塚澤健二先生の 生活防衛の教室 -...
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内容
『会社にしがみつく時代は終わった』 ......................................................................................................................................................................... 3 理由は不明ながら 10月の内閣支持率が再び 60%を回復。 ....................................................................................................................................... 17
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『会社にしがみつく時代は終わった』
10月 26日~31日まで 5回シリーズで『働く力再興~改革に足りぬ視点⑤』が日経新聞一面で特集され、 終回 5回目の『会社にしがみつく時代は終わった~原動力は個々の意欲に』では、 『米国には個人の才覚で働くフリーランサーが 5500 万人いる。労働人口の 3 分の 1 を占める。自己研鑽に励み、企業に寄りかからない。将来の技術革新やサービス開発の土壌と期待される。日本も増えたと
はいえ、健康保険など社会保障面の後押しも足りない。その厚みは見
劣りする。
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企業が労働者に多様な働き方を認め、労働者はそれを生かして成果を
出す。そうした好循環を生むのが「働き方改革」の主眼だ。政府も個
人の選択を尊重し、やる気をそがない税制や社会保障制度を整えねば
ならない。従来の労働政策を見直すぐらいなら日本経済を押し上げは
しまい。企業と働き手の双方の働き方の常識が変わりつつある今、国
の制度もまた一から作り直すときだ。』と掲載されている。 日本の労働力人口は 2015年約 6360万人。米国と同様に労働人口の 3分の 1が「フリーランサー」となると、約 2100万人がサラリーマンから退場し、現在、サラリーマンと呼ばれる雇用者数は 5700 万人から 3600 万人に減少する。サラリーマン人口は-37%減少する計算で、サラリーマン比率は 57%まで低下する。
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サラリーマンの平均年収が も伸びた時期は 1970年半ば~80年代後半。インフレの影響が大きかった時期で収入を押し上げた一面もある
が、逆な見方をすると も効率的なサリーマン比率が 50%~70%であることを意味する。つまり、米国並みに「フリーランサー」が増え
れば非効率な労働市場が効率的な労働市場の日本に変化することを
になる。 では、このように効率的な日本の労働市場は本当に到来するのだろう
か?09年 7月 24日に発行された「09年度経財白書」にその可能性が隠されている。この経済白書は 08 年 9 月と「リーマン・ショック」後に発行されたものだが、『企業内失業と推計される余剰人員は過去
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大の 607万人となり、推計した 607万人が職を失えば、完全失業率は約 14%まで跳ね上がる』との試算を示した。2009 年当時、雇用者数は 5500 万人であり、10%近いサリーマンが企業内失業者とのショッキングな試算だったことを思い出す。これから起こるであろう「第
二のリーマン・ショック」では、この比率をはるかに上回ることは十
分予想される。当時、雇用者数は 07年 6450万人から 12年 6250万人に約 200万人減少したが、現在の有効求人倍率がリーマン・ショック前の 1.12 倍を上回ることから、このとき以上の雇用者数の減少となるのではないだろうか? さらに、イノベーションも従来のサラリーマンを減少させる圧力とし
て働く。2015 年、英オックスフォード大学で AI(人工知能)などの研
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究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員とともに著した『雇用の未来・コンピューター
化によって仕事は失われるのか』という論文は世界中で話題となった。
同論文は 702の職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算した。言うなれば、これから「消える職業」「な
くなる仕事」を示したに等しく、米国の総雇用者の仕事のうち 47%が、英国では 35%が 10~20年後には機械によって代わられるという予測になった。ちなみに、「消える職業」は電話営業員、タクシー運転手、
手縫い裁縫師、法律事務所の事務員・秘書、不動産仲介・ブローカー、
レジ係、税務申告書作成者、クレジットカード・保険・ローンの審査
員、経理担当者、小売り営業員、データ入力者、医療事務員、保険・
飛び込み営業員、モデルなど。一方、「生き残る職業」は、ソーシャ
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ルワーカー、小学校の先生、聴覚訓練士 、心理カウンセラー、人事マネージャー、内科医・外科医・口腔外科
医・看護師、聖職者、振付師、セールスエンジニア、マーケティング
責任者、経営者など。人手不足が深刻化する医療・福祉業界、心のケ
アーの職業、そして面白いのが経営者が含まれていることである。日
本でも野村総研がオックスフォード大学の先行研究で使った同様の
アルゴリズムを使用して推計した結果、10~20 年後に国内労働人口の 49%に当たる職業は人工知能やロボットに代替され、米国・英国よりも代替される職業の比率が高い結果となった。ロボットが職場に溢
れ、仕事を奪われた人間が失業者になっていく姿が容易に想像できる。 オズボーン氏は「かつて洗濯は手作業で行っていたが、洗濯機の登場
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でその仕事は奪われました。しかし、それによって余った時間を使っ
て新しい技術や知恵が創造された。こうして人類は発展してきたわけ
です。現在起きているのも同じことです。ロボットやコンピューター
は芸術などのクリエイティブな作業には向いていません。人間は機械
にできる仕事は機械に任せて、より高次元でクリエイティブなことに
集中できるようになるわけです。人間がそうして新しいスキルや知性
を磨くようになれば、これまで以上に輝かしい『クリエイティブ・エ
コノミー』の時代を切り開いていけるのです。人類にとってこれは歓
迎すべきこと」と述べている。勿論、このような高次元のスキルを身
につけられる人々にはウエルカムな世界だが、多くの人々には来たる
べきロボット社会で生き残るのは容易ではない。経済的な要因に加え、
このようなイノベーションが今後 1000 万人以上の雇用を消滅させる
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潜在的リスクがあるのである。 この他にも、今から 9年後の「2025年」に労働力人口は、2015年 6360万人から 2025 年 5850 万人と予測され、すべてがサラリーマンではないが 510万人が自然に減少する。「団塊の世代」(1947年~49年生)が 60 歳の定年を迎え大量の退職者が発生するといわれた「2007 年」問題は定年延長の定着で 5 年後の「2012 年」問題に先送りされた。さらに、臨時として 5年雇われて 70歳まで働けたとしても「2017年」からはサラリーマンが自然に減少する時期を迎える。また、2015 年からはこの「団塊の世代」が全て 65 歳以上の前期高齢者となり年金の全額が給付される年齢に達している。更に、団塊の世代が全て後期
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高齢者にあたる 75歳以上に到達する年が「2025年」でまさしく超高齢社会が到来するわけだが、次のボリューム世代である団塊ジュニア
世代も全てが 50才代になる年で、「超高齢化社会」の到来も日本の労働市場を激変させる。 冒頭の記事には『会社は長らく、終身雇用や年功序列で労働者に安心
して働ける環境を提供してきた。日本経済が難所にさしかかり、企業
と働き手は新しい関係を築く必要に迫られている。腕一本を頼みとす
る自立した労働者を増やさないと日本は沈む。』と指摘する。つまり、
政府が掲げる『働き方改革』は個人の才覚で独自の成果を出す人が報
われると同時に、力を出し切れない人への対策も考慮したものにしな
けれならない。それは働く側のサラリーマンに 21 世紀のテーマであ
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る『クリエイティブ能力』を高めることを突き付けている。政府が掲
げる『働き方改革』はサラリーマン自らが『働き方改革』を実行すべ
きことで、その自覚がないサラリーマンには政府の『働き方改革』は
『働かせ方改革』となって生き残ることが厳しい近未来が待っている
のではないだろうか。「会社にしがみつく」ことは「死に神がつく」
ことを意味するのである。
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戦争の世紀 ⽣命(⽣物)の社会ストラテジー(戦略)・タクティクス(戦術)・ターゲット(標的)
疑似「幸せ」の洗脳社会
出所:T-Model作成
オーガニック・フェロモン・ウイルスインキュベーション・ハイブリット・コラボレーション(協創)
オペレーション(作戦)・シンクタンク(戦⾞)
成⻑社会
だから「⾃分軸」が必要
↓「客観的」
良いか悪いか 好きか嫌いか損か得か 信じるか信じないか
愛するか愛さないか正しいか正しくないか
「主観的」↓
21世紀
価値観
「幸せ」は仕+合わせる(コラボレーション・協業)「幸せ」志+合わせる(起業)
良い⼤学を卒業して「⼤企業」に就職する「正解がない時代」(良い⼤学出ても、⼤企業に就職しても・・)幸せの正解
20世紀
思考⽅法
能⼒
社会
試験処理能⼒ クリエーション能⼒
決める時 「正解がない変化の時代」だから悩んでも正解はない就職・転職・進学の「判断」
成熟社会
20世紀と21世紀
→「決断」の時代は「結団」の時代に通ずる
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理由は不明ながら 10 月の内閣支持率が再び 60%を回復。
2016/10/30日経新聞に『TPP「今国会で承認」賛否拮抗~賛成 38%、反対 35%』が掲載されている。 『日本経済新聞社とテレビ東京による 28~30 日の世論調査で、今国会での環太平洋経済連携協定(TPP)承認に 38%が「賛成」と回答し、「反対」の 35%とほぼ拮抗した。内閣支持率は 9月の前回調査比で 2ポイント高い 60%で横ばい圏。不支持率は 5ポイント下がって 27%だった。 衆院で審議している TPP 承認案を巡っては、政府・与党が今国会中
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の早期承認を目指す一方、民進党などは「議論が尽くされていない」
との立場だ。今国会での承認の賛否を聞いたところ「いえない・わか
らない」「どちらともいえない」が合わせて 3 割弱に達し、態度を明確にしていない人も多い。内閣支持層のうち今国会の承認に賛成は
50%で、反対の 26%を上回った。内閣不支持層は反対が 64%、賛成が 19%と逆転している。職業別に見ると「会社員など」で賛成 46%、反対 35%。専業主婦は賛成が 22%、反対が 33%だった。 原子力発電所の再稼働は「進めるべきでない」が 56%で、「進めるべきだ」の 28%を上回った。内閣支持層でも「進めるべきでない」は48%で、「進めるべきだ」の 39%より多かった。内閣不支持層では「進めるべきでない」が 82%に達し、「進めるべきだ」は 11%だった。東
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京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非が争点となった 16 日の新潟県知事選では、再稼働慎重派の米山隆一氏が当選している。』 内閣支持率はリオデジャネイロ五輪などを追い風に 13年 11月以来の60%台の高水準に達した 8月に続き、再び、60%台を回復した。これまでは『経済以外の特殊要因で支持率を高める安部首相はかなりつい
ている』と指摘してきたが、今回の結果は何故、内閣支持率が上昇し
ているのか不明である。この結果、内閣の「支持率-不支持率(移動平均)」も 4月+11.2%→5月+12.5%→6月+12.2%→7月+13.8%→8月+18.3%→9月+21.3%→10月+24.7%とプラス幅を拡大、14年 3月以来の高水準をキープしている。少なくともこの内閣支持率では安部内
閣を認めざるを得ず、09年以来の低水準まで売り込んでいる外国人も
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購入せざるを得ないのではないだろうか。政治面だけでみると株価は
上昇をサポートする結果と言って良いだろう。 2016/09/26『「小池知事の一連の対応を評価するは 85%、首都圏に限ると 91 %」』の T-Modelコラムにおいて、 『日銀のマイナス金利政策や安倍政権の経済政策「アベノミクス」の
評価は選挙結果と同様、若年層の意見が反映されにくいジェネレーシ
ョンギャップの実態が明らか。住宅ローン金利低下など恩恵があると
思われるマイナス金利政策がなぜ評価されていないのか?と思った
が、「住宅ローンなどで恩恵を受ける若い世代が評価する一方、年金
や保険への意識が高まる中高年には否定的な見方が多い」と指摘して
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いるように、中高年はマイナス金利で株価下落が進み年金運用への影
響を気にしている。年金世代とそうでない世代、個人金融資産を持つ
世代と持たない世代では意見が大きく異なっている。マイナス金利政
策やアベノミクスを評価している世代は 20 年後、同様に評価しているのかに興味がわく。 この記事でもう一つ気になる数字がある。「小池知事の一連の対応を
評価するは 85%、首都圏に限ると 91%」である。小泉内閣のような圧倒的支持であり、これで噂されている「小池新党」が結党されれば
かなり大きな勢力になる可能性を示唆する。噂されている維新の会だ
った橋下氏と小池氏が組むとどうなるのだろう?そのときに、民進党
の蓮舫代表とはどうなのだろう。安部内閣の支持率の高さは消極的支
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持の人々も多く、このような台風の目が実現すると現在の高い内閣支
持率を維持できるのか疑問である。今、世界的に起きている「現状維
持」か、「破壊」かの選択が日本人に問われる時期が近づいている。』 10月 30日、東京都の小池百合子知事が塾長を務める政治塾「希望の塾」が豊島区で開講した。小池氏は開塾のあいさつで「素晴らしい都
政、日本の政治を作っていくために、批評家ではなくプレーヤーとな
って(政治に)参加してもらえるような方向を目指していく」と述べ、
開塾が「小池新党」結成の布石となる可能性を示唆した。事務局によ
ると応募総数は 4827人に達し、審査を経て全国の地方議員や会社員、学生ら 2902人(30日時点)が入塾した。女性は約 4割を占めた。小池氏もあいさつで「希望の塾を通して、みんなで希望を実現していこ
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う」と訴え、塾生から候補者を出す選択肢もにおわせた。 いよいよ小池新党が動きだしたが、この動きが安部政権にどのような
影響を及ぼすか?来年はそれが焦点となるのではないだろうか。野党
との連携を含めて目が離せない存在となりそうである。