未定稿 人・農地プランの取組事例 -...

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人・農地プランの取組事例 課題解決のヒントとして、管内市町村の取組事例を紹介 ~ 未定稿 平成257中国四国農政局 担い手育成課

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Page 1: 未定稿 人・農地プランの取組事例 - maff.go.jpし、農業機械の共同利用等を行っていたが、より効率的かつ持続可能な経営とす るため、平成24年農事組合法人「和の郷」を設立。法人を地域の中心経営体に位

人・農地プランの取組事例~ 課題解決のヒントとして、管内市町村の取組事例を紹介 ~

未定稿

平成25年7月

中国四国農政局 担い手育成課

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先祖代々から預かった大切な農地を守り、活かし続けるために

①困ったの~

子供も帰って来んし、ワシが農業をやめたら、誰が農地や農村を守るんじゃ? ②うちも同じゃ。

誰が農地や農村を守るかは、まずは、

「人・農地プラン」を作成してみませんか

③そうじゃなぁ~

近所や親戚だけで考えても答えは出んけぇ~な。地域で決めた

もんなら、応援もできるし、安心じゃ!

守るかは、まずは、地域で話し合おうでぇ!

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目 次

ページ1 各市町村のプラン取組上の主な課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 管内市町村の取り組み事例

(1)東広島市(広島県)の取組事例・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

(2)山陽小野田市(山口県)の取組事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

(3)岡山市(岡山県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

(4)浜田市(島根県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

(5)倉敷市(岡山県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

(6)里庄町(岡山県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

(7)尾道市(広島県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

(8)赤磐市(岡山県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

(9)勝央町(岡山県)の取組事例・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

(10)綾川町(香川県)の取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

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各市町村のプラン取組上の主な課題

① 市町村のマンパワーが不足

② プランを取りまとめる地域のリーダーがいない

③ 地域の話し合いの場がない

広島県

東広島市

課 題 山口県

山陽小野田市

岡山県

岡山市

島根県

浜田市

○ ◎

課題解決のヒントとして、管内市町村の取組事例を紹介

④ 担い手がいない地域では、農地の受け手がいないため、プラン作成が進まない

岡山県

倉敷市

- 1 -

⑤ 圃場条件の悪い地域では、農地の受け手がいないため、プラン作成が進まない

⑥ 果樹中心の地域では、農地集積が水田地域に比べ難しいことや個人で独自経営を行っていることからプラン作成が進まない

⑦ 農家に危機感、関心が薄く、メリット措置を受ける地区しかプラン作成が進まない

⑧ メリット措置(青年就農給付金、スーパーL資金等)を受けるためのプランからステップアップ(担い手への農地集積等)する効果的な手法を見い出せない

課題解決

※ 最も参考となるヒントは◎、サブ的なヒントは○。

いないため、プラン作成が進まない

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各市町村のプラン取組上の主な課題

① 市町村のマンパワーが不足

② プランを取りまとめる地域のリーダーがいない

③ 地域の話し合いの場がない

課 題 広島県

尾道市

岡山県

赤磐市

岡山県

勝央町

課題解決のヒントとして、管内市町村の取組事例を紹介

④ 担い手がいない地域では、農地の受け手がいないため、プラン作成が進まない

香川県

綾川町

岡山県

里庄町

- 2 -

⑤ 圃場条件の悪い地域では、農地の受け手がいないため、プラン作成が進まない

⑥ 果樹中心の地域では、農地集積が水田地域に比べ難しいことや個人で独自経営を行っていることからプラン作成が進まない

⑦ 農家に危機感、関心が薄く、メリット措置を受ける地区しかプラン作成が進まない

⑧ メリット措置(青年就農給付金、スーパーL資金等)を受けるためのプランからステップアップ(担い手への農地集積等)する効果的な手法を見い出せない

◎ ◎

課題解決

※ 最も参考となるヒントは◎、サブ的なヒントは○。

いないため、プラン作成が進まない

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東広島市の取組事例(農業委員、農区長、担い手支援員を活用し、マンパワー不足を補っている事例)

(1)プラン作成の取組方針

● 人・農地プランを契機に、地域で「地域農業のあり方」について話し合う機会を創出し、担い手の確保と担い手への農地集積を図る。

● プランの範囲は、担い手の安定的な経営規模(概ね20ha以上)の確保や担い手間の連携等も考慮し、大字単位を基本に設定(86地区)し、地域からの応募により策定に取り組む。

● 地域の実態に合わせ、①法人中心タイプ(法人が地域の大半を集積している地域)、②新規就農者中心タイプ(青年就農給付金対象者のいる地域)、①、②に該当しない地域の3つに分類し、プラン作成に取り組む。

広島市

大竹市

竹原市

尾道市

福山市

熊野町

坂町

海田町

府中町

廿日市市

安芸太田町

北広島町 安芸高田市

三次市

庄原市

神石高原町

府中市

世羅町

三原市

東広島市

呉市

大崎上島町江田島市

【東広島市の農業概要】

農家数 :7,701戸基幹的農業従事者数 :7,308人認定農業者数 :84経営体集落営農数 :39組織うち法人数 :23法人農業集落数 :525集落耕地面積 :7,500haうち水田面積 :6,710haうち畑面積 : 794ha主な農作物 :水稲、乳用牛10ha以上の農家数 :15経営体

当しない地域の3つに分類し、プラン作成に取り組む。

(2)プラン作成に当たっての課題● 重点的に取り組んできた集落法人の設立のペースが鈍化している。● 地域・集落において農業ついて話し合う機会が減少している。● 市は地域とのパイプが弱く、リーダーや地域の実情等が把握できていない。● 農家に身近な組織として「農区」があるが、輪番制の農区長も多く、地域農業のとりまとめ役としての意識が希薄になっている。

● 多くの農区からプラン作成の希望が出ると、市だけでは体制的に対応が困難。● 地域の話し合いは、土日、夜間が多く、対応にかかる人員と労力が必要。● 担当係の職員は、全員非農家で、農業の専門的な話への対応が困難。● 地域の話し合いを行政が進行すると、行政批判に多くの時間が割かれる。● 青年就農給付金を受けるためだけのプラン作成は、地域の協力が得られにくい。

● 地域農業のあり方ではなく、農地集積協力金ありきの話になりがち。

- 3 -

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

【①市の内部及び関係機関との連携体制を構築】● 多くの地域に対応するため、支所管内は5支所で、旧市内は本庁で対応することとし、業務を分担。● 青年就農給付金を希望する者がいる地域は、園芸センター(市組織:研修機関)が個別に対応。● 地域をきめ細やかに支援するため「担い手支援員」を設置(市単独予算、市OB、JAOB、2名を非常勤職員として雇用)。● JA、県農林事業所・指導所、既設の集落法人の代表者と連携し、地域の話し合いを効率的に支援。

【②地域での話し合いのとりまとめ役を設置】● 農区長(市嘱託730農区、1農区平均20戸程度、もともとは生産調整のとりまとめ役)を「プランのとりまとめ役」として位置付け。● 農業委員(42名)を「農区と行政のパイプ役」として位置付け、市は個々の農区ではなく農業委員を地域の窓口として連携。● 事業推進の要となる農業委員に対して勉強会を開催し、人・農地プラン作成までの手順等を整理した手引きを作成し配布。

【③その他】● 「地域における話し合いの機会の創出」という事業目的を明確にし、効果的に事業実施をするため、市独自の推進方針を定め、説明会やHP等を活用して周知。

● 「集落法人とは何か」についての啓発を、既設の集落法人の代表者の協力を得て、事業説明等の機会を捉えて実施し、さらに具● 「集落法人とは何か」についての啓発を、既設の集落法人の代表者の協力を得て、事業説明等の機会を捉えて実施し、さらに具体的に興味のある地域や認定農業者等を対象に研修会や先進地視察を実施。● 地域農業のあり方についての話し合いは、参加者全員が発言できるようにワークショップを取り入れ、また、行政批判等に時間を割かないように、その運営を(財)広島県農林振興センターに委託して実施。

● 農業委員会が把握している農地情報を集落に提供し、出し手と受け手のマッチングを支援。

(4)取組の成果

● 平成24年12月末時点で、28地区でプランの話し合い等に取組み、11地区で作成。

● プランを契機に新たに3法人(集落営農法人3)が設立され、3法人を含め75haの農地が担い手に集積された。また、25年度以降の法人設立や圃場整備に向けて、検討を始める地域が多数生まれた。

● プランの話し合い等を通じて、新規就農者が、地域の一員として認知され、営農するきっかけを創出した。

● 全ての農区長に周知した結果、農地集積協力金が地域で話題となり、結果として多くの地域で話し合いが促進できた。また、近隣のプランを作成した地域の影響から、新たにプラン作成の必要性を感じる地域が出てきた。

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山陽小野田市平沼田集落の取組事例(農地・水保全管理対策も活用し、集落営農法人を中心経営体に位置付けた事例)

(1)プラン作成の取組方針

● 平沼田集落(16戸、農用地面積18ha)は、山陽小野田市の最北部にある集落。宇部市、美祢市に隣接する中山間地域。

● 圃場整備事業の着手を契機に、任意組織「平沼田営農組合」を平成4年に設立し、農業機械の共同利用等を行っていたが、より効率的かつ持続可能な経営とするため、平成24年農事組合法人「和の郷」を設立。法人を地域の中心経営体に位置付けたプランを作成。法人に集落の大部分の農地を集積。

● 平沼田地域の環境を守る会が、水路や道路を補修し、農地・水保全管理対策の農業用施設の長寿命化に取り組む。

(2)平沼田集落の課題

防府市

下松市

平生町

上関町

和木町

阿武町

下関市

美祢市

周防大島町

山陽

小野田市

宇部市

萩市

長門市

周南市

柳井市光市

岩国市

柳井市

田布施町

山口市

【山陽小野田市の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・・ 1,197戸基幹的農業従事者数・・ 781人認定農業者数・・・・・・・・ 41経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 7組織うち法人数・・・・・・・・・・ 3法人農業集落数・・・・・・・・・・・ 150集落耕地面積・・・・・・・・・・・・・ 1,490 haうち水田面積・・・・・・・・ 1,240 haうち畑面積・・・・・・・・・・ 254 ha主な農作物・・・・・・・・・・・水稲、麦、大豆等10ha以上の農家数・・・・ 11経営体

(2)平沼田集落の課題【圃場整備前】● 当該集落の農用地面積は18ha。田の1枚の平均面積は3アール程度と小さく、農地の枚数は400枚近くあった。個人毎にトラクター等農業機械を所有、零細で非効率な経営。

● 圃場整備に当たっては、換地問題が一番の難関。

【圃場整備後】プランの取組● 圃場整備を契機に任意組織(機械の共同利用組合)を設立し、効率的な経営を展開していたが、構成員の高齢化、新たな機械投資等により、組織の存続が危惧。

● 法人に農地を集積すると、農地提供者は地域との関わりが無くなるだけでなく、法人としても畦畔管理や水管理など農地の維持・管理が困難。

● 法人の経営を将来も持続させるためには、老朽化が進む道路・水路の長寿命化の取組が必要。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

「農地の集約化を円滑に進める取組(圃場整備時)」● 田舎では、自分の土地が一番と思っている。簡単には手放さない。任意組織の代表は、圃場整備を成功させるためには参加農家の換地をどのようにするかがポイントと考えた。そこで、地域の農地の評価を徹底的に実施。土地の広さ、地形、日当たり、水質など様々な条件に照らし、10項目の評価表を作成、1筆ごとに評価点数を付け、集落の人達に提示、その評価に基づき、金銭による換地精算を行った。

「高齢農家をひとりも脱落させない取組(プラン作成時)」● 法人に農地を集積しても、法人だけでは地域の農地は守れない。草刈りや水管理等細かな作業は高齢者の協力なしでは、農地の維持は不可能。そこで、年5回の草刈りは、時給や日給では作業量に個人差があり不公平となるため、担当する区域を個人毎に決め、面積割りで労賃を算出。草刈りを担当する区域は、年齢の高い人から順番に選んだ。農地を法人に利用権設定した人であっても草刈りや水管理を担当。集落を維持するための貴重な現役として引き続き関わりを持つようにした。

● 子や孫に野菜を送ったり、直売所に出荷し小遣い稼ぎができるように、生き甲斐づくりのため自己耕作農地(10アール未満)を残した。

「持続可能な法人組織とするための取組(プラン作成時)」「持続可能な法人組織とするための取組(プラン作成時)」● 父親が出来なくなって初めて息子に代を譲るのでは遅い。世代交代を円滑に行うポイントは、(農)「和の郷」の理事6名の平均年齢は67歳、これでは組織として長くは持たないことから、理事全員に、次に地域を牽引する若い世代を補佐(平均年齢47歳)に付けた。

「農地・水保全管理対策の取組」● 共同活動支援18haに取り組み、向上活動支援として、道水路等の施設を長寿命化するため、「平沼田地域の環境を守る会」((農)「和の郷」と同じ構成員)が、水路の破損部分の補修(3ヶ所730m)、未舗装道路の舗装(2ヶ所600m)に取り組んでいる。

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(4)取組の成果(今後の取組)

● 農地集積協力金は、構成員全11戸に交付。規模拡大加算は、(農)和の郷に交付。法人化支援も受け、将来も持続する法人経営を行うため、交付金を農業機械への投資等に活用予定。

● 平成19年度から始まった農地・水保全活動に取り組むことにより、地域共同による草刈り作業や竹林ボランティア活動を通じて、連帯感がいっそう強くなった。強くなった連帯感を活かし、人・農地プランでは、地域の若手も参加して話し合いが行われ、5年後、10年後を見据え、法人設立のみならず、地域の若手を法人の後継者候補者として位置付けるとともに、高齢者の応援など持続可能な経営体となった。

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岡山市の取組事例(農業の集落機能がほとんどない中で、全市域でプラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● プランの範囲は、13地域(JAの営農センター単位)で作成。

● 人・農地プランの作成期間が2年であることから、とり急ぎ市内全域をカバーするプランを作成。作成した後、農地集積等ブラッシュアップを行う。

● 関係機関が連携して人・農地プランを推進。

笠岡市

倉敷市

早島町

玉野市

岡山市

総社市

高梁市

瀬戸内市

備前市

和気町

美作市

美咲町

津山市

勝央町

西粟倉村

奈義町

新圧村

新見市

井原市

鏡野町

真庭市

矢掛町

吉備中央町

浅口市

里庄町

久米南町

赤磐市

【岡山市の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・ 12,691戸基幹的農業従事者数・・ 9,075人認定農業者数・・・・・・・・ 574経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 15 組織うち法人数・・・・・・・・・ 1法人農業集落数・・・・・・・・・・ 712集落耕地面積・・・・・・・・・・・・ 13,800 haうち水田面積・・・・・・・ 12,200 haうち畑面積・・・・・・・・・ 1,600 ha主な農作物・・・・・・・・・・ 水稲、麦等10ha以上の農家数・・・・ 63経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● 市の範囲が広大で、市街化や混住化が進み、農業の集落機能がほとんどないことから、集落単位での取り組みは難しい状態。地区代表者も非農家が多く、農家組合も形骸化しており、話し合いの下地がないことから、プラン作成の話し合いの場が持てない。

● 市街化隣接区域は、資産的保有傾向が強く、農業に対する危機意識が薄いため、プラン作成に関心が薄い。

● 市南部の干拓地は、大規模な担い手が多数おり、1枚あたりの農地面積が大きく、集積が容易。ただし、白紙委任の調整が難しい。

● 市北部は、中山間地域で小規模・零細な農家が多く、農地の出し手はいるが、受け手が少ないため、集積が難しい。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

「農業の集落機能がほとんどないため、集落からの手上げ方式ではプラン作成は進まない。関係機関が連携し全域カバーのプランを作成」

● 市の広報誌に掲載(H24.4)。人・農地プランを周知。

● JA岡山を中心に県民局、岡山市等関係機関が集まり、毎月1回プラン作成に向けて勉強会を開催。関係機関の連携内容について検討。

● JA岡山が、岡山市全農家に対してアンケート調査(規模拡大・作業委託・規模縮小・離農の意向)を実施。JA岡山の協力によりアンケート結果を取りまとめ、プラン原案を作成。

● 地域毎に関係農業者(認定農業者、大規模農家、農業法人、新規就農者)や関係機関(市、JAの各営農センター及び各部会、農業委員、普及指導センター)等を集め、作成会議を開催。市が作成したプラン原案の検討を行った。

● 作成会議では、各地域40~50名程度が参加、その中で、地域の中心経営体(新規就農者含む)の位置付けの承認を得た。● 作成会議では、各地域40~50名程度が参加、その中で、地域の中心経営体(新規就農者含む)の位置付けの承認を得た。また、話し合いに参加できなかった農家には、資料の送付や別途説明を行いフォローアップを行った。

● 新規就農の相談は、岡山市就農サポートセンターの総合コーディネーターが対応。青年就農給付金目当ての相談があるが、何を栽培するかも決めていない者もいる。地域の中心となる農業者として、自発的で発展的な計画を立てるよう指導している。

(4)取組の成果

● H25年1月検討会を開催。市内全域をカバーする13地域のプランをH25年1月29日に決定。

● 市全域でプランを作成したことにより、青年就農給付金等メリット措置の漏れはない。

● 大規模農家の中には農地の筆数が500筆を超え、しかもほ場が分散している農家が存在している。分散状態を解消しなければ更なる経営拡大は難しい。今後は大規模農家も離農することも考え、農地の分散を解消する取組を推進する。

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浜田市の取組事例(圃場条件が悪い、担い手がいない地域でも、プラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● 浜田市旭町のプランの範囲は、公民館単位。

● 浜田市の大部分は中山間地域。水稲を中心に経営を行っているが、特に、旧旭町では、圃場条件が悪く、集落営農組織や法人化が進まず、高齢化の進行、担い手不足等が深刻。

このため、● 浜田市では担い手への農地集積が進まない要因を分析。

● 市独自の単独事業を絡めて推進。

● JA、普及組織等関係機関が連携して、「農地保全プラン」を推進。

川本町

雲南市

奥出雲町

飯南町

美郷町

川本町

邑南町

安来市

松江市

(松江

出雲市

大田市

江津市

浜田市

益田市

津和野町

隠岐の島町

海士町

西ノ島町

知夫村

【浜田市の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・ 2,956戸基幹的農業従事者数・・ 1,659人認定農業者数・・・・・・・・ 59経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 31組織うち法人数・・・・・・・・・ 6法人農業集落数・・・・・・・・・・ 426集落耕地面積・・・・・・・・・・・・ 2,470 haうち水田面積・・・・・・・ 2,010 haうち畑面積・・・・・・・・・ 459 ha主な農作物・・・・・・・・・・ 水稲、かき、なし10ha以上の農家数・・・ 9経営体

● 地域の担い手としてサポート経営体を設立。

(2)プラン作成に当たっての課題

● 圃場条件の悪い農地(雑草が生い茂った巨大な畦畔、老朽化した水路、未整備な作業道等)については、担い手が農地を受けたがらない。

● 農地集積協力金、青年就農給付金では、一部の農業者しかメリットが無く、地域全体の話し合いにつながりにくい。

● 中山間地域等は、担い手(受け手)が存在しない地域があるため、話し合いが進まず、プラン作成が担い手が存在する一部の地域にとどまっている。

● 中山間地域の農地は、担い手のみでは維持出来ない。担い手とその他の農業者との連携が必要。

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古賀町

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

【①農地保全プランの作成】● 浜田市では、これまで集落営農の組織化、法人化に取り組んできたが、伸び悩みが見られた。このため、組織化、法人化が難しい地域は、各集落と「サポート経営体」の連携による農地保全を目指した。● 既に一部の地区では、農作業受託組織(3セク)が存在するが、農地が点在し、非効率な経営。● このため、効率的な経営となるように、各集落とサポート経営体が連携する2階建て方式とした。● 浜田市旭町では、国の人・農地プラン作成以前に、平成23年秋から、5年、10年先を見据えて、「将来も守るべき農地」を明確にするとともに、農地一筆ごとに、「自己管理」「利用権設定」「作業委託」に色分けした「農地保全プラン」を町内のほぼ全集落で作成。● 島根県西部農林振興センターが、浜田市、JAいわみ中央に対して、農地保全プラン作成の体制づくりや進め方を提案・指導。● 各関係機関が連携して進めるため、各ステップごとに到達目標と進捗状況を共有。

【②サポート経営体を設立】● 地域農業をサポートするため、地域の担い手として、 H24.6 「(株)サンファームみのり」を設立。● 出資金(300万円)の一部は、JAが支援。市と県は機械導入等に対して助成金により支援。● 構成員は、浜田市内の認定農業者13名。● サポート経営体の経営安定を図るため、基幹作業受託(高齢農家等が離農する段階で利用権設定に変更)の他、ライスセンター、育苗センターの管理・運営、育苗ハウスを利用したトロ箱栽培に取り組み経営を多角化。育苗センターの管理・運営、育苗ハウスを利用したトロ箱栽培に取り組み経営を多角化。

【③サポート経営体等に任せやすい農地へ改良】● 農地保全プラン策定カ所において、国、県単、市単による基盤整備事業を実施。● 市単独事業は、市独自の簡易な基盤整備(用・排水路補修、耐久性畦畔工、耕作道舗装)を実施(H24:54,391千円)。

(4)取組の成果

● 平成25年1月末時点で、浜田市旭町全57集落のうち、55集落で農地保全プランを作成。人・農地プランは、公民館の範囲で2地区作成。

● 農地集積協力金や青年就農給付金が得られるのは、地域の農業者の一握に限られ、プラン作成に関心を示さない農業者が多くなるが、浜田市では、「農地保全プラン」を集落の農業者が参加し作成するとともに、市独自の簡易な基盤整備を絡めることにより、集落の農業者全員が農地保全への意識を持つきっかけを作った。

● 守るべき農地を基盤整備することにより、地権者が行う保全作業(草刈り、水管理)の軽減やサポート経営体が受けやすいほ場に改良できる。● 担い手のいない地域でも、サポート経営体を中心経営体に位置付けたプランを作成することができる。

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倉敷市の取組事例(JA出資型法人を設立し、全市域でプラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● プランの範囲は、4地区(旧市町単位)で、市全域をカバーしたプランを作成。

● 市とJA、農業委員会、県、普及センターが連携し、プラン関連施策等を活用しながら、プラン作成を推進する。

● 耕作放棄地の増加を防ぐため、JA出資型法人を設立。

笠岡市

倉敷市

早島町

玉野市

岡山市

総社市

高梁市

瀬戸内市

備前市

和気町

美作市

美咲町

津山市

勝央町

西粟倉村

奈義町

新圧村

新見市

井原市

鏡野町

真庭市

矢掛町

吉備中央町

浅口市

里庄町

久米南町

赤磐市

【倉敷市の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・ 7,907戸基幹的農業従事者数・・ 4,265 人認定農業者数・・・・・・・・ 368 経営体集落営農数・・・・・・・・・・ - 組織うち法人数・・・・・・・・・ - 法人農業集落数・・・・・・・・・・ 412 集落耕地面積・・・・・・・・・・・・ 4,560 haうち水田面積・・・・・・・ 3,500 haうち畑面積・・・・・・・・・ 1,060 ha主な農作物・・・・・・・・・・ 水稲、ぶどう等10ha以上の農家数・・・・ 4経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● 市街化隣接区域は、資産的保有傾向が強く、農業に対する危機意識が薄いため、プラン作成に関心が薄い。

● 農家と非農家の混住化が進んでおり、農業の話し合いの場がない。

● 担い手は果樹、花卉等の園芸農家が中心で、稲作の中心経営体が少ないため、農地の引き受け手が少ない。

● 条件の良い農地は引き受け手がいるが、条件の悪い農地は引き受け手がいない。耕作放棄地とならない対策が必要。

● 耕作放棄地が増加すると市民の生活環境も悪化する。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

「条件が悪い農地は担い手も引き受けにくい。JA出資型法人を設立し、耕作放棄地化を未然防止」

● 地域の中心経営体は、60歳未満の認定農業者、新規就農者、水稲を大規模に経営している農家を想定し、市が原案を作成した。

● 市が作成した原案の検討は、農家と非農家の混住化が進み農業の話し合いの場がないため、地区の代表的な農業者を集め話し合いを行った。

● 果樹(ぶどう)が盛んな地域では、JAの果樹部会の役員会も交え、話し合いを行った。

● プランの作成は、本来は下からの話し合いの積み上げが理想であるが、話し合いの場がないことなどから、その機運の盛り上がりを待っていたのでは、いつまで経ってもプランの作成は出来ない。耕作放棄地が増えてしまう前に、まずは市等関係機関主導で原案を作成した。

● 出し手はなかなか話し合いに参加しないし、また出したい農地は条件が悪いので、担い手もそのような農地は積極的には受けてくれない。また、アンケートではあいつには貸したいが、あいつには貸したくないという声もあるため、白紙委任が進まない。くれない。また、アンケートではあいつには貸したいが、あいつには貸したくないという声もあるため、白紙委任が進まない。このままでは、耕作放棄地が増加するため、条件の良い農地について担い手への集積をすすめるとともに、採算性の悪い農地は、JAが出資し設立(H25.8)予定の法人と、担い手が連携して、作業受託等の請け負いなど利用調整をしていくこととした。

● JAがアンケート調査を実施、「誰に農地を貸したいか」と問うと、第1はJAであった。地域の農業者の意向を踏まえて、プラン作成を進めた。

(4)取組の成果

● 平成25年3月21日検討会を開催し、同日付け、4地区のプランを決定。市全域をカバーするプランが作成出来た。

● JA出資型法人を設立し、耕作放棄地の防止につながる。地域住民の生活環境を守る取組にも寄与。

● 今後は、高齢化の進行とともに、「JA出資型法人に対して農地を預けたい」と情報が集まる。その情報を基に、出し手農家と調整を図り、条件の良い農地は担い手へ集積し、担い手の経営改善に結び付けるプランのブラッシュアップを図る。

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里庄町の取組事例(担い手がいない、圃場条件が悪い地域で、プラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● プランの範囲は、町内の農地面積が少ないため、全町域を対象に1つのプランを作成。

● 規模拡大意向のある認定農業者を中心経営体に位置付けたプランを作成。

● 耕作放棄地の解消に向けた取組も併せて実施。

笠岡市

倉敷市

早島町

玉野市

岡山市総社市

高梁市

瀬戸内市

備前市

和気町

美作市

美咲町

津山市

勝央町

西粟倉村

奈義町

新圧村

新見市

井原市

鏡野町

真庭市

矢掛町

吉備中央町

浅口市

里庄町

久米南町

赤磐市

【里庄町の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・ 379戸基幹的農業従事者数・ 59人認定農業者数・・・・・・・・ 16経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 0組織うち法人数・・・・・・・・・ 0 法人農業集落数・・・・・・・・・・ 24 集落耕地面積・・・・・・・・・・・・ 154 haうち水田面積・・・・・・・ 91 haうち畑面積・・・・・・・・・ 63 ha主な農作物・・・・・・・・・・ 水稲、桃等10ha以上の農家数・・・・ 1経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● 担い手への農地集積率は現在1割程度。基盤整備が出来ていないため農地を引き受ける担い手がいない。

● 機械が入れない農地が存在し、耕作放棄地が増加している(町内には、60haの耕作放棄地が存在)。耕作放棄地を担い手に集積する取組が必要。

● 国土調査が入っていないため、農地の境界が決まっていない。

● ほとんどの農家が兼業農家、倉敷市、笠岡市のベットタウン。昔から自己完結型の経営を展開し、共同意識が薄く、地域としてのまとまりがないため、プランの話し合いが進まない。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

● 里庄町の地権者は、農地に対する執着心が薄い。「無償でよいから使ってほしい」という要望が多い。シルバー人材派遣会社に草刈りを頼むと10アール1万円が必要。年3回頼むと3万円。野焼きもどこでも出来ない状況。基盤整備が出来ていないため担い手は引き受け意向が少なく、出し手の面積が多い状態。

● 町は、町内全戸の農家(340戸)に対して、人・農地プランに関するアンケート調査を24年4月に実施するとともに、農家の機械の所有状況を把握し、農家台帳に反映させている。

● また、認定農業者16戸全員に対して将来の意向を確認。「基盤整備さえ出来ていれば、機械を持っているため、農地を引き受けられる」という農家がいることを確認。そこで、耕作放棄地の事業を活用。担い手が耕作している農地の隣接する耕作放棄地を、畦畔除去し、農業機械が使用できるように改良。町も負担金を助成(2/10)。

● 畦畔除去をする前には、国土調査が入っていないため、農地を1筆づつ、境界を確定する必要がある。そのため町の職員が土日に測量を行い境界確定を行っている。この取組により、耕作放棄地を活用し、規模拡大する3戸を中心経営体に位置付けたプランを作成。

● 3戸以外にも候補者を把握、次回のプラン見直しにおいて、本人の意向を確認しながら、次回のプラン見直しにつなげていく。● 3戸以外にも候補者を把握、次回のプラン見直しにおいて、本人の意向を確認しながら、次回のプラン見直しにつなげていく。

(4)取組の成果

● 中心経営体に耕作放棄地3haを集積するプランを作成することができ、耕作放棄地解消につながった。

● 農家に対する意向確認、境界の確定、畦畔除去を行うことにより、ほ場条件が悪く、担い手が農地の引き受け要望がない地域でプランを作成。

● 今後は、農業委員会の活動により、担い手が所有している隣接する農地が耕作放棄地の場合、担い手や耕作放棄地の地権者の意向を確認し、畦畔除去を行いながら、耕作放棄地の解消につなげていく。

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尾道市(旧瀬戸田町)の取組事例(かんきつ主体の地域で、島全域でプラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● 尾道市の旧瀬戸田町は、南部の島嶼部に位置し、柑橘が盛ん。

● 地域の盛り上がりを待っていたのでは、いつまで経ってもプランは作成出来ない。まず、新規就農者や規模拡大意向者を中心にプラン作成を進め、作成してから内容を充実させていく。

● 関係機関が連携し、プラン作成を推進する。

● 条件の良い農地を中心経営体に集積する。

広島市

大竹市

竹原市

尾道市

福山市

熊野町

坂町

海田町

府中町

廿日市市

安芸太田町

北広島町 安芸高田市

三次市

庄原市

神石高原町

府中市

世羅町

三原市

東広島市

呉市

大崎上島町

【尾道市(旧瀬戸田町)の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・ 5,265(741)戸基幹的農業従事者数・・・ 2,893 (976)人認定農業者数・・・・・ 112 ( 64)経営体集落営農数・・・・・・・ 7 ( 1) 組織うち法人数・・・・・・ 7 ( 1) 法人農業集落数・・・・・・・ 382 ( 66) 集落耕地面積・・・・・・・・・ 3,470 (981) haうち水田面積・・・・ 869 ( 0) haうち畑面積・・・・・・ 2,610(981) ha主な農作物・・・・・・ みかん、いちじく、

わけぎ等10ha以上の農家数・ 7( 1 ) 経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● 果樹は水田に比べ機械化が難しく、流動化が進みにくい。

● 地域には、農区長がいないため、JAの生産販売委員等の協力を得ながら進めたが、地域農家等に人・農地プラン作成の意義を理解してもらいにくく、説明会を開催しても、なかなか多くの人に出席してもらえず、幅広い協力が得られにくい。進め方の工夫が課題。

● 島の特徴として、台風や寒波のリスク分散等のため、かんきつ農家は、島内に園地が点在している。各農家が納得する農地集積について、丁寧な対応が必要。

● 出し手からの農地提供情報(アンケート調査結果)は条件が悪い農地が多い。担い手はできる限り条件の良い農地を必要としているため、農地情報の収集力が課題。

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大崎上島町江田島市

旧瀬戸田町

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

「 関係機関が連携し、それぞれの組織の強みを活かし、人・農地プランを推進」

● 旧瀬戸田町では、平成63年に「尾道市瀬戸田地域果樹振興対策会議」(構成:市、JA、普及、県事務所)を設立し、瀬戸田地域の果樹振興を図ってきた。この関係機関の体制を活用し、プラン作成を進める(月1回程度開催 )こととした。

● プランの説明会の周知は、市の広報誌や回覧板、JAの生産販売委員の協力により周知するとともに、地域の若手農業者等へ郵送等により案内を出し、説明会を開催。

● 当初市では、地域の話し合いが行えるエリアは大字単位が妥当と考えていたが、かんきつ主体の地域では、台風や寒波のリスク分散等を行うため、島内に農地が点在している。全島の中から条件の良い園地を集積するためには、島一本のプランを作成することがベストであると関係機関で話し合った。

● 旧瀬戸田町には農区長がいないため、無線放送やJAの生産販売委員の代表者を通じてプランの周知を図った。

● 水田の場合は作業の効率性を高めるために農地を集積することが重要であるが、かんきつの場合は、もともと機械化が難しく、集積よりも、いかに条件の良い農地(傾斜が緩く作業しやすい園地、道路が近く運搬しやすい園地、人気のある品種が植栽されて集積よりも、いかに条件の良い農地(傾斜が緩く作業しやすい園地、道路が近く運搬しやすい園地、人気のある品種が植栽されている園地)を集積するかが重要。 ※造成事業は一部地域を除き、ほとんど実施していない。

● 規模拡大、規模縮小のアンケート調査(792戸)を実施したが、出したい農地は条件の悪い農地が多く、担い手はそのような農地は集積しにくい。双方の合意に至らずプラン作成が進まなかった。そこで、地元の農業委員やJAの生産販売委員の代表者等を通じて条件の良い農地情報を集め、市と農業委員で手分けし、現地確認、意向の再確認を行った。

● 旧瀬戸田町は日本有数のレモンの産地。JAが中心となり、完熟出荷等により付加価値を高めたブランド化の推進を図っている。

(4)取組の成果● 平成25年度3月末、旧瀬戸田町で全域のプランを作成。旧町全域1本のプランとしたことにより、中心経営体に対し、農地情報が平等に提供できた。

● 高齢化の進行により、比較的条件の良い園地でも廃園化が進行していたが、関係機関がそれぞれの強みを活かし、連携することにより、条件の良い農地情報を収集。島内の規模拡大意向の認定農業者等に対して農地集積を図ることが出来た。

● 現在、10戸(うち新規就農者1戸)の中心経営体を位置付けているが、今後は、旧瀬戸田町には64名の認定農業者がいることから、再度、優良農地の掘り起こしを行い、プランの内容充実を図っていく。

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赤磐市の取組事例(市外から新規就農者を受け入れ、果樹地域においてプラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● 中山間地域では、高齢化が進み、担い手がいない地域が多く存在する。このため、人・農地プランの取組は喫緊の課題であり、関係機関と連携し、積極的に取り組む。

● 赤磐市は、ぶどう、桃等の産地であるが、担い手の減少、高齢化が進行し、産地の弱体化が進んでいる。このため、担い手の育成・確保を図る。

● プランの範囲は、地域のまとまりの範囲を考慮し行政区とする。(108地区)笠岡市

倉敷市

早島町

玉野市

岡山市総社市

高梁市

瀬戸内市

備前市

和気町

美作市

美咲町

津山市

勝央町

西粟倉村

奈義町

新圧村

新見市

井原市

鏡野町

真庭市

矢掛町

吉備中央町

浅口市

里庄町

久米南町

赤磐市

【赤磐市の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・・ 2,563戸基幹的農業従事者数・・ 2,071人認定農業者数・・・・・・・・ 97経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 3組織うち法人数・・・・・・・・・・ 0法人農業集落数・・・・・・・・・・・ 108集落耕地面積・・・・・・・・・・・・・ 2,650 haうち水田面積・・・・・・・・ 2,160 haうち畑面積・・・・・・・・・・ 491 ha主な農作物・・・・・・・・・・・ 水稲、ぶどう等10ha以上の農家数・・・・ 3経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● 果樹は農家個々に独自の経営を行っているため、地域全体の担い手育成をどうするかという問題への関心が低く、プラン作成が取り組みにくい。

● 赤磐市是里地区は、樹園地の造成等を行い最盛期には、戸数130戸、栽培面積60ha、販売金額は1億円を突破していたが、産地の弱体化が進み、栽培面積は最盛期の1/10程度まで減少。新規就農者等の受け入れ・育成が必要。

● 新規就農者を地域に受け入れるための体制づくりを行うことが必要。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

【① 是里地区での取組】● 是里地区のぶどう産地の復興を図るため関係機関(市、普及センター、JA)が連携して支援することとした。● 平成21年3~4月 是里地区の全農家に対して、アンケート調査を実施。アンケート結果を取りまとめ、農家へ説明。● アンケート調査の説明会後、是里地区の農業者に対象にして、ワークショップを開催し、地域の現状の課題や問題点を考え、今後行うべき方策を検討。● 平成22年、是里地区のぶどう産地の振興を図るため、担い手育成支援組織「是里地区ふるさと振興の会」を設立。支援組織の設立に当たっては、吉井ぶどう生産出荷組合長、区長や農業委員を構成員とし、吉井ぶどう生産出荷組合長を組織の会長とした。● 振興の会の主な活動は、園地台帳の整備(地図情報として整理)、県の新規就農者研修制度による新規就農者の受け入れ、各種補助制度を活用した支援、栽培技術指導等。

【② 赤磐市の人・農地プランの取組】● プラン作成の推進は、赤磐市を中心に、JA、普及センターが役割分担を決め推進。

赤磐市(制度の周知、アンケートのとりまとめ、原案の作成支援)、JA(農地集積協力金の説明)、普及センター(新規就農者・大型農家・集落営農組織の育成、新品目・新品種の導入支援)● 普及センターでは、地区の課題が明確となった時点で、課題ごとに専門の担当者が対応。● 普及センターでは、地区の課題が明確となった時点で、課題ごとに専門の担当者が対応。● 市内7地区でプランを検討。是里地区については、原案を市で作成、振興の会の役員で検討、振興の会が主体となり農家に原案を説明。

(4)取組の成果

● 平成24年12月末時点で、9地区でプランの話し合い等に取り組み。(H25.3作成予定。)

● 地域の農業者は、自己の後継者に関しては個々に検討し、地域の担い手育成には関心が低かったが、ワークショップや先進地調査等により、新規参入者等の必要性が地域の農業者に理解され、現在、市外から2名の新規就農者の研修を実施。地域の農業者が園地の紹介を行うようになった。

● 新規就農者2名を地域の担い手として受け入れたことにより、ぶどう栽培面積が5.5ha→6.0haに拡大。耕作放棄地の防止にもつながった。

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勝央町の取組事例(集落の全農家の合意の場として転作の協議会を活用し、プランの作成範囲を大字単位で全町をカバーした事例)

(1)プラン作成の取組方針

● 担い手の育成は町の重要な課題。畑作地帯では、桃、ぶどうが盛んであるが、水田地帯では、離農を希望する者が多く、今後、個人では水田の維持が限界状態。高齢者が元気なうちに集落営農の設立に向けた話し合いに併せ、人・農地プランの推進を図る。

● プランの範囲は、空白地域を無くすため、大字単位(5地区)で作成。全町域をカバー。

笠岡市

倉敷市

早島町

玉野市

岡山市

総社市

高梁市

瀬戸内市

備前市

和気町

美作市

美咲町

津山市

勝央町

西粟倉村

奈義町

新圧村

新見市

井原市

鏡野町

真庭市

矢掛町

吉備中央町

浅口市

里庄町

久米南町

赤磐市

【勝央町の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・・ 1,124戸基幹的農業従事者数・・ 947人認定農業者数・・・・・・・・ 88経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 4組織うち法人数・・・・・・・・・・ 0法人農業集落数・・・・・・・・・・・ 55集落耕地面積・・・・・・・・・・・・・ 1,260 haうち水田面積・・・・・・・・ 979 haうち畑面積・・・・・・・・・・ 281 ha主な農作物・・・・・・・・・・・ 水稲、大豆等10ha以上の農家数・・・・ 3経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● プランの話を農家にしたところ、プラン作成に関心が高い集落は1割程度。関心が高い集落だけを対象にプランを作成すると、空白地域が残る。

● プランの範囲を広くすると、空白地域を減らすことが出来るが、一度に何百人も集まって話し合うことが出来ない。また、農家に呼びかけても一部の人の参加しかないため、地域全体の合意形成が図れない。

● 地域全体の合意形成を図るためには、各集落毎の説明が必要となるが、町のマンパワーが不足し十分に行えない状況。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

● プランの話だけでは人は集まらない。そこで、勝央町のほとんどの農家が転作の協議会に入っており、2月の転作の話し合いの集まりを利用し、人・農地プランの説明を実施。その時に転作の営農計画書を提出している農家1,686戸に対してアンケートを実施。

● アンケートの回収率を上げるため、回収は転作の協議会の代表が中心となって実施。

● 町でアンケートを集計。アンケート結果や町の認定農業者の情報、JAの担い手リスト等を基に、町でプラン事務局案(地図含む)を作成。JAとは事務局案(地図の色塗り)づくりから一緒に取り組んでいる。(JAでは平成20年度にアンケートを実施し、担い手リストを作成)

● 事務局案は、認定農業者及び集落営農組織を中心経営体に位置付け。

● プランの範囲を大字(5地区)としているが、大字では話し合いをする範囲としては広いため、まず、37の転作の協議会(1協議会当たり10戸~70戸)に下ろし、協議会の代表が中心となって大字単位の事務局案を基に、誰を地域の中心経営体にするか等について、話し合いを行った。各協議会での話し合いの結果を踏まえ、町で原案を作成し、検討会に諮った。

● 大字単位のプランであれば、各農家は、中心経営体に位置付けた認定農業者がどのような者なのかは分かっている。● 大字単位のプランであれば、各農家は、中心経営体に位置付けた認定農業者がどのような者なのかは分かっている。

● 地域での話し合いには、協議会から要望があれば町から出向き説明を実施。

● 地図は、転作の関係で使用している地図(税務関係の地図)を使用。転作の関係で農家が見慣れているため、地域での話し合いもスムーズに行われた。

(4)取組の成果(今後の取組)

● プランの範囲を広くすると、地域の合意形成が難しくなるが、勝央町では37の転作協議会に下ろしたことにより、勝央町のほとんどの農家が参加しプランの話し合いが行われ、全町を範囲としたプランを作成した。また、将来の地域農業の課題を共有出来た。

● 水田農業を担っているのは、ほとんどが兼業農家。若い人は機械作業は行うが、手作業を嫌う。若い人が取り組めるような集落営農を目指し、プラン作成を契機に今後の担い手育成の布石として、集落営農の推進を図る。

● 集落営農の推進は、今後、普及センターの力を借り、プラン作成を契機に集落座談会を開催。

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綾川町の取組事例(圃場整備を契機とした地域の話し合いの場を活かし、プラン作成に取り組んでいる事例)

(1)プラン作成の取組方針

● プランの範囲は、集落毎に営農条件や状況が違うため集落毎に作成。

● 緊急性の高い新規就農者がいる集落、基盤整備を実施した集落からプランを策定。

● 2年間で30地区を策定予定。

● 優良農地の有効活用が一層進められるよう地域農業再生協議会を軸に関係機関が連携し、中心経営体へ円滑な農地集積を図る。

土庄町

直島町

坂出市

多度津町

善通寺市

観音寺市

三豊市 まんのう町

琴平町

宇多津町

丸亀市

東かがわ市

さぬき市

綾川町

高松市

小豆島町

三木町

【綾川町の農業概要】

農家数・・・・・・・・・・・・・・ 2,147戸基幹的農業従事者数・・1,397人認定農業者数・・・・・・・・ 74経営体集落営農数・・・・・・・・・・ 12組織うち法人数・・・・・・・・・ 2法人農業集落数・・・・・・・・・・ 229集落耕地面積・・・・・・・・・・・・ 2,150 haうち水田面積・・・・・・・ 2,010 haうち畑面積・・・・・・・・・ 143 ha主な農作物・・・・・・・・・・ 水稲、養鶏等10ha以上の農家数・・・・ 6経営体

(2)プラン作成に当たっての課題

● 人・農地プランの推進は、町と普及センターが中心となり取り組んでいるが、全集落で作成するためにはマンパワーが不足。

● 南部は山林が広がり、北部は小山に囲まれた起伏の多い丘陵地帯。基盤整備率は4割と低く、土地利用型農業の経営が難しい。

● 農家の平均経営規模は60aと小規模、イチゴ、アスパラガスなどの施設野菜中心の農家が多く、農地集積が進みにくい地域。

● 施設園芸農家や新規就農者だけでは、町の農地の大半を担うことは困難であることから、集落営農の推進が必要。

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(3)課題解決に向けた取組(工夫した点)

【①県営圃場整備事業を契機に農家が主体となりプランを検討】● 平成21年度に採択された県営圃場整備事業により、町内約80haの水田の大区画化を進めている(H27年度まで) 。

● 町、農業再生協議会、普及組織、農協、土地改良区など関係機関が連携・支援。

● 国の規模拡大加算と町の単独事業(受け手支援15千円/10a)を組み合わせ、中心経営体へ農地集積を推進。

● 羽床上東地区(57ha、179戸)においては、県営圃場整備事業を契機に地域の農業者が10年後の地区の農業を真剣に考え、農事組合法人(集落営農法人)をH24年10月に設立(構成員7名)。法人に対して農地集積を積極的に進めた。

● 法人と認定農業者2名を地区の中心経営体に位置付け、プランを検討。(現状20ha→目標37ha 中心経営体集積率 現状35%→目標65%、農地提供予定者80名)

● 町等関係機関が作成したプラン原案を、本地区の工事総務委員会(基盤整備推進協議会の役員会であり、地域の世話人(農家)で構成)に提示し、同委員会が主体となり地域において話し合いを行い、同委員会から町へプランを提出。

【②新規就農者への対応】● 青年就農給付金の町内の対象者は3人、親が高齢であり本人が経営主となる予定だが、経営規模が小さい。土地条件から土地利用型作物だけでは経営が成り立たない。このため、施設園芸を含めて、早期に経営が確立できるように、町は施設整備や農地集積等の支援を行うこととしている。

(4)取組の成果

● 平成24年12月末時点で、8地区でプランの話し合い等に取組、8地区で作成。

● 県営圃場整備事業を契機とした話し合いの場を活かすことにより、農家が主体となった話し合いが行われ、中身の濃いプランが検討された。

● 県営圃場整備事業を契機に、新たな担い手として集落営農組織を設立した。近隣に優良事例が出来たことから、今後、担い手のいない集落においても積極的に組織化の働きかけが可能となった。

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