「ブルース再び」...「ブルース再び」 信高合川 b1...

28
「ブルースト 再び」 B1 ーメシャンの『マルセル・ブルーストの作品に於け て』及び 『言づて る音楽と永生 (い鋤] ≦島5q①卑 、 一 日目〇 二9一 一. oo ロく器畠Φ] ≦, 。 容①一中o房け ) ーストの知遇を得るに 梓され、 爾来そのままになっていたが、ようやくこの程、 至った経緯や、オテル・リッツ 『マルセル.ブルーストと共に(》<o。竃母。o 一中oβω け ) 』 名の青 0 9 という改題のもとに再び出版された。五十年ぶりの再刊 氏〉に面談した有様 である。数年前たまたま初版, 本を手に入れ、アンカット 々として進まぬ最中 の. ままの黄ばんだ頁を切りつつ、一夏かけて読み耽った が、或る勘違いから偶然 思い出があるだけに、再びこの著作に巡り合ったことは れており、まさに『失なわれた時 感慨一 しおのものがある。 して興味尽きぬ部分である。 今回の改訂版は大幅に増補され、第一部は著者二十五 今も述べた通り、本書は半世紀前に初版が刊行 歳の折の、前記『音楽と永生』に手を加え、更に序文を 爾来メシャソはひたすら歴史学の分野に専心し 付して『失なわれた時の音楽』と改めたもの、第二部は 著作を発表し続けるが、その間、顧. みられるこ 新たに書き下ろされた部分で、『〈失なわれた時〉を再 まま放置されて来たのであり、しかも種々の理由から初 読して』『 クルティウス 訪問記』『 オテル・ リッツでの対 版本も殆ど人目に触れることなく散逸してしまったよう 談』『〈ニュルンベルクのマイスタージソガiVを聰い である。僅かにモーリヤックが賞讃の手紙を寄せ、中で '

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「ブ

ルー

スト

び」

B

1ー

ャン

『マル

・ブ

の作

に於

て』

『言づ

た女

の五篇

『マル

る音

(い鋤

]≦島

5q①

一、一日目〇二9一凶3

自署

ω

・ブ

への回

帰』

いう

のも

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一.ooロく器

畠Φ]≦,。容①一中

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け)』

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ルー

スト

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一室

で弱.冠

二十

一歳

『マル

.ブ

トと

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母。o一中

oβωけ)』

の青

ャンが

年後

に控

ルー

スト

09

という改題

のもとに再び出版された。五十年ぶりの再刊

氏〉に面談した有様、また本書執筆の契機、その筆の遅

であ

る。数年前たまたま初版,本を手に入れ、

アンカ

ット

々として進まぬ最中、亡きブルーストの家政婦セレスト

の.ままの黄ばんだ頁を切りつつ、

一夏かけて読み耽

った

が、或る勘違いから偶然訪ねてくる

エピソード等が語ら

い出があるだけに、再びこの著作

に巡り合

ったことは

れており、まさに

『失なわれた時』

の同時代人の証言と

感慨

一しおのものがある。

して興味尽きぬ部分である。

回の改訂版は大幅

に増補され、第

一部

は著者

二十五

今も述べた通り、本書

は半世紀前に初版が刊行され、

の折の、前記

『音楽と永生』に手を加え、更に序文を

爾来

メシャソはひたすら歴史学の分野

に専心して次々に

して

『失なわれた時の音楽』と改めたもの、第

二部は

著作を発表し続けるが、その間、顧.みられることもない

たに書き下ろされた部分で、

『〈失なわれた時〉

を再

まま放置されて来たのであり、しかも種々の理由から初

して』『クルティウス訪問記』『オテル・リ

ッツでの対

版本も殆ど人目に触れることなく散逸してしま

ったよう

談』

『〈

ニュルンベルクのマイ

スタージソガiV

を聰

である。僅かにモーリ

ヤックが賞讃の手紙を寄せ、中で

'

彼は

『囚われの女』の作者が

一時的

にもせよく聖徒の霊

による表現であり、我

々の用いる書き言葉、話し言葉

的交

わりVを希求していたことを知

って驚

いた旨伝えて

より更

に普遍的で包括的な伝達能力を有し、人と人との

来たこと、またブ

ルーストを〈今世紀最大の作家〉と葦

に、また死者と生者との間

にさえも、全き意志の交流

つたことに対して、ブ

ルースト嫌

いのクローデールが苦

を可能

にしてくれるものであり、云うなれば言葉によら

言を呈したことくら

いが、反響らしい反響であ

った。

ぬ言語であ

った。その彼がブルーストの中

に自分と同じ

それから三十余年後

の一九五七年、出版業を営む

一友

考えを見出し、しかも自分より遙かに透徹した音楽哲学

人が、「この書

の再発行を思

い立

ったのだが、結局刊行後

が、

芸術の域に高められて表現され

ているのを

見たこ

一週間目に会社が倒産して、再び幻の書となる。しかし

と、それがブルースト入信のき

っかけ

であ

った。以来彼

それを機

に著者が旧作を読み直し、

『失なわれた時』

はブルーストと共に青春を生きる。ブ

ルーストが彼の内

十五巻を再読したこと、これが今日ようやく

『ブルース

に植付けたものを糧として生きる。『スワンの恋』と

『花

トと共に』が世に蘇るき

っかけとなるのである。

咲く乙女たち』

の意識の中

に根

を下ろし、

その結

19

若き

メシャンと

『失なわれた時』を運命的に結び

つけ

果、ブ

ルーストの中断された内面の旅

は彼の心の中で続

たも

のは音楽

であ

った。当時

メシャンは、音楽家になる

けられたのである。

こと

こそ最大の夢であ

ったと述懐している。

スコラ

・カ

〈彼らが死絶えて忘却の底

に葬り去られたかに思われ

ソトルムの小ホールの指揮台

に立

って、英雄交響曲を指

た時でさえ、相変らず私

の内

に潜

んでいて、呼びかけれ

したこともあり、その折、客席ではヴァンサン

・ダン

ば直ちに蘇え

って《幸福

の忘れられたリフレイン》を歌

ィが好意的な暇なざしで見守

っていてくれたという

ってくれるのだ

った。そこに歌われているのは他人の幸

ソードも伝えられている。彼

にと

って音楽は他に代替

ではなく、まさに私自身の幸福であ

って、その後私は

のない、唯

一無二のものであり、必ずや自分も、この

二度とそういうものにめぐり合うこと

は無か

った。と云

ような音楽的構築物の作者たらんことを期していた。彼

うのも、それは私の青春の躍動、感動、熱情と固く結ぽ

音楽を単なる

芸術の一分野と

してではなく、

人類の

れていたからだ

(〉〈①o牢o易戸口」ω)。V

〈失なわれた言語〉の名残りと見ていた。それは言語の

その彼が三十年を経てブ

ルーストを再読し、す

っかり

過去

のものにな

ったと思

っていたく青春の躍動、感動、

ヤンとブ

ルーストとの不思議な機縁

によるめぐり合

いで

熱情Vがく秘密の果樹園のように〉心の中に生き続けて

ある。

一九二二年春、著者はライン駐屯軍に配属され、

いるのを発見する。〈それらはマルセル

・ブルーストの

連合国戦時下

鉄道運営委員会

のもとで

兵役に就

いてい

に固

て1

正確

に云

ら一

『ス

ン』

の折

E

・R

・ク

ルテ

ィウ

スの

『新

著者

が寝椅子

に身を横たえ、物問いたげな視線を私に向

フランスの文学開拓者たち』を入手し、中にブ

ルースト

けたあの忘れ難いタベ、死を間近

に控えた彼の、灰色の

が取上げられていないことを認り、彼

ほどの者がプ

ルi

木綿

の手袋

に包まれた両手をし

っかり握りしめたあの宵

ストを見落すとは何事か、直接会

って

『失なわれた時』

にこそ結ぼれて、それらは脈

々として生き続けて来た。

の比類ない美しさを講釈して聞かせようと、血気

に逸

の日と同じく生き生きと、死の記憶の底から、

いつで

マルブルク・へ乗り込む。即日クルティウスに面会し来

蘇ろうと

していたのだ。

まさに秘密の果樹園さなが

の目的を告げる。

ら、

の風化から

奇跡的に護られて来たのだ……(一三ユ・

すると、「ああ、ブ

ルースト!

こそ天才です。既刊

 

o・ミ)。〉

の作品は全部読みました。次の巻が待ち遠しくてなりま

9

これが彼

のくブ

ルースト回帰Vであり、〈ブ

ルースト

せん。

(……)この見事な手紙を御覧なさい、数日前彼

と共

に〉という標題のいわれとな

っている。その三十年

から届いたのです。」

の間

に彼が経廻

って来た波瀾の人生、

一応召兵としての

云いつつクルティウスは机の中を探

って

一通の書簡を

従軍

に始まり、収容所生活、トルコ大使就任、ヴィシー

差し出す。

メシャンによるその写しを訳しておく。ちな

政府入閣、戦犯、入獄、死刑判決、大赦と目まぐるしく

みにクルティウス所蔵の書簡類は全て、第

二次大戦末に

揺れ動いたその人生の有為転変を想うと、まさに目眩く

焼失したそうである。

ぽかりの軌跡

の果

てのく回帰Vであり、またかくも瑞々

(日付なし)

い青春を八十歳

の今日まで保ち続けたことに、畏怖と

敬復、小生目下微志

に伏し居り、貴

兄の御書面に自ら

羨望

の念さえ感じる。

返書を認むるの光栄

に浴しつつも、このところ稀々に発

しかし.執筆

の直接

のき

っかけとな

ったのは、若きメシ

信致す書簡も全てタイプライターにて打たせております

次第故、本日のところは貴翰

に接しての心よりの御礼申

クルティウスがその著作

にブルーストを取上げなかっ

し上ぐるにとどめますことの御無礼を、病

に免じて平

たのは、翻訳が無く、ドイツの読者が直接手にする事の

お許し下さい。

出来ない作品は除くとの方針からであ

った。.それなら訳

仏文学に対する貴兄の驚くべき博識と、仏文引用の見

書をお出しになるべきだ、小生が仲介

の労をと

ってもよ

さに、小生もドイツ語

にて御返事申し上ぐべきところ

いとメシャンは迫る。国情定まらぬ折ゆ、兄、版権交渉等

ですが、悲しい哉、貴兄のフランス語と小生のドイツ語

何かと難かしかろうと渋るクルティウ

スを焚き

つけて、

のあまりの懸け隔たりを恨むものであります。小生常々

ついにメシャン自らブ

ルーストに翻訳許可を願う手紙を

貴国の

(音楽1

この文字が

一たん書

かれて抹消されて

したためる。不安のうちに待

つこと数

日、五月十七日附

いる)文学、哲学に対し敬服の念久しく致しております

の返書が届き、ブ

ルーストの快諾を得

る。ところがその

が、貴国の言葉

にばついぞ親しむことなく過して参りま

書面の終りがた、思

いがけぬ

一節が書き添えられてあ

した。(とは申せ、

ギリシャ語と並んで

最も豊かな言語

た。

.

39

と心得ております。)加うるに音楽がございます。(先程

〈小生は貴下の母上様を存じ上げております。

ついぞ

抹消致しました文字。

他意はございません。)

音楽にご

面談申し上ぐる栄

には浴しませんでしたが、

お姿

は今も

そ、ドイツが他

に追従を許さぬものがあると申せましょ

よく覚えております。とても長身の素晴らしい御婦人で

う。

.、

.

あらせられました。貴下は似ておいででしょうか?

貴兄の御高説拝読の後、べ…トーヴェンの四重奏曲第

生貴下にお会い申したことは無

いと存

じます

ので、お写

五番なぞ聴きますれば、小生の病も或は快方に向かう

真お送り頂ければ嬉しく存じます。拝見の後、直ちにお

のではありますまいかと密かに期する

昨今でご在いま

返し致します。

(『花咲く

乙女たち』

の中で、

ジルベル

す。

・スワンがその父母

に似ていることをお読み頂いたか

心よりの感謝申し述べます。敬具。

と存じますが)常日頃より小生、何らかの特徴ある容姿

マルセル・ブ

ルースト

が性を違えて別人の中に現われる現象

に強い関心を抱

ております

(……)〉

ところがその〈長身の素晴らしい婦人〉はメシャンの

ものか、お驚きにな

ってはいけません。愚考致します

に、

実母ではなく、父の離別した最初の妻、ヴ

ェラ・ド

・サ

男と云うものは、この女性あ

の女性と脈絡もなく愛恋す

ルツァだ

ったのである。遺憾ながらくブルースト氏Vの

るのでなく、或る女性

のタイプに惹かれてやまないもの

るヴェラの息子でないことを打明けれぽ、せ

っかくの

なのです。死別や離別によ

って愛する女性を失えば、そ

の厚情もふいになりはしまいか、そうなれば

クルティ

の亡き女性と同じタイプの女性を飽かず探し求め、しか

スとの約束も

反古になり

兼ねぬ。

思案の末

一計を案

も往々本人はその事実を自覚しないも

のであります。御

じ、戦線で撮

った朦朧たるスナ

ップ写真を送る。

一週間

尊父様が再婚なす

ったのも、新しい母上様がまさに愛す

後、再びブ

ルーストより便り。〈(……)母上様の面影が

べきタイプの女性だ

った故と拝察致します。どこか初め

まざまざと心に浮かんで参りました。全くも

って瓜二つ

の奥様と似ておられる筈であります。・ですから、貴下に

でいら

っし

ゃる。〉

は恐らくご存じのないその最初の母上様の面影の幾

つか

くそらぞらしい事を!Vとメシャンは

一人苦笑する。

を、貴下の御写真

の中

に見出したとし

ても不思議はない

4

〈自分の文学理論に合

ってさえいれば、何とでも書くも

と申せます。御尊父様の愛されました女性のタイプの名

9

のらしい。V

,

残りが、今の母上様を通じて、貴下の面立ちに現われ、

だが、かくも善意に満ちた人を騙した事

にさすが気が

いわば間接的な相似を成しております。これは小生の考

め、

ついに全てを告白して

裁きの沙汰を待

つ。

五日

えを余すことなく立証してくれるものであり、表面上の

、三週目の手紙が届く。

勘違

いはございましたにもせよ、畢寛小生は誤

っていな

〈お気になさるには及びません。迂闊だ

ったのは小生

ったことがお判り頂けるかと存じます。もし小生をお

の方です。

お手紙を

差上げる

前によく

調べるべきでし

訪ね下さる折あれぽ、これらの事ども

についてとくと語

た。しかし事は貴下の御想像以上に興味深くな

って参り

り合いたく、

パリにお寄りの節には

是非

御面談

致すべ

ました。と申しますのは、貴下の御写真は恋愛に関する

く、楽しみにお待ち申しております。〉

生の考えの正しさを証明するものとなりました。あの

という、

いささか

苦しい弁明の書

であ

った。

ともあ

一葉

の御写真が小生にとりまして何程重要な意味を持

れ、このような奇しき因縁

によ

って、

メシャンはブ

ルー

ストの知己となり、

数週間後、

六月半ぽの深夜、

オテ

せ、また、たまらぬ魅力となる。

・リ

ッツに彼を訪ね、

『音楽と永生』

の執筆を勧めら

何故彼

にと

ってく信仰の書Vたり得るかと云えば、個

ることとな

った。

一方クルティウスによる翻訳は、大

人と個人の間の全き交流

への激しい希

求と、その実現性

の混乱の中でついに日の目を見ることなく立消えとな

への半ば絶望的な予感が彼

の根底にあり、それを救う僅

ってしま

った。

かな光明として、音楽による言葉に頼らぬ心の交流、時

間も空間も超越したく魂の交流Vの可能性が残されてお

著者は

『音楽と永生』を再刊するに当

って、ほんの僅

り、それが彼の心の師ブルーストの次

一節と固く結び

かの加筆訂正にとどめたと語

っている。若き日の作品を

付くのである。

否認するのは不誠実であり、今日の自分にたどり着くべ

く自然界の進化が捨て去

ってしま

った生命形態

の最後

く借用した梯子を打ち砕いて省みない行為

に等しいとの

の名残りを、或る種の生物がとどめて

いるように、もし

理由からである。確かに論旨は殆んど元のままと云える

言語の発明や単語の形成、観念の分析

と云

ったものが無

 

が、力点の置ぎ方が多少変

っている部分があり、また何

ったなら、音楽こそ《魂の交流》

は斯くなされたとい

9

よりも

文章が

整理されて

読み易く改められた

点が有難

う唯

一の実例とな

ったのではあるまいかと私は考える。

い。しかし旧作の若々しい饒舌と、全篇を貫

いていた送

それは

一つの可能性であ

ったが、それを継ぎ伝記るもの

る祈りにも似た語調が抑・兄られてしま

ったのはいささか

に恵まれなか

った。人類は他の道、話し言葉、書き言葉

しい。ともあれ枝葉が取払われて根幹明らかとなり、

の道

へ踏み込んで行

った。しかし、この分析不能の道

初版

では充分把握しきれなか

った思考の全容を、今回よ

の回帰は非常に心を酔わせるものであ

り、この楽園を去

うやく傭臓

し得たよう

に思う。

って、多少なりとも理性的な人間に接することなど、全

メシャンのこの著作が、他の研究書と全く類を異にし

くも

って無味乾燥に感じられた

(幻・↓●勺"一一一蔭膳⊃㎝Qo)。〉

ている最大の点は、『失なわれた時を

求めて』を.人生探

音楽はく失なわれた楽園Vに交わされた全き言語の名

の書として読み通していること、

一種の〈信仰の書〉

残りである。この措定

こそメシャンにと

ってブ

ルースト

として接していることであり、

これが

読む者を

面喰わ

巡礼

への最初の門であり、我々にと

ってはメシャソへの

となる。これを潜らねば自余は全て無意味となる。こ

音楽が語り掛けるものとの間

に、密接

な照応があること

れを潜

って、

ついには音楽が〈聖堂の尖塔の頂きを飾る

を自覚していたので、

様式や流行には

とらわれなか

金の小片〉

となり

〈建物全体が

それに向か

って狂お

た。・音楽を社交の道具としてしか聴く

ことの出来ないゲ

しく高ま

って行き、

ついに天空と出会う

(〉〈8

男8器什・

ルマント夫人、或

はスノビズムと偏狭

な無知

に吹き込ま

や自)〉

ところまで、

ルーストと共に辿り行

こうとい

れた偏愛を脱しきれないヴ

ェルデ

ュラソ夫人、或はく養

のが本書の構成である。

いわば

これは音楽的

『天路歴

務感

によ

って

(……)『トリスタン』

『パルシファル』

程』であり、バンヤンがそのタイトルページに記した次

もふり捨て、禁欲に禁欲を重ね、血の滲む思いで十字架

の文言は、ほぼそのまま本書

に通用する。

の道を歩

んだ揚句、目出たくも

『ロンジ

ュモ:の御者』

〈この世より来るべき世に到る

にたどり着く

(日」昭)Vような人々に対する、鋭

い皮肉

『天路歴程』

は全てここから生まれる。

巡礼者のかしま立ち

しかしブ

ルーストがとりわけ愛聴したのはワグナーと

69

危うき旅路

ベートーヴェンであり、特に後者は

『失なわれた時』が

また望む御国に安着

の模様を

終章に近づくにつれ、色濃い影を作品

に落とすことにな

夢に託して述べしもの〉

る。ベートーヴ

ェンとブルースト。

一方は逆境に立ち向

その歴程の第

一歩はブ

ルーストの音楽地図から

始ま

かう巨人であり、その作品は全てに打

ち勝

って渦巻く歓

る。

に終わるが、他方

は病

に冒された影

のような存在であ

ルーストの作品に於て音楽が占める

特権的な

地位

り、あらゆるもの

への幻滅のうちに生

涯を閉じることに

は、彼の実人生に於て音楽が占めたやはり劣らず特権的

なる。

にも関わらず、両者の間

には無視し難い類似点が

な地位を反映している。彼はグレゴリオ聖歌から

エリ

ある。

一方

は外界の物音を完全に遮断した

コルク張りの

・サティ、

ストラヴィンスキーに至る広汎な作品を享

部屋に閉じこもり、他方

は難聴という更に狭い牢獄

に幽

し得る柔軟な音楽的素養を持ち、しかも常

に一級品を

閉されていた。また両者ともに、己れ

の芸術に全面的

き判ける鑑識力を具えていた。自分の語るべきものと

身を捧げ尽し、共に最期の息をひきと

る瞬間まで、精神

の全てを熟達と錬磨

に結晶させて、散り散りにな

った人

どま

っている。

ケルト人が語り伝えるように、樹木や無

々の精神に統

一を回復し、踏

み惑う心

に平安を取戻させ

生物の中

に閉じこめられている死者達

の魂が、生前親し

べく奮闘するのである。ヴァソトゥィユのソナタの中

った人

に呼び掛けを行い、その呼び声

に応じてくれる

にも、ボンの巨匠の後期のピ

アノ・ソナタのヴァリエー

者を得た時、初めて死者は蘇

って再び現世を生き始める

ョンが聞きとれるとく音楽家V

メシャソは指摘する。

■のと同様、芸術家とは先ず何よりも事物

の中

に隠された

美の萌芽を、誰よりも敏感

に察知する人のことである。

この音楽的素地に加えて、ブ

ルーストには類稀れな観

事物は呼びかけ、芸術家の感性がそれ

をキャッチする。

力がある。彼

は幅広い教養、常に目ざめている知性、

次いで芸術家は己れの本質を事物

に浸

み込ませ、それ

んど触覚

に近い鋭敏な感受性によ

って、大量の心理的

よって事物は以前

には保有していなか

った価

を帯び

音譜を採譜した。

一面ではその為に〈時を失

った〉とも

る。この交流が繰り返された後、

ついに事物は我々の中

云えようが、ともかく現実

の様々な様相に食欲な眼を向

に蘇り、深い眠りから醒ましてもら

った事を感謝するか

 

け、膨大な観察を記憶の中に積み上げた。後は必要に応

のように、幸福と自由の感覚でも

って我

々を陶

9

じてそれらを心の底

にく見出しVさえずればよかった。

る。

いわば事物と芸術家との共同作業

によ

って美が招来

この蓄えの上

に、例のケルト伝説i

死者の霊魂復活

される。

つまり美

の口寄せが行なわれる訳である。紅茶

の信仰州一が作用してブルース.トの文学が始まる。彼

に浸した

マドレーヌ、

マルタンヴィルの鐘楼が空

に切り

って芸術

は、実人生の外

に位置する抽象的産物ではな

抜く金色

の三角形、或

はゲルマント邸

の中庭

の敷石の凹

く、また事物や現実を口あたりよくする添加

でも

凸、

いずれの場合も、〈私Vがたどる

のはこの同じ精神

く、事物の本質そのものが語り掛ける言葉

にならぬつぶ

的道筋なのである。

やきを翻訳して、それを我々の現実の中

に移しかえて表

かくしてブ

ルーストは次の結論

に達する。〈芸術作品

したものなのである。従

って現実

の全てが美を生み得

の前では全く自由が許されない。我々は勝手気ままにそ

る。しかしその美は、それを感じ表現してくれる人間

れを作り出すのではなく、それは我々以前に存在してお

めぐり合うまでは、潜在的な、仮そめの可能性としてと

り、しかも必然のものであり、隠され

ているのであるか

ら、自然の法則を発見するのと同じように、.それを見出

処した。」果して言葉

に写し取れるかどうか危ぶまれるよ

さねばならないのだ

(一一一・ooQo一)。V

うな、移ろい易く捕え難い印象を表現

しようとする時、

才能ある芸術家とは、事物の中

に隠された本質を解き

大抵彼

は、

多少なりとも音楽的な

メージを

借りてく

つ能力を、誰

にも優

って保有している人間である。そ

る。.

してその本質

は彼

の仲介なしには存在し得なか

ったので

く何時までも続くと思

っていた多く

のものが私の中で

あるから、その意味で彼

は紛れもなく<創造主〉なので

殿れてゆき、新しいものが生まれ出てきた。昔の苦痛や

ある。

また

その本質は事物

の外観の中にあるのではな

歓びを今理解することが難かしいのと同様、それらは以

く、感性

の浸透して行く度合の中、外観がもはや意味を

には予想も出来なか

った苦痛や歓びを目醒めさせた。

持たなくなるような深みの中

に存在しており、それを表

父が母

に向か

って

「坊やと

一緒

に寝に行

っておやり」と

現する際にも、直接的な言葉

によるのではなく、等価の

云わなくな

ってから、もう随分になる。あのような

一刻

のくイメージV

に置きかえて伝えることが

必要とな

はもはや私

に蘇ることはあるまい。しかし父の前では辛

89

る。

ここから文体の問題が生じる。

うじて堪らえ、母と二人きりにな

ってど

っと堰を切

って

本来、理性的な思弁に適している言語、物質をますま

溢れ出たあのすすり泣きが、近頃ふと耳を澄ませるとは

す微細

に切り裂

いてゆくメスにも似た言語が、

一体どの

つきり聞きとれるよう

にな

った。あのすすり泣き

は実際

よう

にして現実の流動性、生きるものの連続性を表現す

には消え去

ってはいなか

ったのだ。ただ私を取巻く生活

ることが出来るのか?

どのようにして回想の曲線や直

が前よりも静ま

ったので、再びそれが聞

こえるのだ。ち

の紆余曲折

に添

い従わせることが出来るのか?

ようど昼間は街の物音

に遮られてもう鳴らなくな

った乏

失なわれた時Vの探索

に向かう前に、先ずブ

ルース

っていた僧院の鐘の音が、タベのしじまの中で再び響

トは、彼独自の言語を創出しなけれぽならなか

った。伝

くように

(一・ω刈)V。

統的

な文章構成を破壊し、大量の挿入節を移植し、枝葉

音楽は単に内面状態

の描写にとどまらず、光や香りの

のこんだ

全く

異色の文体を

考案七なけれぽ

ならなか

そこはかとない変化がもたらす印象を伝、見る時

にも用

た。彼

はまた比喩を動員することによ

ってこの問題

に対

られる。

〈私はさんざしの前に立ちどま

って、眼にも見えず動

が彩るように、音楽が言葉に貸し与え得る最も微妙な変

きもしないその香りを吸

ってみたり、その匂いをどう考

化が、寄せては返す波の通奏低音を伴

って、ここに繰り

えて

よいのか迷

っている私

の思考の前に

かざしてみた

ひろげられている。

り、取除けてみたり、再び見付けてみたり、若々しげな

喜びと、楽曲

の音程にも似た意外な問を置いて、ここか

しかしブルーストの音楽性がこの段階に終始するもの

しこ

にその花を散らせている或るリズムと

一つになろう

ならぽ、

単なる音楽的な作家に彼

はとどまるだろう。

としてみたのだが、全ては無駄だ

った。さんざしの花は

『失なわれた時』

の中で、音楽は遙か

に高

い地位を占め

限り無くふんだんに、同じ魅力を何時までも与えてはく

ている。先

に述べたように、ブルーストにと

って凡ゆる

れるが、

その魅力を

一層深く

究めさせては

くれなか

芸術は再生復活なのであり、その復活

を促すものは、人

た。ちょうど百度続けて演奏してみても、

一向にその秘

と物の相互が

抱く蘇りの欲求なのであ

る。

物が呼び

密に近づけない旋律のように

(一」

。。。。)。〉

け、人が応え6。或は人が呼び掛け、物の応えを待

つと

 

音楽が比喩として並置されず、地の文

に混然と溶け合

いうプ

ロセスを踏む。その端的な例が〈バ

ルコニーの敷

9

って、

描写全体に豊かで複雑な

和音を響かせる例もあ

石〉の

一節である。

る。

〈朝食の時以来、私の不安の暇なざ

しは、晴雨定まら

十時

に窓

の下で野外演奏が始まるのだ

った。満潮

ぬ曇り空を離れようとしない。空

は依然暗

い。窓の前の

には、波の絶え間なくなめらかに滑る音が、楽器の音の

バルコニーは灰色だ。ふとその無愛想

な石の表面に1

合間合間

にその響きを取戻し、波

は水晶め渦の中

にヴ

幾分明かるい色合いを認めたというのではなく1

幾分

イオリンの調べを包み込み、わだっみの調べの間欠的な

明かるい色合

いを帯びようとする努力

のようなもの、た

こだまの上に、その飛沫を吹き上げるのだ

った(H㊤経)。V

めらいがちに光を放とうとする鼓動のようなものが感じ

ルベ

ックの風景の移ろいやすい背景をなしている緩

られた。

一瞬の後、バ

ルコニーは朝の水のよう

に青く冴

やかな潮の流れや、花咲く乙女たちの列が

シルエットと

えて、手摺の金具の反射が無数に群れとま

った。

一陣の

って浮かび上る海を、モーヴとサンゴのあえかな色調

風がそれを追い払い、石は再び陰

った。だが手摺の反射

は、飼い慣らされた小鳥のよう

に戻

って来た。石は目に

れ、今度

はこの謎を対象の中にではなく、.自己の回想の

もとまらぬ程

に白みを増した。やがて、序曲の終りがて

中に探ろうと方向転換してみる。だが結局事物はその殻

に一つの音が急速

にフォルテッシモに高ま

って行くよう

を割

って中身を見せてはくれず、心は孤独

のまま絶望

に、

一と息

のクレッシェンドでも

って、石の面が晴れの

沈むのである。たしかにそこには、意

識と無意識の、合

安定

した金色に到達するのを私は見た

(一・ωoo)V。

理と非合理の定まりない境界

に位置した世界、人間の探

晴天を待ちこがれる〈私〉の欲求が、石

に〈鼓動〉を

の手が

一度として届かぬ最も遙かな精神

の岸辺、最果

目醒

めさせ、石は明かるみを帯びようというく努力Vを

ての領域の模様が描きとられてはいる。しかし、依然と

鼓吹

され、灰色から青

に、青から白に、白からついに金

して〈自然の最も高いものと、人間の最も深いもの〉は

へと

くクレッシェンド〉

でも

って

生気を回復して行

未だ出会うことがない。

く。

このよう

にブ

ルーストが再三繰り返

して語る挫折

の意

かしこうしたく欲求のやり取りVが、多くの場合不

味するものは何か?

それはく言葉と

は何か?V或

はむ

oo

調に終るのが見られる。単なる石の色調の変化などでは

しろく言葉とは何でないか?〉という問い掛けの伏線を

なく、自身の知覚の中

に深く踏み入

って、現実の投げ掛

なすものなのである。これ

を踏

ま、見て〈音楽とは何か

ける種々の謎

に立ち向かおうとする時、

な呼び掛

?〉

へ進むことになる。

け、.問い掛け、語り掛けを様

々に繰り返した揚句、結局

音楽と人生、及び音楽と文学が最も緊密に結ぼれ合

は事物

の冷やかな闇の中

に投げ返えされるく私Vが各所

た実例を

『スワンの恋』

に見ることが出来る。周知の通

に見られる。プティ

・マドレーヌ、

マルタソヴィルの鐘

り、元来この章は多々物議をかもしてきた部分である。

楼、パルベックの道のほとりの木立、いずれも同じケー

一人称〈私〉が語り進める作品の中

に、なぜく私Vの誕

スである。先ず初めに、故知れぬ感覚の急激な歓びが襲

生以前に第三者

スワンの体験した恋物語が挿入されてい

い、その原因を対象の事物の中に探ろうと接近し、

二度

るのかという疑問が、既に作者存命中

からささやかれて

三度とはね返される。そこで

一旦休息し、或は故意の空

いた。ブ

ルーストはそれに対して、周到な計算

に基く意

白を

もうけた上で、気分

一新して挑む。またもや拒絶さ

識的なアナクロニズムであり、全巻通読すればその意味

ろが

ろう

と答

であ

るが

で会

も知

いと

いう

、淡

い期

から

の章

こそ

〈音

は何

か?

り明

んが

に設

った。

の女

ット

も、

めて

の眼

に映

った

重要

であ

る。

の持

つ、

時空

は、

に美

はな

いが

めな

た伝

を表

る為

は、

た別

しさ

の欲

も唆

ず、

って

エピ

ード

る必

った。

『スワ

ンの恋

で、

の感

イプ

『囚

の女』

と対

て考

(戸

おα)V

の女

であ

った。

は指

ァイ

のか細

い音

へ進

む前

に、

『ス

ン』

のも

の見

な音

るピ

ノの伴

、〈モ

ヴ色

の波

さざ

めき(炉・。O。。)V

楽性

に耳

に呼

で〈

の大

に漂

の巻

ユの

の香

に、

々と

いて

(一σ己)〉

る。

る。

アド

の糸

に、

の章

の全

は、

ァイ

オリ

ンが

「連

いを

失く

た鳥

- 

って

めぐ

る。

の糸

めぐ

って

スワ

よう

(一・ω認)V

の恋

は目

め、

て凋

でゆ

ソナ

よう

に、

〈他

に還

ぬV

から

モー

ヴ色

は縄

のよ

から

み合

って

る。

のさ

めき

(視

)V

へ、

.バラ

(嗅

)V

めて

ァソ

ユの

タを

た時

スワ

ンは

てく

た鳥

V

いう

へと

の感

の印

った。

だ記

に曲

人間

を帯

て行

の忍

に身

っぱ

であ

り、

た彼

、〈演

に女声

った

よう

な錯

(一・ωミ)〉

の他

の領

に還

こと

可能

(一'bo8)〉

に陥

って声

の前

に有

は楽

った。

ケ月

ェルデ

ュラ

ソ夫

P

る。

し〈

を欺

レー

ヌの

び声

(一三ユ陰)〉

で同

を耳

た時

は楽

から

み出

に響

る。

一つ

の楽

の形

な性

み味

って

(一げ一匹.)〉

ら遊

て、

幸福

る特

るも

いた。

し始

に投げ

、彼

は他

のも

から

は決

れを味わうことは出来まいという気がして、未知の恋の

恋の楽節が

最後

の和音の中に消え

った時、

それは

ようなものをその楽節に感じる。

スワンはく例えば或る

〈香りの茂みの中を手を取

って導

いてくれる道案内の娘

の生涯をふと横切

った行きずりの女が、全く新しい美

のよう

に思われ、

スワンの顔

には彼女

の微笑みの名残り

のイ

メージを植え付けてしまうように

(一・b●5)〉、

が写

っていた

(量ユ・)。Vという件りに至

っては、〈彼女〉

たりその楽節に付いて行

こうとする。ふとその瞬間、オ

ソナタなのか

オデ

ットなのか、

はや定

かでなくな

ットの姿が現われた。それは初めて出会

った日のよう

る。

な、興醒めのするつれない顔ではなく、

ソナタの人間化

次第

に人間化してゆく楽節と並行して、オデ

ット

への

と軌

一にして、無数の顔の中で彼

に歓びと苦しみをも

恋も緩やかに

つのってゆき、

ついには

スワンの心の中

たらす唯

一の親しい顔とな

っていた。

で、愛する女の姿と音楽の眩惑が入り混

って混然たる和

以来彼女は、他の誰でもよい女ではなく、彼

の欲求す

音を響かせ、もはや永遠ざえ物の数で

はなくなる。

る女となる。彼女のややくぼんだ

輝く眼、

倦怠と美

く小楽節はスワンの心から、日々の煩いを拭

い去

って

2

刻まれた頬、それまで見る度

に変化したその顔

は、今や

ろにしたので、そこにオデ

ットの名を書き込むのは自

10

一の変わらぬ微笑み、

ついにめぐり会

い、ついに見出

由であ

った。

オデ

ットの愛情にはややもすると欠けたと

したその唇からこぼれる微笑

に席を譲

った。未知の女は

ころ、不充分なところがあ

ったが、そ

こに小楽節が加わ

愛す

る女

に変わり、

その名も

っていれば、

その声も

って、その不思議な元素を混入したのである。(…・:)こ

聴き

わけられ、望めば毎日のよう

に会えるのだ。

ソナタ

の時期、音楽が彼

に与える歓びは、あたかも別世界を知

についても

同じことで、

〈今や曲

の名を

尋ねる事も

,

り初める歓び

に似ていた。それは我

々の眼

に抱えられな

(……)、

それを覚えておいて、

家で好きなだけ聴く

いが故に形が無いように見え、我々の知性の網の目にか

ことも出来、それが語り掛ける言葉や秘密を探ることも

からないが故に無意味に思われ、唯

一の感覚

によ

ってし

出来

るのだ

った

(一.曽ho)〉。それは全く特別な曲となり、

か到達することの出来ないものである。

(……)

理性の

全く個人的な魅力を帯びてしま

ったので、もはや他の如

媒介を捨て去

った最も密やかな自分の心を、音の漠然と

何なる曲も代用

にはならない。

した濾過器の中

に潜らせることに、彼

は何とも不思議な

陶酔を感じていた。彼

はこの楽節の甘美さの底に潜む苦

言葉で語るよりも楽節

に語らせる方が意を尽していた。

の影、和らげられることなく密かに残

ったものに気づ

しかしながらこのような和合が何時

までも続くはずが

き始めてはいたが、それを気に懸ける余裕は無か

った。

い。

フォルシュヴィル伯

の出現

は、

スワンの恋

の気候

は傷

いものだとそれが語

っていたとて何だろう、自分

風土を大きく変えた。

オデ

ットが自分から去

って行くか

の恋

はかくも激しいのだ

(一.8刈)〉。

も知れないと思うと心が懐

いた。すると不意

にその楽節

説の恋人たちのように、

スワンは永遠の春を生

も声何か越え難

い空間を遠ざか

ってしま

ったように聞こ

た。

音楽が第

二の青春を与えてくれた

かのようであ

え始める。

た。ヴ

ェルデ

ュランのサ

ロンにおもむいて、オデ

ットと

くヴァイオリンの

トレモロが

打ち

震えながら

二才ク

に長椅子

に坐れば、ピアニストは二人の為

にヴァント

オーヴにわた

って、小楽節を護るかのようにさざめき続

ユの

ナタ

を弾

いてく

のだ

った。

はく

二人

ら一

ょう

めく

の高

い滝

の恋

の国

(一.bδ目Qo)〉

って

いた

は、

つと

って動

ぬ山

の風

の中

二百

尺ぽ

り下

3む

やそこに或る醒めたものを感じ取

っていた。この曲に

散歩する女の姿が小さく見えるのにも似て一

あの小楽

-

って導かれた幸福であるのに、その幸福

の空しさをこ

節が、小止みなく朗々と響く透明な帳

に守られて、叢る

のソナタは知

っているように思われ、その軽やかさの中

遙ると優しく姿を現わした。

スワンはそれ

に向か

って、

にはく悔恨のあとの解脱のような

(一三α.)〉何かしら完結

恋に悩む胸の内を打明けるかのよう

に、心の中で語り掛

したものがあ

った。だが例えこの曲が愁いを秘めていよ

けた

(一層N罐)V。

と、

スワンには関わりなか

った。彼

はこの曲それ自体

しかしそれはもはや昔の日々の魅力

を蘇らせてはくれ

を考えたことは無く、数世紀

にわた

ってこれを聴く全て

ない。あたかもこの世を去

って天上

の国

へ帰ろうとする

の人々に向か

って、それが語り掛ける筈のものを考える

天使のように、おぼろに遠ざか

って行く。

よりも、むしろ

一つの特別な恋、自分の恋の証しとして

小楽節の虹色の展開

に、

二人黙

って聞き入

った、あ

いていた。従

って恋する二人はもはや自分を語る必要

長い胱惚

の時は終りを告げた。ささいな事からヴ

ェルデ

は無か

った。小楽節が二人の為にその役を買

っていた。,

ユラソ夫人の不興を買い、

スワンはサ

ロンから追放され

る。

の幸

の時

は、

って閉

せず

の歌

の忘

レイ

ンを

く歌

る。

い交

のだ

った

(一・○。&)〉

こう

てヴ

ェルデ

ュラ

ソの

ンで

は、

スワ

みが

いか

い知

は話

にも

なく

った

(一●・。。。り)〉

ンは

の蘇

った幸

と向

き合

って

っと

にも

に心

を委

た男

の悲

から

(一.QQミ)V。

る。

一たび

た過

に消

かし

にも

の苦

にも

い。

の中

に結

った

は、

スを

、彼

はそ

に何

旧知

の懐

を感

ンド

のよ・う

に心

を苛

の小

は心

に呼

で語

い思

に駆

た。

い言

て彼

は、

の曲

オデ

ット

こと

ど知

る由

の陰

不意

に現

て、

いと

って

いた

や逆

の確

を抱

いて

いた。

に心

つけ

の頃

は、

の小

の微

の中

に、

めた

4む

ず、

の面

調

の中

に、何

か苦

の調

べを

いた。今

った

は過

の歓

の苦

みを

ろ諦

のも

さを

った(H・ω心◎o)〉。

て彼

に語

の憂

り付

こと

ーヴ

ェル

ト侯爵

の音

で、

たあ

の憂

は自

タが

ンは不意

オデ

、ッ

のと

の日

か解

され

いと

や願

トが戻

って

の思

にと

の憂

つい

て、

は、

つて

の幸

った

々と

「ヴ

ソト

ユの

ソナ

だ。

い」

に、

それ

だ、

んな

て何

く、

つて

オデ

ットが

に夢

った

の思

はな

か…

(一げ乙■)V

と語

り掛

いる

出、

の底

に秘

め隠

い出

の全

てが

に射

だ恋

の季

の陽

に欺

かれ

て、

一せ

しず

が彼

て始

る。

つ舞

い上

の不

は、

や愛

こと

の出

ぬ、

ぬ女

面影を少しずつ払いのけ始める。音楽によ

って目醒めた

楽節を忘れ去

っていた間も、それは物質的代替物を持た

は、音楽と共に終息

に向かう。長い苦しみの後、よう

ない或る種の観念、光、音、遠近、肉体的快楽などの観

やく苦痛が和らいだことが感じられた。光と影を潜

って

念と同じように、彼

の精神の内

に潜んで存在していたの

の長

い旅

の果てに、彼

はまた元の場所に戻る。オデ

ット

だ。もし彼が虚無に帰れば、恐らくそうしたものも失わ

は元

の他人となる。オデ

ットの最初の印象は〈横顔は整

れるだろう。だが生きている限りそうしたものを知らな

い過ぎ、肌は華奢に過ぎ、目鼻立ちはきつ過ぎ(一.目8)〉

いふりは出来ない。かくしてヴァントゥィユの楽節

は入

る女

った。今彼女について覚えているのはく青ざめた

間に結び付き、人間的な何ものかを把

握する。

一たんそ

顔、

こけた頬、きつい目鼻立ち、くぼんだ眼、それはオ

うな

った以上、楽節は人間と運命を共

にする。

ットを愛していた日々には永らく忘れ去

っていた最初

〈真実なものは恐らく虚無であろう。我々の夢もまた

の面影であり、初めて結ぼれた日以来気づかなくな

って

消えるだろう。しかしその時には小楽節もまた無となら

いた面影の全てであ

った

(一.ωco目)〉。

ねばならない。

(……)我々は滅びる。

しかし我々は人

5む

は終

ったが、音楽はスワンの中で、オデットを離れ

質としてこの神聖な囚人を捕えており、この囚人も我々

-

て成長する。幸せだ

った頃のスワンは、小楽節の中

にオ

と共

に滅びる。そうであれぽ死もさほど辛くはなく、不

ットへの恋の反映しか聞こうとしなか

った。しかしオ

名誉でもなく、

多分

有りそう

にないような

気さえする

ット亡き今、彼

の音楽も変化をとげる。あの曲はもと

(一・ω8)〉。

もと自分のことなど無関心だ

ったのであり、むしろ我々

ここに至

って音楽は、人間的条件の中に取込まれて、

の現実などより遙かに優れた何か、それのみが表現

に価

音楽と共に生きる人間の不滅を予感さ

せるものとなる。

るような何かを見出し、内心の悲哀

に浮かぶ美の姿と

しかし音楽は、こうした人間的側面を持

つ一方で、やは

してそれを再現して、眼

に見え心に感じ取れるものにし

りこの世のものならぬ領域に属しても

いる。その超自然

ようとしているのではあるまいか。それ故にこそ、この

的なものの存在は、普段は決して現われ

いの

であ

を聞く自分以外の人々にも、

一様に感動を与え、その

が、偉大な探険家が歎難辛苦の末にそれを持ち帰

って、

聖な快感を多少なりとも味わしめたのだ。彼がこの小

人類

の頭上に輝かせて見せてくれる時、人々の感じる深

い慌

惚感

によ

って、その価値を計り知ることが出来るの

めいた導きの精霊の呼び掛けが響く。

である。ヴ

ァントゥィユがあの小楽節を作

ったのも、そ

く私は突然、初めて聞くこの曲に、

ヴァソトゥィユの

いう困難な探険の産物だ

ったのであろう。〈未踏の荒

ソチタの唯中

にいる自分を発見した。例の小楽節は乙女

野を横切

って唯

一の目的地

へ誘

う未知

の力

の、秘密の

よりも艶でやかに、銀の飾りをまとい

つつ、輝く音の馨

則見出し、観察を続けるヴァントゥィユの勇敢さ

(炉

を滴らせながら、軽やかに楽しげ

に私

の方

へと近づ

いて

ω目)Vにスワンは心打たれる。

来た。その新らたな装

いの下に、紛れもない小楽節が聴

しかし時は流れ、世代が交付する。

スワンの恋に

『消

き判けられた。それ

に再会した歓びは、それが語りかけ

え去

ったアルベルチーヌ』

の作者の恋がと

ってかわり、

る馴染み深い、いかにも納得させるような、素朴な、し

スワンが消えたまま

に残した炬火を引継ぐのはく私Vと

かも玉虫色の輝きを保

った語り口によ

って、

一層強

めら

称する人間である。小楽節もまた〈私〉の中

に時空を超

れた

(已・・。お)〉。

て復活する筈だ。

ソナタは清澄な田園

の夜明けの上に繰りひろげられた

6 

スワンの死後数年を経て、〈私〉はヴ

ェルデ

ュラソ家

が、

この七重奏曲

は、嵐を孕んだ血の光芒

に包まれて進

1

の演奏会に招かれ、ヴァントゥィユの遺作の七重奏曲を

んで来る。しかしソナタと同じ強い喜

びを〈私〉に感じ

聴く。ヴァントゥィユの作品としては、

スワンがまだ生

させる。

ていた頃、オデ

ットが例のソナタの小楽節を弾

いてく

突然

一つの歌が宙を貫く。それはく夢にも知らぬ歌、

るのを聞いたことがあ

ったが、そこには何ら語り掛け

私がかつて想像したもの全て、想像し得たかも知れない

てくるものが無か

ったので、〈私〉は記憶

にとどめるこ

全てのものとは似

ても似つかぬ歌

(……)雄鶏の神秘の

ともなく忘れ去

っていた。今宵奏されるのがヴァントゥ

歌声、永遠の朝を告げる霊妙な甲高

い呼び声(日・b。8)V

ユの作品であることも知らなか

った。

であ

った。やがて黎明の緋色は次第

に薄らぎ、

コンブ

演奏が始まる。何が奏されているのか、誰の作品なの

の鐘の音にも似て段々と響く歓喜

モチーフがひろが

か、いかにも馴染めない曲想である。聞く者を拒絶する

る。かと思うとまた別のモチーフがそれを追

い散らして

ような耳慣れぬ音の連続。だがふとその中

に、『千

一夜』

進み出る。

に盛

り込

た様

の要

々と

の少

一部

にわ

って生

こと

一つの

ってゆ

のを

のだ

(一戸

㎝)V

は、

ント

ゥィ

ユの

これ

の作

は全

て、

のよ

に〈

は、

スワ

ンと

口調

で楽

の勝

の傑

の素

に過

った

こと

る。

る。

ント

ユの

ソナ

タが

スワ

にと

って何

これ

の恋

て、

おず

おず

た取

に足

った

か、

スワ

ンが

V

に打

こと

一度

ぬ試

に過

な恋

ルベ

ルチ

への

い。

『ス

の恋

の中

にく

V

場す

の下

に過

った

のだ

に、

は、

の生

まれ

る前

正確

には、

の結

一年

ルチ

ヌと

ソト

ユの娘

の関

に思

いが

なわ

こと

であ

る.。

も関

わら

ず、

〈私

は全

の点

の念

ンの感

と同

一の道

って

いる。

つま

り、

耳慣

くしかし一

と私は考えたー

アルベルチーヌへの愛

ぬ曲想

へのとまどいに始まり、次

いで恋

の歓びと嫉妬の

っと

かが

、.こ

の曲

の初

み、

て個

人的

な愛

を超

て作

の人

へと

7む

の最

の叫

の中

に約

され

った。

いを馳

せ、

日常

生活

は想

つか

ぬ芸

1

は恋

への想

を払

いの

つ、

たす

ら作

の人

大胆

に打

れ、

の芸

の中

に永

の生

を考

た。

も作

は、

にそ

を感

であ

。し

つて

ンが

に居

に感

た。

は蘇

って、

の音楽

の生

V

めた

は、

の同

の中

に永

に生

いる

った

(一戸

b◎㎝Q。)〉。

ルデ

ュラ

ンの

ロン

に於

であ

った

。今

はく

V

〈私

の知

って

いた

ユは、内

で淋

しげ

マル

ンヴ

の鐘

はパ

ルベ

ック

の木

の後

であ

った

が、

これ

の音

ら彼

に呼

び掛

の神

の存

ちく

の生

いう

の彼

の作

の目

っか

の見

ば疑

よう

一種

の幸

(日

・卜⊃9)V

を思

い起

こす

ので

る。

であ

った

(臼

・b。課)V

かも

ソト

ユの

セー

ジが

〈彼

んだ

の唯

に、

の生

ンの伝

を超

て、

をも

、見て、

〈私

に伝

、兄ら

よう

であ

る。

が蘇

は、

が現

て、

々を

に連

に死

の魂

であ

る。

己れ

の最

を委

この曲

ってく

る時

の歓

は計

り知

いも

のと

に、

ント

ユも

スワ

ンも

び蘇

って生

ルー

スト

にと

って芸

はそ

のよ

であ

った

であ

・・

メシ

ャソ

は考

の発

ったな

こそ

の交

の唯

一の真

の旅

一の若

の泉

は、

の新

一の手

って

ろう

V

いう

ら生

さを

る旅

なく

の眼

を持

こと、

を語

が為

に、

『スワ

ンの恋』

の揮

であ

り各

にす

る無

世界

こと

のだ

不自

さを

わず

され

ント

ユの

れが

であ

は人

の感

の総

(即

ち、

に個

(日

。b。㎝。。)〉

て取

って

かざ

るを

い部

で誰

も共

に立

てば

の眼

を通

のみ

ず馬

一ど

の、

い範

か他

に伝

えら

で、

に全

の人

々、

死者

の眼

って、

の世界

8む

にな

でと

かざ

るを

い部

)

とが

る。

ソト

ユと

に、

は隠

1

こと

人間

世界

の深

めら

る事

の永

の本

こと

が出

にす

こと

る。

の力

、△

つい

に歓

モチ

フが

ち勝

った。

はや

は、複

の人

に同

一つ

の感

こと

の彼

へ投

不安

な呼

可能

に魂

の交

る。

かも

から

と思

る玄

の歓

(…

…)

であ

いる

の魂

のみ

でな

の魂

つけ

る。

つた

は歓

の叫

を、

て忘

いだ

ソも

ユも、

の呼

ろう

(一戸

卜。8)〉

の中

に蘇

て、

の最

一つま

一つ楽

は沈

し、

の和

が消

のと

の最

のと

一す

の中

は元

の静

に戻

り、

コンサ

ート

は終

る。・

は〈

ぶ。

はく

われ

V

の楽

に慕

って

る。

り真

こか

『見出

た時

はま

い。

の天

の瞬間、この世のものならぬ歓喜の時の訪れは、今や次

い事がは

っきり判かる。私のこれかちの乾きき

った生活

に間遠にな

ってゆく。確かにそのような瞬間が、人生

の中では、もはや自然が語り掛けてくれぬものを、恐ら

の最も貴重なものを啓示することをブ

ルーストは確信し

く人間たちが代

って吹き込んでくれる

のだろう。しかし

いる。しかしその確信も年と共・に薄れ去

ってゆき、や

自然を歌うことも出来たであろうあ

の瞬間は、もう二度

て或る日、〈私

には文学の才能が欠けているという思

と帰

っては来ないのだ

(目・。。田)V。

い一』

かつて

ゲルマントの方を

散察していた折

に気

可能な限り人間を観察すれぽ、霊感

の欠除の補いとな

き、タソソンヴィルで

(……)ジルベルトと毎日散歩を

るかも知れない。しかしそのような幻想

にすがる

には、

り返した時

にも、悲しく心に噛みしめ、館を去る前

は余りにも明敏だ

った。分析が創造

に匹敵することな

には、ゴンクールの日記を読んで、文学の空しさと虚

どあり得ない。

とになぞらえてもみたあの思い一

自分が病弱である

情熱は冷めた。しかし観察の力は無疵であ

った。むし

ことは別だしても、私の信じていたような理想が存在し

ろ病によ

って研ぎ澄まされてさえいた。しかしそれは不

9 

なか

ったことを思えばさほど苦痛ではないが、却

ってや

毛の鋭敏さであ

った。何の楽しみもなく写し取る作業、.

-

せなく思われるその考え

(一一一.oo㎝戯~㎝)〉が、

パリへ戻

何の実りも、ない事実確認を、果して喜びと呼べようか?

る車中

で彼を襲う。線路に沿

った並木の幹の半ばのとこ

眼に映るのは、死と老

いとに逃れ難べ結ばれた人々の装

うまで、沈む夕陽が赤々と照らしている。以前

なら無限

のみである。

の響鳴を心中に呼び起してやまなか

ったであろうその田

しかしながら、ブ

ルーストが社交界

を去

って、薄闇の

園風景を前に、〈私Vはもうその語り掛けが聞き取れな

書斎

に閉じこもり、およそ二度と人間

の手から生まれ出

いことを悟る。

・.

ないであろう作品の艀化

に、

一命を捧げる決心を固めた

く私はこうして自然の唯中

にいる。ところが、梢

の輝

のも、まさにこの時期、かつての情熱の枯渇に悩み、無

と幹のかげりとを分ける光

の線

に幾ら眺

め入

って見て

能感

に苛まれていたこの時期なのであ

る。何が起

ったの

も、'少しも心は湧き立たず倦怠に沈

んだままだ。かつて

かと

メシャソは自問する。

.

は自分を詩人だと信じたこともあ

ったが、今

はそうで、な

後年彼が漸悦

の思いをこめて告白する通り、心中に

つの大きな方向転換が起

ったのである。歳月が彼から奪

ところで逃れ去

って行くあの表現し難

いものの残津の中

い去

った永生

への望みを、精神的

に償う

一つの発見があ

にあるのでもなく、逆に、それぞれの人間に、それぞれ

った。

の風景に、人生のそれぞれの瞬間に、唯

一無

二の感を与

〈時〉を逃れることが不可能だとしても、〈時〉を潮

えるような多くの偶発事、多くの特殊性の中

にあるのだ

ることは可能だ。永遠

のく礼拝Vの望みは断たれたが、

と考える。

少くともく見出された時Vを手中

に納めている。たとえ

かくしてプル;ストは、

一刻

一刻、

一滴

一滴、〈失な

く忘却の為、かの時と今とをつなぐ何の絆もたぐり寄せ

われた時〉の花蜜

から〈見出された時〉の蜂蜜を抽出し

られず、何らの鎖も投げ掛けることが出来ず、過去が依

て行

った。不眠の長夜を夢想で満たし、回想の体系全体

としてその場所、その時間

にとどまり、谷の窪み、山

を支えるような作品を、

一頁

一頁組立

てて行

った。

の頂に孤立していたとしても一

とにかくその姿を見出

くこれが彼

の生み出した永生である。現世を超えてか

しさえずれば一

それは我々に或る新しい空気を呼吸さ

の世界

へ到達しようという努力の中で、彼は《時》を逃

o 

せてくれる。それはかって我々が呼吸した空気だからこ

れることは出来なか

ったが、

その途上で

出会

った全て

そ新しいのだ。その空気は詩人達が空しくく楽園Vに満

のものに、芸術の特権の

一つである永遠の生命を授ける

たそうと努める空気よりも更

に純粋である。詩人達

は、

ことによ

って、

少くとも

《時》

に打

ち勝

ったのである

つてそれを吸

ったことがある場合

にのみ、この深

い更

(》<8

牢o島傍も・=o。)V。

の感覚を

与えることが

出来る。

なぜなら、

真の《楽

かくして〈歴程〉が終る。

一九二五年万聖節の日付

園》は《失なわれた楽園》だからである

(一戸

ooざ)V。

ある。ブ

ルーストはこれに先立つちょうど三年前

に世を

かくしてブ

ルーストは、時間の矯外

にあるが故

に不可

っていた。ブルーストに励まされ、プル:ストその人

な永遠を、

人間個々の中

にあるが故に慰めとなる観

を頼りに書き初められたこの草稿

は二年ぽかり前

一応

念、即ち回想の永続性に置き換える。最も高い価値を持

出来上

ってはいたが、

メシャンは果しもなく推敲を加え

つものは、これまで空しく探し求めて来た事物の隠され

続ける。今は亡きブルーストが果して

これを良しとする

た本

質の中にあるのではなく、また言葉になりかか

った

であろうか。煩悶消えやらず、容易

に決定稿が仕上らな

レジヤソド

ロドレ

った

んな

る日

から

の不

ッセ

いた。

であ

つ病

の発

ぬ身

って、

当時

の母

は、

エイ

・ガ

スな

これ

にし

たた

て、

スト

に与

ード

の女性

のも

で英

って

た。

いた

であ

った。

ンは

にく

えざ

る者

の言

エイ

は病

リ西

マル

i

・ル

・ロワ

て〉

の無

の激

りあ

りと

じ取

る。

へ引

で家

る。

の入

なく

ルー

スト

の著

てく

の母

に委

・タ

ン紙

に求

を載

かも

ストを

は、

一向

に応

い。

かく

一九

三年

一月

かな

であ

ろう

か。.ど

な著

の来

呼鈴

って見

ぬ女

て来

る。

より

であ

った。

の最

を看

った女

、広

の応募

った

メシ

ソは別

で相

って、

ッセ

ジが

され

だ。

稿

を仕

ず推

に腐

いる

に母

に入

って

て、

わさ

ねぽ

い、

ンは決

心す

一 

る。

仕事

の邪

つ、彼

一枚

の紙

る。

に差

す。

のそ

の便箋

は紛

いプ

局彼

の職

不調

に終

であ

るが

の筆

てあ

っと

・シ

ュルピ

ス街

の小

ルの所

に納

った

き内

であ

った

ルバ

レ夫

は、

ンの語

エピ

ード

否定

く私

事、

に署

せる

ルセ

・ブ

ルー

ト、

リ、

て、

「マル

ル様

のよ

主人

お仕

た後

で、

ン街

四番

は、

レス

・ア

ルバ

レ夫

て他

へ御

にな

上が

ょう

!

に関

し、

家政

て「

に推薦

って

そう

であ

る。

く彼

った

のだ

す。

は小

のも

に勤

める

こと

ろう

い、

か何

マル

は誠

にも

って

の喜

であ

ル様

ストV

であ

って欲

と、

ンは結

す、

々V

る。

二十行

にわ

って

『ス

ン』

の作

は、

最後

に、

メシ

ャン

にと

って運

の夜

った、

・リ

ッツで

おき

い。

ら神

冒漬

気持

にな

はプ

ルー

スト

スト

の肉

を、

コード

に聴

く想

いがす

る。

の手

て、

を彼

に頼

よう

かれ

てあ

のを

しげ

しげ

めた

それ

・リ

ッッ・で

の対

談》

.'

ら、

めら

いが

に、

『スワ

ン』

の作

週間

(一九

二年

ップ

写真

めぐ

る書

の前

へ行

に扉

の後

っと

のやりとりのあ

った数週間後)1

つまり

六月半ば

れを閉めた。

頃-

私はパリ

へ帰り、ブルーストに面談許されたい旨

それまで私はブ

ルーストの姿を、『花咲く乙女たち』

えた。運転手を通じて短

い返信が届き、翌日オテル

の最良の頁を彩る、あの鮮紅色の光の中に想い描いてい

ッツで会

いたいとの返事であ

った。ただし午前

一時ま

た。私もまた《凶具窃

と云う音節からこぼれ出る赤褐色

はふさが

っているので、うんと遅い時刻に来て欲しい

の微光》

に照らされた彼を想像していたのだ

った。十七

(よけれぽ早朝

に)ということであ

った。彼

は昼間は大

世紀風の柱廊を背に、すらりとシルエ

ットを浮かべるあ

2ユ

っているか或は執筆しているかで、ますます頻繁に

のヴ

ァン・ダイクの優雅な騎馬青年の面影を秘かに期待

1

なる喘息の発作が

僅かに休息を恵んでくれる

夜間にし

していた。(彼

の作品を暗

い雰囲気に

包みこむ

『ソドム

か、人には会わないということを承知していたので、別

とゴモラ』も

『消え去

ったアルベルチーヌ』も、まだこ

に驚きはしなかった。

.

の時期出版されていなか

ったのだ。)

・ダ

カー

ッシ

・オ

リヴ

エと

た部

せる

のが

ふさ

のだ

が一

のリ

ッツ

の立

は重

た。

ラ色

フタ

の傘

た小

ンプ

のであ

って、給仕頭であると同時

に、古典悲劇に欠か

で燃えていなか

ったなら、全くも

って深海の感じであ

せぬあの腹心のような役割も務めていた。私は彼

のもと

た。.何となく馴染めない思いを更

に強

めたのは、何かむ

に赴

いて、

マルセル・ブルースト氏に会

いたいのだがと

つとする匂いが部屋に籠

っていたことだ。この薄闇

に眼

った。すると彼

は怯えた眼を周囲にくぼり、あたかも

が慣れるのに

しぼらく

かか

った。

ようやく

『スワンの

かこの名を立ち聞きしていないか催れる風だ

った。何

恋』

の作者が寝椅子に横たわ

っているのが見えた。脚は

格子縞の毛布にくるまれていた。スモーキングを着てお

い感謝の念が卒然としてこみ上げてき

た。果して私はこ

り、襟元から糊のきいた白い胸飾りがのぞいていた。髭

のような厚情に価する者なのか?

が剃られてあるにも関わらず、頬は炭のように黒く私に

ためらいがちだ

った会話も、たちま

ち音楽の話題

へと

って差し出された手は灰色の木綿の手袋に包まれて

進み、彼

の作品の中の音楽に関する件りを幾

つか取り上

いた。

げると、彼

の眼が輝いてきた。それら

の箇所は、彼の思

の・失望は大きか

った。私の空想は、今世紀最大のこ

考の最も高度な部分と、人生が彼

に意味する最も深い部

の作家を春のような雰囲気で飾り立てていたのだ。

一体

分を表現したものだと彼

は語

った。

こにそれが

窺えるのだろう?

コンブ

レの

さんざ

は続けた。「音楽、

そう音楽は……若い頃、

最も熱

や、

メゼグリーズのリンゴの樹や、バルベ

ックの浜を撫

申したものの

一つでした。《でした》

と云

ったのは、今

でるそよ風はどこにあるのだろう?期待していた優雅な

では思い出の中に聞く以外ほとんど接する機会もなくな

騎馬青年どころか、ア

ッシリアの僧侶さながら瞼の垂れ

ってしま

ったからです。(既

レコードはあ

ったが、

3 

た男が、

しわがれ声で

話しかけてきたのだ。

しかし私

日ほど

一般的ではなかった。)何

にも較べようのない歓

1

は、ふと彼の眼を見た。ビ

ロードのように暗く、深く、

びでした。しかもそれは、私が至る所でぶつかる無価値

ぬくような眼だ

った。輝きを秘めた、柔らかな、知性

なもの以外のものが、この世に存在するのだと云うこと

の光をたたえたその眼は、今もじ

っと私を見据えている

の証しでもありました。音楽は黄金の糸

のように、私の

かのよう

に、記憶の底

に刻まれている。その眼

に見入ら

『失なわれた時を求めて』の全体

に伸

びています。次の

た私は即座に、今私に手を差し伸べているこの瀕死の

(『囚われの女』)はまだ出ていませんが、間もなくお

亡霊は、ただの病人ではないと悟

った。それは決然とし

読みに

なれると思

います。

その中

ヴァントゥィユの

て作品に生涯を捧げ、文字どうり作品に己が身を食い尽

〈小楽節〉がまた登場するのですが、今度はより荘重で

せている

一人の人間の燃残りなのだ。もはや生きる時

より豊かにな

って出てきます……ピア

ノとヴァイオリン

間もわずかだと云うのに、その残り少ない時間の

一部を

の為

のソナタよりも七重奏曲が重要になります……。物

気前よく私の為に犠牲にしてくれたこの人に対して」深

語の中

で〈私〉と呼ばれる人間1

あれはこの私です。

ろん何から何まで私そのままと

いう訳ではありませ

ええ、保証しますよ、き

っといいものをお書き

になれる

ん一

に、

二十年

の小

スワ

ンにも

たら

した

でし

ょう

……

。」

のと同じ幸福感をもたらすという構想です。小楽節が同

「いや、う

っかりしていました。あ

なたは軍人でした

じ語り掛けをするのを御覧

になると思いますが、二つの

(私はあさぎ色の軍服を着用していた。)

そんな

つま

った世代に属し、云わぽ互

に見知らぬこの二人に、そ

らない事

に首をつっこむ暇などないでしょう……。私の

は同じ幸福の約束をもたらすのです。

ル・タン紙

に載

手紙

はちゃんと届きましたか?

それは結構。あなたの

ったスデーの論文を御存じですか?

『スワン』

には構成

宛先

はあんまり妙なので、たぶん届かなか

ったろうと思

の欠陥があ

って、年代的時間の扱

いが厳密でないと述

ってました。C

・1

・C

・F

・C!

あれは何のことで

べています。しかしスデーは間違

っています。彼

は外面

す?」「連合国

戦時下鉄道

運営委員会

の略です、」「なる

で天文学的な時間と、内面的な時間、記憶が我々に再

ほど!

ではS

・P

H。。O(野戦郵便区第

一八○番)とい

してくれる生

の時間とを混同しています。私の作品に

うのはどこにあるのです?

国家機密

に触れなければ教

4 

対する公正な批評は最終巻が出るまでは無理なのです。

えて頂きたい。」「ウ

ィスバーデソです。」と私

は答えた。

-

私が何を語りたか

ったかその時初めて判かるでしょう。

「マイソツから数

キロの温泉街で、そ

こにライン駐屯軍

告人スデ三民は気付いていないのです。年代上の食違

の参謀部の

一部が置かれているのです。」「そこで何をな

いを用いることこそ、私にと

って唯

一の方法だ

ったとい

っているのですか?

ラインの彼方

では何が起

ってい

ことを。あの方法によ

って、ようやく私は幾つかの真

るのです?

私たちは何も知らされていません!

私の

実を表現し、音楽が芸術以上のものであり、復活の不思

友人のアンナ

・ノワイ

ユが一

この人

の才能の豊かなご

な力を授か

った

一つの言語なのだということを読みと

とにはき

っとあなたも驚かれますよ1

少し前、ライン

っても

こと

です

…。

たが

そう

いう

ンド

へ行

った

です

も何

も聞

ん。

マ/

を好

で下

さり

の云

とす

を悟

って

(O『"「一Φω竃Pづ胤四回目…

HQ◎O①一目Obコ㎝)

こと

り話

った・の

は嬉

こと

です

……

つい

て何

…。」

べき

です

しく

ょう。

で私

は、

マイ

ツ滞

在中

見聞

の幾

つか

披澄

た。あのあたりでは、花盛りの堅ンゴ畑がライン渓谷を

なさ

っていてはいけません。お話を伺

っているだけで、

埋ずめ、春には花が散り敷いて、地面が真白い花びらで

あなたにはき

っとお書きになれると確信します。」

厚く覆われるので、まるで雪の季節が戻

ってきたのかと

一九二二年六月のこの夜、我

々が交

わした会話を歳月

われることなどを語

った。彼を飽きさせないか気がか

を隔てて思いかえしてみると、私には全く欠けている

りだ

つたが、少しも退屈でないと云

ってくれた。彼は注

種の先見の明をも

って彼

は、寝椅子の足元にあさぎ色の

深く聞き入

っていた。その頬がパラ色に染ま

っている

軍服を着

て控えているこの若い兵士の中

に、ようやく十

のが

心配だ

った。熱が高ま

ったせいではないかと堪れた

五年後

に第

一巻が出ることになる

『ドイツ軍史』の著者

のだ。錆色の隅の浮いた深い眼が、じ

っと私を見据えて

を見抜いていたのだという思いを、どうしても追い払う

いた。

'

ことが出来ない。

ドイツ国内に渦巻いている混乱

について

物語

しかしその夜、こうした個人的な体験以

「外の話題に話

た。

(中略)

こんな

長話しで彼が疲れはしないかと

心配

しが及ばないまま、彼と別かれる気にはなれなか

った。・

5ユ

で、

なるたけ端折

って語

った。しかし彼

は絶えず質問を

に会

いに行

ったのも、私の讃嘆の念

を彼

に伝え、作品

-

さし狭み、私がこのような現代史

の断片を披歴するにつ

の後半の構想がどういうものなのか尋ねたか

ったからで

れ、彼にと

っては初耳だ

ったのだろう、ますます関心を

ある。ところが果しなく質問を浴びせるのは彼

の方だ

ひかれる様子だ

った。

.

たのだ。

「面白いじゃありませんか。我が国ではそんなことは

「お時間を無駄

にするのは忍びません。」

私は云

誰も知りません。ぜひ御本になさるべきです!.Lと彼は

た。「コソブレやヴァントゥィユやオリ

アーヌ・ド

・ゲル

った。

マントのお話しに戻りたいのですが。

『失なわれた

時を

の知識など

まるで

不完全だし、

例̀え

そうでなくて

求めて』

はモデル小説だというのは本当でしょうか?」.

も、物を書く才能など全く無いと私は尻ごみした。

の顔にちらりと失望の色が浮

かんだ。

「どうして

「そんなことはありません。」と彼

は固執した。コ

んな事をお尋ねになるのです?

っとましな質問を期

の主題が心を把・見たからには、そんな逃げ

口上で足踏み

侍してましたよ。」うんざりした声で彼

は云

った。「人々

はいb

も私

の作中人物

に実名を被せたが

っています。そ

各人の有する無数の世界を見ることが出来るのです。初

れが何の役

に立つのか、本当

に理解

に苦しみます。ラソ

期教会の教父たちの唱えるく聖徒の霊的交わりVという

べルメイ

エの家とか、アルムノンヴィルとかで、カソブ

言葉が暗示する恩寵

に与れるのです。私

は初

『永遠

ルメール夫人に会

ったとでも云いたい為でしょヶか?

礼拝

(常時聖体礼拝)』と

題する巻でも

って

作品を締

フランソワーズがビーフシチ

ューをどうや

って仕上げる

括ろうと

考えていました。

グラッセ社

から

出た

『スワ

かを述べた件りを読み直してごらんなさい。御存じのと

ン』の初版

に予告した仮

の題名

の中

にそれが残

っていま

うり、

あれは

ノルポワ氏お気入りの

一品です。.(世間が

す。結局

はそれを諦めて

『見出された時』

にせざるを得

取り沙汰している

パレオローグ氏などではなか

った。)

ませんでした。若

い頃から忍んできた全ての苦悩、営

私の作中人物も同じよう

にして作り出したのです。仮り

と積み重ねてきた全ての経験が、この二つの題名の隔た

にモデ

ルがあ

ったとしても、それは遠

い昔の人達です。」

りの中

に要約されています。口にするのも残念ですが、

ょっと沈黙した後、彼

は続けた。

しかし、

つまり……この隔たりは挫折を物語るものなの

6 

「私が生み出そうとしているものは、人

々に理解して

です。驚

かれましたか?

でも本当なのです。人々の魂

-

もらう

にはあまりに難かしく、あえて云いますが、あま

が互に通

い合

い、

人間が

時の範疇を

逃れることの出来

に高尚なものなのです。人

々は常

に何でも自分らに引

る、あの特恵の国

へ入りこもうと云う

のは、所詮身の程

き寄

せて考えようとします……何とつまらないことでし

知らずの企てでした。しかし私くらいこの企てを押し進

よう!

『失なわれた時を求めて』は

一つの長

い探索の

めた者はいま

せん。最終的には真実を裏切らない為

に、・

物語

なのです。空間を踏破するのではなく、人間の心を

それを放棄

せざるを得ませんでした。人生を観察し続け

踏査する旅なのです。全てが伝達可能となる国

へ近づこ

た結果、残念ながら次の明白な事実の前

に膝を屈せざる

うとする努力なのです。そこへ到達すれば、別の世界が

を得なく・な

ったのです。

つまり、この世には永続的法悦

開け

ると云うのではありません一

そんなものが存在す

など有り得ないのだと

いうことです。「友情も

恋愛さえ

のかどうか確信もありません一

そうではなく、

この

も、感情

の束

の間の転移に過ぎないのです……。」

世界を他人の眼で、無数の他人の眼で見ることが出来、

この時

は彼

の云わんとする所がよく判からなか

ったゆ

『囚

われ

の女

・『見

た時

を読

で初

おお

もS

った。

た後

は云

った

「これ

いて

しし

こと

,山

ます

いぶ時

-

つま

でも

お引

めす

る訳

にも参

ん。

お目

に掛

って語

り合

いま

ょう。」

三時

に近

は疲

いる

った。

は立

た。

は手

はめ

.た

っと

それ

た。

「次

の休

にはぜ

に来

て下

い。」

「お約

しま

。」

「じ

ゃ近

いう

に!」

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た。

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