政府の利用価値 医療における公と私の役割を題材として...3 keio university y...
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1 Keio University Y Kenjoh
政府の利用価値医療における公と私の役割を題材として
• 社会保障が大きい小さい、それは大きな政府なのか小さな政府なのかの違いに相当するのであるが、大きな政府と小さな政府の国では、それぞれ住み心地にはどのような違いがあるのだろうか?
第4回 サービス保障(医療・介護・福祉)分科会
権丈委員提出資料
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社会保障と国民生活
権丈(2004), p.139.
3 Keio University Y Kenjoh
福祉国家の3類型
権丈(2004), p.119.
一国のある時代に存在する福祉ニーズをWとして、家族、市場、政府が生産する福祉サービスをそれぞれ、WF、 WM、 WGとする。この図は、W= WF+WM+WGとして描いている。
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家族依存型福祉国家の悩み
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医療費のGDP比2004年
6.88.7 8.1
6.6 6.6 6.9 6.87.7
3.0
2.32.5
2.1 1.4 1.2
8.4
1.4
-1
1
3
5
7
9
11
13
15
17
カナ
ダ
フラ
ンス
ドイ
ツ
イタ
リア
日本
イギ
リス
アメ
リカ
スウ
ェー
デン
私的医療費
公的医療費
9.8
1110.6
8.7
8.08.1
15.2
9.1
%
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日米医療費のGDPに占める割合2004年
6.6 6.8
1.4
8.4
0
2
4
6
8
10
12
14
16
日本 アメリカ
%私的医療費
公的医療費
8.0
15.2
OECD Health Data 2007
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所得と医療サービス支出の日米比較
鈴木玲子(2004)「医療分野の規制緩和――混合診療解禁による市場拡大効果」
八代尚宏/日本経済研究センター編『新市場創造への総合戦略(規制改革で経済活性化を)』
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事実は価値判断とは独立に存在し得ない
• 「家計と所得の医療サービス支出の関係をみると、わが国では所得と支出額はほぼ無相関であり、低所得者世帯も高所得者世帯も医療サービス支出額はほぼ同じである。このことから、高所得者の医療ニーズが満たされていない可能性が大きい。一方、アメリカでは所得と医療サービスの相関は高い。所得に応じて国民は多様な医療サービスを購入していることを示唆する」〔八代尚宏編/鈴木玲子(2004), p.286〕。
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事実は価値判断とは独立に存在し得ない
• 「このことから、皆保険下の日本では医療の平等消費が実現されているのに、国民全般を対象とした医療保障制度をもたないアメリカでは、医療が階層消費化している」〔権丈(2006), p.102〕
• いずれのほうが、自分の価値観に合う事実の読み取りであるのかを、読者は各自で考えてほしい。「事実」は価値判断とは独立に存在し得ない側面をもつことも、理解してもらえればと思う〔権丈(2006), p.102〕。
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「平等消費実現手段」としての政府の利用価値平等消費型医療制度と階層消費型医療制度
権丈(2006), p.103
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不足しているのは医療だけではないたとえば、公的教育支出のGDP比(OECD諸国 2003年 %)
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29
公的教育支出のGDPに占める割合
(%
)
資料)OECD(2006), Education at a Glance.注)OECD30ヶ国中、欠損値Luxembourgを除く。
小さすぎる福祉国家(「東洋経済」のネーミング)
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「社会保障国民会議における検討に資するために行う公的年金制度に関する定量的なシミュレーションについて」第4回社会保障国民会議配付資料より
• 2002年• 欧米の内科4学会が共同で作成し、ランセットとアーカイブス・オブ・インターナショナル・メディシンを通じて公表したもの
• ヒポクラテスの誓いの新ミレニアム版と称されていて、そこには3つの根本原則というのが冒頭に示されている
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新ミレニアムにおける医師憲章ヒポクラテスの誓いの新ミレニアム版
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新ミレニアムにおける医師憲章ヒポクラテスの誓いの新ミレニアム版
• 三つの根本原則– 患者の利益追求
• 医師は患者の利益を守ることを何よりも優先し、市場・社会・管理者からの圧力に屈してはならない
– 患者の自律性• 医師は、患者の自己決定権を尊重し、「インフォームド・ディシジョン」が下せるように、患者をエンパワーしなければならない
– 社会正義• 医師には、医療における不平等や差別を排除するために積極的に活動する社会的責任がある
参考文献
• 八代尚宏/日本経済研究センター編(2004)『新市
場創造への総合戦略(規制改革で経済活性化を)』
• 権丈善一(2004)『年金改革と積極的社会保障政策――再分配政策の政治経済学Ⅱ』
• 権丈善一(2006)『医療年金問題の考え方――再分
配政策の政治経済学Ⅲ』
• 権丈善一(2007)『医療政策は選挙で変える――再
分配政策の政治経済学Ⅳ』
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