地域ケア会議は 『地域包括ケアシステム』 実現に...
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あいち介護予防支援センター 平成27年3月31日 1
地域ケア会議の進め方 ~第1章~
地域ケア会議は 『地域包括ケアシステム』 実現に向けた手法
第1章の内容
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・ 地域ケア会議開催の位置づけ ・ 地域包括ケアシステムとは ・ 地域包括ケアシステム構築を必要とする背景 ・ 地域ケア会議の開催
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1.介護保険法における位置づけ 2.
地域ケア会議の法的位置付け・法改正の内容(27年4月1日施行)
( 26年10月8日地域ケア会議推進に係る全国担当者会議資料より)
4 (参考)地域ケア会議の法的位置付け:介護保険法改正(27年4月1日施行:第115条の48) 「市町村は、適切な支援の検討等を行うために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者その他の関係者等により構成される会議を置くように努めるものとすること。」
( 26年10月8日地域ケア会議推進に係る全国担当者会議資料より)
いつまでも元気に暮らすために・・・
生活支援・介護予防
住まい
地域包括ケアシステムの姿
※ 地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定
■在宅系サービス: ・訪問介護 ・訪問看護 ・通所介護 ・小規模多機能型居宅介護 ・短期入所生活介護 ・24時間対応の訪問サービス ・複合型サービス (小規模多機能型居宅介護+訪問看護) 等
・自宅
・サービス付き高齢者向け住宅 等 相談業務やサービスの
コーディネートを行います。
■施設・居住系サービス ・介護老人福祉施設 ・介護老人保健施設 ・認知症共同生活介護
・特定施設入所者生活介護
等
日常の医療: ・かかりつけ医
・地域の連携病院
老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO 等
・地域包括支援センター ・ケアマネジャー
通院・入院 通所・入所 ・急性期病院
・亜急性期・回復期
リハビリ病院
病気になったら・・・
医 療
介護が必要になったら・・・
介 護
■介護予防サービス
地域の中で安心して暮らせる仕組み
認知症の人
○ 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。
○ 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。
○ 人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じています。
○ 地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。
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高齢者が安心して暮らせるネットワークの構築
=地域包括ケアネットワーク (厚生労働省資料改編)
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムの取り組み
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(自助) 本人・家族の意志決定、自己責任と「心構え」が土台
(互助・公助) フォーマル、インフォーマルサービス多様な担い手。住民活動の推進。
在宅医療の推進 医療と介護、多職種の連携。安心して医療が受けられる体制整備。
(自助・互助・共助・公助) 健康な期間(健康寿命)をより長くするための、介護予防の自助努力。 地域の介護予防につながる取り組み(互助)。 行政による保健予防のポピュレーションアプローチ(公助)。
①医療との連携強化 ターミナルを含め24時間対応の訪問診療、訪問看護やリハビリテーション
②介護サービスの充実強化 特養などの介護拠点の整備、24時間対応の在宅サービス
③予防の推進 要介護状態とならないための予防の取組や自立支援型介護の推進
④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など 一人暮らし、高齢夫婦のみ世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、自治会やNPOの協力を得ながら様々な生活支援(ごみ出し、見守り、配食など)や財産管理などの推進
⑤居場所の提供(高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備 高齢者専用賃貸住宅と生活支援拠点の一体的整備、持ち家のバリアフリー化の推進
(厚生労働省資料改編) 6
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地域包括ケアシステム構築を 必要とする背景
ポイント:少子高齢化となり、生産年齢が減少して少数で高齢者を支える ことが予測される。
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65歳以上の割合(高齢化率)
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健康日本21あいち新計画(2013)より
2020年
ポイント:2020年の高齢化がますます進み、 地域差が生ずると予測
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ポイント:要介護者の増加、高齢者単独・高齢者のみの世帯が増加すると予測される。
認知症の人の人数と総人口中の割合
(愛知県)
115,618
176,242
224,915 240,905
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
2.5%
3.0%
3.5%
4.0%
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
2010年 2020年 2030年 2040年 11
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1.財政問題 • 高齢者の増加と、若年層の減少(少子高齢化)による医療介護サービス等にかかる財源問題の深刻化
• 団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年をめどに、持続可能な社会の仕組みづくりが必要
• 全国一律のサービスの提供でなく、地域の実情に即した事業展開が必要
2.まちづくり(コミュニティの再構築) • コミュニティの再構築を図ることにより、高齢者を含む多様な課題を抱える住民が、住み慣れた地域で安心して生活できる環境整備
• 自治体全体の課題として誰もが住みよいまちづくりにつなげる
3.多職種協働による支援ネットワークの構築 • 高齢者が地域で尊厳あるその人らしい生活を継続するための、人的、物的支援ネットワークの構築
子供も高齢者も住み慣れた地域で安心してくらしたい
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個別事例から地域課題を抽出する
「地域課題」とは、対象者個人のみの課題(ニーズ)にとどまらず、地域に同様のニーズを抱えた高齢者やその予備軍の存在が想定され、地域全体の課題として取り組む必要のある課題。
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○個別事例の地域ケア会議を地域包括が開催する意義
地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援するため、下記の包括的支援事業等を地域において一体的に実施する役割を担う ①介護予防ケアマネジメント業務(法第115条の45第1項第2号) ②総合相談支援業務(法第115条の45第1項第3号) ③権利擁護業務(法第115条の45第1項第4号) ④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(法第115条の45第1項第5号)
効果的に事業を実施するための環境整備として、多職種協働による地域包括支援ネットワークの構築が求められ、その構築の1つの手法として、地域ケア会議が位置づけられています。 (参考)地域支援事業実施要綱(「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日 厚生労働省老健局長通知)
地域包括支援センターは地域包括ケアを支える中核拠点
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地域ケア個別会議の開催
個別事例の地域ケア会議は地域包括ケアシステムの根幹をなすもの。
≪個別事例の利点≫ ① 質的ニーズの把握 ・データ「量的分析」では把握しきれない質的ニーズを把握 ・地域の実態、実情に即した社会資源、仕組みづくりの検討が可能 ・予算の効果的活用につながる
② 現場の生の声を保険者に届ける ・個別支援をしつつも、地域全体を見渡すことは地域包括の特性 ・地域包括は行政よりも現場を把握しているという強みをもつ ・高齢者一人ひとりの思いや現場の専門職等の声を届ける
③ 包括的継続的ケアマネジメント支援 ・介護サービス提供重視ではなく、高齢者の自立に視点をおいたケアマネ ジメントの大切さを共通認識できる ・参加者がケア会議を通じて情報交換ができケアの質の向上や多職種と のネットワークの機会となる
個別事例(質的把握): 総合相談、ケアマネ、介護事業所からの事例の相談、本人 家族、民生委員や住民等からの相談等
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① 既存データ等の統計資料から(量的把握) 統計資料から把握した介護認定の要因、認定率や推移、 独居高齢者推移等、既存データから読み取れる課題
② 団体等からの意見聴取・要望(質的把握) 地域住民、介護事業所、地域のボランティア、ケアマネ等 高齢者に直接関わる団体の代表等からの意見聴取。 (団体の会議等で意見聴取の時間をもらう等)
③ 事例検討会、サービス担当者会議等(質的把握) 事例検討会、サービス担当者会議等、地域ケア会議では ないが、個別事例を扱う会議からの地域課題抽出。
④ アンケート調査等から(量的把握) 既存のアンケート調査等から既に判明している地域課題 アンケート調査結果の再分析
個別事例以外の地域会議の開催
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地域ケア会議開催のポイント
① 地域ケア会議の体制整備 • 会議開催の意義、目的、実施方法等について保険者と包括が共通認識をもつ
• 効果的な地域ケア会議の活用、運営のため、体制整備は必須 • 具体的な仕組みにつなげる一連の流れとフィードバックを適宜行うことで、参加者のモチベーションの維持向上を図り協力が得やすい
② 既存会議の活用 • 参加者、主催者の負担軽減を図るためにも、既存会議で「地域ケア会議」に置き換えが可能な会議があれば、積極的に活用していく。
• 会議の名称については「地域ケア会議」と称する必要はない。
会議名 個別課題解決機能
ネットワーク構築機能
地域課題発見機能地域づくり・資源開発機能
政策形成機能
【記入例】 ○○会議
◎ ◎ ○ △ ×
【既存会議と地域ケア会議としての機能の確認例】
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③ 改正介護保険法・新しい総合事業への反映 • 住民主体のサービス創出の際、地域ケア会議で把握した地域課題、住民ニーズを反映させていく。
• 在宅医療・介護連携の推進について、地域ケア会議から把握した課題を関係事業につなげる。
④ 市町村・社協の計画・事業との整合性 • 行政は地域包括ケアネットワーク構築が市全体の課題としてとらえ、全庁的に取組む必要性を認識する。
• 関係各課の計画、事業との整合性をチェック、活用する
⑤ 住民・専門職等への啓発の推進 • 地域包括ケアシステムについて、住民の役割(自助、互助)の啓発や、高齢期の生き方、終末期の選択をするための情報提供等を行う
• 専門職に対して、高齢者本人の自立支援をより意識することと、地域課題を意識できるような支援(研修等)
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①支援者が困難を感じているケース 例:サービス拒否、認知症、独居等 ②支援者が自立を阻害していると考えられるケース 例:過剰サービス提供等 ③支援が必要だと判断されるがサービスにつながっていないケース ④権利擁護が必要なケース 例:消費者被害、認知症者の意思決定等
個別事例の課題分析等を積み重ねることで 地域の共通課題に気づく!!
「地域ケア会議運営マニュアル」より(P28~29、42~47)
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○地域課題抽出の場面・方法 地域課題を見つけ出すには様々な場面や手法が考えられる。 質的ニーズ、量的ニーズの両面からニーズ把握をする。
地域課題は量的側面と質的側面の両方向からチェックをする。 ◇量的ニーズ【有】・質的ニーズ【有】 →優先度の高いニーズ。対策が必要 ◇質的ニーズ【有】・量的ニーズ【無】 → 費用対効果等も含め、一部の要支 援者のためにどのような対応が可能 か、検討が必要。 ◇量的ニーズ【有】・質的ニーズ【無】 →本当に地域の実態に合う対策はどの ような内容か、ヒアリング等含め検討。
(厚生労働省資料)
【個別事例】 地域ケア会議 多角的
アセスメントと個別支援
①地域課題の抽出 ②地域課題 の蓄積
• 個別事例のケア会議を実施しても対応困難な「残された課題」
• 事例検討会、サービス担当者会議等で出た他のケースにも共通する課題
• 地域の困りごとや要望としての住民の声
• サービスや事業、連携等に関する事業所等(専門職)からの声
• 地域包括の日頃の業務の中から把握された課題
等々
③地域課題の精査 (評価と分析)
• 事例検討会 • サービス担当者会議 • ケアマネジャー • 民生委員(相談・会議) • 介護サービス事業所 • 住民からの相談・苦情等 • 地域のサロン・介護予防教室・様々な集いの場
• データ分析 • 行政の各課 等々
包括の通常業務での対応
対応困難
対応困難
様々な場面からの 地域課題把握
「何となく」把握した地域課題を蓄積
ニーズの量的把握、背景や要因の分析、既存資源で解決ができないか等について精査する • 包括と行政が中心に実施 • 既存資源把握等は役所内の他課の情報が必要であり、行政のもつデータの活用等も必要
【評価分析方法の例】 既存の人的、物的社会
資源把握、調査 既存資源、ネットワーク、
会議等の活用の検討 根拠となるデータの把握、
調査(既存データやアンケート調査等の把握)
関係団体への意見聴取 背景と要因の分析
地域課題の分析をすることで方針を決める
【推進会議に上げず対応】 • 個別支援への反映(既存資源活用や支援方法の横展開)
• 関係者へのフィードバック(方向性を共有)
• 研修会、説明会等の開催(スキルアップ、啓発、連携強化)
【地域ケア推進会議】 地域課題を検討するための地域ケア会議。 • 課題に対する具体的対
応策の検討
⑤資源開発・活用 政策提言
地域課題を抽出し地域づくりにつなげる流れ
○社会資源の充実・強化 ○多職種ネットワーク構築
政策提言(予算化) 介護保険計画等への反映
解決困難
④地域課題を検討する地域ケア会議
個別事例のケア会議
が必要な場合
既に「地域課題」が明確な場合
対応困難
地域課題
連絡調整
保健所・保健センター 医療機関・薬局 訪問看護ステーション
介護支援専門員
NPO 民生委員住民組織
介護サービス施設・事業者
在宅医療連携拠点
警察署 消防署
民間企業等
市町村レベルの地域ケア会議
地域課題の発見・把握
社会福祉協議会
ボランティア
○地域包括支援センター(又は市町村)は、多職種協働による個別ケースのケアマネジメント支援のための実務者レベルの地域ケア会議を開 催するとともに、必要に応じて、そこで蓄積された最適な手法や地域課題を関係者と共有するための地域ケア会議を開催する。 ○市町村は、地域包括支援センター等で把握された有効な支援方法を普遍化し、地域課題を解決していくために、代表者レベルの地域ケア 会議を開催する。ここでは、需要に見合ったサービス資源の開発を行うとともに、保健・医療・福祉等の専門機関や住民組織・民間企業 等によるネットワークを連結させて、地域包括ケアの社会基盤整備を行う。 ○市町村は、これらを社会資源として介護保険事業計画に位置づけ、PDCAサイクルによって地域包括ケアシステムの実現へとつなげる。
地域包括ケアシステム の実現へ
地域づくり・資源開発の検討
地域包括支援ネットワーク
政策形成 社会基盤整備・介護保険事業計画等の
行政計画への位置づけなど
B地域包括支援センター
地域ケア会議 (個別ケース検討)
A地域包括支援センター
地域ケア会議 (個別ケース検討)
圏域ごとの地域ケア会議 圏域ごとの地域ケア会議
(厚生労働省資料改編)
「地域ケア会議」を活用した地域包括ケアシステム実現までのイメージ
医療・介護連携推進
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介護予防・生活習慣病予防等
見守り・支援 サービス提供
支援
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地域ケア会議と他の会議の違い
地域ケア会議運営マニュアル27-29参照
サービス担当者会議
運営基準に位置づけられたもので、ケアマネの主催により、ケアマネジメントサイクルの一環として、居宅サービス計画原案に位置づけたサービス担当者等と利用者の状況等に関する情報を共有し、当該担当者から専門的な見地からの意見を求めるために行われるもの。
事例検討会援助者の実践力の向上を目指すもので、今、抱えている事例の支援のあり方に限らず、過去の事例も題材にして、多様な援助のあり方を学習しあうもの。サービス担当者会議や地域ケア会議のように、検討した援助や対応策について、評価を求められることはない
地域ケア会議
保険者又は地域包括支援センターの主催により、包括的支援事業の一環として、サービス担当者以外の第三者を交え、個別ケースの支援内容の検討のほか、これらを通じて地域包括支援ネットワークの構築、自立支援に資するケアマネジメントの支援、地域課題の把握等を行うために行われるもの。
高齢者虐待対応会議
高齢者虐待防止法に基づき、高齢者虐待事例に関する対応を検討するための会議(コアメンバー会議・個別ケース会議等)。ケアマネが「虐待である」と気づかないままに相談をした場合であっても、「虐待」と判断された場合は高齢者虐待対応会議で取り扱う。
・既存の会議から、地域課題に目を向けケア会議を開催する ・どんな事例でも、蓄積してみると地域で検討が必要な課題 が見えてくる。
高齢者虐待対応の「個別ケース会議」との相違点
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権利擁護業務の一環として、地域ケア会議を活用する場合、以下のような地域課題の把握及び検討が行われると想定されます。
地域ケア会議運営マニュアル27~29参照
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参考文献
• 一般財団法人長寿社会開発センター「地域ケア会議運営マニュアル」平成25年3月
参考資料
• 平成25年度地域ケア会議運営に係る実務者研修資料(厚生労働省:平成25年11月~平成26年2月)
• 地域包括支援センターケアマネジメント強化事業広域支援員作成資料(あいち介護予防支援センター)
• 地域ケア会議推進に係る全国担当者会議資料(厚生労働省:平成26年10月8日)