平成を振り返る · 年(1995年)から平成28年(2016年)の間で世界が...

7
はじめに 本年 5 月、平成から令和への改元が行われた。時代 の節目を迎えるにあたって、「平成を振り返る特集」 が様々なジャンル・媒体で取り上げられたが、本稿で は、データを通じて経済・社会構造の変化を振り返る こととしたい。なお、文中意見にわたる部分は筆者の 個人的な見解であり、筆者の属する組織の見解ではな い。 1 経済構造の変化 ―貿易立国から投資立国へ― まずは、マクロ経済面での変化について、簡潔に数 字とグラフを参照しつつ振り返る。 図 1 で景気動向指数の推移をみれば、日本経済が如 何に度重なる経済危機による落ち込みまた回復という サイクルを繰り返してきたかを見て取れる。 長期停滞の引き金となったバブル崩壊により、企業 倒産件数は急増、金融機関の不良債権問題へと発展し た。企業倒産件数は平成13年(2001年)に19,565 件とピークをつけ、同年都市銀行の不良債権比率も 8.7%と突出した状況となったが、2000 年代前半、不 良債権処理は着実に進められた。(平成20年(2008 年)には全国の銀行の不良債権処分損が 100 兆円を超 えた。) 不良債権処理が進むにつれて、金融システムは安定 化し、日本経済全体としても失われた10年から回復 するかと期待された。実際に景気動向指数は上昇、内 閣府も73か月の景気拡張期間を認定した。しかしな がら、企業収益は大きくは上昇せず、賃金も上がらな い状態が長く続くこととなった。 リーマンショックを経て、平成 24 年(2012 年)末 頃からようやく景気は回復、企業収益も大きく改善 平成を振り返る [前編] 大臣官房総合政策課 前企画室長  原田 浩気/ 係長  道上 友里香 (図1)景気動向指数(CI60 70 80 90 100 110 120 130 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 (H27=100) () H5/10 H9/5 H11/1 H12/11 H3/2 H14/1 H20/2 H21/3 H24/3 H24/11 73か月 :8134~;3124 95か月 24124~2:124 9;か月 34134~現在 11循環 12循環 13循環 14循環 15循環 バブル 経済 IT グローバル 金融危機 欧州債務危機 4 5 6 7 8 9 : ; 32 33 34 35 36 37 38 39 3: 3; 42 43 44 45 46 47 48 49 4: 4; 52 53 (出所)内閣府「景気動向指数」 ファイナンス 2019 Jul. 31

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はじめに本年5月、平成から令和への改元が行われた。時代

の節目を迎えるにあたって、「平成を振り返る特集」が様々なジャンル・媒体で取り上げられたが、本稿では、データを通じて経済・社会構造の変化を振り返ることとしたい。なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織の見解ではない。

1経済構造の変化 ―貿易立国から投資立国へ―まずは、マクロ経済面での変化について、簡潔に数

字とグラフを参照しつつ振り返る。図1で景気動向指数の推移をみれば、日本経済が如

何に度重なる経済危機による落ち込みまた回復というサイクルを繰り返してきたかを見て取れる。

長期停滞の引き金となったバブル崩壊により、企業倒産件数は急増、金融機関の不良債権問題へと発展した。企業倒産件数は平成13年(2001年)に19,565件とピークをつけ、同年都市銀行の不良債権比率も8.7%と突出した状況となったが、2000年代前半、不良債権処理は着実に進められた。(平成20年(2008年)には全国の銀行の不良債権処分損が100兆円を超えた。)不良債権処理が進むにつれて、金融システムは安定

化し、日本経済全体としても失われた10年から回復するかと期待された。実際に景気動向指数は上昇、内閣府も73か月の景気拡張期間を認定した。しかしながら、企業収益は大きくは上昇せず、賃金も上がらない状態が長く続くこととなった。リーマンショックを経て、平成24年(2012年)末

頃からようやく景気は回復、企業収益も大きく改善

平成を振り返る[前編]

大臣官房総合政策課 前企画室長 原田 浩気/係長 道上 友里香

(図1)景気動向指数(CI)

60

70

80

90

100

110

120

130

89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(H27年=100)

(年)

H5/10

谷H9/5

H11/1

H12/11

H3/2

H14/1

H20/2

H21/3

谷H24/3

H24/11

か月~

か月~

か月~現在

第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 第15循環

バブル

経済

IT

壊崩

グローバル

金融危機

欧州債務危機

(出所)内閣府「景気動向指数」

ファイナンス 2019 Jul. 31

SPOT

09_P31-37_SPOT_06.indd 31 2019/07/09 11:46:21

し、平成31年(2019年)1月には戦後最長の景気回復期間を更新した可能性が高いと指摘されており、経済の好循環の実現を背景に、経済のファンダメンタルズは確固たるものとなっている。民間給与の水準も6年連続で実施されている2%程度のベースアップを反映し、徐々にではあるが上昇してきている。勿論、米中貿易戦争や中国経済の減速等、外的要因による影響を日本も受ける可能性があり今後の動向を注視する必要はあるが、足元の情勢については別寄稿での分析に

委ねたい。さて、国内のマクロ経済動向について振り返ってき

たが、海外との関係にも目を向けると、国内経済の停滞やグローバル化を背景に世界における日本の立ち位置は大きく変化してきた。貿易面では、平成13年(2001年)の中国のWTO加盟などを背景に、世界の貿易輸出額は約5.7倍と急増した一方で、日本の貿易輸出額は約2.7倍と伸び率は半分ほどであった。この背景としては日本の製造業が国内産

(図2)企業倒産件数

7,157

11,557

14,569

14,580

14,201

15,16215,030

17,496 17,272

16,741

18,787

19,565

18,587

15,466

13,18613,17013,337

14,366

16,146

14,732

13,06512,707

11,719

10,5369,543

8,684 8,381 8,367 8,111

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

(年度)

(件)

(出所)東京商工リサーチ(出所)東京商工リサーチ

(図5)企業収益の推移

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

平成元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

(兆円)

(出所)財務省「法人企業統計」

(年)

(出所)財務省「法人企業統計」

(図6)民間給与の推移

360

380

400

420

440

460

480

平成

元2 3 4 5 6 7 8 91011121314151617181920212223242526272829

(万円)

(注) 民間給与は、1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与

(出所)国税庁 「民間給与実態統計調査」

(年)

(注)民間給与は、1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与(出所)国税庁「民間給与実態統計調査」

(図4)不良債権処分損の累積額

0

20

40

60

80

100

120

平成4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

(兆円)

(年度)

(出所)金融庁「金融再生法開示債権の状況等について」(出所)金融庁「金融再生法開示債権の状況等について」

(図3)不良債権比率

012345678910

(出所)金融庁「金融再生法開示債権の状況等について」

(年度)

(%)

(出所)金融庁「金融再生法開示債権の状況等について」

32 ファイナンス 2019 Jul.

SPOT

09_P31-37_SPOT_06.indd 32 2019/07/09 11:46:23

業構造の変化の下で、アジア経済の成長を取り込むために海外進出を加速させたことが一因に挙げられる。実際、海外の現地法人企業数は、平成元年(1989年)の6,362社と比べると平成29年(2017年)には約4倍、25,034社まで増加し、特に地域別でみると、企業数・売上高共にアジアが北米のシェアを抜きトップとなっている。また、過去のファイナンス*1においても指摘されている通り、日本企業の海外進出が進んだ結果、現地調達率が上昇していることなどを背景に、為替の動きと輸出数量の動きの関係も近年希薄化してきている。

モノと対比させてカネの流れについては、例えば、

*1) ファイナンス(2018年6月号)「我が国の経常収支の構造変化:「貿易立国」から「投資立国」へ」

対外直接投資は平成元年(1989年)と平成29年(2017年)を比べると世界全体の伸びと同程度の約15倍、日本も伸びており、貿易立国から投資立国へと変貌を遂げたことがみてとれる。

(図7)貿易輸出額と対外直接投資

(出所) 、 、日本銀行「資金循環統計」

対外直接投資

(備考)世界( )と日本(資金循環統計)として異なる統計を使用しているため、留意が必要

(世界: 億ドル、日本:兆円)

平成元

世界( 億ドル)

日本(兆円)

世界(16倍)

日本(15倍)

貿易輸出額

世界( 億ドル)

日本( 億ドル)

世界(5.7倍)

日本(2.7倍)

( 億ドル)

平成元 (年) (年)

(出所) 、 、日本銀行「資金循環統計」

対外直接投資

(備考)世界( )と日本(資金循環統計)として異なる統計を使用しているため、留意が必要

(世界: 億ドル、日本:兆円)

平成元

世界( 億ドル)

日本(兆円)

世界(16倍)

日本(15倍)

貿易輸出額

世界( 億ドル)

日本( 億ドル)

世界(5.7倍)

日本(2.7倍)

( 億ドル)

平成元 (年) (年)

(出所) WTO、UNCTAD、日本銀行「資金循環統計」(備考) 世界(UNCTAD)と日本(資金循環統計)として異なる統計を使用しているため、留意が必要

(図9)現地法人企業数・地域別分布

北 米30%

アジア35%

欧 州19%

中南米8%

オセアニア5%

中 東1% アフリカ

2%

平成元年

北 米13%

アジア66%

欧 州11%

中南米6%

オセアニア2%

中 東1% アフリカ

1%

平成29年

(出所) 経済産業省「海外事業活動基本調査」(出所)経済産業省「海外事業活動基本調査」

(図8)現地法人企業数の推移

6,362

25,034

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

平成元

2 3 4 5 6 7 8 9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

(社)

(出所) 経済産業省「海外事業活動基本調査」

(年)

(出所)経済産業省「海外事業活動基本調査」

(図10)現地法人企業の売上高・地域別分布

北 米47%

アジア15%

欧 州29%

中南米3%

オセアニア5% 中 東

1%

アフリカ0%

平成元年

北 米32%

アジア45%

欧 州15%

中南米4%

オセアニア2%

中 東1%

アフリカ1%

平成29年

(出所) 経済産業省「海外事業活動基本調査」

(出所) 経済産業省「海外事業活動基本調査」

北 米47%

アジア15%

欧 州29%

中南米3%

オセアニア5% 中 東

1%アフリカ0%

平成元年

中南米4%

(出所) 経済産業省「海外事業活動基本調査」

ファイナンス 2019 Jul. 33

平成を振り返る[前編]

SPOT

09_P31-37_SPOT_06.indd 33 2019/07/09 11:46:25

一方、対日直接投資は足元でもネットで3兆円前後と対外直接投資の約6分の1の規模にとどまっている。外国法人等の株式保有比率は一貫して上昇、直近では30%を超える水準となるなど対日証券投資の増加とは対照的である。外国為替市場の全世界での取引高をみると、平成7年(1995年)から平成28年(2016年)の間で世界が約4.3倍、日本円も約3.8倍と大幅に増加している。

モノ、カネのグローバル化について概観したところで、最後にヒトの動きについても触れておきたい。多くの人が日々の生活・業務の中で実感しているように、訪日外国人旅行者数は平成24年(2012年)頃から急激に増加している。平成27年(2015年)には出国日本人数を上回り、平成30年(2018年)には3,119万人と過去最高となり、2020年までに4,000万人という政府目標に着実に近づいている。

(図12)日本の対外・対内直接投資(ネット)

-202468

101214161820

対外直接投資

対内直接投資

(兆円)

(出所)財務省「国際収支統計」

(年)

(出所)財務省「国際収支統計」

(図11)実質実効為替レートと輸出数量指数

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160実質実効為替レート 輸出数量指数

円高

円安

(為替レート:円)

(輸出数量指数:平成27年=100)

(出所)日本銀行「実質実効為替レート」、財務省「貿易統計」(内閣府にて季節調整)

(年)

(出所) 日本銀行「実質実効為替レート」、財務省「貿易統計」(内閣府にて季節調整)

(図13)外国法人等の株式保有比率(%)

都銀・地銀等、生・損保、その他金融

事業法人等信託銀行

外国法人等

個人・その他

0

5

10

15

20

25

30

35

(注)外国法人等:外国の法律に基づき設立された法人、外国の政府・地方公共団体及び法

人格を有しない団体、並びに居住の内外を問わず日本以外の国籍を有する個人

(出所) 日本取引所グループ(JPX)「2017年度株式分布状況調査の調査結果について」

(年)

(注) 外国法人等:外国の法律に基づき設立された法人、外国の政府・地方公共団体及び法人格を有しない団体、並びに居住の内外を問わず日本以外の国籍を有する個人

(出所) 日本取引所グループ(JPX)「2017年度株式分布状況調査の調査結果について」

(図14)外国為替市場の1日当たり取引高

1.10

4.44

1.59

0.65 0.20

2.16

0

2

4

6

8

10

12

平成7 10 13 16 19 22 25 28

その他

人民元

マルク

ポンド

ユーロ

米ドル

日本円

(兆ドル)

(注) 為替取引は2通貨間で行われるため、グラフの全体の取引高は実際の2倍である。

(出所) 国際決済銀行

(年)

(注) 為替取引は2通貨間で行われるため、グラフの全体の取引高は実際の2倍である。(出所)国際決済銀行

(図15)訪日外国人旅行者数と出国日本人数

( )ビジットジャパンキャンペーン開始

( )リーマンショック

( )新型インフルエンザ

( )東日本大震災

( )インバウンド

万人

( 3)湾岸戦争

( )アジア通貨危機

( )同時多発テロ

( )イラク戦争・

( )アウトバウンド

万人

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

訪日外国人旅行者数 出国日本人数

(年)

(万人)

(出所)日本政府観光局(JNTO)(出所)日本政府観光局(JNTO)

34 ファイナンス 2019 Jul.

SPOT

09_P31-37_SPOT_06.indd 34 2019/07/09 11:46:27

また、在留外国人数についても同様に増加傾向にあり、平成30年末における在留外国人数は273万人と過去最高。構成比をみてみると、平成3年(1991年)には中国、韓国・朝鮮で約70%を占めていたが、平成30年(2018年)には、EPAに基づく看護師等の受入れや技能実習生の受け入れなどにより、ベトナムやフィリピンを含むアジア圏が多くを占めている。平成の時代は、モノからカネへ、グローバル化の速

度が一気にシフトして世界における日本の立ち位置も貿易立国から投資立国へと変化してきた。新しい時代、日本にとってはヒトの往来の増加が大きなチャンスであると同時に様々な課題も待ち受けているのではないだろうか。

*2) 生涯未婚率と同義。最近では未婚化や晩婚化など結婚観の多様化を背景に「生涯」という表現は正確さを欠くとして「50歳時未婚率」と表記・併記されることが多い。

*3) 総務省の家計調査では「夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち、有業者が1人だけの世帯に限定」と定義されており、昭和44年(1969年)から用いられている用語である。

2ワークライフバランスが重要な時代へここから先は、個人の生活の変化、特に家族と社会

のあり方に着目をしていく。日本経済が長期停滞し、賃金上昇が伸び悩む中で、

家族の形も大きく変わってきた。50歳時未婚率*2は男性で約4倍(平成2年5.6%→平成27年23.4%)、女性で約3倍(平成2年4.3%→平成27年14.1%)に上昇。共働き世帯と専業主婦世帯の数も平成初期に逆転、高齢化に伴い単身世帯も平成2年の939万世帯から平成27年の1,842万世帯と約2倍に増加した。夫婦のどちらかが働いて収入を得る子供2人の4人世帯は標準世帯*3と言われるが、全世帯に占める割合は大幅に減少している。平成29年時点で、4人世帯かつ有業者1人の世帯の割合は4.6%に過ぎない。今、最も世帯数の多い類型は無業の1人世帯、次いで有業の1人世帯、2人世帯で有業者数1人、と続く。家族のカタチの多様化は、数字で見ると実感以上に進んでいると感じる。働き方に対する価値観や雇用形態も変化してきた。

転職者比率は、バブル経済崩壊や金融危機の発生期には落ち込んだものの平成22年(2010年)以降は上昇傾向、足下では約5%(平成30年、2018年)となっている。非正規雇用者数については男女共に増加、平成元年にはそれぞれ229万人、589万人であったのが、平成30年には669万人、1,451万人と、約3倍弱増加している。一方で、週35時間未満の短時間就業をしている人の就業理由について推移をみてみると、「勤め先や事業の都合」で短時間就業となっている人の割合は減少傾向であり、平成30年には9.8%である。「自分や家族の都合」を理由に上げる割合は20%前後のほぼ横ばいで推移している。時短勤務など自由な働き方が少しずつではあるが可能となってきている表れかもしれない。また、育児休業に関する考え方も変化してきてい

る。男性の育児休業取得率は女性と比べると水準は圧倒的に低いものの、平成19年度(2007年度)の1.6%から平成29年度(2017年度)の5.1%に上昇している。なお、女性の育児休業取得率は80%超で安

(図16)在留外国人構成比

中国

17.1万人

14.0%

韓国・朝鮮

69.3万人

56.9%

フィリピン

6.2万人

5.1%

ブラジル

11.9万人

9.8%

米国

4.2万人

3.5%

ペルー

2.6万人

2.2%

その他

10.5万人

8.6%

平成3年末

中国

76.5万人

28.0%

韓国

45.0万人

16.5%

ベトナム

33.1万人

12.1%

フィリピン

27.1万人

9.9%

ブラジル

20.2万人

7.4%

ネパール

8.9万人

3.3%

台湾

6.1万人

2.2%

米国

5.8万人

2.1%

インドネシア

5.6万人

2.1%

タイ

5.2万人

1.9%その他

39.7万人

14.5%

平成30年末

中国

17.1万人

14.0%

韓国・朝鮮

69.3万人

56.9%

フィリピン

6.2万人

5.1%

ブラジル

11.9万人

9.8%

米国

4.2万人

3.5%

ペルー

2.6万人

2.2%

その他

10.5万人

8.6%

平成3年末

中国

76.5万人

28.0%

韓国

45.0万人

16.5%

ベトナム

33.1万人

12.1%

フィリピン

27.1万人

9.9%

ブラジル

20.2万人

7.4%

ネパール

8.9万人

3.3%

台湾

6.1万人

2.2%

米国

5.8万人

2.1%

インドネシア

5.6万人

2.1%

タイ

5.2万人

1.9%その他

39.7万人

14.5%

平成30年末

(注1) 「韓国・朝鮮」について、平成23年末の統計までは、外国人登録証明書の「国籍等」欄に「朝鮮」の表記がなされている者と「韓国」の表記がなされている韓国籍を有する者を合わせて「韓国・朝鮮」として計上していたが、平成24年末の統計からは、在留カード等の「国籍・地域」欄に「韓国」の表記がなされている者を「韓国」に、「朝鮮」の表記がなされている者を「朝鮮」に計上している。

(注2) 平成30年末の統計における「朝鮮」の数は、「その他」に含まれるが、その内訳は平成31年4月24日時点で公表されていない。尚、平成30年6月末の統計においては、「朝鮮」の数は3.0万人。

(出所)法務省「登録外国人統計」「在留外国人統計」

ファイナンス 2019 Jul. 35

平成を振り返る[前編]

SPOT

09_P31-37_SPOT_06.indd 35 2019/07/09 11:46:27

定している。家族環境や働き方の変化に伴い、1日の生活時間の

使い方も変化してきた。図24は男女計・全世代の平成3年(1991年)と平成28年(2016年)の時間の使い方のうち主な項目を示しているが、「仕事」「家事」等が減少し「休養・くつろぎ」「趣味・娯楽」等が増加しており、近年注目されているワークライフバランス、働き方改革が少しでも進んできていることが見てとれるのではないだろうか。更に、女性の家事時間に注目してみると全世代で減

少傾向にあり、平成3年に最も多くの時間(週当たり233分)を家事に費やしていた30代の家事時間は平成28年に約4割減の134分、20代後半は141分から61分と半分以下となっている。この背景には子育て世代の女性の就業率の上昇、所謂M字カーブの改善

(図18)専業主婦世帯と共働き世帯の推移

930

600

783

1,219

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

平成元 4 7 10 13 16 19 22 25 28

専業主婦世帯 共働き世帯

(万世帯)

(年)

(出所)総務省「労働力調査」

(図17)50歳時未婚率

3.9

5.6

9.0

12.6 16.0 20.1

23.4

4.3

4.3 5.1 5.87.3

10.614.1

0

5

10

15

20

25

昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

男性 女性

(%)

(出所)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(出所)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」

(図19)世帯類型別の世帯数

1,519 1,517 1,501 1,490 1,463 1,444 1,429

789 939 1,124 1,291 1,446 1,678 1,842

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年

その他 ひとり親と子ども 夫婦と子ども 夫婦のみ 単身

(万世帯)

(出所)総務省「国勢調査」(出所)総務省「国勢調査」

(図20)転職者比率の推移

3.5

4.5

4.9

3.0 3.7

4.1

4.1

5.6

6.0

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

平成

元2 3 4 5 6 7 8 9101112131415161718192021222324252627282930

男性+女性 男性 女性

(%)

(出所)厚生労働省「労働力調査(詳細集計)」(平成13年以前は「労働力調査特別調

査」)

(注)転職者比率= 就業者に占める転職者の割合

(年)

(注1)転職者比率=就業者に占める転職者の割合(注2) 2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により,岩手県,宮城県及

び福島県において調査実施が一時困難となったため、2011年の数値は補完的に推計した値(2015年国勢調査基準)。

(出所) 総務省「労働力調査(詳細集計)」(平成13年以前は「労働力調査特別調査」)

(図21)非正規雇用の推移

0

10

20

30

40

50

60

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

平成元 5 9 13 17 21 25 29

非正規雇用者数(男性)非正規雇用者数(女性)非正規雇用割合(男性)非正規雇用割合(女性)

(万人) (%)

(出所)厚生労働省「労働力調査(詳細集計)」(平成13年以前は「労働力調査特別調

査」)

(年)

(注) 2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により,岩手県,宮城県及び福島県において調査実施が一時困難となったため、2011年の数値は補完的に推計した値(2015年国勢調査基準)。

(出所) 総務省「労働力調査(詳細集計)」(平成13年以前は「労働力調査特別調査」)

(図22)短時間就業者の就業理由

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

勤め先や事業の都合 自分や家族の都合

もともと週35時間未満の仕事 その他・未回答

(注)2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により,岩手県,宮城県及び福島県において調査

実施が

一時困難となったため、2011年の数値については公表されていない。

(出所)総務省「労働力調査(詳細集計)」

(年)

(注) 2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により,岩手県,宮城県及び福島県において調査実施が一時困難となったため、2011年の数値については公表されていない。

(出所)総務省「労働力調査(詳細集計)」

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があると考えられるが、無業の女性のみに絞ってみても同様の傾向である。無業の30代女性の平成3年と平成28年を比較すると、家事は310分から209分と約100分短縮されており、その分育児に費やす時間が122分から196分と増加している。この家事時間短縮の背景には、共働き世帯の増加に

伴い男性の家事参加が進み夫婦間の協働が進んだこと、時短家電である掃除機ロボットや食器洗い洗濯機、乾燥機付き洗濯機の普及等があると考えられる。

そのうちの1つに調理の時短化も含まれるだろう。弁当や総菜等を取り扱う中食市場は外食市場と比較するとまだ市場規模が小さいものの、平成元年(1989年)の2.5兆円から平成29年(2017年)の7.7兆円へと、着実に拡大している。ワークライフバランスに対する考え方は人それぞれであり、技術の発展とも相まって変化していくものではあるが、女性・高齢者を始めとした多くの人にとって働きやすい環境が整うことは人口減少・少子高齢化に直面する日本にとって重要である。

(図23)育児休業取得率の推移

1.6 6.2

89.7 90.6 85.6 83.7

87.8 83.6 83.0 86.6

81.5 81.8 83.2 82.2

0

20

40

60

80

100

男性 女性

(出所)厚生労働省「雇用均等基本調査」(平成18年度以前は「女性雇用管理基本

調査」)

(%)

(年度)

(出所) 厚生労働省「雇用均等基本調査」(平成18年度以前は「女性雇用管理基本調査」)

(図24)1日の生活時間の変化

0 100 200 300 400 500

交際・付き合い

趣味・娯楽

休養・くつろぎ

家事

仕事

睡眠

平成3年

平成28年

(分)

(出所) 総務省「社会生活基本調査」(出所)総務省「社会生活基本調査」

(図25)女性の家事時間

0

50

100

150

200

250

平成3 8 13 18 23 28

25~29歳 30~39歳40~49歳 50~59歳60~64歳

(出所) 総務省「社会生活基本調査」

(分)

(年)

(出所)総務省「社会生活基本調査」

(図27)外食と中食の市場規模推計

0

5

10

15

20

25

30

35

平成元 7 12 17 22 27

(兆円)

外食 中食

(年)

(注) 中食は、料理品小売業を指す。

(出所) 日本フードサービス協会「JF外食産業市場動向調査」

(注)中食は、料理品小売業を指す。(出所)日本フードサービス協会「JF外食産業市場動向調査」

(図26)1日の生活時間の変化(女性・無業・30代)

0 100 200 300 400 500

テレビ等

休養・くつろぎ

育児

家事

睡眠

平成3年

平成28年

(分)

(出所) 総務省「社会生活基本調査」(出所)総務省「社会生活基本調査」

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平成を振り返る[前編]

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