女子会が流行る理由と...

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2014 年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文 女子会が流行る理由と 女子が求めるもの A1142766 山本まどか 2014 1 15

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  • 2014年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文

    女子会が流行る理由と 女子が求めるもの

    A1142766 山本まどか

    2014年 1月 15日

  • 2

    目次 序論

    1. 研究動機 2. 研究目的

    1章 女子会の誕生 2章 女子会の定義・現状

    1. 定義 2. 現状

    3章 女子会が及ぼす影響

    1. 経済効果 2. 社会現象 4章 2種類の女子会

    1. キラキラ系女子会 2. 海賊の宴会

    5章 仮説

    1. キラキラ系女子会 仮説 2. 海賊の宴会 仮説 3. 検証方法

    6章 結論

    7章 付録 参考文献・URL

  • 3

    序論

    1. 研究動機

    近年、「女子会」や「女子力」などの「女子」という女性性を活用した言葉を目

    にする事が多くなった。その中でも「女子会」という言葉は女子の会話に出て

    くるだけではなく、ニュースの特集として取り上げられたり、お店のコースや

    売り文句に登場したりするようになった。2010 年には、「女子会」という言葉

    が、ユーキャンが開催する流行語大賞でトップテンに入った。このように流行

    となった「女子会」は日本の経済を救うとまで言われている。共立総合の研究

    所の調査では、「女子会の経済波及効果は3兆6941億円」であるという結果

    を発表した。このように「女子会」は社会現象となっただけではなく、経済影

    響を及ぼす存在となった。

    2. 研究内容

    何故ここまでも「女子会」が流行するのか。私は「女子会」が、女性が日常生

    活で求めているものを提供できるがために流行したのではないかと考えた。そ

    の理由を「女子会」が持つ性質と女子が「女子会」で求めるものの関係から暴

    きだせるのではないかと私は考えた。そして「女子会」が流行るカラクリと理

    解する事で、今後多くの消費者の購買に繋がるような商品、サービスを作り出

    し、日本の経済の活性化に貢献できるのではないかと考えた。

  • 4

    1章 女子会の誕生

    女子たちだけで集まって、食べたり飲んだり喋り続けたりする会のことを、

    いつからか「女子会」と呼ばれるようになった。女子会の誕生には明確化され

    た理論がないため複数存在し、その中に読者モデルやキャリを持つ女性が発端

    であるという意見がある。都市情報雑誌「東京ウォーカー」では関西の読者モ

    デルが集まりようになったことから女子会に繋がったという説が上げられてい

    る。一方、ジャーナリストである鳥賀陽弘道はファッション誌「Numero TOKYO」

    で、キャリアで成功する女性が多い次代になったため、そのような女性たちが

    職場での悩みやストレスを共感できるキャリアを持つ女性たちと打ち明け合っ

    た事から女子会が生まれたという説がある。

    様々な女子会の誕生の説があるが、「女子会」として社会に印象づけたのは、

    「笑笑」などの居酒屋チェーン店を持つモンテローザの会長、松本尚さんであ

    る。松本さんは 2009年、居酒屋「笑笑」で4人以上の女性のグループの顧客を

    対象とした飲み放題プラン、「わらわら女子会」を考案したことで、おしゃべり

    を楽しむ女性たちのための「女子会」の火付け役となった。そして「笑笑」は、

    未だに女子会ブランドを確立させている。

    実は「笑笑」が女子会プランを企画する前から、他の居酒屋などでも女子会

    プランの企画は上がっていた。しかし、すべておしゃれで少し高級感のあるも

    のばかりで、「笑笑」のような「安く多く飲める」を徹底していた女子会プラン

    はなかったという。「笑笑」は女子たちのたくさんのお酒を安く飲みたいという

    潜在的欲求に応えるような企画をしたため、成功したと言われている。

    つまり、「女子会」という現象は自然と生まれていて、それを女子たちの潜在

    的ニーズを汲み取ったモンテローザの企画が格付けたのである。

  • 5

    出典:モンテローザ

  • 6

    2章 女子会の定義・現状

    1. 定義

    女子会の定義は様々あるが、主に「女性だけで集まる会、食事会、飲み会」

    などの事を指し、主に女子会の目的は「近状報告」と「ストレス発散」である

    とされている。女子会の目的として多いのが、本音トークや秘密トークが出来

    る事である。下ネタや悪口なども男性がいると話しにくい事も女性だけだと話

    しやすいというメリットがあるため、女性だけでの会である。少し前までは「い

    つもと違うオシャレな」という非日常的な要素が女子会には必要不可欠である

    という意見が多かったが、最近では先ほどの「笑笑」の女子会プランのように

    非日常的要素が必要とは限らない。

    2. 現状

    2010年、流行語大賞のトップテンに入った後も女子会の流行はまだまだ続い

    ている。「女子会」というのは若年層ほど認知度が高いため、今回は若い女性を

    メインターゲットとして、そのような女性が行う「女子会」の現状について調

    べた。

    若干の変化を受けながらも、「女子会」という字を生活の中で見る事はまだ多

    い。女子会は定期的に行われるものが多く、キャリアを持つ女性でも一ヶ月に

    一回以上は女子会に参加している。そして主に食事会や飲み会と定義されてき

    た女子会も、頻度が高い人ほど「旅行」や「癒し系サロン」など時間や手間を

    要する特別な女子会と変化してきた。また、「女子会」の定義を覆す、女子会に

    参加する男子、「女子会男子」という存在まで出てくるようになった。このよう

    に変化を成し遂げる「女子会」の今、女子会はどうなっているのか。女子会の

    現状を目的、メンバー、話題の3点を女子会がそもそも何をしているのかにつ

    いて調査した結果から見ていきたいと思う。

  • 7

    出典:oricon ME「女子会に関する意識・実態調査」

    2-1. 目的

    そもそも何故、「女子会」を行うのか。主な目的は「近状報告」と「ストレス

    発散」の二つに分けられる。まずは、恋人や職場での人間など登場人物を説明

    した上で、その登場人物に対する不満を女子会で述べることによってストレス

    を発散して行く。この行為は「仕事、恋愛などの情報交換」だけではなく「友

    人との結束強化」の役割を成す。そして、自分の日常での話を女子会でするこ

    とで「エネルギー」に転換しているという。つまり、女子会は同じ視点から本

    音で相談や話が出来る『本音・秘密トーク』、趣味や考え方、価値観、立場など

    の近さから悩みを理解し合える『共感』、ストレス発散や気分転換になる『発散・

    活力』そして生活でおこったことを共有し合うことでの『情報交換・刺激』と

    いう4つの目的がある。

    出典:Yahoo!パートナー

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    調査期間:2010年 11月 4日〜7日

    調査対象:20歳〜59歳の独身女性

    2-2. メンバー

    メンバーとなるとその女性がどのような生活をしているかにより変化もして

    くるが、調査に応えた女性の大半が「いつも同じメンバー」であると答えた。

    そしてその「いつものメンバー」も学生時代からの友人であったり、職場の仲

    間であったりが基本である。しかし、いつも同じメンバーでも、状況によって

    話題は異なる。

    先ほど女子会の目的でも述べたが、女子会では職場の人間関係などだけでは

    なく恋愛状況も報告し合う。そのため、女子会にいるメンバーの恋愛状況の違

    いによって相談がドライになってしまったり、ステータスが違う人ばかりの女

    子会だと早く抜け出したいと思ってしまったりする場合がある。そのため、女

    子会のメンバーはある程度、自分と同じステータスにいる人と行う事が多い。

    出典:Yahoo!パートナー

    3-2. 話題

    ここまでの女子会の「目的」と「メンバー」から少人数の気を許した友人と、

    他の人には言えない話で盛り上がるという女子会の形が見得てきた。そんな女

    子会の中で話題となっているのが、仕事や生活での愚痴、恋愛対象の人につい

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    て、そして仕事という3つが上位を占めている。

    出典:Yahoo!パートナー

    仕事においては愚痴が大半を占める。職場でのうわさ話や上司に対しての厳し

    い指摘などである。先ほどの女子会の「目的」でも述べたように悩みや考えを

    共感してもらい、それを班算することが目的であるならば、話題に仕事が上が

    った際に女子たちが愚痴を言うこともおかしくはない。

    そして恋愛対象に関しての話題では、自分の恋愛の進行状況だけではなく、お

    酒が入るときわどい下ネタになるという。恋愛が女子会での主の話題とは言え

    ないが、かなりの頻度で話題として上がっているのがグラフから読み取れる。

    3章 女子会が及ぼす影響

    1. 経済影響

    「わらわら女子会」から始まり、様々な女子会○○を目の当たりにするように

    なった今、「女子会」が経済影響をもたらしていることが証明された。日刊ゲン

    ダイでは「女子会が経済を救うのか?!」という記事を出した。その記事の中には、

    株式会社共立総合研究所が女子会には経済影響があるとし、その効果は全国で

    約3兆 7000億円であると発表したと記述されていた。

    お金の流れが滞りつつある日本経済であり、人々もあまり無駄な消費をした

    がらない時代であるが、女子会のさんかには割と前向きであるのが下記のグラ

    フから分かる。

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    出典:共立総合研究所「主婦における女子会消費に関するアンケート」

    そして参加の希望だけではなく、実際に女性たちが女子会で消費する値段に

    も消費への抵抗が少ないことが分かる。女子会で女性たちが理想とする支出額

    より上回っていることが下記のグラフから分かる。

    出典:共立総合研究所「主婦における女子会消費に関するアンケート」

    5

    (%)

    10

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    このように女子会に参加することにとても肯定的であり、そして女子会での

    消費も自分の理想より上の学をシア払ってしまうという、お金を使うプロセス

    というのが女子会では成り立っている。そのため、経済を救うと言われるほど

    経済効果が見込めるのである。

    2. 社会現象

    モンテローザ系列の「笑笑」で生まれた女子会プランが火付け役となり、「女

    子会」という言葉は広まった。そしてお店やニュースで見るという曖昧な流行

    の基準だけではなく、「女子会」はユーキャン主催の流行語大賞 2010 年にトッ

    プテンに入るという快挙を成し遂げた。このように、ただ女性の間で認識され

    るだけではなく、しっかり世間にまで名を知らせることが出来たのである。

    そして「女子会」が新しく変化を成し遂げている中、女子会の根本的なもの

    を否定してしまう「女子会男子」というものが近年、登場してきた。女子会に

    ただひとり男性が参加し、女子会での女性の意見に口出しをしたり、共感をし

    たりするという。また、この「女子会男子」の存在は、女性たちがヒートアッ

    プした際にストッパーとしての役目があると言われている。

    このように居酒屋から始まった女子会も社会で認識され、その認識さ

    れたイメージからかけ離れた新しい現象が生まれている。このように女子会は

    現世代、そして次世代での社会に影響を与えていることが分かる。

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    4章 2種類の女子会

    ここまでの説明では「女子会」というものが何かを扱ってきたが、この中で

    も「女子会」に関するイメージと実態で少しのギャップがある。今までは少々

    オシャレな場所を選ぶのは「女子会」だと考えられてきたのだが、実際には「笑

    笑」で提供されるような安く多くお酒を飲む女子会もある。何故、このような

    ギャップが生まれるのか。それは、女子会には2種類あるからである。

    1. キラキラ系女子会

    よく SNS 上で見られる、いつ、どこで、だれと、を明確化された「女子会」

    の写真は、この「キラキラ系女子会」を写しているものである。この女子会は、

    女性たちが最新のファッション、そして自分が一番出来るハイセンスな格好を

    身に纏い、女子たちとオシャレな又は話題性のある場所で食事、飲み会をする。

    そしてその写真を自慢するかのように SNSにあげる。この女子会で主に行うこ

    とは、

    ・ 「ホルモン注射の打ち合い」という名の褒め合い

    ・ 「女の女装承認会」という普段着られないようなハイセンスのファッション

    の披露

    の2点である。このキラキラ系女子会は、女子会と言いつつも「対異性」をし

    っかりと意識した女子会である。こちらの女子会は SNSに載っているため、世

    間で「女子会」としてイメージ付けられている。

    2. 海賊の宴会

    しかし世間には知られていない女子会もある。それが「海賊の宴会」である。

    この女子会は前者の女子会とは全くかけ離れていて、この女子会で主に行われ

    るのは

    ・ お酒をたくさん飲む

    ・ 品のない会話を繰り広げる

    の2点である。こちらの女子会がなかなか世間に知られないのは、前者と違っ

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    て開催される場所、そして自分自身も SNS上に上げて自慢できるような状態で

    はないため、写真を取り SNSに上げるということをしないからである。

    先ほども上がってきた「笑笑」の女子会プランは、後者のニーズにこう耐え

    ることが出来たため、成功したのではないかと考える。

    5章 仮説

    ここまでで、女子会がどういうものなのかの定義、そして女子会が与える影

    響というものについて見てきて、やはり私が一番気になった部分は女性たちが

    ここまで女子会に夢中になる理由である。「女子会」は女性たちが欲しているも

    のを自然と提供していのから、成功しているのではないかと考える。そして、「女

    子会」に2種類生まれたのも、女子会が持つ2面性がそれぞれ女子の欲求を満

    たし、それぞれが成功したからではないかと考えた。そのため、「キラキラ系女

    子会」と「海賊の宴会」では、それぞれ違った欲求を満たす要素があるのでは

    ないかと考え、仮説を立てた。

    1. キラキラ系女子会 仮説

    《キラキラ系女子会は女性の「承認欲求」を満たしている。》

    女子たちが一番服装に気合いを入れるのは、異性と会う時ではなく女子会に

    行く時であるという記事を見たことがある。その理由として、異性に対してオ

    シャレをしても細かい部分まで褒めてはくれないが、女子たちは自分の服装や

    メイクの変化、そして努力に気づいてくれる。それと同じように、細かい部分

    まで気づいてしまうため、少しでも気を緩めた格好で行くと「ださい」と思わ

    れてしまいそうで怖いという。このように女子会に行くことで、自分のハイセ

    ンスな服装、そして努力をしたということを認めてほしいという欲求があるの

    が分かる。

    そして女子会でメンバーから褒められることだけではなく、その後 SNSに載

    せられた写真に周囲の人からのコメントや「いいね!」を得ることでも、彼女

    らの承認欲求は満たされるのである。

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    このように「キラキラ系女子会」でけっかとしてえられるものを考えた際に、

    女子たちは周りから「承認」してもらいたいという欲求があり、それを満たす

    ことが出来るのが「キラキラ系女子会」なのではないかと考えた。

    2. 海賊の宴会 仮説

    《海賊の宴会は「優越欲求」を満たしている。》

    周りの人からどのような女子会をするのか聞いたところ、「海賊の宴会」を頻繁

    に行う友人には交際相手がいない人が多い。またシングルも交際中も経験した

    ことのある友人複数に聞いたところ、彼氏が出来ると「海賊の宴会」への参加

    回数は減って行くと言っていた。つまり、「海賊の宴会」を行う女子は交際相手

    がいない人が多いということになる。

    そこから考えたのは、「海賊の宴会」の話題である。自分たちの恋愛の悩みが内

    分、人の恋愛の噂を話題に上げるケースがほとんどである。そこから考えたの

    が「優越欲求」である。日常生活の中、自分がシングルであるという劣等感を

    感じており、そのうっぷんを晴らすように他のシングルの人と飲む。そして、

    その飲みで他の交際中の人と自分を比べ、他のシングルの人にシングルでも自

    分の方が優越だという共感を求める。このような欲求は「海賊の宴会」でしか

    満たされないものではないかと考えた。

    3. 検証方法

    20代の知人に女子会についてのデプスインタビューを行った。

    質問は

    ・女子会をどのくらいの頻度で行うか

    ・「キラキラ系女子会」と「海賊の宴会」どのような割合で行うか

    ・ 女子会をする目的は

    ・ 女子会をしていて優越感を感じた時は

    ・ 女子会に行く時に気をつけることは

    ・ 女子会のメンバーとはどのような繋がりか

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    ・ 女子会を同じメンバーでどのくらい長く続けているか

    ・ 恋愛状況の違いで女子会のメンバーは変わるか

    などから深く掘り下げた質問をし、調査を行った。

    6章 結論

    今回のデプスインタビューでは、「キラキラ系女子会」も「海賊の宴会」も両

    方「承認欲求」を満たすため、行われるということが分かった。「キラキラ系女

    子会」の仮説は間違っていなかったのだが、「海賊の宴会」に関しては違った。

    「キラキラ系女子会」は彼氏が出来る、又は好きな人が出来るとそれに比例

    して回数が多くなる。自分が意識している人に自分をよく見せたい、あわよく

    ばコメントか「いいね!」を押してもらい、承認してほしいという欲求からで

    ある。そして「キラキラ系女子会」はいつも同じメンバーで行われる訳ではな

    く、自分が持つあらゆるコミュニティーを駆使し、可能な限り多くの人と行う。

    この行動の裏には「自分にはたくさんのコミュニティーがある」や「顔が広い」

    などの自分の良さを人に見せたいという思いがあるらしい。このように、世間

    で考えられる「女子会」、いわゆる「キラキラ系女子会」は定期的でもなければ

    一定メンバーでもなく、世間で考えられていた条件に全く会わなかった。私は、

    条件のみで見るといっそ「キラキラ系女子会」ではなく「海賊の宴会」のほう

    が元祖女子会なのではないかと感じた。

    「海賊の宴会」であるが、こちらの宴会が開催される頻度は恋愛ステータス

    に関係なく一律であるということである。そして話題の内容も、職場やコミュ

    ニティーでの愚痴、そして知人の恋愛関連の噂であったが、優越感からなるも

    のではなかった。その話題にたいしてひがみを言う訳でもなく、いっそ自分を

    卑下し、おもしろおかしく話すことが多い。「海賊の宴会」でどのようなところ

    に力を入れているかと聞いたところ、いかに女子たちをあっと言わせるような

    話のネタを作って行くか、そしていかに女子たちを笑わせることが出来るかに

    注力している。つまり、外部には漏れない情報であるにも関わらず自分がいか

    に面白くできるか、その場にいる人に認めてもらえるかという部分に注力して

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    いたのである。つまり、「海賊の宴会」も承認欲求から成り立っているのだ。

    しかし「承認欲求」というのは女子だけは持っているものではなく、それだ

    けでは「女子会」が流行した理由にはならない。

    今回のデプスインタビューで一つ、気づいたことがある。それは、女子たち

    が行う「女子会」と「女の子とのデート」である。女子会でメンバーに一気に

    会えるのにも関わらず、女子たちはこの女子会のメンバー一人ひとりと「デー

    ト」という名目で一対一の食事や飲みに行く。その理由は「その人と深く喋る

    ため」だそうだ。女子会で会い、一対一でも会い、二度手間でも2回会うのは、

    「デート」と「女子会」の意図が違うためである。一対一のデートではその人

    と話し、知るチャンスがある。しかし、女子会はその中の一人ひとりを知るた

    めに参加するのではなく、「とりあえず」参加しておくという場合が多い。つま

    り強い意思をもって「女子会」に参加している訳ではなかった。わざわざ二度

    手間になることを何故、女子たちは進んで行うのか。それは「同調圧力」とい

    うものが関わっているのではないかと考えた。「女子会」というものに流行する

    要素があるのではなく、女子の中での「同調圧力」が次第に「女子会」となり、

    消費に繋がったのだと私は考える。

  • 17

    7章 付録

    同調圧力と若者の消費

    近頃、若者の消費離れと言われていたが実際には現状層ではない。さとりの

    世代で消費が少なくなったのには理由がある。それは「強制」がなくなったこ

    とである。それまで会った厳しい上下関係がなくなり、目上の人から何かを強

    いられることもなくなった団塊ジュニアの世代は消費をする機会が少なくなっ

    た。

    今の若者は消費離れしている訳でもなく、イベントなどがあると進んで消費

    する。上下関係の強制がなくなった今、若者たちが消費する、その魂胆にある

    のが「同調圧力」である。

    昔のような上下関係から強いられることは少なくなったが、今は「周りに会

    わせなければならない」という圧力というものが現代の強制になっている。し

    かし、この圧力はとても日本的であり、自分を主張してきた団塊ジュニアの世

    代の少し前くらいまでは、元祖の日本の村社会からかけ離れているとされてい

    た。

    そして、このような強制の変化は SNS の普及が関係している。 Facebook

    や Twitterなどの SNSで多くの人と繋がることで、自分が属しているコミュニ

    ティーの数が増えた。コミュニティーが増える分だけ、知り合いも増加し、自

    分に関する噂や情報が飛び交うことになる。そのため、人に嫌われたくないと

    いう気持ちになり、個々が個性を出しにくくなる。

    そして、この同調圧力は消費にも大きく関係している。最近の若者はハロウ

    ィンやオクトーバーフェスト、カラーランなどに積極的に参加している。その

    理由も「自分が参加したいから」、ではなく「みんなが参加しているから」でし

    ょう。

    このような若者の消費傾向から。今後はこの「同調圧力」を最大限に活かせ

    る商品サービスを作ることで、日本経済の活性化に繋がる。

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    参考文献・URL

    ・米澤泉『「女子」の誕生』勁草書房 2014年

    ・ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』2014年

    ・小川悠介『着眼着想 販促キャンペーン白木屋』日経MJ 2012年 6月 8日

    ・原田曜平『若者流行史 ハロウィンの人気の背景にある「若者の村社会回帰」』 2015年 1月 12日 ・日刊ゲンダイ『経済効果 3兆 7000億円!女子会が日本経済を救うのか』 2013年 3月 23日 ・渡邉威『主婦における女子会消費に関するアンケート』共立総合研究所

    ・ ヤフーバリューインサイト Yahoo!リサーチ『女子会に関する調査』

    ・ Yahoo! パートナー オトナレンアイ『女子会ってそもそも何をしているの』

    ・ モンテローザ 笑笑×キリンコラボ