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京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 しで けんいちろう 憲一郎 2014年11月8日(土) 「血糖値管理に関する栄養指導研究会」セミナー 於)野村コンファレンスプラザ日本橋 「実践!血糖管理のポイント」 ~カーボカウント法と食品交換表第7版との連携~

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京都大学医学部附属病院

疾患栄養治療部しで けんいちろう

幣 憲一郎

2014年11月8日(土)

「血糖値管理に関する栄養指導研究会」セミナー於)野村コンファレンスプラザ日本橋

「実践!血糖管理のポイント」~カーボカウント法と食品交換表第7版との連携~

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本日の話題

• 食事療法の重要性は誰もが理解している。

• エネルギー管理を中心とした体重管理で、糖尿病治療効果を上げてきた時代があることも事実。(インスリン抵抗性の改善 他)

• 血糖管理に着目した食事療法の新たな展開。

(食品交換表第7版の基本コンセプト)

• 糖質制限食の考え方

• カーボカウント法の考え方

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エビデンスに基づく栄養食事指導の基本

• 食事療法は、すべての糖尿病患者において治療の基本であり、食事療法の実践により、血糖コントロール状態が改善される1-3)。1)UK Prospective Diabetes Study 7 : Metabolism 39 : 905-912, 1990

2)Pastors J, Warshaw H, Daly A et al : Diabetes Care 25 : 608-613, 2002

3)Wing RR, Blair EH, Bonoi P et al : Diabetes Care 17 : 30-36, 1994

• 食事療法で重要となるポイントは、患者の長期にわたる食事の嗜好や時間など食習慣を加味し4)、身体活動量なども十分に聴取することが重要である。

4)Kulkarni K, Castle G, Gregory R et al : J Am Diet Assoc 98 : 62-70, 1998

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糖尿病患者への栄養指導法は千差万別

・「食事記録」に基づく摂取エネルギー、摂取栄養素の把握

・「インスタントカメラ」「携帯写真」等を用いた食事分析

・食品交換表を含む、患者個々に適した各種指導媒体を用いた指導。

・各種検査データ(InBody含む)SMBG記録等に基づく各種治療効果に関する情報提供。

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•指示エネルギー量の設定は、身長、体重、年齢、性別、血糖値、血圧、血清脂質値などから合併症の有無、エネルギー消費(身体活動)などを十分に評価して調節される必要がある。

•摂取エネルギーの適正化は、肥満の是正やインスリン抵抗性の改善に有用であるが、過度の摂取エネルギー制限は、途中で脱落する症例を多く認めるため、エネルギー制限を行っても、血糖などのコントロールが不十分な場合には、他の治療法に変更してコントロール目標の達成を図る。

エビデンスに基づく栄養食事指導の基本(エネルギー)

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300

mg/dL

200

140

100

糖尿病

健康な人

血糖値

朝食

昼食

間食

夕食

かくれ糖尿病

かくれ糖尿病は、食後だけ高血糖!

かくれ糖尿病

田嶼尚子先生より提供

かくれ糖尿病をご存知ですか?

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糖尿病の合併症リスクの指標としての「食後血糖値」の重要性について

「食後血糖値」を管理することは、糖尿病合併症予防の重要戦略とされ、

・心血管疾患の進行に食後高血糖値が関与

・空腹時血糖値と糖尿病合併症の関連は結論

づけられないとの報告があります。

Bonora & Muggeo . Diabetologia 2001 , 44 , 2107-2114Ceriello A . Diabetologia 2003 , 46 (suppl 1) M9-M16DECODE Study Group . Lancet 1999 , 354 , 617-621

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糖尿病治療は、「平均」から「変動」の時代へ

血糖値

(mg/dl)

400

300

200

100

0

180

70

3:006:00

9:0012:00

15:0018:00

21:0024:00

血糖自己測定(SMBG)

時 刻

朝食 昼食 夕食

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持続血糖測定(CGM)を活用した糖尿病療養指導について

•CGMは、一定の間隔で継続的な血糖測定

を可能とする血糖測定システム。

•CGMを用いることで測定が難しい血糖値の変動を把握できるようになり、糖尿病治療の最適化が可能になると考えられている。

•自己血糖測定(SMBG)だけでは1日の測定回数が限られるため、測定値からグルコースレベルの総合的な変動傾向を示すのは難しく、さらに夜間就寝時などの測定が困難な場合では、無自覚の低血糖状態や、早朝に血糖値が上昇する「暁現象」などの変動を見過ごす可能性がある。

CGM:Continuous Glucose Monitoring

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食品交換表第7版の改訂ポイント

1.患者と指導者の橋渡しをする媒体を目指す!※「指導の手引き」を含有した内容に・・・

2.エネルギー管理の視点のみならず、血糖管理を意識した説明内容を追加!

3.炭水化物エネルギー比50%、55%、60%の配分例などを示し、症例に応じた柔軟な対応を目指す!

4.極端な低炭水化物食への注意喚起!

5.1単位(80kcal)あたりの各栄養素の平均含有量を改正!

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食品交換表第7版の改定では、「血糖コントロール」を意識した「食事・運動療法」の重要性を強調し、

適切に実施しなければ、薬物療法が併用されても血糖コントロールが達成出来ない点をイメージ化し、解説を加えている。

5 糖尿病治療の方法

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本当に炭水化物量が血糖値を左右しているのか?

Halfon P, et al ; Diabetes. 12: 427-9, 1989.

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摂取する糖質量が多く、バラツキが大きい患者には、糖質量の平準化が有用!(基礎カーボカウントの導入)

朝食60g

昼食80g

夕食80g

朝食10g

昼食120g

夕食160g

血糖値

※各食事の糖質量を調整(平準化)することにより、血糖値が安定し、インスリン量の調整・減量にも有用!

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症例1. 42歳 女性

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エビデンスに基づく栄養食事指導の基本(炭水化物)

•米国、欧州などのガイドラインでは、炭水化物の摂取を50~60%としており、RCTを解析したEBMに基づく勧告では、55~65%が提案されている1)

1)Anderson J, Randles K, Kendall C et al : J Am coll Nutr 23 : 5-17, 2004

•また、米国糖尿病協会(ADA)は炭水化物を少なくとも一日130gは摂取するように勧めている2)3) 。2)American Diabetes Association : Diabetes Care 31 : S61-S78 , 2008

3) American Diabetes Association : Diabetes Care 35 : S11-S63 , 2012

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炭水化物エネルギー比60%の配分例。(3食の配分を変更!)

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炭水化物エネルギー比55%の配分例を新設。(3食の配分を変更)

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炭水化物エネルギー比50%の配分例を新設。(3食の配分を変更)

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炭水化物(糖質)が血糖値を上げるのであれば・・・・

今、話題の「低炭水化物食」の問題について

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エビデンスに基づく栄養食事指導の基本(炭水化物)

•低炭水化物食と低脂肪食の1年後のHbA1cと空腹時血糖値に有意な差は認められていない 1)。1)Stern L, Iqbal N,Seshadri P et al : Ann Intern Med 140 : 778-785, 2004

•低炭水化物食に伴う高たんぱく質食状態は、腎症の悪化を招く 2)。2)Raal FJ, Kalk WJ, Lawson M et al : Am J Clin Nutr 60 : 579-585 , 1994

•したがって、炭水化物の配分だけではなく、食事に含まれるたんぱく質や脂質の量や質も重要である。

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エビデンスに基づく栄養食事指導の基本(炭水化物)

•薬物療法中に昼食前あるいは夕食前に低血糖を起こす症例では、家庭での朝食、昼食に摂取する炭水化物量が極端に少ない事が原因であることも多く、運動量の評価に加えて、食事内容の評価も重要となる。

•糖尿病では、炭水化物の中でも食物繊維を除いた糖質による食後血糖値への影響が大きいことから、血糖コントロールを行ううえで食事中にどれだけ糖質量が含まれているかを計算することを「カーボカウント」という。

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エビデンスに基づく栄養食事指導の基本(炭水化物)カーボカウント

•食事で摂取する糖質量をなるべく規則正しく一定にすることを「基礎カーボカウント」といい、食事で摂取する糖質量に応じてインスリン投与量を調節することを「応用カーボカウント」という。しかし、この方法は炭水化物、たんぱく質、脂質の量の配分や質にも考慮した健康的な食事を前提していることを忘れてはならない。

•食事指導に「応用カーボカウント」を上手く取り入れることは、1型糖尿病患者の血糖コントロールに有用である 1)2)。1) 高橋 徳江、内藤 泰、錦田裕孝ほか : 日臨栄会誌 29 : 114-120, 2007

2) Gunn D, Mansell P : Diabet Med in press : 579-585 , 1994

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カーボカウントの基本

レベル 1 : どの食品が炭水化物(糖質)を含むか、

糖質のグラム計算、食品ラベルの読み方、

食事(食品)記録

レベル 2 : パターン管理

(食品と血糖値のパターンを確認)

レベル 3 : 強化インスリン療法/血糖モニタリング

インスリンを糖質の予測摂取量に

合わせる

「基礎カーボカウント」という考え方!

「応用カーボカウント」という考え方!

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食品ラベル(一般表示事項)の見方

さかえ8月号2013より引用

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「 基礎カーボカウント 」 とは?まず、どんな食品に炭水化物(糖質)が多く含まれているのか知ることから始め、調整の主目的とします。

糖質の多い食品グループ表1 ; 穀類、芋類、炭水化物の多い野菜と種実、豆(大豆を除く)

表2 ; 果物表4 ; 牛乳と乳製品(チーズを除く)

調味料 ; 砂糖、はちみつ、みりん など

糖質の少ない食品グループ表3 ; 魚介類、肉類、チーズ、大豆とその製品表5 ; 油脂類、多脂食品表6 ; 野菜(炭水化物の多い野菜を除く)、海藻、きのこ、こんにゃく

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表1、表2、表4、調味料の糖質・食物繊維含有量に関する資料。

104 参考資料

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表1、表2、表4、調味料の糖質・食物繊維含有量に関する資料。

106 参考資料

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応用カーボカウントの実際(カーボ/インスリン比)

・ここでは、インスリン1単位でどの程度の炭水化物(糖質)を摂取した場合の血糖調節の目安を確認します。

・450ルールと500ルールボーラスとしてレギュラーインスリンを使っている場合;450÷1日の総インスリン単位=1単位に対応する炭水化物(g)超速効型インスリンの場合;500÷1日の総インスリン単位=1単位に対応する炭水化物(g)

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糖質量にインスリンをどう合わせるか

•追加インスリン1単位で処理できる炭水化物量:

CIR(Carbohydrate-to-Insulin Ratio)

=摂取炭水化物量(g)÷必要インスリン量(u)

•成人では超速効型インスリン1単位で炭水化物

量10gほど必要なことが多い(CIR=10g/u)が、

個人差は大きい。

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挙児希望の1型糖尿病患者の場合

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実際の食事でCIRを調べる

食前に血糖を測定し100-150mg/dl程度であることを確かめる

食事に含まれる炭水化物量を調べ、普段定期的に打っているインスリンを注射する

超速効型インスリンであれば3時間半後、速効型インスリンであれば5-6時間後、血糖を測定する

可能な限り同じ炭水化物量の食事を最低3日程度続け平均を取る

食前の血糖と比較し、食後の血糖が30mg/dl程度以上高い/低い場合には、インスリンを増やす/減らす

CIRを決定

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炭水化物の多い食事内容とインスリン

1時間 2時間 3時間 4時間

100

200

(mg/dl) 高炭水化物食

(超)速効型インスリン 中間型インスリン

高血糖! 低血糖!

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炭水化物の少ない食事内容とインスリン

1時間 2時間 3時間 4時間

100

200

(mg/dl)

(超)速効型インスリン 中間型インスリン

高脂肪食

低血糖!!

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応用カーボカウントの実際(インスリン効果値)

・1500ルールと1700ルールここでは、インスリン1単位でどの程度血糖値を下げることができるのかの目安を確認します。レギュラーインスリンを使っている場合;1500ルールを活用超速効型インスリンの場合;1700ルール(又は2000ルール)

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追加インスリンによる血糖管理

必要な合計

インスリン+ =

血糖を補正するためのインスリン

インスリン効果値

糖質を処理するためのインスリン

カーボ/インスリン比

【考慮すべき点】●インスリンの効き方が時間帯によって違う

早朝~午前中 ⇒ 効きにくい時間帯午後~夕がた ⇒ 効きやすい時間帯

●インスリンの効きやすい日運動(活動)量の多い日、運動した翌日、食事量が少なかった日、気温の高い日

●インスリンの効きにくい日運動(活動)量の少ない日、食事量が多かった日、気温の低い日、ストレスがかかた日、風邪などで熱のある日、(女性は)生理の始まる前1週間など

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速効型、超速効型インスリン-用量の変化と効果の変化

0 1 2 3 4 5 6 7 8

インスリン効果

速効型インスリン

超速効型インスリン

超速効型インスリンの特徴として、速効型インスリンと比較して、増量しても効果持続時間の延長が起こりにくく、カーボ量に応じてインスリン量を増量しても低血糖になることは少ない。

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2型糖尿病患者への基礎カーボカウントと食品交換表

食品交換表の指導により、摂取食品のバランスを調整

食品交換表に従った献立中の糖質量を算出できるだけ摂取糖質量を一定にする

食後の血糖管理が不十分ならば、献立中の炭水化物量を50%程度まで減量

血糖管理不十分であれば、薬物療法の追加や変更を検討

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食品交換表と連携したカーボカウントのフローチャート

基礎カーボカウントの説明と指導

応用カーボカウントの説明と指導

食品交換表の使用に慣れていて血糖コントロールが良好.血糖

変動も少ない.

さらに1型糖尿病や強化インスリン療法中の2型糖尿病では,希望者に応用カーボカウントについても説明し,トレーニングする.

YES

NO

従来の食事療法をそのまま継続

以下のようなときはカーボカウントを勧める.

①食品交換表による食事療法がうまくいかない.

②食事の時間が不規則で外食が多い.

③血糖変動(食後高血糖や低血糖)が大きい.

④食事の自由度を広げたい.

※すべての食事でカーボカウントを行うのではなく,外食や間食(し好食品)でのみカーボカウントを利用することも考えられる.

●まず食品交換表で指導を!

●次にカーボの手引で説明を!

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使用上の注意点!

「カーボカウント法」 = 「低炭水化物」

すなわち、

炭水化物を単純に減らす食事管理方法ではない!

ということをご理解下さい。

ということを、もう一度ご理解頂きたいと思います。

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食事療法の基本

•糖尿病の食事療法においては、如何なる指導方法であっても、食事としての形態(バランス良く)を維持していることが求められる。

•短期的には厳しい制限を主張し、血糖管理を優先する考え方もあるが、あくまでも食事療法は継続できることを基本と考えるべきである。

(例)甘味を好む患者には、継続的なエネルギー管理の

1手法として低エネルギー甘味料などを紹介し、管理

を行うことで効果を出す場合がある。

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まとめ

糖尿病の食事療法において、最も重要な点は、今、

血糖値が乱れている原因は何かを考え、生活の質を

落とさずにどこまで改善できるのかということと、その

方法は長期にわたって実施できるのかということが重

要なポイントであると考えています。

今回ご紹介した「カーボカウント法」も単なる血糖管

理のための手法ではなく、食品交換表第7版との連

携を行い、総合的な視点に立った糖尿病療養指導に

活用して頂きたいと思います。

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