日本経済の長期的成長を約束する 効率的な財政支出・投資の...

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12 th 13 th Dec. 2009 1 ISFJ2009 政策フォーラム発表論文 日本経済の長期的成長を約束する 効率的な財政支出・投資の検討 慶應義塾大学 吉野直行研究会 財政分科会 大瀧 拓馬 野々村 細島 敏矢 2009年12月 本稿は、2009年12月12日、13日に開催される、ISFJ日本政策学生会議「政策フォーラム2009」のために作成したものである。 本稿の作成にあたっては、吉野直行教授(慶應義塾大学)をはじめ、多くの方々から有益且つ熱心なコメントを頂戴した。ここに記して感謝の 意を表したい。しかしながら、本稿にあり得る誤り、主張の一切の責任はいうまでもなく筆者たち個人に帰するものである。

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

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ISFJ2009 政策フォーラム発表論文

日本経済の長期的成長を約束する

効率的な財政支出・投資の検討1

慶應義塾大学 吉野直行研究会 財政分科会

大瀧 拓馬

野々村 浩

細島 敏矢

2009年12月

1本稿は、2009年12月12日、13日に開催される、ISFJ日本政策学生会議「政策フォーラム2009」のために作成したものである。

本稿の作成にあたっては、吉野直行教授(慶應義塾大学)をはじめ、多くの方々から有益且つ熱心なコメントを頂戴した。ここに記して感謝の

意を表したい。しかしながら、本稿にあり得る誤り、主張の一切の責任はいうまでもなく筆者たち個人に帰するものである。

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

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要約

【現状分析・問題意識】

我が国では景気対策を公共事業によってコントロールしてきた。好況時には公共事業を減らすことで景気の過

熱の抑制し、不況時に増やすことで景気の刺激をしてきた。つまり、ケインズ経済に従った経済政策がとられて

きており、その効果は戦後にわたって有効であると考えられてきた。しかし、90 年代に入るとその有効性は疑

問視され、やがて公共事業は景気対策としての意味合いを失い、予算は縮小されていった。そこで、新たに政府

が政府支出として強化したのが社会保障である。その理由としては、①高齢化社会に対応する、②高齢者層の待

遇を厚くすることで自民党の支持を獲得する、の2点が挙げられる。しかし社会保障の増加は直接需要の増加に

はつながらず、必ずしも効率的な政府支出が行われているとは考えることは出来ない。現在日本は昨今の金融危

機を発端とした景気低迷期にある。また、人口減尐と相まって以後の GDP の成長は非常に難しい状況にあると

いわれている。

【計量分析・政策提言】

今回私たちは日本経済が長期的な成長を果たすために不可欠な供給側からの政策提言、ADAS 分析を用いて行

った。総供給曲線の要素として、①労働需要、②民間資本、③社会資本の3点が挙げられる。今日の日本は、①

人口減尐による労働需要の低下、②不況による企業の設備投資の抑制、③公共事業の効率性の低下及び予算の削

減、とすべての要素において問題を抱えている。そこで私たちは、以下の2点を政策提言として提案したいと思

う。①年金支給開始時期を 60 歳から 65 歳へ。②定年後の労働マーケットの創出。

(政策提言の際、現在の政府支出の内訳を調べる必要あり)

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

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目次

はじめに (P.5)

第1章 AD 曲線の分析 (P.6 ~ 32)

第 1 節(1.1)公共投資の景気対策としての性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.6

第 2 節(1.2)民間企業投資・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.12

第 3 節(1.3)消費関数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.22

第 4 節(1.4)LM 曲線の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.24

第 5 節(1.5)AD 曲線の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.27

第2章 AS 曲線の分析 (P.33 ~ 44)

第 1 節(2.1)生産関数の推定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.33

第 2 節(2.2)生産関数の弾力性の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.40

第 3 節(2.3)AS 曲線のシフトの分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.43

第 4 節(2.4)現在の AD-AS 曲線の交点について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.44

第3章 政策提言 (P.45 ~ 48)

先行論文・参考文献・データ出典 (P.49)

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はじめに

【テーマの選出理由】

昨今日本では社会保障費、景気浮揚策などの多額の財政支出・投資を賄うために多額の国債を発行している。

それにも関わらず、現在実施されている政策は、日本経済に対して大きな好影響は与えてきれていないように感

じられる。例えば先に挙げた社会保障はどうであろうか。確かにこれからさらに進行することが考えられる高齢

化社会において、社会保障の確保は免れないだろう。しかし財政がひっ迫している現状で景気回復に必ずしも直

結しない社会保障の徹底は、これからの日本経済の足かせとなることは必至である。また、昨今のサブプライム

ローンを発端とした世界的な金融危機により被った日本経済の傷跡は非常に深く、本質的な回復に至るまでの道

のりは険しいものがある。そこで今回、戦後の景気対策として行われた公共事業そして同じく日本経済を支えて

きた民間投資を実証分析することにより、現在の日本に必要な経済対策と提言することをテーマにした。

【研究の特徴・分析手法】

今回の研究の特徴は、日本経済のトレンド、そして欠陥を政府投資と民間投資の側から分析している点にある。

戦後それぞれの時代の両側の投資行動を分析することで、現在の日本経済が抱える問題が露わとなった。実証分

析では計量分析を駆使し、戦後から現在に至るまでの ADAS 曲線を作成することで日本経済の構造変化を、時

系列的に分析した。その際、その構造が変化した理由を政策の変化や企業の投資行動などの時代背景と関連させ

ることで、数字だけでなく実際的な面からも分析を行うよう気を配った。

【政策提言】

我々が掲げる政策提言の主要なポイントは次の2つである。

① 年金支給開始時期を 60 歳から 65 歳へ移行すること。

② 定年を延ばし、60~65 歳の人々の労働マーケットを創出すること。

第1に、①を実施することで財政支出を大幅に削減することが可能となり、それによる国債発行量の削減や他

の部門への投資などが可能となる。第2に、②を実施することで、多くの経験を積んだ労働者が市場に出ること

になり、労働者の量的な向上と質的な向上という2つの側面が期待できる。そして、なぜ我々がこの2つの政策

提言をするに至ったのかについて、ぜひ本論文の実証的な分析を行ったパートをご覧いただきたい。

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第1章 AD 曲線の分析

第1節 公共投資の景気対策としての性格

この部では政府の投資関数、つまり公共事業関数を求めることで、政府が戦後いかに公共事業により景気をコ

ントロールしてきたのか、また時代ごとに公共事業がいかにその役割を変化させてきたのかを検証する。

公共事業不要論が叫ばれて久しい。近年日本においては経済の成熟化によって公共事業の経済に占める割合が

低下し、このことで直接的な経済波及効果が低下しており、景気対策としての効力は低下しているとの研究がみ

られるが、1998 年から 2000 年にかけて行われた景気対策としての公共事業費の増加は直接的な経済浮揚効果を

もたらしているという評価もある。そこで GDPに占める公共事業の割合をみると、高度経済成長期は緩やかにそ

の割合を増やし 10%台に乗せていたが、1980 年代に入ってからは緩やかに低下し続け、バブル崩壊後には再び

景気対策としての事業が進み、再びその比率は上昇に転じた(図1~3参照)。しかし、図3に着目すると 96

年を境に上昇傾向にあった公共事業の割合が減尐に転じていることがわかる。これは、91 年~93 年に首相であ

った故宮澤喜一氏がケインジアン的思想に基づき行った積極的財政政策(公共事業の増加)の非有効性が露わと

なった結果と考えられる。このパートではこれらの事実を鑑み、96 年までの公共事業の景気対策としての性格、

そしてそれ以降の公共事業の失墜を計量分析により実証分析していく。

まず、公共事業の定義を確認する。

公共事業とは、国または地方公共団体が行う社会資本の建設および維持の事業をいう。類語としての公共投資

は資本的支出だけをさすのに対して、公共事業はその調査・計画および運営なども含むより広い概念である。(行

政投資=公的固定資本形成+土地代)今回公共事業を表す指標として、①公的住宅②公的企業設備③公的:一般

政府④公的在庫品増加の4つを足し合わせたものを「公的総資本形成」として使いたいと思う。

ここで戦後における公共事業の対 GDP比をグラフで確認する。

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この公的総資本形成の実質 GDP比を 1955年から 2009年までのタイムトレンドを示したものが以下の図1~3

である。対 GDP比にした理由として、戦後日本が経済成長をしてきたことを鑑み、その期間における公共事業の

総体的なシェアを確認する目的がある。

(図1)期間①における公的総資本形成対 GDP 比。高度経済成長期通して総じて上昇傾向にある。

(図2)期間②における公的総資本形成対 GDP 比。80 年代通して下降傾向にある。

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

195…

195…

195…

195…

195…

196…

196…

196…

196…

196…

196…

196…

196…

196…

196…

197…

197…

197…

197…

197…

197…

197…

197…

197…

197…

公的総資本形成対GDP比

公的合計対GDP比

期間1(1955年~

1979年)高度経済成長期、公共事業

の割合は上昇傾向。

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

1980/

1-

3.

7-

9.

1981/

1-

3.

7-

9.

1982/

1-

3.

7-

9.

1983/

1-

3.

7-

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1984/

1-

3.

7-

9.

1985/

1-

3.

7-

9.

1986/

1-

3.

7-

9.

1987/

1-

3.

7-

9.

1988/

1-

3.

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9.

1989/

1-

3.

7-

9.

1990/

1-

3.

7-

9.

公的総資本形成

対GDP比

公的合計対GDP比

期間2(1980年~

1990年)

80年代通して公共事業は下降。

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(図3)期間③における公的総資本形成対 GDP 比。96 年を境に上昇トレンドは以後下降トレンドに転じた。

これら3つの期間から次のような特徴が見て取れる。

・期間① → 25 年間通して上昇傾向。

・期間② → 80 年代通して下降傾向。

・期間③ → 96 年ごろまで上昇しているが、それ以降は総じて下降傾向にある。

これには以下の理由が考えられる。

期間①の高度経済成長期において、政府主導での日本経済成長を先導していたため公共事業が増加していった

と考えられる。

期間②における下降トレンドには2つの理由が考えられる。1点目は 80 年代前半における国の債務整理とし

て公共事業を減額したことが挙げられる。2点目は 80 年代後半のバブル景気による好況から公共事業が減らさ

れたことが考えられる。

期間③におけるアップダウンは先に述べた政府の公共事業の景気対策としての役割の方向転換があったため

と考えられる。

そこで今回公共事業が景気対策としての性格を調べるためにいかのモデルを仮定した。

𝐈𝐆𝐘

= 𝐚𝟎 + 𝐚𝟏𝐈𝐆(−𝟏)

𝐘(−𝟏)+ 𝐚𝟐

𝐘(−𝟏) − 𝐘(−𝟐) 𝐘(−𝟐)

IG …公的総資本形成 Y…実質 GDP

このモデルにおいて、公共事業が景気対策として用いられているのであれば、a2の係数はマイナスになる。逆

にこの係数がマイナスにならない、もしくは有意にならない時に景気対策としての性格を失ったと考えられる。

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

1991/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

1994/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

1997/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2000/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2003/

1-

3.

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2.

7-

9.

4-

6.

2006/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

公的総資本形成対GDP比

公的合計対GDP比

期間3(1991年~

2008年)

96年まで公共事業は増加。

96年以降、公共事業は減

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それでは期間①からその推定結果を示していきたいと思う。

■期間①(1955 年~1979 年)四半期データ

従属変数:公的総資本形成対 GDP比

説明変数 係数 T値 P値

定数項 0.005 2.146 0.034

GI(-1)/Y (-1) 0.951 32.302 0

(Y (-1)-Y(-2))/Y(-2) -0.067 -2.049 0.043

R 0.96

調整済み R2乗 0.919

DW 2.154

(結果)(Y (-1)-Y(-2))/Y(-2)の係数はマイナスで有意となった。決定係数、DW値も限りなく2に近い値となったこ

とから自己相関もほぼないものと考えられる。

(考察)仮説通り係数がマイナスになったことから期間1において公共事業は不況期の景気刺激と景気過熱時の

抑制としての役割を果てしていたと考えられる。

■期間②(1980 年~1990 年)四半期データ

従属変数:公的総資本形成対 GDP比

説明変数 係数 T値 P値

定数項 0.005 1.692 0.099

GI(-1)/Y(-1) 0.934 23.174 0

(Y(-1)-Y(-2))/Y(-2) -0.111 -2.045 0.048

R 0.969

調整済み R2乗 0.936

DW 2.045

(結果)GDP成長率は負で有意となり、仮説の沿う結果となった。決定係数、ダービンワトソン値に関しても申し

分ない値である。 (考察)GDP成長率の結果から、不況期の景気刺激と景気過熱時の抑制としての役割を果てしていたと考えられる。

期間③に関しては 96 年ごろから構造変化が見られるため、期間①②のモデルでは対応できないと考えられる。

以下の図4は公的総資形成対 GDP 比に加え、社会保障費の対 GDP 比を加えた図である。

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(図4)社会保障費と公的総資本形成の対 GDP 比

上図より公的総資本形成が減尐している一方、社会保障費が増加していることがわかる。

これには以下の2点が原因と考えられる。

① 高齢化社会に対応するため。

② 高齢者層を自民党の支持層に取り込むため。

したがって期間③の推定式に社会保障費の GDP 比を説明変数として新たに加え、GDP 成長率のダミーを加えるこ

とにした。GDP 成長率ダミーが有意となった場合、公共事業の景気対策としての性格を失った可能性を示唆する。

また、社会保障が正に有意となれば、社会保障の上方トレンドを確認することが可能となる。期間3に関して、季節

調整データが得られなかったため季節ダミーを加え、GDP 成長率を前年同期比に変更した。

そこで今回ダミー変数を用いて以下のモデルを想定した。

𝐈𝐆𝐘

= 𝐚𝟎 + 𝐚𝟏𝐈𝐆(−𝟏)

𝐘(−𝟏)+ 𝐚𝟐

𝐘(−𝟏) − 𝐘(−𝟓) 𝐘(−𝟓) + 𝐚𝟑

𝐘 −𝟏 − 𝐘(−𝟓)𝐘(−𝟓) × 𝐃 + 𝐚𝟒

𝐒𝐒

𝐆𝐃𝐏+ 𝐚𝟓𝐃𝟏 + 𝐚𝟔𝐃𝟐

+ 𝐚𝟕𝐃𝟑

SS…社会保障費

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.41991/

1-

3.

7-

9.

1992/

1-

3.

7-

9.

1993/

1-

3.

7-

9.

1994/

1-

3.

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9.

1995/

1-

3.

7-

9.

1996/

1-

3.

7-

9.

1997/

1-

3.

7-

9.

1998/

1-

3.

7-

9.

1999/

1-

3.

7-

9.

2000/

1-

3.

7-

9.

2001/

1-

3.

7-

9.

2002/

1-

3.

7-

9.

2003/

1-

3.

7-

9.

2004/

1-

3.

7-

9.

2005/

1-

3.

7-

9.

2006/

1-

3.

7-

9.

2007/

1-

3.

7-

9.

2008/

1-

3.

社会保障対GDP比

公的総資本形成対GDP比

社会保障費は期間通じて上昇

公共事業は96年を境に下降傾

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10

■期間③(1991 年~)四半期データ

従属変数:公的総資本形成対 GDP比

説明変数 係数 T値 P値

定数項 0.01 1.159 0.252

GI(-1) 7.50E-06 13.702 0

(Y (-1)-Y(-5))/Y(-5) -0.123 -2.791 0.011

GDP成長率ダミー 0.181 2.07 0.043

社会保障費対 GDP比 -0.045 -2.643 0.007

第2四半期 -0.011 -5.817 0

第3四半期 0.011 3.531 0.01

第4四半期 0.018 7.1 0

R 0.967

調整済み R2乗 0.928

DW 2.03

(結果)定数以外全て有意となった。

(考察)GDP成長率の構造変化がここでも示された他、社会保障費対GDP比もマイナスで有意となったことから

公的総資本形成の対GDP比と逆に相関があることがわかる。このことは公共事業から社会保障へと予算が

シフトしたことを意味することでもある。

これから期間①~期間③の結果から次のことが言える。

① 1996年ころまで公共事業は景気対策として行われていた。

② 97年以降公共事業の代わりに社会保障費に予算が充てられるようになった。

したがって、96年ごろを境に公共事業は予算を失い景気対策としての性格を失っていったことがわかる。加え

て、P.40の表から、社会資本の限界生産性が非常に低くなっている(詳しくは、第 2章・第 2節で言及する)こ

とから、政府としても社会資本が飽和状態に達しているとの認識があったと推測される。

次に、民間投資を以上の3つの期間に分けて推定する。

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第2節 民間投資

私たちは長期的な景気の回復につながる政策を考案するため、日本の景気の循環を長期で捉え、その傾向をも

とに現状を分析しようと考えた。以下、民間企業の設備投資に関する分析である。ちなみに今回は民間企業設備

投資のみをさしており、民間住宅投資、民間在庫増減は含まないものである。

公的資本形成のパートと同じく、日本の景気循環を

「第一期(1955年~1979年)」

「第二期(1980年~1990年)」

「第三期(1991年~2008年)」

とわけ、それぞれの期に対して計量分析を用いた考察を行う。

「第一期(1955年~1979年)について」

~データの定義について~

☆内閣府平成 10年度国民経済計算(平成2年基準・68SNA)実質・四半期(季調)を使用

☆ 利子率は日経 NEEDS より公定歩合を引用し名目利子率の値として使用、

フィッシャー方程式 を用い実質化した値を使用。

また、フィッシャー方程式の前提として

①期待インフレ率の指標として国内企業物価指数総平均(日経 NEEDS より引用)の値を として とした。

②完全予見を仮定し、生産者の期待インフレ率と実際のインフレ率は一致するものとした。( )

☆民間資本ストックのデータは日経 NEEDS より引用

r i e

P

eP

te t

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0.0

5,000.0

10,000.0

15,000.0

20,000.0

25,000.0

30,000.0

35,000.0

40,000.0

1955/

4-…

7-

9.

10-1

2.

1959/

1-…

1960/

4-…

7-

9.

10-1

2.

1964/

1-…

1965/

4-…

7-

9.

10-1

2.

1969/

1-…

1970/

4-…

7-

9.

10-1

2.

1974/

1-…

1975/

4-…

7-

9.

10-1

2.

1979/

1-…

r(公

定歩

合)

I(民

間企

業設

備投資

:)

第一期の民間企業設備投資と実質利子率

民間企業設備投資

実質利子率

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第一期に関して私たちは

■一期前の国内総生産の大きさは民間投資に波及すると考え、説明変数として採択

■ケインズの限界効率投資理論に基づき、公定歩合を元に算出した実質金利を説明変数として採用

■資本ストック理論に基づいた投資が行われていたと考え、一期前の資本ストックを説明変数として採用

以上3点を踏まえ

Ip = a0 + a1Y(−1) + a2r + a3K(−1) という推定式を立てた。

Ip…国内民間総資本形成、Y(-1)…実質 GDP 四半期データ

r…基準貸付利率(公定歩合)、K…民間企業資本ストック

【推定結果は以下の様になった。】

従属変数

第一期の民間企業設備投資

R R-square 調整済み R2

0.993 0.986 0.986

モデル 係数 T 値 有意確率

定数項 -15302.401 -15.401 .000

GDP(-1)(10億円) 1.232 31.297 .000

r(公定歩合:%) 609.051 5.556 .000

K(-1)(10億円) −0.118 -16.967 .000

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

70000

80000

1955/

4-

6.

1956/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

1958/

4-

6.

1959/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

1961/

4-

6.

1962/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

1964/

4-

6.

1965/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

1967/

4-

6.

1968/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

1970/

4-

6.

1971/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

1973/

4-

6.

1974/

1-

3.

10-1

2.

国内

総生

産(Y

):1

0億

第一期の国内総生産(68SNA)の推移

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

13

【分析結果を受けて】

■ 一期前の資本ストックの係数が負である事から、

資本ストック理論 に当てはまっており、一期前の資本ストック量が増えれば増える

程調整のために、次期の民間企業設備投資量は減尐するという事が実証分析でも観測された。

それに加えて、一期前の GDPの係数は正であり、一期前の国内総生産が増えれば民間企業設備投資の額は増加

する事も観測された。

■ rの係数が正の値をとっている事について

ケインズの限界投資効率理論では は rの減尐関数であるはずである。しかし、この推計結果で rの係数は正

の値をとっている。

だからといってこの推計が誤っている訳ではなく、この時期日本は高度経済成長期を迎えており、民間企業に

とって将来の需要に対する期待が大きかった。そのため企業にとって利子率が上昇しても、 の局面で

あり、限界資本効率が資本のレンタルコストより大きかったという解釈をする事ができることから、この推計結

果が誤っていないという事がいえる。

~第一期の投資の傾向は以下の図に表される~

上図で示した通り、第一期前半から中盤にかけて政府は公定歩合を下げ続け、それに伴って民間企業も着実に

投資の量を増やしている。そして、第一期の後半にはある程度の経済成長を実現したと政府が判断し、公定歩合

を引き上げたのだが、将来への期待が大きく、民間企業の設備投資熱がおさまらず利子率が上昇するにもかかわ

らず設備投資を増やしたという事が伺える。

Ip t*(Kp t

* Kp(t1))

Ip

Y

K r

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14

「第二期(1980〜1990年)について」 〜データの定義について〜

☆平成 19 年度国民経済計算(平成 12 年基準・93SNA)昭和55年までの遡及結果を含む<連鎖方式>実質デー

タを使用

☆ 利子率は日経 NEEDS より長期プライムレートを引用し名目利子率の値として使用、

フィッシャー方程式 を用い実質化した値を使用。

また、フィッシャー方程式の前提として

①期待インフレ率の指標として国内企業物価指数総平均(日経 NEEDS より引用)の値を として と

した。

②全予見を仮定し、生産者の期待インフレ率と実際のインフレ率は一致するものとした。( )

r i e

P

eP

te t

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0.0

5,000.0

10,000.0

15,000.0

20,000.0

25,000.0

1980/

1-

3.

7-

9.

1981/

1-

3.

7-

9.

1982/

1-

3.

7-

9.

1983/

1-

3.

7-

9.

1984/

1-

3.

7-

9.

1985/

1-

3.

7-

9.

1986/

1-

3.

7-

9.

1987/

1-

3.

7-

9.

1988/

1-

3.

7-

9.

1989/

1-

3.

7-

9.

1990/

1-

3.

7-

9.

r(実

質利

子率

:%

)

I(民

間企

業設

備投資

:1

0億

円)

第二期の民間企業設備投資と実質利子率

0.0

20,000.0

40,000.0

60,000.0

80,000.0

100,000.0

120,000.0

140,000.0

1980/

1-

3.

7-

9.

1981/

1-

3.

7-

9.

1982/

1-

3.

7-

9.

1983/

1-

3.

7-

9.

1984/

1-

3.

7-

9.

1985/

1-

3.

7-

9.

1986/

1-

3.

7-

9.

1987/

1-

3.

7-

9.

1988/

1-

3.

7-

9.

1989/

1-

3.

7-

9.

1990/

1-

3.

7-

9.

Y(実

質G

DP、

内需

モデ

ル:

10億

円)

第二期の内需GDP

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15

第二期にについて私たちは

■ ケインズの限界投資効率理論に基づき実質利子率を説明変数として採択

■ 第二期後半はバブル期であることから、利子率が本格的に上昇を始める1989年の一期以降を対象とする

バブルダミーを導入

■ 民間企業設備投資のデータが季節調整されていない事から四半期ダミーを導入

以上3点を踏まえ以下の式を立式した

Ip = a0 + a1r + D1 + D2 + D3 + Dbubble という推定式を立てた

Ip・・・民間企業設備投資

r・・・実質利子率

D1,D2,D3・・・四半期ダミー

Dbubble ・・・バブルダミー(1988年以前=0、1989年以降=1)

【推定結果は以下の様になった】

従属変数

第二期の民間企業設備投資

モデル 係数 T 値 有意確率

定数項 37010.498 18.545 .000

r(実質利子率:%) -2404.797 -9.496 .000

D1 -3732.273 -3.979 .000

D2 -2738.122 -2.994 .005

D3 -1760.285 -1.925 .062

D 10889.655 9.609 .000

【分析結果を受けて】

■ 第二期に関して rの係数は負の値になり、ケインズの限界投資効率理論通りの右下がりの曲線になっている

■ バブルダミーが有効であり、バブルは民間企業設備投資の額を増加させ、投資関数曲線を右シフトさせる

~以下の図の様になる~

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

16

第一期の様な極度な成長状況下では成立しなかったケインズの限界投資理論だが、第二期のような安定的な成

長をとげる状況下では成立し上図のような右下がりの曲線を描いている。そしてやはりダミー変数が有意であ

り、大きく正の値をとっている事からバブル期というのは加熱状態であった事が伺える。

しかし国内総生産のタイムトレンドを見てわかる様に、バブル期を除いて今回私たちが扱った3つの期間のう

ち最も安定的な成長を遂げている期間であり、この期間にケインズの限界投資効率理論が成立し、最も基本であ

るマクロモデルの形状をとっている事から、この期間の経済状態はケインズ的な理論で説明にた易い時期であっ

たと言える。

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17

「第三期(1991〜2008年)について」 〜データの定義について〜

☆平成 19 年度国民経済計算(平成 12 年基準・93SNA)昭和55年までの遡及結果を含む<連鎖方式>実質データを使

☆ 利子率は日経 NEEDS より長期プライムレートを引用し名目利子率の値として使用、

フィッシャー方程式 を用い実質化した値を使用。

また、フィッシャー方程式の前提として

①期待インフレ率の指標として国内企業物価指数総平均(日経 NEEDS より引用)の値を として とした。

②完全予見を仮定し、生産者の期待インフレ率と実際のインフレ率は一致するものとした。( )

r i e

P

eP

te t

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

0.0

5,000.0

10,000.0

15,000.0

20,000.0

25,000.0

30,000.0

1991/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

1994/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

1997/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2000/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2003/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2006/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

r(実

質利

子率

:%

)

I(民

間企

業設

備投資

:1

0億

円)

第三期の民間企業設備投資と実質利子率

0.0

20,000.0

40,000.0

60,000.0

80,000.0

100,000.0

120,000.0

140,000.0

160,000.0

1991/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

1994/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

1997/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2000/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2003/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

4-

6.

2006/

1-

3.

10-1

2.

7-

9.

Y(内

需G

DP:

10

億円

)

第三期の内需GDP

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18

第三期について私たちは

■ 通常の投資の式を考え説明変数に実質利子率を採用

■ 第二期の推定結果から一期前の実質内需 GDP、地価価格が影響するのではないかと考え説明変数として採用

■ 資本ストック理論より一期前の資本ストック量を説明変数として採用

■ 季節調整データではない事を考慮し四半期ダミーを導入

■ 加えて民間投資を増やす目的で1999年にスタートしたゼロ金利政策のダミーを導入

この5点をふまえて

Ip・・・民間企業設備投資

r・・・実質利子率

Y(-1)・・・一期前の内需 GDP

K(-1)・・・一期前の資本ストック量

Land・・・市街地価格 六大都市市街地価格指数(平成12年3月末=100) 平均

D1,D2,D3・・・四半期ダミー

Dzero rate ・・・ゼロ金利政策ダミー(1999年以前を0、それ以降を1)

という推定式をたてた、その結果は以下の様になった

従属変数

第三期の民間企業設備投資

R R-square 調整済み R2

0.933 0.870 0.853

モデル 係数 T 値 有意確率

定数項 −41955.958 -8.266 .000

r(実質利子率:%) 594.045 1.762 .083

GDP(-1)(10億円) 0.231 3.751 .000

K(-1)(10億円) 0.24 3.933 .000

Land(2000 年=100) 49.636 3.336 .001

D1 1620.388 3.165 .002

D2 -71.166 -0.210 0.835

D3 1712.723 3566.638 .000

D zero rate -514.226 -1.019 .312

(赤字は有意にならなかった説明変数)

【分析結果を受けて】

■実質利子率とゼロ金利政策ダミーが有意になっていない。つまり第三期の民間企業設備投資の額は利子率に感応的

でないという事になった

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

19

この結果を受けて、有意でなかった説明変数を除いて再び推計を行った

従属変数

第三期の民間企業設備投資

R R-square 調整済み R2

0.928 0.862 0.848

モデル 係数 T 値 有意確率

定数項 −44276.445 -9.319 .000

GDP(-1)(10億円) 0.253 4.470 .000

K(-1)(10億円) 0.23 5.080 .000

Land(2000 年=100) 69.596 9.928 .000

D1 1406.029 2.900 .005

D2 -28.844 -0.084 0.933

D3 1749.547 4.893 .000

■説明力が若干下がったが R-square が 86.2 を保っており、四半期ダミーの一つを除いて元の説明変数が全て有意に

なっている。

⇒このことから改めて r が説明変数としての性格を失っている事がわかる

■ そこで縦軸に r、横軸に Iをとったグラフを描き分布を見ると以下の様な傾向が見られた。

(矢印は時間の流れを表す)

■局面1に関する考察

『平成不況』と呼ばれる状況下で、将来の需要に対する期待が弱く、日銀が金融政策を積極的に行い、利子率が下がっ

ても企業にとって ∂Y

∂K < 𝑟 の状態であり投資の量が減尐し続けている。つまり、バブル期に行われた投資によって増

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

20

加した資本ストックの生産可能能力に対して人々の消費需要が尐なく、増えすぎた資本ストックを調整するために投

資を行わなかったという事である。

■局面2に関する考察

利子率の下落、民間投資の減尐が落ち着いた後の投資関数に関して、実質金利が説明変数としての性格を失っている

という観測結果を受け私たちは利子率非感応的な投資関数曲線を推定した。

【図示すると以下の様になる】

投資が利子率に非感応的であるということは垂直な IS 曲線を描くということである。つまり利子率以外の要因によっ

て民間投資関数の線は垂直な状態で左右にシフトしていたということになる。そして、IS 曲線が垂直になるというこ

とは AD 曲線も垂直な線になる。

つまり AD-AS モデルは以下の様になっている

金利の変動によって投資の量が左右されないということは、金利の値を調節して Y の値を調整することが目的であ

る金融政策は無効になってしまう。このことは現在ゼロ金利政策によって景気が回復していないことが実際に物語っ

ている。

また、このような AD 曲線が垂直の局面では私たちが今回考案しようとしている総供給サイドからの景気回復が理

論上実現不可能となってしまった。

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

21

第3節 消費関数

次に消費関数を期間ごとに推定する。

まず、各期間における実質 GDP と家計最終消費支出の関係を以下の図7~9で示す。

(図9)期間1における家計最終消費支出と実質 GDP

(図8)期間2における家計最終消費支出と実質 GDP

(図9)期間3における家計最終消費支出と実質 GDP

0

50000

100000

150000

200000

0 50000 100000 150000 200000 250000 300000

消費関数期間①

消費関数期間①

期間①(1957

年~1979年)

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

0 100000 200000 300000 400000 500000

消費関数期間②

消費関数期間2

期間2(1980年

~1990年)

単位 10 億円

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

0 100000 200000 300000 400000 500000 600000

消費関数期間③

消費関数期間3

期間3(1991

年~2008年)

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

22

以上の図7~9より、実質 GDPと家計最終消費支出が正の相関を持っていると推測される。

そこでここでは理論通り、シンプルに以下のモデルを用いる。

CH = a0 + a1Y

CH…家計最終消費支出 Y…実質 GDP

■期間①(1957 年~1979 年)四半期データ

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:家計最終消費支出

説明変数 係数 t値 P値

(定数) 2967.269 7.392 0

実質 GDP 0.578 244.619 0

R 0.999

調整済み R2乗 0.998

(結果)全ての係数で有意となった。

■期間②(1980年~1990年)四半期データ

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:家計最終消費支出

説明変数 係数 t値 P値

(定数) 6736.804 13.222 0

実質 GDP 0.483 85.303 0

R 0.997

調整済み R2乗 0.994

(結果)定数を除き、全ての係数で有意となった。

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

23

■期間③(1991年~2008年)四半期データ

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:家計最終消費支出

説明変数 係数 t値 P値

(定数) 9261.688 4.301 0

実質 GDP 0.478 27.926 0

R 0.922

調整済み R2乗 0.92

(結果)全ての係数で有意となった。

第4節 LM 曲線の分析

ここでは、貨幣市場の均衡を示す LM曲線の推定を行う。

まず、期間ごとの貨幣市場の均衡点をプロットした図が以下の図4~6である。

(図4)期間1における貨幣市場の均衡点。マネーサプライの利子率の減尐関数が描けそうである。

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0 5000 10000 15000 20000

LM曲線期間①

LM曲線期間①

実質金利

実質

理論通り、LM曲

線は右下がりの

曲線が描けそう

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

24

(図5)期間2における貨幣市場の均衡点。マネーサプライの利子率の減尐関数が描けそうである。

(図6)期間3における貨幣市場の均衡。マネーサプライの利子率の減尐関数が描けそうである。

以上の図4~6から、全ての期間において理論通り右下がりの曲線が描くことが可能であると推測される。よ

って LM 曲線の推定に関しては理論通りの説明変数を用いて推定する。

そこで以下のモデルで推定する。

M

P= a0 + a1r∗ + a2Y…LM曲線

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0 10000 20000 30000 40000 50000

LM曲線期間②

LM曲線期間②

実質金利

実質M2+CD

理論通り、

LM曲線は右

下がりの曲

線が描けそ

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

0 20000 40000 60000 80000

LM曲線期間③

LM曲線期間①

実質

M2+CD

理論通り、

LM曲線は右

下がりの曲

線が描けそ

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

25

期間①~②

M…マネー M2+CD 末残高(季調値)

r…基準貸付利率(公定歩合)(四半期)

Y…実質 GDP P…国内企業物価指数

期間③

M…マネー M2+CD 末残高(季調値)

r…公社債関係 長期プライムレート 月中平均

Y…実質 GDP P…国内企業物価指数

r∗ = r −p−p(−1)

p(−1)(実質金利=名目金利―インフレ率)

■期間①(1957 年~1979 年)四半期データ

推定方法:二段階最小二乗法

物価:国内企業物価指数(平成2年基準)

従属変数:実質マネーサプライ

説明変数 係数 t値 P値

定数項 -2138.125 -4.309 0

実質利子率 -383.500 -5.990 0

実質 GDP .082 67.679 0

R 0.993

調整済み R2乗 0.985

(結果)全ての変数で有意となった。利子率が負、実質 GDP が正で有意でなったことから理論通りの結果となっ

た。

■期間②(1980 年~1990 年)四半期データ

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:実質マネーサプライ

説明変数 係数 t値 P値

(定数) -13380.099 -2.859 0.007

実質利子率 -964.655 -2.882 0.006

実質 GDP 0.521 13.018 0

R 0.945

調整済み R2乗 0.888

(結果)全ての変数で有意となった。利子率が負、実質 GDP が正で有意でなったことから理論通りの結果となっ

た。

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26

■期間③(1991 年~2008 年)四半期データ

推定方法:二段階最小二乗法 期間3においては金利の指標として長期プライムレートを用いた。 理由としては、公定歩合が 90 年代以降形骸化したことがあげられる。

従属変数:実質マネーサプライ

説明変数 係数 t値 P値

(定数) 9128.824 0.86 0.393

実質利子率 -3516.267 -8.663 0

実質 GDP 0.488 6.253 0

R 0.907

調整済み R2乗 0.817

(結果)定数を除き、全ての変数で有意となった。また、利子率が負、実質 GDP が正で有意でなったことから理

論通りの結果となった。 (考察)期間①~③を通してすべての変数において理論通りになり、決定係数も申し分

ないことからこの結果を採用する。

第5節 AD 曲線の推定

AD 曲線の作成

ここではこれまでに求めた IS 曲線、LM 曲線を用いて AD 曲線を用いて各期間毎の AD 曲線を求めていく。

最初で述べたように AD 曲線は IS 曲線(財市場の均衡)と LM 曲線(貨幣市場の均衡)の交点で定まる。

以下に期間ごとに推定した関数を示す。

今回公的総固定資本形成対実質 GDP 比の推定において、AD 曲線の傾きに外生変数が入る。具体的に,期間①・

②における公的総固定資本形成対実質 GDP 比のラグ項と GDP 成長率、期間③における公的総資本形成のラグ

項と GDP 成長率がそれに当たる。

外生変数はそれらの平均値を代入することでモデルの推定を行う。

■期間①において以下の式を元に AD 曲線を作成する。

Y = C + I + G + EX − IM …①

IG

Y= a0 + a1

IG (−1)

Y(−1)+ a2

(Y −1 −Y(−2)

Y(−2) …②

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27

IP = b0 + b1Y −1 + b2r + b3K(−1) …③

M

P= c0 + c1r∗ + c2Y …④

C = d0+d1Y …⑤

以下の推定式が上記のそれぞれのモデルに対応する推定式である。

IG

Y= 0.005 + 0.951

IG (−1)

Y(−1)− 0.067

(Y −1 −Y(−2)

Y(−2) …②

,

IP = −15302.401 + 1.232Y −1 + 609.051r − 0.118K(−1) …③,

M

P= −2138.125 − 383.500r∗ + 0.082Y …④

,

C =2967.269+0.578Y …⑤,

Y = d0 + d1Y + b0 + b1Y −1 +b2

c1

M

P− c2Y − c0 + b3K −1 + Y a0 + a1

IG

Y −1 − a2

Y −1 − Y −2

Y −2 + G + EX − IM

Y =1

1− d1−b 2×c2

c1+a0+a1

IGY −1 −a2×

(Y −1 −Y (−2)

Y −2

(d0 + b0 + b1Y −1 +b2×M

c1×

1

P−

b2×c0

c1+ b3K −1 + G + EX − IM)

期間①

期間①における外生変数の平均値

𝐌 =14,579.0226 𝐆 = 4,425.261111 𝐍𝐄𝐗 = -4,52.83

𝐊 = 𝟏𝟑,𝟖𝟔𝟑.𝟔𝟗 𝐘 =37,683.3406 𝐈𝐆 = 3,233.230051

(単位:10 億円)

𝐘 = 𝟒.𝟕𝟑(-15730.8+1.232Y(-1) -0.118K(-1)+G+EX-IM-1.58814𝐌

𝐏)

上の推定式に外生変数の平均値を代入する。

𝐘 = 𝟒.𝟕𝟑(-15730.8+1.232×37,683.3406 -0.118×𝟏𝟑,𝟖𝟔𝟑.𝟔𝟗 + 4,425.26 -4,52.83 -1.58814𝟏𝟒,𝟓𝟕𝟗.𝟎𝟐

𝐏)

𝐘 = 𝟏𝟓𝟔𝟐𝟑𝟗.𝟒𝟏 − 𝟏𝟎𝟗𝟔𝟒𝟒.𝟒𝟑𝟓𝟕 ∗𝟏

𝐏 ・・・AD 曲線

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28

(図)期間1における AD曲線

期間①における AD 曲線は右上がりの関数となり理論とは異なる結果が得られた。

理由として、期間①における民間投資関数の利子率の係数が正となったことが挙げられる。これは高度経済成長期、

企業が好景気に乗じて利子率に関係なく設備投資を増加させていったことが考えられる。

■期間②において以下の式を元に AD 曲線を作成する。

① ~④が作成したモデルである。

Y = C + I + G + EX − IM

IG

Y= a0 + a1

IG (−1)

Y(−1)+ a2

(GDP −1 −GDP (−2)

Y(−2) …①

IP = b0 + b1r + b2D1 + b3D2 + b4D3 …②

M

P= c0 + c1r∗ + c2Y …③

C = d0 + d1Y …④

①,~④

,がモデルを期間2について推定した式である。

IG

Y= 0.005 + 0.934

IG (−1)

Y(−1)− 0.111

(GDP −1 −GDP (−2)

Y(−2) …①

,

IP = 37010.498 − 2404.797r − 3732.273D1 − 2738.122D2 − 1760.285D3

(80 年~88 年)…②,

0

20

40

60

80

100

120

140

50000 70000 90000 110000 130000 150000 170000

期間①

期間①

Y:実質GDP

単位:10億円

P:

物価

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29

IP = 47900.153 − 2404.797r − 3732.273D1 − 2738.122D2 − 1760.285D3

(89 年~90 年) …②,,

M

P= −13380.099 − 964.655r∗ + 0.521Y …③

,

C = 6736.804 + 0.483Y …④,

Y =1

1 − d1 −b2 × c2

c1+ a0 + a1

IG

Y −1 − a2 ×

(Y −1 − Y(−2)Y −2

d0 + b0 −b1 × c0

c1

+ b2D1 + b3D2 + b4D3 + G + EX − IM +b1 × M

c1

×1

P

期間②における外生変数の平均値

𝐈𝐆

𝐘

= 𝟎.𝟎𝟔

𝐆𝐃𝐏 −𝟏 −𝐆𝐃𝐏 −𝟐

𝐆𝐃𝐏 −𝟐

= 𝟎.𝟎𝟏𝟕𝟐 𝐘 = 𝟖𝟖,𝟒𝟓𝟒.𝟏𝟖𝟖 𝐌 = 𝟐𝟖,𝟏𝟐𝟓.𝟓𝟏𝟗 𝐆 = 𝟐𝟏𝟎𝟓𝟎.𝟒𝟏𝐍𝐄𝐗 = 𝟏,𝟐𝟕𝟖.𝟐𝟔𝟖

(単位:10億円)

(80 年代バブル前)

𝐘 = 𝟎.𝟒𝟎𝟔 75044.999 + G + EX − IM + 2.493 ×M

P

<外生変数に平均値を代入したとき>

Y = 39533.71 + 28467.47 ∗1

P … AD 曲線

(バブル後)

𝐘 = 𝟎.𝟒𝟎𝟔 85934.654 + G + EX − IM + 2.493 ×M

P

<外生変数に平均値を代入したとき>

Y = 43988.14183 + 28487.94833 ∗1

P … AD 曲線

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30

(図)期間2の AD曲線

■ 期間③

IG

Y= 0.01 + 7.50 × 10−6IG −1 ± 0.123

(Y −1 − Y(−5)

Y −5

+0.181(Y −1 − Y(−5)

Y −5 × D − 0.045

SS

GDP− 0.011D1 + 0.011D2 + 0.018D3

公的総資本形成対 GDP 比は 96 年を境に構造変化があるため、以下の2本の推定式に分かれる。

𝟗𝟏年~𝟗𝟓年 IG

Y= 0.01 + 7.50 × 10−6IG −1 − 0.123

Y −1 − Y −5 Y −5

−0.045SS

GDP− 0.011D1 + 0.011D2 + 0.018D3

96 年~08 年 IG

Y= 0.01 + 7.50 × 10−6IG −1 − 0.123

Y −1 − Y −5 Y −5

− 0.045SS

GDP

−0.011D1 + 0.011D2 + 0.018D3

IP = −44276.445 + 0.253Y −1 + 0.23K −1 + 69.596Land

+1406.029D1 + −28.844D2 + 1749.547D3

0

20

40

60

80

100

120

140

30000 40000 50000 60000 70000 80000

バブル前

バブル後

実質GDP(10

億円)

P

:物価

期間2におけるAD曲線

AD曲線の右方向へのシフト

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31

M

P= −3516.267r∗ + 0.488Y

C = 9261.688 + 0.478Y

Y =1

1 − d1 + a0 + a1IG −1 + a2Y −1 − Y −5

Y −5 + a3

SSY

+ a4D1 + a5D2 + a6D3 (d0 + b0 + b1Y −1 + b2K −1

+b3Land + b4D1 + b5D2 + b6D3 + G + EX − IM)

(期間3:1991 年~1996 年)

外生変数の期間3における平均値

𝐈𝐆 =8,070.536232 𝐆𝐃𝐏 −𝟏 −𝐆𝐃𝐏 −𝟓

𝐆𝐃𝐏 −𝟓

=0.012365642 𝐘 =125,435.1957 𝐆 =36,285.494

𝐍𝐄𝐗 = 2,162.178 Land =120.807 SS

Y

=0.201379171 K =99,930.066

Y = 2.159(−34233.1 + 0.253Y −1 + 0.23K −1 + 69.596Land + G + EX − IM)

Y = 2.159 −34233.1 + 0.253 × 125435.1957 + 0.23 × 99930.066 + 69.596 × 120.807 + 36285.494 + 2162.178

𝐘 = 𝟏𝟒𝟓𝟑𝟖𝟗.𝟖 ・・・AD 曲線(定数になっている)

(期間3:1996 年~2008 年)

Y = 2.17 −34233.1 + 0.253Y −1 + 0.23K −1 + 69.596Land + G + EX − IM

𝐘 = 𝟏𝟒𝟔𝟏𝟑𝟎.𝟔 ・・・AD 曲線(定数になっている)

(図)期間3における AD 曲線。AD 曲線が定数になった理由として投資関数が利子に不感応的であることが挙げられ

る。これは日本経済が平成不況にあったことから企業が将来の景気回復に悲観的であったため、利子率に関係なく設

備投資を控えていたことが挙げられる。しかし低調ながら日本経済は成長を続けていたため、AD 曲線は右方向へのシ

フトを果たしたと考えられる。

0

20

40

60

80

100

120

140

145200 145400 145600 145800 146000 146200

91年~95年

96年~98年

期間③におけるAD曲線

実質GDP:10

億円

P

:物価

右方向へのシフト

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32

第2章 AS 曲線の分析

第1節 生産関数の推定

■AS分析

総供給関数とは、社会全体の雇用量の変化に応じてどれだけの生産物の価格が供給されるのかを示した関数のこと

をいい、イギリスの経済学者ジョン・ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』の中で述べたことである。そ

して、この総供給関数(総供給曲線)は労働市場と生産関数から導かれる。

このパートではその分析を試みる。

■生産関数の推定に必要なデータの分析

はじめに、生産関数の分析をするにあたって用いる各データの推移について分析する。

資本ストックとは、ある時点で社会や国が保有している設備の量のことであり、機械、自動車や船など多様なもの

を含むため、台数などでは数えることが出来ないため、金額換算されている。今回の研究では、この資本ストックを、

公的なものを Kg:社会資本ストック、私企業などの民間のものを Kp:民間資本ストックと2つに分けて分析を行う。

(1)(名目)資本ストックの推移

期間①は高度経済成長の時期であり、民間資本ストックおよび社会資本ストックとも上昇傾向となっている。

0

500000

1000000

1500000

2000000

2500000

3000000

19691970197119721973197419751976197719781979

単位

:10億

期間①(~1979年)資本ストック推移

Kp + Kg

Kp

Kg

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

33

期間②では、期間①に続いて上昇傾向があり、バブル崩壊を境にして横ばいとなっている。

期間③では、民間資本ストックおよび社会資本ストックとも、横ばいとなっている。

資本ストックの値は、それまでの期間の値を積み重ねたものである。このグラフからは、長期的に見れば民間資本

ストックの割合の減尐傾向、逆にいうと社会資本ストックの割合の増加傾向にあると言えそうである。

0

1000000

2000000

3000000

4000000

5000000

6000000

7000000

8000000

9000000

19801981198219831984198519861987198819891990

単位

:10億

期間②(1980年~90年)資本ストック推移

Kp + Kg

Kp

Kg

0

1000000

2000000

3000000

4000000

5000000

6000000

7000000

8000000

9000000

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

単位

:10億

期間③(1991年~)資本ストック推移

Kp + Kg

Kp

Kg

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1969

1970

1971

1972

1973

1974

1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

資本ストックの構成比の推移

Kg

Kp

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

34

(2)労働データの推移

期間①、期間②とも就業者数は増加傾向が続いている。

3000

3500

4000

4500

5000

5500

6000

Mar-

55

Ju

n-5

6

Sep

-57

Nov-5

8

Feb-6

0

May-6

1

Au

g-6

2

Nov-6

3

Feb-6

5

May-6

6

Au

g-6

7

Nov-6

8

Feb-7

0

May-7

1

Au

g-7

2

Nov-7

3

Feb-7

5

May-7

6

Au

g-7

7

Nov-7

8

期間①(~1979年)就業者数N

就業者数

4800

5000

5200

5400

5600

5800

6000

6200

6400

Mar-

80

Sep

-80

Mar-

81

Sep

-81

Mar-

82

Sep

-82

Mar-

83

Sep

-83

Mar-

84

Sep

-84

Mar-

85

Sep

-85

Mar-

86

Sep

-86

Mar-

87

Sep

-87

Mar-

88

Sep

-88

Mar-

89

Sep

-89

期間②(1980年~1990年)就業者数N

就業者数

5900

6000

6100

6200

6300

6400

6500

6600

6700

1991 1

-3

1992 1

-3

1993 1

-3

1994 1

-3

1995 1

-3

1996 1

-3

1997 1

-3

1998 1

-3

1999 1

-3

2000 1

-3

2001 1

-3

2002 1

-3

2003 1

-3

2004 1

-3

2005 1

-3

2006 1

-3

2007 1

-3

2008 1

-3

2009 1

-3

期間③(1991年~)就業者数 N

就業者数

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35

バブル崩壊後も就業者数は増加傾向が続いたが、1997 年を境にやや減尐傾向となり、そして 2003年からやや増加傾

向となっている。

以上のようなデータを踏まえ、生産関数およびAS曲線の推定を行う。

■生産関数の推定 はじめに、AS曲線の分析に必要となる生産関数の推定を行う。

生産関数は、労働と資本ストックからなる関数であり、式は以下のようなに表わされる。

Y = F N, Kp, Kg …(生産関数)

Y:実質GDP、N:労働、Kp:民間資本ストック、Kg:社会資本ストック

ここでは古典派の第1公準を採用してAS曲線を導くことにする。古典派の第1公準とは、賃金の限界生産力説の

ことである。企業が労働者の雇用量を決定する際に、労働の限界生産力と実質賃金率を等しくすることが利潤最大化

のための必要条件である。つまり、次の条件を満たすということである。

Y = F N, Kp, Kg = A ∙ NαKpβKgγ

∂Y

∂N= A ∙ αNα−1KpβKgγ = α

Y

N=

W

P

∴ N = α1

W P Y

この式を、もとの生産関数の式に代入することで、AS曲線を求めることができる。

それでは次に、各機関の生産関数を推定する。

(1) 期間①(1967年~1979年)四半期データ

推定モデル 𝐥𝐧 𝐘 − 𝐥𝐧𝐍 = 𝛂 + 𝛃 𝐥𝐧𝐊𝐩 − 𝐥𝐧𝐍 + 𝛄 𝐥𝐧𝐊𝐠 − 𝐥𝐧𝐘 (−𝟏

Y:実質GDP、N:雇用者数、Kp:民間資本ストック、Kg:社会資本ストック

(Kp, Kgは、名目の年次データをGDPデフレーターで割り、線型補間を施した)

(期間①の生産関数モデルについて)

1. 今回は生産関数がコブ=ダグラス型であると想定した。その理由は、生産関数に関する研究では、

みなコブ=ダグラス型を想定して分析を行っているため、本論文においてもそれに則って推定を行

うことにした。

2. 生産関数Y = F N, Kp, Kg = A ∙ NαKpβKgγの両辺を雇用者数Nで割って式変形をした。Y/Nは、就

業者一人当たりの実質GDPを表わし、Kp/Nは、就業者一人当たりの民間資本ストックを表わして

いる。この変形は、生産関数の推定を行っている先行研究で多く用いられていることから、本論文

においても導入した。結果、各期間(決定係数、t値)が大きく上昇することとなった。(Nで割

らなかった場合には、有意とならなかった。)

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3. 社会資本ストックを1期前の実質GDPのラグ項で割って推定を行った。この値は、全体の生産

に対する社会資本ストックの割合を表わしている。結果、こちらも推定値(係数、決定係数、t値)

が大きく上昇することとなった。

以上のような処理を施し、二段階最小二乗法も用いた上で得られた推定結果が以下のものである。

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:実質GDP/雇用者数

説明変数 係数 t値 P値

定数項 5.181 7.025 .000

民間資本ストック/雇用者数 .346 2.880 .006

社会資本ストック/実質GDP(-1) .462 3.162 .003

R 0.947

調整済み R2乗 0.892

(結果)全ての変数で有意となった。また、民間資本ストック/雇用者数、および社会資本ストック/実質GDPは理

論通り正となった。

次に、モデルに推定結果を代入し、期間①の生産関数、および総供給関数を求める。

ln Y − ln N = 5.181 + 0.346 ln Kp − ln N + 0.462 ln Kg − ln Y(−1)

Y

N= e5.181

Kp

N

0.346

Kg

Y(−1)

0.462

𝐘 = 𝐞𝟓.𝟏𝟖𝟏𝐍𝟎.𝟔𝟓𝟒𝐊𝐩𝟎.𝟑𝟒𝟔𝐊𝐠𝟎.𝟒𝟔𝟐 𝐘(−𝟏) −𝟎.𝟒𝟔𝟐 ・・・期間①の生産関数

ここで、企業の利潤最大化が実現しているという仮定の下で、上式にN = 0.6541

W P Y を代入する。

Y = e5.181 0.6541

W P Y

0.654

Kp0.346 Kg0.462 Y(−1) −0.462

Y0.346 = 134.73101 Y(−1) −0.462 p0.654 w−0.654 Kp0.346 Kg0.462

Y = 1427350 Y(−1) −1.335 p1.890w−1.890Kp Kg1.335

(2)期間②(1980 年~1990 年)四半期データ

推定モデル ln Y − ln N = α + β ln Kp − ln N + γ ln Kg

(期間②の生産関数モデルについて)

1. 期間②においても、生産関数がコブ=ダグラス型であると想定した。その理由は、期間①と同様

である。

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2. 生産関数Y = F N, Kp, Kg = A ∙ NαKpβKgγの両辺を雇用者数Nで割って式変形をした。Y/Nは、就

業者一人当たりの実質GDPを表わし、Kp/Nは、就業者一人当たりの民間資本ストックを表わして

いる。この変形を導入した結果、推定値(決定係数、t値)が大きく上昇することとなった。(N

で割らなかった場合には、有意とならなかった。)

3. 期間①とは異なり、社会資本ストックを実質GDPの1期前のラグ項で割らない方が有意な値と

なったので、今回はこちらのモデルを用いた。

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:実質GDP/雇用者数

説明変数 係数 t値 P値

定数項 0.544 0.961 0.343

民間資本ストック/雇用者数 0.137 2.474 0.18

社会資本ストック 0.362 4.851 0

R 0.962

調整済み R2乗 0.960

(結果)変数は有意となった。また、民間資本ストック/雇用者、および社会資本ストックは理論通り正となった。

次に、モデルに推定結果を代入する。

ln Y − ln N = 0.544 + 0.137 ln Kp − ln N + 0.362 ln Kg

Y

N= e0.544

Kp

N

0.137

Kg0.362

𝐘 = 𝐞𝟎.𝟓𝟒𝟒𝐍𝟎.𝟖𝟔𝟑𝐊𝐩𝟎.𝟏𝟑𝟕𝐊𝐠𝟎.𝟑𝟔𝟐・・・期間②の生産関数

ここで、企業の利潤最大化が実現しているという仮定の下で、N = 0.8631

W P Y を代入する。

Y = e0.544 0.8631

W P Y

0.863

Kp0.137 Kg0.362

Y0.137 = 1.517167 p0.863 w−0.863 Kp0.137 Kg0.362

Y = 20.96103 p6.299w−6.299 Kp Kg2.642

■期間③(1991 年~2008 年)四半期データ

推定モデル ln Y − ln N = α + β ln Kp − ln N + γ ln Kg − ln Y (−1)

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(期間①の生産関数モデルについて)

1. 今回は生産関数がコブ=ダグラス型であると想定した。その理由は、期間①・期間②と同様であ

る。

2. 生産関数Y = F N, Kp, Kg = A ∙ NαKpβKgγの両辺を雇用者数Nで割って式変形をした。Y/Nは、就

業者一人当たりの実質GDPを表わし、Kp/Nは、就業者一人当たりの民間資本ストックを表わして

いる。この変形は、生産関数の推定を行っている先行研究で多く用いられていることから、本論文

においても導入した。この変形を導入した結果、の推定値(決定係数、t値)が大きく上昇するこ

ととなった。(Nで割らなかった場合には、有意とならなかった。)

3. 社会資本ストックを1期前の実質GDPのラグ項で割って推定を行った。この値は、全体の生産

に対する社会資本ストックの割合を表わしている。結果、こちらも推定値(係数、決定係数、t値)

が大きく上昇することとなったので、こちらの社会資本ストックをラグ項で割ることとした。

推定方法:二段階最小二乗法

従属変数:実質GDP/雇用者数

説明変数 係数 t値 P値

定数項 2.369 6.840 0

民間資本ストック/雇用者数 .659 6.375 0

社会資本ストック/実質GDP(-1) .283 4.286 0

R 0.889

調整済み R2乗 0.783

(結果)全ての変数で有意となった。また、民間資本ストック/雇用者、および社会資本ストック/実質GDPも理論

通り正となった。

次に、モデルに推定結果を代入する。

ln Y − ln N = 2.369 + 0.659 ln Kp − ln N + 0.283 ln Kg − ln Y (−1)

Y

N= e2.369

Kp

N

0.659

Kg

Y(−1)

0.283

𝐘 = 𝐞𝟐.𝟑𝟔𝟗𝐍𝟎.𝟑𝟒𝟏𝐊𝐩𝟎.𝟔𝟓𝟗𝐊𝐠𝟎.𝟐𝟖𝟑 𝐘(−𝟏) −𝟎.𝟐𝟖𝟑・・・期間③の生産関数

ここで、企業の利潤最大化が実現しているという仮定の下でN = 0.3411

W P Y を代入する

Y = e2.369 0.3411

W P Y

0.341

Kp0.659Kg0.283 Y(−1) −0.283

Y0.659 = 7.4047921 Y(−1) −0.283 p0.341 w−0.341 Kp0.659Kg0.283

Y = 20.86618 Y(−1) −0.429p0.517 w−0.517 Kp Kg0.429

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第2節 生産関数の弾力性の分析

社会資本ストックおよび民間資本ストックについて言及している著書として、吉野直行・中島隆信 編(1999)

『公共投資の経済効果』がある。この著書の中で、社会資本と民間資本の限界生産性についての分析・考察があ

り、それは以下のようなものである。

(1) 弾力性の分析

表. 各生産要素の生産弾力性

労働 民間資本 社会資本

1955-70年 0.42 0.74 0.20

1971-93年 0.66 0.40 0.08

『公共投資の経済効果』より引用

上記の表の値はトランス=ログ型の生産関数をもとに推計されている。この表によると、民間資本の生産弾力

性は、1970 年以前では 0.74 であったが、1971-93 年では 0.40 と大きく落ち込み、逆に労働に対する弾力性が高

くなっている。また、社会資本の生産弾力性も 1971 年を境に 0.20 から 0.08 へと急激に減尐している。

(2)限界生産力の推移

生産弾力性をみると、表で示されるように、民間資本の生産弾力性のほうが社会資本の生産弾力性よりも大き

い。しかし、生産要素にかかる生産性を比較するためには、限界生産力を比較する必要がある。

Y = ANαKpβKg

γの生産関数において、民間資本の限界生産性、社会資本の限界生産性はそれぞれ以下のように

なる。

民間資本:𝐅𝐊𝐩 =𝛛𝐘

𝛛𝐊𝐩= 𝛃 ∙ 𝐀𝐍𝛂𝐊𝐩𝛃−𝟏𝐊𝐠𝛄 = 𝛃 ∙

𝐘

𝐊𝐩=

𝛛 𝐥𝐧𝐘

𝛛 𝐥𝐧𝐊𝐩∙𝐘

𝐊𝐩

社会資本:𝐅𝐊𝐠 =𝛛𝐘

𝛛𝐊𝐠= 𝛄 ∙ 𝐀𝐍𝛂𝐊𝐩𝛃𝐊𝐠𝛄−𝟏 = 𝛄 ∙

𝐘

𝐊𝐠=

𝛛 𝐥𝐧 𝐘

𝛛 𝐥𝐧𝐊𝐠∙𝐘

𝐊𝐠

つまり、各生産要素の限界生産性は推定された生産弾力性に各生産要素の平均生産性を乗じたものであり、限

界生産性が高くても生産要素が生産量に対して相対的に大きければ、限界生産性は低くなる。

ここで資源配分の効率性を考慮し、生産性を最大化させるために、民間資本を1単位増大させるか、それとも

社会資本を1単位増加させるかの選択に直面しているとする。もし、FKp > FKgであれば民間資本へ投資を行い、

FKp < FKgであれば社会資本に投資することが望ましいといえる。このとき、生産関数が民間資本と社会資本の両

者について収穫逓減であり、資本減耗率が同じであるとすると、生産量最大化からFKp = FKgになるように、民間

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資本と社会資本の投入量は調整されることになる。逆にいえば、FKp > FKgであれば社会資本が相対的に過剰であ

り、FKp < FKgであれば社会資本が相対的に過小であるといえる。

ここで、両者の限界生産性の推移を見ると、表2のようになる。この値もまた、トランス=ログ型から推定さ

れたものが用いられている。

(著者の考察)

1970 年代前半までは、投資が投資を呼ぶ高度経済成長が続けていた日本経済において、民間資本の限界生産

性は著しく高く、社会資本の限界生産性との間には大きな差が見られた。一方で、高度経済成長が終わり、投資

が合理化されてきた 1970 年代後半以降は、民間資本の限界生産性も社会資本の限界生産性も低下している。そ

の後、現在にいたるまで社会資本・民間資本の限界生産性は両社とも減尐傾向にある。

この研究からも、民間資本ストックおよび社会資本ストックが GDP に及ぼす影響は非常に小さくなり、非効

率的になってきている。では、1995 年以降の数値はどのようになっているのであろうか。本論文でコブ=ダグラ

ス型を想定した期間③のモデルを用いて推計を試みる。

期間③の推定結果より、各係数はα =0.341、β =0.659、γ =0.283 である。また、期間③における各要素の5年ごと

の平均値は以下のようになっている。

就業者数:FN =∂Y

∂N= α ∙ ANα−1KpβKgγ = α ∙

Y

N=

∂ ln Y

∂ ln N∙

Y

N

民間資本:FKp =∂Y

∂Kp= β ∙ ANαKpβ−1Kgγ = β ∙

Y

Kp=

∂ ln Y

∂ ln Kp∙

Y

Kp

社会資本:FKg =∂Y

∂Kg= γ ∙ ANαKpβKgγ−1 = γ ∙

Y

Kg=

∂ ln Y

∂ ln Kg∙

Y

Kg

民間資本および社会資本の限界生産性の推移

1955-1959 1960-1964 1965-1969 1970-1974

民間資本 0.8346 0.8685 0.8204 0.474

社会資本 0.2468 0.3216 0.361 0.1802

1975-1979 1980-1984 1985-1989 1990-1994

民間資本 0.3144 0.2813 0.2416 0.0241

社会資本 0.0944 0.0722 0.0621 0.0592

『公共投資の経済効果』より引用

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■期間③(1991 年~)における各要素の平均値

1991-1994年 1995-1999年 2000-2004年 2005-2008年

実質GDP(4半期) 平均値 116621.9563 122555.07 127581.365 137411.4231

民間資本ストック 平均値 6364790.55 6250010.052 5967001.62 6378568.751

社会資本ストック 平均値 1688175.9 2120849.428 2216365.015 2131802.273

就業者数 平均値 6427.10375 6495.432 6366.903 6377.728824

(単位:実質GDP、民間資本ストック、社会資本ストック…10 億円、就業者数…1 万人)

以上のデータを用いて、5年ごとの社会資本・民間資本の限界生産性に加え、就業者数の限界生産性を求めると、

以下のような結果が得られる。

■期間③(1991年~)における限界生産性

1991-1994年 1995-1999年 2000-2004年 2005-2008年

Fkp:社会資本ストックの限界生産性 0.0121 0.0129 0.0141 0.0142

Fkg:民間資本ストックの限界生産性 0.0196 0.0164 0.0163 0.0182

Fn:雇用者数の限界生産性 6.1876 6.4339 6.8330 7.3470

Fn:就業者が1万人増えたとき、実質GDP及ぼす影響

(考察)

民間資本ストックおよび社会資本ストックの限界生産性は、吉野直行・中島隆信 編(1999)『公共投資の経済効果』

での分析・考察と同様、現在も非常に低い値をとっている。このことからも、民間資本・社会資本への投資は非常に

非効率的になっていることが分かる。

一方で、雇用者数による限界生産性は尐しずつ増加する傾向にあると言える。ここから、雇用者数を増やすことが

GDPを増加させることに貢献すると考えられる。

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第3節 AS 曲線のシフトの分析

2007 年のデータをもとにした年次の生産関数は次のようになる。

Y = 10960.46 * N^0.446

2007 年 GDP 542.8兆円 (推定結果を基にした値)

2007 年 GDP(4 半期) 135.7兆円 (推定結果を基にした値)

2007 年 就業者数 6310 万人

2007 年 60~64 歳人口 847 万人

このデータから次のことが言える。

60~64 歳の就業者が1%増加 → AS 曲線の GDP(4 半期)が約 818 億円分シフト(約 0.6%増加)

60~64 歳の就業者が 1 万人増加 → AS 曲線の GDP(4 半期)が約 100 億円分シフト(約 0.007%増加)

さらに、具体的な数値を代入してみると以下のような結果が得られる。

(1)60~64 歳人口の 30% が職に就くと仮定した場合

就業者数 6310万人 → 6564.1万人 (約 254 万人増加、約 4.0%増加)

GDP(年間) 542.8 兆円 → 552.5 兆円 (約 9.7 兆円分シフト、約 1.8%増加)

GDP(4 半期) 135.7 兆円 → 138.1 兆円 (約 2.4 兆円分シフト、約 1.8%増加)

(2)60~64 歳人口の 50% が職に就くと仮定した場合

就業者数 6310万人 → 6733.5 万人 (約 423 万人増加、約 6.7%増加)

GDP(年間) 542.8 兆円 → 558.8 兆円 (約 16兆円分シフト、約 2.9%増加)

GDP(4 半期) 135.7 兆円 → 139.7 兆円 (約 4兆円分シフト、約 2.9%増加)

(3)60~64 歳人口の 80% が職に就くと仮定した場合

就業者数 6310万人 → 6987.6 万人 (約 677 万人増加、約 10.7%増加)

GDP(年間) 542.8 兆円 → 568.0 兆円 (約 25.2兆円分シフト、約 4.7%増加)

GDP(4 半期) 135.7 兆円 → 142.0 兆円 (約 6.3 兆円分シフト、約 4.7%増加)

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第4節 現在の AD-AS 曲線の交点について

(実質)民間資本ストック・(実質)社会資本ストック・名目雇用者報酬の各期間の平均値を代入し、AD-AS の交点を

求めるための式を求める。

各期間の平均値 (10億円)

期間①(~1979年) 期間②(1980年~1990年) 期間③(1991年~)

Kp:民間資本ストック(実質) 18965.61 46887.72 62282.67

Kg:社会資本ストック(実質) 3998.24 10847.78 20610.98

W:名目雇用者報酬 ND 25398.5 65937.99

名目雇用者報酬のデータは 1980 年以降のみ存在しているので、期間②・③についてのみ AS 曲線を求める。

・期間②(1980 年~1990 年)

Y = 20.96103 ∙ p6.299w−6.299 Kp Kg2.642

Y = 20.96103 ∙ p6.299 ∙ 25398.5−6.299 ∙ 46887.72 ∙ 10847.782.642

𝐘 = 𝟖.𝟎𝟗 ∗ 𝟏𝟎−𝟏𝟐 ∗ 𝐩𝟔.𝟐𝟗𝟗

・期間③(1991 年~)

Y = 20.8662 Y(−1) −0.429p0.517w−0.517 Kp Kg0.429

Y = 20.8662 ∙ 505034−0.429p0.517 65938−0.517 62282.67 ∗ 206110.429

𝐘 = 𝟏𝟎𝟔𝟐.𝟓𝟑 ∙ 𝐩𝟎.𝟐𝟒𝟔𝟖

(考察)また、ここで求めているAS曲線は、構成要素である就業者・民間資本ストック・社会資本ストックが稼働率

100%で利用されているときの実質GDPを表わしている。そのため、実際には各要素の稼働率が 100%ではな

いとすると、この式からは現実の値よりも高い実質GDP が推定されることになる、ということも念頭に置か

なければならないだろう。

■AD-AS の交点の分析

これまでの推定結果をもとに、期間③の AD 曲線・AS 曲線の交点を求める。その上で、定年を延長すること

による就業者数の増加が、Y:実質 GDP と P:物価(GDP デフレーター)へまどれだけの影響を及ぼすのかを

分析する。

AD 曲線 Y = 146130.6

AS 曲線 Y = 1062.53 ∙ p0.2468 ∴ P = 5.47 ∗ 10−13 ∙ Y4.052

この 2 式から求まる交点は、

(Y, P) = (146130.6 , 4.6*10^8)

となった。

この点を基準点とし、N:雇用者数の増加→生産関数の右シフト→P:物価の下落のチャンネルが求められた

が、今回は推定した AD 曲線が垂直となり、AD-AS 曲線の交点から GDP の増加を導くことができなかったので、

ここでは言及しなかった。

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第3章 政策提言

●定年を 60 歳から 65 歳に延長し、熟練の労働者を雇用するにあたり必要となる設備投資への補助金を

減額が予想される年金の分を充てる。

その際、60 歳から給与の半分の額の年金を支給し、もう半分を企業からの給与でまかなう。効果として

次の2点が考えられる。

① 60 歳から 65 歳の世代に給付されていた年金の支給額を半分に抑えることができる。

② 経験や知識を持った人材が企業に残ることで、低コストで企業の生産性を向上させることが可能である。

(政府支出・投資の現状)

社会保障費は一般会計歳出総額の約 25%、公共事業費は約 9%を占めており、総計 35%になる。

以上の2点を行うに当たり、以下のような効果が予想される。

① の効果により約 2 兆 2750 億円の年金支給額を削減することが可能である。

つまり、②の実行にこの 2 兆 2750 億円の予算が充てられることになる。計算過程として以下のような場合を

想定した。

例:現在 54 歳

60~65 歳時に支給される年間当たりの年金額は 131 万円。

年金を半額に減額することから、65 万円×350 万人=2 兆 2750 億円

これより私たちはこの年金の削減分として約2兆2750億円が企業の民間投資の補助金に充てられると想

定した。

この失業率が高い状態で労働者を単純に増加させることは、新卒の雇用にまで影響を及ぼす可能性が高

い。そこで新卒の雇用に影響を与えない、高齢労働者のための雇用が不可欠となる。つまり、経験や知

識を蓄えた彼らが効率的に働くことのできる雇用環境が必要である。

そこで、この定年の延長により削減できた財源2兆2750億円を企業への補助金として与えることで、

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45

高齢労働者のための雇用環境を援助するべきであると考えた。

【景気回復へ繋げるには】

以下この政策提言に至った過程を理論を用いて説明する。

以上の問題を解決する政策の元なる理論の説明をこのパートで行う。

政策提言を実行するにあたり、日本の長期的経済成長を導く手段として総供給曲線を右方向にシフトさせる必要があ

ることに言及した。

Y = A・F(Nd., Kp , KG )

(Y:実質 GDP A:技術進歩 Nd:労働需要 Kp:民間資本 KG:社会資本)

グラフ X(限界生産力の図)より労働需要、民間資本、社会資本の限界生産力が著しく低下していることがわかって

いる。このことから、総供給曲線を右方向にシフトさせるためには、以上の3要素に加え、A(技術進歩)を向上させ

る必要があることがわかる。しかし AS 曲線を単に右方向にシフトさせるだけでは、GDP の成長ではなく物価の低下

を招くことがわかる。そこで景気を安定的に回復させるために私たちは以下の様なシナリオを考える。

① 定年を60歳から65歳に延長することで絶対的な労働人口が増加し、労働市場においてNs↑による労働

供給曲線の右シフトが起こる。

② 労働供給曲線が右シフトすることで実質賃金 W

P が下落し、労働需要 Nd が上昇する

③ 体力的に衰えてはいるが、仕事に精通し、熟練した労働者が労働市場に参入することで、労働者間の競争

が激化する。そのためどの企業においても労働者の質が上昇し、技術革新(A)の値が上昇する。

③’ また実質賃金 W

P の値が下がることで AS 曲線は右シフトし、国内商品の価格が絶対的に下がり、日本の商品の

国際競争力が上昇することにより輸出が増加(EX↑)が起こり、AD 曲線が右にシフトする。

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46

④ ①~③の過程において企業での、労働量が増加している(N↑)。そのため企業の資本労働比率 K

N の値が下

がり、労働比重的になる。そのため資本の限界生産性 ∂Y

∂K の値が大きくなる。それに加え①~③の過程におい

て短期的な経済成長を実現している。以上の2つの要因が、企業の投資意欲を向上させ、利子率弾力的に投資

が行われるようなる。

⑤ ④の過程で利子率感応的に投資が行われ始める事で IS 曲線が右下がりの曲線を描き、AD 曲線も右下がりの形を

描くようになる。

⑥ ⑤の過程において AD 曲線が右下がりになったことにより、AS 曲線の右シフトが正常に作用するようにな

る。また AD 曲線が傾いたことによって、政府支出の増額(G↑)と輸出増加(EX↑)にのみ依存して景気回復を

図る姿勢から脱却する。

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ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009

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⑦ 結果として、労働供給増加 Nd ↑ から始まる①~③の循環による AS 曲線の右シフトによる Y の増加が IS 曲

線の消費(C)、投資(I)に波及し、IS 曲線右シフトによる AD 曲線右シフトが生じる。

⑧ ⑦の過程の AD 右シフトが AS 曲線の民間資本ストック Kp 、公的資本ストック KG に波及し、再び AS

曲線の右シフトが起きる、という循環が定着化する。

⑨ ①、②の過程で一時的に減尐した一人当たりの実質賃金 W

P も、以下3つの要因から最終的には以前より大きくな

る。

ⅰ ①~③の過程での技術革新(A↑)

ⅱ ③’の過程から予測される輸出の増加(EX↑)

ⅲ ⑦⑧の循環による国内総生産の増加(Y↑)

⑨ ⑦⑧の循環が安定的な経済成長を生み、長期で見た景気回復が実現される

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先行論文・参考文献・データ出典

《先行論文》

ありません

《参考文献》

・ 浅子和美・加納悟・倉澤資成(2009)『新経済学ライブラリ=3 マクロ経済学 第2版』

・ 中谷巌(2007)『入門マクロ経済学 第5版』

・ 浅子和美・吉野直行 ほか(1994)『入門マクロ経済学』有斐閣

・ 吉野直行・中島隆信 ほか(1999)『公共投資の経済効果』日本評論社

・ 吉野直行・高橋徹(1990)『パソコン計量経済学入門』

・ 縄田和満(2006)『TSP による計量経済分析入門 第2版』

・ 蓑谷千凰彦(2003)『数量経済分析シリーズ <第6巻> パソコンによる数量分析』多賀出版

・ 石村貞夫・石村光資郎(2007)『SPSS でやさしく学ぶ統計解析』

・ 秋川卓也・内藤統也(2005)『文系のための SPSS 超入門』

・ 小野寺孝義・山本嘉一郎(2004)『SPSS 辞典 BASE 編』

《データ出典》

・ 日経 NEEDS:http://stat.keio.ac.jp/

・ 日本銀行 HP:http://www.boj.or.jp/

・ 総務省統計局 HP:http://www.stat.go.jp/

・ 内閣府 HP:http://www.cao.go.jp/index.html