素を規定している。

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 42

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)関連文書 SAE AIR 6897 (ドラフト)

バッテリーマネジメントシステム

の認定

結論及び勧告

内容

• リチウムイオンバッテリーのバッテリーマネジメントシステムに関してFAAの承認を得るためには、バッテリーマネジメントシステムを試験し、その結果で認定を⾏う必要がある。

• バッテリーマネジメントシステムが、デジタルバッテリーマネジメントシステム⼜は、アナログ/デジタルバッテリーマネジメントシステムの場合、ソフトウェアはRTCA DO-178Cに基づいて認定を受ける必要がある。

• DO-178Cにおいては、ソフトウェアの設計保証レベル(DAL)がAからEまでの5段階で設定され、システムごとに適切なレベルで設計することが求められている。

• バッテリーマネジメントシステムに複雑なハードウェアが含まれる場合、RTCA DO-254に基づいて認定を受ける必要がある。

• DO-254においてもDO-178Cと同様に5段階のDALが存在し、適切なレベルでの対応が求められる。

• バッテリーマネジメントシステムは、航空宇宙分野のリチウムイオンバッテリーの機能と信頼性にとって必要不可⽋な要素であり、設計要件と推奨事項・標準が必要である。

• 次のステップとして、ARPを開発することが推奨される。

バッテリーマネジメントシステムの設計アプロー

• リチウムイオンバッテリーのバッテリーマネジメントシステムにおいて使用出来る基本的な設計アプローチは、「アナログ」、「デジタル」、「アナログ/デジタルハイブリッド」の三種類になる。

• アナログのバッテリーマネジメントシステムの設計においては、アナログ回路のみを使用して設計が⾏われる(抵抗器、コンデンサ、ダイオード、オペアンプ、コンパレータ、トランジスタ等)。そのため、比較的単純で、データ記憶の能⼒を有しない傾向があるとされる。

• デジタルのバッテリーマネジメントシステムの設計においては、制御及びデータ記憶目的のためのマイクロプロセッサやアナログ/デジタル変換機(A/Dコンバータ)を含んでいる。

• アナログ/デジタルハイブリッドのバッテリーマネジメントシステムの設計においては、アナログ制御、デジタル制御のいずれも含まれる。アナログ制御は重要度の高い機能に使用され、デジタル制御は重要度の低い機能に使用される等役割分担を⾏い、負担を下げられることがメリットとされる。

AIR 6897では、その設計アプローチや認定のために必要な取り組み(DO-178CやDO-254に基づく認定等)が具体的に規定されている。

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※例えば、航空機の安全性に対する故障状態の発⽣確率を10-9以下にしなければならないといったもの

故障(Failure)=発⽣確率の算出が可能であるもの※(想定され得る物理的な故障)

エラー(Error)=発⽣確率の算出が不可能なもの(開発段階で発⽣するエラー)

安全性解析・評価を通じて安全性を担保する必要性がある

開発保証(プロセス)を通じて安全性を担保する必要性がある

故障状態(Failure Condition)

航空機の安全性(耐空性)を検討するに際しては、当局の定める耐空性基準において、想定される故障状態(Failure Conditions)の影響度(Severity)に応じて、その許容される発⽣確率を踏まえる必要がある。

航空機システムの安全性における故障状態は、発⽣確率の算出が出来る「故障」とそれが出来ない「エラー」に分けられ、それぞれ「安全解析・評価」と「開発保証(プロセス)」を通じて安全性を担保していく必要がある。

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)航空機システムの安全性に関する考え⽅

出所:三菱航空機「民間航空機の安全・開発保証プロセスについて」を参考にMRI作成

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航空機の安全性を担保する上で重要な文書は、下記の文書群であり、これらに従った設計・開発を⾏っていることを説明することで安全性が担保されることになる。

安全性評価プロセス(SAE ARP 4761)

システム開発保証プロセス(SAE ARP 4754)

ハードウェア(AEH)開発保証プロセス

(RTCA DO-254)

ソフトウェア開発保証プロセス

(RTCA DO-178C)

安全性の条件 システム設計情報

航空機システム開発プロセス

ハードウェアライフサイクルプロセス

ソフトウェアライフサイクルプロセス

想定される航空機の機能

実装要求

安全性評価プロセス

システム開発保証プロセス

ハードウェア開発保証プロセス

ソフトウェア開発保証プロセス

• 航空機に搭載される各機器やシステムの安全性への影響を評価するために使用されるガイドライン

• 影響度に応じて、要求される開発品質が設定される。

• 機体レベル、システムレベル、機器レベルといった形で、航空機システムの レ ベ ル に お い て 機 能 ・ 性 能 の 検 証 ( Validation 及 びVerification)を実施するプロセスを規定。

• 設計要求は抜け漏れなく、且つ、正しい内容であることを証明する必要がある。

• 航空機電子機器を基準通りに開発するためのガイドライン。• ハードウェアの計画プロセス、設計プロセス、検証(Validation及び

Verification)、形態管理などについて定めている。

• ソフトウェアに必要な開発品質要求を満たすことを示すためのガイドラインで、ソフトウェアの開発計画・プロセス・形態管理・品質管理・検証プロセス等、ソフトウェア開発における活動が規定されている。

• 型式証明の取得には、機体メーカーが審査当局に対して、当該ガイドラインに従っていることを説明する必要がある。

運用

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)安全解析・評価と開発保証(プロセス)の在り⽅

出所:三菱航空機「民間航空機の安全・開発保証プロセスについて」を参考にMRI作成

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安全性評価のプロセスは下記の通りで、各フェーズにおいて機体への影響度などを確認しながら最終的なシステム設計を作成する流れとなる。

提案されたシステム設計 FHA FMEA FTA ZA 最終的な

システム設計

再設計 再設計

⼀定の条件を満たさない場合

受け入れ不可能な共通の故障状態の発⽣

FHA

FMEA

FTA

ZA

Functional Hazard Analysis

Failure Mode and Effect Analysis

Fault Tree Analysis

Zonal Analysis

システムの機能上の以上事象を抽出し、機体への影響度を評価し信頼度要求を設定するもの

システムの構成要素の故障モードを特定し、機体への影響をボトムアップで評価するもの

上記のプロセスで洗い出された異常事象のうち、影響度が⼀定のものに対して⽊解析図を作成し、その発⽣確率をトップダウンで算出するもの

⼀つの要因によって複数の機能が同時に機能不全を起こさないかどうかを確認するもの

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)安全性評価のプロセスの概要

出所:三菱航空機「民間航空機の安全・開発保証プロセスについて」を参考にMRI作成

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システム開発保証プロセスは下記の通りで、各フェーズにおいて機体への影響度などを確認しながら最終的なシステム設計を作成する流れとなる。

出所︓SAE ARP4754A, p.24

ARP 4754

DO-178C

ボトムアップ式で安全性の要件を

検証(Verification)する

トップダウン式で安全性の要件を開発及び

検証(Verification)する

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集(6)システム開発保証のプロセス

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1.2 国際標準化機関の会合への参加⽅法の整理(1)ASTMへの参加方法(2)SAEへの参加方法(3)RTCAへの参加方法(4)EUROCAEへの参加方法

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1.2 国際標準化機関の会合への参加⽅法の整理(1) ASTMへの参加⽅法

Participating Member

StudentMember

⾦額メリット

• Book of Standards Volumeを入手可能(オンライン版・印刷版)• Standardization Newsの定期購読• ASTMの発⾏物の割引• 新たな標準規格や既存の標準規格の改訂に対する投票権• 標準の改訂や新たな標準策定の情報の提供• シンポジウムやワークショップへの参加• My ASTMのページを作成可能(Online Terminology Dictionaryへの

フリーアクセスを含む)

• 75$

• 下記のフォームから申し込み手続きを行う。メンバーカテゴリごとにフォームが異なる。

“https://www.astm.org/MEMBERSHIP/MemTy

pes.htm”

手続

Organizational Member

InformationalMember

• Book of Standards Volumeを入手可能(オンライン版・印刷版)• メンバー証(額)を入手可能• ASTMのウェブサイトに企業名を出すことが出来る• Standardization Newsの定期購読• ASTMの発⾏物の割引• シンポジウムやワークショップへの参加• ASTM Online Terminology Dictionaryへのフリーアクセス• 組織の代表は参加する委員会を選択し、追加的なメリットを受けられる。

• Standardization Newsの定期購読• ASTMの発⾏物の割引• シンポジウムやワークショップへの参加

• 説明省略

• 400$

• 75$

出所:ASTM, “https://www.astm.org/MEMBERSHIP/MemTypes.htm”

ASTMに参加する場合のカテゴリとメリット、⾦額、参加手続きを示す。

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1.2 国際標準化機関の会合への参加⽅法の整理(2) SAEへの参加⽅法

Professional Member

⾦額メリット

• 毎年発刊される100以上の書籍、2600以上の技術文書のメンバー割引を受けることが出来る。

• オ ン デ マ ンド コ ース (Introduction to the AutomotiveEcosystem)の無料受講

• 航空関係(または陸上⾞両)の標準規格のアップデートがある場合のメールを受けられるサービス

• SAE Updateやメンバー専用の電子記事の定期購読• SAEによるカンファレンス登録の割引• SAEカンファレンスより前に新たな技術文書の事前通知を受けるこ

とが出来る• 各種保険、旅⾏、カーレンタル等のSAEサービスの割引

• ⼀年につき120$

• 下記サイトから申し込み手続きを行う。

“https://www.sae.org/pa

rticipate/membership/joi

n”

手続

StudentMember • 説明省略

• 下記のフォームから、10〜20の個人向けメンバーシップを購入したい組織向けの特別価格を算出可能

“https://www.sae.org/participate/membership/join/professional/group-rate”

出所:SAE International, “https://www.sae.org/participate/membership/join/professional”及び、SAE Customer Serviceスタッフからの聞き取りを基にMRIが整理。

CommitteeMember

• ワーキングの内容に対するアクセス権限• ワーキングの議事録及び発表資料へのアクセス権限

• 基本的に無料※ ただし、費用がかかる委員会も存在するため、適宜委員会スタッフへの確認が必要。※ E-40の参加費はなし。

• 下記サイトから申請手続きを行う。

”https://www.sae.org/st

andards/development/participation-request”

• SAEのアカウント作成も別途必要(無料)

SAEに参加する場合のカテゴリとメリット、⾦額、参加手続きを示す。

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1.2 国際標準化機関の会合への参加⽅法の整理(3) RTCAへの参加⽅法

RTCAMember

カテゴリー別料⾦メリット

• RTCAライブラリーの文書(電子版)へのフリーアクセス権が与えられるとともに、ハードコピーの60%割引を受けられる。

• Special Committeeへの参加と新たなCommitteeの事前通知を受けられる。

• Technical Recommendationプロセスへの参画• 新たなRTCA文書に関する事前の情報収集が可能になる• 発刊された⼜は策定中の標準規格に関する質問に回答する

RTCAの専門家スタッフにアクセス可能になる• RCTAのシンポジウムへの出席・展示に関する割引、フォーラムイベ

ント出席・RTCAトレーニングコース出席に関する割引• RTCAダイジェストの定期購読• RTCA Membership Directory Onlineへのアクセス(とy外

メンバーサイトを通じて他のメンバー・組織とコネクションを作れる)

Industry Member(収入別)

Academic Member︓1200$

• 申込のプロセスは下記の通り

1.申込書の提出2.申込書のレビュー3.支払い4.メンバーシップの開始5.メンバーシップの更新

• 下記のフォームから申し込み手続きを⾏う

“https://my.rtca.org/apex/MemberApplication”

手続

Level Gross Revenue Annual Dues

Level 1 < $1 Million USD Gross

Revenue

$600.00

Level 2 $1 Million - $10 Million USD

Gross Revenue

$2,200.00

Level 3 $10 Million - $100 Million

USD Gross Revenue

$3,500.00

Level 4 $100 Million - $500 Million

USD Gross Revenue

$5,000.00

Level 5 $500 Million - $ 1 Billion USD

Gross Revenue

$10,000.00

Level 6 > $1 Billion USD Gross

Revenue (less than 20 users)

$15,000.00

Level 7 > $1 Billion USD Gross

Revenue (more than 20

users)

$20,000.00

Association Member︓要調整

US Government ︓要調整

Non-US Government ︓2200$

出所:RTCA, “https://www.rtca.org/content/overview”

RTCAに参加する場合のカテゴリとメリット、⾦額、参加手続きを示す。

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1.2 国際標準化機関の会合への参加⽅法の整理(4) EUROCAEへの参加⽅法

出所:EUROCAE, ”https://www.eurocae.net/media/1459/eurocae-membership_07_2017_druck_new.pdf”、“https://www.eurocae.net/membership/full-members/”、”https://www.eurocae.net/membership/limited-members/”

Full Member

Limited Member

⾦額メリット

• EUROCAE の 文 書 ( EUROCAE Document 、 EUROCAEReport)のコピーを無料で入手可能になる。

• 総会での投票が可能になる。• EUROCAE WGやTask Forceに参加することが出来る。• 全てのWG文書(Terms Of Reference、会議録、報告書、

WG資料のドラフト等)へのアクセスが可能になる。• EUROCAEの意思決定に参画することが出来る。• EUROCAE 理事会にメンバーに選出されることが出来る• EUROCAE Technical Advisory Committeeに選任されるこ

とが出来る。• WGの議⻑に選出されることが出来る。

• 組織(or個人)として関心のあるWG⼀つに参加することが出来る。

• 特定のWG(参加するWG)の活動について通知を受けることが出来る。

• 特定のWGのEUROCAE Documentのコピーを入手可能になる。• その他のEUROCAE Documentの購入について30%割引を受

けられる。

※ WGの議⻑や書記には原則として就任する資格はない。

各組織の収入(予算)ごとに異なる。

• 会社⼜はその他組織︓950€• 個人︓700€

• 下記のフォームから申し込み手続きを行う。

“https://strato.eurocae.net/registermember/memberform”

手続EUROCAEに参加する場合のカテゴリとメリット、⾦額、参加手続きを示す。

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集

(1)機体認証(2)操縦者免許(3)航空機使用事業、航空輸送事業(4)離着陸場(5)⾶⾏試験

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⽶国(FAA)における検討状況

EASAは、⽶国とは異なり、VTOLに特化したSpecial Conditionの策定を進め、2019年7月にSC-VTOL-01をリリースした。

SC-VTOL-01は、コンセプトにバリエーションが豊富なVTOL機に対応するため、従来の基準であるCS-23 Amendment 5(FAA Part23に類似の基準)をベースにして、よりフレキシブルな判断が⾏えるような仕組みを取り入れている。

SC-VTOL-01は、乗客9名以下・最大離陸重量3,175 kg以下の航空機を対象とし、その目的や特性に応じて、BasicカテゴリーとEnhancedカテゴリーの2種類に機体を分類している。(空⾶ぶクルマとして活用される機体はEnhancedカテゴリーとされることが想定される)

機体の種類×故障の影響度でリスクアセスメントを実施し、各機体ごとに求められる基準の厳格さに変化をつける制度を取り入れている。

今後、当該Special Conditionを具体的に落とし込んだ標準規格は、EUROCAE等の各種標準化団体により策定予定である。

次世代航空機に適用されるFAAの基準を検討するに際しては、その機体が従来型の機体区分に落とし込めるか否かが重要である(14CFR§21.17(a)または(b))。

現時点では、次世代型航空機の機体コンセプトは多岐に渡るため、適用される基準は、ケースバイケースで検討されることになる。

従来型の機体区分に落とし込める場合には、機体形態別で、14CFR§23⼜は14CFR§27の適用が想定される。 従来型の機体区分に落とし込めない場合には、14CFR§21.17(b)により、基準を新たに策定するアプローチを取ること

が想定される。(但し、FAAの新たな制度策定に向けたスタンスは明かされていない)

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

欧州(EASA)における検討状況のまとめ

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

<FAAにおける型式証明手続の全体像>

︓どの要件が航空機に求められるか検討・確定するための重要なマイルストーン

FAAの型式証明プロセスのうち、各社による機体開発が⾏われている現状においては、空⾶ぶクルマに適用される要件(Certification Basis)を検討・合意するポイントが特に重要。

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

概念設計Conceptual Design

要件の確定Requirements

Definition

適合性実証の計画Compliance

Planning適合性の実証

Implementation型式証明書取得後の活動

Post Certification Activities

多くの機体メーカーが要件の確定に向けた作業中

機体が各社で現在進⾏形で進められている現状を踏まえると、特に要件の確定が重要事項であり、そのプロセスの中でその機体に適用されるCertification Basisが決められる。

Certification Basisの検討・合意

• FAAは、申請されている製品に該当する要件(Certification Basis)を設定する。

• 設定された要件は、FAAと申請者との間で合意される。

※ 上記は次ページ以降で詳述

• Certification Basisを最終確定させるための公式の会議を実施する。

FAAの型式証明プロセスにおける「要件の確定」では、Certification Basisの検討が行われる。申請者・FAA間での議論を通じ、最終的にITCBMでCBが決定される。

ITCBMでの最終決定

ITCBM︓Interim Type Certification Board Meeting

「要件の確定」の重要ポイント

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

空⾶ぶクルマ

Certification Basis確定に向けて、FAAは既存要件が該当するか否かを検討し、最終的には、FAA・申請者間で合意の上、ITCBMで最終決定が⾏われる。

14 CFR Part 21.17(a)

• CFR§23, 25, 27, 29の各製品に関する要件のうち、該当する要件をFAAが指定する。

• それに付随しCFR§33, 35が適用される場合にはそれらの要件を追加する。

• その他特別な条件(Special Condition)を必要に応じて付加される。

14 CFR Part 21.17(b)

• 既存の要件が適用されない場合は、FAAが新たな要件を§21.17(b)に基づいて、各既存要件の要素等も加味して新要件が策定され、最終的にはAdvisory Circularとして確⽴する(右の例はGliderのAC)。

新たな要件を確⽴

FAA判断主体

FAAと申請者の間での合意

ITCBMにおける適用要件最終決定

出典︓FAA, “Order 8110.4C Changes 1 thru 6 incorporated” pp.30-31を参考にMRI作成

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

14 CFR Part 21では、製品及び航空物品向けの認証手続を規定している。1. 設計承認、製造承認、耐空証明、耐空性承認の発⾏及び変更に関する手続要件2. 上記の承認若しくは証明の申請者及び承認・証明保持者に対する規則3. 航空物品の承認に関する手続要件

14 CFR Part 21の概要

14 CFR Part 21.17の規定内容(Subpart)14 CFR Part 21.17は、Certification Basisを検討するフレームワークを示している。

Part 21.17(a)既存の型式証明が該当する製品に関しては、申請者は、製品ごとに適用される基準(各種型式証明の基準や特別条件等)を満たしていることを証明しなければならない。

Part 21.17(b)既存の型式証明が該当しない特別クラスの製品に関しては、上記パートの要素から適用される基準を組み合わせて基準が決められる(FAAのアドバイザリーサーキュラーとして策定される)。

下記のカテゴリーに該当する製品につき、各Partに記載の条件を満たすことを示さなければならない。• 通常区分︓Part 23(固定翼)、Part 27(回転翼)• 輸送区分︓Part 25(固定翼)、Part 29(回転翼)• その他︓Part 31(有人⾃由気球)、Part 33(航空機エンジン)、Part 35(プロペラ)等

下記の製品については、特別クラスとして各パートの要素を必要に応じて組み合わせて基準が策定され、それがアドバイザリーサーキュラーとしてFAAにより発出されている。• Glider(グライダー)︓AC 21.17-2Aが発出• Airship(⾶空艇)︓AC 21.17-1Aが発出• Very Light Airplanes (超⼩型⾶⾏機)︓21.17-3が発出

14 CFR Part 21では、製品及び航空物品に関する認証手続が規定されており、特にPart 21.17はCertification Basisを検討するフレームワークとして機能している。

出典︓14 CFR Part 21、Part 21.17(a)及び(b)の規定を参考にMRIが整理

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証FAAにおける型式証明の各種要件は、機体の形態(固定翼または回転翼)、乗客席数、最大重量⼜は最大承認離陸重量等で適用が区別されている。

動⼒付き固定翼航空機 回転翼航空機

普通

輸送

14 CFR Part 23の適用対象

14 CFR Part 25の適用対象

14 CFR Part 27の適用対象

14 CFR Part 29の適用対象

適用対象の機体• 19名以下の乗客席数かつ最大承認離陸重量が8,618kg

(19,000ポンド)以下の動⼒(エンジン)付き固定翼航空機 想定される運用形態等

• 基本的には、比較的⼩型の固定翼機で個人での移動等を念頭に置いた運用を⾏う機体が想定されている。

• 乗客席数による承認のレベル分けや、スピード等の性能に応じた他レベル分けなどが⾏われていることが特徴

国交省航空局耐空性審査要領との対応︓第II部と対応

適用対象の機体• 19名より多くの乗客隻数または最大承認離陸重量が8,618kg

(19,000ポンド)以上の動⼒(エンジン)付き固定翼航空機 想定される運用形態等

• 基本的には、普通区分の機体と比べて、より多くの乗客や貨物を輸送する際に使用される機体が想定されている。

国交省航空局耐空性審査要領との対応︓第III部と対応

適用対象の機体• 19名以下の乗客席数かつ最大承認離陸重量が3,175kg

(7,000ポンド)以下の普通回転翼航空機 想定される運用形態等

• 基本的には、比較的⼩型の回転翼機で個人での移動等を念頭に置いた運用を⾏う機体が想定されている。

国交省航空局耐空性審査要領との対応︓第IV部と対応

適用対象の機体• カテゴリーA︓10名より多くの乗客席数かつ最大重量が9,071kg

(20,000ポンド)以上の輸送回転翼工航空機• カテゴリーB①︓9名以下の乗客席数かつ最大重量が9,071kg

(20,000ポンド)以上の輸送回転翼航空機• カテゴリーB②︓10名以上の乗客席数であるが最大重量が

9,071kg(20,000ポンド)以上の輸送回転翼航空機※カテゴリーB①と②は適用される規定が⼀部異なる。

想定される運用形態等• 基本的には、普通区分の回転翼機と比べて、より多くの乗客や貨

物を輸送する際に使用される機体が想定されている。 国交省航空局耐空性審査要領との対応︓第V部と対応

出典︓14 CFR Part 23.2005;FAA, “https://www.faa.gov/aircraft/air_cert/design_approvals/transport/” ; 14 CFR Part 27.1; 14 CFR Part 29.1を参考にMRIが整理

︓ 空⾶ぶクルマは用途や乗客数の面から⾚枠内の基準に近い形態が比較的多い。

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

結論としては、現在検討中の空⾶ぶクルマの機体コンセプトは機体メーカーによって多岐に渡っており、⼀概に適用基準は指定出来ないため、検討される機体毎に下記の観点から適用基準が判断されると想定される。

次世代航空機にどのFAAの基準が適用されるかはあくまでコンセプト次第のケースバイケース検討になるが、下記のような方向で検討が進められることが想定される。

機体認証の制度検討の方向性

その他アプローチ︓14CFR Part21.17(b)のプロセスを通じて、特別クラスとして新要件をアドバイザリーサーキュラー等の形式で策定する。

既存の規定を適用するアプローチ

その他のアプローチ

既存の規定に適用するアプローチ︓14CFR Part23若しくは14CFR Part27を適用する。(⼀部機体の構成によっては14CFR Part25⼜は14CFRPart29)

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証EASAは、⼩型のVTOL機に特化して適用される規則として、”SC-VTOL-01”を2019年7月に策定しており、他の標準化組織でその具体的基準を示した文書が策定作業中である。

策定背景• EASAは、従来の固定翼機や回転翼機とは異なるVTOL型の航空機に関して、そうした新たな市場に参入することを狙

う様々な組織から型式証明の要望を受けていた。• ただ、これらのVTOL機のような新たな種類の機体を、固定翼機や回転翼機に適用される従来型の基準に落とし込ん

で分類を⾏うことが困難であった。• そのため、今回のSpecial Condition(SC)を策定し、乗客を乗せた垂直離着陸機の中でも、⼩型に分類される機

体型式証明書の発⾏及び変更を⾏うことが出来る耐空性基準の文書を作成するに至った。

基本的な考え方• 当該SCは、EASAのCS-23 Amendment 5(FAA Part 23に類似した制度)をベースとしつつ、CS-27の諸

要素と統合する形で作成している。• VTOL機の形式等にバリエーションがあることに鑑み、目的ベースでの認証要件を活用し、共通的な認証要件と技術・

設計ごとにフレキシブルに適用する要件をそれぞれ規定する制度とした。• 機体の種類をその目的や特性に応じて、BasicカテゴリーとEnhancedカテゴリーに分類し、適用される基準を分け

ることとした。• リスクアセスメントに基づく適用基準の調整を⾏う仕組みを導入した。

当該基準の適用対象VTOL.2005(a)当該SCは、乗客の座席構成が9名以下で、最大離陸重量が3,175 kg(7000ポンド)以下の航空機に適用される。(CS-23 amendment 5がベース)

出所︓EASA, “Special Condition for small-category VTOL aircraft (SC-VTOL-01)”を参考にMRI作成

※現在、SCのAccepted Means of Compliance(AMC)は現在EUROCAEで作成作業中である。⼀部リスクアセスメントに関する規定はリリースされている。

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

EnhancedVTOL.2005 (b) (1)

BasicVTOL.2005 (b) (2)

混雑地域上での操縦または旅客の⺠間航空輸送を目的とする航空機に対してなされる認定を指す。

制御された緊急着陸が可能であり、該当するすべての要件を満たす航空機に対する認定を指す。

機体分類

現在検討中の各社の次世代航空機は、その目的等※からEnhancedカテゴリ-として各条項の基準に適合しなければならないケースが多いと想定される。

※現在各企業で開発中の機体の運用イメージにおいては、物の移動に限らず、将来的には地方・都市での人の移動を目指しているケースが多く、SC-VTOL-01で規定される混雑地域上での操縦や旅客輸送という目的を有している。

出所︓EASA, “Special Condition for small-category VTOL aircraft (SC-VTOL-01)”を参考にMRI作成

SC-VTOL-01においては、機体の種類をその目的や特性に応じて、EnhancedカテゴリーとBasicカテゴリーに分類し、適用基準の調整を⾏っている。

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

SUBPART A – 一般規定VTOL.2000 適用範囲及び定義VTOL.2005 ⼩型区分のVTOL機の認証VTOL.2010 受容された遵守手段(AMC)

SUBPART B – 飛⾏VTOL.2100 質量及び重心VTOL.2105 性能データVTOL.2110 ⾶⾏エンベロープVTOL.2115 離陸性能VTOL.2120 上昇要件VTOL.2125 上昇情報VTOL.2130 着陸VTOL.2135 操縦性VTOL.2140 操縦⼒(操縦に掛かる負荷)VTOL.2145 ⾶⾏品質VTOL.2150 失速特性及び失速警報VTOL.2155 (留保)VTOL.2160 振動VTOL.2165 着氷状況下での⾶⾏飛⾏情報VTOL.2170 運用制限

SUBPART C – 構造VTOL.2200 構造設計エンベロープ(包囲線)VTOL.2205 システム及び構造の相互作用構造上の荷重VTOL.2210 構造的設計荷重VTOL.2215 ⾶⾏荷重条件VTOL.2220 陸上及び水上荷重条件VTOL.2225 装備品荷重条件VTOL.2230 制限及び非制限荷重

構造上の性能VTOL.2235 構造強度VTOL.2240 構造耐久性VTOL.2245 空⼒弾性VTOL.2250 設計及び製造原則VTOL.2255 構造の保護VTOL.2260 材料及びプロセスVTOL.2265 安全の特殊要因構造上の乗員保護VTOL.2270 緊急条件

SUBPART D – 設計及び製造VTOL.2300 ⾶⾏操縦システムVTOL.2305 着陸装置システムVTOL.2310 浮揚乗員システム設計保護VTOL.2315 出入手段及び非常口VTOL.2320 乗員の物理環境火災及び高エネルギーからの防護VTOL.2325 防火VTOL.2330 指定された火災区域における防火VTOL.2335 避雷VTOL.2340 設計及び製造情報

SUBPART E –揚⼒/推⼒システムの導入VTOL.2400 揚⼒/推⼒システムの導入VTOL.2405 (留保)VTOL.2410 (留保)VTOL.2415 揚⼒/推⼒システムの導入・着氷防護VTOL.2420 (留保)VTOL.2425 揚⼒/推⼒システムの運用特性VTOL.2430 揚⼒/推⼒システムの導入、エネルギー保存及び分配システムVTOL.2435 揚⼒/推⼒システムの導入支援システムVTOL.2440 揚⼒/推⼒システムの導入の防火VTOL.2445 揚⼒/推⼒システムの導入の情報

SUBPART F – システム及び装備品VTOL.2500 システム及び装備品性能の⼀般要件VTOL.2505 装備品導入の⼀般要件VTOL.2510 装備品、システム、設備AMC VTOL.2510 装備、システム、設置(⼀部)VTOL.2515 電子的及び電気的システムの避雷VTOL.2520 高強度放射電界(HIRF) の防護VTOL.2525 システム電⼒⽣成、エネルギー保存及び分配VTOL.2530 外部及び操縦席の照明VTOL.2535 安全装置VTOL.2540 (留保)VTOL.2545 気圧システム要素VTOL.2550 (留保)VTOL.2555 レコーダーの設置

SUBPART G – 飛⾏要員インターフェイス及びその他情報

VTOL.2600 ⾶⾏要員区画VTOL.2605 設置及び運用情報VTOL.2610 計器マーキング、操縦マーキング、プラカードVTOL.2615 ⾶⾏、航法、揚⼒/推⼒システム計器VTOL.2620 航空機⾶⾏マニュアルVTOL.2625 継続した耐空性維持の指示

※⻘字は”Enhanced Category”(空⾶ぶクルマ)に対して適用される規定を含む条項を指す。出所︓EASA, “Special Condition for small-category VTOL aircraft (SC-VTOL-01)”pp.1-3を参考にMRI作成

SC-VTOL-01の規定の全体像は下記の通り。対象の機体は各条項の要件を充⾜するとともに、機体分類別(Basic/Enhanced)で規定される要件も充⾜する必要がある。

なお、各規定の遵守手段(AMC)については、現在EASAや各標準化団体(EUROCAE)

で検討が進められている。

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

AMC VTOL.2510 機体分類別×故障影響度別のリスクアセスメントの実施• AMC VTOL.2510において、装備品・システム・設備に関して、機体の種類(Enhanced及びBasic)と故障による影響度の掛け合わせを⾏い、許容

されるリスクの度合いを明確にする規定を置いている。• 明らかにされるリスクの度合いに応じて、その開発プロセスの厳密さ、つまり要求の妥当性確認、実施検証の方法等が決まることになる。

VTOL.2510 装備品・システム・設備に関する要件• 破壊的な(Catastrophic)故障状態は、限りなく発⽣可能性が低く、単⼀の障害から発⽣することがないようにする。• 危険(Hazardous)な故障状態からは、限りなく発⽣し得ないようにする。• 主要(Major)な故障状態からは、発⽣し得ないようにする。• Enhancedカテゴリーに関しては、故障は破壊的⼜は危険な結果を⽣じさせる可能性のある機器及びシステムの稼働中に監視するような規定を設ける必要がある。

機体の分類 最大の乗客着席構成 Minor Major Hazardous Catastrophic

Enhancedカテゴリー - ≤ 10-3

FDAL D≤ 10-5

FDAL C≤ 10-7

FDAL B≤ 10-9

FDAL A

7名 ~ 9名 ≤ 10-3

FDAL D≤ 10-5

FDAL C≤ 10-7

FDAL B≤ 10-9

FDAL A

2名 ~ 6名 ≤ 10-3

FDAL D≤ 10-5

FDAL C≤ 10-7

FDAL C≤ 10-8

FDAL B

0名 ~ 1名≤ 10-3FDAL D

≤ 10-5

FDAL C≤ 10-6

FDAL C≤ 10-7

FDAL C

故障発生時の影響度

Basicカテゴリー

<AMC VTOL.2510におけるリスクアセスメントの仕組み>

<考え方の例>• Enhancedカテゴリの機体のケースでは、その故障により「機体の緊急着陸が妨げられる場合」には、Catastrophicと分類されるため、

そのような故障は10-9以下の確率に抑えられなければならない。そのほか、SC-VTOL-01の各条項及び”Catastrophic”に対して適用される各種条項の遵守が必要となる。

出所︓EASA, “Special Condition for small-category VTOL aircraft (SC-VTOL-01)”p.25及びp.30を参考にMRI作成

VTOL.2510及びAMC VTOL.2510においては、リスクアセスメントを⾏い、機体カテゴリーや故障の影響度に応じて要求する基準を変更するような仕組みが設けられている。

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 64

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証EUROCAE WG-112では、EASAのSC-VTOL-01のAcceptable Means of Compliance(AMC)となるような標準規格を作成する作業が進められている。

EUROCAE

WG-112

Steering Committee

SG-1Electrical

SG-2Lift - Thrust

SG-3Safety

SG-4Flight

SG-5Ground

EASAのVTOL機に関するSpecial ConditionのAccpeptable Means of Complianceとなるような産業界としての標準を策定することが目的。

重点領域:バッテリー

下記の標準を策定予定• Process Standard for

crashworthiness test of battery

systems for eVTOL applications

• Guidance on determination of SoC and SoH applied to the

battery for eVTOL applications

• Technical Standard on Rechargeable Lithium Batteries

in eVTOL applications

• Guidance on use of high-voltage electrical distribution for eVTOL

applications

重点領域:揚力/推力技術

下記の標準を策定予定• Guidance on designated fire

zone for VTOL

• Guidance for rotorburst analysis

for VTOL enhanced category

• Guidance for Common mode

analysis for lift - thrust system

for VTOL enhanced category

重点領域:運用の安全性

下記の標準を策定予定• Guidance on Hazard and Safety

Assessment from Aircraft down

to system level for VTOL• Specific Risks Assessments

• Information security guidance for

VTOL and collaborative systems• Guidance on the demonstration

of acceptable occupant safety -

injury prevention measures• Guidance on Emergency

Landing

重点領域:運用条件

下記の標準を策定予定• Environmental Requirements

• VTOL Flight Trajectories

• VTOL Flight control

重点領域:地上のインフラ

下記の標準を策定予定• VTOL landing sites

• VTOL charging infrastructure

出所)”https://www.eurocae.net/about-us/working-groups/”を参考にMRIが作成

全体統括を行う運営委員会としての位置付け

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EUROCAEでは、下記のプロセスでWGの実施や文書策定を進めており、WG-112では最初のリリースを2020年初頭として想定されている。

出所︓EASA, “https://www.youtube.com/watch?v=cQ1w8ZvEMKE”を参考にMRIが整理

OC︓EUROCAEにおける意⾒公募手続で、コメントを求めている

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(1) 機体認証

文書策定の承認

各WGによる文書の

ドラフティング

オープンコンサルテーション(OC)

コメントへの対応及び文書策定作業の完結

現在、この段階の作業を実施中

約28日間程度が想定される

最終承認まで約7日間程度が

想定される

標準規格のリリース

OCから標準規格がリリースされるまで8〜10週間が想定される

、• 実際の文書がリリースされるのは、2020年初頭が想定

• 全体で18の文書が策定作業中

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FAAにおける航空機の操縦者免許の規則は、大別して⼀般的な航空機に関する規則である14 CFR Part 61と、⼩型ドローン(UAS)に関する規則である14 CFR Part 107の⼆つに分けられるが、これらの規則は空⾶ぶクルマには対応していない。

操縦者免許を必要としない航空機のカテゴリーとして、超軽量航空機(Ultralight)が存在し、実際に超軽量航空機カテゴリーのVTOL機も開発されている(Opener社のBlackFly)

ただし、現在開発中の空⾶ぶクルマ(eVTOL)に対して、運航形態・重量・乗員数等の観点から⼀般的に適用されるような操縦者免許に係る制度は存在しないのが現状である。

⽶国(FAA)における検討状況

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(2) 操縦者免許

Commission Regulation (EU) No 1178/2011において、乗組員(Aircrew)に関する規定が置かれており、その中で操縦者免許(Pilot Licensing)に関する規則(Implementing Rules)が置かれている。

他方で、SC VTOL-01において機体に関して規定されているような技術標準については、空⾶ぶクルマ(eVTOL)に特化した操縦者免許の標準は未策定の状況である。

今後、SC VTOL-01のように、この分野においても空⾶ぶクルマに特化してSpecial Condition等が策定されるか否か、その必要性も含めて注視する必要がある。

欧州(EASA)における検討状況

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FAAにおける操縦者免許は、大別して14 CFR Part 61が規定する⼀般航空機に関する操縦者免許と、14 CFR

Part 107が規定する⼩型UASに関する操縦者免許に分類される。当該文書における規定内容

14 CFR Part 107

14 CFR Part 61

規則の概要• Part 61においては、各種航空機の操縦者は、操縦者免許や身体検査証明書等を有している

必要があるとされ、必要な試験(筆記・実技)に合格するしていることが求められる。 規則の対象となる主な免許の種類

• 学⽣操縦者免許(14 CFR Part 61 Subpart C)• 再発⾏操縦者免許(14 CFR Part 61 Subpart D)• 個人用操縦者免許(14 CFR Part 61 Subpart E)• 商用操縦者免許(14 CFR Part 61 Subpart F)• 航空輸送操縦者免許(14 CFR Part 61 Subpart G)• スポーツ用操縦者免許(14 CFR Part 61 Subpart J)

規則の概要• ⼩型ドローンを⾶⾏させるオペレータは、FAAの遠隔操縦に関する操縦者免許を受けている必要が

ある(または、その免許を有する人間の直接的な管理下に置かれている必要がある)。• Part 61のパイロットは、⼀時的な操縦者免許を受けることが可能である。• ⼩型ドローンは、目視⾒通し内で運用しなければならない。

対象となる機体• ⼩型ドローンは、25kg(55ポンド)以下でなければならない。

⼀般航空機

⼩型UAS

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(2) 操縦者免許

Page 68: 令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020. 7. 27. · 実厇内卣. 上卌の目的のため、下卌の調匀を実厇した

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内容

14 CFR Part 103の規定内容

14 CFR Part 103は、操縦者免許等が求められない超軽量航空機に関して規定している。

超軽量航空機の適用範囲

CFR Part 103.1

超軽量航空機の認証等

CFR Part 103.7

超軽量航空機としては、下記の要素を持つ航空機が該当するとされている。• ⼀人乗りの有人⾶⾏に用いられる航空機であること• レクリエーションやスポーツのみを目的としていること• ⽶国⼜は外国の耐空証明を受けていないこと• 動⼒がない場合は、約70kg(155ポンド)以下の重量であること• 動⼒がある場合は、

• 空虚重量で約115kg(254ポンド)以下の重量であること(安全装置等、潜在的に起こり得る壊滅的な状況を想定して積載される機材を除く)

• 燃料のキャパシティは、約18.9L(5ガロン)を超えないこと• 最高速度として、時速約101km(55ノット)以上の速度を出すことが出来ないこと• 失速速度として時速約44km(24ノット)以上の速度を超えないこと

• 超軽量航空機は、航空機に関する耐空証明基準に適合していることを求めらない他、耐空証明を受けている機体であることを求められない。

• 超軽量航空機のオペレーターは、航空工学の知⾒、年齢、実績を求められないほか、操縦者免許や身体検査証明も求められない。

• 超軽量航空機は、登録を求められない。

超軽量航空機(Ultralight)に関しては、操縦者免許が要求されておらず、VTOL機としてはOpener社のBlackFly等がその⼀例として挙げられる。

超軽量航空機の具体的事例

Opener社 BlackFlyOpener社のBlackFly

写真出所)https://www.opener.aero/press/

BlackFlyの事例• Opener社は、⼀人乗りのVTOL機であるBlackFlyを、⽶国(Ultralight)やカナダ

(Basic Ultralight)で運用出来る分類として開発している。• BlackFlyは、超軽量航空機であるため、⾶⾏に際して操縦者免許を求められることはない。• 他方で、Opener社としては、BlackFlyの所有者が、FAAにおけるPrivate Pilotの筆記試験

に合格するとともに、会社が求めるレベルでの機体の理解と必要なオペレータートレーニングコースを完了することを求めるとしている(あくまで⾃主的な取り組みとして)。

出所)Opener, “https://www.opener.aero/press/opener-unveils-first-usa-qualified-ultralight-all-electric-personal-vtol-aircraft/”を参考にMRI作成

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(2) 操縦者免許

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 69

※NASA, “Urban Air Mobility (UAM) Market Study”, p.39を参考にMRI作成

現在開発中の空⾶ぶクルマ(eVTOL)に⼀般的に適用されるような操縦者免許に係る制度は存在しない。

eVTOLの操縦者免許に関する制度の実装状況※

制度実装の必要性

実装状況

• 現状では、eVTOL(遠隔操縦型)の遠隔操縦者として操縦者免許を規定する制度は存在しない。

• 遠隔操縦によるeVTOLの運用を含むユースケース次第では、eVTOLを特に対象とした操縦者免許に関する制度が必要とされる。

• 実際に操縦者免許の要件としてどのような内容が求められるか否かは、当該機体の⾃律化の程度による。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(2) 操縦者免許

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 70

EASAでは、乗組員に関する規則であるRegulation (EU) No 1178/2011に操縦者免許に関連する規則としてPart FCLが存在するが、空⾶ぶクルマに特化したSC等は未策定である。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(2) 操縦者免許

EASAにおける既存の乗組員(Aircrew)に関する規則であるRegulation

(EU) No 1178/2011の附属書I Part FCLでは、操縦者免許の発⾏に関する要件等が規定されている。下記はその中で扱われている免許の種類である。• Subpart B – Light Aircraft Pilot Licence (LAPL)

• Subpart C – Private Pilot Licence (PPL), Sailplane Pilot Licence (SPL) and

Balloon Pilot Licence (BPL)

• Subpart D – Commercial Pilot Licence (CPL)

• Subpart E – Multi-Crew Pilot Licence (MPL)

• Subpart F – Airline Transport Pilot Licence (ATPL)

• Subpart G – Instrument Rating (IR)

• Subpart H – Class and Type Ratings

• Subpart I – Additional Ratings

• Subpart J – Instructors

• Subpart K – Examiners

EASAのSC VTOL-01はあくまで機体に関するSpecial Conditionであり、運航に関するSpecial Conditionではない点に注意が必要となる。

FAAでの議論と同様、空⾶ぶクルマの特性等を加味してそれに特化したSpecial Conditionsは現時点で策定されておらず、

今後の議論を注視する必要がある※。

Regulation (EU) No 1178/2011

出所︓”https://www.easa.europa.eu/sites/default/files/dfu/Easy_Access_Rules_for_Aircrew.pdf”

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 71

FAAの規則上、航空機使用事業・航空輸送事業の場合には、14 CFR Part 121または14 CFR Part135が適用され、特に、空⾶ぶクルマ(eVTOL)を活用した事業にはPart 135が適用されることが想定される。

FAAの手続では、⻑期間に及ぶ審査期間が必要であるとされている。また、現状のPart 135はあくまで既存の機体を想定した制度で、空⾶ぶクルマ(eVTOL)の性質を踏まえると内容に変更が求められる部分も存在する。

今後は、空⾶ぶクルマ(eVTOL)の性質を加味した規定の内容にするようFAAにおいて検討が進められることが想定される。

⽶国(FAA)における検討状況

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(3)航空機使用事業、航空機輸送事業

欧州(EASA)における検討状況

Commission Regulation (EU) No 965/2012において、運航(Air Operations)に関する規定が置かれており、その中で商用輸送の運航(Commercial Transport)に関する規則(Implementing Rules)が置かれている。

他方で、SC VTOL-01において機体に関して規定されているような技術標準については、空⾶ぶクルマ(eVTOL)に特化した航空機使用事業・輸送事業の標準は未策定の状況である。

今後、SC VTOL-01のように、この分野においても空⾶ぶクルマに特化してSpecial Condition等が策定されるか否か、その必要性も含めて注視する必要がある。

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 72

※チャーター運航︓Non-Scheduled Operationsのうち、出発時間、出発地及び到着地について、顧客またはその代理人との明確な交渉により⾏う旅客運送

14 CFR Part 91

General operating

and flight rules

14 CFR Part 121

Rules for scheduled

air carriers

14 CFR Part 135

Rules for commuter

and on-demand

operations

各パートの適用基準概要 空⾶ぶクルマ事業への適用

適用対象• Part 91は、航空機のサイズにかかわらず、⺠間の非営利事業⼜は完全な個人用の

運用に対して適用される基準である。

適用対象(下記に適用)• Domestic Operation︓ジェット機⼜は大型のプロペラ機による⽶国内の2地点間の

定期便の運航• Flag Operation︓ジェット機⼜は大型のプロペラ機による⽶国内の地点及び⽶国外

の地点間の輸送並びに⽶国外の2地点間の定期便の運航• Supplemental Operation︓大型⾶⾏機(客席数が30席を超える⼜はペイロードが

3.4tを超える⾶⾏機)⼜は定期便にも用いられる⾶⾏機によるチャーター運航

適用対象(下記に適用)• Commuter Operation︓⼩型のプロペラ⾶⾏機(客席数が9席以下且つペイロード

が3.4t以下)の定期便の運航• On-demand Operation︓⼩型⾶⾏機(客席数が30席以下且つペイロードが3.4t以

下)のチャーター運航※現在開発されている空⾶ぶクルマの各機体の乗員数・重量等を踏まえると、Part135が現時点では適用の

候補として検討される

Part 91の対象は⺠間非営利事業or個人利用のため、空⾶ぶクルマを活用した事業には適用されない(ただし法人内での運用では適用の可能性が

ある)

FAAの規則上、航空機使用事業・航空輸送事業の場合には、Part 121またはPart 135が適用され、特に、空⾶ぶクルマ(eVTOL)を活用した事業にはPart 135が適用される。

Part121が想定するのは、空⾶ぶクルマよりも乗客数や重量の大きな機体の運用であるため、空⾶ぶクルマの事業に対して適用されることは想

定しにくい

出所︓国⼟交通省,”https://www.mlit.go.jp/common/000206948.pdf”を参考にMRIが作成

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(3)航空機使用事業、航空機輸送事業

Page 73: 令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020. 7. 27. · 実厇内卣. 上卌の目的のため、下卌の調匀を実厇した

Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 73 出所)FAA, “https://www.faa.gov/licenses_certificates/airline_certification/135_certification/cert_process/”を参考にMRIが作成

事業者は、Part 135に基づいて、下記のプロセスで証明を受ける必要があるが、Part 135のプロセスで証明を受けるのに通常では2年程度かかるとされる。

事前申請

正式な申請

設計評価

性能評価

管理的事項

• 申請者は、FAA Form 8400-6 Pre-application Statement of Intent (PASI)を使って事前申請を⾏う。• FAAがこの申請を受理してから、オフィスのマネージャーは証明書発⾏に向けた検討プロセスを開始する。• 申請者は、事前申請ミーティングに参加し、証明書の検討プロジェクトにアサインされる。

当該プロセスは全体として通常では2年程度

かかるとされている

• 必要な事項を含めた申請(正式な申請レター、イベントスケジュール、コンプライアンスステートメント、調達・契約・リースの文書、訓練のカリキュラム、フライトアテンダントの文書)を作成する。

• 正式申請ミーティングを通じて、FAAと申請者の間での質疑応答等、申請内容の検討が進められる。

• 申請者のマニュアルやその他の文書を詳細にレビューしていく段階。この段階では、適用される規則に対して遵守出来るかといった点や、安全な運航を実施することが出来るかといった点からレビューが⾏われる。

• 証明書の検討チームは、申請者の提案した手順並びに訓練及び人員への指導に関するプログラムが、性能面で効果的であるかどうかという点から判断を⾏う。

• 当該フェーズでは、FAAは証明書及び運航仕様(Operations Specifications)を申請者に対して発⾏する。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(3)航空機使用事業、航空機輸送事業

Page 74: 令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020. 7. 27. · 実厇内卣. 上卌の目的のため、下卌の調匀を実厇した

Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 74

※MRIとしての想定

しかし、Part 135の証明の要件は、eVTOLの性質を加味した内容とはなっていないため、下記の事項については、今後FAAにおいて検討が⾏われることが想定される。

14 CFR Part 135

の規定内容

メンテナンスの在り方、トレーニングの内容、バッテリーに適用される燃料に関する要件、乗組員の資格、機体に備え付けられるべき装備品、事業にかけられる保険等の項目に関して、空⾶ぶクルマ(eVTOL)の性質を加味した内容

にアップデートしていくための検討が進められることが想定される※。

現時点では、Part 135の内容は、あくまで既存の機体を想定した要件であり、空⾶ぶクルマ(eVTOL)の性質を踏まえると内容に

変更が求められる部分も存在する

Part 135における認証の⼀般的な要件• 会社の所有権、運航の主要な拠点、運航の要求に最低限応える機体、メンテナンスの要

件、保険、管理を⾏う人員、マニュアル、トレーニングのプログラム、薬物・アルコールに関する要件、最低限備えるべき装備品等が定められている。

出所)FAA “https://www.faa.gov/licenses_certificates/airline_certification/135_certification/” を参考にMRI作成

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(3)航空機使用事業、航空機輸送事業

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 75

EASAのSC VTOL-01はあくまで機体に関するSpecial Conditionであり、運航に関するSpecial Conditionではない点に注意が必要となる。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(3)航空機使用事業、航空機輸送事業

EASAにおける既存の運航(Air Operations)に関して、下記のタイプの運航形態が規定されており、中でも航空機使用事業・航空輸送事業に関連するCATが重要である。• Commercial Air Transport (CAT) operations

• Non-Commercial operations with Complex motor-powered aircraft

(NCC)

• Non-Commercial operations with Other-than complex motor-powered

aircraft (NCO)

• SPecialised Operations (e.g. aerial work), both commercial and non-

commercial (SPO)

Regulation (EU) No 965/2012

FAAでの議論と同様、空⾶ぶクルマの特性等を加味してそれに特化したSpecial Conditionsは現時点で策定されておらず、

今後の議論を注視する必要がある※。

EASAでは、運航に関する規則であるRegulation (EU) No 965/2012で航空機使用事業・航空輸送事業に関連するCATの規則が存在するが、空⾶ぶクルマに特化したSC等は未策定である。

出所︓”https://www.easa.europa.eu/sites/default/files/dfu/EasyAccessRules_for_AirOperations-Oct2019.pdf”

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 76

⽶国(FAA)における検討状況

Vertiportに関する古い標準規格として”AC 150/5390-3(Vertiport Design)”が策定されていたが、2010年に廃止とされた。

その後策定されたAC 150/5390-2C(Heliport Design)がVertiportの概念も含めた⼀定の基準を示す既存の文書となるが、VTOLに特化した形での標準化までは至っていない。

VTOL用の新たな制度を策定するために、2019年にFAAとしてRFIを実施し、現在その情報を踏まえた新たな規則検討が進められていると想定される。

Commission Regulation (EU) No 139/2014において、⾶⾏場(Aerodromes)に関する規定が置かれており、その中で⾶⾏場の認証要件等が定められている。

また、Certification Specificationsとして、VFRヘリ用のヘリポートの設計に関する認証規格である”CS-HPT-DSN”と、⾶⾏場(Aerodrome)の設計に関する認証規格である”CS-ADR-DSN”が存在する。

ただし、EASAでは、空⾶ぶクルマで活用されることが想定されるVertiportに特化した基準は策定されていない。将来的には、現状の認証規格に制度変更も含めて落とし込んでいくか、機体と同様にVTOLに特化した制度を策定するかという方向性で議論が⾏われることが想定される。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(4)離着陸場

欧州(EASA)における検討状況

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 77

現状のFAAにおける制度上、AC 150/5390-2CがHeliportとVertiportに適用される既存の規則となっているが、VTOL機の開発状況を踏まえ、新たな基準の検討が必要とされている。

FAAにおけるVTOLの離着陸場(Vertiport)に関連する制度

AC 150/5390-3

(Vertiport Design)

AC 150/5390-2C

(Heliport Design)

• 1991年に策定されたが2010年にキャンセルとなったAdvisory Circular(AC)

• 2012年に策定された制度で、Heliportに関するAC

• 主にTiltroter機の運用を念頭において策定されていたAC 150/5390-3の内容も包含した内容となっており、現在のFAAにおけるHeliport及びVertiportに関する規定も内包した既存の制度として存在している。

制度的には内容を包含し、キャンセルとなった

しかし、eVTOL機を含むVTOL機の登場・発展を踏まえ、こうした航空機とその周辺環境としての関連施設の利用普及を念頭に、

離着陸場の計画・設計・建設に向けた新たな基準を検討する必要性が高まった

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(4)離着陸場

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 78 ※RFI︓Request for Information

内容

RFIの実施背景と目的

背景• FAAでは、1991年に⺠間のVertiportやVertistopを建設することに関心を持つ事業者に対するガイダンス文書として

Advisory Circular (AC) 150/5390-3 “Vertiport Design”が策定されたが、2010年に廃止されることになった。• 他方で、近年では、eVTOL機を含むVTOL機の開発が活発化し、こうした機体を活用出来る離着陸場の計画・設計・建

設に向けた新たな要件が必要となった。 目的

• Vertiportに関する当該RFIは、VTOL機の設計・製造に携わる事業者から、彼らの機体設計、離陸/着陸に関する設計、離陸/着陸に関する機体性能に関する情報の提供を受けるためのもの。

• 得られた情報は⺠間のVTOL機の運用を支援するVTOL施設の設計及び運用のための基準やガイダンスに活用する。

RFIの内容

RFIで得たい情報の例• 機体の大きさ• 機体に必要とされる着陸エリアの設計・形状• 離陸/着陸の経路• 想定される着陸エリアの負荷• 航空機のパーキングの要件• 発電装置の仕様• 電池の種類、大きさ、充電の仕様(電動の推進⼒を活用する場合)• 想定される騒音の程度 等

RFIで得られた情報の活用• RFIで得られた情報に関して、FAA、General Dynamics Information Technology、Gemini Technologiesで構成される

チームでレビューを⾏う。(2019年8月までにRFIへの回答が求められている)

FAAはVTOL機に関する2019年にRFIを実施しており、今後VTOLの離着陸場の設計・製造に係る基準・ガイダンスの策定に向けた検討を進めている。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(4)離着陸場

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 79

出所)NASA, “Urban Air Mobility (UAM) Market Study”, p.64

当該分析レポートでは、2030年を念頭にVertiportの基本的な条件が検討されている。• Vertiportでサービス提供を⾏う機体数

はおよそ3-6機とされている。• Vertiportの大きさは、Vertiport毎に約

2,200㎡〜4,650㎡とされ、そこには着陸用のスペースや積み降ろし場なども含むものとされている。

• Vertiportの設⽴場所は、需要の高い地域(空港、ターミナル駅)が想定されている。

• NASAでは2018年に、UAMの実現性・潜在的な障壁とその解決方策について分析を実施しており、その中で離着陸場に関しても検討が⾏われている。

NASAにおいては、UAMの実現性、潜在的な障壁、解決策に関するマーケットスタディが⾏われており、2030年を念頭にVertiportが社会実装された場合の各種条件が示されている。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(4)離着陸場

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Regulation (EU) 139/2014

CS-ADR-DSNCS-HPT-DSN

• 離着陸場に関しては、VFRヘリ用のヘリポートの設計に関する認証規格である”CS-HPT-DSN”と、⾶⾏場(Aerodrome)の設計に関する認証規格である”CS-ADR-DSN”がそれぞれ策定されている。

• eVTOLの離着陸場としては、これらの現状の認証規格に制度変更も含めて落とし込んでいくか、機体と同様にVTOLに特化した制度を策定するかという方向性で議論が⾏われることが想定される。

EASAのSC VTOL-01はあくまで機体に関するSpecial Conditionであり、運航に関するSpecial Conditionではない点に注意が必要となる。

EASAにおいては、VTOLのVertiportに特化した基準は策定されておらず、ヘリポートや通常の⾶⾏場の設計に関する基準が存在するのみで、今後の議論動向を注視する必要がある。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(4)離着陸場

• ⾶⾏場(Aerodromes)に関する規則としてRegulation (EU) 139/2014においては、⾶⾏場に求められる要件等が規定されている。

出所︓”https://www.easa.europa.eu/sites/default/files/dfu/Easy_Access_Rules_for_Aerodromes-May2019_0.pdf”,

“https://www.easa.europa.eu/sites/default/files/dfu/Annex%20to%20ED%20Decision%202019-012-R%20CS-HPT-DSN.pdf”,

“https://www.easa.europa.eu/sites/default/files/dfu/Annex%20to%20EDD%202017-021-R%20-%20CS-ADR-DSN%20Issue%204_0.pdf”

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Experimental Certificate関連の制度のまとめ

Experimental Certificateに関する規定は、14 CFR 21.191、193、195に規定されている。

Experimental Certificateを受けるには、対象の機体は、14 CFR 21.191に規定される目的(研究開発、規則遵守の証明、訓練、展示、市場調査等)の内の⼀つかそれ以上のものでなければならない。

Experimental Certificateの申請者は、FAAに対して14 CFR 21.193で求められる情報を提示しなければならない。その情報には、⾶⾏試験の目的、⾶⾏の時間 / 回数、⾶⾏エリア、機体のコンフィギュレーション等が含まれ、その情報をもとにFAAで具体的な実験の在り方が定められることになる。

• 開発中の空⾶ぶクルマ(eVTOL)に関して実験を⾏うに際しては、FAAからExperimental Certificateを得るべく14

CFR 21.191~195に定められる事項に対応することが各社に求められる。• ⾶⾏実験の具体的な在り方(⾶⾏時間、回数、エリア等)はそれらの調整の中で決定されていくことが想定される。

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓⽶国におけるExperimental Certificate関連規則

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内容

制度の概要

⽶国においては、Experimental Certificateに関する規則として、14 CFR 21.191, 193, 195が存在し、機体の用途、申請者が提示しなければならない各種情報等が規定されている。

Experimental

Certificate

関連規定

• 14 CFR 21.191 - Experimental Certificates

• 14 CFR 21.193 - Experimental Certificates: General

• 14 CFR 21.195 - Experimental Certificates: Market Surveys, Sales Demos, and Crew Training

• Experimental Airworthiness Certificateは、⽶国で登録された航空機で現状のスタンダードでの耐空証明や特別を耐空証明を有していない場合に、合法に運航を⾏うために発⾏されていなければならないもの。

• Experimental Categoryの機体の使用用途(目的)は14 CFR 21.191に規定されており(詳細は後述)、証明を受けるためにはその目的の⼀つ⼜はそれ以上の目的を持つものでなければならない。

• Experimentall Certificateの申請者が提出しなければならない情報は14 CFR 21.193に規定されており(詳細は後述)、目的に関するステートメント(a)、データ(b)、管理者が必要とする公共の安全確保に関連する情報(c)、実験目的に関連する目的/フライト時間/飛⾏エリア/機体のコンフィギュレーション等の各種情報(d)が必要とされている。

出所:”http://www.faa-aircraft-certification.com/experimental-

airworthiness-certificates.html” (最終閲覧2020年3月1日)

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓⽶国におけるExperimental Certificate関連規則

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※上記の他に、”amateur-built aircraft”、” primary kit-built aircraft”、” light-sport aircraft”なども機体の目的の⼀つとして規定されている。

研究開発

規則遵守の証明

乗員の訓練

展示

エアレース

市場調査

14 CFR 21 191では、Experimental Categoryとして耐空証明が発⾏される機体の目的を下記に分類している。

Experimental Category

• 研究目的での航空機の運航⼜は更なる開発に対する保証のため。• 新しい装備品の設置、新たな運航技術の活用、新しい機体の使用が典型

的な事例。

• 型式証明の設計データの修正を申請者が⾏った場合⼜は補⾜的型式証明⼜は⾶⾏現場の承認を求めて申請を⾏う場合に、耐空性規則に遵守していることを示すため。

• Experimental Aircraft(型式証明にあたって⾶⾏試験が⾏われる機体の今後の運航用の機体⼜は、⽣産向けの⾶⾏御試験用の機体)で申請者の⾶⾏乗務員を訓練するため。

• 機体の⾶⾏能⼒、性能、特殊な特性を示すため。(エアショー、テレビ、その他同様の作品での活用や、展示⾶⾏での習熟度を維持することを念頭に置いている)

• エアレースでの航空機運航、エアレース向けの練習、エアレースイベントの⾏き帰りの移動のため。究開発

• 市場調査、セールス用のデモ、⽶国のメーカー向けての乗務員訓練等のため。

出所:”http://www.faa-aircraft-certification.com/experimental-

airworthiness-certificates.html” (最終閲覧2020年3月1日)

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓⽶国におけるExperimental Certificate関連規則

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14 CFR 21 193で必要とされる情報を十分に提供し、規定に遵守していることを示すために、申請者は下記の情報を提供することが必要である。その情報をもってFAAと申請者は調整を⾏い、実験⾶⾏の在り方を決め、そのためのExperimental Certificateが発⾏される。

14 CFR 21.193

(a)目的に関するステートメント

(b)十分なデータ

(c)管理者が必要とする公共の安全確保に関連する情報

(d)各種必要情報 → 申請者は、Program Letterを準備する

(1)実験の目的

(2)⾶⾏の時間・回数

(3)⾶⾏エリア

(4)機体のコンフィギュレーション

• 実験の目的とプログラムの目標を明確化する。その際、FAAが条件や必要な制限を規定するために十分に詳細に記載する必要がある。

• プログラムを完遂するために想定される⾶⾏時間や⾶⾏の回数を明記する。FAAはそれに基づき他プログラムと比較等をしながら申請を評価する

• FAAは、申請内容を踏まえて⾶⾏試験のエリアの境界を設ける。また人や物に対するリスクを低減させるために離着陸、着陸ルートを明確化する。

• 機体の外部的なコンフィギュレーションを明確化する。三次元の写真やスケッチが受け入れ可能であるとされる。

出所:”http://www.faa-aircraft-certification.com/experimental-

airworthiness-certificates.html” (最終閲覧2020年3月1日)

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓⽶国におけるExperimental Certificate関連規則

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験ステップ ①Volocopter

Volocopter社は、2017年にドバイでの無人⾶⾏を実施し、2019年8月にはヘルシンキ国際空港での無人⾶⾏を通じて従来の航空管制と⾃律型航空機向け航空管制システムの協調性を確認した。その後、同年9月にドイツ都市内での無人⾶⾏を⾏い、同年11月にはシンガポール都市内での有人⾶⾏を実施している。

● 2017年(アラブ⾸⻑国連邦, ドバイ)eVTOLを⾃律⾶⾏させた世界初の事例。500mの距離を8分で無人⾶⾏し、最大高度は60mに達した。

● 2019年9月(ドイツ, シュツットガルト)メルセデス・ベンツ博物館で、欧州初となる都市での無人⾶⾏を実施。シュトゥットガルト工科大学が⾏う、エアタクシーの社会受容性を調査するプロジェクトの⼀環で実施された。

● 2019年11月(シンガポール, マリーナベイ)都市内での有人⾶⾏を実施。1.5kmの距離を2分で⾶⾏し、平均高度は40mであった。シンガポール運輸省(MOT)、シンガポール⺠間航空局(CAAS)、および経済開発委員会(EDB)を含む政府当局が⾶⾏試験をサポートした。

● 2019年8月(フィンランド, ヘルシンキ国際空港)従来の航空交通管理(ATM)システムと無人航空機管制(UTM)システムに統合された状態で⾶⾏試験を実施し、都市上空を含む混雑した空域でも両システムが協調して動作することを示した。主要UTMサービスプロバイダであるAirMap、Altitude Angel、Uniflyと共同で、単⼀欧州航空管制研究プログラム(SESAR)の⼀環で実施されている。

出所)Volocopter 「press releases」 “https://press.volocopter.com/index.php/press-releases”(閲覧日︓2020年2月13日)

2017年の⾶⾏試験

2019年8月の⾶⾏試験

2019年9月の⾶⾏試験

2019年11月の⾶⾏試験

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験ステップ ②Airbus(Vahana)

● 2017年9月許可証明書(Certificate of Authorization)*をFAAより取得し、Pendleton UAS Test Rangeでの⾶⾏実験を可能とした。

● 2018年1月FAAの安全性評価を実施し、試作機で特別耐空証明(Special Airworthiness Certificate)**を取得した。

● 2018年1月(アメリカ, オレゴン州, Pendleton UAS Range)フルスケールの試作機「Alpha One(N301VX)」を用い、初の⾃律⾶⾏に成功した。53秒間滞空し、高度は5mに達した。

● 2019年2月(アメリカ, オレゴン州, Pendleton UAS Range)50回目のテストフライトを実施した。プロペラの角度を変える機能を用いた離発着・水平⾶⾏の試験のほか、時速96km/hでの⾶⾏を⾏った。

Airbus社はVahanaの開発において、FAAから許可証明書および特別耐空証明を取得した後、2019年1月にはAlpha OneによるPendleton UAS Rangeでの初の⾃律⾶⾏を実施した。その後、試験⾶⾏を重ね、2019年5月にはAlpha Twoを用い、ティルトウィングの回転による水平⾶⾏や160km/hでの⾶⾏を実施した。

● 2019年5月(アメリカ, オレゴン州, Pendleton UAS Range)空中の障害物を⾃動で探知し回避するシステムを搭載し、また内装や塗装が施された「Alpha Two(N302VX)」を発表。同機を用い、ティルトウィングの回転による水平⾶⾏や160km/hでの⾶⾏を実施した。

● 2019年11月(アメリカ, オレゴン州, Pendleton UAS Range)計138回(約900km、計13時間)に及ぶ試験⾶⾏を完了した。同社はVahanaによって得た知⾒をもとに、次世代のeVTOL機の開発を推進する予定である。

出所)Airbus 「Our Blog」,”https://acubed.airbus.com/blog/vahana/”(閲覧日 2020年2月13日)

試作機を製造する様子

Alpha One

Alpha Two

*政府機関が公共目的で機体を⾶⾏させるために必要な証明, **機体の商用利用のために必要な証明。ただし、映画撮影、航空測量、建設現場の監視などの⼀部の用途に限られている

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験ステップ ③Airbus(City Airbus)

Airbus社はCity Airbusの開発において、2019年5月に繋留ケーブルありでの無人⾶⾏を実施した後、同年12月には無拘束での無人⾶⾏に成功している。

● 2017年10月(ドイツ, ドナウベルト)ダクト付きプロペラシステムをフルスケールモデルでテストした。同時に、シーメンスの電気推進ユニット(SP200D)を搭載したシステムの性能を個別にチェックした。

出所)6sqrt,「Airbus passes testing milestone on CityAirbus flying taxi」,”https://www.6sqft.com/airbus-passes-testing-milestone-on-cityairbus-flying-taxi/”、AVIONICS INTERNATIONAL,「City Airbus eVTOL Prototype Makes First Flight in Germany」,”https://www.aviationtoday.com/2019/05/06/city-airbus-evtol-prototype-makes-first-flight-germany/”、AEROSPACE TECHNOLOGY,「Airbus Helicopters and EASA partner to develop VTOL platforms」,”https://www.aerospace-technology.com/news/airbus-helicopters-easa-vtol-platforms/”、AVOINICS INTERNATIONAL,「CityAirbus Demonstrator Makes First Untethered Flight」,”https://www.aviationtoday.com/2020/01/10/cityairbus-demonstrator-makes-first-untethered-flight/”、EFE,「Aim for the skies: Airbus plans flying taxis for 2024 Paris Olympics」, ”https://www.efe.com/efe/english/business/aim-for-the-skies-airbus-plans-flying-taxis-2024-paris-olympics/50000265-4014118”、Electric VTOL News,「AirbusCityAirbus」, ”https://www.efe.com/efe/english/business/aim-for-the-skies-airbus-plans-flying-taxis-2024-paris-olympics/50000265-4014118”,(閲覧日 2020年2月13日)

● 2019年5月(ドイツ, ドナウベルト)エアバスの⾶⾏施設にて、フルスケールモデルの無人⾶⾏(繋留ケーブルあり)を実施し、推進システム及び⾶⾏制御システムの性能評価等を⾏った。

● 2019年10月次世代のVTOLプラットフォーム及び関連規制の枠組みを開発するための覚書(MOC)にEASAと署名した。機体認証制度の主導権を握ることを目的としている。

● 2019年12月(ドイツ, ドナウベルト)⾃社の軍事航空システムセンターにて、無拘束での無人⾶⾏を初めて実施した。

● 今後の予定「Vahana」や「City Airbus」の試験⾶⾏を通じて得た知⾒を用い、UAMの商業化を2023年には開始し、2024年のパリ五輪に合わせてシャルルドゴール空港-パリ間の運⾏を予定している。

2017年10月時点のイメージ図

Alpha One

2019年12月の試験⾶⾏

2019年5月の試験⾶⾏

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験ステップ ④Wisk(旧Kitty Hawk)

旧Kitty Hawk社は、ニュージーランド政府とのMOUへの署名、元FAA管理官の招聘を実施し、ボーイング社と合弁会社を設⽴している。今後はニュージーランド⺠間航空局から認証を取得することで、旅客輸送試験の実現を目指している。

● 2016年12月安全性に重点を置いた規制となっており、また空域管理が優れているニュージーランドで試験⾶⾏を実施するための前準備として、ニュージーランドに運営会社(Zephyr Airworks社)を設⽴した。

● 2018年10月エアタクシーの実現に向け、Zephyr Airworks社がニュージーランド航空とパートナーシップを締結した。

● 2019年6月UAMの開発を促進させるべく、Kitty Hawk社とボーイング社が戦略的パートナーシップを締結した。また、2018年3月から計700回以上の試験⾶⾏を達成。約100kmの距離、高度150〜900m、時速170km/hでの⾶⾏を実現した。さらに、ニュージーランドのカンタベリーで旅客輸送試験を実施するための覚書(MOU)にニュージーランド政府と署名した。

● 2018年3月カリフォルニア州とニュージーランドでeVTOL機(Cora)を⾶⾏していたことを発表した。

● 現在旅客輸送試験の実施に向け、ニュージーランド⺠間航空当局(CAA)から認証を取得することを目指している。

● 2019年10月eVTOLの運航が禁止されないように、またよる多くの⾃律⾶⾏の時間を確保するために、元FAA管理官のMike Huerta氏を顧問とした。

● 2019年12月ボーイング社と共同で合弁会社としてWisk社を設⽴した。

出所)Electric VTOL News,「Wisk (Kitty Hawk) Cora」,“https://evtol.news/aircraft/kitty-hawk-cora/”、TechCrunch Japan,「⾃律運転⾞より⾃律⾶⾏機の方が先に実用化、Googleの⾃律運転チームの創設者語る」,“https://jp.techcrunch.com/2019/10/05/2019-10-03-self-flying-before-self-driving/”、wisk,「News」,“https://wisk.aero/news/”、Robb Report,「Larry Page’s Kitty Hawk Is Teaming Up With Boeing to Launch Flying Taxis」,“https://robbreport.com/motors/aviation/kitty-hawk-boeing-air-taxi-2856127/”、NEW ATLAS,「Wisk announces autonomous eVTOL air taxi service trial in New Zealand」,“https://newatlas.com/aircraft/wisk-autonomous-air-taxi-new-zealand/”(閲覧日 2020年2月13日)

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験ステップ ⑤Workhorse

Workhouse社は、2018年1月にFAAから実験的耐空証明を取得し、同年4月には繋留ケーブルを使用した有人⾶⾏を空港で実施している。また、同年6月にはFAAから型式証明を取得し、量産化に弾みをつけている。

● 2018年4月(アメリカ, オハイオ州)シンシナティのLunken空港にて初の試験⾶⾏を実施し、繋留ケーブルを使用して10秒間の滞空を実施した。ハイブリッド型eVTOL機としては世界初の有人⾶⾏であった。

出所)Drone DJ,「FAA allows Workhorse Surefly personal helicopter drone to fly at CES2018」,“https://dronedj.com/2018/01/07/faa-workhorse-surefly-ces2018/”、Electric VTOL News,「Workhorse SureFly」,“https://evtol.news/aircraft/workhorse/”、Drone DJ,「Workhorse Surefly taxi drone flight canceled due to drizzle at CES 2018」,“https://dronedj.com/2018/01/11/workhorse-surefly-taxi-drone-flight-cancelled-due-to-drizzle/”、Electric VTOL News,「SureFly Flies Higher」,“https://evtol.news/2018/08/12/surefly-flies-higher/”、Electric VTOL News,「Workhorse Gathers Momentum」,“https://evtol.news/2019/01/02/workhorse-gathers-momentum/”、MOOG,「Moog Acquires SureFly® Technology」,“https://www.moog.com/news/operating-group-news/2019/Moog_Acquires_SureFly_Technology.html”,(閲覧日 2020年2月13日)

● 2018年1月(アメリカ, ネバダ州)実験的耐空証明*をFAAから取得し、試験⾶⾏が可能となった。

● 2018年8月(アメリカ, オハイオ州)Lunken空港にて試験⾶⾏を実施した。複数のホバーによって2〜3秒間、高度3〜5mに上昇した。

● 2018年11月(アメリカ, オハイオ州)Lunken空港にてハイブリッド クアッドコプターを用い、最高3mの高さでの低速前進ホバリング⾶⾏を約100m実施した。また同月に、軍事用途に焦点を当てた共同プログラムの推進に向け、共同研究開発契約(CRADA)を複数の⽶軍支部と締結した。

● 2018年6月型式証明**の申請がFAAによって承認された。ハイブリッド型eVTOL機としては世界初のFAA承認済み機体となった。

2018年11月の試験⾶⾏

2018年8月の試験⾶⾏

*研究開発や操縦訓練などの特定目的で試験を実施するための証明。ただし、商用利用は禁じられている, **⺠間航空機の機体設計が安全性及び環境適合性基準を満たしていることの証明

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験ステップ ⑥Lilium

Lilium社は、2人乗りのプロトタイプ機体、また5人乗りのフルスケールのプロトタイプ機体を用いて遠隔操作での無人⾶⾏を実施した後、垂直⾶⾏から水平⾶⾏への移動、⾶⾏中の方向転換などの複雑な⾶⾏試験や安全性試験を⾏っている。

● 2017年4月2人乗りのプロトタイプ機体を用い、遠隔操作による無人での⾶⾏試験に成功した。垂直⾶⾏から水平⾶⾏への移⾏動作を確認した。

出所)THE VERGE 「Electric air taxi startup Lilium completes first test of its new five-seater aircraft」,“https://www.theverge.com/2019/5/16/18625088/lilium-jet-test-flight-electric-aircraft-flying-car”、Electric VTOL News 「Lilium Flies Five-Seat Prototype」,“https://evtol.news/2019/06/30/lilium-flies-five-seat-prototype/”、Clean Technica 「Lilium Jet Accomplishes 3-Minute Test Flight」,“https://cleantechnica.com/2019/12/21/lilium-jet-accomplishes-3-minute-test-flight/”、CNBC 「German start-up Lilium just got a step closer to making flying cars a reality」,“https://www.cnbc.com/2019/10/22/lilium-jet-air-taxi-completes-first-phase-of-testing.html”、Electric VTOL news,「Lilium Goes Its Own Way」,“https://evtol.news/2020/01/03/lilium-goes-its-own-way/”、CNBC「Five-seater, all-electric and jet-powered air taxi makes maiden flight」, “https://www.cnbc.com/2019/05/16/five-seater-all-electric-and-jet-powered-air-taxi-makes-maiden-flight.html”,electric VTOL news 「Lilium Jet」, “https://evtol.news/aircraft/lilium/”(閲覧日 2020年2月13日)

● 2019年5月(ドイツ, ミュンヘン)Oberpfaffenhofen空港にて、フルスケールの5人乗りのプロトタイプ機体を用い、地上からの遠隔操作による無人での⾶⾏試験に成功した。

● 2019年10月(ドイツ, ミュンヘン)Oberpfaffenhofen空港にて3分間の試験⾶⾏を実施した。90度の方向転換、約90m/分での上昇・下降、約65km/hでの水平⾶⾏に成功した。また、同月に試験⾶⾏を再度実施し、100km/hでの高速⾶⾏、垂直⾶⾏から翼による水平⾶⾏への移⾏を達成した。エンジンやフラップの故障、地上・空中でのヒューズブローの確認試験などの安全性試験も実施された。

2019年5月の試験⾶⾏

2019年10月の試験⾶⾏

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1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験場(1/3)

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備 備考 出所(⾶⾏場別)

1 ⽶国 カリフォルニア州(Hollister)

Hollister Municipal Airport (公開情報なし)

滑⾛路(アスファルト舗装960m x 30m、1,935m x 30m)

2017年3月にKitty Hawkが有人ホバリング試験を実施

https://evtol.news/aircraft/zee-aero/https://www.waymarking.com/waymarks/WM4RG2_Hollister_Municipal_Airport_Hollister_CA

2 オーストリア Vienna Generali Arena

(サッカースタジアム) (公開情報なし) 滑⾛路(芝⽣105m x 68m)

2019年4月にEhangが有人試験⾶⾏を実施。スタジアムを1周した

https://www.news-caravan.com/pilot-less-air-taxi-takes-off-in-vienna-demonstration-flight/https://www.transfermarkt.com/fk-austria-wien/stadion/verein/14

3 ⽶国 カリフォルニア州(Palo Alto) パロアルト空港 (公開情報なし) (公開情報なし) 2018年3月にOpenerが有人

試験⾶⾏を実施https://evtol.news/evtol-timeline/

4 ⽶国 オハイオ州(Cincinnati)

シンシナティ・ノーザンケンタッキー空港 (公開情報なし) (公開情報なし) 2018年4月にWorkhorseが

有人試験⾶⾏を実施https://evtol.news/evtol-timeline/

5 ドイツ Karlsruhe 南ドイツの⾶⾏場 (公開情報なし) 滑⾛路 2016年3月にVolocopterが有人試験⾶⾏を実施

https://press.volocopter.com/index.php/volocopter-is-flying-manned

※薄字はMRI想定

⾶⾏試験場の広さは、多目的ホールから800km2を超えるものまで様々である。 設備に関しても、滑⾛路や管制塔を設置している簡素な試験場から、灯火システムを搭載した滑⾛路、空域管理システム、

航空交通管理システムを備えた試験場まで様々である。企業内試験場には、ADS-Bを備えた試験場もある。

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92Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験場(2/3)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備 備考 出所(⾶⾏場別)

6 ドイツ Karlsruhe dm-arena(多目的ホール)

12,500m2

(0.0125km2) (公開情報なし) 2013年11月にVolocopterが無人試験⾶⾏を実施

https://vtol.org/files/dmfile/08Evolo2.pdf

7 ドイツバイエルン州(Oberpfaffenhofen)

Oberpfaffenhofen Airport (公開情報なし) 滑⾛路(2,286m x

45m)2019年5月にLilium Jetが無人試験⾶⾏を実施

https://evtol.news/aircraft/lilium/http://www.edmo-airport.de/en

8 デンマーク Odense UAS Test Center

Denmark 867km2滑⾛路(アスファルト舗装2,000m x 45m)、管制塔、格納庫、修理施設

UAM試験⾶⾏場として取り上げられている

http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1

9 イギリス Wales Llanbedr Airfield (公開情報なし) 滑⾛路、格納庫 2019年8月にVertical Aerospaceが試験⾶⾏を実施

http://www.vertical-aerospace.com/press/seraph.htmlhttps://coflein.gov.uk/en/site/308215/details/llanbedr-airfield

10 ⽶国オレゴン州(Warm Springs)

Warm Springs Test Range 2.6km2

夜間でも使用可能な滑⾛路、格納庫、修理施設、高速Wifi、気象サービス

UAMの試験⾶⾏場としての紹介あり

https://wsuas.com/blog/http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1

11 ⽶国 オレゴン州(Pendleton)

Pendleton UAS Test Range 36km2

滑⾛路3点(UAS専用滑⾛路を1点を含む)、管制塔、修理施設

Airbusがvahanaを用いて2018年1月に試験⾶⾏を実施

https://www.nwnewsnetwork.org/post/rural-oregon-city-has-become-hub-drone-testing-now-it-wants-expand-its-capacity

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

Page 93: 令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020. 7. 27. · 実厇内卣. 上卌の目的のため、下卌の調匀を実厇した

93Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓飛⾏試験場(3/3)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備 備考 出所(⾶⾏場別)

12 ⽶国 ネバダ州(Las Vegas)

Nevada Institute for Autonomous Systems

(公開情報なし)

滑⾛路、空域管理システム、航空交通管理システム※Renoで都市環境下でのUAM⾶⾏試験を実施

Nevada Institute for Autonomous Systems(NIAS)とEhangが連携して⾶⾏試験を実施している

https://nias-uas.com/services/air-ground-mission-planning/http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1

13 ⽶国テキサス州(Corpus Christi)

Lone Star UAS Center Test Site 140km2

滑⾛路(アスファルト舗装)、 ミッションコントロールセンター*、格納庫、チェイスプレーン**を実施するための倉庫施設

NASAと連携して、Urban Air Mobility Grand Challengeに取り組んでいるとの⾔及あり

https://kristv.com/news/local-news/2019/01/11/lone-star-uas-center-of-excellence-partners-with-nasa/

14 オランダ Marknesse、Enschede

Netherlands RPAS Test Centre(Twente Airport)

(公開情報なし) 滑⾛路、検知・回避試験用の侵入機

2017年7月にNetherlands Aerospace Centre(NLR)が大型ドローンによる試験⾶⾏を実施※ジェットエンジンを搭載した大型固定翼ドローンだが、旅客輸送の実施有無は公開情報からは不明

https://www.nlr.org/news/nlr-tests-large-drone-at-twente-airport/

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

*宇宙機の運用を地上から管制する施設, **初⾶⾏時に、コクピット内部等から確認できない機体の外部を監視するために、初⾶⾏の機体と並んで⾶⾏し、初⾶⾏時の安全性を高めるための⾶⾏

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94Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓企業内飛⾏試験場(1/2)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備 備考 出所(⾶⾏場別)

1⽶国 ユタ州(Tooele) Deseret UAS (公開情報なし)

滑⾛路(舗装4,400ft)、UAS格納庫(建設中)※Ogdenで都市環境下でのUAM試験⾶⾏を実施

UAM試験⾶⾏場としての企業紹介あり

http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1http://www.deseretuas.org/Capabilities/UAS-Flight-Test-Ranges

2⽶国 オレゴン州(Tillamook)

Near Space Corporation (公開情報なし)

大規模な格納庫、管制塔、130,000ftまでの高度と温度シミュレーションが可能な施設、5,000平方フィートの建物、レーダ及び放送型⾃動位置情報伝送・監視機能(ADS-B)*が備え付けられたコントロールセンタ

UAM試験⾶⾏場としての企業紹介あり

https://nsc.aero/about/http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1

3⽶国 ネバダ州

PRAXIS AEROSPACE CONCEPTS ''DIGITAL-G and U-SPACE''

3,100km2

※私営の商用テストサイトでは世界最大

放送型⾃動位置情報伝送・監視機能(ADS-B)の代替品を提供、無線サービスの⻑期リース

UAM試験⾶⾏場としての企業紹介あり※ただし、敷地に関しては⾔及なし

http://praxisaerospace.com/digital-g-and-u-space/http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1

4⽶国ネバダ州(Searchlight)

PRAXIS AEROSPACE CONCEPTS ''SEARCHLIGHT AIRPARK''

(公開情報なし) 滑⾛路(アスファルト舗装5,040 x 70ft)

UAM試験⾶⾏場としての企業紹介あり※ただし、敷地に関しては⾔及なし

http://praxisaerospace.com/digital-g-and-u-space/http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

*航空機がGPS等から取得した位置情報を放送型データリンクによって地上の管制施設または周囲を⾶⾏する航空機に送信する機能

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95Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓企業内飛⾏試験場(2/2)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備 備考 出所(⾶⾏場別)

5イギリス wiltshire Callen-Lenz (公開情報なし) 滑⾛路

南アフリカの企業(Pegasus Universal Aerospace)からVTOL⾶⾏制御システムの設計・開発を依頼されており、UAMの試験⾶⾏を実施している可能性あり

http://nebula.wsimg.com/914092bb5d96fea6015f5a24b46641b4?AccessKeyId=0609873DEB58FF70A0BF&disposition=0&alloworigin=1https://www.flightglobal.com/business-aviation/callen-lenz-to-partner-on-pegasus-one-flight-control-system/134246.article

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

Page 96: 令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020. 7. 27. · 実厇内卣. 上卌の目的のため、下卌の調匀を実厇した

96Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓(参考)UASの飛⾏試験場(1/3)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備

1 ベルギー Brustem Sint-Truiden / Brustem Airfield 84km2 滑⾛路、管制塔、無線環境(4G, Wifi)

2 スペイン カタルーニャ州(Barcelona) BCN Drone Test Center 25km2

滑⾛路(芝⽣)、ヘリポート、管制塔、UAV整備士、リモートセンシングラボラトリー、格納庫、UAV地上管制センター、UAV用空中衝突防止装置

3 スペイン Villacarrillo Atlas Center 1000km2滑⾛路(アスファルト舗装600m x 18m、芝⽣400m x 10m)、修理施設、監視システム、格納庫2基(300m2)、現場でのメンテナンススタッフ、メンテナンス・保守ガレージ

4 フィンランド Nummela UAS Centre Finland (公開情報なし) (公開情報なし)

5 フィンランド Lapland Robonic Arctic Test UAV Flight Center 11km2 滑⾛路(1,400m x 23m)

6 フランス Bordeaux CESA Drones 28km2 滑⾛路(舗装800m)、テーマ別テストゾーン(山、海洋、捜索救助等)、気象観測所、空対地無線通信、GPS

7 フランス Brétigny Drones-center 3km2 ⾶⾏後のデータ評価、格納庫(500m2)、屋内試験場(4,000m3)、構造試験施設

8 フランス Pourrières Centre d'Etudes et d'Essais pour Modèles Autonomes 0.85km2 滑⾛路(300m x 20m)

9 フランス Southwest from Toulouse Toulouse Francazal (公開情報なし) 滑⾛路(1800m)、格納庫

10 フランス Esperce Terrain d'essai en vol de drones de l'ONERA 314km2 滑⾛路(芝⽣)、格納庫

11 イギリス Wales Wales UAS Environment 8.6km2複数の滑⾛路(最大2,286m)、管制システム、EMC(電磁両⽴性)試験施設、修理施設付のUAS格納庫(375m2)、巨大格納庫2箇所(1,500m2ずつ)

12 ドイツバイエルン州(Oberpfaffenhofen)

Deutsches ErprobungsgeländeUAS 400m x 300m 滑⾛路(芝⽣)

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

Page 97: 令匄區年度 匚エネルギー等に関する国匶標厜の獲千・普及促勺 ... · 2020. 7. 27. · 実厇内卣. 上卌の目的のため、下卌の調匀を実厇した

97Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓(参考)UASの飛⾏試験場(2/3)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備

13 ドイツ ニーダーザクセン州(Wesendorf) UAS Testzentrum Nord (公開情報なし) (公開情報なし)

14 イタリア Apulia Grottaglie Airport Test Bed 370km2 滑⾛路(アスファルト舗装3200m x 45m)、気象予報装置、格納庫、給油施設

15 ノルウェー Tromsø Arctic Centre for Unmanned Aircraft (公開情報なし) (公開情報なし)

16 ノルウェー Andøya Andøya test center (公開情報なし) 遠隔測定システム、レーダ及び光学追跡システム、試験管理システム、海洋監視システム

17 スイス Thun Test area of the Swiss Army (公開情報なし) 滑⾛路(芝⽣)、軍事施設

18 スウェーデン Vidsel Vidsel test range 24km2/7.2km2 滑⾛路(アスファルト舗装2km)、格納庫

19 スウェーデン Karlskoga BOFORS Test Cente 200km2 光学追跡システム、遠隔測定システム、風胴

20 ⽶国 ノースダコタ州(Grand Forks)

Northern Plains Unmanned Aircraft Systems Test Site (公開情報なし) 滑⾛路、2Dレーダ、遠隔操作トレーラ、空域視覚化ツール、有

人/無人シミュレータ、現場スタッフ

21 ⽶国 アラスカ州(Fairbanks)

Alaska Center for Unmanned Aircraft Systems Integration (公開情報なし) (公開情報なし)

22 ⽶国 オレゴン州(Tillamook) Tillamook Test Range 83km2

滑⾛路(アスファルト舗装の滑⾛路が2点、うち1点は夜間操作をサポートするためのGPS付き)、UAS管制塔、放送型⾃動位置情報伝送・監視機能(ADS-B)、レーダ、ソーダ*、追跡システム、気象サービス、現場スタッフ

23 ⽶国 メリーランド州(California)

University of Maryland UAS Test Site (公開情報なし) (公開情報なし)

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

*大気の揺らぎによる音波の反射を利用し、音波によって上空の風速を観測する装置。レーダでは電波を使用

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98Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

1.3 ⽶国・欧州における空飛ぶクルマ関連の制度化動向に関する情報収集(5)飛⾏試験︓(参考)UASの飛⾏試験場(3/3)No. 国 地域・都市名 場所 広さ 主な設備

24 ⽶国 バージニア州(Blacksburg)

Mid Atlantic Aviation Partnership (公開情報なし) 滑⾛路(アスファルト舗装3,000ft)、気象ステーション、⾶⾏

操作サポート

25 カナダ アルバータ州(Medicine Hat)

Canadian Centre for Unmanned Vehicle Systems 2.4km2 滑⾛路(アスファルト舗装914m)、⾶⾏操作サポート

26 カナダ ケベック州(Alma) UAS Centre of Excellence 4.276km2

滑⾛路(アスファルト舗装1,534m x 30m、ライト付き)、格納庫、インターネットアクセス、衛星電話、⻑距離通信、無指向性アンテナ、除氷サービス、メンテナンススタッフ、給油施設

27 オーストラリア Woomera Woomera test range 100km2以上 滑⾛路(アスファルト舗装2.3km、芝⽣1.6km)、格納庫

28 オーストラリア Beecroft Peninsula Beecroft Weapons Range 42km2 滑⾛路、ヘリポート

29 南アフリカ Overberg Denel Overberg Test Range 13.2km2滑⾛路(アスファルト舗装2km, 3km)、テレメトリ(遠隔情報収集)レコーダ、気象プロファイル、追跡用光学システム、レーダ、通信システム

30 マラウィ Central Malawi UNICEF Drone Corridor 5km2 滑⾛路(アスファルト舗装1.2km)

31 インド Challakere Challakere Aeronautical Test Range (公開情報なし) 滑⾛路(2.2km)、格納庫、レーダ

32 シンガポール Woodlands RP UAV Training Centre 110m x 74mの野外サッカー場 (公開情報なし)

33 韓国 Goheung-gunGoheungAeronautical/Aviation/Aerospace Center

98.5km2 滑⾛路、落下試験設備

※薄字はMRI想定

出所)AAI「“Comparison of selected UAS test areas in Europe and America regarding practicalaspects for developers」 “https://www.aaig.at/wp-content/uploads/2017AAI_AlexanderLappi_MasterThesis_TestAreasUAS_OriginalFHJ.pdf”(閲覧日︓2020年2月7日)

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 99

2.機体製造事業者等からの情報収集

2.1 機体製造事業者、部品製造事業者等からの情報収集

2.2 技術マップの整理

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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 100

2.1 機体製造事業者、部品製造事業者等からの情報収集

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101Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

2.1 機体製造事業者、部品製造事業者等からの情報収集(1)調査対象

機体製造事業者、部品製造事業者等に対し、技術開発の状況と標準化への取組みについてヒアリング調査を⾏った。ヒアリング対象とした機体メーカとヒアリング項目を以下に示す。

<ヒアリング対象> 航空機メーカ、eVTOLメーカ︓5社 電気機器メーカ︓2社 無線通信機器メーカ︓1社 ヘリポートメーカ︓1社 SAE E-40国内関係者(電機メーカ、航空機メーカ、業界団体、航空関連研究機関)︓6社との会合

<ヒアリング項目> 国際標準化で注視すべき領域・関心領域・取組み 国際標準化に係る要望等 技術開発の動向・取組み 規制上の課題 その他

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102Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

2.1 機体製造事業者、部品製造事業者等からの情報収集(2)機体製造事業者ヒアリング結果 サマリ

インタビュー項目 主なインタビュー内容

国際標準化で注視すべき領域・関心領域

• 航空機の製造については、これまでは当局の技術基準を参照し、その基準を満たす航空機を設計・製造してきた経緯があり、国際標準化についてはあまり意識してこなかった。eVTOLについても、そのスタンスは変わらないのではないか。機体開発の観点では、ASTMやSAE等の標準規格の内容より、FAAやEASAの機体の認証基準やプロセスに関心がある。

• システム安全性や開発保証プロセスの観点から骨格となるARP 4761、ARP 4754、DO-178、DO-254に相当する規格が、eVTOLについてどのようになるのか強い関心がある。これらの既存の航空機ベースの規格が、電動化やシステム開発のアジャイル化に対応しているか、新たな規格策定の動きがあるのか、等に関心がある。

• 既存の航空機と異なる観点は、電気推進であり、バッテリ、モータ、インバータに関する標準化動向の把握は重要。また、フライトコントローラー、モータ、インバータ、バッテリーマネジメントは、市場の成熟に向けて協調領域になっていくと考えられ、その観点から標準化されていくことが望ましい。

• 通信や衝突回避は、個社では対応できない領域であり、標準化を図ることが望ましい。

国際標準化に係る要望等

• 諸外国の認証基準の策定と同調して、国内の認証基準も整備されていることが望ましい。そのためには、認証基準が策定される前の段階から、国際標準規格の策定状況をウォッチしていくことが必要である。

• 従来は、業界団体が中心に国際標準化の情報収集をしてきている。標準化の情報収集の経験値、協調領域の議論、という観点から、個社ではなく、業界団体や標準化の専門的知⾒を有する機関が対応することが望ましい。

• 標準化活動に参画するモチベーションとしての優遇措置があると良い。• 空⾶ぶクルマにおいて実現すべき技術が特定できれば、標準化すべき項目や⾃分たちがアプローチすべき項目が⾒えてくるだろう。

技術開発の動向

〇技術課題• バッテリー出⼒や容量は既に顕在化している課題である。リチウムイオン電池は発火の可能性から安全性確保の検討が必要である。• バッテリーマネジメントについては、急激なバッテリー残量の減少等が⽣じないよう、バッテリー残量の管理が課題。• 騒音、公害対策、環境アセスメント対応は今後課題となり得る。• フライトコントロールについては、操縦のハードルを可能な限り引き下げたい。⾃動化への対応、コンピュータを介した操縦系への対応

(FBWの導入等)などが課題となる。〇国内のコンポーネント開発状況• バッテリー、モーター、インバーター、衝突回避装置等は、国内でも開発されている。

その他• eVTOLの⾶⾏距離を考慮すると、特定地域内での局所的な運航を前提した場合、⾶⾏環境は地域によって異なる。地域ごとに運航環

境が異なるのであれば、運航基準も地域によって異なってもいいのではないか、という考え方はある。機体の耐空性や地上インフラの要件は運航ルールのコンセプトで変動すると認識。

• ⾶⾏方式については、大型航空機はVFRかIFRだが、eVTOLは新しい⾶⾏方式の議論が⽣じると考えられる。

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103Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.

2.1 機体製造事業者、部品製造事業者等からの情報収集(2)部品製造事業者等ヒアリング結果 サマリインタビュー項目 主なインタビュー内容

国際標準化で注視すべき領域・関心領域

〇電気推進• 電気推進系については、機体レベル(eVTOL)からEPS(Electric Propulsion System)、EPU(Electric Propulsion Unit)、

MCU(Motor Control Unit)までの各レベルで、どのような法規がASTMやFAAで紐づいているかを注視している。• eVTOLは多発分散機であり、設計が既存の航空機とは異なる。eVTOLを前提とした安全設計の議論、さらには標準化を推進していく

必要がある。現在、ASTMやSAEでは、安全性を協議する際に多発分散機の観点が反映されていない。具体的には、電動推進システムに関して単体としてのシステム要求になっており、多発や分散の観点が抜けている。

• 機体の環境設計では、現状はRTCAのDO-160がベースとなる。しかし、本規格は既存の航空機を前提としており、eVTOLで検討されている低高度、短距離での運航に対する考え方と大きくかけ離れている。

• 新規参入事業者の参入を促すためには、環境評価試験の充実も必要だが、現⾏のDO-160をベースにすると過剰ではないか。〇通信• 航空機はVFR⾶⾏時にはATCとの通信が必須のため、既存の航空無線を搭載する必要がある。従来機体は、管制官と繋がる通信機・

トランスポンダを搭載している。VFR方式では音声で機体操縦者に指示をしている。eVTOLの無線通信が今後どのような形態となるかについては注視する必要がある。

• ヘリコプターにおけるLTE活用が検討されており、その延⻑としてeVTOLでの活用も想定されるのではないか。〇バーティポート• 国内で新たなバーティポートの基準を作るためには、海外の基準作りをウォッチする必要がある。

国際標準化に係る要望等

• 環境評価試験の充実に向け、減圧設備、幅広い温度環境下で試験可能な設備、落雷評価試験設備を要望する。• ドローンの国際標準化では運航管理システムを検討しているが、eVTOLに対する適用が必要と思われる。• ⾃動⾞の⾃律化や電動化の標準化に関する振り返りは、空⾶ぶクルマには参考になるかもしれない。日本では⾃動⾞産業が強いので、

eVTOLの標準に⾃動⾞の標準を持っていくよう働きかけると良いのではないか。• ⾃動⾞業界では規格が乱⽴している点が課題であり、空⾶ぶクルマや電動航空機では規格の乱⽴を防ぐべき。

離着陸場について

• ビル屋上の緊急離着陸場は、緊急時以外に使用することはできない。緊急離着陸場をヘリポートに改修するためには、繰り返しの離着陸に耐えるための補強工事などが必要で多大なコストがかかり、また制限表面の問題もクリアしなければならない。ビル建設時に、ヘリポートを設計しておく必要がある。

• 最近のビルは、屋上に配管や室外機があるケースが多く、屋上が平らなビルは多くないが、ビル屋上を空⾶ぶクルマの離着陸場として活用する場合、屋上に40×80mくらいの平らな面があるとよい。着陸帯とパーキングスポットを分ける必要がある。

• ヘリポートの素材はコンクリかアルミで、アルミの方が柔らかくてよい。コンクリは鉄筋コンクリである。現在、ヘリポートが磁⼒を帯びているのが世界的な問題になっており、オートパイロットが利かない点が課題となっている。

• コンクリ素材の場合、コンクリ、防水層、保護コンクリを積層している。⼀番上の保護コンクリは衝撃に弱い。防水層は紫外線に弱く、保護コンクリを必要とする。保護コンクリが割れると、紫外線で防水層がやられ、水が入ると中が劣化する。

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2.2 技術マップの整理

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2.2 技術マップの整理1及び2.1の調査結果を踏まえ、空⾶ぶクルマの技術項目と標準化動向をマップ化した。

概要 EUROCAE RTCA SAE ASTMVectored Thrust 固定翼があり、垂直離着陸と巡航は同じ推進シ

ステムを使用Lift + Cruise 固定翼があり、垂直離着陸と巡航は異なる推

進システムを使用Wingless 固定翼が無いマルチロータタイプHoverbikes 固定翼が無いマルチロータタイプであり、パイロット

は⽴つかサドルに着座Electric Rotorcraft シングルロータタイプの電動ヘリコプター

eVTOLの運用構想、標準的な運用シナリオ WG-112 F44.50(WK68767:SVO)

構成要素やインタフェース等の共通定義、用語関連用語リストと概要 E-40(ARP8676)設計時に確率的な信頼性を確保 WG-112 SG3 E-40(ARP8677)

S-18(ARP4761)F44.50(WK68765)

eVTOLのリスク評価 WG-112 SG3S/W開発保障プロセス WG-12(ED-12) SC-205(DO-178)H/W開発保障プロセス WG-46(ED-80) SC-180(DO-254)機能縮退 機能を縮⼩して⾶⾏を継続フェールセーフ ⾶⾏を中止し安全に帰還・着陸等を実施

セキュリティ 情報セキュリティ eVTOL及び連携システムの情報セキュリティ WG-112 SG3eVTOL運用の環境条件⾶⾏軌跡、低速⾶⾏、⾶⾏モードの遷移などに関する特性、操縦特性

F44.20(WK68850,WK68839)

メンテナンス eVTOLのメンテナンスプログラム、トレーニングプログラム等の検討

F44.10(WK68762)

騒音低減 音響測定基準や測定手法の検討 F44.10(WK68763)素材 複合材 カーボンファイバ eVTOLのフレーム等に使用される素材重心 eVTOLの重量及び重心 F44.20(WK68849)

鳥の衝突に対応した構造、特に都市での対応 F44.30(WK68805)着氷防止 着氷を防ぐための規格検討 F44.10(WK68757)防水 降雨時等の水の侵入を防止

落雷に対応した構造火災に対応した構造

機体全般

開発保証プロセス

耐火構造

WG-112 SG3

リスクアセスメント

安全設計

耐環境構造耐気象環境

耐雷構造

Vehicle構造

耐バードストライク構造

アーキテクチャ要素・共通定義用語体系・定義

技術項目 ⽅式等eVTOL方式Vehicle

飛⾏性能

安全性解析

⾶⾏環境

安全機能

アーキテクチャ

設計・製造の開発保障プロセスの厳格さを規定 (ARP4754)

CONOPS

メンテナンス/トレーニング

測定法

⾶⾏特性WG-112 SG4

重心

F44.30(WK68781)

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2.2 技術マップの整理概要 EUROCAE RTCA SAE ASTM

パラシュートの放出により落下速度を低減機体下部からの逆噴射で落下速度を低減降着装置の⼀つ、機体の簡易な脚客席やその周辺に衝突時の衝撃を吸収する部材を配置バッテリーを電源として⼀つまたは複数のモータを駆動、モータに取り付けたファン(プロペラ/ロータ)の推進⼒で⾶⾏

WG-112 SG2 F39.05(F3338)

SH (Series Hybrid) 内燃機関で発電してモータを駆動しファン等を回転すると共にバッテリーで蓄電可能

PH (Parallel Hybrid) 内燃機関とバッテリー駆動モータの双方でファン等を回転

SPH (Series/Parallelpartial Hybrid)

内燃機関を推進(ターボファン等)と発電の双方に使用

アーキテクチャ 電気推進システムを構成する要素や共通定義、リファレンスアーキテクチャの検討

E-40(AIR8678) F39.05(F3338)

冷却 電気推進ユニット等、動⼒システムの冷却システム

F39.05(F3338)

動⼒制御 動⼒の制御・運用・表示、分散型推進等 F44.40(WK68803)安全対策 水浸やローター破壊等の危険緩和 F44.40(WK68795)モータ ブラシと整流子を持たない電動モーターインバータ 電源の周波数を変えてモータ回転速度を制御

回転⼒を推進⼒に変える装置円筒形のダクト等にファンを設置し回転させて推進⼒を得る装置

バッテリーマネジメントシステム

過電圧や漏電等の異常検知、電池残量推定を⾏うシステム

AE-7D(AIR6897)

配電 高い電圧を維持して配電する手法 WG-112 SG1リチウムイオン電池(LIB) 携帯電話やノートパソコン向けに⼩型軽量で充

電可能な⼆次電池として開発、現在主流の電池

WG-112 SG1 AE-7D(AIR6343)

LIBの活物質として、現在使用されている⿊鉛に代わり硫⻩を用いた蓄電池であり、軽量で材料コストが削減

全固体リチウムイオン電池 可燃性である電解液の代わりに、固体電解質を使用した蓄電池、エネルギー密度が高い水素と酸素の電気化学反応によって発電 WG-80

安全設計 設計手法、ハザード解析、安全性・信頼性等 AE-7D(AIR6343) F39.05(WK56255)バッテリーシステムの対衝突構造のテスト方法

充電装置 機上で再充電可能なバッテリーシステム AE-7D(AS6968)

E-40(AIR8678)System

F44.04(WK68801:エネルギー容量)

危険緩和

高圧配電

全電動推進

ハイブリッド推進

DCブラシレスモータ

ロータ/プロペラ

バッテリー⽅式

WG-113

WG-112 SG3

電源

Component

バッテリーマネジメントシステム

機上再充電

動⼒制御

設計

リチウム硫⻩電池

燃料電池

System

技術項目 ⽅式等

動⼒

Component

インバータComponent

⽅式

推進機

安全装置 運動エネルギー低減

対衝突構造

パラシュート

衝撃吸収帯

逆噴射機構スキッド

F39.05(WK56255):電動航空機用ESSの設計要件

対衝突構造WG-112 SG1

WG-112 SG2

構成要素

冷却システム

F44.30(WK68781)

ダクテッドファン

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2.2 技術マップの整理概要 EUROCAE RTCA SAE ASTM

パイロットの操作を電気的な信号に変え、ワイヤで結んだ電気-油圧サーボ・アクチュエーターに入⼒して電気的に操舵FBWにおける導線を光ファイバとしたもの

フライトコントローラ ⾃動的な⾶⾏制御、姿勢制御を実現HMI 進⾏方向を操縦するために、昇降舵や補助翼

を操作するハンドルSystem ナビゲーションシステム eVTOLの航法システム全般

慣性計測装置実用準天頂衛星システム全世界測位システム

HMI 航法関連情報の表示装置航空無線等の1対1通信

セルラー網 LTE、5G等の携帯電話網を介した通信衛星通信 衛星通信網を介した通信

⾶⾏中の航空機識別のための応答装置放送型の⾶⾏位置情報の伝送装置ヘリコプターの位置情報等の共有にイリジウム衛星システムの使用例あり

協調型回避システム トランスポンダ情報をもとに航空機との衝突を回避

非協調型回避システム センサ情報をもとに航空機や無人航空機、障害物等との衝突を回避電波を用いたセンサ

可視カメラ、⾚外カメラ 可視光、⾚外線を用いたカメラライダー 他の航空機が発信する位置情報を検知し衝突

を回避(TCAS等)

F44.50(WK68766:センサ融合)

SC-228

SC-228

ATCトランスポンダ

Component センサ

ディスプレイ

ADS-B

Component

飛⾏制御

航法

WG-112 SG4System

衛星通信システム(イリジウム等)

WG-105

WG-105P2P通信ネットワーク通信

Component

衝突回避

センサ レーダ(⼀次レーダ)光波

TCAS

位置共有等

Component通信

System

C3リンク※制御、テレメトリ、管制との通信、UTM接続、ポート接続等を含む

制御システム

ジョイスティック

FBL (Fly by light)

技術項目 ⽅式等

フライトコントロールコンピュータ

FBW (Fly by wire)

IMUQZSSGNSS/GPS

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2.2 技術マップの整理概要 EUROCAE RTCA SAE ASTM

進入表面 離着陸時のeVTOLの⾶⾏経路や空域離着陸エリアの強度条件

鉄筋コンクリートアルミ

着陸誘導 正確な位置に着陸するための誘導技術eVTOLの遠隔操縦に必要な地上設備 WG-105UAMの⾶⾏空域を対象とした運航管理システムUAM、UASを含む低高度空域を対象とした運航管理システム

WG-112 SG5(Landing Sites)

WG-112 SG5(charginginfrastructure)無線給電

充電装置

UAM向けUTM

低高度空域UTM

運航管理システム

機能・役割

接触充電

バーティポート

強度

安全確保設計

素材

遠隔操縦装置/GCS

ヘリパッド-

eVTOL用ポートの機能定義、基本構成、設計要件、安全確保の要件や方法等

技術項目 ⽅式等

離着陸エリアの素材

eVTOL用ポートに設置する充電設備

F38.02(WK59317:Vertiport全般、スコープ検討中)

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3.「 空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議 」の開催

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3.「 空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議 」の開催(1)開催概要

空⾶ぶクルマの関係事業者が、国際標準化の動向や各社の取組状況について議論する「空⾶ぶクルマの標準化に関する連絡会議」を開催した。開催日時と参加者、議論したテーマ等を以下に示す。

第1回連絡会議 第2回連絡会議

開催日時 2020年3月18日(木)13:00~15:10 2020年3月24日(火)13:00~15:05

開催方法 Web会議 Web会議

参加者 • 川崎重工業株式会社• 株式会社SUBARU• 株式会社東京アールアンドデー• 日本無線株式会社• 株式会社村田製作所• 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

• エアロファシリティー株式会社• 株式会社SkyDrive• テトラアビエーション株式会社• 株式会社プロドローン

議題 (1)空飛ぶクルマの国際標準化動向の調査結果報告 ASTMの動向、SAEの動向、EUROCAEの動向、RTCAの動向

(2)意見交換 今後継続的に情報収集すべき領域・議題 今後標準化に取り組むべき領域・議題 標準化活動への関心・進め方

関連テーマ • 機体(安全設計、構造、安全装置等)• 動力• 電源• 飛行制御• 通信・衝突回避

• 機体(安全設計、構造、安全装置等)• バーティポート

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3.「 空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議 」の開催(2)第1回連絡会議の主な議論 今後継続的に情報収集すべき領域・議題

安全設計 ASTM AC433のギャップ分析の議論内容を注視することで、現在のギャップ、今後どこが変わり得るのかを把握すべき。 ARP4754及びARP4761の要求対象(機体、システム、デバイス等)が分かりにくく、航空機以外の分野の部品メーカの新規参入の

ハードルが高くなっている。航空機の開発プロセスに関する知⾒の普及・周知が必要。 電源

リチウムイオンバッテリーは日本として国際競争⼒があり、またリチウムイオンバッテリーを基に製造される高性能バッテリーパックは⾃動⾞業界の中でも価値が高い。⾃動⾞用部品の製造メーカーが航空機産業に参入するのが効率的と考えられ、国際標準化動向の情報提供により産業の裾野が広がる。

航空装備品ではない電池メーカにとっては、製品に起因する航空機事故の発⽣に大きな懸念があり、航空機産業参入のハードルになっている。こうした個社での対応が難しい面への対策が必要。

動⼒・推進システム 推進システムについては既存機のエンジンと同様に装備品メーカーが認証を取得できると、開発した推進システムを各種の機体に適用でき

るメリットがある。他方、新規参入事業者が認証を取得するのは難しく、機体メーカによる支援も想定される。 推進システムの標準化については、機体とのインタフェースに近い領域は機体メーカ、技術要素に関する領域は装備品メーカが対応するの

が適切。例えば、ASTM F39は装備品メーカ、F44は機体メーカ、といった考え方もある。 フライトコントロール

eVTOL特有のものは無いと考えられる。従来の基準を踏襲すれば、安全性や信頼性は満たすことができる。アクチュエータではeVTOL特有のものがあるが、システムについては従来とそれほど変わらないと考えられる。

通信 無線の国際標準化動向も重要であり、日本独⾃で検討を進めるとガラパゴスとなってしまうため、無線やセンサ含め、ITU-Rの動向をウォッ

チする必要があるだろう。

標準化活動への関心・進め方 国際標準化の検討スケジュールはワークアイテムごとに様々。⼀方で、海外の機体メーカは認証基準の開発と認証プロセスを同時並⾏で進めて

おり、装備品も同様の流れで進む可能性があり、標準化動向の継続的なウォッチが必要。 ⺠間コンソーシアムや業界団体と個社の取組み、政府事業の役割等を整理することが必要。

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3.「 空飛ぶクルマの標準化に関する連絡会議 」の開催(2)第2回連絡会議の主な議論 今後継続的に情報収集すべき領域・議題

MOSAIC(Modernization of Special Airworthiness Certificates)と呼ばれる⽶国のExperimental機のcertification processの近代化に係るプロジェクトが進⾏中。ASTM F37(LSA)等も含め、ウォッチが必要ではないか。

eVTOLの⾃動化/⾃律化、パイロットレス化に関する標準化動向をウォッチすると共に、現⾏の各種ワークアイテムが、パイロットレスを想定しているのか、パイロットによる操縦を含むのか、の整理もしていくべきである。

⾃律化の観点では、RTCA SC-228やEUROCAE WG-105のC2リンク関連の標準化動向も重要である バッテリー、ハイブリッドシステム、モータ、フライトコントローラ等のコア技術に係る国際標準化動向は重要であり、早期に動向把握が必要である。

また、安全性⾶⾏ユニット、バーティポートも重要領域であり、継続的な最新情報の収集が必要である。 バーティポートの強度条件の検討が必要である。eVTOLの着陸方法やダンパーを考慮した衝撃荷重を検討し、必要な強度条件を検討・設定

する必要がある。

今後標準化に取り組むべき領域・議題 現段階では、各種標準化の課題の最新動向のウォッチが重要で、これを把握した上で、議論に参加すべき委員会を選定する必要がある。国

内における実務の観点では、EUROCAEよりも、FAAに寄与するASTMの動向が重要ではないか。

標準化活動への関心・進め方 対象とする標準化団体の性質に応じ、⺠間コンソーシアムや業界団体、個社の取組み、あるいは政府事業など、どのように参加し情報収集し

ていくべきか検討・整理が必要。

その他 eVTOLの認証プロセスとして、固定翼機・回転翼機と⾔った既存の航空機カテゴリの認証に加え、LSAやULP、Experimentalといった実現可

能な認証カテゴリと必要な基準の整理が必要。 バーティポートについては、ビル屋上のポートはビル建設時に設置する必要があり、建設後の追加設置・改修は極めて困難であり、将来を⾒据え

たバーティポートの整備が必要である。ポートの検討から(ビル建設を含めた)整備には10年を要する。加えて、ビルは⼀度建設したら60〜100年は利用することを想定する必要がある。バーティポートの議論は早急に開始すべきである。

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4.まとめ

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まとめ(1/2)<調査結果のまとめ> 欧⽶では、ASTM、SAE、RTCA、EUROCAE等において、空⾶ぶクルマに関する標準化の議論が開始。

ASTM︓電動航空機等の既存規格のギャップ分析に基づき、技術分野全般にわたり標準化の議論が開始 SAE︓電動推進システム及び電源に関する標準規格を策定中 RTCA︓遠隔操縦機を対象に、無線通信や衝突回避の標準規格を策定中、eVTOLも今後スコープに入る可能性あり EUROCAE︓VTOLを対象としたWGを設置し、技術分野全般にわたる標準規格の策定を開始

欧⽶では、認証基準の検討も進⾏中。検討中の標準規格が認証基準に反映される可能性。 ⽶国FAAでは、既存の認証基準をベースに、個別メーカ・機体毎にCertification Basisの検討を実施中。ASTM、SAE、RTCAの主要な会

合にはFAAも参加しており、各機関で検討中の標準規格が、認証基準に反映される可能性がある。 欧州EASAでは、VTOL向けのSpecial ConditionであるSC-VTOL-01を発⾏。その具体要件であるAcceptable Means of

Compliance(AMC)をEUROCAE WG-112で検討中。 我が国の機体製造事業者、部品製造事業者等は、国際標準化に対し、最新動向の情報収集に注⼒している段階。

機体製造事業者は、eVTOLの機体開発に取り組んでおり、機体認証の取得に資する標準規格の情報収集を実施中。 部品製造事業者は、航空機以外の事業者がeVTOL向け部品の開発を⾏いつつ、航空機分野への参入を⾒据えて情報収集を実施中。特に

電動推進系における⾃動⾞部品の転用やポート等において、有望な技術を有する状況。

<今後の進め⽅> 引き続き、欧⽶の各標準化機関の議論の状況を幅広く情報収集することが適切。その際、以下に点に留意することが必要。

eVTOLの技術開発に積極的な企業を考慮し、特に情報収集すべき議題、我が国の有する技術の寄与が可能な議題の選定・絞り込みを進めると共に、認証取得を⾒据えた情報収集・寄与を⾏っていく必要がある。

空⾶ぶクルマへの新規参入を検討中の機体メーカ、部品メーカも多いことから、国際標準化の議論を踏まえた、国際競争⼒を有する技術の研究開発に繋げていくことが必要である。その際、認証取得を⾒据え、航空機メーカと新規参入企業の連携を促進することが重要である。

標準化活動の推進に当たっては、個社の取組みでは人的・資⾦的リソースの面で限界があることから、業界団体を中心とする体制構築や、政府事業による標準化調査等の活用が有効と考えられる。

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まとめ(2/2)<今後の主要課題>以下に、今後取り組むべき主要な標準化ワークアイテムとテーマ等を示す。主なテーマ 主なワークアイテム 取組みのポイント機体安全設計等 ASTM AC433 • ギャップ分析の方向性の確認

• 主導機関︓CAMI、KittyhawkASTM WK68781 • 緊急時の安全対策に関する議論

• キーパーソンは不明SAE E-40 ARP8677 • 航空機電動化における安全性解析の方向性

• FAA、EASA等の規制官庁も参加動⼒ ASTM F3338 • 電動推進系の基本的な要件の確認、更新

• 主導機関︓KittyhawkASTM WK56255 • 電動航空機向けESSに関する議論

SAE E-40 AIR8678 • 電動推進、ハイブリッドの双方の推進に関する規格• 主導機関は航空機メーカ

電源 SAE AIR6897 • バッテリーマネジメント• 主要なeVTOMのOEMか否か不明

SAE AIR6343 • バッテリーの設計手法通信・衝突回避 RTCA SC-228 • C2リンク、衝突回避システムのeVTOLへの適用性バーティポート ASTM WK59317 • スコープ調整中※欧州のEUROCAE規格に比べ、⽶国規格の方が今後の認証を考慮した場合には優先度が高いとの意⾒あり。

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