新たな医薬品販売制度の概要 と 法令遵守 ... ·...
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新たな医薬品販売制度の概要
と
法令遵守のポイント
平成22年8月
日本薬剤師会
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はじめに
平成 22 年1~3月、厚生労働省は、平成 21 年6月に施行され
た新たな医薬品販売制度の定着状況の調査を行いました※。
この調査は、調査員が消費者の視点で薬局等を調査したもの
で、結果として、第一類医薬品の陳列状況、リスク分類別の陳列
状況、従事者の名札の有無、第一類医薬品購入時の説明の状
況等において、新たな販売制度への対応が不十分であるという
実態が示されました。
特に、独立店において新たな販売制度の遵守率が低いことも
指摘されております。
そのため、本冊子に、新たな医薬品販売制度の概要を示すと
ともに、法令順守のポイントをまとめましたので、ご活用いただけ
れば幸いです。
なお、厚生労働省は本年度も同様の調査を実施する予定で
すので、ご留意下さい。
※「新たな販売制度の実効性の確保のための一般用医薬品販
売制度定着状況調査」(いわゆる覆面調査):平成 22 年1~3
月、厚生労働省
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Ⅰ 新たな医薬品販売制度について
新たな医薬品販売制度は、平成 15 年から続く「医薬品の一般
小売店における販売」という規制緩和要望への対応という観点と、
薬局が行っている業務を国民にわかりやすく示すとともに、より
国民の側に立った情報提供等を行う目的で導入されたものであ
ると捉える必要があります。
これまでも薬局は、医薬品の供給に真摯に取り組んできました
が、「一般の薬店・ドラッグストアなどで、対面で服薬指導されて
いる実態は乏しい。消費者ニーズに対応するためにも危険性の
低い医薬品については販売可能とすべき(総合規制改革会
議)」とされ、規制緩和要望が強まりました。
医薬品を一般小売店で販売できるような改正の実施は、薬剤
師の存在の否定に繋がることから、本会では強い反対活動を実
施し、平成 15 年 6 月には全国紙に一面広告を掲載し、下記の3
つの約束をしました。
これらの結果、一旦は一部医薬品を医薬部外品に移行させる
ことでの決着を見ましたが、規制緩和要望は強く、その後の「医
薬品販売制度改正検討部会」で一般用医薬品をリスク分類し、リ
スクに応じた販売方法を定める等の報告書がまとめられ、その報
告書を基に薬事法が改正されました。
薬を安全に飲んでほしいから
私たち薬剤師会は、次のことを徹底いたします。
1 夜間・休日に必要な医薬品を入手しやすいようにします。
2 医薬品購入者への適切な説明、服薬指導を徹底します。
3 薬剤師の名札を着用し、責任の所在を明確にします。
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Ⅱ 新たな医薬品販売制度の要点
○医薬品の分類
医薬品 薬 局 医 薬 品 医療用医薬品
薬 局 製 剤
一般用医薬品 第一類医薬品
第二類医薬品
第三類医薬品
※この他の規定
・指定第二類医薬品:第二類医薬品のうち、特別の注意を要
する医薬品です。
・調剤された薬剤:調剤された薬剤は、医療用医薬品を調剤し
たものですが、医療用医薬品とは別に「調剤された薬剤」とし
て分類します。
・処方せん医薬品:医療用医薬品のうち、一般人に対しては、
処方せんに基づく使用に限定されたもの。
■体外診断薬について
体外診断薬には、医療用の体外診断薬と一般用の体外診断
薬の2つがあります。医療用の体外診断薬は、医療用医薬品
と同じ取扱いになります。
○分類毎の陳列
・医薬品を医薬品以外と区別して陳列する。
・第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品を区分して陳
列する。
・第一類医薬品は、消費者が触れられない場所に陳列する。
・指定第二類医薬品は、情報提供場所から7m以内の範囲、又
は直接手の触れられない場所に陳列する。
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・専門家不在のため、一般用医薬品や第一類医薬品を販売し
ない時間は、陳列する場所を閉鎖する。
・薬局医薬品は調剤室以外の場所に貯蔵又は陳列しない。
○分類毎の情報提供
・第一類医薬品は、書面を用いた情報提供を行う。
・第二類医薬品は、必要な情報提供を行う。
・薬局医薬品(医療用医薬品+薬局製剤)は、書面を用いた情
報提供を行う。
・情報提供場所を設置する。
○その他
・すべての医薬品についての相談を応需する。
・名札を着用する。
○掲示等(経過措置有り)
・薬局等の管理及び運営に関する事項を掲示する。
・一般用医薬品の販売に関する制度に関する事項を掲示する。
・「一般用医薬品の情報提供等」に関する指針と業務手順書を
整備する。
■この他の事項については、巻末の資料(平成 21 年 5 月 22 日
付 日薬ニュース号外)をご覧下さい。
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Ⅲ 法令順守のためのポイント
A.陳列について
○医薬品を医薬品以外と区別して陳列する。 ▽消費者から見ても明確にわかる区分された陳列であること
・医薬品のドリンク剤と医薬部外品のドリンク剤が混在していませんか?
・医薬品のビタミン剤とサプリメント等が混在していませんか?
・医薬品と健康食品が混在していませんか?
▽消費者が1つ1つ商品を手にとって確認しなければならない
陳列では、「明確にわかる」とは言えません。
▽消費者が、棚を見ただけでわかることが、ポイントです。
○第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医
薬品を区分して陳列する。
▽消費者から見ても明確にわかる区分された陳列であること。 ※消費者が紛らわしいと感じる陳列の例
・1つの棚に複数の分類を陳列しており、その区分が見ただけではわ
からない。
・薬効別で見ると区分して陳列されているが、すぐ隣に別の薬効分類
の医薬品が並んでいて一見わかりにくい。
▽消費者が1つ1つ商品を手にとって確認しなければならない
陳列では、「明確にわかる」とは言えません。
▽消費者が、棚を見ただけでわかることが、ポイントです。
▽カウンター内側の陳列であっても、第一類、第二類、第三類
の3つを区分して陳列しなければなりません。
○第一類医薬品は、消費者が触れられない
場所に陳列する。
▽第一類医薬品は、鍵をかけた陳列設備やカウンター内等に
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あり、消費者が直接手の触れられないように陳列しなければ
なりません。
▽ただし、第一類の空箱や製品リストを、第二類・第三類の陳列
場所で示すことは可能です。
○指定第二類医薬品は、情報提供場所から
7m以内の範囲、又は直接手の触れられ
ない場所に陳列する。
▽指定第二類医薬品は、「情報提供場所(後述)から7m以内
の範囲」、または、「鍵をかけた陳列設備やカウンター内等の
消費者が直接手の触れられない場所」に陳列しなければなり
ません。
○専門家不在のため、一般用医薬品や第一
類医薬品を販売しない時間は、陳列する
場所を閉鎖する。
▽薬局の場合は、薬剤師が常駐していなければなりませんので、
該当する事例は少ないと考えられます。
▽一般用医薬品を販売しない営業時間は、一般用医薬品の陳
列や交付をする場所を閉鎖します。
▽第一類医薬品を販売しない営業時間は、第一類医薬品の陳
列場所を閉鎖します。ただし、鍵をかけた陳列設備に第一類
医薬品を陳列している場合は、閉鎖しなくても問題ありませ
ん。
▽閉鎖の方法は、社会通念上、物理的に遮断され、進入が困
難なものである必要があります。例えばシャッター、パーティシ
ョン、チェーン等が該当しますが、可動式の場合は、従業者
以外の者が動かせないようにします。
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▽また、閉鎖区画の入口に「専門家不在時の販売等は薬事法
に違反するためできない」旨を表示します。
○薬局医薬品※は調剤室以外の場所に貯
蔵又は陳列しない。 ※薬局医薬品=医療用医薬品+薬局製剤
▽薬局医薬品は陳列できません。
▽薬局製剤のリスト・空箱等を一般用医薬品の陳列場所で示す
ことは可能です(薬局製剤そのものは陳列できません)。
▽医療用医薬品については、製品そのものはもちろん、製品名
リストや空箱等も示すことはできません。
▽薬局医薬品は下記の場所で貯蔵します。
・調剤室
・倉庫等の薬局従事者のみが立ち入ることができる場所
・陳列什器の上部や下部のストッカー部分等当該薬局の従
事者のみが手にとることが出来る場所
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B.情報提供について
○第一類医薬品は、薬剤師が書面を用いて
情報提供を行う。
▽消費者が情報提供不要であると言わない限り、必ず情報提
供を行わなければなりません。
▽薬剤師は書面を用いて情報提供を行います。
▽情報提供する項目は「①名称」、「②成分・分量」、「③用法・
用量」、「④効能・効果」、「⑤使用上の注意のうち、保健衛生
上の危害の発生を防止するために必要な事項」、「⑥その他
薬剤師が必要と判断する事項」の6つです。
▽消費者に書面を渡しただけでは「書面を用いて情報提供」を
行ったことになりません。
▽書面を用いず、口頭だけの説明では「書面を用いて情報提
供」を行ったことになりません。
▽情報提供に用いた書面は、必ずしも消費者に渡す必要はあ
りません。
▽消費者から見て薬剤師が情報提供を行っていることがわかる
ようにする必要があります(名札・着衣)。
▽情報提供に必要な書面のサンプルは、日薬会員向けホーム
ページで提供しています。
○第二類医薬品は、必要な情報提供を行う。
▽第二類は、必要に応じ、専門家(薬剤師か登録販売者)が情
報提供を行います。
▽消費者から見て専門家が情報提供を行っていることが見てわ
かるようにする必要があります(名札・着衣)。
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○薬局医薬品(医療用医薬品※+薬局製剤)
は、書面を用いた情報提供を行う。 ※「調剤された薬剤」については別記します。
▽薬局医薬品も、第一類医薬品と同様に、薬剤師が書面を用
いて情報提供を行う必要があります。
▽消費者が情報提供不要であると言っても、積極的に情報提
供を行わなければなりません。
▽情報提供する項目は第一類医薬品と同じです。
▽消費者に書面を渡しただけでは「書面を用いて情報提供」を
行ったことになりません。
▽書面を用いず、口頭だけの説明では「書面を用いて情報提
供」を行ったことになりません。
▽情報提供に用いた書面は、必ずしも消費者に渡す必要はあ
りません。
▽消費者から見て薬剤師が情報提供を行っていることがわかる
ようにする必要があります(名札・着衣)。
■医療用医薬品の販売には種々の遵守事項があります。詳しく
は、巻末の資料(「処方せん医薬品等の取扱いについて」(平
成17年3月30日、厚労省医薬食品局長通知)をご覧下さい。
○調剤された薬剤の情報提供に関する留意
点
▽薬剤師は適正使用のために、必要な情報を書面を用いて提
供しなければなりません。
▽情報提供する項目は「①名称」、「②成分・分量」、「③用法・
用量」、「④効能・効果」、「⑤その他薬剤師が必要と判断する
事項」の 5 つです。
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▽ただし、薬剤師法第 25 条に規定する情報が記載された薬
袋等を用いて情報提供する場合は、前記①~④の記載は必
要ないとされています。
▽そのため、⑤に該当する事項がない場合には、従来どおり薬
袋のみで差し支えありません。また、⑤に該当する事項の情
報提供を行う場合、薬袋に加え⑤に関する記載を行った書面
を用いて情報提供することで差し支えありません。
○情報提供場所を設置する。
▽一般用医薬品の取扱いがなくても必須です。
▽具体的には、医薬品を通常陳列する場所又は交付する場所
となります。
▽構造設備規則により、平成 24 年 6 月 1 日以降※は下記の要件
を満たす情報提供場所が必要となります。 ※既存薬局等(H21.5.31 時点で存在していた薬局等)に対する経過措置であり、
新設の薬局等では許可時に適合している必要があります。
□複数の情報提供場所がある場合は、いずれかの場所が下記の要件
に適合している必要があります。
・調剤室に近接する場所にあること※。 ※店舗販売業には当てはまりません。
・第一類医薬品を陳列する場合には、第一類医薬品陳列区画の内部
又は近接する場所にあること。
・指定第二類医薬品を陳列する場合には、指定第二類医薬品の陳列
設備から7メートル以内にあること。ただし、指定第二類医薬品が鍵を
かけた陳列設備やカウンター内等にあり、消費者が直接手の触れら
れないように陳列されている場合は、この限りではありません。
・二以上の階に医薬品の陳列場所や交付場所がある場合には、各階
のそれらの場所の内部にあること。
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C.その他
○すべての医薬品についての相談を応需す
る。
▽調剤された薬剤、薬局医薬品、一般用医薬品の全てについ
て、消費者(患者)から相談を受けた場合には、それを応需す
る必要があります。
▽上記の医薬品を、その薬局で買おうとしている人と、その薬
局で買った人(買った本人だけではなく、家族等も含む)から
の相談が対象です。
▽調剤された薬剤は情報提供場所又は患者の居宅等で、薬局
医薬品又は一般用医薬品の場合は情報提供場所で、薬剤師
が情報提供します。
○名札を着用する。
▽薬剤師、登録販売者、一般従事者の全員が名札をつけなけ
ればなりません。
▽名札には「氏名」を記載します。「名字」だけでなく「名前」も記
載する必要があります。
▽薬剤師・登録販売者の場合は、それぞれ氏名に加え「薬剤
師」、「登録販売者」と記載した名札を着用するか、氏名を記載
した名札に加え、薬剤師又は登録販売者の別を記載したバッ
チ等を着用します。
▽一般従事者は、氏名のみ、又は氏名に加え「一般従事者」と
記載した名札を着用します。
▽休憩時間後の名札付け忘れや、名札が裏返ってしまうことも
ありますので、姿見の利用や従業員間でのチェック等の実施
が重要です。
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D.掲示物、指針・手順書等
▽既存薬局等(H21.5.31 時点で存在していた薬局等)はH
24.5.31 までに整備する必要があります。新設の薬局等では
許可時に適合している必要があります。
▽掲示物例、指針・手順書作成例とも、日薬会員向けホームペ
ージでサンプルの提供を行っています。
○薬局等の管理及び運営に関する事項を掲
示する。
▽下記の事項を薬局等に掲示します。 ・許可の区分の別
・開設者の氏名又は名称その他開設の許可証の記載事項※ ※薬局等の開設許可証を掲示しているので、別に掲示する必要はありません。
・管理者の氏名
・勤務するすべての薬剤師又は登録販売者の氏名を記載し、その上で、
その営業時間において、現に勤務している者がわかるように表示
・取り扱う一般用医薬品の区分
・勤務する者の名札等による区別に関する説明
・営業時間、営業時間外で相談できる時間
・相談時及び緊急時の連絡先
▽薬局・店舗販売業とも、開設許可証の掲示は薬事法施行規則
上の必須事項です。
○一般用医薬品の販売に関する制度に関す
る事項を掲示する。
▽下記の事項を薬局等に掲示します。 ・第一類、第二類及び第三類医薬品の定義及びこれらに関する解説
・第一類、第二類及び第三類医薬品の表示に関する解説
・第一類、第二類及び第三類医薬品の情報の提供に関する解説
・指定第二類医薬品の陳列等に関する解説
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・一般用医薬品の陳列に関する解説
・医薬品による健康被害の救済に関する制度に関する解説
・苦情相談窓口の掲示(多くの場合、都道府県薬剤会と都道府県の行
政が苦情相談窓口になっています。)
○「一般用医薬品の情報提供等」に関する
指針と業務手順書を整備する。
▽薬局は下記の指針と業務手順書の整備が必要です。 ・調剤された薬剤及び医薬品の情報提供等のための業務に関する指
針の整備
・調剤された薬剤及び医薬品の情報提供等のための業務に関する業
務手順書の整備
・医療安全管理指針の整備(平成 19 年 4 月 1 日施行済)
・医療安全管理指針に基づく業務手順書の整備(平成 19 年 4 月 1 日
施行済)
▽店舗販売業は下記の指針と業務手順書の整備が必要です。 ・一般用医薬品の情報提供等のための業務に関する指針の整備
・一般用医薬品の情報提供等のための業務に関する業務手順書の整
備
・従事者から店舗販売業者への事故報告の体制の整備
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※二枚目のチェックリストは省略
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○処方せん医薬品等の取扱いについて
(平成17年3月30日)
(薬食発第0330016号)
(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局長通知)
薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)によ
る改正後の薬事法(昭和35年法律第145号。以下「新薬事法」という。)第49条第1項の規定に基
づき、処方せん医薬品が指定され、この処方せん医薬品の指定の趣旨等については、平成17年2
月10日付け薬食発第0210001号医薬食品局長通知「処方せん医薬品の指定について」により通知
したところです。
今般、処方せん医薬品等の取扱いについて下記のとおり定めましたので、本件に御留意の上、
貴管内関係団体に周知を図るとともに、その取扱いに遺漏なきようお願いします。
記
1.処方せん医薬品について
(1) 原則
処方せん医薬品については、病院、診療所、薬局等へ販売(授与を含む。以下同じ。)す
る場合を除き、新薬事法第49条第1項の規定に基づき、医師等からの処方せんの交付を受け
た者以外の者に対して、正当な理由なく、販売を行ってはならないものであること。
なお、正当な理由なく、処方せん医薬品を販売した場合については、罰則が設けられて
いるものであること。
(2) 正当な理由について
新薬事法第49条第1項に規定する正当な理由とは、次に掲げる場合によるものであり、こ
の場合においては、医師等の処方せんなしに販売を行っても差し支えないものであること。
① 大規模災害時等において、医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方せんの
交付が困難な場合に、患者に対し、必要な処方せん医薬品を販売する場合
② 地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る処方せ
ん医薬品を販売する場合
③ 市町村が実施する予防接種のために、市町村に対し、予防接種に係る処方せん医薬品
を販売する場合
④ 助産師が行う臨時応急の手当等のために、助産所の開設者に対し、臨時応急の手当等
に必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑤ 救急救命士が行う救急救命処置のために、救命救急士が配置されている消防署等の設
置者に対し、救急救命処置に必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑥ 船員法施行規則第53条第1項の規定に基づき、船舶に医薬品を備え付けるために、船長
の発給する証明書をもって、同項に規定する処方せん医薬品を船舶所有者に販売する場
合
⑦ 医学、歯学、薬学、看護学等の教育研究のために、教育・研究機関に対し、当該機関
の行う教育・研究に必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑧ 在外公館の職員等の治療のために、在外公館の医師等の診断に基づき、当該職員等に
対し、必要な処方せん医薬品を販売する場合
⑨ その他①から⑧に準じる場合
なお、①の場合にあっては、可能な限り医師等による薬局等への販売指示に基づき、④、
⑤及び⑧の場合にあっては、医師等による書面での薬局等への販売指示をあらかじめ受け
ておくなどする必要があること。このうち、④及び⑤については、販売毎の指示は必要で
はなく、包括的な指示で差し支えない。
また、⑥に規定する船長の発給する証明書については、昭和41年5月13日付け薬発第296
号「船員法施行規則の一部改正及びこれに伴う船舶備付け要指示医薬品の取扱いについ
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て」の別紙様式に準じて取り扱われたいこと。
2.処方せん医薬品以外の医療用医薬品について
(1) 原則
処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、処方せん医薬品と同様に、医療用医薬
品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものであること。
このため、処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、
使用上の注意等が医師、薬剤師等の専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療
において用いられることを前提としており、1.(2)に掲げる場合を除き、薬局においては、
処方せんに基づく薬剤の交付が原則であること。
(2) 処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについて
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、病院、診療所、薬局等へ販売する場合
を除き、処方せんに基づく薬剤の交付を原則とするものであるが、一般用医薬品の販売に
よる対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおい
ては、必要な受診勧奨を行った上で、次に掲げる事項を遵守すること。
① 数量の限定
販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限定すること。
② 調剤室での保管・分割
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師
等の処方せんに基づく調剤に用いられるものであることから、通常、処方せんに基づく
調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管すること。
また、販売に当たっては、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分
割すること。
③ 販売記録の作成
事後に保健衛生上の支障が生じた場合に、迅速な対応を講ずることができるようにし
ておく必要があることから、販売時において、販売品目、販売日、販売数量並びに患者
の氏名及び連絡先を記録すること。
④ 薬歴管理の実施
販売された処方せん医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等
との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施すること。
⑤ 薬局における薬剤師の対面販売
販売に当たっては、薬局において、薬剤師が対面により販売すること。
(3) その他の留意事項
処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売に当たっては、処方せんに基づく薬剤の交付
又は一般用医薬品の販売等と同様に、次の事項にも留意すること。
① 広告の禁止
患者のみの判断に基づく選択がないよう、引き続き、処方せん医薬品以外の医療用医
薬品を含めた全ての医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行わないこと。
② 服薬指導の実施
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、消費者が与えられた情報に基づき最
終的にその使用を判断する一般用医薬品とは異なり、医療において用いられることを前
提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行うこ
と。
③ 添付文書の添付等
処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売については、分割販売に当たることから、
販売に当たっては、外箱の写しなど新薬事法第50条に規定する事項を記載した文書及び
同法第52条に規定する添付文書又はその写しの添付を行うなどすること。