「消費者被害額」の推計結果 (暫定版)...2 0. 目次 1.導入 2.検討...

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1 消費者被害に関連する数値指標の整備に関する調査 「消費者被害額」の推計結果 (暫定版) 平成26年3月3日 資料-2

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Page 1: 「消費者被害額」の推計結果 (暫定版)...2 0. 目次 1.導入 2.検討 ①消費者意識基本調査における「被害経験」の的確な把握 ②PIO-NETを用いた被害額の平均値の適正化

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消費者被害に関連する数値指標の整備に関する調査

「消費者被害額」の推計結果(暫定版)

平成26年3月3日

消 費 者 庁

資料-2

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0. 目次

1.導入

2.検討

① 消費者意識基本調査における「被害経験」の的確な把握

② PIO-NETを用いた被害額の平均値の適正化

③ 「相談情報」であるPIO-NETの特性に応じた平均被害額の補正

④ 高齢者被害の特性に応じた平均被害額の補正

⑤ 被害相当額の推計

⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計

⑦ 詐欺統計の活用

(参考値:各種検討結果)

3.検討結果

4.参考資料

・・・ P 3 ~ 4

・・・ P 5 ~ 22

・・・ P 5 ~ 6

・・・ P 7

・・・ P 8 ~ 10

・・・ P11 ~ 12

・・・ P13 ~ 14

・・・ P15 ~ 19

・・・ P20 ~ 21

・・・ P22

・・・ P23 ~ 24

・・・ P25 ~ 27

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1.導入 「消費者被害額」の推計概要 フローチャート

① 平均被害額の算出

・「PIO-NETデータ」から「平均被害額」を算出する。

② 被害件数の推定

・「消費者意識基本調査」より「被害割合」を算出する。

・「被害割合」に国内の「総人口」を乗じて「被害件数」を推定する。

③ 消費者被害額の推定

・①の「平均被害額」に②の「被害件数」を乗じて

「消費者被害額」を推定する。

PIO-NETデータ消費者意識基本調査

平均被害額の算出

被害件数の推定

消費者被害額の推定

今回の推計に使用している2つのデータ

・「消費者意識基本調査」は、平成25年1月~12月の期間について調査を実施している。(2月14日時点回収分)

・「PIO-NET」データは、平成25年1月~12月のデータを抽出している。(平成26年1月末時点登録分)

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1.導入 「消費者被害額」推計方法の検討における問題意識

検討① 消費者意識基本調査における「被害経験」の的確な把握

回答者は「消費者被害の経験」を十分に記述できていないのではないか?

検討② PIO-NETを用いた被害額の平均値の適正化

平均値の算出に当たり、消費者被害とは性格の異なるものを含んでいるのではないか?

検討③ 「相談情報」であるPIO-NETの特性に応じた平均被害額の補正

PIO-NETに登録されている情報は高額な被害に偏っているのではないか?

検討④ 高齢者被害の特性に応じた平均被害額の補正

高齢者は自分から相談しない、被害を認識しない、といった特性を考慮すべきではないか?

検討⑤ 被害相当額の推計

被害額=「契約購入金額」「既支払額」ではなく、その一部なのではないか?

検討⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計

消費者が事業者に支払った金額に加えて、派生被害・問題対応費用も被害に算入すべきではないか?

検討⑦ 詐欺統計の活用

詐欺については、警察庁の「特殊詐欺」に関する統計情報を活用すべきではないか?

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2.検討① 消費者意識基本調査における「被害経験」の的確な把握(1)

• 「消費者意識基本調査【問5】」の「購入した商品、利用したサービスが原因で被害を受けた経験」について、いずれか1つでも「ある」とした回答者は、304人(回答者数の7.5%)。

• 「被害経験あり」の割合は、「60歳未満」では「女性」の方が、「60歳以上」では「男性」の方が大きい傾向にある。

• 年齢別では、「50歳代」が「被害経験あり」の割合のピークになっている。

男性 女性 合計

15~29歳 7.4% 7.5% 7.5%

30~39歳 6.9% 8.6% 7.7%40~49歳 8.1% 8.7% 8.4%50~59歳 8.3% 9.3% 8.9%

60~69歳 8.0% 5.1% 6.5%

70歳以上 8.2% 5.1% 6.6%

合計 7.8% 7.2% 7.5%

被害経験ありの割合

参考:内閣府「国民生活選好度調査」(2008年)問:あなたは、平成18年4月から平成19年3月までの間に、購入した商品や利用したサービスについて被害を受けたり、また、振り込め詐欺による被害を受けたことがありますか。

被害あり:2.6% 被害なし:97.4%

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2.検討① 消費者意識基本調査における「被害経験」の的確な把握(2)

• 「消費者意識基本調査【問6】」 で記載された「被害件数」に対する全有効回答数の割合は、8.5%(= 343/4,040)。

• 被害内容別には、「(イ) 機能・品質やサービスの質が期待よりかなり劣っていた」について「経験あり」の割合が最も大きく、次いで「(エ) 表示・広告と実際の商品・サービスの内容がかなり違っていた」の割合が大きい。それ以外については、「経験あり」の割合が1%にも達していない。

問6 あなたがこの1年間に購入した商品、利用したサービスについてお尋ねします。この1年間に、以下にあてはまる経験がありますか

「ア 安全・衛生」~「ク その他」はそれぞれ以下の通り

(ア) けが、病気をする等、安全性や衛生に問題があった

(イ) 機能・品質やサービスの質が期待よりかなり劣っていた

(ウ) 思っていたよりかなり高い金額を請求された

(エ) 表示・広告と実際の商品・サービスの内容がかなり違っていた

(オ) 問題のある販売手口やセールストークにより契約・購入した

(カ) 契約・解約時のトラブルにより被害に遭った

(キ) 詐欺によって事業者にお金を払った(又はその約束をした)

(ク) その他、消費者被害の経験

→ただし、343件中には「既支払額」が「なし」(42件)とするなど、実害が発生していないものが含まれている可能性があり、これらを被害件数として算入すべきかは要検討。

「消費者意識基本調査【問6】」から「被害件数の割合」は、8.5%(=343/4,040)。

「人口推計(総務省)」から「15歳以上人口」は、110,861千人(平成25年9月)。

「推定被害件数」は、「被害件数の割合」 × 「15歳以上人口」 = 9,412,209件(約941万件)。

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【PIO-NETの平均額の計算から除外するもの】

• 「企業」や「団体」からの相談 ⇒ 「消費者意識基本調査」の回答者との整合性から

• 相談者と契約者が同一ではない ⇒ 「消費者意識基本調査」の回答者との整合性から

• まだ契約・申込みしていない相談

• 相続、婚姻、慣習、相隣関係、健康管理や家庭管理などに関する相談

• 行政サービスに関する相談

• 融資サービスに関する相談 ⇒ 一般の「事業者から物を買う」タイプの相談と性格が異なるため、PIO-NETでは融資サービスの「契約購入金額」欄に負債総額が記載されている例が多いなど、そのまま使うのは不適当。(また、アンケートでも正確な回答が期待できない)

2.検討② PIO-NETを用いた被害額の平均値の適正化

「PIO-NET」データは、消費生活センターに寄せられた消費生活相談に関するデータが収集されているため、必ずしも「消費者被害」とは言い難いデータも存在する。そこで、「消費者意識基本調査」との整合などを考慮して、対象データの抽出を実施する。

平成20年での推計では、「融資サービスに関する相談」は除外していなかった。

今回の推計では「融資サービスに関する相談」を除外することとした。

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• 「消費者意識基本調査【問6】」の「⑥商品・サービスの金額(契約購入金額)」の平均値は、231,276円、「⑦既に支払った金額(既支払額)」の平均値は、73,175円(共に0円を除く)。

• 「PIO-NET」データの「契約購入金額」の平均値は、1,058,711円、「既支払額」の平均値は、984,113(共に0円を除く) 。

• 「契約購入金額」「既支払額」ともに「消費者意識基本調査」では「1万円未満」の割合が大きく、「PIO-NET」データでは「1万円以上」の割合が大きい傾向にある。

2.検討③ 「相談情報」であるPIO-NETの特性に応じた平均被害額の補正(1)

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• 「消費者意識基本調査【問10】付問2「消費生活センター」へ相談する最低被害金額」は、過半数が「金額に関係なく相談する」と回答している一方で、4割程度が「1万円以上」の場合に「消費生活センター」へ相談すると回答している(「金額に関係なく相談しない」や無効回答を除く )。

• 前述の金額別構成割合も考慮すると、「1万円未満」の被害は、相対的に「消費生活センター」へ相談されにくい傾向にあると想定される。

⇒ 以上より、「PIO-NET」データを金額「1万円」を境に分割し、別々に平均被害額を算出した上で推計する。

2.検討③ 「相談情報」であるPIO-NETの特性に応じた平均被害額の補正(2)

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「PIO-NET」データは、「消費者意識基本調査」と比べて、被害金額が小さい案件の情報が少ない傾向にあるため、「1万円」を境界として、それぞれの平均被害額から消費者被害額を求めた上で、その合計値を消費者被害額として算出する(ただし、「PIO-NET」データの平均被害額の算出においては、金額未入力データの補正を行わない(未入力データについては金額の区分ができないため))。

• 「消費者意識本調査【問6⑥】」から「契約購入金額」の「0円」は 1.5% 、「1万円未満」は 55.3% 、「1万円以上」は 43.2% 。

• 「消費者意識本調査【問6⑦】」から「既支払額 」の「0円」は 15.2% 、「1万円未満」は 48.4% 、「1万円以上」は 36.5% 。

(推定被害件数) 1万円未満 1万円以上

契約購入金額 5,201,484件 4,069,188件

既支払額 4,553,199件 3,431,888件

(平均被害額) 1万円未満 1万円以上

契約購入金額 4,106円 1,347,165円

既支払額(信用供与含む) 4,062円 1,432,847円

既支払額 4,058円 1,353,384円

(消費者被害額) 1万円未満 1万円以上 合計=平成25年方式

契約購入金額 21,357,293,304円 5,481,867,652,020円 約5.5兆円(5,503,224,945,324円)

既支払額(信用供与含む) 18,495,094,338円 4,917,370,425,136円 約4.9兆円(4,935,865,519,474円)

既支払額 18,476,881,542円 4,644,662,308,992円 約4.7兆円(4,663,139,190,534円)

×

2.検討③ 「相談情報」であるPIO-NETの特性に応じた平均被害額の補正(3)

(基礎推計値)

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2.検討④ 高齢者被害の特性に応じた平均被害額の補正(1)

• 「60歳以上」の女性の高齢者においては、「被害経験あり」の割合が「50歳代」の半分近くまで減少している。

⇒ 高齢者自身は被害と認知していないが、実際は被害に相当する案件が少なからず存在していると想定されるため、被害額の推計においては、高齢者の被害額を補正する必要がある。

「平成25年版消費者白書(消費者庁)」より

2012年度の契約当事者の年代別構成比

国民生活センター「消費生活年報2013」より

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高齢者における消費者被害の補正

被害件数 平均被害額 消費者被害額

契約購入金額 約93万件 1,356,851円 約1.3兆円(1,260,549,857,126円)

既支払額(信用供与含む) 約93万件 837,869円 約0.8兆円(778,402,085,594円)

既支払額 約93万件 758,894円 約0.7兆円(705,032,257,244円)

• 高齢者(65歳以上)においては、相談者と契約者が異なる場合の消費者被害額を追加で算出する。

• 「平均被害額」については、「PIO-NET」データより、高齢者(65歳以上)において相談者と契約者が異なる案件から算出する。

• 高齢者(65歳以上)において相談者と契約者が異なる「推定被害件数」については、以下の通り算出する。

①「15歳以上の推定被害件数:9,412,209 件」×「高齢者(65歳以上)の割合:24.8%(=85/343「消費者意識基本調査」より)」

=「高齢者(65歳以上)において相談者と契約者が同一の推定被害件数:2,332,472 件」

②「PIO-NET」データより、高齢者(65歳以上)において、

「相談者と契約者が異なる案件数」/「相談者と契約者が同一の案件数」= 50,399 / 126,535

③ ① × ② = 「高齢者(65歳以上)において相談者と契約者が異なる推定被害件数:929,026 件(約93万件)」

「消費者意識基本調査」は本人からの相談のみを対象としており、家族など本人以外からの相談は捕捉していない。一方、高齢者においては本人以外からの相談割合も多く、無視できない状況にある。そこで、高齢者における本人以外からの被害額をここで推計する。

2.検討④ 高齢者被害の特性に応じた平均被害額の補正(2)

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2.検討⑤ 被害相当額の推計(1)

平均被害額の算出に用いる「PIO-NET」データは、契約購入金額や既支払額のみであり、被害相当額と一致している訳ではないと考えられる。

「商品・サービスの代金」の「一部」の推計方法

・平均被害額の算出に用いる「PIO-NET」データは、契約購入金額や既支払額という情報のみである。

・一方で、「消費者意識基本調査【問6】」では「⑦既支払額」に加えて、「⑧被害にあたると思う金額」(被害相当額)を調査している。

・そこで、以下のような推計を行うことで、「商品・サービスの代金」における消費者被害額について、実態に近い被害相当額を推計することができると考える。

・「消費者意識基本調査【問6】」より、「⑦既支払額」や「⑧被害相当額」のいずれかが無回答の場合や、「⑦既支払額」が0円の場合を除いて、「⑦既支払額」に対する「⑧被害相当額」の割合の平均値を算出する。

・「PIO-NET」データより算出した「平均被害額」に、上記の「⑦既支払額」に対する「⑧被害相当額」の割合を乗じて、最終的な「平均被害額」を算出する。

・以後は「全額」の推計と同様に、「消費者意識基本調査」から「推定被害件数」を算出し、「平均被害額」と「推定被害件数」を乗じて「消費者被害額」を算出する。

※消費者意識基本調査において、343件の被害についての回答のうち、204件が上記の「⑦既支払額」に対する「⑧被害相当額」の割合の平均値算出の対象件数であった。

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• 「消費者意識本調査【問6⑥】」から「契約購入金額」の「0円」は 1.5% 、「1万円未満」は 55.3% 、「1万円以上」は 43.2% 。

• 「消費者意識本調査【問6⑦】」から「既支払額 」の「0円」は 15.2% 、「1万円未満」は 48.4% 、「1万円以上」は 36.5% 。

(推定被害件数) 1万円未満 1万円以上

契約購入金額 5,201,484件 4,069,188件

既支払額 4,553,199件 3,431,888件

(平均被害額) 1万円未満 1万円以上

契約購入金額 2,578円 722,797円

既支払額(信用供与含む) 2,551円 768,768円

既支払額 2,548円 726,134円

(消費者被害額) 1万円未満 1万円以上 合計=平成25年方式

契約購入金額 13,409,425,752円 2,941,196,878,836円 約3.0兆円(2,954,606,304,588円)

既支払額(信用供与含む) 11,615,210,649円 2,638,325,673,984円 約2.6兆円(2,649,940,884,633円)

既支払額 11,601,551,052円 2,492,010,560,992円 約2.5兆円(2,503,612,112,044円)

×

【基本式】消費者被害額 = 推定被害件数 × { 平均被害額(全額) × 被害相当額の割合 }

• 「消費者意識基本調査【問6】」から、「⑦既支払額」に対する「⑧被害相当額」の割合の平均値は「1万円未満」62.8%、「1万円以上」53.7%。

• 「契約購入金額」についても、上記の値を採用する(「消費者意識基本調査【問6】」において、「⑧被害相当額」は「⑦既支払額」に対する内数を質問しており、「⑥契約購入金額」に対する内数については質問していないため)。

2.検討⑤ 被害相当額の推計(2)

⇒ 「消費者意識基本調査」において「被害に当たると思う金額」を「既支払額」の「一部」と回答した件数が38/204件と少ないことから、「参考値」とする。

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2.検討⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計(1)

消費者被害の分類と基本データ

種類 内容 基本データ

商品・サービスが介在する被害

顕在化している被害

商品・サービスの代金

全額 商品・サービスの価値の全額滅失PIO-NETデータ【平均契約購入金額・平均既支払額】消費者意識基本調査【被害件数の割合】

一部 商品・サービスの価値の一部滅失 消費者意識基本調査【被害相当額の割合】

派生被害

人的商品・サービスの利用等により発生した二次的人的被害

消費者意識基本調査【被害件数の割合・平均被害額】

物的商品・サービスの利用等により発生した二次的物的被害

消費者意識基本調査【被害件数の割合・平均被害額】

精神的 感情的・精神的な被害 (なし)

問題対応

費用 問題の対応に要した費用 消費者意識基本調査【被害件数の割合・平均被害額】

時間 問題の対応に要した時間消費者意識基本調査【被害件数の割合・平均被害時間】賃金構造基本統計調査(厚生労働省)【平均賃金】

潜在的な被害 気が付いていない潜在的な被害 (被害経験として一部が上記に含まれる)

不満 実質的な被害ではなく、商品・サービスへの不満 (被害経験として一部が上記に含まれる)

商品・サービスが必ずしも介在しない被害 詐欺等によって搾取された金額特殊詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁)【被害額】犯罪被害者実態(暗数)調査(法務総合研究所)【被害申告率】

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【基本式】消費者被害額 = 推定被害件数 × 平均被害額

被害件数 平均被害額 消費者被害額

派生被害(人的) 約941万件 ※今回の消費者意識基本調査では未収集の情報

6頁を参照

2.検討⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計(2)

⇒ 今回の「消費者意識基本調査」では未収集の情報のため、「参考値」とする。

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【基本式】消費者被害額 = 推定被害件数 × 平均被害額

被害件数 平均被害額 消費者被害額

派生被害(物的) 約941万件 1,932円 約182億円(18,184,387,788円)

6頁を参照

•「消費者意識基本調査【問6⑨】および

【問6⑩】」から算出

2.検討⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計(3)

⇒ 「平均被害額」を「消費者意識基本調査」から算出しているが、「商品・サービスの代金(全額)」における「平均被害額」を算出した「PIO-NET」データよりもデータ件数がかなり少なく( 302/343件)、「被害額」も該当事例(0円を除く)につき平均53,045円、全体平均で1,932円と、相対的に小さいことから「参考値」とする。

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【基本式(費用)】消費者被害額 = 推定被害件数 × 平均対応額

被害件数 平均対応額 消費者被害額

問題対応(費用) 約941万件 348円 約33億円(3,275,448,732円)

6頁を参照

•「平均対応額・時間」は「消費者意識基本調査【問6⑪⑫】」より適用。

2.検討⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計(4)

⇒ 「平均対応額」を「消費者意識基本調査」から算出しているが、「商品・サービスの代金(全額)」における「平均被害額」を算出した「PIO-NET」データよりもデータ件数がとかなり少なく( 299/343件)、「被害額」も該当事例(0円を除く)で平均4,736円、全体平均で348円と相対的に小さいことから「参考値」とする。

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【基本式(費用)】消費者被害額 = 推定被害件数 × 平均対応額

【基本式(時間)】消費者被害額 = 推定被害件数 × 平均対応時間 × 平均賃金(時給)

被害件数 時間 消費者被害額

問題対応(時間) 約941万件 1.24時間 約214億円(21,369,855,802円)

6頁を参照

•「平均対応額・時間」は「消費者意識基本調査【問6⑪⑫】」より。

•「平均賃金(時給)」は、「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」より、

「きまって支給する現金給与額:324.0【千円】」

÷(「所定内実労働時間数:163【時間】」+「超過実労働時間数:14【時間】」)=1,831【円/時間】とする

2.検討⑥ 派生被害及び問題対応費用の推計(5)

⇒ 「平均被害時間」を「消費者意識基本調査」から算出しているが、「商品・サービスの代金(全額)」における「平均被害額」を算出した「PIO-NET」データよりもデータ件数がかなり少なく(284/343件)、被害時間は該当事例(0円を除く)あたり平均4.96時間(全体平均1.24時間)、「被害額」に換算した平均は該当事例平均9,082円、全体平均では2,270円と、相対的に小さいことから「参考値」とする。

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被害の種類 認知件数 うち既遂 被害総額(円)

振り込め詐欺 9,223 8,486 25,909,962,993 (約260億円)

オレオレ詐欺(※) 5,383 4,731 17,076,782,993

架空請求詐欺 1,556 1,492 6,427,884,000

融資保証金詐欺 463 462 720,905,000

還付金等詐欺 1,821 1,801 1,684,391,000

振り込め詐欺以外の特殊詐欺 2,775 2,668 22,783,282,624(約228億円)

金融商品等取引名目の特殊詐欺 1,868 1,774 17,676,682,774

ギャンブル必勝情報提供名目の特殊詐欺 579 575 3,083,631,755

異性の交際あっせん名目の特殊詐欺 53 53 103,418,247

その他の特殊詐欺 275 266 1,919,549,848

特殊詐欺 11,998 11,154 48,693,245,617(約487億円)

※「被害総額」は実質的な被害総額(キャッシュカードを直接受け取る手口の特殊詐欺におけるATMからの引出(窃取)額(実務統計による集計値)を被害総額に加えた額)である。 「平成25年特殊詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁)」より作成

「詐欺等による被害」については、「消費者意識基本調査」からの推計では十分に捕捉できない可能性があるため、「特殊詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁)」において公表されている被害総額を用いる。

2.検討⑦ 詐欺統計の活用(1)

⇒ 警察庁統計による「特殊詐欺」に相当する部分を消費者意識基本調査及びPIO-NETにおいて明確に区別できないことから、当該部分を警察庁統計を用いて置き換えることは行わない。

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犯罪については、警察等に認知されていない犯罪の件数(暗数)が少なからず存在する。そこで、「犯罪被害者実態(暗数)調査(法務総合研究所)」の「被害申告率」などを用いて、暗数データについても推計を試みる。

被害態様別過去5年間の被害申告率

• 警察庁統計より「振り込め詐欺」による「被害額」は、約260億円(25,909,962,993円) 。

• 「第4回犯罪被害者実態(暗数)調査(法務総合研究所)」の過去5年間の「被害申告状況」は、「振り込め詐欺」の場合、「届出あり」が35.3%、「届出なし」が35.3%であることから、「被害額」=「暗数データ」と想定される。

• 従って、「暗数データ」は警察庁統計の「被害額」と同額の約260億円(25,909,962,993円)と推定される。

(出典)第4回犯罪被害者実態(暗数)調査(法務総合研究所)

1. 第4回調査の調査実施時点は、平成24年1月である。

2. 各犯罪被害の範囲は、厳密には我が国における各犯罪の構成要件と一致しない場合がある。

3. 「個人情報の悪用」は、例えば、預貯金口座の開設や携帯電話の契約等のために、第三者が本人になりすました場合等であり、一部、法律上処罰の対象とはならない行為を含む。

4. ()内は、各被害態様別回答者総数の実人員であり、「わからない」と回答した者及び無回答の者を含む。

5. 複数回被害に遭っている場合は、直近の被害について質問した。

2.検討⑦ 詐欺統計の活用(2)

⇒ 警察庁統計による置き換えを行わないことから、必然的にこの部分も使用しない。

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契約購入金額既支払額

(信用供与含む)既支払額

一部被害推計 2,954,606,304,588円 2,649,940,884,633円 2,503,612,112,044円

派生被害(人的) 0円 0円 0円

派生被害(物的) 18,184,387,788円 18,184,387,788円 18,184,387,788円

問題対応(費用) 3,275,448,732円 3,275,448,732円 3,275,448,732円

問題対応(時間) 21,369,855,802円 21,369,855,802円 21,369,855,802円

詐欺等による被害 48,693,245,617円 48,693,245,617円 48,693,245,617円

振り込め詐欺による被害の暗数データ 25,909,962,993円 25,909,962,993円 25,909,962,993円

(参考値:各種検討結果)

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3.検討結果 推計の基本的な考え方

PIO-NETデータ

バイアス補正

高齢者被害額の算出

消費者意識基本調査

消費者被害額

(平成25年方式)消費者被害額

(参考値)

一部被害推計

派生被害(人的・物的)

問題対応(費用・時間)

警察庁統計

特殊詐欺の被害額

詐欺被害の暗数データ

① 消費者被害の対象を幅広く捉えた推計を実施する。

• 「消費者被害額」は、消費者行政を総合的に検証・評価するための数値指標である。

• そこで、平成20年度に推計を実施した「商品・サービスの代金(全額)」「詐欺等による被害」に加えて、「商品・サービスの代金(一部)」「派生被害(人的・物的)」「問題対応(費用・時間)」等、消費者被害の対象を幅広く捉えた推計を試みる。

② 「消費者被害額【商品・サービスの代金(全額)】」は、「PIO-NET」データと「消費者意識本調査」から推計する。

• 「PIO-NET」データは、「契約購入金額」「既支払額」についてのデータを有しており、データ件数も多いことから「平均被害額」等の算出に用いる。一方、「消費者意識基本調査」からは、被害割合を求めることができる。この被害割合を用いて、「被害件数」を推定する。

• この「平均被害額」と「推定被害件数」の積として「消費者被害額」を推計する。ただし、「PIO-NET」データは、「消費者意識基本調査」と比べて、被害金額が小さい案件の情報が少ない傾向にあるため、「1万円」を境界として、それぞれの「平均被害額」から「消費者被害額」を求めた上で、その合計値を「消費者被害額」として算出する(バイアス補正)。

• また、「消費者意識基本調査」は本人からの相談のみを対象としており、家族など本人以外からの相談は捕捉していない。一方、高齢者においては本人以外からの相談割合も多く、無視できない状況にあるため、高齢者被害額の追加推計を実施する。

③ 「バイアス補正」による「商品・サービスの代金(全額) 」及び「商品・サービスの代金(高齢者追加分)」の合計値を「平成25年方式」による「消費者被害額」とする。

• ②の「バイアス補正」による「商品・サービスの代金(全額) 」及び「商品・サービスの代金(高齢者追加分)」は、推計結果である「消費者被害額」の値が大きく、「平均被害額」等の算出には件数の多い「PIO-NET」データを用いていることから、これらの合計値を「平成25年方式」による「消費者被害額」とする。

• 上記以外の「商品・サービスの代金(一部)」「派生被害(人的・物的)」「問題対応(費用・時間)」「詐欺等による被害」については、上記に比べて「消費者被害額」の値が小さく、「平均被害額」等の算出には「PIO-NET」データよりも件数の少ない「消費者意識基本調査」を用いていることから、 「参考値」とする。

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3.検討結果 -消費者被害額の推計 推計結果-

契約購入金額既支払額

(信用供与含む)既支払額

商品・サービスの代金(基礎推計) 5,503,224,945,324円 4,935,865,519,474円 4,663,139,190,534円

商品・サービスの代金(高齢者追加分) 1,260,549,857,126円 778,402,085,594円 705,032,257,244円

消費者被害額合計約6.8兆円

(6,763,774,802,450円)

約5.7兆円

(5,714,267,605,068円)

約5.4兆円

(5,368,171,447,778円)

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4.参考資料 消費者被害額の推計 契約購入金額と既支払額

契約購入金額(約6.8兆円)

既支払額(約5.4兆円)

請求額に対して支払った額という関係であるため、原則、「既支払額」は「契約購入金額」を下回る

(例)10万円の工事を契約、まだ支払っていないが、解約したい。

→請求額10万円→既支払額0円

既支払額(信用供与含む)(約5.7兆円)

• 「PIO-NET」データでは割賦販売等の「信用供与」を消費者が利用した場合、「契約購入金額」全額のうち、相談時点で割賦販売等により支払いが済んだ金額が「既支払額」の欄に記載されている。

• しかし、信用供与の場合、「契約購入金額」を被害として捉えることもできる。(クレジットカードで分割払いにした場合、引き落としを止めなければ支払いが継続するため、最終的な支払額はその時点の既支払額より大きくなる。)

• そのため、「既支払額」を用いて「消費者被害額」の推計を行う場合、「信用供与」においては「既支払額」を「契約購入金額」に置き換えて推計することも考えられる。

• 個々のケースによって、苦情内容が異なるため、販売信用であるから「契約購入金額≒被害額」と一概には言えないが、取引上被害になり得る金額の上限額と考えることができる。

「信用供与」の置き換え

⇒ 以上の性格を考慮すると、「既支払額(信用供与含む)」(約5.7兆円)が消費者被害額の実態に最も近いものと考えられる。

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4.参考資料 消費者被害の分類と基本データ データフロー

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4.参考資料 PIO-NET データのバイアス補正の検討

「黄色」は推計に用いる基本データ、「緑色」は「バイアス補正(平成25年方式)」と「平成20年方式」で共通のフロー

「赤色」は「バイアス補正(平成25年方式)」に固有のフロー、「青色」は「平成20年方式」に固有のフロー